次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に電子部品を装着して実装基板を製造する機能を有している。部品実装システム1は、以下に説明する複数の部品実装用装置が連結された部品実装ライン1aと、これらの複数の部品実装用装置と通信ネットワーク2を介して接続された上位システム3およびデータ作成装置4を備えている。上位システム3は部品実装ライン1aとの間でデータを授受するサーバーとしての機能を有している。データ作成装置4は、部品実装ライン1aの各装置で使用される実装データや認識データなどの生産データを作成する機能を有している。
部品実装ライン1aの構成を説明する。部品実装ライン1aは、基板供給装置M1、基板受渡装置M2、印刷装置M3、印刷検査装置M4、部品実装装置M5、M6、装着状態検査装置M7、リフロー装置M8および基板回収装置M9を直列に接続して構成されている。
基板供給装置M1によって供給された基板は基板受渡装置M2を介して印刷装置M3に搬入され、ここで基板に部品接合用の半田をスクリーン印刷する半田印刷作業が行われる。半田印刷後の基板は印刷検査装置M4に受け渡され、ここで基板上に印刷された半田の印刷検査作業が行われる。印刷検査後の基板は部品実装装置M5、M6に順次受け渡され、ここで半田印刷後の基板に対して部品を装着する装着作業が実行される。
部品装着後の基板は装着状態検査装置M7に搬入され、ここで基板上に装着された部品の装着状態検査作業が行われる。そして装着状態検査が終わった基板はリフロー装置M8に搬入され、ここで所定の加熱プロファイルに従って加熱されることにより部品接合用の半田が融解固化する。これにより部品が基板に半田接合されて、基板に部品を実装した実装基板が完成し基板回収装置M9に回収される。
図2を参照して、部品実装装置M5、M6の構成を説明する。図2において、基台5の上面には、基板搬送機構6がX方向(基板搬送方向)に配設されており、基板搬送機構6は部品実装対象となる基板7を搬送して、以下に説明する部品実装機構による作業位置に位置決め保持する。基板搬送機構6の両側方には、基板7に実装される部品を供給する部品供給部8A、8Bが配設されている。
部品供給部8Aにはトレイフィーダ9が、部品供給部8Bには複数のテープフィーダ11が配置されている。トレイフィーダ9は部品20が格子配列で格納されたトレイ10を、部品実装機構による部品取出し位置に供給する。これにより、トレイ10に保持された部品20は部品実装機構の装着ヘッドによるピックアップ位置に送られる。またテープフィーダ11は部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、部品を部品実装機構に供給する。
基台5のX方向の一端部には、リニアモータ駆動のY軸移動テーブル13がY方向に配置されている。Y軸移動テーブル13には、2基のX軸移動テーブル14A、14Bが、それぞれ部品供給部8A、8Bに対応して、Y方向に移動自在に結合されている。X軸移動テーブル14A、14Bには装着ヘッド15A、15Bが、リニア駆動機構によってX方向に移動自在に装着されている。装着ヘッド15A、15Bはいずれも複数の単位移載ヘッド16を備えた多連型ヘッドであり、それぞれの単位移載ヘッド16の下端部には吸着ノズル16a(図3参照)が交換自在に装着されている。
Y軸移動テーブル13およびX軸移動テーブル14Aを駆動することにより、装着ヘッド15Aは部品供給部8Aと基板搬送機構6に保持された基板7との間で水平移動する。これにより、トレイ10に格納された部品20を吸着ノズル16aによって吸着保持してピックアップし、基板7に装着する。Y軸移動テーブル13およびX軸移動テーブル14Bを駆動することにより、装着ヘッド15Bは部品供給部8Bと基板7との間で水平移動する。これにより、テープフィーダ11によってピッチ送りされたキャリアテープから部品を吸着ノズル16aによって吸着保持して取り出して、基板7に装着する。したがってY軸移動テーブル13、X軸移動テーブル14A、14B、装着ヘッド15A、15Bは、単位移載ヘッド16の吸着ノズル16aによって部品を吸着保持して基板7に実装する部品実装機構12(図4参照)を構成する。
装着ヘッド15A、15Bには、X軸移動テーブル14A、14Bの下面側に位置して装着ヘッド15A、15Bと一体的に移動する基板認識カメラ17が設けられている。基板認識カメラ17は装着ヘッド15A、15Bとともに基板7の上方に移動し、ここで基板認識カメラ17によって基板7を撮像することにより、基板7の位置認識が行われる。また部品供給部8A、8Bにおいて基板認識カメラ17によって部品20を撮像することにより、後述する部品品番の文字、ロット番号の文字の認識が行われる。
