以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付す。
図1に、実施の形態に係る設備機器システム1の全体構成を示す。設備機器システム1は、対象空間に設置されている設備機器を備えるシステムである。設備機器は、具体的には、対象空間を空調する空調機40であって、設備機器システム1は、空調機40を備える空調システムである。ここで、空調とは、空調対象の空間の空気の温度、湿度、清浄度又は気流等を調整することであって、具体的には、暖房、冷房、除湿、加湿、空気清浄等である。
図1に示すように、設備機器システム1は、撮影装置20と、人検知装置30と、複数の空調機40と、を備える。撮影装置20と人検知装置30とを合わせて、人検知システム10と呼ぶ。複数の空調機40のそれぞれは、室内空間2の外部に設置される室外機41と、室内空間2の内部に設置される室内機42と、を備える。
図2に、複数の空調機40により空調される対象空間の例である室内空間2を示す。室内空間2は、例えばオフィスビル、工場、住宅等における一室である。撮影装置20と複数の室内機42とは、一例として、室内空間2の天井に設置されている。図2の例では、4つの室内機42が、室内空間2の各エリアをできるだけ均一に空調することができるように、ほぼ等間隔を空けた位置に分散して設置されている。そして、撮影装置20は、4つの室内機42のほぼ中央に設置されており、4つの室内機42により空調されるエリアを撮影する。
図3に、室内空間2のフロアレイアウト、すなわち室内空間2を上から見た図を示す。図3において、撮影装置20と複数の室内機42とが設置されている位置を破線で示している。また、図3において斜線で示す領域N1~N4は、室内空間2における机、棚等が配置されている領域であって、通常は人が進入しないことが想定される領域である。一方で、室内空間2における領域N1~N4以外の領域は、人が位置することが想定される領域である。
図1に戻って、撮影装置20は、赤外線カメラを備えており、赤外線カメラにより室内空間2を撮影することで室内空間2における熱分布を表す熱画像を取得する。室内空間2には、予め定められた数の室内機42毎に1つの撮影装置20が設置されている。図2の例では、4つの室内機42に対して1つの撮影装置20が、その4つの室内機42のほぼ中央の位置に設置されており、周囲4つの室内機42により空調されるエリアを撮影する。
図4に示すように、撮影装置20は、制御部21と、記憶部22と、撮影部23と、通信部25と、を備える。これら各部は通信バスを介して接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等とも呼び、撮影装置20の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部21において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、撮影装置20を統括制御する。
記憶部22は、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部22は、制御部21が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部22は、制御部21が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
撮影部23は、赤外線で室内空間2を撮影する赤外線カメラを備えており、赤外線により室内空間2を撮影する。赤外線カメラは、赤外線を集光するレンズと、レンズによる集光位置に配置された撮像素子と、撮像素子により得られた画像を表す電気信号をデジタルデータに変換するA/D(Analog/Digital)変換器と、を含んでいる。撮影部23は、赤外線で室内空間2を撮影することにより、室内空間2の熱分布を表す熱画像を取得する。撮影部23は、撮影手段として機能する。
通信部25は、人検知装置30と通信するための通信インタフェースを備える。通信部25は、人検知装置30との間で有線又は無線により通信可能に接続されており、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等の周知の通信規格に則って通信する。
図1に戻って、人検知装置30は、室内空間2に存在する人を検知する装置である。人検知装置30は、一例として、室内空間2に存在する在室者により操作され、各空調機40に様々な指令を送信するリモコンの機能の一部であって、複数の空調機40による室内空間2の空調を制御する機能を備えている。
図5に示すように、人検知装置30は、制御部31と、記憶部32と、入力受付部33と、表示部34と、通信部35と、を備える。これら各部は通信バスを介して接続されている。
制御部31は、CPU、ROM及びRAMを備える。CPUは、中央処理装置、中央演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP等とも呼び、人検知装置30の制御に係る処理及び演算を実行する中央演算処理部として機能する。制御部31において、CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて、人検知装置30を統括制御する。
また、制御部31は、DSP、GPU(Graphics Processing Unit)等の画像処理用のプロセッサと、処理される画像を一時的に保存するバッファメモリと、を備える。制御部31は、周知の画像処理の手法を用いて、撮影装置20により撮影された撮影画像を処理する。
記憶部32は、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の不揮発性の半導体メモリを備えており、いわゆる二次記憶装置又は補助記憶装置としての役割を担う。記憶部32は、制御部31が各種処理を行うために使用するプログラム及びデータを記憶する。また、記憶部32は、制御部31が各種処理を行うことにより生成又は取得するデータを記憶する。
入力受付部33は、タッチパネル、スイッチ、押圧ボタン等の入力デバイスを備えており、作業者から入力を受け付ける。例えば、入力受付部33は、空調機40に対する操作を受け付ける。
