以下、図面を参照しながら、本発明に係るインクジェットプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)100の正面図である。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、プリンタ100を正面から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。主走査方向Yは、後述のインクヘッド41~44(図2参照)の移動方向である。図面中の符号Xは副走査方向を示している。本実施形態では、副走査方向Xは、前後方向であり、平面視において主走査方向Yと直交する方向である。副走査方向Xは、後述する記録媒体5の搬送方向である。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
プリンタ100は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ100は、記録媒体5に対して印刷を行うものである。記録媒体5は例えばロール状の記録紙であり、いわゆるロール紙である。しかしながら、記録媒体5は、ロール状の記録紙に限定されない。例えば記録媒体5は、普通紙やインクジェット用印刷紙などの紙類以外に、ポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂製のシートやフィルム、板材、織布や不織布などの布帛、その他の媒体であってもよい。
図1に示すように、プリンタ100は、プリンタ本体11と、プラテン13と、搬送機構20と、ガイドレール15と、キャリッジ17と、ヘッド移動機構30と、インクヘッド41~44(図2参照)と、インク供給システム61~68(図3参照)と、キャップ111~114(図7参照)と、キャッピング機構120(図7参照)と、制御装置150とを備えている。
プリンタ本体11は、主走査方向Yに延びたケーシングを有している。プラテン13は、記録媒体5を支持する。プラテン13には、記録媒体5が載置される。プラテン13上において印刷が行われる。プラテン13は、主走査方向Yに延びたものである。
プラテン13に載置された記録媒体5は、搬送機構20によって副走査方向Xに搬送される。搬送機構20の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構20は、ピンチローラ21と、グリットローラ22と、フィードモータ23とを備えている。ピンチローラ21は、プラテン13の上方かつガイドレール15よりも下方に設けられ、記録媒体5を上から押さえ付けるものである。ピンチローラ21は、平面視においてキャリッジ17よりも後方に配置されている。グリットローラ22は、プラテン13に設けられた円筒状の部材である。グリットローラ22は、その上面部を露出させた状態でプラテン13に埋設されている。グリットローラ22は、ピンチローラ21と対向している。グリットローラ22には、フィードモータ23が接続されている。ピンチローラ21とグリットローラ22との間に記録媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ23が駆動すると、グリットローラ22が回転する。このことで、プラテン13上の記録媒体5は、副走査方向Xに搬送される。
ガイドレール15は、プラテン13の上方に配置されている。ガイドレール15は、プラテン13と平行に配置され、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15には、キャリッジ17が係合している。キャリッジ17は、ガイドレール15に摺動可能に設けられている。
ヘッド移動機構30は、キャリッジ17およびインクヘッド41~44(図2参照)を主走査方向Yに移動させる機構である。ヘッド移動機構30は、本発明の「移動機構」の一例である。ヘッド移動機構30は、キャップ111~114(図7参照)に対してインクヘッド41~44を相対的に移動させる機構である。なお、ヘッド移動機構30の構成は特に限定されない。本実施形態では、ヘッド移動機構30は、左右のプーリ31a、31bと、ベルト32と、キャリッジモータ33とを備えている。左のプーリ31aは、ガイドレール15の左端部に設けられている。右のプーリ31bは、ガイドレール15の右端部に設けられている。ベルト32は、無端状のベルトであり、左右のプーリ31a、31bに巻き掛けられている。ベルト32には、キャリッジ17が取り付けられている。ここでは、右のプーリ31bには、キャリッジモータ33が接続されている。キャリッジモータ33が駆動することで、右のプーリ31bが回転し、ベルト32が走行する。このことで、キャリッジ17およびインクヘッド41~44は、ガイドレール15に沿って主走査方向Yに移動する。
図2は、キャリッジ17の下面の構成を模式的に示す図である。図2に示すように、インクヘッド41~44は、キャリッジ17に設けられている。インクヘッド41~44は、その下面を露出するように、キャリッジ17に支持されている。以下の説明では、インクヘッド41~44のことを、それぞれ第1~第4インクヘッド41~44と適宜称する。インクヘッド41~44は、インクを吐出する。ここでは、インクヘッド41~44は、主走査方向Yに並んで配置されている。
第1~第4インクヘッド41~44は、それぞれ第1~第4ノズル面45a~45dを有している。第1~第4ノズル面45a~45dは、それぞれインクヘッド41~44の下面に形成されている。第1ノズル面45aには、複数の第1の1ノズル51が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数の第1の2ノズル52が副走査方向Xに並んで形成されている。同様に、第2ノズル面45bには、複数の第2の1ノズル53が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数の第2の2ノズル54が副走査方向Xに並んで形成されている。第3ノズル面45cには、複数の第3の1ノズル55が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数の第3の2ノズル56が副走査方向Xに並んで形成されている。また、第4ノズル面45dには、複数の第4の1ノズル57が副走査方向Xに並んで形成され、かつ、複数の第4の2ノズル58が副走査方向Xに並んで形成されている。ノズル51~58からインクが吐出される。ここでは、各複数のノズル51~58の列のことを、ノズル列51a~58aと称する。各インクヘッド41~44は、2つのノズル列を有している。本実施形態では、例えば第1の1ノズルが本発明の第1ノズルに対応し、第1の2ノズル52が本発明の他の第1ノズルに対応している。また、第2の1ノズル53が本発明の第2ノズルに対応している。
図3は、インクヘッド41~44と、インク供給システム61~68との関係を示す概念図である。図3に示すように、インク供給システム61~68は、それぞれインクヘッド41~44のノズル51~58にインクを供給するシステムである。本実施形態では、インク供給システム61~68は、ノズル列51a~58a(図2参照)ごとに設けられている。ここでは、ノズル列の数は「8」であるため、インク供給システムの数も「8」である。ノズル51~58には、それぞれインク供給システム61~68が接続されている。ここでは、インク供給システム61~68は、いずれも同じ構成を有している。そこで、以下では、第1インクヘッド41に接続されたインク供給システム61、62について説明し、他のインク供給システム63~68についての説明は、省略または簡略化する。なお、インク供給システム61~68において、一部のインク供給システムの構成は、他のインク供給システムの構成と異なっていてもよい。
図4は、第1インクヘッド41に接続されたインク供給システム61、62の構成を示す模式図である。図4に示すように、インク供給システム61は、第1の1インクタンク71aと、第1の1インク供給路72aと、第1の1送液ポンプ73aと、第1の1ダンパー74aとを備えている。インク供給システム62は、第1の2インクタンク71bと、第1の2インク供給路72bと、第1の2送液ポンプ73bと、第1の2ダンパー74bとを備えている。
第1の1インクタンク71aは、インクが貯留される容器である。インクタンク71aには、例えばプロセスカラーインクおよび特色インク(例えばホワイトインク、クリアインクなど)のうちの1つのインクが貯留されている。ただし、インクタンク71aに貯留されるインクの色は特に限定されない。また、インクの材料も何ら限定されず、従来からインクジェットプリンタのインクの材料として用いられている各種の材料を使用することができる。上記インクは、例えば、ソルベント系(溶剤系)顔料インクや水性顔料インクであってもよい。あるいは、上記インクは、水性染料インクや、紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型顔料インクなどであってもよい。
