本発明は、壁面に沿って立ち上がる立上り支持部の上部から所定の方向(例えば水平方向)に延びる支持アーム部の先端部に大きな過重がかかることを考慮して、支持アーム部の強度を高めるための工夫をすることにより、吐水装置の施工性を向上させつつ、支持アーム部および吐水装置全体の強度を高めた装置構成を実現しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[吐水装置の構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る吐水装置100の外観構成例を示す斜視図(左斜め前方から見た場合の斜視図)である。
吐水装置100は、壁面10に沿って設置されている。吐水装置100は、例えば、壁面10をなす壁に対して設けられ、矩形板状の形状を有する吐水部140から使用者の頭上に吐水を行うオーバーヘッドシャワー装置である。
吐水装置100は、操作部110と、立上り支持部としての立上り支柱部120と、支持アーム部としての水平アーム部130と、吐水部140と備える。吐水装置100は、給水管(図示略)から供給される水と、給湯管(図示略)から供給される湯水とを混合して吐水部140から吐水させる装置である。
操作部110は、吐水装置100の下端部に配置される箱状の本体部である。また、操作部110の内部には、立上り支柱部120、水平アーム部130を介して吐水部140に湯水を供給するための給水路(給水管)等が配置される。
また、操作部110は、吐水部140からの湯水吐出量の調節や、湯水の温度調節を行うための複数の操作部材を正面カバー111に備える。また、操作部110の左側(図1の手前側)には、使用者がシャワーの使用時に使用するもの(例えば、シャンプー)を置くための棚112が設けられる。なお、吐水装置100には、吐水部140以外に、ハンドシャワー(例えば、使用者が手に持って使用する小型の吐水装置)等の吐水装置を設けるようにしてもよい。例えば、操作部110から延びるホースの端部にハンドシャワーを設けることができる。
立上り支柱部120は、給水路を覆うとともに壁面10に沿って立ち上がった部分であり、操作部110から上方に向けて鉛直状に延設された断面略方形状の柱状の部分である。立上り支柱部120の内部には、操作部110で温度調節された湯水が流通するための給水路400、410(図2、図9参照)が設けられている。立上り支柱部120は、給水路400、410を覆うとともに壁面10に沿って立設され、壁面10に対して所定の位置に固定された状態で設けられている。立上り支柱部120は、その内部の給水路を操作部110内の水路と連通接続させた状態で、下端部を操作部110に連結させ、上端部を水平アーム部130に連結させている。また、立上り支柱部120の内部を流通する湯水が流通する給水路は、操作部110に設けた操作部材の操作によって切り替え制御される。
水平アーム部130は、立上り支柱部120の上部から所定の方向に延びる部分である。本実施形態では、水平アーム部130は、立上り支柱部120の上端から前方に向けて水平状に延設された断面略方形状の部分であり、壁面10に対して垂直方向に突設している。水平アーム部130の内部には、立上り支柱部120内の給水路に連通した給水路420、430(図2、図9参照)が設けられている。水平アーム部130の壁面10側下部は立ち上がり支柱部120に支持されており、また、水平アーム部130の壁面10側端部はビスやネジ等の締結具を介して壁面10に固定されている。また、水平アーム部130の立上り支柱部120とは逆側、つまり水平アーム部130の先端側には、吐水部140が連結されている。立上り支柱部120及び水平アーム部130により、吐水部140に対する給水路として、立上り支柱部120及び水平アーム部130の外形に沿った「L」字状の給水路が構成されている。なお、水平アーム部130については、図8を参照して詳細に説明する。
吐水部140は、水平アーム部130の立上り支柱部120とは逆側に設けられ、給水路から供給される湯水を吐水するシャワーヘッドである。すなわち、吐水部140は、立上り支柱部120、水平アーム部130の内部に設けられる給水路400、410、420、430(図2、図9参照)を介して供給される湯水を、下面において等間隔に設けられる複数の散水孔や、下面の中心部分に設けられる吐水口から吐水する。なお、複数の散水孔からの吐水と、中心部分の吐水口からの吐水とについては、操作部110の正面カバー111に設けられる操作部材を用いた操作により切り替えることができる。
本実施形態に係る吐水装置100は、水平アーム部130を補強するための構成として、少なくとも一部を水平アーム部130の内部に位置させ、水平アーム部130を補強する補強部をなす補強部材200と、壁面10に固定され、補強部材200を受ける補強受け部をなす補強受け部材300とを備える。以下、これらの構成について説明する。