部品供給部8A、8Bと基板搬送機構6との間には、部品認識カメラ18が配設されている。部品を保持した装着ヘッド15A、15Bが部品認識カメラ18の上方を移動することにより、部品認識カメラ18はこれらの部品を撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、装着ヘッド15A、15Bに保持された状態における部品の識別や位置認識が行われる。
次に図3を参照して、部品実装装置M5、M6における部品装着動作および部品装着動作に際して実行される部品認識動作について説明する。本実施の形態においては、部品供給部8A、8Bから部品を取り出す際には、部品に印字された部品番号および当該部品を個別に識別する部品情報であるロット番号を認識する。
そして認識された部品番号を正規の部品番号と対比することにより異種部品を実装する誤実装を防止するとともに、認識されたロット番号を生産履歴を示すトレースデータとして上位システム3に転送するようにしている。なお、ここでは部品供給部8Aを対象とする部品装着動作を例に説明しているが、部品供給部8Bを対象とする場合においても同様である。
部品取り出しに際しては、部品実装機構12を駆動して、図3(a)に示すように、装着ヘッド15Aを部品供給部8Aに移動させる。そしてトレイ10に収納された取り出し対象の部品20を単位移載ヘッド16の吸着ノズル16aによって吸着する前に、基板認識カメラ17を部品20の上方に位置させて、部品20を撮像する。
図3(b)に示すように、部品20の上面には極性マーク20aが設けられており、さらに部品品番文字列22、ロット番号文字列23が印字されている。部品品番文字列22、ロット番号文字列23は、トレイ10の上面に予め設定された領域22a、領域23a内に印字されている。部品20を撮像した画像において、領域22a、領域23a内の画像情報を取り込むことにより、部品品番文字列22、ロット番号文字列23の文字画像を取得することができる。
そして部品品番文字列22の文字認識において正規の部品品番との一致が確認された部品20は、部品装着の対象となる。すなわち単位移載ヘッド16を当該部品20の上方に移動させ、吸着ノズル16aによって部品20を吸着保持する。そして部品20を保持した単位移載ヘッド16を、部品認識カメラ18の上方に移動させ、装着ヘッド15Aにおけるトレイ10の位置ずれを検出した後、図3(c)に示すように、単位移載ヘッド16を基板7の上方に移動させ、保持した部品20を基板7の実装点に装着する。
次に図4を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。なお、ここでは部品実装システム1を構成する設備のうち、部品実装装置M5、M6に関連する要素のみについて説明している。図4において、部品実装装置M5、M6の通信インターフェイスである通信部30は、部品20を介して上位システム3およびデータ作成装置4と接続されている。
上位システム3はトレースデータベース3aを備えたサーバーであり、部品実装装置M5、M6から転送される生産履歴情報、すなわち個々の基板を特定する基板情報や製造年月日および各基板に装着された部品の部品品番、ロット番号などのデータをトレースデータとして記憶する。データ作成装置4は、部品実装装置M5、M6における実装基板の生産に使用されるデータ、すなわち実装データや認識データなどの生産データを作成する。作成されたデータは通信ネットワーク2を介して部品実装装置M5、M6にダウンロードされる。
部品実装装置M5、M6の構成を説明する。部品実装装置M5、M6は制御部31、記憶部32、機構駆動部39、認識処理部40を備えている。制御部31は演算処理機能を備えたCPUであり、記憶部32に記憶された各種のデータに基づき、実装基板の生産のための各種の処理や動作を制御する。機構駆動部39はドライバであり、基板搬送機構6、部品供給部8A、部品実装機構12を駆動する。認識処理部40は、基板認識カメラ17、部品認識カメラ18によって撮像した画像を認識処理する。ここで、認識処理部40は部品20や基板7の位置認識を目的とした認識処理を実行し、部品20に印字された部品品番文字列22やロット番号文字列23の認識処理は、制御部31が備えた専用の認識処理機能によって行われる。
