JP7200467B2 - 生体調整機能剤含有食品用マスターバッチ及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品、食パン、中華そば、スパゲッティ、及び、インスタント麺等の小麦粉加工食品、並びに、スポンジケーキ、クッキー、及び、ポテトチップ等の菓子類等の、粘弾性改良、形状保持、保水性向上、脂質分離防止、ボリュームアップ、及び、原料代替効果等の総合的な品質向上を目的として使用されるグルテン及び各食品原材料に、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患等の生活習慣病の予防や治療等の対策に有効な生体調整機能剤を容易に混入させることが可能な及びその製造方法に関する。
より具体的には、本発明は、生体調整機能剤として、脂質吸収抑制、糖質吸収抑制、及び、腸内環境改善等の効果を有し、自然界に存在する動植物又はその一部を用いて加工された、天然由来の生薬及び/又は伝承薬の粉末を用い、これらが少なくとも一種以上均一に分散するグルテンに関し、水産練り食品、畜産加工食品、水産畜産加工食品、冷凍加工食品、小麦粉加工食品、及び、菓子類等の原材料に混合が容易で、生体調整機能剤をこれら原材料に均一に混入させることが可能であることを特徴とする生体調整機能剤及びグルテンの混錬物である生体調整機能剤含有食品用マスターバッチ及びその製造方法に関する。
世界的なネットワーク社会が形成されて生成された情報のグローバル化は、産業、技術、及び、文化等あらゆる分野が世界に拡がることになった。日本及び東アジアにおける欧米型食生活の普及、欧米における日本型食生活対する関心の高まり等、食文化もその例外ではない(非特許文献1~3)。
特に、日本においては、食文化のグローバル化に伴う食生活の欧米化の弊害が懸念されている。日本は、この50年間で、高カロリー、高脂肪、及び、高タンパクの食事に激変したことに加え、運動不足が原因であると考えられる肥満の割合が高い状態で推移している(非特許文献4)。平成29年の国民健康・栄養調査報告(非特許文献5)によれば、肥満者(体格指数(Body Mass Index):BMI≧25kg/m)の割合は、男性が30.7%、女性が21.9%で、男性の三人に一人、女性の5人に一人が肥満であり、この10年間、男女共に有意な増減が認められていない。また、運動習慣のある者の割合は、男性が35.9%、女性が28.6%で、男女共に三人に二人は運動習慣がなく、この10年間、男女共に有意な増減は認められていない。
肥満は、体重が単に多いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態で、その体脂肪が蓄積する場所によって二つのタイプに分類され、健康に対する危険性が異なっている(非特許文献5)。一方は内臓脂肪型肥満、他方は皮下脂肪型肥満と一般的に呼称され、前者の方が生活習慣病を発症するリスクが高い。そして、この内臓脂肪型肥満が、糖尿病や脂質異常症・高血圧症・心血管疾患等の生活習慣病をはじめとして数多くの疾患の元凶となるため、男女共に、統計上、肥満との関連が強い糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)に最も罹り難いBMI値である22.0が標準とされている。しかし、上記の通り、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、BMIが25以上のもの」と定義づけられている肥満の割合は、健康の維持及び増進において、肥満の予防や治療等の対策が重要であると位置づけられているにもかかわらず、減少する傾向が認められない。
肥満は、基本的に、摂取したカロリーとその代謝の問題であるので、食事制限によるカロリー摂取量の削減及び運動による摂取カロリーの消費を実行すれば、予防することができる。しかし、食文化のグローバル化に伴う食生活の欧米化は、カロリーが高い、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、及び、クレープやホットケーキ等の菓子類等の小麦粉加工食品、並びに、肉やソーセージ等の畜産食品を使用する欧米型料理に対する嗜好が強まっている(非特許文献3)。一方、日本が保有している伝統的な食品でも、小麦粉加工食品である、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等に対する嗜好にも根強いものがある。また、小麦粉と比較すると、欧米に多いセリアック病の原因と考えられているグルテンを含まず、タンパク質が豊富であるため、健康食品と称される和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等米粉加工食品、並びに、小麦粉代替え米粉加工食品であるが、米粉に含まれる糖質含有量は、小麦粉と遜色なく、70%以上もある(非特許文献6~8)。
従って、肥満は、食生活の見直しと継続的な運動によって予防できるとはいうものの、人間の本能でもある食欲、特に、高カロリー、高脂肪、及び、高タンパクではあるが、嗜好が強い食品に対する食欲を抑圧する食事療法には、精神的にも栄養学的にも限界がある。それと共に、カロリーの消費を促進する運動療法や食行動を修正する行動療法等を習慣的に行うことは、誰にとっても、特に、仕事に携わる成人にとって、実行し得ることは困難である(非特許文献9及び特許文献1)。
そのため、糖質吸収抑制機能(例えば、特許文献1、5、7、及び、8)、脂質吸収抑制機能(例えば、特許文献3、4、5、及び、6)、並びに、整腸及び便性改善等の腸内環境改善機能(例えば、特許文献2、並びに、非特許文献10及び11)等を有する成分を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬及びその抽出物、並びに、これらの機能を有する成分である単糖類、オリゴ糖類(小糖類)、多糖類、及び、乳酸菌等を食品に取り入れようとする試みが行われてきた。
特に、最近では、世界に先駆けて、日本から提案された「食品の機能」という概念を取り入れた健康食品に対する関心が高まっている(非特許文献12)。「食品の機能」とは、食品が人の健康に対して果たす役割のことであり、三つの機能に分けられている。第一次機能は、栄養機能で、栄養素としての働き、第二次機能は、感覚機能で、五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)に訴える働き、そして、第三次機能は、生体調整機能で、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、神経系等の生理調節を行い、健康の維持・増進等、人の健康、身体能力、心理状態に対して良い影響を与える働きである。このような概念の健康食品は、日本の「保健機能食品」という具体的な制度に反映されてきた。
従来、日本において、「サプリメント」、「栄養補助食品」、「栄養強化食品」、及び、「健康飲料」等の名称が存在するものの、いずれの名称にも法令上の定義はなく、これらの飲食品を含む通常の飲食品は、飲食品が有する機能性を表示することができなかった。しかし、2001年4月、食品の機能性を表示することができる「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」とから成る「保健機能食品」という制度が定められ、更に、2015年4月、「保健機能食品」は、食品の機能性を分かりやすく表示して、消費者が正しい食品の選択ができることを目的として、食品の機能性を表示することができる「機能性表示食品」が加えられ、拡充された(非特許文献13及び14)。
