JP7199987B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は円筒状の被加熱体を誘導加熱する装置に関するものである。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体(以下、感光ドラムとも記載する)は円筒状の金属製の基層の上に感光層が形成されたものが一般的である。また、上記感光層の表面に保護層を形成し、電子線照射と加熱とにより保護層を硬化させることで、感光ドラムの耐久性を向上させる方法が知られている。このとき、保護層の硬度ばらつきを小さくする目的で、感光ドラムを均一に加熱できる加熱装置が求められている。
感光ドラムの加熱には熱風加熱、光加熱、誘導加熱を用いた方法が試みられてきた。特に、短時間で加熱できるために、誘導加熱を用いた方法が有効である。誘導加熱とは、磁界が導電性材料を横切って変化したとき、導電性材料の表面付近に渦電流が発生し、そのジュール発熱により被加熱体を加熱する加熱方法である。このとき、導電性材料に流れる渦電流により、磁界の変化を妨げるような磁界が生成される。誘導加熱では導電性材料のみが加熱され、電気伝導率が充分に低い材料であれば磁界発生領域内にあっても加熱されないという特徴がある。
また、被加熱体の発熱量は被加熱体の比透磁率によって異なる。被加熱体が鉄やニッケルなどの比透磁率が高い材料(強磁性体)であれば、少しの磁界の変化でも多くの渦電流が発生し、発熱量が大きくなる。逆に、被加熱体がアルミや銅などの比透磁率が低い材料(非磁性体)であれば、渦電流の発生量が少なく、強磁性体に比べて発熱量は小さくなる。さらに、円筒状の被加熱体の発熱量は被加熱体の外径によっても異なる。被加熱体の外径が大きいほど、多くの渦電流が発生し、発熱量が大きくなる。
感光ドラムのように長さを有する円筒状の被加熱体を加熱するためには、スパイラル形状の誘導加熱コイルがよく用いられる。また、長さや径の異なる複数種類の被加熱体を共通の誘導加熱コイルで加熱する場合には、誘導加熱コイルにより発生する磁界発生領域と一番長い被加熱体の長さとが合致するような誘導加熱コイルを用いるのが一般的である。しかし上記の誘導加熱コイルを用いて長さの短い被加熱体を加熱した場合、被加熱体の端部が他の部分に比べて過剰に発熱してしまうという問題がある。これは被加熱体の端部において、被加熱体外面の表面付近と、被加熱体端面の表面付近の両方に渦電流が発生することで、他の部分よりも端部の発熱量が大きくなるためであり、この現象はエッジ効果と呼ばれる。
このエッジ効果による端部の過剰加熱を解決するための手段として、被加熱体の端部に導電性の補助基材を配置するという手段が特許文献1に開示されている。また、補助基材自身の発熱による被加熱体の温度均一性への影響を抑制するために、補助基材と被加熱体との間に断熱部材を介在させるという手段が特許文献2に開示されている。
特開2014-56197号公報 特開2018-32511号公報
補助基材の外径よりも被加熱体の外径が小さい場合には、補助基材に被加熱体より多くの渦電流が流れることで被加熱体の端部近傍の磁束密度が小さくなり、被加熱体の端部の温度が低くなってしまう。その際には、補助基材と被加熱体との距離を離して、被加熱体の端部近傍の磁束密度を上げることで、被加熱体の温度均一性を保つことができる。特許文献2に記載の誘導加熱方法では、断熱部材の厚みを厚くすることで、補助基材と被加熱体との距離を離すことができるが、連続生産においては、断熱部材の蓄熱という課題が発生する。連続生産において、被加熱体の温度均一性を安定して実現するためには、被加熱体と接触している断熱材を所定の温度範囲に抑える必要がある。しかしながら、特に被加熱体の加熱温度が高く、かつ短サイクルタイムでの生産においては、被加熱体加熱時に被加熱体からの熱伝導により昇温した断熱部材が、次の被加熱体の加熱までの間に初期温度まで回復することが難しく、連続生産の中で徐々に蓄熱する。その結果、断熱材が所定温度を超え、被加熱体の温度均一性を低下させてしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、被加熱体の外径が小さくても大きくても、誘導加熱コイルや把持機構を交換することなく、かつ短サイクルタイムで、被加熱体を均一に加熱することが可能な誘導加熱装置を提供することを目的とする。