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、有機EL(Electro-Luminescence)等の表示デバイスを備える。表示部34は、図示しない表示駆動回路によって駆動され、制御部31による制御のもとで様々な画像を表示する。
通信部35は、撮影装置20及び複数の空調機40を含む外部の装置と通信するための通信インタフェースを備える。通信部35は、撮影装置20及び複数の空調機40との間で有線又は無線により通信可能に接続されており、有線LAN、無線LAN等の周知の通信規格に則って通信する。
図1に戻って、複数の空調機40のそれぞれは、空調対象の空間である室内空間2を空調する。各空調機40は、一例として、CO2(二酸化炭素)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等を冷媒として用いたヒートポンプ式の空調設備である。
室外機41と室内機42とは、図示を省略するが、冷媒が流れる冷媒回路を介して接続されている。室外機41は、冷媒を圧縮して冷凍回路を循環させる圧縮機と、冷媒回路を流れる冷媒の方向を切り換える四方弁と、冷媒回路を流れる冷媒と室外の空気との間で熱交換を行う室外熱交換器と、冷媒回路を流れる冷媒を減圧して膨張させる膨張弁と、室外の空気を室外熱交換器に送る室外ファンと、を備える。室内機42は、冷媒回路を流れる冷媒と室内空間2の空気との間で熱交換を行う室内熱交換器と、室内空間2の空気を室内熱交換器に送る室内ファンと、を備える。
室外機41と室内機42とは、いずれもCPU、ROM、RAM、通信インタフェース及び読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを備えており、人検知装置30から送信される制御信号に応じて強調動作し、空調機40全体を制御する。具体的に説明すると、室外機41は、圧縮機の駆動周波数、四方弁の切り換え、室外ファンの回転速度、及び、膨張弁の開度を制御する。また、室内機42は、室内ファンの回転速度を制御する。これにより、室内空間2が空調される。
次に、図6を参照して、設備機器システム1の機能的な構成について説明する。
図6に示すように、撮影装置20は、機能的に、撮影画像取得部210と、送信部220と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部22に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部22に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
撮影画像取得部210は、撮影部23に室内空間2を撮影させることにより、室内空間2が撮影された撮影画像を取得する。撮影画像取得部210は、一定の周期で繰り返し室内空間2を撮影することにより、室内空間2に人が存在する場合にその動きを捉えることができる。撮影画像取得部210は、制御部21が撮影部23と協働することにより実現される。撮影画像取得部210は、撮影画像取得手段として機能する。
より詳細には、撮影画像取得部210は、(A)設備機器システム1の初期設定時と(B)設備機器システム1の運用時との2つの場面において、室内空間2の撮影画像を取得する。設備機器システム1の初期設定時とは、設備機器システム1が室内空間2に設置されて最初に稼働する前において、設備機器システム1が室内空間2を適切に空調できるように設定される場面である。これに対して、設備機器システム1の運用時とは、初期設定がされた後において、設備機器システム1が通常に運用されて室内空間2が空調される場面である。
(A)第1に、設備機器システム1の初期設定時について説明する。初期設定時において、設備機器システム1は、室内空間2における人に進入されない領域である進入不可領域を推定する。そのために、撮影画像取得部210は、室内空間2に人が存在しない状態において、撮影部23に室内空間2を撮影させることにより、第1の撮影画像を取得する。
図7に、初期設定時において撮影画像取得部210により取得された第1の撮影画像51の例を示す。第1の撮影画像51は、室内空間2の天井部に設置されている撮影装置20により赤外線で撮影された画像であるため、室内空間2の熱分布を上から見た状態を表している。具体的に説明すると、第1の撮影画像51には、机、棚等が配置されている領域N1~N4が、識別可能な状態で撮影されている。
このように、撮影画像取得部210は、室内空間2に人が存在しない状態で、撮影部23に撮影させることにより、撮影装置20の周囲に設置されている4つの室内機42により空調されるエリアが撮影された第1の撮影画像51を取得する。
図6に戻って、送信部220は、撮影画像取得部210により取得された第1の撮影画像51を、人検知装置30に送信する。具体的に説明すると、送信部220は、通信部25を介して人検知装置30と通信し、撮影画像取得部210により取得された第1の撮影画像51を示す送信情報を人検知装置30に送信する。送信部220は、制御部21が通信部25と協働することにより実現される。送信部220は、送信手段として機能する。
人検知装置30は、機能的に、受信部310と、推定部320と、サンプル指定部330と、座標変換部340と、識別部350と、判定部360と、設備制御部370と、表示出力部380と、を備える。これらの各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又は、ソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、ROM又は記憶部32に格納される。そして、CPUが、ROM又は記憶部32に記憶されたプログラムを実行することによって、これらの各機能を実現する。
受信部310は、通信部35を介して撮影装置20と通信することにより、撮影装置20から送信された第1の撮影画像51を受信する。受信部310は、制御部31が通信部35と協働することにより実現される。受信部310は、受信手段として機能する。