記憶部32に記憶されるデータについて説明する。記憶部32は生産データ記憶部36、取得文字画像記憶部38を備えている。生産データ記憶部36には、データ作成装置4によって生成されたデータが転送される。生産データ記憶部36は実装データ36a、基板情報36b、認識データ37を記憶する。基板情報36bは、生産対象となる基板の種類やサイズ、基板IDなどを含む情報である。実装データ36aは、各基板に実装される部品の部品名、部品品番文字列22、ロット番号文字列23や、基板における装着位置データ、部品供給部8A、8Bにおける部品の供給形態などを示すデータである。なお本実施の形態では、以下に説明する認識データ37を、生産データ記憶部36に記憶される生産データの一部として定義している。
認識データ37は、誤実装防止のための部品品番の認識、トレースデータ取得のためのロット番号の認識に用いられるデータである。認識データ37には、認識対象データ37a、部品品番文字タイプ情報37b、ロット番号文字タイプ情報37cおよび認識パラメータ37dが含まれている。認識対象データ37aは、個々の部品に印字された部品品番文字列22が検査対象となる(品番検査ON)か否か、またロット番号文字列23が認識対象となる(文字認識ON)か否かを特定する。これとともに、検査または認識対象となる場合には、部品品番文字列22、ロット番号文字列23が印字される領域22a、領域23a(図3(b)参照)を特定する領域指定データを含んでいる。
部品品番文字タイプ情報37bは、部品品番文字列22を構成する各文字の桁位置ごとの文字タイプを規定する情報である。ここで文字タイプとしては、英大文字、英子文字、数字の3タイプが用いられている。すなわち、記憶部32は、正規の部品品番の桁ごとの文字タイプの種別を規定する文字タイプ情報を記憶する。本実施の形態においては、後述する文字タイプ情報生成部34cの処理機能により、ユーザが入力した正規の部品品番文字列22に基づいて、自動的に文字タイプ情報を生成するようにしている。
ロット番号文字タイプ情報37cは、ロット番号文字列23を構成する各文字の桁位置ごとの文字タイプを規定する情報である。ここでも同様に、英大文字、英子文字、数字の3タイプが用いられている。なお必要がある場合には、これらの3タイプに加えてスラッシュやハイフンなどの記号を用いるようにしてもよい。すなわちここで用いられる文字タイプは、少なくとも数字とアルファベットである英大文字、英子文字とを含む形態となっている。
認識パラメータ37dは、部品品番文字列22、ロット番号文字列23を構成する各文字を個別に認識するための認識条件を規定するパラメータである。この認識パラメータには、文字の向き、文字の明暗、サイズなどが含まれる。取得文字画像記憶部38は、部品品番文字列22、ロット番号文字列23の文字認識のために撮像された複数の文字画像を記憶する。以下に述べる部品品番認識部34a、ロット番号認識部35aによる認識処理では、取得文字画像記憶部38に記憶された文字画像が読み出されて認識処理の対象となる。
制御部31は、実装制御部33、部品品番検査処理部34、トレースデータ処理部35を備えている。実装制御部33が実装データ36a、基板情報36bに基づいて機構駆動部39を制御することにより、基板搬送機構6、部品供給部8A、部品実装機構12が駆動され、これにより部品装着動作が実行される。
部品品番検査処理部34は認識対象データ37a、部品品番文字タイプ情報37b、認識パラメータ37dに基づいて、部品品番検査、すなわち検査対象となる部品の部品品番が正規の部品品番と一致するか否かの検査を行う。部品品番検査処理部34は、部品品番認識部34a、正規部品判定部34b、文字タイプ情報生成部34cを備えている。部品品番認識部34aは、部品の表面に印加された部品品番の文字を基板認識カメラ17によって撮像し、撮像された桁ごとの文字画像を記憶部32に記憶された部品品番文字タイプ情報37bに基づいて認識処理することにより、部品品番を認識する機能を有している。
正規部品判定部34bは、部品品番認識部34aによって認識された部品品番文字列22が正規の部品品番と一致するか否かを判定する。そして、正規部品判定部34bによって部品品番文字列22が正規の部品品番と一致すると判定された場合に、装着ヘッド15A、15Bは、当該部品20を基板7に装着するようになっている。
文字タイプ情報生成部34cは、ユーザによって入力された正規の部品品番を基に、自動的に文字タイプ情報を作成する処理を行う。すなわち、入力された部品品番の各桁の文字の識別結果から文字タイプを判断して、各桁ごとの文字タイプを規定する文字タイプ情報を作成する。
トレースデータ処理部35は、認識対象データ37a、ロット番号文字タイプ情報37c、認識パラメータ37dに基づいて、トレースデータ処理、すなわちトレースデータの対象となる部品のロット番号文字列23を認識し、認識結果を出力する処理を行う。トレースデータ処理部35はロット番号認識部35a、データ出力部35bを備えている。