円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体と該補助基材との間に介在して、該被加熱体を支持する把持部材をさらに具備し、
該誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を支持可能であり、
該把持部材は、
該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように該被加熱体を支持するものであり、かつ、
非磁性体で構成されており、
該把持部材の該被加熱体との接触部は、厚み方向の熱伝導率が1.0W/(m・K)以下の材料からなり、
該把持部材の該被加熱体との接触部から該補助基材との接触部に至るまでの熱伝導率が、3.5W/(m・K)以上である、ことを特徴とする誘導加熱装置が提供される。
本発明によれば、被加熱体の加熱中には、被加熱体から補助基材への熱の逃げを抑制することができ、被加熱体を均一に加熱することができる。同時に、連続生産においても、把持部材の蓄熱を抑制することができるため、被加熱体の均一加熱を長期に安定して担保する誘導加熱装置を提供することができる。
本発明の誘導加熱装置の装置概要を示す図である。 本発明の原理を説明するための模式図である。 本発明の実施例1に係る把持部材の断面図である。 従来技術に係る誘導加熱装置の構成の概要を示す図である。 本発明の変形例1に係る把持部材の平面図及び断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の誘導加熱装置の装置概要を示す図である。
スパイラル形状の誘導加熱コイル100は、コイル支持部材101により固定され、台座102に取り付けられている。誘導加熱コイル100は整合器103を介して高周波電源104に接続されている。高周波電源104は制御部115に接続されており、制御部115からの出力指令に応じた高周波電流を誘導加熱コイル100に流すことで、誘導加熱コイル内部に配置した被加熱体120を加熱することができる。
補助基材111a、111bは軸受部112a、112bに保持され、昇降機構114a、114bに取り付けられている。昇降機構114a、114bは制御部115に接続されており、制御部からの位置移動指令に応じて動作可能である。誘導加熱コイル100の内部に被加熱体120を配置する際には、補助基材111a、111bに接続された把持部材110a、110bで被加熱体120を挟むことで被加熱体120を接触把持可能である。把持部材110aは被加熱体120と補助基材111aとの間に介在し、把持部材110bは被加熱体120と補助基材111bとの間に介在する。
把持部材110a、110bの少なくとも一方は回転機構113に接続されており、把持した被加熱体120を回転可能な構造になっている。図1に示す例では、把持部材110aは補助基材111aと共に回転機構113によって回転される。そして、被加熱体120、把持部材110b及び補助基材111bは、補助基材111aによって回転される。誘導加熱コイル100の回転対称軸と被加熱体120の回転軸は図示しない調整機構により略同軸に調整可能である。
図2は本発明の原理を説明するための模式図である。
誘導加熱コイル100の長さ(図2中のL)は、誘導加熱コイル100に高周波電流を流すことによって被加熱体120だけでなく、補助基材111a、111bにも渦電流が発生する範囲の長さである。
補助基材111a、111bは導電性材料で構成されている。補助基材111a、111bに渦電流が流れ、誘導加熱コイル100が生成した磁界を弱める向きに磁界を生成することで、被加熱体120の端部近傍の磁束密度を調整し、端部の過剰な発熱を抑制することが可能である。被加熱体120の端部近傍とは、被加熱体120の上端部の近傍(把持部材110aに近い端部の近傍)及び被加熱体120の下端部の近傍(把持部材110bに近い端部の近傍)を意味する。
補助基材111a、111bは円柱状または円筒状の形状であり、被加熱体120の外径と同径または、被加熱体120の外径より大きな外径を有している。つまり、本発明に係る誘導加熱装置の補助基材111a、111bは、最大の外径を有する被加熱体の外径以上の外径を有する。
そして、本発明に係る誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を支持可能である。
把持部材110a、110bは、少なくとも2種類の非磁性で発熱しない材料から構成されている。これは誘導加熱コイル100および補助基材111a、111bによって生成された磁界に影響を与えないためである。