「特定保健用食品」は、生理学的機能等に影響を与える保健機能成分を含む食品で、消費者庁長官の許可を得て特定の保健の用途に適する旨を表示できるが、保健機能成分の有効性及び安全性が消費者庁によって個別に審査されて合格した食品に限定される。しかも、その有効性の証明として、査読付きの研究雑誌に掲載されることが条件となっており、定められた試験機関によって保健機能成分の含有量の分析試験も行われなければならない。このような特定保健用食品といえども、医薬品ではなく食品であるため、疾病名の表示や病態の改善に関する表示はできない。しかし、厳格な審査を経て認可された食品だけに、特定の保健機能の表示が許可されるだけでなく、「特定保健用食品」の機能に対する信頼性が高いため、健康志向の強い消費者のニーズに適した商品となっており、既に、1,000以上の特定保健用食品が生まれ、大きな市場を形成している(非特許文献15)。また、2005年に、保健機能成分の疾病リスク低減効果が、医学的及び栄養学的に確立されている場合には、疾病名の表示が認められるようになったことも、「特定保健用食品」の開発を促進しているものと考えられる。なお、現在、この新制度によって、「疾病リスク低減表示」が認められた保健機能成分は、「カルシウム」と「葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」がある。
「栄養食品」は、人の生命及び健康の維持に必要な特定の栄養成分の補給のために利用されることを目的とした食品で、国が決めた基準に沿っていれば、許可や届け等なくして、食品に含まれている科学的根拠がある栄養成分の栄養機能を表示することができる食品で、各種ビタミン及びミネラル、並びに、n-3系脂肪酸の栄養成分について規格基準が定められている。食品の第一次機能に相当するものである。
「機能性表示食品」は、「特定保健用食品」同様、保健機能を表示できる食品である。この制度によれば、事業者の責任で消費者庁へ届け出された、生理学的機能等に影響を与える保健機能の科学的根拠や安全性等の情報が受理されることによって、その情報に基づいた保健機能を表示することができる。そして、これらの情報は、最終製品を用いた臨床試験、又は、最終製品又は機能性関与成分に関する文献調査によって評価されたものでなければならない。しかし、「特定保健用食品」とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではなく、個別の審査も行われない。
例えば、2014年、公益財団法人日本健康・栄養食品協会が発表した「食品の機能性評価事業結果報告」で、サラシア属植物抽出物の『食後の血糖値上昇抑制機能』『空腹時血糖値の維持』が、機能性について肯定的な根拠がある(Probable)という総合評価「B」を受け、2015年施行の機能性表示食品制度に繋がっている(非特許文献14及び16)。その結果、サラシア由来サラシノールを機能性関与成分とした森下仁丹の「サラシア」が、機能性表示食品として受理され、その後、サラシア属植物抽出物に含有される保健機能成分を含有した機能性表示食品」の品目数が増加して、44品目に達している(非特許文献17)。
このように、「特定保健用食品」及び「機能性表示食品」は、上記「食品の機能」の第三次機能である生体調整機能を有する食品であるといえる。ここで、「特定保健用食品」及び「機能性表示食品」に含まれる生理学的機能等に影響を与える生体調整機能を有する成分は、「保健機能成分」及び「機能性関与成分」、特に、「関与成分」と呼称されているので、本明細書における「保健機能成分」及び「機能性関与成分」は、上述したような、「特定保健用食品」及び「機能性表示食品」に含まれる保健機能を有する成分だけに限定する。
しかし、制度上認められた「保健機能成分」及び「機能性関与成分」以外にも、生理学的機能等に影響を与える生体調整機能を有する成分は幅広く検討されており、その存在が数多く認められている。これらは、既に述べたように、「保健機能成分」及び「機能性関与成分」同様、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、並びに、整腸及び便性改善等の腸内環境改善機能等の効果を有する、自然界に存在する動植物又はその一部を用いて加工された、天然由来の生薬及び/又は伝承薬、生薬及び/又は伝承薬の抽出物、その抽出物の中の機能を発現する機能成分、並びに、生体調整機能を有する成分である天然由来の単糖類、オリゴ糖類(小糖類)、多糖類、及び、乳酸菌等であり、数多く報告されている(例えば、特許文献1~8及び非特許文献10及び11)。なお、ここで、生薬及び/又は伝承薬には、各種効能が報告及び伝承されているハーブ等の植物を含む。このような状況を鑑み、以下、本明細書では、「保健機能成分」、「機能性関与成分」、並びに、医薬部外品を含む、食品の第三次機能である生体調整機能を発現し得る可能性が示唆されている成分全般を「生体調整機能成分」と呼称する。また、「生体調整機能成分」、「生体調整機能成分」を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、それら生薬及び/又は伝承薬の抽出物、それらの抽出物の少なくとも一つ以上の「生体調整機能成分」以外の機能成分を含めて、「生体調整機能剤」と呼称する。
更に、これは、例えば、サラシア属植物抽出物に含有される「サラシノール」が、一般的には「保健機能成分」として届けられているが、日本生薬学会で報告された研究結果に基づいて、サラシア属植物抽出物に含有される「ネオコタラノール」を「保健機能成分」として届けられ、受理されているように、生体調整機能を科学的に解明することが困難であり、解明するには多大な労力を有するため、解明されていないことが極めて多いことにも基づいている(非特許文献18)。つまり、本明細書における「生体調整機能剤」は、生体調整機能の科学的根拠及びその科学的解明の有無にかかわらず、中国に起源がある生薬、並びに、スリランカに起源があるサラシア属植物及びインドに起源があるギムネバ属植物等の伝承薬に代表されるように、これらに含まれる無数の化学成分が生体調整機能成分として有効であると一般に認められ、薬として使用されている植物、その抽出物、及び、その成分等も含むものとする必要性がある(特許文献1~7)。それは、将来、これらの中から、サラシア属植物抽出物のように、「機能性表示食品」が認められる保健機能成分、更には、「カルシウム」及び「葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)」のように、「疾病リスク低減表示」が認められる保健機能成分が生まれる可能性が含まれているためである。
そして、科学的根拠が文献等で解明されている生体調整機能剤、例えば、難消化性デキストリンや各種難消化性オリゴ糖は、特定保健用食品の清涼飲料水として利用されている(非特許文献15)。また、同じく糖質吸収抑制機能(食後血糖値上昇抑制機能)を有する伝承薬のサラシア属植物の抽出物に含有されるサラシノールは、機能性表示食品のサプリメントや飲料水として利用されている(非特許文献16及び17)。しかしながら、これまで、医薬品は別としても、生体調整機能剤として、保健機能成分が、高カロリー、高脂肪、及び、高タンパクの食品に適用された例はない。これは、生体調整機能剤の有効性を損なうことなく、食品に生体調整機能剤を均一に添加することが容易ではないためであると推察される。