[補強部および補強受け部の構成例]
図2乃至図4は、本発明の一実施形態に係る補強部材200および補強受け部材300の構成例を示す図である。なお、図2、図3では、補強部材200、補強受け部材300を覆う立上り支柱部120、水平アーム部130を点線で示す。また、図2には、補強部材200および補強受け部材300の外観構成例として吐水装置100を上側から見た場合の斜視図を示す。また、図3には、補強部材200および補強受け部材300の外観構成例として側面から見た場合の側面図を示す。また、図4には、補強部材200および補強受け部材300の構成例として断面図(図2に示すネジ12を通る断面(吐水装置100を前後方向で2分割した断面))を示す。
水平アーム部130の内部には、水平アーム部130の補強を行う補強部材200が設けられている。また、立上り支柱部120と水平アーム部130との角部分には、補強部材200を受ける補強受け部材300が設けられている。なお、補強部材200については、図5を参照して詳細に説明する。また、補強受け部材300については、図6、図7を参照して詳細に説明する。
補強受け部材300は、孔351乃至353(図7参照)を通したネジ11乃至13により壁面10に固定される。また、図4に示すように、補強受け部材300は、立上り支柱部120の背面側の孔122を通したネジ41により立上り支柱部120に固定される。
また、補強受け部材300は、上流側の給水路400、410と接続されるとともに、下流側の給水路420、430と接続される。なお、上流側の給水路400、410は、立上り支柱部120の内部に固定される保持部121により保持される。また、下流側の給水路420、430は、水平アーム部130の内部に固定される保持部440により保持される。なお、保持部440は、水平アーム部130の孔137(図8参照)を通したネジ22により、水平アーム部130に固定される。
また、補強部材200の孔213、214(図5参照)には、補強部材200および補強受け部材300を固定するための留め具240、250(図6、図7参照)が溶接される。そして、補強部材200は、留め具240、250の孔241、251(図7(C)参照)を通したネジ31、32により、壁面10に固定された補強受け部材300に固定される。
ここで、吐水部140は、比較的大きな箱状のものであるとともに少なくとも一部が金属製であるため、比較的重くなることが多い。このため、立上り支柱部120から水平方向に伸びる水平アーム部130の先端部(吐水部140側の端部)には大きな過重がかかることが想定される。このように、吐水部140が大きくなり、水平アーム部130に加わる力が大きくなると、水平アーム部130が撓んで前下がりになったり、水平アーム部130が変形したりするおそれがある。
そこで、水平アーム部130の補強を行うための補強部を設けることが考えられる。しかしながら、立上り支柱部120を壁面10に固定するためには、水平アーム部130の吐水部140側からネジ固定しなければならない。このため、水平アーム部130が長くなると、そのような補強部を壁面10に固定しづらくなるおそれがある。また、立上り支柱部120を壁面10に固定する場合に、立上り支柱部120の中央付近(上下方向の中央付近)を固定位置にすると、立上り支柱部120および水平アーム部130が撓みやすいことが想定される。
そこで、本実施形態では、補強部材200を受ける補強受け部材300を設け、補強受け部材300と補強部材200とを接続することで、吐水装置100の施工性を向上させつつ、吐水装置100の強度を高めることができる。
また、補強受け部材300をネジ11乃至13で壁面10に固定することにより、立上り支柱部120の最上端を壁面10に固定することができる。これにより、立上り支柱部120の最上端で力を受けながら、壁面10よりも手前方向に水平アーム部130を伸ばすことができる。
[補強部材の構成例]
図5は、本発明の一実施形態に係る補強部材200の構成例を示す図である。図5(A)には、補強部材200の側面図(図2の手前側から見た場合の側面図)を示す。また、図5(B)には、補強部材200の上面図を示す。また、図5(C)には、補強部材200の下面図を示す。また、図5(D)には、補強部材200の正面図(吐水部140側から見た場合の図)を示す。また、図5(E)には、補強部材200の背面図(壁面側から見た場合の図)を示す。
補強部材200は、水平アーム部130の内部に設けられ、水平アーム部130の補強を行う補強部材である。すなわち、補強部材200は、水平アーム部130の強度を確保するための補強部材である。また、図5(D)(E)に示すように、補強部材200は、正面視で略コの字形状である。また、図5(A)に示すように、補強部材200は、側面視で略L字形状である。また、補強部材200は、例えば、たわみにくく、剛性を有する板状部材(例えば、SUS製の板状部材)を曲げ加工して形成される。