把持部材110a、110bの外形形状は補助基材111a、111bから離れるに従って縮径する形状となっており、被加熱体120の外径に応じて、補助基材111a、111bと被加熱体の一端との距離を変えることができる。補助基材111a、111bの外径に対し被加熱体120の外径が小さい場合に、補助基材111a、111bと被加熱体120の一端との距離を長くすることで、外径の小さな被加熱体を加熱する場合でも端部近傍の温度が低くならないようにするためである。
端部近傍の磁束密度の調整を安定して行うためには、補助基材111a、111bは被加熱体120と同程度の比透磁率を有する材料で構成されることが好ましい。また、補助基材111a、111bの形状が円筒状である場合、補助基材111a、111bの厚さは補助基材111a、111bの表皮深さの5倍以上であることが好ましい。この「補助基材の厚さ」とは、{(補助基材の外径-補助基材の内径)/2}である。また、「表皮深さ」とは「ある物質に入射した電磁界が1/e(≒1/2.718)に減衰する深さ」である。
図3は後述する実施例1に係る把持部材110a、110bの断面図である。図3に示すように、実施例1に係る把持部材110aは、第1の部材150a、第2の部材151aの2種類の材料から構成され、把持部材110bも、第1の部材150b、第2の部材151bの2種類の材料から構成される。
被加熱体側に位置する第1の部材150a,150bは厚み方向の熱伝導率が1.0W/(m・K)以下の材料とする。
また、補助基材側に位置する第2の部材151aは、第1の部材150aの被加熱体との接触部から補助基材111aとの接触部に至るまでの熱伝導率が、各材料間での熱伝導率の低下を考慮した上で3.5W/(m・K)以上になる材料とする。
補助基材側に位置する第2の部材151bも同様に、第1の部材150bの被加熱体との接触部から補助基材111bとの接触部に至るまでの熱伝導率が、3.5W/(m・K)以上になる材料とする。
被加熱体の加熱時には被加熱体から補助基材への熱の逃げを抑制し、また加熱後には、速やかに把持部材の温度を所定の温度まで回復することで、均一な温度分布での加熱を連続的に実現可能とするためである。
なお、図3に記載の数値は後述する実施例で用いられた際のサイズを示すものであり、これらの数値は本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。
補助基材111a、111bも被加熱体とともに誘導加熱によって加熱されるため、連続加熱時には把持部材を温度回復することの妨げとなる。そのため、補助基材111a、111bは冷却機構を有し、所定の温度範囲に制御することが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
図1に示す誘導加熱装置を用いて連続加熱試験を行った。
本実施例で使用した被加熱体120の外径、内径及び長さを表1に示す。本発明は複数の外径の被加熱体に対応できるものであるが、より連続加熱における条件が厳しくなるように被加熱体の種類を選定した。
被加熱体120の基層はアルミニウム合金で構成され、比透磁率はおよそ1.0である。被加熱体120の最外層には膜厚5.0μm程度の保護層が形成されている。
誘導加熱コイル100は線形8mmの銅管を曲げてスパイラル形状にしたものを使用した。誘導加熱コイル100の全長(図2中のL)は450mm、外径(図2中のD)は88mmで巻き数は23ターンとした。銅管内部には冷却水を供給し、冷却を行った。誘導加熱コイル100はベークライトで構成されたコイル支持部材101に固定した。
誘導加熱コイル100は整合器103を介して高周波電源104に接続した。また、図示しない放射温度計により被加熱体120の長手中央位置の温度を測定し、測定した温度を制御部115に入力することでフィードバック制御による加熱が可能な構成とした。
加熱は、高周波電源104により、誘導加熱コイル100に高周波電流を流すことで行う。初期温度である23℃から目標温度である117℃まで10秒で加熱できるような設定とした。
補助基材111a、111bは被加熱体120の基層と同材料であるアルミニウム合金で構成され、外径は30mmの円柱形状とした。これは複数の外径の被加熱体の中で最大外径をもつ被加熱体と略同径である。また補助基材111a、111bには回転継手141a、141bを接続し、冷却水循環機構142から冷却水を供給することで、冷却を行った。