特に、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、並びに、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品は、小麦粉及び米粉の約70%を占めるデンプンを主体とする炭水化物に加え、単糖類及び二糖類である糖類、油脂、及び、バターやチーズ等の油脂を多く含む乳製品と共に食される高カロリー食品であるため、これらに生体調整機能剤が含まれていれば、医薬品や特定保健用食品を特別に摂取することなく肥満の予防及び対策を講じることができ、安心してこれらを食することができる。
この場合、食品に生体調整機能剤を均一に混入することが容易ではない理由がある。これは、小麦粉及び/又は米粉加工食品には、食品それぞれによって異なる粘弾性を有する生地、すなわち、小麦粉と水との混合、混錬によって生成されるドウ及びバッターが必要であるが、これらの生地に、これらの生地との親和性が不明な生体調整機能剤を、「だま(小麦粉及び/又は米粉を水に溶いた時、完全に溶けずにできる塊)」が生じることなく、均一に混入することが極めて難しいということである。しかも、食品ごとに粘弾性が異なるため、食品ごとに異なる分散、混合、及び、混錬方法を適用しなければならないという問題もある。中でも、生体調整機能剤として、生体調整機能成分を含む生薬や伝承薬を使用する場合は困難を極める。また、このような小麦粉及び/又は米粉のドウ及びバッターへの生体調整機能剤の均一な混入は、調理現場での大きな負担となる。更に、生体調整機能剤が、例えば、生薬や伝承薬を粉砕した粉体を使用する場合には、調理現場で生体調整機能剤が飛散するという問題もある。
更に、本発明を理解する上で重要なことは、上述した、「だま」のないドウ及びバッターの生成、並びに、小麦粉及び/又は米粉加工食品への生体調整機能剤の均一な混入を妨げる本質的な原因が、穀類の中では小麦粉だけに形成されるグルテンという水に不溶な変性タンパク質と密接な関係を有しているということである(非特許文献19)。このグルテンは、小麦粉の約10~15%を占めるタンパク質の内、約90%を占める2種類の水に不溶であるが、水分子と水素結合を形成するタンパク質である、弾性を示す網目構造のグルテニンと粘性を示すグリアジンとが、徐々に水を吸収し、グリアジンが、グルテニンの網目構造内に水を介して挿入されて生成される粘弾性物質である。そして、ドウ及びバッターは、グルテンと小麦粉の約70%を占める炭水化物の主成分であるデンプンとが、水を介して結合した凝集体から形成されている。しかし、グルテンを構成するグルテニンの網目構造は、水の量、pH、酸化剤、及び、外力等の影響によって変化するため、グルテンの粘弾性挙動、並びに、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体も変化するため、ドウ及びバッターの製造条件、並びに、異物、ここでは、生体調整機能剤、の混入によって、「だま」の生成及び凝集体の破壊が生じ、生体調整機能剤のドウ及びバッターへの均一な混入が困難となる。また、凝集体は、グルテンとデンプンとが、水を介した結合によって形成されているため、生体調整機能剤の凝集体内への均一な混入は困難である。特に、グルテンは、グリアジンが、弾性を示すグルテニンの網目構造内に水を介して挿入されて生成されているため、グルテンへの生体調整機能剤への均一な混入は極めて困難であると考えられる。
ところが、このような小麦粉及び/又は米粉加工食品への生体調整機能剤の均一な混入を妨げる原因となるグルテンは、現在、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品、食パン、中華そば、スパゲッティ、及び、インスタント麺等の小麦粉加工食品、並びに、スポンジケーキ、クッキー、及び、ポテトチップ等の菓子類等の、粘弾性改良、形状保持、保水性向上、脂質分離防止、ボリュームアップ、及び、原料代替効果等の総合的な品質向上を目的として使用され、日本の食品には不可欠な原材料となっている。
従って、グルテンに生体調整機能剤、特に、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能を有する保健機能成分、生薬及び/又は伝承薬、それら生薬及び/又は伝承薬の抽出物、及び、その抽出物の中の機能を発現する成分が含まれていれば、小麦粉及び/又は米粉加工食品に限定されず、ほとんどあらゆる食品に生体調整機能剤を導入することができ、肥満に対する不安を持つことなく、高カロリー、高脂肪、高タンパクの各種食品を安心して食することができるようになる。従来、高カロリー、高脂肪、高タンパクの各種食品と共に摂取してきた、生体調整機能を有する医薬品、特定保健用食品である清涼飲料水、及び、機能性表示食品等に対する気遣いが不要となり、食事療法、運動療法、及び、行動療法等を軽減することができる。そのため、現在注目を浴びている健康食品として、大きな市場を形成されるものと期待される。
ところが、グルテンは、小麦粉と水との混合、混錬によって生成されるドウを水洗し、小麦デンプンを除去することによって製造されるため、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能等を有する生体調整機能剤として、低分子量化合物及び水溶性化合物等、例えば、生薬及び/又は伝承薬の抽出物、その抽出物の中の機能を発現する機能成分、生体調整機能を有する成分である天然由来の単糖類、オリゴ糖類(小糖類)、多糖類、及び、乳酸菌等、並びに、従来報告されている保健機能成分等を適用することは不可能であると考えられ、生薬及び/又は伝承薬の粉砕した粉体を適用できる可能性がある。
特開平06-321787号公報 特開2007-31345号公報 国際公開第2008/018638号 特開2009-179579号公報 特開2010-95500号公報 特開2011-173905号公報 特開2011-254782号公報 特表2018-530600号公報 国際公開第2010/010949号 特開2005-8572号公報
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マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等は、日本の伝統的食品に対する根強い嗜好に加え、日本の食生活の欧米化の影響もあり、日本の食卓には欠かせない存在になっているが、このような日本の食生活の弊害が懸念されている。日本は、この50年間で、高カロリー、高脂肪、及び、高タンパクの食事に激変したことに加え、運動不足が原因であると考えられる肥満の割合が高い状態で推移しているのである。
そこで、現在は、小麦粉及び米粉の約70%を占めるデンプンを主体とする炭水化物に加え、単糖類及び二糖類である糖類、油脂、及び、バターやチーズ等の油脂を多く含む乳製品と共に食される、高カロリー、高脂肪、高タンパクの上記食品群の摂取と共に、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、腸内環境改善機能等の生体調整機能を有する難消化性デキストリンや各種難消化性オリゴ糖を含む、特定保健用食品に指定されている清涼飲料水、及び、同じく生体調整機能を有する伝承薬のサラシア属植物の抽出物に含有されるサラシノールを含む、機能性表示食品に指定されているサプリメントや飲料水等の健康食品に対する期待が高まっており、実際、健康食品の市場は急速に拡大している。