推定部320は、受信部310により受信された第1の撮影画像51のうちから、少なくとも1つの進入不可領域を推定する。ここで、進入不可領域とは、室内空間2において人に進入されない領域である。より詳細には、進入不可領域は、例えば、壁、柱等の領域、及び、机、棚等の機材が配置されている領域のように、通常は人が所在することができない領域である。図3に示したフロアレイアウトでは、机、棚等が配置されている領域N1~N4が進入不可領域に相当する。
推定部320は、室内空間2が撮影された第1の撮影画像51における、予め指定された画像の特徴に類似する特徴を有する少なくとも1つの領域を、進入不可領域として推定する。ここで、予め指定された画像は、進入不可領域のサンプルとなる画像であって、壁、柱、机、棚等が撮影装置20により撮影された場合に撮影画像の特徴を有する画像である。具体的には、予め指定された画像は、サンプル指定部330により第1の撮影画像51のうちから指定されるサンプル領域の画像が用いられる。
サンプル指定部330は、第1の撮影画像51のうちから、進入不可領域のサンプルとなるサンプル領域を指定する。具体的に説明すると、サンプル指定部330は、撮影装置20により撮影された第1の撮影画像51を、表示部34に表示する。作業者は、入力受付部33を操作して、表示部34に表示された第1の撮影画像51のうちの、机、棚等の機材が配置されている領域のように進入不可領域であることが予め判明している領域の座標を入力することにより、その領域をサンプル領域として選択する。
例えば図7に示した第1の撮影画像51が表示部34に表示された場合、作業者は、第1の撮影画像51に含まれる領域N1~N4のうちの、机、棚等が配置されている領域であることが判明している1つの領域を、進入不可領域として選択する。サンプル指定部330は、領域N1~N4のうちの、作業者により選択された1つの領域を、サンプル領域として指定する。
このように、サンプル指定部330は、入力受付部33を介して作業者から受け付けられた入力に従って、サンプル領域を指定する。サンプル指定部330は、制御部31が入力受付部33と協働することにより実現される。サンプル指定部330は、サンプル指定手段として機能する。
推定部320は、第1の撮影画像51における、サンプル指定部330により指定されたサンプル領域と、サンプル領域の画像の特徴に類似する特徴を有する少なくとも1つの領域とを、進入不可領域として推定する。具体的に説明すると、推定部320は、サンプル指定部330により指定されたサンプル領域の特徴量を導出する。サンプル領域の特徴量は、サンプル領域の特徴を示す指標であって、具体的には、サンプル領域の色、模様、形状、大きさ等のうちの少なくとも1つのパラメータにより定められる。例えば、サンプル指定部330によりサンプル領域として領域N1が指定された場合、推定部320は、周知の画像処理のアルゴリズムを用いて、領域N1の色、模様、形状、大きさ等を取得することにより、領域N1の特徴量を導出する。
サンプル領域の特徴量を導出すると、推定部320は、第1の撮影画像51に含まれるサンプル領域以外の領域の特徴量を更に導出する。例えばサンプル領域が領域N1である場合、推定部320は、領域N2~N4とそれ以外の領域である背景領域とのそれぞれの特徴量を、領域N1と同様の手順で導出する。そして、推定部320は、サンプル領域の特徴量とサンプル領域以外の領域の特徴量との間の類似度を計算する。
ここで、2つの領域の特徴量の類似度は、2つの領域の特徴の類似の度合いであって、2つの領域の色、模様、形状、大きさ等のパラメータが近いほど大きい値を示す。例えば、推定部320は、サンプル領域とサンプル領域以外の領域との間における色、模様、形状、大きさ等のパラメータの差分を計算し、計算した差分を予め定められた比率で足し合わせることにより、類似度を計算する。そして、推定部320は、サンプル領域の特徴量との間の類似度が予め定められた閾値よりも大きい場合、その領域を進入不可領域と推定する。
例えば、サンプル領域が領域N1である場合、領域N1と同様に机、棚等が設置されている領域N2~N4は、第1の撮影画像51において領域N1と類似した特徴を示す。そのため、領域N1の特徴量と領域N2~N4のそれぞれの特徴量との間の類似度は、領域N1の特徴量と背景領域の特徴量との間の類似度に比べて、相対的に大きくなる。この場合、推定部320は、サンプル領域として指定された領域N1と、領域N1の特徴に類似する特徴を示す領域N2~N4とを、進入不可領域と推定する。推定部320は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。推定部320は、推定手段として機能する。
座標変換部340は、推定部320により推定された進入不可領域の座標を、予め定められた座標変換式に従って、室内空間2における座標に変換する。推定部320により推定された進入不可領域の座標は、図7に示した第1の撮影画像51における座標であって、2次元の座標系(U,V)により表される。これに対して、室内空間2における座標は、図3に示したフロアレイアウトにおける座標であって、2次元の座標系(X,Y)により表される。
座標系(U,V)と座標系(X,Y)との関係を定める座標変換式は、予め設定され、記憶部32に記憶されている。具体的には、座標変換式は、下記の(1)式及び(2)式のように、2つの関数F1(U,V)、F2(U,V)を用いて表すことができる。
X=F1(U,V) …(1)
Y=F2(U,V) …(2)
ここで、第1の撮影画像51における座標系(U,V)と室内空間2における座標系(X,Y)との関係は、室内空間2において撮影部23が設置されている位置、高さ及び向きと、撮影部23の画角の広さと、に応じて変化する。例えば、撮影部23が床面からより高い位置に設置されているほど、また撮影部23の画角がより広いほど、撮影部23による撮影範囲はより広くなる。そのため、上記(1)式及び(2)式における2つの関数F1(U,V)、F2(U,V)は、室内空間2において撮影部23が設置されている位置、高さ及び向きと、撮影部23の画角の広さと、に応じて定められる。座標変換部340は、これらのパラメータを作業者から入力受付部33を介して受け付け、受け付けたパラメータに従って座標変換式を予め設定する。