図3に把持部材110a、110bの断面形状を示す。補助基材内部には冷却水循環用の流路140が設けられている。被加熱体120との接触部は補助基材111a、111bから離れるに従って縮径するテーパー形状とした。把持部材110a、110bが被加熱体120を接触把持するとき、被加熱体120の一端と補助基材111a、111bとの距離は事前に加熱実験を行い求めた表1の値になるようにした。「被加熱体120の一端と補助基材111a、111bとの距離」とは、「被加熱体120の上端と補助基材111aの下端との距離」及び「被加熱体120の下端と補助基材111bの上端との距離」を意味する。
Figure 0007199987000001
把持部材110a、110bは2種類の材料を積層して構成した。
被加熱体120側の第1の部材150としては、熱伝導率が0.9W/(m・K)のPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材を用いた。
つまり、表1に示すように、把持部材の被加熱体との接触部は、厚み方向の熱伝導率が0.9W/(m・K)である。
補助基材111a、111b側の第2の部材151としては、熱伝導率が160W/(m・K)の窒化アルミニウムを用いた。
つまり、補助基材から第1の部材に至る材料の順序は下記のとおりである。
・アルミニウム合金(補助基材111)
・窒化アルミニウム(第2の部材151)
・PEEK (第1の部材150)
さらに、PEEKと窒化アルミニウムとの間や、窒化アルミニウムと補助基材との間の微小な空気層による熱伝達の低下を抑制するために、各部品間に下記のエポキシ系接着剤を充填した上で、非図示のボルトにより、補助基材111a、111bと固定した。
・エポキシ系接着剤アラルダイト(登録商標) ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製
このようにして第1の部材と前記第2の部材との間に接着剤層を形成した。
なお、把持部材110a、110bの被加熱体120側の材料は、被加熱体120に傷をつけないように、被加熱体120の基層のアルミニウム合金よりも柔らかい材料にする必要がある。本実施例においては、アルミニウム合金よりも柔らかいPEEK材を用いることによって、被加熱体120への傷付き抑制と所望の熱伝導率の実現の両立を図った。
前記部材から構成された、把持部材110a、把持部材110bの被加熱体120との接触部から補助基材111a、111bに至るまでの熱伝導率を、熱伝導率の測定方法として一般的に知られている熱流計法を用いて算出した。熱流計法とは、熱伝導率を測りたい試料において、片側を高温、反対側を低温とし、その温度勾配を測ることで熱伝導率を算出する方法である。本実施例においては、本実施例の構成に近くなるような測定構成を再現することで測定を行った。測定構成及び測定結果を以下に示す。
測定構成は、低温源は冷却水を通した冷却ブロック、高温源はヒーターを内蔵した加熱ブロックで構成した。そして、低温側から高温側にかけて、本実施例の構成と同一となるようアルミニウム合金、窒化アルミニウム、PEEKの順になるように、計5部品を積層した構成とした。つまり、測定構成における材料の順序は下記のとおりである。
・冷却ブロック(低温側)
・アルミニウム合金
・窒化アルミニウム
・PEEK
・加熱ブロック(高温側)
また、温度勾配測定のため、冷却ブロック‐アルミニウム合金間と、アルミニウム合金‐窒化アルミニウム間と、PEEK‐加熱ブロック間の3箇所にはそれぞれ熱電対を設置した。その上で、さらにアルミニウム合金‐窒化アルミニウム間と、窒化アルミニウム-PEEK間にはエポキシ系接着剤アラルダイト(登録商標)を充填し、冷却ブロックと加熱ブロックを両側から挟み込み圧接固定した。なお、5部品の形状はすべて縦100mmかつ横100mmの正方形であり、厚みは冷却ブロック、アルミニウム合金、及び加熱ブロックは5mm、窒化アルミニウムは7mm、PEEKは2mmとした。また、5部品の外周を断熱材で覆い、各部品間以外の熱交換を抑制するように構成した。
この構成に基づく、加熱ブロック側のPEEK表面からアルミニウム合金側の窒化アルミニウム表面に至るまでの算出熱伝導率が、把持部材110aの被加熱体120との接触部から補助基材111aとの接触部に至るまでの熱伝導率を示すものとなる。
同様に、前記算出熱伝導率は、把持部材110bの被加熱体120との接触部から補助基材111bとの接触部に至るまでの熱伝導率を示すものとなる。
