JP7199712B2 - 整髪料 - Google Patents

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Description

本発明は、整髪料に関する。
近年、濡れた髪のように艶が充分にあり、毛髪が適度に束になっているヘアスタイルが人気を集めている。このヘアスタイルが広まり、定着していくなかで、これまで濡れた髪のような艶のあるヘアスタイルとして一般的であった固めるヘアスタイルのみならず、濡れた髪のような艶がありながら毛髪で束を作り、その束を動かせることが求められるようになった。また、濡れた髪のような艶を付与する整髪料としては、透明な外観が好まれている。
濡れた髪のように仕上がり、かつ、透明な外観の整髪料としては、ゲル状の整髪料が一般的に利用されてきた。しかし、従来のゲル状の整髪料は毛髪を強固に固めるものであり、整髪後の毛髪を自由に動かすことはできなかった。
濡れた髪のように仕上げ、かつ、整髪後の毛髪を自由に動かすことができる整髪料は、開発が進められている。例えば、特許文献1には、スタイリングがしやすく、毛髪に濡れたような艶を付与する整髪剤の技術が開示されている。特許文献2には、多量の油性成分を安定に配合した油性ジェル状組成物の技術が開示されている。
特開2015-101564号公報 特開2007-186498号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、毛髪に濡れたような艶を付与できるものの、毛髪がべたつき、感触が良くないものであった。また、整髪料は半透明のジェル状または乳化クリーム状であり、透明な外観ではなかった。特許文献2の技術は、剤が透明な外観であり、毛髪に濡れたような艶を付与できるが、毛髪がべたつき、感触が良くないものであった。
このようなことから、本発明は、剤が透明な外観であり、毛髪に濡れた髪のような艶と適度な束感を付与でき、かつ、べたつきがなく、整髪後に毛髪を自由に動かすことができる整髪料を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する整髪料は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[7]である。
[1]ジラウロイルグルタミン酸塩(A)を0.2~0.5質量%と、3価以上のポリオール(B)と、炭化水素油(C)と、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)を0.2~4質量%と、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)を0.01~0.4質量%と、エタノール(F)を0.075~0.8質量%と、水(G)を0.6~4質量%とを含み、前記炭化水素油(C)と、前記3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、2.79~3.74である、整髪料。
[2]前記ジラウロイルグルタミン酸塩(A)が、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムである、[1]に記載の整髪料。
[3]前記3価以上のポリオール(B)が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトールから選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の整髪料。
[4]前記炭化水素油(C)を65~80質量%含む、[1]~[3]のいずれかに記載の整髪料。
[5]前記炭化水素油(C)が、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワランから選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれかに記載の整髪料。
[6]前記HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)が、オキシエチレン構造の平均付加モル数が20~30のトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである、[1]~[5]のいずれかに記載の整髪料。
[7]前記アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)が、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体および(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPから選択される少なくとも1種である、[1]~[6]のいずれかに記載の整髪料。
本発明は、剤が透明な外観であり、毛髪に濡れた髪のような艶と適度な束感を付与でき、かつ、べたつきがなく、整髪後に毛髪を自由に動かすことができる整髪料を提供することができる。
次に本発明の整髪料について具体的に説明する。
<整髪料>
本発明の整髪料は、ジラウロイルグルタミン酸塩(A)を0.2~0.5質量%と、3価以上のポリオール(B)と、炭化水素油(C)と、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)を0.2~4質量%と、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)を0.01~0.4質量%と、エタノール(F)を0.075~0.8質量%と、水(G)を0.6~4質量%とを含み、前記炭化水素油(C)と、前記3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、2.79~3.74である。
なお、上記の各成分の含有量は、整髪料を100質量%とした場合の含有量を示している。
<ジラウロイルグルタミン酸塩(A)>
本発明の整髪料は、ジラウロイルグルタミン酸塩(A)を0.2~0.5質量%、好ましくは0.3~0.35質量%含む。
