以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。また、同一機能を有する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
以下に、本発明の電子回路生産履歴管理システムの実施形態および本発明の電子回路生産履歴管理方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施形態1)
図1は、電子回路生産履歴管理システムの概略構成を示す模式図である。図1に示すように、電子回路生産履歴管理システム1は、電子部品実装装置により回路基板に電子回路が実装されて生産された電子回路の生産履歴を管理するシステムであり、入力装置24と、電子回路生産履歴管理装置2と、電子部品実装装置10と、表示装置22と、を有する。図2は、電子回路生産履歴管理システムの概略構成を示すブロック図である。電子回路生産履歴管理装置2は、通信部26と、処理部28と、記憶部30とを有する。電子回路生産履歴管理装置2は、表示装置22と入力装置24と電子部品実装装置10と通信を行い、入力装置24および電子部品実装装置10から情報を受信して、処理し、記憶し、表示装置22に送信する。
まず、電子部品実装装置10について説明する。電子部品実装装置10は、集合基板を搬入する。搬入される集合基板は、集合基板における回路基板の位置を特定する位置記号と、その位置記号により位置が特定された回路基板109を識別する識別記号との関連づけがすでに行われている。また、電子部品実装装置10は、所定の位置に集合基板を配置し、集合基板一つにつき一カ所であって所定の位置記号により特定される位置にある回路基板を識別する識別記号を代表識別記号として読み出す。電子部品実装装置10は、複数の回路基板それぞれに、部品識別記号により識別される電子部品を実装する。
部品識別記号とは、例えば、電子部品の種類やロット番号などの、実装(搭載)された電子部品を識別するための識別記号である。部品識別記号は、電子部品自体の形状や、電子部品に記載された文字列、符号、電気的信号、磁気的信号などの任意の形態で表現される。各電子部品において表現された信号は、それぞれの信号に適した読み出し装置により読み取られ、後で説明する処理部28による処理が可能な形態に変換される。電子部品実装装置10は、実装された電子部品の電子部品の部品識別記号を、電子回路生産履歴装置2に送信する。
ここで、集合基板とは、複数の回路基板が集合して一体となったものであり、いわゆるマルチ基板と称されるものである。集合基板を単位として、電子部品実装装置10は搬送、実装などの操作を行う。
図3は、電子部品を実装する前の集合基板を説明する説明図である。図4は、電子部品を実装した後の集合基板を説明する説明図である。集合基板108は、電子部品が実装される部材であり、回路基板109が複数集合した構成となっている。集合基板108および回路基板109の形態には特に限定はないが、集合基板108単位で搬送、実装等の作業が行われるのに適した形態であることが好ましく、例えば、板状部材であることが好ましい。各回路基板109には、識別記号が与えられ、各回路基板109は他の回路基板と識別される。識別記号は、例えば、英数字などの各種文字の配列、符号、バーコート、二次元コード、電気的信号、磁気的信号等の、任意の形態で表現されて、各回路基板109に与えられる。各回路基板109において表現された識別記号は、それぞれの識別記号に適した読み出し装置により読み出され、処理部28が処理可能である識別記号に変換される。本実施形態の回路基板109は板状部材であり、各回路基板109の表面には、識別記号がバーコードの形態で付されている。本実施形態に係る各回路基板109の識別記号は、各回路基板109に付されたバーコードをバーコードリーダーが読み取ることにより、読み出すことができる。
また、集合基板108には、電子部品実装装置10が集合基板108の位置決めを行うことができるように、アライメントマーク110(位置決め情報)が付されている。アライメントマーク110は、集合基板108の上下左右を認識するために必要なマークである。このアライメントマーク110と各回路基板109との位置関係から、集合基板108における回路基板109の位置を特定することができる。特定された各回路基板109の位置は、位置記号で表される。すなわち、位置記号により、集合基板108における各回路基板109の位置は特定される。位置記号は、各回路基板109のすべてに適当な装置により読み出し可能な形態で付与されていてもよいが、一部の回路基板109にのみ読み出し可能な形態で付与されていてもよい。本実施形態のように、回路基板109に位置記号が読み出し可能な形態で付与されていなくてもよい。本実施形態では、アライメントマーク110が一つの回路基板109に付されるのみで、電子部品実装装置10がアライメントマーク110を認識し、集合基板108における各回路基板109の各位置を、電子部品実装装置10の生産プログラムが適当な位置記号により特定し、その位置記号に従って電子部品実装装置10が実装作業を行う。
本実施形態では、アライメントマーク110は、図3において集合基板108の左上部に付されており、アライメントマーク110が付された回路基板109の位置は、P1という位置記号により特定され、図3においてP1の右にある回路基板109の位置はP2という位置記号により特定され、P1の位置の斜め右下にある回路基板109の位置はP3という位置記号により特定され、P1の位置の下にある回路基板109の位置はP4という位置記号により特定されている。各回路基板109から位置記号が読み出されるのではなく、アライメントマーク110を電子部品実装装置10が認識することにより、電子部品実装装置10の生産プログラムにおいて各回路基板109の位置が各位置記号により特定される。集合基板109の、P1の位置にある回路基板109には、識別記号C001と読み出せるバーコードが、P2の位置にある回路基板には識別記号C002と読み出せるバーコードが、P3の位置にある回路基板109には識別記号C003と読み出せるバーコードが、P4の位置にある回路基板109には識別記号C004と読み出せるバーコードが付与されている。集合基板108の次に実装作業が行われる集合基板108の各回路基板109にも、P1、P2、P3、P4の順番で、C005から昇順で連続する識別記号が付与されているものとする。
本実施形態では、例えば、図4に示すように、電子部品実装装置10により各回路基板109に電子部品が実装されて、P1の位置にある回路基板109には、部品識別記号Aを有する電子部品および部品識別記号Bを有する電子部品が実装され、P2の位置にある回路基板109には、部品識別記号Cを有する電子部品および部品識別記号Dを有する電子部品が実装され、P3の位置にある回路基板109には、部品識別記号Eを有する電子部品および部品識別記号Fを有する電子部品が実装され、P4の位置にある回路基板109には、部品識別記号Gを有する電子部品および部品識別記号Hを有する電子部品が実装されるとする。
各回路基板109の表面には、配線パターンが設けられている。回路基板109に設けられた配線パターンの表面には、リフローによって板状部材の配線パターンと電子部品とを接合する接合部材(はんだ等)が付着している。各回路基板109に、電子部品を実装した後、集合基板108を単位としてリフロー工程を行い、電子部品が実装された集合基板108を得る。電子部品が実装された集合基板108は、回路基板109ごとに分割されて、最終製品の電子回路となる。