しかし、本来ならば、生体調整機能剤が、小麦粉及び米粉等の炭水化物を多量に含む高カロリー、高脂肪、及び、高タンパクの食品に含まれていれば、健康食品を摂取する必要なく、安心して食することができる。しかし、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患等の生活習慣病の予防や治療等の対策に有効な、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能等を有する、保健機能成分、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、乳酸菌、生薬及び/又は伝承薬、並びに、生薬及び/又は伝承薬の抽出物等の生体調整機能剤が、小麦粉及び/又は米粉加工食品に適用された例は認められない。本発明者は、これが、生体調整機能剤の有効性を損なうことなく、上記食品に生体調整機能剤を均一に混入することが容易ではなく、その要因が、上記食品に共通して含まれるグルテンにあるものと考えた。
マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等の、粘弾性改良、形状保持、保水性向上、脂質分離防止、ボリュームアップ、及び、原料代替効果等の総合的な品質向上を目的として使用されるグルテンは、小麦粉が水を吸収することによって生成する、穀類の中では小麦粉だけに形成され、特異な粘弾性を示す、水に不溶な変性タンパク質である。
そして、うどんやそうめん等の麺類、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、及び、食パンやピロキシ等のパン類等の小麦粉加工食品の生地である小麦粉と水とを混錬した粘度の高いドウ、並びに、クレープやホットケーキ等の菓子類、天ぷらやフライ等の衣(ころも)類、及び、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類等の小麦粉加工食品の生地である、ドウに加水して製造される粘度の低いバッター、並びに、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品(グルテンが品質向上のために使用される場合もある)の生地に含まれるグルテンが、生薬及び/又は伝承薬、その抽出物、その抽出物の中の機能成分、並びに、これらの機能を有する成分である単糖類、オリゴ糖類(小糖類)、多糖類、乳酸菌等の生体調整機能剤を均一に分散及び混入させる弊害となっている。次に、定かではないが、その弊害となるメカニズムを説明する。
グルテンは、小麦粉の約10~15%を占めるタンパク質の内、約90%を占める2種類の水に不溶であるが、水分子と水素結合を形成するタンパク質である、弾性を示す網目構造のグルテニンと粘性を示すグリアジンとが、徐々に水を吸収し、グリアジンが、グルテニンの網目構造内に水を介して挿入されて生成される粘弾性物質である。そして、ドウ及びバッターは、グルテンと小麦粉の約70%を占める炭水化物の主成分であるデンプンとが、水を介して結合した凝集体から形成されている。しかし、グルテンを構成するグルテニンの網目構造は、水の量、pH、酸化剤、及び、外力等の影響によって変化するため、グルテンの粘弾性挙動、並びに、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体も変化するため、ドウ及びバッターの製造条件、並びに、異物、ここでは、生体調整機能剤、の混入によって、「だま」の生成及び凝集体の破壊が生じ、生体調整機能剤のドウ及びバッターへの均一な混入が困難となる。また、凝集体は、グルテンとデンプンとが、水を介した結合によって形成されているため、生体調整機能剤の凝集体内への均一な混入は困難である。
従って、弾性を示すグルテニンの網目構造内にグリアジンが水を介して挿入されて生成されているグルテンへの生体調整機能剤の均一な混入は更に困難であるため、グルテンが含まれる、小麦粉及び/又は米粉加工食品に限らず、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等に、生体調整機能剤を均一に混入させることは、困難を極める。
上記各種加工食品に生体調整機能剤を混入するには、このような問題以外にも、次のような生産性の問題もある。種々の食品ごとに粘弾性が異なるため、食品ごとに異なる分散、混合、及び、混錬方法を適用しなければならない。中でも、生体調整機能剤として、生体調整機能成分を含む生薬や伝承薬を使用する場合は、生薬や伝承薬を粉砕した粉体を使用する必要があり、調理現場で生体調整機能剤が飛散するという問題も発生し、各種加工食品への生体調整機能剤の均一な混入は、調理現場での大きな負担となる。
そこで、本発明は、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等に、生体調整機能剤が、容易にかつ均一に混入され、上記加工食品に共通して使用することができる、生体調整機能剤を含有するグルテンである食品用マスターバッチ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ニシキギ目ニシキギ科サラシア属のサラシア・レティキュレータ(コタラヒムブツ)粉砕物と小麦粉との混合物に、水及びコタラヒムブツ粉砕物と小麦粉との混合物を加えながら、三本ロールを用いて製造した混錬物は、コタラヒムブツ粉砕物が均一に分散したドウが得られ、そのドウを水洗後、乾燥したところ、コタラヒムブツ粉砕物が均一に分散、混入したグルテンが得られることを見出し、最終製品としてうどんに適用して試食したところ、コタラフィムブツ粉砕物が含まれていることを感じることなく食することができた。そこで、この混錬物に、各種生薬及び/又は伝承薬の粉砕物を生体調整機能剤としてグルテンに適用したところ、同様の効果及び結果が得られ、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、非水溶性生体調整機能剤の少なくとも一種以上が均一に存在するグルテンであって、グルテン単体及びグルテン使用食品に混合容易であることを特徴とする食品用マスターバッチである。
食品の機能には、第一次機能として、栄養機能で、栄養素としての働き、第二次機能として、感覚機能で、五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)に訴える働き、そして、第三次機能として、生体調整機能で、消化器系、循環器系、内分泌系、免疫系、神経系等の生理調節を行い、健康の維持・増進等、人の健康、身体能力、心理状態に対して良い影響を与える働きがあると分類されているが、特に、生体調整機能剤が、これらのどの機能を有するかは明確でないと考えられる。しかし、本発明の生体調整機能剤は、「生体調整機能成分」、「生体調整機能成分」を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、それら生薬及び/又は伝承薬の抽出物、並びに、それらの抽出物の少なくとも一つ以上の「生体調整機能成分」以外の機能成分であって、非水溶性の物質であれば、特に限定されるものではないが、「保健機能成分」、「機能性関与成分」、及び、医薬部外品等のように、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、腸内環境改善機能等の生体調整機能を発現する成分、その成分を含む天然由来の生薬及び/又は伝承薬、並びに、それらの抽出物であって、水に溶解しない物質であることが望ましい。