第1の1インク供給路72aは、第1の1インクタンク71aと第1インクヘッド41の第1の1ノズル51とを接続する流路である。インク供給路72aの一端は、ダンパー74aを介してノズル51に接続され、かつ、連通している。インク供給路72aの他端は、インクタンク71aに接続されている。そのため、複数のノズル51からは、インクタンク71aに貯留されたインクが吐出される。なお、インク供給路72aの構成は特に限定されないが、インク供給路72aは、例えばチューブによって構成されている。
第1の1送液ポンプ73aは、第1の1インク供給路72aに設けられている。送液ポンプ73aは、インクタンク71aに貯留されたインクをノズル51に供給すると共に、ノズル51からのインクの吐出に適した圧力に調整するためのポンプである。送液ポンプ73aは、駆動時、インクタンク71aからノズル51に向かってインクを送液する。送液ポンプ73aの種類は限定されないが、送液ポンプ73aは、例えばダイヤフラムポンプ、チューブポンプなどである。
第1の1ダンパー74aは、インクの圧力変動を緩和して、ノズル51のインクの吐出動作を安定させるものである。第1の1ダンパー74aは、本発明の第1ダンパーの一例である。ダンパー74aは、ダンパー74aに流入するインクの流量(言い換えると、ダンパー74a内の圧力)を検出する。そして、インクの流量の検出結果に基づいて、送液ポンプ73aの駆動が制御される。ダンパー74aは、インクヘッド41に接続されている。ここでは、ダンパー74aは、インクヘッド41の上部に設けられている。なお、ダンパー74aの構成は特に限定されない。
図5は、ダンパー74a~74hの平面図であり、貯留室82の圧力が所定の基準圧力(例えば第1基準圧力)以下の状態を示す図である。図6は、ダンパー74a~74hの平面断面図であり、貯留室82の圧力が所定の基準圧力(例えば第1基準圧力)より大きい状態を示す図である。本実施形態では、図5に示すように、第1の1ダンパー74aは、ダンパー本体81と、貯留室82と、ダンパー膜83と、検出機構84とを備えている。
ダンパー本体81は中空のものである。貯留室82は、ダンパー本体81内に設けられている。貯留室82は、一部に形成された開口を有している。貯留室82には、インクが一時的に貯留される。第1の1ダンパー74aの貯留室82は、第1の1インク供給路72a(図4参照)および第1の1ノズル51(図4参照)と連通している。本実施形態では、第1の1ダンパー74aのダンパー本体81の上部には、第1の1インク供給路72aが接続された流入口85aが形成され、第1の1ダンパー74aのダンパー本体81の下部には、第1の1ノズル51に接続された流出口85b(図4参照)が形成されている。ただし、流入口85aおよび流出口85bの形成位置は特に限定されない。第1の1ダンパー74aは、印刷時に流入口85aから貯留室82に流入したインクが流出口85bを通じて第1の1ノズル51へ流れるように構成されている。本実施形態では、第1の1ダンパー74aの貯留室82は、本発明の第1貯留室の一例である。
図5に示すように、ダンパー膜83は、貯留室82の開口部分を覆うようにダンパー本体81に設けられている。ここでは、ダンパー膜83とダンパー本体81によって囲まれた空間が貯留室82である。ダンパー膜83は、例えば可撓性を有する樹脂製のフィルムによって構成されている。ダンパー膜83は、貯留室82内のインクの貯留量や、貯留室82内の圧力に基づいて、図5および図6に示すように、貯留室82の内側および外側に変形可能である。ダンパー膜83は、貯留室82の内側および外側にそれぞれ撓むことができる程度の張力で、ダンパー本体81に取り付けられている。
本実施形態では、貯留室82には、バネ85が設けられている。バネ85は、圧縮された状態で貯留室82に配置されており、ダンパー膜83に向かって弾性力を付与する。ここでは、バネ85は、後述の押圧体86を介してダンパー膜83の貯留室82側の面に接続されている。なお、バネ85の種類は特に限定されず、例えば、バネ85はコイルバネである。
検出機構84は、貯留室82内の圧力を検出する機構である。ここでは、第1の1ダンパー74aの検出機構84は、貯留室82内の圧力を検出することで、第1の1インク供給路72a(図4参照)内の圧力を間接的に検出する。なお、検出機構84の構成は特に限定されない。本実施形態では、検出機構84は、図5に示すように、押圧体86と、フィラー87と、フィラーセンサ88とを備えている。押圧体86は、ダンパー膜83に設けられている。本実施形態では、押圧体86は、ダンパー膜83の貯留室82側の面に設けられている。ただし、押圧体86は、ダンパー膜83の貯留室82とは反対側の面に設けられていてもよい。ここでは、押圧体86は、バネ85に支持されており、ダンパー膜83の撓みと共に、貯留室82の内側および外側に移動可能である。
フィラー87は、ダンパー膜83または押圧体86と接触可能にダンパー本体81に設けられている。本実施形態では、ダンパー本体81には、支持バネ89が設けられおり、フィラー87は、支持バネ89に支持されている。フィラー87の形状は特に限定されない。ここでは、フィラー87は、略コの字状に形成されている。詳しくは、フィラー87は、押圧体86の右方において、前後方向に延びた接触部87aと、接触部87aの後部から左方に延びた支持部87bと、接触部87aの前部から左方に延びた被検出部87cとを有している。接触部87aは、ダンパー膜83または押圧体86に接触する。支持部87bは、支持バネ89に支持されている。被検出部87cは、フィラーセンサ88によって検出される部位である。
フィラーセンサ88は、フィラー87の位置を検出することによって、貯留室82内の圧力を検出する。第1の1ダンパー74aのフィラーセンサ88は、貯留室82内の圧力を検出することで、第1の1インク供給路72aの圧力を間接的に検出する。ここでは、第1の1ダンパー74aのフィラーセンサ88は、本発明の第1圧力検出機構の一例である。本実施形態では、フィラーセンサ88は、非接触式のセンサであるが、接触式のセンサであってもよい。フィラーセンサ88は、一対の検出部88aを有している。図5に示すように、一対の検出部88aの間に、フィラー87の被検出部87cが位置しているとき、フィラーセンサ88は、貯留室82の圧力が所定の基準圧力以下であることを検出する。
図6に示すように、貯留室82の圧力が大きくなるにしたがって、ダンパー膜83が貯留室82の外側に撓む。このとき、押圧体86によって、フィラー87が貯留室82の外側に押されることで、フィラー87は、接触部87aと支持部87bとの間に位置する軸87dを軸にして回転する。そして、貯留室82の圧力が所定の基準圧力より大きくなったとき、フィラー87の被検出部87cがフィラーセンサ88の一対の検出部88aの間から外れた位置に移動する。フィラーセンサ88は、一対の検出部88aの間に、フィラー87の被検出部87cが位置していないとき、貯留室82の圧力が所定の基準圧力よりも大きいことを検出する。本実施形態では、第1の1ダンパー74aにおける一対の検出部88aの間の範囲は、本発明の所定の範囲に対応する。
本実施形態では、図5に示すように、フィラーセンサ88の一対の検出部88aの間に、フィラー87の被検出部87cが位置しているとき、すなわち、貯留室82の圧力が所定の基準圧力以下のとき、「フィラー87がヒットしている」という。一方、図6に示すように、フィラーセンサ88の一対の検出部88aの間に、フィラー87の被検出部87cが位置していないとき、すなわち、貯留室82の圧力が所定の基準圧力よりも大きいとき、「フィラー87がアンヒットしている」という。
図4に示すように、インク供給システム62は、インク供給システム61と同様に構成されている。インク供給システム62において、第1の2インクタンク71bと、第1の2インク供給路72bと、第1の2送液ポンプ73bと、第1の2ダンパー74bとは、それぞれインク供給システム61の第1の1インクタンク71aと、第1の1インク供給路72aと、第1の1送液ポンプ73aと、第1の1ダンパー74aと同じ構成である。本実施形態では、第1の2ダンパー74bは、本発明の他の第1ダンパーの一例である。第1の2ダンパー74bの貯留室82は、本発明の他の第1貯留室の一例であり、第1の2ダンパー74bのフィラーセンサ88は、本発明の他の第1圧力検出機構の一例である。
図3に示すように、インク供給システム63~68は、それぞれインク供給システム61と同じ構成を有している。詳しい説明は省略するが、インク供給システム63は、第2の1ノズル53に接続されており、第2の1インクタンク71cと、第2の1インク供給路72cと、第2の1送液ポンプ73cと、第2の1ダンパー74cとを備えている。ここでは、第2の1ダンパー74cは、本発明の第2ダンパーの一例である。第2の1ダンパー74cの貯留室82は、本発明の第2貯留室の一例であり、第2の1ダンパー74cのフィラーセンサ88は、本発明の第2圧力検出機構の一例である。