なお、本実施形態の、電子回路生産履歴管理システム1は、電子部品実装装置を少なくとも1つ含めばよく、その数は限定されない。電子部品実装装置10については後でさらに詳しく説明する。
次に、電子回路生産履歴管理装置2について説明する。図2に示す電子回路生産履歴管理装置2は、いわゆるパーソナルコンピュータ等の、オペレータが各種情報処理を実行する演算処理装置であり、通信部26と、バス27と、処理部28と、記憶部30と、を有する。
バス27には、通信部26と、処理部28と、記憶部30とが接続される。バス27に通信部26と処理部28と記憶部30とが接続されることにより、これらは互いに情報を伝送できる。
通信部26は、表示装置22と入力装置24と電子部品実装装置10と情報の送受信を行う通信機器である。ここで、通信部26は、入力装置24と表示装置22と電子部品実装装置10とそれぞれ有線の通信回線で接続されている。しかし、通信部26と各装置とは、無線で通信ができるようになっていてもよい。
表示装置22は、電子回路生産履歴管理システム1の各部の動作状態、設定画面、記憶部30に記憶されている情報を表示させる表示装置である。表示装置22は、処理部28の制御に基づいて、画像を表示させる。
入力装置24は、電子回路生産履歴管理システム1を制御するための各種データを入力する装置であり、入力されたデータを信号として処理部28に送る。入力装置24としては、コントローラ、操作パネル、スイッチ、レバー、キーボード、マウス、バーコードリーダー等、種々の入力デバイスを用いることができる。また、表示装置22と入力装置24とは、両者を一体化させたタッチパネルとしてもよい。入力装置24からは、位置記号により位置が特定された回路基板を識別する識別記号が入力される。
例えば、入力装置24がバーコードリーダーを含んで構成されているときは、入力は例えば以下のように行われる。オペレータが、表示装置22に集合基板のイメージを表示させ、イメージ上の回路基板のいずれかを選択すると、選択した回路基板の位置記号が指定される。その状態で、オペレータがバーコードリーダーで位置記号が指定された回路基板に付されたバーコードを読み取る。このようにして、入力装置24から、位置記号および識別記号が関連づけされて入力される。入力された位置記号と識別記号との組は、識別記号−位置記号関連づけデータとして、記憶部30の識別記号−位置記号関連づけデータ記憶部30aに記憶される。位置記号は、電子部品実装装置10を制御する生産プログラムに引用され、この位置記号に従って電子部品実装装置10は各回路基板109に電子部品を実装していく。
また、電子回路生産履歴管理システムが、すべての回路基板109から識別記号を読み出す識別記号読み出し装置を備えるようにしてもよい。例えば、電子回路生産履歴管理システムが、識別記号読み出し装置としての電子部品実装装置をさらに含むように、電子回路生産履歴管理システムを構成することもできる。この場合、識別記号読み出し装置は、入力装置24として機能する。図5−1は、複数の電子部品実装装置を含んだ電子回路生産履歴管理システムの概略構成を示す模式図である。電子回路生産履歴管理システム1aは、電子回路生産履歴管理装置2と、表示装置22と、入力装置24としての電子部品実装装置10aと、搬送装置12と、電子部品実装装置10とを有する。電子部品実装装置10aと電子回路生産履歴管理装置2との間は、有線または無線の通信回線で接続されている。搬送装置12は、電子部品実装装置10aと電子部品実装装置10との間に設けられ、集合基板108の受け渡しを行う。
図5−1に示すように、電子回路生産履歴管理システム1aが、複数の電子部品実装装置を含むように構成されている場合には、複数の電子部品実装装置10a,10の内で、集合基板108の搬送方向において最も上流にある電子部品実装装置10aを、入力装置24(識別記号読み出し装置)として機能させてもよい。電子部品実装装置10aは、後で述べるように、ヘッドにバーコードリーダーが装着された構成である。このバーコードリーダーが、すべての回路基板109から識別記号を読み出すように、次に詳述する電子回路生産履歴管理装置2の処理部28が電子部品実装装置10aを制御するようにしてもよい。
具体的には、処理部28は、識別記号を読み出す回路基板109の位置記号を指定し、指定された位置記号により特定される位置にある回路基板109の識別記号をバーコードリーダーに読み出させる。処理部28は、読み出させた識別記号を、バーコードリーダーに電子回路生産履歴管理装置2の通信部26を介して処理部28に送信させる。処理部28の識別記号−位置記号関連づけデータ作成部28aが、すべての回路基板109について、指定した回路基板109の位置記号と、読み出した識別記号とを関連づけて、識別記号−位置記号関連づけデータを作成する。位置記号は、電子部品実装装置10a、10を制御する生産プログラムに引用され、この位置記号に従って電子部品実装装置10a、10は各回路基板109に電子部品を実装していく。
また、電子回路生産履歴管理システムが、集合基板108の搬送方向において電子部品実装装置10の上流に、すべての回路基板109に識別記号を付与する識別記号付与装置を備えていてもよい。識別記号付与装置は、回路基板109に識別記号を付与すると同時に、付与した識別記号を電子回路生産履歴管理装置2に送信する。この場合、識別記号付与装置が、入力装置24として機能する。図5−2は、識別記号付与装置を含む電子回路生産履歴管理システムの概略構成を示す模式図である。電子回路生産履歴管理システム1bは、電子回路生産履歴管理装置2と、表示装置22と、入力装置24としての識別記号付与装置13と、搬送装置12と、電子部品実装装置10とを有する。識別記号付与装置13と電子回路生産履歴管理装置2との間は、有線または無線の通信回線で接続されている。搬送装置12は、識別記号付与装置13と電子部品実装装置10との間に設けられ、集合基板108の受け渡しを行う。識別記号付与装置13は、集合基板108を構成するすべての回路基板109に、識別記号を付与する。識別記号を付与する方法として、回路基板109にバーコードを書き込む方法、磁気的信号を書き込む方法などが挙げられる。回路基板109にバーコードを書き込むためには、識別記号付与装置13をバーコードライターとすればよい。
また、電子回路生産履歴管理システムが、集合基板の搬送方向において電子部品実装装置の上流に、すべての回路基板の識別記号を一括で認識して読み出す機器別記号読み出し装置を備えるようにしてもよい。図5−3は、機器別記号読み出し装置を含む電子回路生産履歴管理システムの概略構成を示す模式図である。電子回路生産履歴管理システム1cは、電子回路生産履歴管理装置2と、表示装置22と、機器別記号読み出し装置としての基板撮影用のカメラ150と、基板撮影用のカメラ150を備えた電子部品実装装置10cと、搬送装置12と、電子部品実装装置10と、を有する。