ロット番号認識部35aは部品情報認識部であり、部品20の表面に印字された部品情報であるロット番号文字列23の文字を基板認識カメラ17によって撮像してロット番号文字列23を認識する。この認識においてロット番号認識部35aは、記憶部32に記憶されたロット番号文字タイプ情報37cに基づいて、ロット番号文字列23を認識するようになっている。ロット番号文字タイプ情報37cは、ユーザによってデータ作成装置4を介して入力される。
そしてデータ出力部35bは、ロット番号認識部35aによって認識されたロット番号文字列23を、当該部品20が装着された基板7の基板情報36bとともに、サーバーである上位システム3に出力する。このデータ出力において、データ出力部35bは、部品情報であるロット番号文字列23や基板情報36bとともに、当該基板7が製造された製造年月日の情報を上位システム3に出力するようになっている。これにより、製造履歴を製造年月日で特定するトレースデータを作成することができる。
次に認識データ37に記憶される認識データをデータ作成装置4によって作成する認識データ作成処理を、図5のフローに即して説明する。先ず、部品品番文字検査、ロット番号文字認識のON/0FFを設定する(ST1)。これにより、基板7に実装される実装対象部品のうち、誤実装防止のための検査が必要とされる部品、トレースデータに生産履歴を記録することが必要とされる部品が特定される。
次に、部品品番文字、ロット番号文字が印字された領域を指定する(ST2)。すなわち図3(b)に示す領域22a、領域23aの位置が入力され、取得文字画像において文字認識の対象となる領域が特定される。次に正しい部品品番文字およびロット番号文字列の文字タイプを入力する(ST3)。部品品番文字については、図9(a)に示すように、桁番号22bの各番号ごとに個別の部品品番文字を対応させた部品品番文字列22が入力される。この部品品番文字列、ロット番号文字列の文字タイプの入力は、ユーザによって行われる。
またロット番号文字列の文字タイプについては、図10(a)に示すように、桁番号22bの各番号ごとに英大文字、英子文字、数字の区分を対応させたロット番号文字タイプ情報37cが入力される。なお、ロット番号文字列の文字タイプでは、桁番号22bの同一番号に2種類の文字タイプ(例えば英大文字と数字)を対応させるようにしてもよい。これは、ロット番号文字列に製造月を含む場合において、11月など2桁により月を特定する数字の替わりに、当該数字に英大文字を対応させて用いる場合があることなどによる。
次に、部品品番文字検査、ロット番号文字認識に用いられる認識パラメータの設定を行う(ST4)。ここでは、印字された状態における文字の向き、文字のサイズ、文字の明暗や色調など、画像認識時において識別条件となる項目が入力される。そしてこのようにして作成されたデータを部品実装装置へ転送し、認識データ37に記憶する(ST5)。
次に本実施の形態に示す部品実装システム1において実行される実装動作について、図6のフローに則して説明する。実装動作が開始されると、先ず実装対象部品の部品品番文字検査を実行する(ST20)。すなわち実装対象部品が正規の部品品番を有する正しい部品であるか否かを検査する。次いで検査結果はOKであるか否かが判断される(ST21)。ここで検査結果がNGであれば、検査結果NG画面を部品実装装置M5、M6が備えた表示部に表示して、設備を一旦停止する(ST22)。そして検査結果がNGの部品を正しい部品に交換した後、(ST20)に戻って検査を再度実行する。
(ST20)にて検査結果がOKであれば、実装対象部品のロット番号文字認識を実行する(ST24)。この後、実装対象部品の吸着を行う(ST25)。すなわち、単位移載ヘッド16の吸着ノズル16aによって部品20を吸着保持する。次いで実装対象部品の装着が行われる(ST26)。すなわち、装着ヘッド15A、15Bを基板7へ移動させて、図3(c)に示すように、単位移載ヘッド16に保持した部品20を基板7の実装点に装着する(ST26)。
次いで全ての実装対象部品の装着が完了したか否かを判断する(ST27)。ここでNOであれば、(ST20)以降の処理を反復実行する。(ST27)にて全ての実装対象部品の装着完了を確認したならば、認識した全部品のロット番号認識文字列を、トレースデータ(生産履歴データ)として、データ出力部35bによってサーバー(上位システム3)へデータ出力する。そして上位システム3に転送されたトレースデータはトレースデータベース3a(図4)に記憶される。これにより、実装動作を終了する。