座標変換部340は、上記(1)式及び(2)式に従って、推定部320により推定された進入不可領域の座標を、室内空間2における座標に変換する。例えば領域N1~N4が進入不可領域として推定された場合、座標変換部340は、領域N1~N4の四隅の座標を室内空間2における座標に変換する。これにより、座標変換部340は、室内空間2における進入不可領域の位置を得る。座標変換部340は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。座標変換部340は、座標変換手段として機能する。
座標変換部340が第1の撮影画像51における進入不可領域の座標を室内空間2における座標に変換すると、推定部320は、変換後の進入不可領域の座標を示すデータを、推定データ60として記憶部32に保存する。
図8に、推定データ60の例を示す。図8に示すように、推定データ60は、推定部320により進入不可領域として推定された領域N1~N4のそれぞれについて、室内空間2の座標系(X,Y)で表される四隅の座標を格納している。このように、推定部320は、進入不可領域として推定された少なくとも1つの領域の座標を示す推定データ60を生成し、記憶部32に保存する。
(B)第2に、設備機器システム1の運用時について説明する。運用時において、設備機器システム1は、初期設定時に推定した進入不可領域の推定結果に基づいて、複数の空調機40により室内空間2を空調する。そのために、撮影画像取得部210は、撮影部23に室内空間2を撮影させることにより、第2の撮影画像を取得する。
図9に、運用時において撮影画像取得部210により取得された第2の撮影画像52の例を示す。第2の撮影画像52は、初期設定の後、すなわち第1の撮影画像51よりも後に撮影部23により室内空間2が撮影された画像である。
図9に示す第2の撮影画像52には、机、棚等が配置されている領域N1~N4に加えて、領域P1~P3が含まれている。これら領域P1~P3は、人が存在する可能性がある領域であって、周囲の領域に対して異なる温度を示している。
送信部220は、撮影画像取得部210により取得された第2の撮影画像52を、人検知装置30に送信する。具体的に説明すると、送信部220は、通信部25を介して人検知装置30と通信し、撮影画像取得部210により取得された第2の撮影画像52を示す送信情報を人検知装置30に送信する。人検知装置30において、受信部310は、撮影装置20から送信された第2の撮影画像52を受信する。
図6に戻って、識別部350は、受信部310により受信された第2の撮影画像52のうちから、人が存在する領域の候補である候補領域を識別する。具体的に説明すると、識別部350は、周知の画像処理のアルゴリズムを用いて、第2の撮影画像52を解析する。そして、識別部350は、第2の撮影画像52のうちから、人の特徴を有する少なくとも1つの領域を、候補領域として識別する。
ここで、人の特徴は、赤外線で撮影された熱画像における人が撮影された部分の特徴である。具体的には、人の特徴は、温度、形状、大きさ、時系列変化等のうちの少なくとも1つのパラメータにより定められる。
識別部350は、第2の撮影画像52のうちから、温度と形状と大きさと時系列変化とのうちの少なくとも1つが予め定められた基準を満たす領域が存在するか否かを判定する。予め定められた基準は、熱画像における典型的な人の特徴を表す基準であって、予め設定され、記憶部32に記憶される。
具体的に説明すると、識別部350は、第2の撮影画像52に含まれる各領域の温度、形状、大きさ、及び時系列変化を解析する。そして、識別部350は、第2の撮影画像52のうちの、典型的な人の温度、形状、大きさ、及び時系列変化を示す領域を、予め定められた基準を満たす領域であると判定し、その領域を候補領域として識別する。例えば図9に示したように、第2の撮影画像52に含まれる領域P1~P3のそれぞれを、候補領域として識別する。識別部350は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。識別部350は、識別手段として機能する。
座標変換部340は、識別部350により識別された候補領域の座標を、予め定められた座標変換式に従って、室内空間2における座標に変換する。ここで、第2の撮影画像52における候補領域の座標は、第1の撮影画像51における進入不可領域の座標と同じく、座標系(U,V)により表される。そのため、座標変換部340は、進入不可領域の変換と同様に、上記(1)式及び(2)式に従って、第2の撮影画像52における候補領域の中心位置の座標を、座標系(X,Y)により表される室内空間2における座標に変換する。
判定部360は、推定部320により推定された進入不可領域と、識別部350により識別された候補領域と、の位置関係が予め定められた条件を満たすか否かを判定する。そして、判定部360は、進入不可領域と候補領域との位置関係が予め定められた条件を満たす場合、室内空間2における候補領域に対応する位置に人が存在すると判定する。ここで、室内空間2における候補領域に対応する位置は、具体的には、第2の撮影画像52における候補領域の座標から座標変換部340により変換された座標により定められる位置である。
具体的に説明すると、判定部360は、推定部320により生成され、記憶部32に記憶されている推定データ60を参照する。そして、判定部360は、座標変換部340による候補領域の座標から変換された座標と、推定データ60に記憶されている進入不可領域の座標と、の間の距離を計算する。判定部360は、計算した距離に基づいて、座標変換部340による座標変換後の候補領域が、座標変換部340による座標変換後の進入不可領域の外側に位置しているか否かを判定する。
候補領域が進入不可領域の外側に位置している場合、判定部360は、進入不可領域と候補領域との位置関係が予め定められた条件を満たすと判定し、室内空間2における候補領域に対応する位置に人が存在すると判定する。例えば、図9に示した第2の撮影画像52において、候補領域として識別された領域P1,P2は、進入不可領域として推定された領域N1~N4の外側に位置している。この場合、判定部360は、室内空間2における領域P1,P2に対応する位置に人が存在していると判定する。このように候補領域が室内空間2における人が所在可能な範囲に位置している場合、判定部360は、その候補領域に対応する位置に、実際に人が存在していると判定する。