例えば、図5−3のように、表面実装機としての電子部品実装装置10cが備える基板撮影用のカメラ150は、集合基板108の搬送方向における電子部品実装装置10cの上流側に設置される。基板撮影用のカメラ150は、基板集合108が電子部品実装装置10cへ搬入される直前に集合基板108全体の画像を撮影する。基板撮影用のカメラ150および電子部品実装装置10cは、撮影された画像を電子回路生産履歴管理装置2へ転送する。電子回路生産履歴管理装置2は、転送された画像から識別記号と位置情報とを読み出し、識別記号と位置記号とから識別記号−位置記号関連付けデータをすべての回路基板109について生成する。基板撮影用のカメラ150および電子部品実装装置10cは、撮影された画像から識別記号と位置情報とを読み出して、読み出した識別記号と位置情報とを電子回路生産履歴管理装置2へ転送してもよい。
位置記号は、電子部品実装装置10c、10を制御する生産プログラムに引用され、この位置記号に従って電子部品実装装置10c、10は、各回路基板109に電子部品を実装していく。また、電子部品実装装置10cは、基板撮影用のカメラ150側において撮影した画像を解析し、識別記号と位置情報とを読み出し、電子回路生産履歴管理装置2へ転送してもよい。基板撮影用のカメラ150は、基板集合108の各回路基板109に設けられている複数のバーコード等を同時に撮像できるので、これらのバーコードに含まれる識別記号を一度に取得できる。その結果、基板撮影用のカメラ150を機器別記号読み出し装置として用いると、複数の識別記号を取得する時間を短くすることができるという利点がある。
処理部28は、識別記号付与装置13に位置記号を指定して、指定した位置記号により特定される位置にある回路基板108の所定の場所に識別記号を付与させる。処理部28は、付与させた識別記号を、バーコードライターに電子回路生産履歴管理装置2の通信部26を介して処理部28に送信させる。電子回路生産履歴管理装置2の識別記号−位置記号関連づけデータ作成部28aは、すべての回路基板109について、識別記号が付与された回路基板の位置を特定する位置記号と、識別記号付与装置13により付与された識別記号とを関連づけて、識別記号−位置記号関連づけデータを作成する。位置記号は、電子部品実装装置10を制御する生産プログラムに引用され、この位置記号に従って電子部品実装装置10は各回路基板に電子部品を実装していく。
処理部28は、識別記号−位置記号関連づけデータ作成部28aと、識別記号関連づけ部28bと、位置記号−部品識別記号関連づけ部28cと、代表識別記号照合部28dと、識別記号関連づけデータ抽出部28eと、識別記号−部品識別記号関連づけ部28fと、部品情報検出部28gとを含む。識別記号−位置記号関連づけデータ作成部28は必須ではなく、あらかじめ入力装置24から識別記号−位置記号関連づけデータが入力される場合や、記憶部30に識別記号−位置記号関連づけデータが記憶されている場合などにはなくてもよい。また、処理部28の各部は、物理的に相互に区別ができなくてもよく、各部の機能が実現できればよい。また、各部が一つの装置に存在するのではなく、複数の装置に存在するのであってもよい。例えば、処理部28の機能の一部が、電子回路実装装置10に備わっていてもよい。
処理部28は、例えば、CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)であり、記憶部30に記憶されたコンピュータプログラムをロードし、処理を実行する。また、処理部28は、通信部26を介して入力装置24および電子部品実装装置10、10aから情報を入手し、表示装置22に各種情報、例えば加工した情報、記憶部30に記憶されている情報を供給する。
本実施形態では、処理部28は、電子回路の生産履歴を管理する装置であると同時に、電子部品実装装置10を制御する、電子部品実装装置制御部としての機能を有する。すなわち、処理部28は、各種情報または入力装置24に入力された操作に基づいて、後で詳述する基板搬送部、部品供給装置、ヘッド及びXY移動機構の動作を制御する。しかし、電子部品実装装置10を制御する機能を、電子部品実装装置10に設けることもできる。
また、処理部28は、識別記号読み出し装置としての電子部品実装装置10aを含む、電子回路生産履歴管理システム1aにおいては、電子部品実装装置10aを制御する、電子部品実装装置制御部(識別記号読み出し装置制御部)としての機能を有する。すなわち、処理部28は、各種情報または入力装置24に入力された操作に基づいて、後で詳述する基板搬送部、部品供給装置、ヘッド、XY移動機構の動作を制御する。また、処理部28は、電子部品実装装置10aに、識別記号を読み出す回路基板108の位置記号を指定し、指定した位置記号により特定される位置にある回路基板の識別記号を読み出させて、通信部26に送信させる。しかし、電子部品実装装置10aを制御する機能を電子部品実装装置10a(識別記号読み出し装置)に設けることもできる。
また、処理部28は、識別記号付与装置13を含む電子回路生産管理システム1bにおいては、識別記号付与装置13を制御する、識別記号付与装置制御部としての機能を有する。すなわち処理部28は、識別記号付与装置13に、位置記号を指定して回路基板109に識別記号を付与させて、付与させた前記識別記号を前記電子回路生産履歴装置に送信させる。しかし、識別機能付与装置13を制御する機能を識別機能付与装置13に設けることもできる。
記憶部30は、識別記号−位置記号関連づけデータ記憶部30aと、識別記号関連づけデータ記憶部30bと、位置記号−部品識別記号関連づけデータ30cと、代表識別記号記憶部30dと、識別記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30eと、生産プログラム記憶部30fとを含む。記憶部30の各部は、物理的に相互に区別ができなくてもよく、後で詳述する各部の機能が実現できればよい。また、各部が一つの装置に存在するのではなく、複数の装置にわたって存在するのであってもよい。例えば、記憶部30の機能の一部が、電子回路実装装置10に備わっていてもよい。
記憶部30は、メモリ等の一次記憶装置(主記憶装置)及びストレージ等の二次記憶装置(補助記憶装置)であり、RAM(Random Access Memory)若しくはROM(Read Only Memory)若しくは半導体記憶デバイス又はこれらを組み合わせたものである。
記憶部30は、電子部品実装装置10、10aおよび識別記号付与装置13の動作を制御するためのコンピュータプログラムや、集合基板108や電子部品の種類についての情報及び電子部品を集合基板108に搭載する際に必要な情報等を記憶している。なお、一次記憶装置は、記憶部30だけでなく、処理部28にも備えられていてもよい。記憶部30は、電子部品実装装置10,10aまたは識別記号付与装置13を制御するために必要な情報を記憶する、電子部品実装装置記憶部または識別記号付与装置記憶部としての機能を有する。しかし、電子部品実装装置記憶部を、電子部品実装装置10に設けることもできるし、識別記号付与装置記憶部を識別記号付与装置13に設けることもできる。
処理部28および記憶部30は、一つの装置に存在していなくてもよい。例えば、処理部と記憶部とを含む複数の装置が通信できるように構成されて、複数の装置全体が、処理部28と記憶部30とを含んだ電子回路生産履歴管理装置2として機能してもよい。