本発明の整髪料は、ジラウロイルグルタミン酸塩(A)を上記の量含むことによって、油性成分をゲル化することができる。前記下限量より少ないと、油性成分がゲル化せずに分離してしまう。前記上限量より多いと、伸びが悪くなり、べたつきが生じる。
ジラウロイルグルタミン酸塩(A)として、具体的には、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムが挙げられ、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムが好ましい。
ジラウロイルグルタミン酸塩(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<3価以上のポリオール(B)>
本発明の整髪料は、3価以上のポリオール(B)を含み、後述する炭化水素油(C)と、3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、2.79~3.74であり、好ましくは2.97~3.74、より好ましくは2.99~3.08である。
本発明の整髪料は、3価以上のポリオール(B)を含むことによって、束感を付与することができる。
本発明の整髪料は、後述する炭化水素油(C)と、3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、前記規定値より小さいと、剤型の安定性が保てず分離してしまう。前記規定値より大きいと、剤の伸びが悪くなる。
3価以上のポリオール(B)としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトールが挙げられる。3価以上のポリオール(B)としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトールが好ましく、グリセリン、ジグリセリンがより好ましく、グリセリンが最も好ましい。
3価以上のポリオール(B)として、グリセリンおよびジグリセリンの少なくとも一方と、ソルビトールとを用いることが、手のひらに伸ばした時に伸びが良いため好ましく、グリセリンとソルビトールとを用いることが、手のひらに伸ばした時にさらに伸びが良いため、特に好ましい。
グリセリンおよびジグリセリンの少なくとも一方と、ソルビトールとを用いる場合には、その質量比としては特に限定はないが、グリセリンおよびジグリセリンの少なくとも一方:ソルビトール(質量比)が、2:1~10:1であることが好ましく、4:1~7:1であることがより好ましい。グリセリンおよびジグリセリンの少なくとも一方としては、グリセリンのみでも、ジグリセリンのみでもグリセリンおよびジグリセリンでもよいが、コストの観点からグリセリンのみが好ましい。グリセリンとジグリセリンとを併用する場合には、その量としては特に限定はなく、例えば、グリセリンとジグリセリンとの合計100質量部あたり、グリセリンを1~99質量部、ジグリセリンを99~1質量部の範囲で用いることができる。
3価以上のポリオール(B)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<炭化水素油(C)>
本発明の整髪料は、炭化水素油(C)を含み、炭化水素油(C)と、3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、2.79~3.74であり、好ましくは2.97~3.74、より好ましくは2.99~3.08である。
本発明の整髪料は、炭化水素油(C)を好ましくは65~80質量%、より好ましくは70~75質量%含む。
本発明の整髪料は、炭化水素油(C)を含むことによって、濡れたような艶を付与することができる。
炭化水素油(C)としては、25℃で液状の炭化水素油が好ましく、例えば、流動パラフィン(ミネラルオイル、リキッドパラフィン、ホワイトミネラルオイルとも呼ばれる)、流動イソパラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、イソドデカン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、オレフィンオリゴマー、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワランが挙げられる。これらの中でも、炭化水素油(C)としては、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワランが好ましく、流動パラフィンがより好ましい。
炭化水素油(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)>
本発明の整髪料は、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)を0.2~4質量%、好ましくは1~3質量%、より好ましくは1~2質量%含む。
本発明の整髪料は、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)を上記の量含むことによって、洗い落ちのよさと剤型の安定性を向上させることができる。前記下限量より少ないと、洗い落ちが悪く、剤型の安定性が保てず分離してしまう。前記上限量より多いと、べたつきが強くなってしまう。
また、ノニオン界面活性剤(B)のHLBは、8~10であることによって、剤型の経時安定性を保つことができる。HLBが8より低い、またはHLBが10より高いと、剤型の経時安定性を保つことができない。
HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等が挙げられる。具体的には、オキシエチレン構造の平均付加モル数が20~30のトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが挙げられる。これらの中でも、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)は、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)およびトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(30E.O.)から選択される少なくとも1種であることが好ましく、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)がより好ましい。