これに対して、候補領域が進入不可領域の内側に位置している場合、判定部360は、候補領域が進入不可領域の内側に予め定められた閾時間よりも長く位置しているか否かを更に判定する。判定の結果、候補領域が進入不可領域の内側に位置している時間が閾時間よりも長い場合、判定部360は、進入不可領域と候補領域との位置関係が予め定められた条件を満たすと判定し、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置に人が存在しないと判定する。
例えば、図9に示した第2の撮影画像52において、候補領域として識別された領域P3は、進入不可領域として推定された領域N2の内側に位置している。この領域P3が閾時間よりも長く領域N2内に滞在している場合、判定部360は、室内空間2における領域P3に対応する位置には、実際には人が存在しておらず、人に類似する特徴を示す人以外の物が存在していると判定する。
ここで、人に類似する特徴を示す人以外の物は、例えば、熱を有するプリンタ、テレビ等の機器、及び、人に持ち運ばれて移動するノート型のパーソナルコンピュータが挙げられる。
一方で、候補領域が進入不可領域の内側に位置している時間が閾時間よりも短い場合は、例えば人が机に寄り掛かった場合のように、通常は所在することが想定されないが、偶発的な原因で人が進入不可領域の内側に位置している状況である可能性が高い。そのため、この場合、判定部360は、進入不可領域と候補領域との位置関係が予め定められた条件を満たさないと判定し、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置に人が存在していると判定する。
このように、判定部360は、侵入不可領域に対する候補領域の相対的な位置関係に基づいて、第2の撮影画像52から識別された候補領域に実際に人が存在しているか否かを判定する。候補領域と進入不可領域との位置関係に基づいて人の存在を判定するため、人と類似する特徴を示す物が人であると誤って判定することを低減することができる。判定部360は、制御部31が記憶部32と協働することにより実現される。判定部360は、判定手段として機能する。
設備制御部370は、判定部360による判定結果に応じて、室内空間2に設置されている設備機器である複数の室内機42を制御する。第1に、設備制御部370は、判定部360により室内空間2における候補領域に対応する位置に人が存在すると判定された場合、室内空間2における人が存在すると判定された位置に応じて、複数の空調機40を制御する。
具体的に説明すると、設備制御部370は、複数の室内機42のうちの、領域P1に最も近い位置に設置されている室内機42を、制御対象の室内機42として選択する。例えば第2の撮影画像52において領域P1,P2に人が存在すると判定された場合、室内空間2に設置されている4つの室内機42のうち、領域P1に最も近い室内機42と、領域P2に最も近い室内機42とを、それぞれ制御対象の室内機42として選択する。
更に、設備制御部370は、制御対象の室内機42の風向きを調整する。例えば第2の撮影画像52において領域P1,P2に人が存在すると判定された場合、設備制御部370は、制御対象の室内機42の風向きを、領域P1,P2に対応する位置以外の向きに調整する。これにより、人に空調空気を直接当てないようにできるため、ドラフト感を低減させる。
第2に、設備制御部370は、室内空間2に存在すると判定された人の数に応じて、制御対象の室内機42を制御する。具体的に説明すると、設備制御部370は、室内空間2に存在すると判定された人の数がより多いほど、空調に大きな熱負荷を要するため、空調の強度をより強く設定する。ここで、空調の強度をより強く設定するとは、例えば、冷房の目標温度をより下げること、風量をより大きくすること等である。
また、設備制御部370は、判定部360により室内空間2に人が存在しないと判定された場合、言い換えると、室内空間2に存在すると判定された人の数が0であった場合、複数の室内機42の全てに空調を停止させる。これにより、不要に空調することを抑制し、省エネ性を向上させる。
このように制御対象の室内機42と制御内容とを決定すると、設備制御部370は、決定した制御内容に従って制御対象の室内機42に室内空間2を空調させる。具体的に説明すると、設備制御部370は、通信部35を介して制御対象の室内機42に対して、決定した制御内容を示す制御信号を送信する。制御対象の室内機42は、制御信号を受信すると、受信した制御信号に従って冷房、暖房等の運転モードと目標温度、風向き、風量等の空調パラメータとを決定し、室内空間2を空調する。設備制御部370は、制御部31が通信部35と協働することにより実現される。設備制御部370は、設備制御手段として機能する。
表示出力部380は、判定部360による判定結果を表示部34に表示する。具体的には、表示出力部380は、判定部360により室内空間2における候補領域に対応する位置に人が存在すると判定された場合、室内空間2における人が存在すると判定された位置を示す表示画像を表示する。
例えば、第2の撮影画像52のうちから領域P1,P2に人が存在すると判定された場合、表示出力部380は、図10に示す表示画像を表示部34に表示する。具体的に説明すると、表示出力部380は、図3に示した室内空間2のフロアレイアウトを表示部34に表示する。更に、表示出力部380は、室内空間2のフロアレイアウトにおける、人が存在すると判定された領域P1,P2に対応する位置に、人の存在を示すマークを表示する。一方で、表示出力部380は、人が存在しないと判定された領域P3に対応する位置には、何も表示しない。
また、表示出力部380は、複数の室内機42のうちの設備制御部370による制御対象の室内機42を、それ以外の室内機42とは異なる表示態様で表示する。例えば図10に示した表示画像において、表示出力部380は、人が存在すると判定された領域P1,P2に近い右側2つの室内機42が制御対象の室内機42である場合、右側2つの室内機42が設置されている領域に斜線を付して表示する。