次に図6にて(ST20)に示す部品品番文字検査の詳細について、図7のフローおよび図9を参照して説明する。図7において、先ず認識対象データ37aに記憶されたデータを参照することにより、対象となる部品が品番検査ONとして指定されているか否かを判断する(ST30)。ここで品番検査ONに該当する部品について、以下の処理が実行される。品番検査ONでない部品については以下の処理をスキップする。
先ず、生産データ記憶部36に記憶された生産データから、当該部品の部品品番文字列を取得する(ST31)。これにより、図9(a)に示すように、桁番号22bの各桁に品番番号を構成する文字を対応させた部品品番文字列22が取得される。次に取得した部品品番文字列から、各桁位置の文字タイプ情報を生成する(ST32)。これにより、図9(b)に示すように、桁番号22bの各桁に各桁位置の文字タイプを対応させた部品品番文字タイプ情報37bが生成される。この処理は、制御部31が備えた文字タイプ情報生成部34cの処理機能により実行される。生成された部品品番文字タイプ情報37bは、認識データ37に記憶される。すなわち、ここでは正規の部品品番の桁ごとの文字タイプの種別を規定する文字タイプ情報を記憶する(記憶工程)。
次いで部品品番文字が印字された領域の画像を取得する(ST33)。すなわち図9(c)に示すように、部品20の上面において部品品番文字列22が印字された領域22aの撮像画像を、取得文字画像記憶部38から取得する。ここでは、各桁位置の文字を複数回の認識処理によって確定するため、各回の認識処理に用いられる複数の候補分の画像を取得する。
図9(d)は、このようにして取得された複数(ここでは2つ)の候補分の画像(「候補1」22c1、「候補2」22c2)を例示している。「候補1」22c1では、桁位置1~6に対応して、A8CO12の各文字が取得されている。また「候補2」22c2では、桁位置1~6に対応して、RBE0I6の各文字が取得されている。
そして取得された撮像画像から各桁位置の文字候補を認識する(ST34)。ここでは、各桁位置の文字を確定するための認識処理が各桁ごとに順次実行される。すなわち部品20の表面に印加された部品品番の文字を撮像し、撮像された桁ごとの文字画像を記憶部32に記憶された部品品番文字タイプ情報37bに基づいて認識処理することにより、部品品番文字列22を認識する(部品品番認識工程)。
この処理では、複数桁の文字を認識対象として複数の認識画像を認識文字候補として認識処理が実行される。このため、各桁位置を順次対象とするための処理順を示すインデックスNが、また各認識文字候補を順次対象とするための処理順を示すインデックスMが設定される。
まず最初に、N=1に設定し(ST35)、1桁目の文字タイプを取得する(ST36)。ここでは、図9(b)に示す部品品番文字タイプ情報37bから、1桁目の文字タイプ「英大文字」が取得される。次いでM=1に設定し(ST37)、1桁目の第1番目の認識文字候補を取得する(ST38)。ここでは、「候補1」22cの1桁目の英大文字の「A」が取得される。そして文字タイプの一致を判断する(ST39)。すなわち取得した認識文字候補の文字タイプと文字タイプ情報に示される文字タイプを比較する。
ここで文字タイプが一致するならば、1桁目の認識文字を確定する(ST40)。ここに示す例では、取得した認識文字候補の文字タイプ(英大文字)と文字タイプ情報に示される文字タイプ(英大文字)とが一致していることから、1桁目の認識文字は英大文字の「A」であることが確定される(図9(d)に示す「候補1」22c1にて、丸印を付された英大文字「A」参照)。
(ST39)にて文字タイプが一致しない場合には、Mを歩進させてM=M+1に設定し(ST41)、次の第2番目の認識文字候補を取得する(ST38)。例えば、「候補1」22c1の2桁目の認識文字候補では、文字タイプ情報に示される文字タイプ(英大文字)とは異なる数字の「8」が取得されて、(ST39)の文字タイプの一致判断において不一致と判断される。
この場合には、「候補2」22c2の2桁目の英大文字の「B」が取得され、(ST39)の文字タイプの一致判断において、取得した認識文字候補の文字タイプ(英大文字)と文字タイプ情報に示される文字タイプ(英大文字)を比較する。ここでは文字タイプが一致していることから、2桁目の認識文字は英大文字の「B」であることが確定される(図9(d)に示す「候補2」22c2にて、丸印を付された英大文字「B」参照)。
上述の処理において、部品品番認識部34aは、認識処理に際し撮像されて取得文字画像記憶部38に記憶された桁ごとの文字画像から、予め付された優先順位に従って複数の候補を順次抽出する。そして優先順位の最も高い第1の候補(「候補1」22c1)の認識文字の文字タイプが、記憶部32に部品品番文字タイプ情報37bとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合には、当該第1の候補の認識文字を部品品番の文字として採用する。