次に、図6−1と図6−2を用いて、電子部品実装装置10についてさらに詳しく説明する。電子部品実装装置10aも、特に断りがない場合は電子部品実装装置10と同様の構成であるので説明を省略する。図6−1は、電子部品実装装置の概略構成を示す斜視図である。図6−2は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。図6−1に示す電子部品実装装置10は、集合基板108の上に電子部品を実装する装置である。電子部品実装装置10は、位置記号により回路基板109の位置を特定して、複数の回路基板109それぞれに電子部品を実装する。図6−1に示すように、電子部品実装装置10は、基板搬送部112と、部品供給装置114と、ヘッド115と、XY移動機構116と、を有する。電子部品実装装置10は、位置記号と識別記号とがすでに関連づけられた回路基板109の集合である集合基板108を搬入する。ただし、電子部品実装装置10aは、位置記号と識別記号とが関連づけられていない集合基板108を搬入する。
基板搬送部112は、集合基板108を図中X軸方向に搬送する搬送機構である。基板搬送部112は、X軸方向に延在するレールと、集合基板108を支持し、集合基板108をレールに沿って移動させる搬送機構とを有する。基板搬送部112は、集合基板108の面積が広い面(表面)がヘッド115と対面する向きで、集合基板108を搬送機構によりレールに沿って移動させることで集合基板108をX軸方向に搬送する。基板搬送部112は、集合基板108を電子部品実装装置10に供給する機器から供給された集合基板108を、レール上の所定の位置まで搬送する。ヘッド115は、前記所定の位置で、電子部品を集合基板108の表面に搭載する。基板搬送部112は、前記所定の位置まで搬送した集合基板108上に電子部品が搭載されたら、集合基板108を、次の工程(例えば、リフロー)を行う装置に搬送する。なお、基板搬送部112の搬送機構としては、種々の構成を用いることができる。例えば、集合基板108の搬送方向に沿って配置されたレールと前記レールに沿って回転するエンドレスベルトとを組み合わせ、前記エンドレスベルトに集合基板108を搭載した状態で搬送する、搬送機構を一体としたベルト方式の搬送機構を用いることができる。
部品供給装置114は、電子部品実装装置10の他の構成要素に対して着脱可能で、移動可能な支持台125と、支持台125に支持され、集合基板108上に搭載する電子部品を多数保持する保持部126と、支持台125に支持され保持部126が保持する電子部品をヘッド115に供給可能、つまり、ヘッド115で吸着可能な状態とするフィーダ部128と、を有する。なお、部品供給装置114は、保持部126とフィーダ部128とが1つのユニットとなり、支持台125上に一列で多数配置されている。保持部126とフィーダ部128で構成されるユニットは、支持台125に対して着脱可能であり、ユニット毎に入れ換えを行うことができるなお、部品供給装置114の保持部126とフィーダ部126とで構成される部分としては、種々の構成を用いることができるが、本実施形態は、テープに電子部品を貼り付けた保持部126と、テープを一定量送り、電子部品を所定位置に露出した状態にするフィーダ部128とで構成されたテープフィーダである。部品供給装置114は、制御機能として供給制御部129を備える。供給制御部129は、保持部126に保持された電子部品の情報や、フィーダ部128の部品の供給動作を制御する。供給制御部129は、CPU等の演算と各種情報を記憶するメモリ等で構成される。本実施形態では、供給制御部129は部品供給装置114に設けられているが、電子回路生産履歴管理装置2の処理部28に設けられていてもよい。
ヘッド115は、部品供給装置114に保持された電子部品を吸着し、吸着した電子部品を基板搬送部112によって所定位置に移動された集合基板108上に搭載する機構である。ヘッド115については後述する。
XY移動機構116は、ヘッド115を図6−1中X軸方向及びY軸方向、つまり、集合基板108の表面と平行な面上で移動させる移動機構でありX軸駆動部122とY軸駆動部124とを有する。X軸駆動部122は、ヘッド115と連結しており、ヘッド115をX軸方向に移動させる。Y軸駆動部124は、X軸駆動部122を介してヘッド115と連結しており、X軸駆動部122をY軸方向に移動させることで、ヘッド115をY軸方向に移動させる。XY移動機構116は、ヘッド115をXY軸方向に移動させることで、ヘッド115を集合基板108と対面する位置、または、部品供給装置114のフィーダ部128と対面する位置に移動させることができる。また、XY移動機構116は、ヘッド115を移動させることで、ヘッド115と集合基板108との相対位置を調整する。これにより、ヘッド115が保持した電子部品を集合基板108の表面の任意の位置に移動させることができ、電子部品を集合基板108の表面の任意の位置に搭載することが可能となる。なお、X軸駆動部122としては、ヘッド115を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。Y軸駆動部124としては、X軸駆動部122を所定の方向(双方向)に移動させる種々の機構を用いることができる。対象物を所定の方向(双方向)に移動させる機構としては、例えば、リニアモータ、ラックアンドピニオン、ボールねじを用いた搬送機構、ベルトを利用した搬送機構等を用いることができる。
次に、図6−2を用いて、ヘッド115について説明する。図6−2は、本実施形態に係る電子部品実装装置が有するヘッドの説明図である。ヘッド115は、X軸駆動部122によって駆動される。ヘッド115は、制御基板160と、Z軸モータ161と、θモータ162と、エア制御弁163と、基板認識カメラ164と、バーコードリーダー167と、レーザアラインセンサ165と、電子部品を吸着するノズル(吸着ノズル)とを含む。制御基板160は、Z軸モータ161、エア制御弁163及びθモータ162等を駆動するための駆動回路を有している。
Z軸モータ161は、吸着ノズルをZ軸方向に移動させる。この機能により、Z軸モータ161は、吸着ノズルを基板に接近させ、また、基板に接近させた吸着ノズルを基板から遠ざける。Z軸モータ161は、電子部品を吸着した吸着ノズルを基板に接近させ、電子部品を基板の端子電極に接触させることにより、電子部品を基板に搭載する。θモータ162は、Z軸を中心として吸着ノズルを、回転させる。Z軸は、XY平面に直交するが、XY平面は電子部品が搭載される基板の表面と平行であるため、θモータ162は、前記基板の表面と直交する軸を中心として前記ノズルを回転させる。θモータ162は、この機能により、電子部品と基板との位置関係を調整することができる。
エア制御弁163は、吸着ノズルの吸引と吸引停止とを切り替える。すなわち、エア制御弁163は、吸着ノズルの開口部から空気を吸引させることによって、電子部品を吸着ノズルの開口部に吸着させる。また、エア制御弁163は、前記吸引を停止させることによって、吸着ノズルの開口部に吸着させられている電子部品を前記開口部から開放する。エア制御弁163は、このような動作を吸着ノズルにさせることによって、吸着ノズルによる電子部品の吸着と開放とを制御する。
基板認識カメラ64は、集合基板108に設けられたアライメントマーク110(位置決め情報)の他、吸着位置基準等に設けられた認識マークを撮像する。この動作によって、基板認識カメラ164は、集合基板108および集合基板108を保持するステージの位置についての情報(位置情報)を検出する。基板認識カメラ164は、集合基板108に電子部品を搭載している最中に前記位置情報を検出したり、電子部品の吸着位置のティーチング及び搭載位置の検査等において前記位置情報を検出したりする。レーザアラインセンサ165は、レーザ測定機能を有している。この機能により、ヘッド115と集合基板108との距離、ヘッド115の傾斜等の情報を検出する。