インク供給システム64は、第2の2ノズル54に接続されており、第2の2インクタンク71dと、第2の2インク供給路72dと、第2の2送液ポンプ73dと、第2の2ダンパー74dとを備えている。インク供給システム65は、第3の1ノズル55に接続されており、第3の1インクタンク71eと、第3の1インク供給路72eと、第3の1送液ポンプ73eと、第3の1ダンパー74eとを備えている。インク供給システム66は、第3の2ノズル56に接続されており、第3の2インクタンク71fと、第3の2インク供給路72fと、第3の2送液ポンプ73fと、第3の2ダンパー74fとを備えている。インク供給システム67は、第4の1ノズル57に接続されており、第4の1インクタンク71gと、第4の1インク供給路72gと、第4の1送液ポンプ73gと、第4の1ダンパー74gとを備えている。また、インク供給システム68は、第4の2ノズル58に接続されており、第4の2インクタンク71hと、第4の2インク供給路72hと、第4の2送液ポンプ73hと、第4の2ダンパー74hとを備えている。
図7は、インクヘッド41~44、キャップ111~114、キャッピング機構120および吸引ポンプ131~134の正面図である。図7は、キャップ111~114がノズル面45a~45dに装着されていない状態を示す図である。図8~図11は、それぞれインクヘッド41~44およびキャップ111~114の正面図である。図8は、キャップ111~114がそれぞれノズル面45a~45dに装着されている状態を示す図であり、後述の第1位置P1にキャップ111~114が配置されている状態を示す図である。図9、図10、図11は、キャップ111~114がそれぞれ後述の第2位置P2、第3位置P3、第4位置P4に配置されている状態を示す図である。なお、図8~図11では、キャッピング機構120および吸引ポンプ131~134の図示は省略されている。
図8に示すように、第1~第4キャップ111~114は、それぞれ第1~第4ノズル面45a~45dに装着可能に構成されている。本実施形態では、第1キャップ111は、第1ノズル面45a、第2ノズル面45b、第3ノズル面45cおよび第4ノズル面45dに装着可能である。なお、第2キャップ112、第3キャップ113および第4キャップ114も、第1ノズル面45a、第2ノズル面45b、第3ノズル面45cおよび第4ノズル面45dに装着可能である。図示は省略するが、キャップ111~114は、それぞれノズル面45a~45dと接触する端面を有している。この端面は、キャップ111~114の上端に位置する面である。ここで、「装着」とは、ノズル51~58がそれぞれキャップ111~114の何れかに囲まれている状態、言い換えると、キャップ111~114の端面の全体が、それぞれノズル面45a~45dの何れかに接触している状態のことをいう。
キャップ111~114は、主走査方向Yに並んで配置されている。キャップ111~114は、上部が開口した箱状の形状を有している。なお、キャップ111~114を形成する材料の種類は特に限定されない。キャップ111~114の少なくともノズル面45a~45dと接触する部分は、例えばゴムなどによって形成されている。また、キャップ111~114の内部には、スポンジなどの吸収体(図示せず)が配置されている。キャップ111~114の上部の開口は、インクヘッド41~44の外周部の形状に対応している。
図7に示すように、キャッピング機構120は、キャップ111~114を昇降させる機構である。キャッピング機構120は、ノズル面45a~45dのうちの何れかのノズル面に対して第1キャップ111を装着させたり、離間させたりするように構成されている。本実施形態では、キャッピング機構120は、ノズル面45a~45dのうちの何れかのノズル面に対して、キャップ111~114のうちの何れかのキャップを装着させたり、離間させたりするように構成されている。
なお、キャッピング機構120の具体的な構成は特に限定されない。本実施形態では、キャッピング機構120は、支持部材121と、キャッピングモータ122とを有している。支持部材121は、キャップ111~114を支持する部材である。ここでは、支持部材121は板状の部材である。支持部材121を水平面に配置したとき、支持部材121に支持されたキャップ111~114のそれぞれの端面は、水平方向に延びている。キャッピングモータ122は、支持部材121に接続されている。キャッピングモータ122が駆動することで、支持部材121が昇降する。この支持部材121の昇降に伴い、キャップ111~114は同時に昇降する。そして、キャップ111~114が昇降することで、ノズル面45a~45dのうち何れかのノズル面に対して、キャップ111~114のうち何れかのキャップを装着させたり、離間させたりすることができる。
第1~第4吸引ポンプ131~134は、キャップ111~114にそれぞれ接続されている。吸引ポンプ131~134は、それぞれキャップ111~114内のインクや空気などを吸引する部材である。本実施形態では、例えば第1吸引ポンプ131が本発明の第1吸引装置の一例であり、第2吸引ポンプ132が本発明の第2吸引装置の一例である。吸引ポンプ131~134の種類は特に限定されない。吸引ポンプ131~134は、例えば真空ポンプである。吸引ポンプ131~134は、それぞれチューブなどを介してキャップ111~114の底面に接続されている。吸引ポンプ131~134は、駆動時には、それぞれに対応するインクヘッド41~44に接続されたインク供給路内の負圧よりも低い負圧を形成するように構成されている。例えば、キャップ111~114がそれぞれノズル面45a~45dに装着された状態で吸引ポンプ131~134が駆動された時には、インクヘッド41~44のノズル51~58からインクなどが吸い出される。吸引ポンプ131~134に吸引されたインクなどは、図示しないチューブなどを介して図示しない廃液タンクに廃棄される。
本実施形態では、キャップ111~114は、ガイドレール15の右端部に位置するホームポジション(図示せず)に配置されている。そのため、ヘッド移動機構30によってインクヘッド41~44が主走査方向Yに移動することで、キャップ111~114に対するインクヘッド41~44の主走査方向Yにおける相対的な位置を変更することができる。ヘッド移動機構30によってインクヘッド41~44を主走査方向Yに移動させることで、平面視において第1ノズル面45aと第1キャップ111とが重なる位置(以下、第1位置P1(図8参照)という。)、平面視において第2ノズル面45bと第1キャップ111とが重なる位置(以下、第2位置P2(図9参照)という。)、平面視において第3ノズル面45cと第1キャップ111とが重なる位置(以下、第3位置P3(図10参照)という。)、または、平面視において第4ノズル面45dと第1キャップ111(以下、第4位置P4(図11参照)という。)のうち何れかの位置にインクヘッド41~44を移動させることができる。ここで、「重なる位置」とは、平面視においてキャップ内にノズル面が配置されている状態のことをいう。
本実施形態では、図8に示すように、第1位置P1とは、平面視において、第2ノズル面45bと第2キャップ112、第3ノズル面45cと第3キャップ113、および、第4ノズル面45dと第4キャップ114がそれぞれ重なる位置であり、ノズル面45a~45dにそれぞれキャップ111~114が装着される。図9に示すように、第2位置P2とは、平面視において、第3ノズル面45cと第2キャップ113、および、第4ノズル面45cと第3キャップ114がそれぞれ重なる位置であり、ノズル面45b~45dにそれぞれキャップ111~113が装着される。図10に示すように、第3位置P3とは、平面視において第4ノズル面45dと第2キャップ112が重なる位置であり、ノズル面45c、45dにそれぞれキャップ111、112が装着される。図11に示すように、第4位置P4では、第4ノズル面45dのみに、第1キャップ111が装着される。
本実施形態では、図1に示すように、プリンタ100のプリンタ本体11の右端部には、操作パネル140が設けられている。操作パネル140には、機器状態を表示する表示画面141と、ユーザによって操作される入力キー142などが設けられている。
次に、制御装置150について説明する。制御装置150は、印刷に関する制御、および、ノズル面45a~45dの上下方向の位置、すなわちノズル面45a~45dの高さを測定するための制御などを行う装置である。制御装置150の構成は特に限定されない。制御装置150は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から印刷データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。なお、制御装置150は必ずしもプリンタ100の内部に設けられている必要はない。制御装置150は、例えばプリンタ100の外部に設置され、有線または無線を介してプリンタ100と通信可能に接続されたコンピュータなどであってもよい。