そして部品品番認識部34aは、優先順位の最も高い第1の候補(「候補1」22c1)の認識文字の文字タイプが記憶部32に部品品番文字タイプ情報37bとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致せず、第1の候補の次に優先順位の高い第2の候補(「候補2」22c2)が、記憶部32に部品品番文字タイプ情報37bとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合には、第2の候補の認識文字を部品品番の文字として採用する。
このようにして対象となる各桁位置の文字候補について同様の認識処理を反復実行する。ここでは、図9(d)に示す「候補1」22c1の認識文字候補のうち、1桁目、3桁目、5桁目および6桁目の認識文字候補が、部品品番文字タイプ情報37bとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合を示している。すなわち「候補1」22c1においてそれぞれ丸印を付された1桁目(英大文字A)、3桁目(英大文字C)、5桁目(数字1)および6桁目(数字2)の各文字の文字タイプが部品品番文字タイプ情報37bに示される文字タイプと一致している。これにより、これらの認識文字が部品品番文字列22の文字として採用される。
これに対し、「候補1」22c1の認識文字候補のうち、4桁目の認識文字候補(英大文字O)の文字タイプは、部品品番文字タイプ情報37bとして記憶された該当する部品品番の桁の文字タイプ(数字)と異なっている。このため、次に優先順位の高い第2の候補(「候補2」22c2)において該当する4桁目の認識文字候補(数字0)の文字タイプが比較の対象となる。ここではいずれも文字タイプは数字であることから、認識文字候補(数字0)を認識した認識文字が部品品番文字列22の文字として採用される。
すなわち上述の認識処理では、(ST38)、(ST39)を反復実行することにより、N桁目の認識文字を確定する(ST40)。そして全ての桁の認識文字が確定したか否かを判断し(ST42)、全ての桁の認識文字の確定が確認されることにより、図9(e)に示すように、これらの認識文字よりなる認識文字列22Rが確定する(ST44)。
そしてこのようにして確定された認識文字列22Rは、記憶部32に記憶された部品品番文字列と一致するか否かの判断の対象となる(ST45)。すなわち部品品番認識工程において認識された部品品番が、正規の部品品番と一致するか否かを判定する(正規部品判定工程)。ここで一致が確認されたならば検査結果OKと判定され(ST46)、図6の(ST24)に進む。
そして以下に説明する(ST24)を経た後、実装対象部品の吸着(ST25)、実装対象部品の装着(ST16)に至る。すなわち正規部品判定工程において部品品番が正規の部品品番と一致すると判定された場合に、部品20を基板7に装着する(装着工程)。また不一致であれば検査結果NGと判定され(ST47)、図6の(ST22)に進む。
次に図6にて(ST24)に示すロット番号文字認識の詳細および部品実装装置M5、M6を含む部品実装システム1において生産履歴データを取得するトレースデータの取得方法について、図8のフローおよび図10を参照して説明する。図8において、先ず認識対象データ37aに記憶されたデータを参照することにより、対象となる部品がロット番号文字認識ONとして指定されているか否かを判断する(ST50)。そしてここでロット番号文字認識ONに該当する部品について、以下の処理が実行される。ロット番号文字認識ONでない部品については以下の処理をスキップする。
先ず、生産データ記憶部36に記憶された生産データから、当該部品のロット番号文字の各桁位置の文字タイプ情報を取得する(ST51)。すなわち図10(a)に示すように、桁番号23bの各桁位置にロット番号を構成する文字の文字タイプを対応させたロット番号文字タイプ情報37cが取得される。ロット番号文字タイプ情報37cは予めユーザの入力によりデータ作成装置4を用いて作成され、記憶部32に予め記憶されている。すなわち、ここでは正規の部品情報であるロット番号の桁ごとの文字タイプの種別を規定する文字タイプ情報を記憶する(記憶工程)。
次いでロット番号文字が印字された領域の画像を取得する(ST52)。すなわち図10(b)に示すように、部品20の上面においてロット番号文字列23が印字された領域23aの撮像画像を取得文字画像記憶部38から取得する。ここでは、各桁位置の文字を複数回の認識処理によって確定するため、各回の認識処理に用いられる複数の候補分の画像を取得する。