しかし、グルテンは、小麦粉と水との混錬物を水洗し、小麦デンプンを除去することによって製造されるため、グルテンに混入させる生体調整機能剤としては、水溶性物質ではなくとも、低分子量物質及び親水性物質は、小麦デンプンと共にグルテン外に排出され、好ましくない。従って、本発明の非水溶性生体調整機能剤としては、生薬及び/又は伝承薬から選択される少なくとも一種以上であることが望ましい。生薬及び/又は伝承薬には、各種効能が報告されているハーブ等のような植物も含まれる。
そして、生薬及び/又は伝承薬は、特に、限定されるものではないが、これまでに報告されている次に示すような、ハーブ等の植物を含む生薬及び/又は伝承薬を使用することができる。なお、ここで示す生薬及び伝承薬は、特許文献1、3、4、5、6,7、9、及び、10、並びに、非特許文献20、21、22、及び、23等に基づいた一例であり、現時点では明らかであるとは断定できないが、その効能が示唆されている生薬及び伝承薬も全て含む。また、機能別に生薬及び伝承薬を記載するが、生薬及び伝承薬の機能は、これらの記載に限定されるものではない。このような注釈は、生体調整機能を明確にするためには、正確かつ高精度の実験データの蓄積等に多大な労力と時間が必要であることに基づいている。また、本発明の目的は、グルテンを使用する加工食品に、均一に生体調整機能剤を混入させるための食品用マスターバッチを提供することであり、生体調整機能剤が限定されるものではないからである。
中国由来の生薬と呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ハクトウオウ(白頭翁)、ミツモウカ(密蒙花)、カイトウヒ(海桐皮)、ハクシジン(柏子仁)、トウガシ(冬瓜子)、ドッカツ(独活)、ヨウバイヒ(楊梅皮)、チョウジ(丁子、クローブ)、リョウキョウ(良姜)、ビンロウシ(檳榔子)、ケツメイシ(決明子)、ウワウルシ、イチョウ葉、コウブシ(香附子)、シャクヤク(芍薬)、オオレン(黄連)、オウバク(黄柏)、ボタンピ
(牡丹皮)、ウコン(ターメリック)、オウゴン(黄今)、ダイオウ(大黄)、ガイヨウ(艾葉)、ゲンノショウコウ(玄草)、ゴマ(胡麻)、ニクズク(肉豆く、ナツメグ)、メース(肉豆く衣)、カシ(訶子)、ソウズク(草荳蒄)、ビャクダン(白檀)、ケイヒ(桂皮、支那肉桂)、レンニク(蓮肉)、カヨウ(荷葉)、トチュウヨウ(杜仲茶葉)、タラヨウ(多羅葉)、カモミール(カミツレ)、ダイウイキョウ(大茴香)、タマネギ(玉葱)、タマネギノカワ(玉葱の皮)、ツキミソウ(月見草)、カラモッコウ(唐木香)、ショウモッコウ(青木香)、センモッコウ(川木香)、ドモッコウ(土木香)、コウボク(厚朴)、マツバ(松葉)、マツノミ(松の実)、マツ(松)、シュロシ(棕櫚子)、シュロジツ(棕櫚実)、シュロヨウ(棕櫚葉)、スイコウカシ(水紅花子)、スイヨウバイ(水楊梅、大根草)、アンソクコウジュ(安息香樹)、セイヒ(青皮)、オウゴン
(黄ごん)、バンカ(蕃果)、トウヒ(橙皮)、ハクガイシ(白芥子)、ガイハク(薤白)、サンヤク(山薬)、人参(発酵物)、サイチャ(細茶)、ラフマ(羅布麻)、トウヨウ(桃葉)、トウニン(桃仁)、キンギンカ(金銀花)、クジン(苦参)、フジキ(藤木)、クルミ(胡桃)、ジリュウ(地竜)、ソウキセイ(桑寄生)、ヤコウトウ(夜交藤)、及び、レイシ(霊芝)等を挙げることができる。
インド、スリランカ、ブラジル等の伝承薬と呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、カスカラ(コーヒーの果肉皮)、カツアーバ (樹皮)、アムラ(ユカン、果実)、アラマキ(果実)、ビビタキ(果実)、ハリタキ(果実)、カイソウ(海葱、鱗茎)、クスノハガシワ(カラムの木の果実)、ガルシニア・インディカ(果実)、コパイバ(幹)、ジャボチカバ(果実)、スクピラ(果実)、ジュルベバ(幹・根・葉・果実)、カチャナール(花・樹皮)、ウアナルポマチョ(幹)等を挙げることができる。
ハーブと呼称される脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ハッカ
(薄荷、ペパーミント、全草)、セイボリー(キダチハッカ・全草)、ヒソップ(ヤナギハッカ・全草)、ペニーロイヤル(メグサハッカ・全草)、レモンバーム(コウスイハッカ・全草)、レモングラス(全草)、オリーブ(葉)、オールスパイス(葉・枝・果実)、タイム(全草)、リンデン(ボダイジュ・ライム・セイヨウナシノキ、葉・花)、ユーカリ (葉・枝)、オレガノ(葉)、アルファルファ(全草)、セイジ( 葉)、ディル(葉・種子)、ローズヒップ(果実)、ローズマリー(葉)、ラベンダー(全草)、マジョラム(葉)、サフラワー(花)、ダンデリオン(西洋タンポポ、全草)、ラークスパー(全草)、ムラサキタデ(葉・茎)、バジル(メボウキ・葉)、及び、ハイビスカス(花)等を挙げることができる。ハーブと呼称されるものではない栗、ブドウ、オオアラセイトウ等の植物の、それぞれ、渋皮、種子、及び、種子等も効能が報告されている。
また、茶類も脂質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤として有用であると報告されており、緑茶、白茶、黄茶、青茶(ウーロン茶等)、紅茶、及び、黒茶(プーアール茶等)を挙げられるが、特に、発酵茶であり、発酵度が高い程好ましい。
次いで、中国由来の生薬と呼称される糖質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、ラカンカ(羅漢果)、マオウ(麻黄)、オウセイ(黄精)、キグシ(枳具子)、ランソウ(蘭草)、
レンセンソウ(連銭草)、ソウコンピ(そう根皮)、及び、タラノキカワ(たらの木皮)等を挙げることができる。
インド、スリランカ、ブラジル等の伝承薬と呼称される糖質吸収抑制機能を有する生体調整機能剤としては、サラシア
・レティキュラータ(根・茎・葉)、サラシア・プリノイデス(根・茎・葉)、サラシア・チネンシス(根・茎・葉)、サラシア・マクロスペルマ(根・茎・葉)、サラシア・フルチコーサ(根・茎・葉)、サラシア・オブロンガ(根・茎・葉)、ギムネマ・シルベスタ(葉)、ヒロハセネガ(根)、サトウダイコン(根)、ホウキギ(トンブリ、果実)、タラノキ(芽)、ホウレンソウ(全草)、ツルムラサキ(全草)、トチノキ(種子)、チャノキ(種子)、ツバキ(種子)、及び、インスリーナ(葉)等を挙げることができる。
腸内環境改善機能を有する生体調整機能剤としては、中国由来の生薬が多く、ソウジュツ
(蒼朮)、タイソウ(大棗)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、ハンゲ(半夏)、ブクリョウ(茯苓)、アカメガシワ(赤芽柏)、ウイキョウ(茴香)、ウヤク(烏薬)、エイジツ(営実)、エンメイソウ(延命草)、ガジュツ(莪朮)、カッコウ(霍香)、カンキョウ(乾姜)、キコク(枳殻)、キジツ(枳実)、キッピ(橘皮)、クコヨウ(枸杞葉)、クコシ(枸杞子)、クロモジ(黒文字)、ケンゴシ(牽牛子)、コウシ(香鼓)、コジョウコン(虎杖根)、サンザシ(山査子)、サンショウ(山椒)、シュクシャ(縮砂)、ショウマ(升麻)、ショウブコン(菖蒲根)、シンギク(神麹)、ショウモク(椒目)、セキショウコン(石菖根)、ソウカ(草果)、ソウジュツ(蒼朮)、トウジン(党参)、バクガ(麦芽)、ハクシニン(柏子仁)、ハクヘンズ(白扁豆)、ハンゲ(半夏)、ビャクジュツ(白朮)、ブクシン(茯神)、マシニン(麻子仁)、及び、リュウタン(竜胆)等を挙げることができる。