図12は、プリンタ100のブロック図である。図12に示すように、制御装置150は、搬送機構20のフィードモータ23と、ヘッド移動機構30のキャリッジモータ33と、インクヘッド41~44と、送液ポンプ73a~73hと、ダンパー74a~74hのフィラーセンサ88と、キャッピング機構120のキャッピングモータ122と、吸引ポンプ131~134と、にそれぞれ通信可能に接続されており、それらを制御可能に構成されている。
図13は、制御装置150のブロック図である。図13に示すように、制御装置150は、記憶部151と、吸引制御部153とを備えている。吸引制御部153は、吸引処理を実行するように構成されている。ここで、吸引処理とは、図8に示すように、キャップ111~114をそれぞれノズル面45a~45dに装着させ、かつ、ノズル51~58からキャップ111~114に向かってインクを吸引する処理である。本実施形態では、吸引制御部153は、キャップ111~114が第1位置P1に配置されるようにヘッド移動機構30およびキャッピング機構120を制御する。このことで、キャップ111~114がそれぞれノズル面45a~45dに装着される。次に、吸引制御部153は、キャップ111~114がそれぞれノズル面45a~45dに装着された状態において、吸引ポンプ131~134を駆動させる。このことで、ノズル51、52内のインクが第1キャップ111内に吸引され、ノズル53、54内のインクが第2キャップ112内に吸引される。また、ノズル55、56内のインクが第3キャップ113内に吸引され、ノズル57、58内のインクが第4キャップ114内に吸引される。
ところで、4つのインクヘッド41~44は、設計時において、それぞれのノズル面45a~45dが同じ高さの位置に配置されるようにキャリッジ17に設けられるように構成されている。すなわち、ノズル面45a~45d同士の高さの差はない状態である。
例えばプリンタ100を組み立てる際に、4つのインクヘッド41~44の間で組み付け誤差が生じること、または、長期間、プリンタ100を使用することでインクヘッド41~44の間でずれが生じることがあり得る。このことによって、インクヘッド41~44のノズル面45a~45dの高さが異なることがあり得る。ノズル面45a~45dの高さが異なる場合、ノズル51~58からプラテン13上の記録媒体5までの距離が異なるため、インクの着弾位置がずれることがあり得る。その結果、印刷の品質が低下するおそれがある。
そこで、インクの着弾位置がずれている場合、ノズル面45a~45dのそれぞれの相対的な高さを測定し、その測定結果に応じて、ノズル51~58から吐出されたインクの着弾位置がずれないようにする補正が行われる。この補正は、ノズル面45a~45dの実際の上下方向の位置を変更するものであってもよいし、上記測定結果に基づいて、ノズル51~58から吐出されるインクのタイミングを制御装置150による制御によって補正するものであってもよい。
従来では、ノズル面45a~45dの高さを測定する場合、例えば専用の治具をプリンタ100に取り付けて測定することが行われていた。そのため、ノズル面45a~45dの高さの測定の手間とコストを要していた。そこで、本実施形態では、プリンタ100に専用の治具などを取り付けることなく、ノズル面45a~45dの相対的な高さを自動で測定することを行う。ここでは、キャップ111~114のうちの何れかのキャップ(本実施形態では、第1キャップ111)、および、ノズル51~58に接続されたダンパー74a~74hを利用して、ノズル面45a~45dの実際の相対的な高さの測定を行う。
本実施形態では、制御装置150は、インクヘッド41~44のノズル面45a~45dの上下方向の位置を測定する位置測定処理を実行するように構成されている。以下、ノズル面45a~45dの上下方向の位置のことを、ノズル面45a~45dの高さという。ノズル面45a~45dの高さとは、所定の位置(例えば、第1キャップ111が装着されたときの第1キャップ111の位置)を基準にした相対的な高さの位置のことである。
本実施形態では、図13に示すように、制御装置150は、更に、第1位置測定部160aと、第2位置測定部160bと、第3位置測定部160cと、第4位置測定部160dと、差分算出部165と、通知部166を備えている。第1位置測定部160aは、第1ノズル面45aの相対的な高さを測定するものであり、第1移動制御部161aと、第1上昇制御部162aと、第1判定制御部163aと、第1位置決定制御部164aとを備えている。第2位置測定部160bは、第2ノズル面45bの相対的な高さを測定するものであり、第2移動制御部161bと、第2上昇制御部162bと、第2判定制御部163bと、第2位置決定制御部164bとを備えている。
第3位置測定部160cは、第3ノズル面45cの相対的な高さを測定するものであり、第3移動制御部161cと、第3上昇制御部162cと、第3判定制御部163cと、第3位置決定制御部164cとを備えている。第4位置測定部160dは、第4ノズル面45dの相対的な高さを測定するものであり、第4移動制御部161dと、第4上昇制御部162dと、第4判定制御部163dと、第4位置決定制御部164dとを備えている。制御装置150を構成する各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば上述した各部は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。なお、制御装置150を構成する各部の具体的な制御については後述する。
図14は、インクヘッド41~44のノズル面45a~45dの高さを測定する手順を示すフローチャートである。次に、図14のフローチャートに沿って、ノズル面45a~45dの高さを測定する手順について説明する。ここでは、第1キャップ111をノズル面45a~45dにそれぞれ装着させることで、ノズル面45a~45dの高さを測定する。
まず、図14のステップS101では、第1インクヘッド41の第1ノズル面45aの相対的な高さ、すなわち上下方向の位置を測定する。ここでは、第1ノズル面45aの高さは、位置測定処理に含まれる第1移動処理、第1上昇処理、第1判定処理、および、第1位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第1移動処理は、図8の仮想線で示すように、平面視において第1ノズル面45aと第1キャップ111とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第1上昇処理は、第1移動処理の後に、図8の矢印のように、第1キャップ111を第1ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第1判定処理では、第1上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1吸引ポンプ131を駆動させた状態で、第1の1ダンパー74aの貯留室82内の圧力である第1の1検出圧力、および、第1の2ダンパー74bの貯留室82内の圧力である第1の2検出圧力を検出する。ここで、第1の1検出圧力は本発明の第1検出圧力の一例であり、第1の2検出圧力は本発明の他の第1検出圧力の一例である。そして、第1判定処理では、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが予め定められた第1基準圧力以下であるか否かを判定する。第1位置決定処理では、第1判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を、第1ノズル面45aの上下方向の位置である第1実位置にする。ここでは、第1移動処理、第1上昇処理、第1判定処理、および、第1位置決定処理は、それぞれ第1移動制御部161a、第1上昇制御部162a、第1判定制御部163a、および、第1位置決定制御部164aによって実行される。
図15は、第1ノズル面45aの上下方向の位置を測定する手順を示すフローチャートである。本実施形態では、図15のフローチャートに沿って、第1ノズル面45aの上下方向の位置を測定することができる。