図10(c)は、このようにして取得された複数(ここでは2つ)の候補分の画像(「候補1」23c1、「候補2」23c2)を例示している。「候補1」23c1では、桁位置1~5に対応して、8R46Bの各文字が取得されている。また「候補2」22c2では、桁位置1~5に対応して、BB688の各文字が取得されている。
そして取得された撮像画像から各桁位置の文字候補を認識する(ST53)。ここでは、各桁位置の文字を確定するための認識処理が各桁ごとに順次実行される。すなわち部品20の表面に印加されたロット番号の文字を撮像し、撮像された桁ごとの文字画像を記憶部32に記憶されたロット番号文字タイプ情報37cに基づいて認識処理することにより、ロット番号文字列23を認識する(部品情報認識工程)。
この処理では、複数桁の文字を認識対象として複数の認識画像を認識文字候補として認識処理が実行される。このため、各桁位置を順次対象とするための処理順を示すインデックスNが、また各認識文字候補を順次対象とするための処理順を示すインデックスMが設定される。
まず最初に、N=1に設定し(ST54)、1桁目の文字タイプを取得する(ST55)。ここでは、図10(a)に示すロット番号文字タイプ情報37cから、1桁目の文字タイプ「英大文字」が取得される。次いでM=1に設定し(ST56)、1桁目の第1番目の認識文字候補を取得する(ST57)。ここでは、「候補1」23c1の1桁目の数字の「8」が取得される。そして文字タイプの一致を判断する(ST58)。すなわち取得した認識文字候補の文字タイプと文字タイプ情報に示される文字タイプを比較する。
ここに示す例では、取得した認識文字候補の文字タイプ(数字)と文字タイプ情報に示される文字タイプ(英大文字)とが一致していないことから、Mを歩進させてM=M+1に設定し(ST60)、次の第2番目の認識文字候補を取得する(ST57)。すなわち図10(c)に示す「候補2」23c2の1桁目の英大文字の「B」が取得される。そして(ST58)の文字タイプの一致判断において、取得した認識文字候補の文字タイプ(英大文字)と文字タイプ情報に示される文字タイプ(英大文字)を比較する。ここでは文字タイプが一致していることから、1桁目の認識文字は英大文字の「B」であることが確定される(図9(c)に示す「候補2」23c2にて、丸印を付された英大文字「B」参照)。
上述の処理において、ロット番号認識部35aは、認識処理に際し撮像されて取得文字画像記憶部38に記憶された桁ごとの文字画像から、予め付された優先順位に従って複数の候補を順次抽出する。そして優先順位の最も高い第1の候補(「候補1」23c1)の認識文字の文字タイプが記憶部32にロット番号文字タイプ情報37cとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合には、当該第1の候補の認識文字をロット番号の文字として採用する。
そしてロット番号認識部35aは、優先順位の最も高い第1の候補(「候補1」23c1)の認識文字の文字タイプが記憶部32にロット番号文字タイプ情報37cとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致せず、第1の候補の次に優先順位の高い第2の候補(「候補2」23c2)が記憶部32にロット番号文字タイプ情報37cとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合には、第2の候補の認識文字をロット番号の文字として採用する。
このようにして対象となる各桁位置の認識文字候補について同様の認識処理を反復実行する。ここでは、図10(c)に示す「候補1」23c1の認識文字候補のうち、2桁目、3桁目および4桁目の認識文字候補が、ロット番号文字タイプ情報37cとして記憶された該当する桁の文字タイプと一致する場合を示している。すなわち「候補1」23c1においてそれぞれ丸印を付された2桁目(英大文字R)、3桁目(数字4)および4桁目(数字6)の各文字の文字タイプがロット番号文字タイプ情報37cに示される文字タイプと一致している。これにより、これらの認識文字がロット番号の文字として採用される。
これに対し、「候補1」23c1の認識文字候補のうち、5桁目の認識文字候補(英大文字B)の文字タイプは、ロット番号文字タイプ情報37cとして記憶された該当するロット番号の桁の文字タイプ(数字)と異なっている。このため、次に優先順位の高い第2の候補(「候補2」23c2)において該当する5桁目の認識文字候補(数字8)の文字タイプが比較の対象となる。ここではいずれも文字タイプは数字であることから、認識文字候補(数字8)を認識した認識文字がロット番号の文字として採用される。