また、図示は省略するが、表示出力部380は、制御対象の室内機42に対する制御内容を更に表示する。例えば、表示出力部380は、制御対象の室内機42を、その制御内容として決定した運転モード、設定温度、風量、風向き等を示す文字、記号、矢印等の情報を表示する。
このように、表示出力部380は、室内空間2のフロアレイアウトに重ねて人の位置情報を表示するため、室内空間2における人の位置情報を分かり易く在室者に通知することができる。また、表示出力部380は、更に制御対象の室内機42とその制御内容とを表示するため、室内空間2における空調の状況を分かり易く在室者に通知することができる。表示出力部380は、制御部31が表示部34と協働することにより実現される。表示出力部380は、表示出力手段として機能する。
以上のように構成された設備機器システム1において実行される処理の流れについて、図11及び図12に示すシーケンス図を参照して、説明する。
第1に、図11を参照して、初期設定時に実行される進入不可領域の推定処理について説明する。図11に示す処理は、室内空間2に人が存在していない状態において、作業者からの指示により開始される。
図11に示す処理を開始すると、まず撮影装置20において、制御部21は、撮影画像取得部210として機能し、室内空間2を撮影する(ステップS11)。具体的に説明すると、制御部21は、撮影部23に室内空間2を撮影させることにより、例えば図7に示したような、室内空間2に人が存在しない場合における熱分布を表す第1の撮影画像51を取得する。
第1の撮影画像51を取得すると、制御部21は、送信部220として機能し、取得された第1の撮影画像51を人検知装置30に送信する(ステップS12)。撮影装置20から第1の撮影画像51が送信されると、人検知装置30において、制御部31は、受信部310として機能し、送信された第1の撮影画像51を受信する。
人検知装置30において、制御部31は、第1の撮影画像51を受信すると、サンプル指定部330として機能し、受信した第1の撮影画像51のうちから、サンプル領域を指定する(ステップS13)。具体的に説明すると、制御部31は、作業者から受け付けた入力に従って、第1の撮影画像51のうちから、進入不可領域であることが予め判明している領域を、サンプル領域として指定する。
サンプル領域を指定すると、制御部31は、推定部320として機能し、第1の撮影画像51におけるサンプル領域の特徴量を導出する(ステップS14)。具体的に説明すると、制御部31は、サンプル領域の色、模様、形状、大きさ等のパラメータを取得し、取得したパラメータに基づいてサンプル領域の特徴量を導出する。
サンプル領域の特徴量を導出すると、制御部31は、第1の撮影画像51に含まれる進入不可領域を推定する(ステップS15)。具体的に説明すると、制御部31は、ステップS14で導出したサンプル領域に対して、特徴量の類似度が予め定められた閾値よりも大きい少なくとも1つの領域を、進入不可領域と推定する。
進入不可領域を推定すると、制御部31は、座標変換部340として機能し、推定された進入不可領域の座標を、上記(1)式及び(2)式に従って、第1の撮影画像51における座標から室内空間2における座標に変換する(ステップS16)。
進入不可領域の座標を変換すると、制御部31は、変換後の進入不可領域の座標を示す推定データ60を保存する(ステップS17)。例えば、制御部31は、図8に示したように、進入不可領域として推定された領域N1~N4の、室内空間2における座標を示す推定データ60を生成し、記憶部32に保存する。以上により、図11に示した進入不可領域の推定処理は終了する。
第2に、図12を参照して、運用時に実行される人検知及び空調制御処理について説明する。図12に示す処理は、初期設定における進入不可領域の推定処理が終了した後、複数の空調機40が正常に空調を実行可能な状態において、適宜のタイミングで繰り返し実行される。
図12に示す処理を開始すると、まず撮影装置20において、制御部21は、撮影画像取得部210として機能し、室内空間2を撮影する(ステップS21)。具体的に説明すると、制御部21は、撮影部23に室内空間2を撮影させることにより、例えば図9に示したような、室内空間2に人が存在する場合における熱分布を表す第2の撮影画像52を取得する。
第2の撮影画像52を取得すると、制御部21は、送信部220として機能し、第2の撮影画像52を人検知装置30に送信する(ステップS22)。撮影装置20から第2の撮影画像52が送信されると、人検知装置30において、制御部31は、受信部310として機能し、送信された第2の撮影画像52を受信する。
人検知装置30において、制御部31は、第2の撮影画像52を受信すると、識別部350として機能し、第2の撮影画像52のうちから候補領域を識別する(ステップS23)。具体的に説明すると、制御部31は、第2の撮影画像52のうちから、温度、形状、大きさ、時系列変化等のパラメータが人の特徴に対応する基準を満たす領域を探索する。そして、制御部31は、人の特徴に対応する基準を満たす少なくとも1つの領域が存在する場合、その領域を候補領域として識別する。
候補領域を識別すると、制御部31は、座標変換部340として機能し、識別された候補領域の座標を、上記(1)式及び(2)式に従って、第2の撮影画像52における座標から室内空間2における座標に変換する(ステップS24)。
候補領域の座標を変換すると、制御部31は、判定部360として機能し、室内空間2における人の存在を判定する(ステップS25)。ステップS25における判定処理の詳細は、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
図13に示す判定処理を開始すると、制御部31は、判定部360として機能し、ステップS23で識別された候補領域が、ステップS15で推定された進入不可領域の外側に位置しているか否かを判定する(ステップS251)。具体的に説明すると、制御部31は、ステップS17で保存された推定データ60を参照し、推定データ60に保存されている進入不可領域の座標と、ステップS24で変換された後の候補領域の座標と、を比較する。そして、制御部31は、候補領域が進入不可領域の外側に位置するか否かを判定する。
候補領域が進入不可領域の外側に位置している場合(ステップS251;YES)、制御部31は、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置に人が存在すると判定する(ステップS252)。