バーコードリーダー167は、所定の位置記号により特定される位置にある回路基板109に付されたバーコードから識別記号を読み出し、読み出した識別記号を、代表識別記号として電子回路生産履歴管理装置2の通信部26へ送信する。代表識別記号が読み出される回路基板109は、どの位置記号の回路基板109であってもよい。あらかじめ、一定の位置記号の位置にある回路基板109について読み出すこととしてもよいし、集合基板108ごとに、異なる位置記号の位置にある回路基板109について読み出してもよい。読み出す位置をオペレータが手入力で指定してもよいし、コンピュータプログラムにより読み出す位置を決定してもよい。実装時間の短縮のためには、待機しているヘッド115の位置から最も近い位置にある回路基板109について識別記号を読み出すことが好ましい。いずれの場合でも、集合基板108一つにつき一カ所の位置記号により特定される位置にある回路基板109の識別記号が読み出され、読み出された回路基板109の識別記号は、代表識別記号として電子回路生産履歴管理装置2の通信部26へ送信される。
ただし、電子回路実装装置10aのバーコードリーダー167は、集合基板108に含まれる回路基板109のすべてについて、識別記号を読み出すように、処理部28により制御されている。読み出された回路基板109の識別記号は電子回路生産履歴管理装置2の通信部26へ送信される。
ヘッド115が有するZ軸モータ161及びθモータ162等の制御、吸着ノズルからの空気の吸引、基板認識カメラ164が検出した情報の伝送、バーコードリーダー167が読み出した情報の伝送等のために、ヘッド115には、フレキシブルケーブル及び吸引チューブが束ねられたフレキシブルケーブル群166が接続されている。
表示装置22は、ヘッド115で撮影した画像の情報を表示させる表示装置としても機能する。また、入力装置24は、オペレータ(ユーザ)が電子部品実装装置10を制御するための操作を入力する装置として機能する。入力装置24は、入力された操作を操作信号として処理部28に送る。電子回路実装装置10に、入力装置および表示装置を設けてもよい。
処理部28は、部品情報検出部28fを有する。処理部28は、部品供給装置114の供給制御部129から通信部26を介して送られる情報や、ヘッド115で撮影した画像に基づいて、部品供給装置114のフィーダ部128に保持され、ヘッド115で吸着し基板に搭載可能な電子部品の情報を検出する。つまり部品情報検出部28gは、部品供給装置114に備えられたフィーダ部128の配置構成、電子部品の供給体制を検出する。処理部28の位置記号−部品識別記号関連づけ部28cは、電子部品が実装された回路基板109の位置記号と、部品情報検出部28fにより検出された、実装された電子部品の情報、すなわち部品識別記号とを関連づけする。以上が、電子部品管理システム1および電子回路生産履歴管理装置2の構成である。
次に、電子回路生産履歴管理システム1の動作について説明する。図7は、電子回路生産履歴管理システム1で行われる動作を説明するための説明図である。図8は、電子回路生産履歴管理システム1を用いた電子回路生産履歴管理方法のフローチャートである。図2も適宜参照されたい。
まず、処理部28の、識別記号−位置記号関連づけデータ作成部28aが、識別記号−位置記号関連づけデータを作成する(図8、ステップS1)。これは、例えば、図7においてD1に示すようなデータである。しかし、識別記号−位置記号関連づけデータを識別記号−位置記号関連づけデータ記憶部30bが記憶している場合は、ステップS1およびステップS2は省かれて、ステップS3からスタートする。
次いで、記憶部30の識別記号−位置記号関連づけデータ記憶部30aが、識別記号−位置記号関連づけデータを記憶する(図8、ステップS2)。
次いで、処理部28の識別記号関連づけ部28bが、同一の集合基板109に含まれる複数の回路基板108の識別記号同士を関連づけて識別記号関連づけデータとする(図8、ステップS3)。そして、記憶部30の識別記号関連づけデータ記憶部30bが、識別記号関連づけデータを記憶する。このデータは、例えば、図7においてD2に示すようなデータ集合である。
次いで、電子部品実装装置10が集合基板108を搬入し、所定の位置に集合基板を配置する(図8、ステップS4)。
次いで、電子部品実装装置10が、詳しくはヘッド115に搭載されたバーコードリーダー167が、集合基板108につき一カ所であって、所定の位置記号により特定される位置にある回路基板109を識別する識別記号を代表識別記号として読み出す。(図8、ステップS5)。
次いで、記憶部30の代表識別記号記憶部30dが、読み出された代表識別記号を記憶する(図8、ステップS6)。代表識別記号記憶部30dは、読み出された回路基板108の位置記号と、代表識別記号とを組にして記憶することが好ましい。これは、例えば、図7においてD3に示すようなデータである。
次いで、電子部品実装装置10は、回路基板109に、部品識別記号により識別される電子部品を実装する(図8、ステップS7)。詳しくは、処理部28が、電子部品実装装置10に位置記号を順次指定して、指定した位置記号により特定される回路基板108に、部品識別記号により識別される電子部品を実装(搭載)させる。そして、処理部28の部品情報検出部28gは、電子部品実装装置10の部品供給装置114から、電子部品の種類、ロット番号、搭載状況などの、回路基板108に実装された電子部品を識別するための部品識別記号を取得する。
次いで、処理部28の位置記号−部品識別記号関連づけ部28cが、回路基板109の位置記号と、部品情報検出部28gにより取得された、その位置記号によって特定される位置にある回路基板109に実装された電子部品の部品識別記号とを関連づけて位置記号−部品識別記号関連づけデータとする(図8、ステップS8)。
次いで、記憶部30の位置記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30cは、位置記号−部品識別記号関連づけデータを記憶する(図8、ステップS9)。これは、例えば図7においてD4で示すようなデータである。
次いで、処理部28は、集合基板108に含まれるすべての回路基板109に、実装予定のすべての電子部品が実装されたかを判定する(図8、ステップ10)。すべての回路基板109に、すべての電子部品が実装されていないと判定された場合(ステップS10、NO)は、ステップS7に戻り、回路基板108に電子部品が実装される工程が再び行われる。
すべての回路基板109に、すべての電子部品が実装されたと判定された場合(ステップS10、YES)、処理部28の代表識別記号照合部28dは、読み出された代表識別記号を、識別記号関連づけデータの集合と照合する(図8,ステップS11)。これは、図7における、データの集合D2とデータD3とを照合することに該当する。
次いで、処理部28の識別記号関連づけデータ抽出部28eは、識別記号関連づけデータの集合から、読み出された代表識別記号が含まれる識別記号関連づけデータを抽出する(図8,ステップS12)。これは、図7において、データの集合D2から、代表識別記号C001が含まれる識別記号関連づけデータ(C001、C002、C003、C004)を抽出することに該当する。