補強部材200は、水平アーム部130の延設方向である水平方向に沿う横延伸部としての上面部210と、上面部210に対して屈曲状に形成された縦延伸部としての左右の側面部220、230とを有する。本実施形態では、上面部210と左右の側面部220、230とは直角状をなし、横断面視において下側を開放側とした略「コ」字状に形成されている。左右の側面部220、230は、その後端部に、下方に向けて延設された縦延伸部221、231を有する。補強部材200は、上面部210およびこれに沿って水平状に延伸した側面部220、230の部分と、縦延伸部221、231とにより、側面視で略L字形状に形成されている。これにより、補強部材200の強度を高めることができる。
上面部210は、水平アーム部130の上面部131(図8参照)の下部分に配置される。また、上面部210には、上面視で略T字形状の孔211と、水平アーム部130と補強部材200と補強受け部材300とを固定するためのネジ21(図2、図4参照)を通す孔212と、留め具240、250(図6、図7参照)が溶接される孔213、214と、吐水部140側の凹部215とが設けられる。
側面部220、230は、水平アーム部130の側面部132、133(図8参照)に隣接するように配置される。また、側面部220の背面側には、縦延伸部221が設けられる。また、側面部230の背面側には、縦延伸部231が設けられる。側面部220の後端部および縦延伸部221は、補強受け部材300の凹部311(図6参照)に嵌るように形成される。また、側面部230の後端部および縦延伸部231は、補強受け部材300の凹部312(図6参照)に嵌るように形成される。
[補強受け部材の構成例]
図6、図7は、本発明の一実施形態に係る補強受け部材300の構成例を示す図である。図6(A)には、補強受け部材300の側面図(図2の手前側から見た場合の側面図)を示す。また、図6(B)には、補強受け部材300の上面図を示す。また、図6(C)には、補強受け部材300の下面図を示す。また、図7(A)には、補強受け部材300の正面図(吐水部140側から見た場合の図)を示す。また、図7(B)には、補強受け部材300の背面図(壁面側から見た場合の図)を示す。また、図7(C)には、補強受け部材300の斜視図(上側から見た場合の図)を示す。
補強受け部材300は、壁面に固定されるとともに、立上り支柱部120および水平アーム部130の内部(立上り支柱部120および水平アーム部130の交差部分)に設置され、補強部材200を受ける補強受け部材である。すなわち、補強受け部材300は、立上り支柱部120および水平アーム部130の強度を確保するための補強部材である。また、図6(A)に示すように、補強受け部材300は、側面視で略L字形状である。また、補強受け部材300は、例えば、金属製(例えば、SUS)とすることができる。
補強受け部材300は、水平方向に延びる横ブロック部としての横延伸部310と、横延伸部310の後端部から下方に向けて延伸する縦ブロック部としての縦延伸部330とを有する。横延伸部310は、水平アーム部130の後端部に挿嵌された状態で、水平アーム部130内に位置する。縦延伸部330は、立上り支柱部120の上端部に挿嵌された状態で、立上り支柱部120内に位置する。補強受け部材300は、横延伸部310と縦延伸部330とにより略L字形状に構成されている。また、補強受け部材300の上面には、凹部313が設けられる。また、補強受け部材300の左右方向の側面には、凹部311、312が設けられる。
凹部313は、補強部材200の上面部210の背面側の端部が設置される部分であり、上面部210の背面側の端部が嵌るように凹部が形成される。なお、補強部材200の上面部210には、上面視で略T字形状の孔211(図5(B)(C)参照)が設けられている。このため、補強受け部材300の上面において、孔211に対応する凸部317、318が形成される。
また、凹部311は、補強部材200の側面部220の背面側の端部と縦延伸部221とが設置される部分であり、側面部220の背面側の端部と縦延伸部221とが嵌るようにこれらの部分の形状に合わせて側面視で「L」字状に形成されている。また、補強受け部材300の左側面において、凹部311以外の部分には、凸部323、333が形成される。凹部311は、側面部220の背面側の端部に対応した水平方向に沿う横部分と、縦延伸部221に対応した鉛直方向に沿う縦部分とを有する。そして、凹部311は、横部分の下側に、凸部323に対する段差面を形成し、縦部分の下側および後側に、凸部333に対する段差面を形成している。