これに対して、候補領域が進入不可領域の内側に位置している場合(ステップS251;NO)、制御部31は、候補領域が進入不可領域の内側に閾時間よりも長く位置しているか否かを更に判定する(ステップS253)。
候補領域が進入不可領域の内側に閾時間よりも長く位置している場合(ステップS253;YES)、制御部31は、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置に人が存在しないと判定する(ステップS254)。一方で、候補領域が進入不可領域の内側に閾時間よりも長く位置していない場合(ステップS253;NO)、制御部31は、処理をステップS252に移行させ、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置に人が存在すると判定する。以上により、図13に示した室内空間2における人の存在の判定処理は終了する。
なお、ステップS23で複数の候補領域が識別された場合、制御部31は、識別された複数の候補領域のそれぞれについてステップS25の判定処理を実行し、各候補領域に人が存在するか否かを判定する。
図12に戻って、ステップS25で人の存在を判定すると、制御部31は、設備制御部370として機能し、判定結果に応じて空調機40を制御する(ステップS26)。具体的に説明すると、制御部31は、室内空間2に存在すると判定された人の位置と人の数とに応じて制御対象の室内機42と制御内容を決定する。そして、制御部31は、決定した制御内容で、制御対象の室内機42に空調させる。
空調機40を制御すると、制御部31は、表示出力部380として機能し、室内空間2における人の位置情報を表示部34に表示する(ステップS27)。制御部31は、例えば図10に示したように、室内空間2のフロアレイアウトにおける人が存在すると判定された位置に、人の存在を示すマークを表示する。これと共に、制御部31は、ステップS26で決定した制御対象の室内機42とその制御内容とを表示部34に表示する。以上により、図12に示した人検知及び設備制御処理は終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係る人検知装置30及び人検知システム10は、室内空間2が撮影された第1の撮影画像51における少なくとも1つの領域を進入不可領域として推定し、室内空間2が撮影された第2の撮影画像52のうちから人が存在する領域の候補である候補領域を識別し、進入不可領域と候補領域との位置関係に基づいて、室内空間2における候補領域に対応する位置に人が存在するか否かを判定する。このように、本実施の形態に係る人検知装置30及び人検知システム10は、進入不可領域と候補領域との位置関係に基づいて候補領域に実際に人が存在しているか否かを判定するため、人と類似した特徴を示す人以外の物を人であると誤判定することを低減することができる。その結果、室内空間2における人の検知精度を向上させることができる。更には、高い精度で検知した人の位置情報を用いて複数の空調機40を的確に制御することができるため、室内空間2の作業性及び快適性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る人検知装置30及び人検知システム10は、第1の撮影画像51のうちから進入不可領域のサンプルとなるサンプル領域を指定し、サンプル領域の画像に類似する少なくとも1つの領域を進入不可領域として推定する。これにより、作業者が進入不可領域を1つのみ指定すれば、残りの進入不可領域が自動的に推定されるため、特に室内空間2内に多数の進入不可領域が存在する場合に、作業者が多数の進入不可領域を指定する手間を低減することができる。
(変形例)
以上、実施の形態を説明したが、実施の形態に記載された事項を組み合わせたり、実施の形態に記載された事項を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
例えば、上記実施の形態では、推定部320は、第1の撮影画像51のうちから指定されたサンプル領域の画像に類似する少なくとも1つの領域を進入不可領域として推定した。しかしながら、進入不可領域のサンプルとなる画像は、第1の撮影画像51のうちから指定されることに限らない。例えば、進入不可領域のサンプルとなる画像は、撮影装置20による撮影画像とは別に用意され、予め記憶部32に記憶されていても良い。
また、サンプル領域は、室内空間2のフロアレイアウトから指定されても良い。この場合、サンプル指定部330は、例えば図3に示したフロアレイアウトを表示部34に表示する。作業者は、入力受付部33を操作して、表示部34に表示されたフロアレイアウトのうちから、進入不可領域であることが予め判明している領域をサンプル領域として指定する。サンプル指定部330は、作業者により指定されたサンプル領域の座標を、上記(1)式及び(2)式で表される座標変換式の逆変換式に従って、第1の撮影画像51における座標に変換する。そして、サンプル指定部330は、第1の撮影画像51における変換後の座標により示される領域を、サンプル領域として指定する。
上記実施の形態では、判定部360は、進入不可領域と候補領域とを、座標変換部340により室内空間2における座標に変換された後で比較することにより、室内空間2に人が存在するか否かを判定した。しかしながら、判定部360は、第1の撮影画像51における進入不可領域の座標と第2の撮影画像52における候補領域の座標とを直接比較することにより、室内空間2に人が存在するか否かを判定しても良い。
上記実施の形態では、判定部360は、候補領域が進入不可領域の内側に予め定められた閾時間よりも長く位置している場合、室内空間2におけるその候補領域に対応する位置には人が存在していないと判定した。しかしながら、判定部360は、この場合、座標変換部340による座標変換、又は、推定部320による進入不可領域の推定結果を補正しても良い。例えば、候補領域が進入不可領域の内側に閾時間よりも長く位置している場合、判定部360は、座標変換部340による座標変換後の候補領域の座標に誤りがあると判定して、座標変換式を補正しても良い。或いは、候補領域が進入不可領域の内側に閾時間よりも長く位置している場合、判定部360は、その進入不可領域が実際には人に進入される領域であると判定して、推定データ60に記憶されている進入不可領域のリストから削除しても良い。