次いで、処理部28の識別記号−部品識別記号関連づけ部28fが、抽出された識別記号関連づけデータと、位置記号−部品識別記号関連づけデータと、識別記号−位置記号関連づけデータとから、識別記号と部品識別記号との関連づけを行う(図8,ステップS13)。これは、図7において、抽出された識別記号関連づけデータ(C001、C002、C003、C004)と、データD1と、データD4とから、D5で示すようなデータを得ることに該当する。
次いで、記憶部30の識別記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30eは、関連づけられた識別記号と部品識別記号との組を、識別記号−部品識別記号関連づけデータとして記憶する(図8、ステップS14)。以上が、電子回路生産履歴管理システム1による電子部品生産履歴管理方法である。
これらの手順を実現するコンピュータプログラムは、記憶部30に記憶されており、処理部28に読み出されて処理が行われ、本実施形態の電子部品生産履歴管理方法が実現できる。または、これらの手順を実現するコンピュータプログラムが、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録されており、処理部28に読み出されることにより本実施形態の電子部品生産履歴管理方法が実現できる。
電子回路生産履歴管理システム1が、以上のような構成であるので、電子回路実装装置10は、すべての回路基板109について識別記号を読み取る必要がなくなる。そのため、すべての回路基板109について識別記号を読み取るように制御される電子回路実装装置と比較して、実装に必要な時間(タクトタイム)が短縮される。
次に、識別記号−位置記号関連づけデータを作成する手順(図8、ステップ1)についてさらに詳しく説明する。図9は、識別記号−位置記号関連づけデータを作成する手順を説明するフローチャートである。まず、例えば、電子回路生産履歴管理システム1aにおいては電子部品実装装置10aに、電子回路生産履歴管理システム1bにおいては識別記号付与装置13に、集合基板が搬入される(ステップS101)。次に、処理部28は、電子部品実装装置10aまたは識別記号付与装置13に作業させる回路基板108の位置記号を指定する(ステップS102)。ここで作業とは、電子部品実装装置10aの場合は、バーコードリーダー167による識別記号の読み出しであり、識別記号付与装置13の場合には、識別記号の付与である。次いで、電子部品実装装置10aまたは識別記号付与装置13が、指定された位置記号の回路基板109において作業を行う(ステップS103)。次いで、処理部28は、入力装置24としての、電子部品実装装置10aまたは識別記号付与装置13に識別記号を送信させ、処理部28は、指定した位置記号の識別記号を取得する(ステップS104)。指定した位置記号と、取得した識別記号との組は、記憶部30に、識別記号−位置記号関連づけデータとして蓄積される(ステップS105)。
次いで、処理部28は、搬入された集合基板のすべての位置記号を指定したか否かを判定する(ステップS106)。すべての位置記号をまだ指定していない場合(ステップS106、NO)、ステップS102に戻る。すべての位置記号を指定し終えた場合は(ステップS106、YES)、集合基板が搬出される(ステップS107)。次いで、処理部28は、すべての集合基板について作業したか否かを判定する(ステップS108)。すべての集合基板について作業していないと判定された場合(ステップS108、NO)、ステップS101に戻り、新たな集合基板について作業が行われる。すべての集合基板について作業したと判定された場合(ステップS108、YES)、すべての集合基板のすべての回路基板について、識別記号−位置記号関連づけデータが蓄積されたことになり、識別記号−位置記号関連づけデータの作成手順(ステップS1)は終了する。
電子回路生産履歴管理システム1a、1bが、以上のような構成であるので、オペレータが回路基板の位置記号と識別記号とを関連づけて手入力する必要がなくなり、識別記号−位置記号関連づけデータの作成を自動で行うことができる。本実施形態は、バーコードリーダー167が、識別記号として、例えばバーコードを読み出すようにしたが、基板認識カメラ164が識別記号を読み出してもよい。
(実施形態2)
実施形態2は、基板に設けられる識別記号に、この基板に電子部品を搭載して生産するための生産プログラムに関する情報を含め、前述した基板が複数の回路基板を有する集合基板である場合は基板に設けられる識別記号に回路基板毎の生産プログラムに関する情報を含める点に特徴がある。実施形態2は、実施形態1で説明した電子回路生産管理システム1、1a、1b、1cによって実現できる。
図10は、電子部品を実装する前の基板を説明する図である。図11は、電子部品を実装した後の基板を説明する図である。本実施形態は、図10に示す1つの基板108aに、図11に示すように、部品識別記号A〜Hを有する複数の電子部品を実装する例を説明する。基板108aは、実施形態1の集合基板108(図3、図4参照)とは異なり、1枚の基板108aが集合基板108の回路基板109に相当する。
本実施形態において、識別記号C010は、例えば、実施形態1で識別記号として用いたバーコード(一次元バーコード)よりも多くの情報を有している。例えば、識別記号C010としては、二次元バーコードを用いることができる。基板108aは、位置決め情報としてのアライメントマーク110に隣接した位置に、識別記号C101として二次元バーコード113が設けられている。本実施形態において、識別記号C101、すなわち二次元バーコード113は、基板108aを生産するための生産プログラムに関する情報(以下、適宜生産プログラム情報という)PG010を有する情報保持部である。生産プログラム情報PG010は、例えば、図1、図6−1、図5−1等に示す電子部品実装装置10、10a等の記憶部に記憶されている。
生産プログラム情報PG005は、例えば、基板108aを生産するための生産プログラムのアドレス、より具体的には、生産プログラムが保存されている電子部品実装装置10等の記憶装置又は図2に示す電子回路生産履歴管理装置2の生産プログラム記憶部30f内のアドレスを示す情報である。生産プログラム情報PG005を取得した電子部品実装装置10等は、基板108aを生産する際に、生産プログラム情報PG005から基板108aを生産するための生産プログラムが保存されているアドレスにアクセスし、この生産プログラムを読み出す。そして、電子部品実装装置10等は、読み出した生産プログラムにしたがって基板108aに電子部品を実装してこれを生産する。次に、実施形態2の電子回路生産方法を説明する。
図12は、電子回路生産履歴管理システムを用いた電子回路生産方法のフローチャートである。次においては、図5−1に示す電子回路生産履歴管理システム1aおよび電子部品実装装置10aがこの電子回路生産方法を実行する。まず、入力装置24としての電子部品実装装置10aは、搬入されてきた基板108aの識別記号C010を、図6に示すバーコードリーダー167によって取得する(ステップS201)。識別記号C010が取得できた場合(ステップS202、Yes)、ステップS203に進む。ステップS203において、電子部品実装装置10aは、取得した識別記号C010に生産プログラム情報が含まれる場合(ステップS203、Yes)、生産プログラム情報に基づいて搬入されてきた基板108aを生産するための生産プログラムにアクセスし、これを読み込む。(ステップS204)。そして、電子部品実装装置10aは、基板108aに電子部品を実装して基板108aを生産する(ステップS205)。