本実施形態では、ステップS201の処理が行われる前において、第1の1ダンパー74aのフィラー87および第1の2ダンパー74bのフィラー87の両方ともアンヒット状態(図6参照)である。すなわち、第1の1ダンパー74aの貯留室82の圧力、および、第1の2ダンパー74bの貯留室82の圧力は、いずれも基準圧力よりも大きい状態である。仮に、ダンパー74a、74bのフィラー87がヒットの状態である場合、送液ポンプ73a、73bを駆動させて、ダンパー74a、74bの貯留室82にインクを送液する。このことで、貯留室82内の圧力が高くなり、上記フィラー87をアンヒット状態にすることができる。
まず、ステップS201では、第1移動制御部161aは、図8の仮想線で示すように、第1インクヘッド41の真下にキャップ111が配置されるように、ヘッド移動機構30のキャリッジモータ33を駆動させる。そして、第1移動制御部161aは、第1インクヘッド41の真下に第1キャップ111が移動してきたとき、キャリッジモータ33の駆動を停止させる。
次に、ステップS202では、第1上昇制御部162aは、第1ノズル面45aに向かって、所定の距離、キャップ111を上昇させるようにキャッピング機構120を制御する。このことで、キャップ111は、上方に向かって移動する。なお、本実施形態では、キャップ111~114は、一体的に上下方向に移動するため、第1キャップ111が昇降する際、第2~第4キャップ112~114も同じように昇降する。ここで、所定の距離とは、記憶部151に予め記憶されたものであり、より精度良く測定したい場合には、より小さい値が設定される。所定の距離は、例えば0.1mm~0.5mmである。
ステップS202において、第1キャップ111が所定の距離、上昇した後、ステップS203では、第1判定制御部163aは、第1吸引ポンプ131を所定の時間の間、駆動させる。この所定の時間は、例えばステップS203の判定の処理が終了するまでの時間である。この所定の時間は、記憶部151に予め記憶されている。
次に、ステップS204では、第1判定制御部163aは、第1吸引ポンプ131が駆動している状態において、第1の1ダンパー74aのフィラー87および第1の2ダンパー74bのフィラー87の何れかがヒットしているか否か、すなわち、何れかのフィラー87がアンヒット状態から変化したか否かを判定する。ここでは、ダンパー74a、74bの何れかのフィラー87がヒットのとき、第1の1判定圧力および第1の2判定圧力の何れかが第1基準圧力以下であると判定される。
ステップS204において、ダンパー74a、74bのそれぞれのフィラー87がアンヒットしていると判定された場合、ノズル51、52内のインクが吸引ポンプ131によって吸引されずに、貯留室82内のインクの量が変化していない状態である。この場合、第1ノズル面45aに第1キャップ111が装着されていない状態であるため、ステップS202へ戻り、第1キャップ111を所定の距離、更に上昇させる。
一方、ステップS204において、ダンパー74a、74bの何れかのフィラー87がヒットしていると判定された場合、ノズル51、52内のインクが吸引ポンプ131によって吸引されて、貯留室82内のインクの量が減少し、貯留室82の圧力が低くなった状態である。この場合、第1ノズル面45aに第1キャップ111が最初に装着された状態(図8参照)となるため、次に、ステップS205に進む。ステップS205では、第1位置決定制御部164aは、ステップS204における第1キャップ111の上下方向の位置を、第1ノズル面45aの上下方向の実際の相対的な位置(第1実位置)とする。なお、第1実位置は、記憶部151に記憶される。
以上のように、図14のステップS101において、第1ノズル面45aの上下方向の実際の位置である第1実位置を測定した後、次に、ステップS102において、第2ノズル面45bの上下方向の実際の相対的な位置である第2実位置を測定する。第2ノズル面45bの高さは、位置測定処理に含まれる第2移動処理、第2上昇処理、第2判定処理、および、第2位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第2移動処理は、図9の仮想線で示すように、平面視において第2ノズル面45bと第1キャップ111とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第2上昇処理は、第2移動処理の後に、図9の矢印のように、第1キャップ111を第2ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第2判定処理では、第2上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1吸引ポンプ131を駆動させた状態で、第2の1ダンパー74cの貯留室82内の圧力である第2の1検出圧力、および、第2の2ダンパー74dの貯留室82内の圧力である第2の2検出圧力を検出する。ここで、第2の1検出圧力は本発明の第2検出圧力の一例である。第2判定処理では、第2の1検出圧力および第2の2検出圧力の何れかが予め定められた第2基準圧力以下であるか否かを判定する。この第2基準圧力とは、上記第1基準圧力と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。第2位置決定処理では、第2判定処理において第2の1検出圧力および第2の2検出圧力の何れかが第2基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を、第2ノズル面45bの上下方向の位置である第2実位置にする。このとき、キャップ111~114の位置は、図9の第2位置P2となる。
ここでは、第2移動処理、第2上昇処理、第2判定処理、および、第2位置決定処理は、それぞれ第2移動制御部161b、第2上昇制御部162b、第2判定制御部163b、および、第2位置決定制御部164bによって実行される。なお、第2実位置の具体的な測定手順は、第1実位置の測定手順と同じであり、図15において第1インクヘッド41を第2インクヘッド42に読み替え、かつ、第1の1ダンパー74a、第1の2ダンパー74bおよび第1実位置を、それぞれ第2の1ダンパー74c、第2の2ダンパー74dおよび第2実位置に読み替えることで、図15のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第2実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
ステップS102において、第2ノズル面45bの上下方向の実際の位置である第2実位置を測定した後、次に、ステップS103において、第3ノズル面45cの上下方向の実際の相対的な位置である第3実位置を測定する。第3ノズル面45cの上下方向の位置は、位置測定処理に含まれる第3移動処理、第3上昇処理、第3判定処理、および、第3位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第3移動処理は、図10の仮想線で示すように、平面視において第3ノズル面45cと第1キャップ111とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第3上昇処理は、第3移動処理の後に、図10の矢印のように、第1キャップ111を第3ノズル面45cに向かって上昇させる処理である。
第3判定処理では、第3上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1吸引ポンプ131を駆動させた状態で、第3の1ダンパー74eの貯留室82内の圧力である第3の1検出圧力、および、第3の2ダンパー74fの貯留室82内の圧力である第3の2検出圧力を検出する。そして、第3判定処理では、第3の1検出圧力および第3の2検出圧力の何れかが予め定められた第3基準圧力以下であるか否かを判定する。なお、第3基準圧力は、第1基準圧力および第2基準圧力の少なくとも何れかと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。第3位置決定処理では、第3判定処理において第3の1検出圧力および第3の2検出圧力の何れかが第3基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を、第3ノズル面45cの上下方向の位置である第3実位置にする。このとき、キャップ111~114の位置は、図10の第3位置P3となる。
ここでは、第3移動処理、第3上昇処理、第3判定処理、および、第3位置決定処理は、それぞれ第3移動制御部161c、第3上昇制御部162c、第3判定制御部163c、および、第3位置決定制御部164cによって実行される。なお、第3実位置の具体的な測定手順は、第1実位置の測定手順と同じであり、図15において、第1インクヘッド41を第3インクヘッド43に読み替え、かつ、第1の1ダンパー74a、第1の2ダンパー74bおよび第1実位置を、それぞれ第3の1ダンパー74e、第3の2ダンパー74fおよび第3実位置に読み替えることで、図15のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第3実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