上記測定構成に基づき、冷却ブロックを冷却水により25℃、加熱ブロックをヒーターにより120℃に設定したときの各部品間の熱電対の値を測定した。その結果は下記のとおりであった。
・冷却ブロック‐アルミニウム合金間温度 :26℃
・アルミニウム合金‐窒化アルミニウム間温度:27.5℃
・PEEK‐加熱ブロック間温度 :119℃
アルミニウム合金を通過する熱量と、窒化アルミニウム及びPEEKを通過する熱量が一致し、アルミニウム合金の熱伝導率が既知である。
このため、加熱ブロック側のPEEK表面(把持部材の被加熱体との接触部)からアルミニウム合金側の窒化アルミニウム表面(把持部材の補助基材との接触部)に至るまでの熱伝導率が算出できる。算出の結果、熱伝導率は3.5W/(m・K)となった。
つまり、表1に示すように、把持部材の被加熱体との接触部から補助基材との接触部に至るまでの熱伝導率は、3.5W/(m・K)である。
補助基材111aは軸受部112aに保持され、軸受部112aは昇降機構114aに取り付けられた。補助基材111bは軸受部112bに保持され、軸受部112bは昇降機構114bに取り付けられた。昇降機構114a、114bは単軸ロボットとコントローラーとによって構成され、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)により構成される制御部115に接続され、制御部115からの位置移動指令に応じて各動作の位置座標に移動可能とした。
被加熱体120の上下方向の位置は昇降機構114bの上昇位置により制御される。昇降機構114bを下降させ、把持部材110bの上に被加熱体120を置き、その後に昇降機構114bを上昇させることによって、被加熱体120は誘導加熱コイル100の内部に配置される。
昇降機構114aと軸受部112aとの間には、ばねを有する図示しない押圧機構を設けた。昇降機構114aの位置は、昇降機構114bの上昇位置と被加熱体120の長さに応じて決められる。本実施例においては、昇降機構114bの上昇位置は、被加熱体120の長手方向の中心と誘導加熱コイル100の長手方向の中心とが一致する位置とし、昇降機構114aの位置は、被加熱体120を10~20Nの力で挟み込める位置、とした。
把持部材110a、110bの少なくとも一方は回転機構113に接続されており、把持した被加熱体120を回転可能な構造とし、回転数はおよそ100rpmに設定した。
把持部材110a、110bと被加熱体120とは10~20Nの力で押圧されているため滑ることなく、把持部材110a、110bと被加熱体120とは同じ速度で回転することができる。加熱時に被加熱体120を回転させることによって、被加熱体の周方向に温度ムラが生じることを抑制する。
加熱終了後の被加熱体120及び把持部材110a,110bの温度測定にはサーモビューワを使用した。
次に実施例1で行った連続加熱実験の手順について説明する。
まず、昇降機構114bを下降させた状態で被加熱体120を把持部材111bの上に載置する。その後、昇降機構114bを上昇させ、誘導加熱コイル100の内部に被加熱体を挿入し、把持部材110aと110bとで被加熱体120を上下から挟み込む。
被加熱体120の把持が完了したら、被加熱体120の回転と加熱を開始する。
約10秒後、被加熱体120の長手中央温度が目標温度である117℃に到達すると、加熱と回転が停止される。
加熱及び回転が停止された後、昇降機構114bにより誘導加熱コイル100の下方へ被加熱体120を下降させ、被加熱体120を取り出す。
この手順を1サイクルタイム 14秒で10サイクル繰り返した。
表2に、サーモビューワによって測定された加熱終了後の下記の温度の推移、及び温度差の推移を示す。
・把持部材110aの表面温度
・被加熱体120の中央部(被加熱体120の長手中央位置)の温度
・上部(被加熱体120の上端から10mm下方の位置)の温度
・中央部と上部との温度差
把持部材110aの表面温度の変化が極めて小さく、被加熱体の上部の温度変化も1℃以下であった。
なお、今回の実験においては、上下対称の構成であり、把持部材110bの表面温度は把持部材110aの表面温度と同じであり、被加熱体120の下部の温度は被加熱体120の上部の温度と同じであった。このため、把持部材110bの表面温度及び被加熱体120の下部の温度については記載を省略した。