ステップS202において識別記号C010が取得できなかった場合(ステップS202、No)又はステップS203において取得した識別記号C010に生産プログラム情報が含まれていなかった場合(ステップS203、No)、電子部品実装装置10aは、バーコードリーダー167による識別記号C010の認識エラーであるとして、動作を一時停止する(ステップS206)。次に、基板108aの生産を継続する場合(ステップS207、Yes)、電子部品実装装置10aのオペレータは、バーコードリーダー167が識別記号C010を読み込む動作を電子部品実装装置10aに対してティーチングするか又は識別記号C010を電子部品実装装置10aに入力する。このとき、オペレータは、電子部品実装装置10aが備えるバーコードリーダー167とは異なる、ポータブル型のバーコードリーダーを介して電子部品実装装置10aに識別記号C010を入力してもよい。識別記号C010が電子部品実装装置10aに認識されたら、電子部品実装装置10aは、ステップS204、ステップS205を実行する。基板108aの生産を継続しない場合(ステップS207、No)、基板108aの生産を終了する。
電子部品実装装置10aは、識別記号C010と基板108aに実装した電子部品とを対応付けて、識別記号−部品識別記号関連づけデータを作成し、図2に示す電子回路生産履歴管理装置2に送信してもよい。電子回路生産履歴管理装置2の記憶部30の識別記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30eは、電子部品実装装置10aから送信された識別記号−部品識別記号関連づけデータを記憶する。このようにすることで、電子回路の生産履歴を管理することができる。次に、複数の回路基板を有する集合基板を生産する場合について説明する。
図13は、電子部品を実装する前の集合基板を説明する図である。図14は、電子部品を実装した後の集合基板を説明する図である。図15は、電子回路生産履歴管理システムを用いた電子回路生産方法のフローチャートである。この例は、図13に示す1つの集合基板108bが4個の回路基板109を有する場合において、図14に示すように、それぞれの回路基板109に部品識別記号A〜Hを有する複数の電子部品を実装する例を説明する。
本実施形態において、識別記号としても機能する二次元バーコード113bは、集合基板108bが有するそれぞれの回路基板109を生産するための生産プログラムに関する生産プログラム情報PG021〜PG024を含む、情報保持部である。集合基板108bは、位置決め情報としてのアライメントマーク110に隣接した位置に、識別記号として二次元バーコード113bが設けられている。
生産プログラム情報PG021〜PG024は、例えば、回路基板109を生産するための生産プログラムが保存されている電子部品実装装置10等の記憶装置又は図2に示す電子回路生産履歴管理装置2の生産プログラム記憶部30f内のアドレスを示す情報である。生産プログラム情報PG021〜PG024を取得した電子部品実装装置10等は、回路基板109を生産する際に、生産プログラム情報PG021〜PG024から回路基板109を生産するための生産プログラムが保存されているアドレスにアクセスし、この生産プログラムを読み出す。そして、電子部品実装装置10等は、読み出した生産プログラムにしたがって回路基板109に電子部品を実装してこれを生産する。
図5−1に示す電子回路生産履歴管理システム1aおよび電子部品実装装置10aが回路基板109を生産するにあたり、入力装置24としての電子部品実装装置10aは、搬入されてきた集合基板108bの二次元バーコード113bから各回路基板109の識別記号を、図6に示すバーコードリーダー167によって取得する(ステップS301)。本実施形態において、二次元バーコード113bは、生産プログラム情報PG021〜PG024を含む。
識別記号として生産プログラム情報PG021〜PG024が取得できた場合(ステップS302、Yes)、ステップS303に進む。ステップS303において、電子部品実装装置10aは、すべての回路基板109分、取得した生産プログラム情報PG021〜PG024がすべての回路基板109の分存在する場合(ステップS303、Yes)、生産プログラム情報に基づいて搬入されてきた集合基板108bの各回路基板109のうちの1つを生産するための生産プログラムにアクセスし、これを読み込む。(ステップS304)。そして、電子部品実装装置10aは、対象の回路基板109に電子部品を実装して1つの回路基板109を生産する(ステップS305)。
ステップS306に進み、電子部品が未搭載の回路基板がある場合(ステップS306、Yes)、電子部品実装装置10aは、ステップS304〜ステップS306を繰り返す。電子部品が未搭載の回路基板が存在しない場合(ステップS306、No)、集合基板108bが有するすべての回路基板109の生産が終了する。
ステップS302において生産プログラム情報PG021〜PG024が取得できなかった場合(ステップS302、No)又はステップS303においてすべての回路基板109の生産プログラム情報PG021〜PG024が含まれていなかった場合(ステップS303、No)、電子部品実装装置10aは、バーコードリーダー167による識別記号C010の認識エラーであるとして、動作を一時停止する(ステップS307)。ステップS307〜ステップS309は、前述したステップS206〜ステップ208と同様なので、説明を省略する。
本実施形態は、電子部品実装装置10aの記憶装置又はネットワークに接続された電子回路生産履歴管理装置2の記憶部30内の生産プログラムを指定して、基板108a毎に生産プログラムを切り替えて生産することが可能となる。また、本実施形態は、例えば、電子部品実装装置10a毎に設けられた識別記号C010を読み出す装置が識別記号C010を読み出すことにより、基板108aを生産するための生産プログラムを確定することができる。その結果、これまでオンデマンド生産、すなわち生産プログラムを切り替えて生産する方式の段取り作業で必要だった生産プログラムと識別記号(例えばバーコード)とを関連づける作業が不要になる。また、回路基板109の生産プログラム情報PG021〜PG024をすべての回路基板109の分、識別記号としての二次元バーコード113bに含めることで、1つの二次元バーコード113bからすべての回路基板109分の生産プログラム情報PG021〜PG024を読み取ることが可能となる。その結果、生産プログラム情報PG021〜PG024を認識する回数又は認識する時間を短縮できる。また、基板108又は集合基板108bに設ける識別記号(例えば、二次元バーコード113、113b)を最小限にできる。なお、本実施形態において、集合基板108bは、複数の回路基板109の数よりも少ない数の識別記号、すなわち二次元バーコード113bを有していればよい。
(実施形態3)