また、凹部312は、補強部材200の側面部230の背面側の端部と縦延伸部231とが設置される部分であり、側面部230の背面側の端部と縦延伸部231とが嵌るようにこれらの部分の形状に合わせて側面視で「L」字状に形成されている。また、補強受け部材300の右側面において、凹部312以外の部分には、凸部324、334が形成される。凹部312は、側面部230の背面側の端部に対応した水平方向に沿う横部分と、縦延伸部231に対応した鉛直方向に沿う縦部分とを有する。そして、凹部312は、横部分の下側に、凸部324に対する段差面を形成し、縦部分の下側および後側に、凸部334に対する段差面を形成している。
このように、補強受け部材300は、補強部材200の左右の側面部220、230を受ける凹部311、312を有する。そして、補強受け部材300の左右方向の側面において、凹部311、312以外の部分に凸部323、324、333、334が形成されることにより、補強部材200を下側および背面側から支持することができる。これにより、補強部材200の強度を高めることができる。すなわち、凹部311、312において、水平方向に沿う横部分の下側の段差面、並びに鉛直方向に沿う縦部分の下側および後側の段差面が、吐水部140側で重力による荷重を受ける補強部材200の支持面となり、補強部材200を介して水平アーム部130を補強することができる。
また、図7に示すように、補強受け部材300の背面には、3つの孔351乃至353が設けられる。孔351乃至353は、ネジ11乃至13を通す孔であり、ネジ11乃至13により補強受け部材300が壁面に固定される。
また、補強受け部材300の上面における凹部313には、前後方向に延びる3つの凹部314乃至316が設けられる。凹部314乃至316は、補強受け部材300を壁面に固定する場合に、孔351乃至353に通したネジ11乃至13を壁面にねじ込む作業を容易にするために設けられる凹部である。
また、図6(B)、図7(C)に示すように、凹部314には、補強部材200の孔213の付近に溶接される留め具240が配置され、留め具240の孔241を通したネジ31を受けるネジ受け部321(図7(C)参照)が設けられる。留め具240は、側面視で略コの字形状の金具である。また、留め具240の略コの字形状の2つの先端部242、243は、孔213の前後方向の端部付近に溶接される。このため、先端部242、243は、補強部材200の裏面における孔213の前後方向の端部付近の形状に合うように形成される。
また、図6(B)、図7(C)に示すように、凹部316には、補強部材200の孔214の付近に溶接される留め具250が配置され、留め具250の孔251を通したネジ32を受けるネジ受け部322(図7(C)参照)が設けられる。留め具250は、側面視で略コの字形状の金具である。また、留め具250の略コの字形状の2つの先端部252、253は、孔214の前後方向の端部付近に溶接される。このため、先端部252、253は、補強部材200の裏面における孔214の前後方向の端部付近の形状に合うように形成される。
このように、補強部材200の孔213の付近に溶接される留め具240と、補強部材200の孔214の付近に溶接される留め具250とを用いて、補強部材200と補強受け部材300とが、ネジ31、32(図2、図9参照)により固定される。
また、図6(B)に示すように、凹部315にはネジ受け部260が設けられる。ネジ受け部260は、水平アーム部130の孔138(図8(B)参照)、補強部材200の孔212(図5(B)(C))、ワッシャー261を貫通したネジ21(図2、図6(B)参照)を受け付ける。
また、図6(C)に示すように、補強受け部材300の下部には、上流側の給水路400と接続する流入口331と、上流側の給水路410と接続する流入口332とが設けられる。また、流入口331には、給水路400の軸シール部401(図9参照)が挿入され、流入口332には、給水路410の軸シール部(図示略)が挿入される。
また、図7(A)に示すように、補強受け部材300の正面側には、下流側の給水路420と接続する流出口341と、下流側の給水路430と接続する流出口342とが設けられる。また、流出口341には、給水路420の軸シール部421(図9参照)が挿入され、流出口342には、給水路430の軸シール部(図示略)が挿入される。なお、補強受け部材300において、給水路420が挿入される部分の上側に設けられる凸部317は、流出口341付近を補強するための補強部としても機能し、給水路430が挿入される部分の上側に設けられる凸部318は、流出口342付近を補強するための補強部としても機能する。
また、補強受け部材300の内部において、流入口331と流出口341とをつなぐL字形状の内部流路361(図9参照)が形成される。同様に、補強受け部材300の内部において、流入口332と流出口342とを結ぶL字形状の内部流路(図示略)が形成される。このように、補強受け部材300は、立上り支柱部120と水平アーム部130の直角状の角部分において、吐水部140への給水経路の一部を形成するL字状の通水ブロックを構成している。