特に、糖質吸収抑制機能を有し、「機能性関与成分」として認められているサラシノール及びネオコタラノールを含む、ニシキギ目ニシキギ科サラシア属植物であることが好ましく、サラシア・レティキュレータ(コタラヒムブツ)、サラシア・オブロンガ、サラシア
・プリノイデス、サラシア ・チネンシス、サラシア・フルチコーサ、及び、サラシア・マクロスペルマ等の根、茎、及び、葉をいずれも少なくとも一つ以上用いることができる。これらは、脂質吸収抑制機能及び腸内環境調整機能も発現すると報告されている。中でも、サラシア・レティキュレータ(コタラヒムブツ)がより好ましく、その根及び茎がより更に好ましい。
以上のような生薬及び/又は伝承薬は、乾燥等の加工処理されている場合が多いが、水分が10質量%以下となるように乾燥して使用することが好ましく、5質量%以下となるように乾燥して使用することがより好ましい。また、生薬及び/又は伝承薬の原料となる植物を使用する場合にも、その用いる部位によらず、水分が10質量%以下となるように乾燥して使用することが好ましく、5質量%以下となるように乾燥して使用することがより好ましい。
更に、非水溶性生体調整機能剤をグルテンに均一に分散させるためには、粉末状破砕体であることが好ましく、その粉末状破砕体の長軸方向の長さが300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
この粉状破砕体の製造には、一般的なクラッシャー、例えば、ロータリークラッシャー、ハンマークラッシャー、ウイングミル、ロール&ハンマークラッシャー、ロールクラッシャー、及び、カッターミル等を使用することが好ましく、ウイングミルがより好ましい。
以上の非水溶性生体調整機能剤の少なくとも一種以上が均一に存在するグルテンで、グルテン単体及びグルテン使用食品に混合容易である食品用マスターバッチに占める非水溶性生体調整機能剤の配合量は、最終的な食品及び使用する非水溶性生体調整機能剤等によって、適宜設定することができるが、非水溶性生体調整機能剤の濃度が高い程、種々の食品に適用することができるので好ましい。しかし、非水溶性生体調整機能剤のグルテンへの均一な混入には限界があるため、食品用マスターバッチに占める非水溶性生体調整機能剤は、20~50質量%であることが好ましい。
一方、非水溶性生体調整機能剤含有グルテンである食品用マスターバッチを製造するための小麦粉は、特に限定されるものではなく、硬質小麦から製造される強力粉、中間質小麦から製造される中力粉、軟質小麦から製造される薄力粉、及び、デュラム小麦から製造されるディラムセモリナ等を用いることができる。一般的には、小麦粉及び/又は米粉加工食品の用途に応じて使い分ける必要があり、パン、餃子の皮、及び、中華麺等には、タンパク質の含有量が多い硬質小麦から製造される強力粉、うどん、そうめん、及び、きしめん等には、タンパク質の含有量が適度な中間質小麦から製造される中力粉、クレープ、ケーキ、たこ焼き、及び、天ぷら等には、タンパク質の含有量が少ない軟質小麦から製造される薄力粉、並びに、スパゲッティ、マカロニ、及び、ピッツァ等には、特にグルテンを作るタンパク質であるグリアジンとグルテニンが多いデュラム小麦から製造されるデュラムセモリナが適している。しかし、本発明の食品用マスターバッチは、各種食品の粘弾性改良、形状保持、保水性向上、脂質分離防止、ボリュームアップ、及び、原料代替効果等の総合的な品質向上を目的として、小麦粉と水との混錬物であるドウを水洗して、小麦デンプンを含まない非水溶性生体調整機能剤含有グルテンであるため、小麦粉を選択する必要はない。ただし、グルテンの生産効率という観点からは、タンパク質の含有量が多い強力粉及びデュラムセモリナが好ましい。
本発明の食品用マスターバッチを製造する上で重要な点は、小麦粉、及び、水を混錬して、非水溶性生体調整機能剤含有ドウを製造するための、それぞれの配合量である。これは、生体調整機能剤が、小麦粉と水の混錬物の中に均一に存在するために重要な意味を持つ。小麦粉の約10~15%を占めるタンパク質の内、約90%を占める2種類のタンパク質であるグリアジンとグルテニンが、徐々に水を吸収して、粘性と弾性を合わせ持つ独特の物質、すなわち、穀類の中では小麦粉だけに形成されるグルテンという水に不溶なタンパク質を形成するが、その粘弾性を有するグルテンと小麦粉の約70%を占める炭水化物の主成分であるデンプンとが、水を介して結合した凝集体を形成しており、その凝集体に生体調整機能剤が均一に混入することは困難である。更に、弾性を示すグルテニンの網目構造内にグリアジンが水を介して挿入されて生成されているグルテンへの生体調整機能剤の均一な混入はより困難である。
そこで、生体調整機能剤を含む小麦粉100質量部に対して、水が10~90質量部であることが好ましく、20~80質量部であることがより好ましく、30~70質量部であることがより更に好ましい。水が少なすぎると弾性が高すぎて、生体調整機能剤が、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体に均一に分散すること、及び、グルテンに均一に分散することが困難になる。逆に、水が少なすぎると粘性が低く、分散時の圧縮力及び剪断力が加わらないため、生体調整機能剤が、グルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体に均一に分散すること、及び、グルテンに均一に分散することが困難になる。このようなグルテン、デンプン、及び、水から形成される凝集体の粘弾性は、pH、温度、酸化剤の有無等によって調整することができるが、ここでは、中性で、常温(約25℃)において、酸化剤を使用しない場合における適正な配合量である。なお、水については、特に限定されることはなく、水道水、純水、蒸留水、及び、イオン交換水等を用いることができる。
そして、本発明の食品用マスターバッチを製造する上で重要な点は、小麦粉、及び、水を混錬して、非水溶性生体調整機能剤含有ドウを製造するための混錬方法である。そのためには、非水溶性生体調整機能剤を含有する小麦粉に、水及び生体調整機能剤を含有する小麦粉を加えながら圧縮及び剪断により分散及び混錬し、最終的に、生体調整機能剤を含有する小麦粉100質量部に対する水が10~90質量部、より好ましくは20~80質量部、より更に好ましくは30~70質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬する方法が好ましい。特に、分散及び混錬開始から、分散及び混錬終了まで、生体調整機能剤を含有する小麦粉100質量部に対する水を、それぞれ、10~90質量部、20~80質量部、及び、30~70質量部に維持することがより好ましい。この方法によって、ドウ及びグルテンに圧縮力及び剪断力が十分に安定して加わり、非水溶性生体調整機能剤が、ドウ及びグルテンに均一に混入させることができる。
非水溶性生体調整機能剤が固体の場合は、小麦粉との乾式混合を、タンブラーミキサー等によって行うことができるが、液体の場合には、このような乾式混合を省略することになる。
圧縮及び剪断による分散及び混錬は、三本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、押し出し機、及び、二軸押し出し機等を使用することができるが、これらの中から選択される少なくとも二つ以上を併用することが好ましい。しかし、特に、生体調整機能剤を含有する小麦粉と水との配合比を制御することが容易な三本ロールを用いて分散及び混錬することが好ましく、二つ以上の分散及び混錬を併用する場合は、三本ロールで分散及び混錬を行った後、その他の分散及び混錬方法を併用することが望ましい。