また、本実施例においては、把持部材110a、110bの被加熱体120との接触部は全周テーパー形状とした。より被加熱体120加熱時の被加熱体120と把持部材110a、110bの熱の移動を抑制したい場合は、把持部材110a、110bの被加熱体120との当接面に凹凸や溝を形成し、被加熱体120との接触面積を減らす構成としても良い。
図5に、変形例1に係る把持部材の平面図及び断面図を示す。図5は、把持部材と被加熱体との接触面積を減らすために、把持部材110bの被加熱体120との当接面に形成された凹凸の一例を示す。なお、被加熱体120は図5には図示しない。
図5は、円錐台形状の把持部材110bの側面に、ほぼ同じ形状かつ大きさの凸部501bと凹部502bとを、放射線状にかつ交互に設けた例である。把持部材110bの被加熱体120との当接面を図5に示したような凹凸形状とした場合、凸部501bは被加熱体120と接触するが、凹部502bは被加熱体120と接触しない。このため、把持部材110bと被加熱体120との接触面積は、把持部材110bに凸部501b及び凹部502bを形成しない場合の接触面積と比べて、ほぼ半分に減少する。
Figure 0007199987000002
〈比較例〉
図4に示す把持部材を用いて、実施例1と同様の加熱試験を行った。
図4に示す把持部材410a、410bはPEEKのバルクで構成され、外形形状は実施例1において用いた把持部材110a、110bと同じである。把持部材110aに代えて把持部材410aを、把持部材110bに代えて把持部材410bを用いた以外は実施例1と同じ条件とした。
表3に、サーモビューワによって測定された加熱終了後の下記の温度の推移、及び温度差の推移を示す。
・把持部材410aの表面温度
・被加熱体120の中央部(被加熱体120の長手中央位置)の温度
・上部(被加熱体120の上端から10mm下方の位置)の温度
・中央部と上部との温度差
把持部材410a,410bの表面温度の変化が大きく、被加熱体120の温度差の変化が2.5℃であった。
Figure 0007199987000003
100 誘導加熱コイル
101 コイル支持部材
102 コイル台座
103 整合器
104 高周波電源
110 把持部材
111 補助基材
112 軸受部
113 回転機構
114 昇降機構
115 制御部
120 被加熱物
130 位置調整手段
140 冷却水循環用流路
141 回転継手
142 冷却水循環機構
150 第1の部材
151 第2の部材
210 情報蓄積部

Claims (4)

  1. 円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
    該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体と該補助基材との間に介在して、該被加熱体を支持する把持部材をさらに具備し、
    該誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を支持可能であり、
    該把持部材は、
    該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように該被加熱体を支持するものであり、かつ、
    非磁性体で構成されており、
    該把持部材の該被加熱体との接触部は、厚み方向の熱伝導率が1.0W/(m・K)以下の材料からなり、
    該把持部材の該被加熱体との接触部から該補助基材との接触部に至るまでの熱伝導率が、3.5W/(m・K)以上である、ことを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記把持部材が、前記被加熱体の接触部を構成する第1の部材と、該第1の部材よりも前記補助基材側に位置してなる第2の部材と、を具備し、
    該第1の部材がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)からなり、
    該第2の部材が窒化アルミニウムからなる請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記第1の部材と前記第2の部材との間に接着剤層を有する請求項2に記載の誘導加熱装置。
  4. 前記接着剤層が、エポキシ系接着剤からなる請求項3に記載の誘導加熱装置。


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