ここで、例えば、立上り支柱部120と水平アーム部130の直角状の角部分において、その角部分の形状に合わせて給水管を直角に曲げた構成を想定する。このような構成によれば、直角状に曲げた部分の給水管の内部における流路断面積が狭くなり、所望の流量を吐水することができなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、補強受け部材300に内部流路361を設けることで、立上り支柱部120と水平アーム部130との角部分を直角に形成することができ、この角部分において容易に所望の流量を確保することができる。
このように、補強受け部材300を側面視で略L字形状に形成することで、壁面との接触面積を広くすることができ、壁面に加わる力を小さくすることができる。なお、補強受け部材300は、水平アーム部130の投影面(正面側から見た場合の投影面)に少なくとも一部がかかるようにが設置されることで、水平アーム部130の強度を高めることができる。
[水平アーム部の構成例]
図8は、本発明の一実施形態に係る水平アーム部130の構成例を示す図である。図8(A)には、水平アーム部130の側面図(図2の手前側から見た場合の側面図)を示す。また、図8(B)には、水平アーム部130の上面図を示す。また、図8(C)には、水平アーム部130の下面図を示す。また、図8(D)には、水平アーム部130の正面図(吐水部140側から見た場合の図)を示す。また、図8(E)には、水平アーム部130の背面図(壁面側から見た場合の図)を示す。
水平アーム部130は、立上り支柱部120の上部から水平方向に延びるように設置されるアーム部材であり、補強部材200を覆うように設置される。また、図8(D)(E)に示すように、水平アーム部130は、正面視で略ロの字形状である。なお、水平アーム部130は、例えば、たわみにくく、剛性を有する板状部材(例えば、SUS製の板状部材)を曲げ加工して形成される。例えば、そのような板状部材を曲げ加工して形成される正面視で略コの字形状の部材(上面部131、側面部132、133)と、下面に相当する板状部材(下面部134)とを組み合わせて構成することができる。
水平アーム部130は、上面部131と、側面部132、133と、下面部134とを備える。上面部131は、補強部材200の上面部210の上側に重ねて配置される。また、上面部131には、複数の孔135乃至138が設けられる。孔138は、補強部材200の上面部210の孔212を用いて水平アーム部130と補強部材200とを固定するためのネジ孔である。また、孔137は、給水路420と給水路430とを保持する保持部440(図4、図9参照)を固定するためのネジ孔である。
側面部132、133は、補強部材200の側面部220、230を覆うように配置される。
[吐出装置の内部における給水路の構成例]
図9は、本発明の一実施形態に係る吐水装置100の内部における給水路の構成例を示す断面斜視図である。図9には、給水路400、420を通る断面(吐水装置100の前後方向で分割する断面)を示す。すなわち、図9では、給水路400、420、補強受け部材300の内部流路361により形成される給水路の断面図を示す。
ここで、立上り支柱部120の内部には、給水路400、410が設置され、水平アーム部130の内部には、給水路420、430が設置される。また、給水路400、420は、補強受け部材300の内部流路361に接続され、給水路410、430は、補強受け部材300の他の内部流路(図示略)に接続される。内部流路361は、側面視で略L字形状の給水路である。なお、給水路400の構成は、給水路410の構成と略同一であり、給水路420の構成は、430の構成と略同一であり、内部流路361の構成は、他の内部流路(給水路410、430に接続される内部流路)の構成と略同一である。このため、図9では、主に、給水路400、420、内部流路361の構成について説明し、給水路410、430、他の内部流路(図示略)の説明および図示の一部を省略する。
また、給水路400、420、補強受け部材300の内部流路361により形成される給水路では、例えば、吐水部140の下面において等間隔に設けられる複数の散水孔から散水される湯水が搬送される。また、給水路410、430、補強受け部材300の他の内部流路(図示略)により形成される給水路では、例えば、吐水部140の下面の中心部分に設けられる吐水口から吐水される湯水が搬送される。
給水路400の下流端部には、軸シール部401が設けられる。軸シール部401は、給水路400と内部流路361との間の水密性を確保するための部分であり、例えば、2本のOリング(例えば、ゴム製)402、403が外周面に取り付けられる。