このようにして製造された非水溶性生体調整機能剤を含有するドウは、水洗工程で、小麦デンプンを除去する。ドウの3~5倍量の水で、水洗初期は、グルテンが水中に分散しないように穏やかに水洗し、小麦デンプンが除去された後に、グルテン中に小麦デンプンが残存しないように激しく水洗する。
水洗工程によって製造された非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンは、一般的なグルテン同様、用途に応じて、粉末状、ペースト状、及び、粒状の3種類のグルテンに加工される。
粉末状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチとするためには、水洗工程で製造された非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンを、気流乾燥法、噴霧乾燥法、真空乾燥法、及び、凍結乾燥法のいずれかの従来方法で粉末にする粉末工程を経ることによって製造される。
気流乾燥法は、フラッシュドライ法とも呼称され、ウェットグルテンを細断しながら打ち粉を混合し、水分調整した後、気流中で乾燥させることによって製造する方法である。
噴霧乾燥法は、スプレードライ法とも呼称され、ウェットグルテンに酸を加えてpHを調整した低粘度の液状ウェットグルテンを、高温雰囲気中に噴霧し、瞬間的に乾燥することによって製造する方法である。
真空乾燥法は、水分の沸点が約10℃となるように、ウェットグルテンを高真空下(約10Torr)のチャンバーへ連続的に供給し、低温下で乾燥させることによって製造する方法で、凍結乾燥法は、更に真空度を上げ、自己凍結させたまま、又は、凍結状態で昇華脱水することによって製造する方法である。
このような粉状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチは、うどんやラーメン等の麺類、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、及び、食パンやピロキシ等のパン類等の品質改良に適している。
ペースト状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチとするためには、水洗工程で製造された非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンに酸化防止剤を加え、空気の混入を抑えながら、混合機(例えば、ニーダー等)で比較的ゆっくりと混錬し、酸化防止剤の働きによりグルテンの高次構造を維持する、特に、グルテニンS-S結合を解離させ、グルテン特有の粘弾性を低減したペースト状にして製造する方法である。
このようなペースト状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチは、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等の品質改良に適している。
粒状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチとするためには、水洗工程で製造された非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンを、ダイスと呼ばれるプレート穴で決められた4~12mm程度の大きさにチョッパーで造粒した後、速やかに加熱し、凝固させることによって製造する方法である。
このような粒状の非水溶性生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチは、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等の品質改良に適している。
本発明の生体調整機能剤含有グルテン、すなわち、食品用マスターバッチは、従来のグルテンの代替として使用することができる。しかし、本発明の特徴は、従来、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等の各種加工食品に添加されて品質改良が施されていたグルテンの一部を置き換えて、生体調整機能剤を従来から使用されているグルテン及び各種加工食品に均一に混入させることができ、各種加工食品に生体機能調整剤を無理なく添加できることにある。従って、本発明は、各加工食品に共通して使用可能であり、少量の使用で各加工食品に生体調整機能剤を均一に添加することが容易なグルテン、すなわち、生体調整機能剤を含有した食品用マスターバッチを提供するものである。
本発明により、マカロニやスパゲッティ等のマカロニ類、食パンやピロキシ等のパン類、クレープやホットケーキ等の菓子類、うどんやラーメン等の麺類、お好み焼きやたこ焼き等の軽食類、及び、天ぷらやフライ等の揚げ物類等の小麦粉加工食品、和菓子、ビーフン、フォー、及び、生春巻き等の米粉加工食品、かまぼこ、ちくわ、及び、はんぺん等の水産練り食品、畜肉ソーセージ、プレスハム、及び、ジャーキー等の畜産加工食品、魚肉ソーセージ、魚肉ハム、及び、揚げかまぼこ等の水産畜産加工食品、並びに、ハンバーグ、ミートボール、及び、コロッケ等の冷凍加工食品等のグルテンの一部を置き換えて、グルテン及び上記各種加工食品に均一に混入させることができ、上記各種加工食品に生体機能調整剤を添加できる。しかも、上記異なる原材料を用いる加工食品に共通して使用可能な、生体調整機能剤を含有したグルテン、すなわち、生体調整機能剤を含有した食品用マスターバッチを提供することができる。
従って、本発明の食品用マスターバッチを使用することによって、高カロリー、高脂肪、高タンパクの上記各種加工食品の摂取において懸念される糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患等の生活習慣病の予防や治療等の対策に有効な、糖質吸収抑制機能、脂質吸収抑制機能、及び、腸内環境改善機能等を有する成分を含む非水溶性生体調整機能剤を均一に分散及び混入された上記各種加工食品を提供することができるようになる。
特に、本発明の食品用マスターバッチは、従来から使用されているグルテン及び加工食品に、容易に溶解、混合するので、調理現場における負担を掛けずに、肥満の予防及び対策が講じられた上記各種加工食品を提供することができる。その結果、消費者の上記各種加工食品に対する肥満への不安を低減し、購買意欲を増進させる効果も期待できる。
なお、このような生体調整機能剤を含む食品用マスターバッチが、従来から使用されているグルテン及び加工食品に、容易に溶解、混合するのは、粘度の高い状態で強い圧縮力及び剪断力の下で生体調整機能剤が分散及び混錬された混錬物から小麦デンプンを除去したグルテンであって、このようなグルテンにおいては、非水溶性生体調整機能剤が、グルテンで完全に被覆されていることに起因している。従って、生体調整機能剤を上記各種加工食品に直接混入すると、生体調整機能剤が均一に混入しないのに対し、食品用マスターバッチを用いることによって、このような問題が解消されるのである。
また、生体調整機能剤として、例えば、天然由来の生薬及び/又は伝承薬を粉砕した粉体、並びに、それらの原料又はハーブ等の植物の根、茎、樹皮、及び、葉等の乾燥物を粉砕した粉体を使用する場合には、調理現場で、生体調整機能剤が飛散しないという効果もある。
以下、本発明に対する理解を深めるために、実施例を用いて、具体的に本発明を説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能であり、特許請求の範囲に記載した技術思想によってのみ限定されるものである。