図14のステップS103において、第3ノズル面45cの上下方向の実際の位置である第3実位置を測定した後、次に、ステップS104では、第4ノズル面45dの上下方向の実際の相対的な位置である第4実位置を測定する。第4ノズル面45dの上下方向の位置は、位置測定処理に含まれる第4移動処理、第4上昇処理、第4判定処理、および、第4位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第4移動処理は、図11の仮想線で示すように、平面視において第4ノズル面45dと第1キャップ111とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第4上昇処理は、第4移動処理の後に、図11の矢印のように、第1キャップ111を第4ノズル面45dに向かって上昇させる処理である。
第4判定処理では、第4上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1吸引ポンプ131を駆動させた状態で、第4の1ダンパー74gの貯留室82内の圧力である第4の1検出圧力、および、第4の2ダンパー74hの貯留室82内の圧力である第4の2検出圧力を検出する。そして、第4判定処理では、第4の1検出圧力および第4の2検出圧力の何れかが予め定められた第4基準圧力以下であるか否かを判定する。なお、第4基準圧力は、第1基準圧力、第2基準圧力および第3基準圧力の少なくとも何れかと同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。第4位置決定処理では、第4判定処理において第4の1検出圧力および第4の2検出圧力の何れかが第4基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を第4ノズル面45dの上下方向の位置である第4実位置にする。このとき、キャップ111~114の位置は、図11の第4位置P4となる。
ここでは、第4移動処理、第4上昇処理、第4判定処理、および、第4位置決定処理は、それぞれ第4移動制御部161d、第4上昇制御部162d、第4判定制御部163d、および、第4位置決定制御部164dによって実行される。なお、第4実位置の具体的な測定手順は、第1実位置の測定手順と同じであり、図15の第1インクヘッド41を第4インクヘッド44に読み替え、かつ、第1の1ダンパー74a、第1の2ダンパー74bおよび第1実位置を、それぞれ第4の1ダンパー74g、第4の2ダンパー74hおよび第4実位置に読み替えることで、図15のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第4実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
以上のようにして、第1~第4実位置を測定した後、図14のステップS105では、ノズル面45a~45d間の高さの差である差分高さを算出する差分算出処理が行われる。本実施形態では、差分算出処理では、第1ノズル面45aの第1実位置を基準にして、第1ノズル面45aと第2ノズル面45bとの間の高さの差である第1差分高さ、第1ノズル面45aと第3ノズル面45cとの間の高さの差である第2差分高さ、および、第1ノズル面45aと第4ノズル面45dとの間の高さの差である第3差分高さを算出する。なお、ここでは、第1ノズル面45aの高さ(第1実位置)を基準にしているが、第2~第4ノズル面45b~45dの何れかのノズル面の高さを基準にしてもよい。本実施形態では、差分算出処理は、差分算出部165によって実行される。
差分算出部165は、第1ノズル面45aの第1実位置と、第2ノズル面45bの第2実位置との差を算出し、その差の絶対値を第1差分高さとする。同様に、差分算出部165は、第1ノズル面45aの第1実位置と、第3ノズル面45cの第3実位置との差を算出し、その差の絶対値を第2差分高さとし、第1ノズル面45aの第1実位置と、第4ノズル面45dの第4実位置との差を算出し、その差の絶対値を第3差分高さとする。なお、差分算出部165は、第1~第4実位置に基づいて、第1~第4ノズル面45a~45dの間の傾き、言い換えるとキャリッジ17の傾きを算出してもよい。なお、第1差分高さ、第2差分高さ、および第3差分高さは、記憶部151に記憶される。
以上のようにして、ノズル面45a~45dの間の高さの差(第1~第3差分高さ)を算出した後、図14のステップS106では、通知部166は、通知処理を実行する。この通知処理は、メンテナンス時に、メンテナンスを行う作業者などに第1~第3差分高さを通知する処理である。この通知方法は特に限定されない。例えば通知部166は、操作パネル140の表示画面141(図1参照)に第1~第3差分高さを表示してもよい。作業者は、表示画面141に表示された第1~第3差分高さを参考にして、ノズル面45a~45dの実際の高さを調整してもよい。また、作業者は、表示画面141に表示された第1~第3差分高さを参考にして、ノズル51~58からのインクの吐出タイミングを調整してもよい。なお、制御装置150は、第1~第4実位置や第1~第3差分高さに基づいて、ノズル51~58からのインクの吐出タイミングを自動で調整するように構成されていてもよい。
以上、本実施形態では、例えば第1キャップ111が第1ノズル面45aに装着されていない状態で第1吸引ポンプ131が駆動しているとき、ノズル51、52内のインクが吸引されず、ダンパー74a、74bの貯留室82内の圧力は第1基準圧力より大きい状態である。一方、第1キャップ111が第1ノズル面45aに装着された状態で第1吸引ポンプ131が駆動しているとき、ノズル51、52内のインクが吸引され、ダンパー74a、74bの貯留室82内の圧力が低くなり、当該貯留室82内の圧力は第1基準圧力以下となる。よって、ダンパー74a、74bの貯留室82内の圧力を検出することで、第1ノズル面45aに第1キャップ111が最初に装着されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を測定することができる。したがって、第1ノズル面45aに第1キャップ111が最初に装着されたときの第1キャップ111の上下方向の位置から、第1ノズル面45aの上下方向の相対的な位置を測定することができる。このように、本実施形態では、専用の治具を使用することなく、第1~第4ノズル面45a~45dの相対的な高さを測定することができるため、測定の手間を軽減することができる。
仮に、第1キャップ111を第1ノズル面45aに装着して第1ノズル面45aの上下方向の位置を測定し、第2キャップ112を第2ノズル面45bに装着して第2ノズル面45bの上下方向の位置を測定した場合、キャップ111、112の間にずれが生じている場合、ノズル面45a、45bの間でずれが生じる。しかしながら、本実施形態では、1つの第1キャップ111を装着させることで、ノズル面45a~45dの上下方向の相対的な位置を測定している。そのため、仮にキャップ111~114の間において上下方向のずれが生じている場合であっても、ノズル面45a~45dの上下方向の相対的な位置を正確に測定することができる。なお、本実施形態では、第2~第4キャップ112~114は、ノズル面45a~45dの高さを測定する際には使用されず、インクヘッド42~44内のインクの吸引処理を行う際に使用される。
本実施形態では、例えば第1判定制御部163aは、第1の1ダンパー74aの貯留室82内の圧力である第1の1検出圧力、および、第1の2ダンパー74bの貯留室82内の圧力である第1の2検出圧力を検出し、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力のうち少なくとも何れか一方の圧力が第1基準圧力以下であるか否かを判定する第1判定処理を実行する。第1位置決定制御部164aは、第1判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力のうち少なくとも何れか一方の圧力が第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を第1実位置にする。このことによって、仮に、ダンパー74a、74bの何れか一方に異常が発生した場合であっても、ダンパー74a、74bの何れか他方の貯留室82の圧力を検出することで、第1ノズル面45aの高さを測定することができる。
本実施形態では、通知部166は、差分算出処理において算出された差分高さ(第1~第3差分高さ)を、メンテナンスを行う作業者に通知する。このため、作業者は、通知された差分高さを確認することで、ノズル面45a~45dの間の上下方向のずれを把握することができる。よって、作業者は、通知された差分高さに基づいて、ノズル面45a~45dの高さや、ノズル51~58から吐出されるインクのタイミングを調整することができる。