なお、前記20E.O.は、オキシエチレン構造(‐O‐CH2‐CH2‐)の平均付加モル数が20であることを意味する。前記30E.O.も同様に、オキシエチレン構造の平均付加モル数が30であることを意味する。
HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)>
本発明の整髪料は、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)を0.01~0.4質量、好ましくは0.01~0.3質量%、より好ましくは0.15~0.3質量%含む。
本発明の整髪料は、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)を上記の量含むことによって、整髪後の毛髪の束感が生じる。前記下限量より少ないと、たくさんの毛髪が集まらず、毛髪が濡れたような束感のあるスタイルを作れない。前記上限量より多いと、整髪後の毛髪が固くなり、手触りが悪くなる。
アニオン性被膜形成樹脂としては、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロニルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP(「AMP」は、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを表す。以下においても同様である。)、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPが挙げられる。
ノニオン性被膜形成樹脂としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体、酢酸ビニル/N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン共重合体、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー(「VA」は、酢酸ビニルを表す。以下においても同様である。)が挙げられる。
これらの中でも、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)としては、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、および酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体が好ましい。また、毛髪に濡れたような束感を付与できることから、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体がより好ましい。
アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<エタノール(F)>
本発明の整髪料は、エタノール(F)を0.075~0.8質量%、好ましくは0.075~0.4質量%、より好ましくは0.2~0.4質量%含む。
本発明の整髪料は、エタノール(F)を上記の量含むことによって、剤型の透明性が高く、安定性も保つことができる。前記下限量より少ないと、剤型の透明性が低くなってしまう。前記上限量より多いと、剤型の透明性が低くなり、安定性も悪くなる。
エタノール(F)としては、例えば、整髪料の成分として通常用いられるエタノールを、特に制限なく使用することができる。
<水(G)>
本発明の整髪料は、水(G)を0.6~4質量%、好ましくは2.5~4質量%、より好ましくは2.5~3.5質量%含む。
水(G)として、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
<任意成分>
本発明の整髪料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、および色素等の添加剤を含有することができる。
<製造等>
本発明の整髪料は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、好ましくは加熱条件下、例えば75~85℃の加熱条件下で、本発明の整髪料を製造することが好ましい。
本発明の整髪料は、毛髪に塗布して使用することができる。
<剤型>
本発明の整髪料の剤型としては、例えば、ローション状、ゲル状、グリース状などが挙げられ、これらの中でも、ゲル状が好ましい。
本発明の整髪料の外観としては、例えば、透明な外観が挙げられる。透明な外観は、消費者に対して、毛髪に艶を与える効果が高いと印象づけることに寄与するため好ましい。
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1~26、比較例1~20〕
表1~4に示す処方で各成分を混合することにより整髪料を製造し、試料として以下の方法で評価した。なお、表中の処方の数値は、整髪料を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表している。結果を表1~4に示す。
なお、表1~4に記載の各成分は以下の市販品を用いた。
ジラウロイルグルタミン酸リシンNa:ペリセア L-30(旭化成ケミカルズ株式会社)
グリセリン:化粧品原料用濃グリセリン(アヅマ株式会社)
ジグリセリン:ジグリセリン(阪本薬品工業株式会社)
ソルビトール:ソルビトール(花王株式会社)
プロピレングリコール:プロピレングリコール(株式会社ADEKA)
流動パラフィン:流動パラフィン(カネダ株式会社)
軽質流動イソパラフィン:PARLEAM(登録商標)4(日油株式会社)
スクワラン:スクワラン(日光ケミカルズ株式会社)
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル:クロダモルGTCC-LQ-(SG)(クローダジャパン株式会社)