すなわち上述の認識処理では、(ST57)、(ST58)を反復実行することにより、N桁目の認識文字を確定する(ST59)。そして全ての桁の認識文字が確定したか否かを判断し(ST61)、全ての桁の認識文字の確定が確認されることにより、図10(d)に示すように、これらの認識文字よりなる認識文字列23Rが確定する(ST62)。
このようにして前述の部品情報認識工程において認識された全部品の部品情報であるロット番号の認識文字列は、当該部品が装着された基板7の基板情報36bとともに、サーバーとしての上位システム3へデータ出力部35bによって出力される(データ出力工程)。そして上位システム3においては、当該部品実装装置M5、M6による生産履歴情報であるトレースデータとしてトレースデータベース3aに記憶される。
図11を参照して、トレースデータベース3aに記憶されるトレースデータについて説明する。トレースデータ50は、製造対象となった実装基板の生産履歴を示すものであり、部品実装ラインごとに、または部品実装装置ごとに作成される。図11(a)に示すように、トレースデータ50は、生産された個々の基板を特定する基板ID51に、製造年月日52、製品シリアル番号53、部品名54、ロット番号55などを紐付けしたデータ構成となっている。
製造年月日52は当該基板が製造された年月日を特定する。製品シリアル番号53は当該基板に付された固有の番号である。部品名54は当該基板に実装された部品の名称を示すものであり、部品実装時における部品品番と対応している。そしてロット番号55は、個々の部品を特定する部品情報であり、本実施の形態に示す部品実装システム1においては部品実装装置M5、M6より出力される。
製品の不具合が生じた場合の原因や影響の遡及追跡において、トレースデータ50は以下のように活用される。市場に出荷された電子機器類において不具合が発生すると、先ず当該製品のメーカなどの関連部署によって不具合発生事象の実態と原因究明が行われる。その結果として、先ず当該不具合の原因となった原因部品が特定され、次いでその原因部品に対応するロット番号が特定される。
このようにして原因部品が特定されると、当該不具合の市場における広がりと影響を把握するための検索が、上位システム3が備えた検索機能によって実行される、すなわち、検索キー入力項目56として部品名56aおよびロット番号56bを入力する。この検索により、図11(c)に示す検索結果出力57が得られる。検索結果出力57では、基板ID51に製造年月日52、製品シリアル番号53を紐付けした検索データ50*が得られる。この検索データ50*により、関連部署の当事者は、当該不具合の市場における実態を個々の製品ベースで把握することができ、有効な不具合対策を立案することが可能となる。
上記説明したように、本実施の形態に示す部品実装システム1は、部品実装装置M5、M6とサーバーとしての上位システム3とを含む構成において、部品実装装置M5、M6を、部品20の表面に印字された部品情報としてのロット番号の文字を撮像してロット番号を認識するロット番号認識部35aと、ロット番号認識部35aによって認識されたロット番号を当該部品が装着された基板7の基板情報36bとともにトレースデータとして上位システム3に出力するデータ出力部35bとを備えた構成としている。これによりバーコードなどの識別情報を手動で読み取ることなく、生産履歴データを取得することができる。
また本実施の形態に示す部品実装装置M5、M6は、正規の部品品番の桁ごとの文字タイプの種別を規定する部品品番文字タイプ情報37bを記憶する記憶部32と、部品20の表面に印加された部品品番の文字を撮像し撮像された桁ごとの文字画像を記憶部32に記憶された文字タイプ情報に基づいて認識処理することにより、部品品番を認識する部品品番認識部34aと、部品品番認識部34aによって認識された部品品番が正規の部品品番と一致するか否かを判定する正規部品判定部34bと、正規部品判定部34bによって部品品番が正規の部品品番と一致すると判定された場合に、部品20を基板7に装着する装着ヘッド15A、15Bとを備えた構成としている。
これにより、認識対象の文字に図形として表記された場合に形状的に類似して紛らわしい数字やアルファベットの組み合わせが存在する場合にあっても、部品品番を精度よく認識して誤実装を防止することができる。
なお上記実施の形態においては、部品実装装置M5、M6においてロット番号の文字および部品品番の文字を撮像して認識する構成を示しているが、部品装着後の基板7を対象として検査を行う装着状態検査装置M7に同様の機能を持たせるように構成してもよい。この場合においても部品品番を精度よく認識して、誤った検査結果の出力を防止することができる。