本実施形態では、ダンパー74a~74h(図3参照)は、印刷時にインクの供給のタイミングを制御するために用いられるものである。本実施形態では、ダンパー74a~74hのそれぞれのフィラーセンサ88を使用して、貯留室82内の圧力を検出し、その検出した圧力に基づいて、ノズル面45a~45dの相対的な高さを測定している。よって、ノズル面45a~45dの高さを測定するための専用の機構を設ける必要がないため、部品点数を減らすことができると共に、製造コストを抑えることができる。
なお、本実施形態には、制御装置150によって実行される第1~第4移動処理、第1~第4上昇処理、第1~第4判定処理、第1~第4位置決定処理、差分算出処理、および、通知処理をコンピュータに実現させるためのノズル面45a~45dの高さ測定用のコンピュータプログラムが含まれる。また、本実施形態には、上記各処理を行うためのノズル面45a~45dの高さ測定方法が含まれる。
なお、本実施形態では、例えば第1判定処理は、第1上昇処理によって第1キャップ111が所定の距離、上昇した後、第1キャップ111の上昇を停止させた後において、判定を行っていた。すなわち、第1判定処理は、第1上昇処理によって前記第1キャップが上昇しているときにおいて、第1キャップ111の上昇を一時的に停止させた状態で、上記判定を行っていた。しかしながら、第1判定処理は、第1上昇処理によって第1キャップ111が上昇している間、第1キャップ111を上昇させながら、上記判定を行っていてもよい。同様のことは、第2~第4判定処理においても言える。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係るプリンタ200について説明する。第1実施形態では、第1キャップ111を使用して第1~第4ノズル面45a~45dの相対的な高さを測定していた。第2実施形態に係るプリンタ200は、第1~第4キャップ111~114の相対的な高さを測定する。なお、本実施形態に係るプリンタ200において、制御装置250以外の構成は、第1実施形態と同じである。そのため、制御装置250以外の構成の説明は省略する。
図16は、第2実施形態に係るプリンタ200の制御装置250のブロック図である。本実施形態では、図16に示すように、プリンタ200は、制御装置250を備えている。制御装置250は、キャップ111~114の上下方向の相対的な位置、すなわちキャップ111~114の相対的な高さを測定するキャップ位置測定処理を実行するように構成されている。ここで、キャップ111~114の高さとは、所定の位置(例えば、第1ノズル面45aに装着したときのキャップ111~114の位置)を基準にした相対的な高さの位置のことである。
本実施形態では、制御装置250は、記憶部151と、吸引制御部153と、第1キャップ位置測定部260aと、第2キャップ位置測定部260bと、第3キャップ位置測定部260cと、第4キャップ位置測定部260dと、キャップ差分算出部265と、通知部266と、を備えている。第1キャップ位置測定部260aは、第1キャップ111の相対的な高さを測定するものであり、第1キャップ移動制御部261aと、第1キャップ上昇制御部262aと、第1キャップ判定制御部263aと、第1キャップ位置決定制御部264aとを備えている。第2キャップ位置測定部260bは、第2キャップ112の相対的な高さを測定するものであり、第2キャップ移動制御部261bと、第2キャップ上昇制御部262bと、第2キャップ判定制御部263bと、第2キャップ位置決定制御部264bとを備えている。第3キャップ位置測定部260cは、第3キャップ113の相対的な高さを測定するものであり、第3キャップ移動制御部261cと、第3キャップ上昇制御部262cと、第3キャップ判定制御部263cと、第3キャップ位置決定制御部264cとを備えている。第4キャップ位置測定部260dは、第4キャップ114の相対的な高さを測定するものであり、第4キャップ移動制御部261dと、第4キャップ上昇制御部262dと、第4キャップ判定制御部263dと、第4キャップ位置決定制御部264dとを備えている。制御装置250を構成する各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば上述した各部は、プロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。なお、制御装置250を構成する各部の具体的な制御については後述する。
図17は、キャップ111~114の相対的な高さを測定する手順を示すフローチャートである。図18は、第1キャップ111の上下方向の相対的な位置を測定する手順を示すフローチャートである。図19~図22は、インクヘッド41~44およびキャップ111~114の正面図である。なお、図19~図22では、キャッピング機構120および吸引ポンプ131~134の図示は省略されている。次に、図17のフローチャートに沿って、キャップ111~114の相対的な高さを測定する手順について説明する。ここでは、第1ノズル面45aに、第1~第4キャップ111~114をそれぞれ装着させることで、キャップ111~114の相対的な高さを測定する。本実施形態では、キャップ111~114の高さとは、第1ノズル面45aに装着されたときの高さとなる。
まず、図17のステップS301では、第1キャップ111の相対的な高さ、すなわち第1キャップ111の上下方向の高さを測定する。第1キャップ111の上下方向の位置は、キャップ位置測定処理に含まれる第1キャップ移動処理、第1キャップ上昇処理、第1キャップ判定処理、および、第1キャップ位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第1キャップ移動処理は、図19の仮想線で示すように、平面視において第1ノズル面45aと第1キャップ111とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第1キャップ上昇処理は、第1キャップ移動処理の後に、図19の矢印のように、第1キャップ111を第1ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第1キャップ判定処理では、第1キャップ上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1吸引ポンプ131を駆動させた状態で、第1の1ダンパー74aの貯留室82内の圧力である第1の1検出圧力、および、第1の2ダンパー74bの貯留室82内の圧力である第1の2検出圧力を検出する。そして、第1キャップ判定処理では、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが予め定められた第1基準圧力以下であるか否かを判定する。第1キャップ位置決定処理では、第1キャップ判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第1キャップ111の上下方向の位置を第1キャップ実位置にする。ここでは、第1キャップ移動処理、第1キャップ上昇処理、第1キャップ判定処理、および、第1キャップ位置決定処理は、それぞれ第1キャップ移動制御部261a、第1キャップ上昇制御部262a、第1キャップ判定制御部263a、および、第1キャップ位置決定制御部264aによって実行される。
以下、第1キャップ111の高さを測定する手順について詳細に説明する。本実施形態では、第1キャップ111の上下方向の位置は、図18のフローチャートに沿って測定することができる。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ステップS401の処理が行われる前において、第1の1ダンパー74aのフィラー87および第1の2ダンパー74bのフィラー87の両方ともヒットしていない状態(言い換えると、アンヒット状態)である。すなわち、第1の1ダンパー74aの貯留室82の圧力、および、第1の2ダンパー74bの貯留室82の圧力は、いずれも基準圧力よりも大きい状態である。
まず、ステップS401では、第1キャップ移動制御部261aは、図19の仮想線に示すように、第1インクヘッド41の真下に第1キャップ111が配置されるように、ヘッド移動機構30のキャリッジモータ33を駆動させる。
次に、ステップS402では、第1キャップ上昇制御部262aは、図19の矢印のように、第1ノズル面45aに向かって、所定の距離、第1キャップ111を上昇させるようにキャッピング機構120を制御する。次に、ステップS403では、第1キャップ判定制御部263aは、第1吸引ポンプ131を所定の時間の間、駆動させる。次に、ステップS404では、第1キャップ判定制御部263aは、第1の1ダンパー74aのフィラー87および第1の2ダンパー74bのフィラー87の何れかがヒットしているか否か、すなわち、当該何れかのフィラー87がアンヒット状態から変化したか否かを判定する。ここでは、ダンパー74a、74bの何れかのフィラー87がヒットのとき、第1の1判定圧力および第1の2判定圧力の何れかが第1基準圧力以下であると判定される。