上記実施の形態では、撮影装置20は、赤外線で室内空間2を撮影することにより、室内空間2の熱分布を示す熱画像を取得した。しかしながら、撮影装置20は、赤外線に限らず、例えば可視光で室内空間2を撮影することにより、可視画像を取得しても良い。そして、推定部320は可視画像内から進入不可領域を推定しても良いし、識別部350は、可視画像内から候補領域を識別しても良い。可視画像を用いることで、進入不可領域又は候補領域をより精度良く推定又は識別することが可能になる。
また、初期設定時の第1の撮影画像51と運用時の第2の撮影画像52とは、異なるカメラで撮影された撮影画像内における位置の対応をとることが可能であれば、異なるカメラによって撮影されても良い。例えば、初期設定時には可視光カメラを用いて第1の撮影画像51を取得し、運用時は赤外線カメラを用いて第2の撮影画像52を取得しても良いし、その逆であっても良い。この場合、可視光カメラと赤外線カメラとが合わせて撮影手段として機能する。
第1、第2の撮影画像51,52が異なるカメラにより撮影される場合、座標変換部340は、第1の撮影画像51における進入不可領域の座標と、第2の撮影画像52における候補領域の座標とを、それぞれ異なる座標変換式に従って室内空間2における座標に変換する。第1、第2の撮影画像51,52が異なるカメラにより撮影される場合であっても、進入不可領域の座標と候補領域の座標とが室内空間2における座標に変換されれば、判定部360は、上記実施の形態と同様の処理により、室内空間2に人が存在するか否かを判定することができる。
また、室内空間2には、1つの撮影装置20だけでなく、複数の撮影装置20が設置されていても良い。例えば、複数の撮影装置20が間隔を空けて設置されており、複数の撮影装置20により、室内空間2内の広いエリアを相補的に撮影しても良い。室内空間2に複数の撮影装置20が設置されている場合、第1の撮影画像51と第2の撮影画像52とは、別の撮影装置20により撮影されたものであっても良い。
また、撮影装置20は、撮影部23を回転させてその光軸の向きを変化させる回転駆動部を備えており、撮影部23を回転させながら室内空間2を撮影しても良い。言い換えると、第1、第2の撮影画像51,52は、光軸が固定された撮影部23により撮影された画像であることに限らず、撮影部23がその光軸を変えながら撮影した、いわゆるパノラマ化された画像であっても良い。
上記実施の形態では、室内空間2内に複数の室内機42が設置されていた。しかしながら、室内空間2内に1つのみの室内機42が設置されていても良い。すなわち、設備機器システム1が備える室内機42の個数は1つであっても良い。また、空調機40は、1つの室外機41に対して複数の室内機42が接続された、いわゆるマルチエアコンであっても良い。
上記実施の形態では、設備機器システム1における設備機器は、空調機40であった。しかしながら、設備機器は、空調機40に限らず、例えば対象空間を照明する照明機器であっても良い。設備機器が照明機器である場合の制御は、設備機器が空調機40である場合の制御と同様に説明することができる。例えば、設備制御部370は、判定部360により室内空間2に人が存在すると判定された場合、複数の照明機器のうちの、その人の位置に最も近い照明機器を点灯させる。また、設備制御部370は、判定部360により室内空間2に人が存在しないと判定された場合、照明機器を消灯させる。
上記実施の形態では、撮影装置20と人検知装置30とは別の独立した装置であった。しかしながら、撮影装置20が人検知装置30の機能の一部又は全部を備えていても良い。例えば、撮影装置20が、推定部320又は識別部350の機能を備えていても良い。撮影装置20が推定部320の機能を備える場合、撮影装置20は、第1の撮影画像51における進入不可領域を推定し、推定した進入不可領域の座標を示す送信情報を人検知装置30に送信する。また、撮影装置20が識別部350の機能を備える場合、撮影装置20は、第2の撮影画像52のうちから候補領域を識別し、識別した候補領域の座標を示す送信情報を人検知装置30に送信する。このように、人検知システム10における各機能を撮影装置20と人検知装置30とのどちらが備えていても良い。
上記実施の形態では、制御部21,31において、CPUがROM又は記憶部22,32に記憶されたプログラムを実行することによって、図6に示した各部として機能した。しかしながら、制御部21,31は、専用のハードウェアであってもよい。専用のハードウェアとは、例えば単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせ等である。制御部21,31が専用のハードウェアである場合、各部の機能それぞれを個別のハードウェアで実現してもよいし、各部の機能をまとめて単一のハードウェアで実現してもよい。
また、各部の機能のうち、一部を専用のハードウェアによって実現し、他の一部をソフトウェア又はファームウェアによって実現してもよい。このように、制御部21,31は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又は、これらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
本開示に係る撮影装置20又は人検知装置30の動作を規定する動作プログラムを既存のパーソナルコンピュータ又は情報端末装置等のコンピュータに適用することで、当該コンピュータを、撮影装置20又は人検知装置30として機能させることも可能である。
また、このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD-ROM(Compact Disk ROM)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical Disk)、又は、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。