実施形態3は、一枚の集合基板が有する複数の回路基板の識別記号を、前述した複数の回路基板よりも少ない数の識別記号とする点に特徴がある。実施形態3は、一枚の集合基板が有する複数の回路基板をそれぞれ識別するための識別記号に、生産プログラム情報を含ませることにより、電子回路の生産履歴を管理し、かつオンデマンド生産で必要だった生産プログラムと識別記号(例えばバーコード)とを関連づける作業が不要になる。また、電子回路の生産履歴を管理することができる。
図16は、電子部品を実装する前の集合基板を説明する図である。図17は、電子部品を実装した後の集合基板を説明する図である。図18は、電子回路生産履歴管理システムを用いた電子回路生産履歴管理方法のフローチャートである。この例は、図16に示す1つの集合基板108cが4個の回路基板109を有する場合において、図17に示すように、それぞれの回路基板109に部品識別記号A〜Hを有する複数の電子部品を実装する例を説明する。
本実施形態において、識別記号としても機能する二次元バーコード113cは、集合基板108bが有する各回路基板109をそれぞれ識別するための識別記号C031〜C034および各回路基板109を生産するための生産プログラムに関する生産プログラム情報PG031〜PG034を含む、情報保持部である。集合基板108bは、位置決め情報としてのアライメントマーク110に隣接した位置に、識別記号として二次元バーコード113cが設けられている。
図5−1に示す電子回路生産履歴管理システム1aおよび電子部品実装装置10aが回路基板109を生産するにあたり、入力装置24としての電子部品実装装置10aは、搬入されてきた集合基板108cの二次元バーコード113bから各回路基板109の識別記号を、図6に示すバーコードリーダー167によって取得する(ステップS401)。本実施形態において、二次元バーコード113bは、識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024を含む。
識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024が取得できた場合(ステップS402、Yes)、ステップS403に進む。ステップS403において、電子部品実装装置10aは、すべての回路基板109分、取得した識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024がすべての回路基板109の分存在する場合(ステップS403、Yes)、生産プログラム情報に基づいて搬入されてきた集合基板108bの各回路基板109のうちの1つを生産するための生産プログラムにアクセスし、これを読み込む。(ステップS404)。そして、電子部品実装装置10aは、対象の回路基板109に電子部品を実装して1つの回路基板109を生産する(ステップS405)。
ステップS306に進み、図2に示す電子回路生産履歴管理装置2は、識別記号−部品識別記号関連づけデータを作成し、記憶部30の識別記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30eに記憶する。本実施形態においては、二次元バーコード113cに、識別記号C021〜C024と、集合基板108cが備える各回路基板109の位置を特定する位置記号P1〜P4とが対応付けられて記述されている。すなわち、図7のD1の一部に示すような識別記号−位置記号関連づけデータが二次元バーコード113cに記述されている。
図2に示す電子回路生産履歴管理装置2の記憶部30の位置記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30cは、回路基板109の位置記号(P1〜P4)と、部品情報検出部28gにより取得された、その位置記号によって特定される位置にある回路基板109に実装された電子部品の部品識別記号(A〜F)とを関連づけて位置記号−部品識別記号関連づけデータを記憶している。これは、図7のD4の一部に示すようなデータである。
処理部28の識別記号−部品識別記号関連づけ部28fは、電子部品実装装置10aが生産した回路基板109に搭載された電子部品の部品識別記号と、生産された回路基板の位置情報とを電子部品実装装置10aから取得する。識別記号−位置記号関連づけデータ中の位置記号と、電子部品実装装置10aが電子部品を実装した回路基板109の位置情報とを結びつけることにより、識別記号と、回路基板109に実装された電子部品の部品識別記号とを対応付けることができる。識別記号−部品識別記号関連づけ部28fは、この対応付けを行うことにより、識別記号−部品識別記号関連づけデータを作成する。図2に示す電子回路生産履歴管理装置2の記憶部30の識別記号−部品識別記号関連づけデータ記憶部30eは、作成された識別記号−部品識別記号関連づけデータを記憶する。電子部品実装装置10aは、図2に示す電子回路生産履歴管理装置2が行う前述した処理を実行して識別記号−部品識別記号関連づけデータを作成し、電子回路生産履歴管理装置2に送信してもよい。また、識別記号−部品識別記号関連づけデータは、実施形態1と同様の方法で作成されてもよい。
次に、ステップS407に進み、電子部品が未搭載の回路基板がある場合(ステップS407、Yes)、電子部品実装装置10aは、ステップS404〜ステップS407を繰り返す。電子部品が未搭載の回路基板が存在しない場合(ステップS407、No)、集合基板108bが有するすべての回路基板109の生産が終了する。
ステップS402において識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024が取得できなかった場合(ステップS402、No)又はステップS403においてすべての回路基板109の識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024が含まれていなかった場合(ステップS403、No)、電子部品実装装置10aは、バーコードリーダー167による識別記号C010の認識エラーであるとして、動作を一時停止する(ステップS408)。ステップS408〜ステップS410は、前述したステップS206〜ステップ208と同様なので、説明を省略する。
本実施形態は、回路基板109の識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024をすべての回路基板109の分、二次元バーコード113cに含めることで、1つの二次元バーコード113bからすべての回路基板109分の識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024を読み取ることが可能となる。その結果、識別記号C021〜C024および生産プログラム情報PG021〜PG024を認識する回数又は認識する時間を短縮できる。また、集合基板108cに設ける識別記号(例えば、二次元バーコード113c)の数を最小限にできる。
以上、実施形態1〜3について説明したが、前述した内容により実施形態1〜3が限定されるものではない。また、前述した実施形態1〜3の構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、実施形態1〜3の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換および変更を行うことができる。