また、給水路420の上流端部には、軸シール部421が設けられる。軸シール部421は、給水路420と内部流路361との間の水密性を確保するための部分であり、例えば、2本のOリング(例えば、ゴム製)422、423が外周面に取り付けられる。
また、補強受け部材300の内部流路361の流入口331(図6(C)参照)には、給水路400の軸シール部401が挿入される。また、補強受け部材300の他の内部流路(図示略)の流入口332(図6(C)参照)には、給水路410の軸シール部(図示略)が挿入される。
また、補強受け部材300の内部流路361の流出口341(図7(A)参照)には、給水路420の軸シール部421が挿入される。また、補強受け部材300の他の内部流路(図示略)の流出口342(図7(A)参照)には、給水路430の軸シール部(図示略)が挿入される。
また、補強受け部材300の内部流路361の流出口341に接続される給水路420と、補強受け部材300の他の内部流路(図示略)の流出口342に接続される給水路430とは、補強部材200の下面に取り付けられる保持部440に保持される。保持部440は、給水路420、430が貫通する2つの孔441、442を備える直方体形状の部材である。また、保持部440は、上面に設けられるネジ受け部443(図4参照)と水平アーム部130の孔137とがネジ22により固定される。なお、保持部440の上面と、水平アーム部130の上面部131の下面との間には、補強部材200が配置される。また、保持部440を固定するためのネジ22は、補強部材200の孔211を貫通する。
[立上り支柱部、水平アーム部、補強部材、補強受け部材の組立例]
次に、立上り支柱部120、水平アーム部130、補強部材200および補強受け部材300を組み立てる場合の組立例について説明する。
最初に、保持部121に保持される給水路400、410を補強受け部材300の流入口331、332に挿入する(図9参照)。そして、立上り支柱部120と補強受け部材300とを孔122を通したネジ41(図4参照)で固定する。
次に、立上り支柱部120に固定された補強受け部材300の孔351乃至353(図7参照)を通したネジ11乃至13(図2参照)で、補強受け部材300を壁面10に固定する(図3参照)。この場合に、水平方向に延びる水平アーム部130が取り付けられていないため、補強受け部材300の壁面10への取り付け作業が容易である。また、補強受け部材300の上面における凹部313(図6(B)参照)には、前後方向に延びる3つの凹部314乃至316が設けられているため、孔351乃至353に通したネジ11乃至13を壁面10にねじ込む作業が容易である。
次に、壁面10に固定された補強受け部材300と補強部材200とを、ネジ31、32(図2参照)をネジ受け部321、322(図7(C)参照)にねじ込んで固定する。すなわち、補強部材200の孔213の付近に溶接される留め具240の孔241にネジ31を通してネジ受け部321(図7参照)にねじ込んで固定する。また、補強部材200の孔214の付近に溶接される留め具250の孔251にネジ32を通してネジ受け部322(図7参照)にねじ込んで固定する。
次に、補強受け部材300の流出口341、342に給水路420、430を挿入するとともに、保持部440の孔441、442に給水路420、430を挿入する。次に、水平アーム部130の孔137(図8参照)を通したネジ22(図2、図9参照)で保持部440を水平アーム部130に固定する。また、水平アーム部130の孔138(図8(B)参照)、補強部材200の孔212(図5参照)を通したネジ21(図2、図9参照)で水平アーム部130と補強部材200と補強受け部材300とを固定する。
最後に、水平アーム部130の先端部に他の部材(吐水部140等)を取り付ける。
このように、本実施形態によれば、吐水装置100が、立上り支柱部120の上端部分を固定する固定部材(補強受け部材300)と、その固定部材(補強受け部材300)に対して固定され、水平方向に伸びる腕部材(補強部材200)とを備えることにより、吐水装置100(特に、水平アーム部130)の強度を高めることができる。すなわち、壁面10に沿って設置される吐水装置100の強度を高めることができる。
また、本実施形態によれば、立上り支柱部120を壁面10にぴったりと沿わせるような構造とすることができるため、吐水装置100のデザイン性を高めることができる。
なお、本実施形態で示した補強部材200、補強受け部材300は一例であり、補強部材200、補強受け部材300の一部を変形した場合についても本実施形態を適用することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。