ジメチコン:トーレ・シリコーン SH200(100cs)(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(15E.O.):EMALEX GWIS-315(日本エマルジョン株式会社)
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.):EMALEX GWIS-320(日本エマルジョン株式会社)
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(30E.O.):EMALEX GWIS-330(日本エマルジョン株式会社)
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(40E.O.):EMALEX GWIS-340(日本エマルジョン株式会社)
酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体:アコーンM(大阪有機化学工業株式会社)
(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP:プラスサイズ L-6466(互応化学工業株式会社)
ビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩液:H.C.ポリマー5(大阪有機化学工業株式会社)
エタノール:95%未変性アルコール(日本合成アルコール株式会社)
1,3-ブチレングリコール:1.3ブタンジオール(化粧品用)(株式会社ダイセル)
カルボキシビニルポリマー:Carbopol(登録商標) Ultrez 10 polymer (Lubrizol Advanced Materials)
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール:AMP-ULTRA PC1000(ダウ・ケミカル日本株式会社)
キャンデリラロウ分散液:
キャンデリラロウ(精製キャンデリラワックス R-2CG(ミツバ貿易株式会社))とポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.)(NIKKOL BC-10(日光ケミカルズ株式会社))と水とを配合したものである。キャンデリラロウおよびポリオキシエチレンセチルエーテル(10E.O.)の配合量は、いずれも10%であり、水に分散したキャンデリラロウの体積基準による平均粒子径が100nm以下のものである。
〔官能評価〕
専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、20cmにカットした人毛ウィッグ(人毛ウィッグUN:PAMS社製)を用いて、官能評価を行った。
官能評価は、(1)~(7)に記載した評価項目と評価基準に従って、各項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
〔物性評価〕
物性評価は、後述する(8)の項目に記載した評価項目および評価基準に従って行った。評価は、上記(1)~(7)の官能評価と同様に行った。
〔評価項目および評価基準〕
(1)剤型の透明性
試料5gを手に取り、目視で透明性を評価した。
4点:非常に透明で試料の反対側がよく透けて見える
3点:わずかに濁ってはいるものの、ほぼ透明で試料の反対側が透けて見える
2点:白濁が強く、試料の反対側が透けて見えない
1点:明らかに白く、透明性は全くない
(2)整髪後の柔らかさ
試料5gを2回にわけて万遍なく毛髪全体に塗布し、5分後の柔らかさを触感で評価した。
4点:まったく硬さを感じない
3点:わずかに硬さを感じるものの、整髪した毛髪を自由に動かせる
2点:わずかに柔軟性があるものの、整髪した毛髪を自由に動かせない
1点:しっかりと固まっており柔軟性が全くない
(3)艶
試料5gを2回にわけて万遍なく毛髪全体に塗布し、5分後の艶を目視で評価した。
4点:自然でありながらも濡れたような綺麗な艶がある
3点:自然な艶がある
2点:あまり艶がない
1点:艶がない
(4)束感
試料5gを2回にわけて万遍なく毛髪全体に塗布し、5分後の整髪の状態を目視で評価した。
4点:たくさんの毛髪が集まり、太い束ができている
3点:太い束ができている
2点:多少まとまっているものの束になっていない
1点:全く束になっていない
(5)伸び
試料2gを手に取り、手の上で伸ばす際の伸びの良さを触感で評価した。
4点:非常に伸びが良い
3点:伸びが良い
2点:伸びが悪い
1点:非常に伸びが悪い
(6)べたつきの少なさ
試料5gを2回にわけて万遍なく毛髪全体に塗布し、5分後の毛髪のべたつきを触感で評価した。
4点:全くべたつきがない
3点:べたつきがない
2点:ややべたつきがある
1点:非常にべたつきがあり、不快に感じる
(7)洗い落ち
試料5gを2回にわけて万遍なく毛髪全体に塗布した。1時間後にシャンプーを1.0g使用して30秒間洗い、水温38℃付近の水で1分間水洗した。その際の洗い落ちを触感で評価した。シャンプーはシェルパ デザインサプリ シャンプー D-2(株式会社アリミノ)を使用した。
4点:非常に洗い落ちが良い
3点:洗い落ちが良い
2点:洗い落ちが悪い
1点:非常に洗い落ちが悪い
(8)経時安定性
試料50gをPET製の容器に入れ、40℃のインキュベーターで30日間保存した。保存後の試料の状態と、試料製造直後の状態とを比較し、評価した。
4点:変化が見られない
3点:わずかに減粘している
2点:著しく減粘している
1点:分離している
Figure 0007199712000001
Figure 0007199712000002
Figure 0007199712000003
Figure 0007199712000004
実施例1~26で製造した整髪料は、(1)~(8)の評価項目において良好な結果となった。実施例2、3、12、15、17、21、24および25は、特に良好な結果となった。
本発明の整髪料は、剤が透明な外観であり、毛髪に濡れた髪のような艶と適度な束感を付与でき、かつ、べたつきがなく、整髪後に毛髪を自由に動かすことができる整髪料であることがわかる。
比較例1で製造した整髪料は、ジラウロイルグルタミン酸塩(A)の配合量が規定量より少ないため、油性成分がゲル化せずに分離してしまった。