≪実施例1≫
まず、各種加工食品に共通して使用可能な生体調整機能剤を含むグルテン、すなわち、食品用マスターバッチを製造した。生体調整機能剤としてサラシア・レティキュレータの根及び茎を、小麦粉として強力粉を、水として純水を使用した。サラシア・レティキュレータは、水分が10%以下となるまで予め乾燥しておき、長軸の長さが約200μm以下となるようにウイングミルを用いて粉砕し、それぞれ、下記のように秤量して準備した
サラシア・レティキュレータ粉砕物 500g
強力粉 4,167g
純水 833g
まず、サラシア・レティキュレータ粉砕物500gと強力粉4,167gとをタンブラーミキサーを用いて乾式混合し、生体調整機能剤を含む小麦粉4,667gを製造した。この内、2,667gと純水400gとをニーダーを用い、圧縮力及び剪断力を加えながら、塊状物になるまで混錬した。
次いで、この塊状物を取り出し、三本ロールで混錬しながら、残る生体調整機能剤を含む小麦粉2,000gと純水433gを、約5:1の比で徐々に添加しつつ、圧縮力及び剪断力を加えながら混錬し、厚さ5mm、幅約250mmの連続シートのドウに成形した。
このようにして製造された連続シートを長さ500mmとなるように、シートカッターで裁断した後、連続シートの5倍量の水で、水洗初期は、グルテンが水中に分散しないように穏やかに水洗し、小麦デンプンが除去された後に、グルテン中に小麦デンプンが残存しないように激しく水洗して、小麦デンプンを除去したウェットグルテンを製造した。
このようにして製造されたウェットグルテンは、水の沸点が約10℃となる、約10Torrの高真空乾燥チャンバーで乾燥して粉末状グルテンである食品用マスターバッチを約1,750g製造することができた。重量及び顕微鏡観察により、略100%のサラシア・レティキュレータが、グルテンに残存し、均一に分散していることを確認した。
本実施例では、食パンに食品用マスターバッチを適用した。そのため、食パン用のドウは、小麦粉100質量部に対し水65質量部となるように、強力粉3,606g、水2,344gをニーダーに投入して製造された。この食パン用ドウ5,950gが入っているニーダーに、上記食品用マスターバッチが約3%となる175gを添加して混錬したところ、食品用マスターバッチは容易に混合し、生体調整機能剤が均一に分散したドウが製造された。
このドウは、更に、イースト、油脂、砂糖、及び、食塩等を添加した後焼き上げられるが、その結果得られる食パン一食分65g中に、一日に必要なサラシア・レティキュレータ摂取量約0.5gが含まれていると共に、グルテンの添加効果として、食パンのボリュームがアップした。
≪実施例2≫
実施例1とまったく同様にして製造した生体調整機能剤含有グルテンである食品用マスターバッチのうどんへの適用可能性を実施した。
うどん用のドウは、小麦粉100質量部に対し水31.5質量部となるように、中力粉4,437g、水1,398gをニーダーに投入して製造された。このうどん用ドウ5,835gが入っているニーダーに、上記食品用マスターバッチが約3%となる175gを添加して混錬したところ、食品用マスターバッチは容易に混合し、生体調整機能剤が均一に分散したドウが製造された。
このドウに食塩等を添加して混錬した後、成形されるが、その結果得られるうどん一食分200g中に、一日に必要なサラシア・レティキュレータ摂取量約0.5gが含まれていると共に、グルテンの添加効果として、うどんの弾性がアップし、歯応えのある食感が得られた。
本発明の食品用マスターバッチは、食感を損ねることなく、均一にかつ効率的に、グルテンを使用する食品に生体調整機能剤を混入させる技術である。しかし、本発明のマスターバッチの技術思想は、固体食品に限定されるものではなく、ソース、ドレッシング、清涼飲料、乳飲料、及び、加工乳等の液体食品にも幅広く利用することが可能な産業技術としての価値がある。

Claims (6)

  1. 非水溶性生体調整機能剤の少なくとも一種以上が均一に存在するグルテンであって
    前記非水溶性生体調整機能剤が、水分が10質量%以下に乾燥した生薬及び/又は伝承薬の粉状破砕体であり、
    前記粉状破砕体の長軸方向の長さが、300μm以下であり、
    前記非水溶性生体調整機能剤が、グルテンを含む、小麦粉及び/又は米粉加工食品、水産加工食品、畜産加工食品、並びに、冷凍加工食品内へ均一に混合分散する機能を有することを特徴とする食品用マスターバッチ。
  2. 前記生薬及び/又は伝承薬が、ニシキギ目ニシキギ科サラシア属植物であることを特徴とする請求項に記載の食品用マスターバッチ。
  3. 前記非水溶性生体調整機能剤を含有する小麦粉に、及び前記生体調整機能剤を含有する小麦粉を加えながら圧縮及び剪断により分散及び混錬し、最終的に、前記生体調整機能剤を含有する前記小麦粉100質量部に対する前記水が10~90質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬する第一の混錬工程と、
    前記第一の混錬工程で製造された混錬物を水洗する水洗工程と、
    前記水洗工程で製造された前記非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンを、気流乾燥法、噴霧乾燥法、真空乾燥法、及び、凍結乾燥法のいずれかの方法で粉末にする粉末工程と、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用マスターバッチの製造方法。
  4. 前記非水溶性生体調整機能剤を含有する小麦粉に、及び前記生体調整機能剤を含有する小麦粉を加えながら圧縮及び剪断により分散及び混錬し、最終的に、前記生体調整機能剤を含有する前記小麦粉100質量部に対する前記水が10~90質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬する第一の混錬工程と、
    前記第一の混錬工程で製造された混錬物を水洗する水洗工程と、
    前記水洗工程で製造された前記非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンに酸化防止剤を加え、空気の混入を抑制しながら混錬する第二の混錬工程と、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用マスターバッチの製造方法。
  5. 前記非水溶性生体調整機能剤を含有する小麦粉に、及び前記生体調整機能剤を含有する小麦粉を加えながら圧縮及び剪断により分散及び混錬し、最終的に、前記生体調整機能剤を含有する前記小麦粉100質量部に対する前記水が10~90質量部となるように圧縮及び剪断により分散及び混錬する第一の混錬工程と、
    前記第一の混錬工程で製造された混錬物を水洗する水洗工程と、
    前記水洗工程で製造された前記非水溶性生体調整機能剤を含有するウェットグルテンをチョッパーで造粒する造粒工程と、
    を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用マスターバッチの製造方法。
  6. 前記造粒工程で製造された粒状物を速やかに加熱して凝固させる加熱工程を更に備えていることを特徴とする請求項5に記載の食品用マスターバッチの製造方法。
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