比較例2で製造した整髪料は、ジラウロイルグルタミン酸塩(A)の配合量が規定量より多いため、伸びが悪く、べたつきがあった。
比較例3で製造した整髪料は、質量比(C/B)の値が規定値より大きいため、経時安定性が悪く分離してしまった。また、伸びも悪かった。
比較例4で製造した整髪料は、質量比(C/B)の値が規定値より小さいため、経時安定性が悪かった。
比較例5で製造した整髪料は、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)の配合量が規定量より少ないため、洗い落ちが悪く、経時安定性も悪かった。
比較例6で製造した整髪料は、HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)の配合量が規定量より多いため、べたつきがあった。
比較例7で製造した整髪料は、ノニオン界面活性剤のHLBが規定値より低いため、経時安定性が悪かった。
比較例8で製造した整髪料は、ノニオン界面活性剤のHLBが規定値より高いため、経時安定性が悪かった。
比較例9で製造した整髪料は、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)の配合量が規定量より少ないため、毛髪の束ができなかった。
比較例10で製造した整髪料は、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)の配合量が規定量より多いため、整髪後の毛髪を自由に動かせなかった。
比較例11で製造した整髪料は、エタノール(F)の配合量が規定量より少ないため、剤が白濁していた。
比較例12で製造した整髪料は、エタノール(F)の配合量が規定量より多いため、剤が白濁し、経時安定性も悪かった。
比較例13で製造した整髪料は、水(G)の配合量が規定量より少ないため、経時安定性が悪かった。
比較例14で製造した整髪料は、水(G)の配合量が規定量より多いため、経時安定性が悪かった。
比較例15で製造した整髪料は、3価以上のポリオール(B)が配合されていなかったため、分離してしまった。
比較例16で製造した整髪料は、3価以上のポリオール(B)が配合されていなかったため、分離してしまった。
比較例17で製造した整髪料は、炭化水素油(C)が配合されていなかったため、べたつきがあった。
比較例18で製造した整髪料は、炭化水素油(C)が配合されていなかったため、毛髪の束ができなかった。
比較例19で製造した整髪料は、アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)が配合されていなかったため、分離してしまった。
比較例20で製造した整髪料は、スタイリングがしやすく、毛髪に濡れたような艶を付与することを目的とした既存の整髪料の処方である。本発明の整髪料に規定された成分が規定量配合されていないため、艶がなく、毛髪の束ができない。また、伸びが悪く、べたつきがあり、整髪した毛髪が固まっており自由に動かせなかった。

Claims (7)

  1. ジラウロイルグルタミン酸塩(A)を0.2~0.5質量%と、
    3価以上のポリオール(B)と、
    炭化水素油(C)と、
    HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)を0.2~4質量%と、
    アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)を0.01~0.4質量%と、
    エタノール(F)を0.075~0.8質量%と、
    水(G)を0.6~4質量%とを含み、
    前記炭化水素油(C)と、前記3価以上のポリオール(B)との質量比(C/B)が、2.79~3.74である、整髪料。
  2. 前記ジラウロイルグルタミン酸塩(A)が、ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウムである、請求項1に記載の整髪料。
  3. 前記3価以上のポリオール(B)が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトールから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の整髪料。
  4. 前記炭化水素油(C)を65~80質量%含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の整髪料。
  5. 前記炭化水素油(C)が、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワランから選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の整髪料。
  6. 前記HLB8~10のノニオン界面活性剤(D)が、オキシエチレン構造の平均付加モル数が20~30のトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の整髪料。
  7. 前記アニオン性被膜形成樹脂およびノニオン性被膜形成樹脂から選択される少なくとも1種の被膜形成樹脂(E)が、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体および(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPから選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか一項に記載の整髪料。
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Yanagiya Honten, Japan,Designing Hard Hair Grease,Mintel GNPD [online],2018年07月,Internet <URL:https://WWW.portal.mintel.com>,ID#5814427, [検索日:2022年11月18日],製品詳細, 製品情報

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