ステップS404において、ダンパー74a、74bのそれぞれのフィラー87がアンヒットしていると判定された場合、ノズル51、52内のインクが吸引ポンプ131によって吸引されずに、貯留室82内のインクの量が変化していない状態である。この場合、第1ノズル面45aに第1キャップ111が装着されていない状態であるため、ステップS402へ戻り、第1キャップ111を所定の距離、更に上昇させる。
一方、ステップS404において、ダンパー74a、74bの何れかのフィラー87がヒットしていると判定された場合、ノズル51、52内のインクが吸引ポンプ131によって吸引されて、貯留室82内のインクの量が減少し、貯留室82の圧力が低くなった状態である。この場合、第1ノズル面45aに第1キャップ111が装着された状態となるため、次に、ステップS405に進む。ステップS405では、第1キャップ位置決定制御部264aは、ステップS403における第1キャップ111の上下方向の位置を、第1キャップ111の第1キャップ実位置とする。なお、第1キャップ実位置は、記憶部151に記憶される。
以上のように、図17のステップS301において、第1キャップ111の第1キャップ実位置を測定した後、次に、ステップS302において、第2キャップ112の上下方向の相対的な位置である第2キャップ実位置を測定する。第2キャップ112の上下方向の位置は、キャップ位置測定処理に含まれる第2キャップ移動処理、第2キャップ上昇処理、第2キャップ判定処理、および、第2キャップ位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第2キャップ移動処理は、図20の仮想線で示すように、平面視において第1ノズル面45aと第2キャップ112とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第2キャップ上昇処理は、第2キャップ移動処理の後に、図20の矢印のように、第2キャップ112を第1ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第2キャップ判定処理では、第2キャップ上昇処理によって第2キャップ112が上昇しているときにおいて、第2吸引ポンプ132を駆動させた状態において、上記第1の1検出圧力、および、上記第1の2検出圧力を検出する。そして、第2キャップ判定処理では、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であるか否かを判定する。第2キャップ位置決定処理では、第2キャップ判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第2キャップ112の上下方向の位置を第2キャップ実位置にする。
ここでは、第2キャップ移動処理、第2キャップ上昇処理、第2キャップ判定処理、および、第2キャップ位置決定処理は、それぞれ第2キャップ移動制御部261b、第2キャップ上昇制御部262b、第2キャップ判定制御部263b、および、第2キャップ位置決定制御部264bによって実行される。なお、第2キャップ実位置の具体的な測定手順は、第1キャップ実位置の測定手順と同じであり、図18において第1キャップ111、第1吸引ポンプ131、第1キャップ実位置をそれぞれ第2キャップ112、第2吸引ポンプ132、第2キャップ実位置に読み替えることで、図18のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第2キャップ実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
ステップS302において、第2キャップ112の上下方向の位置である第2キャップ実位置を測定した後、次に、ステップS303において、第3キャップ113の上下方向の相対的な位置である第3キャップ実位置を測定する。第3キャップ113の上下方向の位置は、キャップ位置測定処理に含まれる第3キャップ移動処理、第3キャップ上昇処理、第3キャップ判定処理、および、第3キャップ位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第3キャップ移動処理は、図21の仮想線で示すように、平面視において第1ノズル面45aと第3キャップ113とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第3キャップ上昇処理は、第3キャップ移動処理の後に、図21の矢印のように、第3キャップ113を第1ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第3キャップ判定処理では、第3キャップ上昇処理によって第3キャップ113が上昇しているときにおいて、第3吸引ポンプ133を駆動させた状態で、第1の1検出圧力、および、第1の2検出圧力を検出する。そして、第3キャップ判定処理では、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であるか否かを判定する。第3キャップ位置決定処理では、第3キャップ判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第3キャップ113の上下方向の位置を第3キャップ実位置にする。
ここでは、第3キャップ移動処理、第3キャップ上昇処理、第3キャップ判定処理、および、第3キャップ位置決定処理は、それぞれ第3キャップ移動制御部261c、第3キャップ上昇制御部262c、第3キャップ判定制御部263c、および、第3キャップ位置決定制御部264cによって実行される。なお、第3キャップ実位置の具体的な測定手順は、第1キャップ実位置の測定手順と同じであり、図18において、第1キャップ111、第1吸引ポンプ131、第1キャップ実位置をそれぞれ第3キャップ113、第3吸引ポンプ133、第3キャップ実位置に読み替えるとことで、図18のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第3キャップ実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
ステップS303において、第3キャップ113の上下方向の位置である第3キャップ実位置を測定した後、次に、ステップS304において、第4キャップ114の上下方向の相対的な位置である第4キャップ実位置を測定する。第4キャップ114の上下方向の位置は、キャップ位置測定処理に含まれる第4キャップ移動処理、第4キャップ上昇処理、第4キャップ判定処理、および、第4キャップ位置決定処理を実行することで測定される。ここでは、第4キャップ移動処理は、図22の仮想線で示すように、平面視において第1ノズル面45aと第4キャップ114とが重なるように、ヘッド移動機構30を制御する処理である。第4キャップ上昇処理は、第4キャップ移動処理の後に、図22の矢印のように、第4キャップ114を第1ノズル面45aに向かって上昇させる処理である。
第4キャップ判定処理では、第4キャップ上昇処理によって第4キャップ114が上昇しているときにおいて、第4吸引ポンプ134を駆動させた状態で、第1の1検出圧力、および、第1の2検出圧力を検出する。そして、第4キャップ判定処理では、第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であるか否かを判定する。第4キャップ位置決定処理では、第4キャップ判定処理において第1の1検出圧力および第1の2検出圧力の何れかが第1基準圧力以下であると最初に判定されたときの第4キャップ114の上下方向の位置を第4キャップ実位置にする。
ここでは、第4キャップ移動処理、第4キャップ上昇処理、第4キャップ判定処理、および、第4キャップ位置決定処理は、それぞれ第4キャップ移動制御部261d、第4キャップ上昇制御部262d、第4キャップ判定制御部263d、および、第4キャップ位置決定制御部264dによって実行される。なお、第4キャップ実位置の具体的な測定手順は、第1キャップ実位置の測定手順と同じであり、図18の第1キャップ111、第1吸引ポンプ131、第1キャップ実位置をそれぞれ第4キャップ114、第4吸引ポンプ134、第4キャップ実位置に読み替えることで、図18のフローチャートに沿って測定することができる。そのため、本実施形態における第4キャップ実位置の具体的な測定手順の説明は省略する。
以上のようにして、第1~第4キャップ実位置を測定した後、図17のステップS305では、キャップ111~114の間の高さの差であるキャップ差分高さを算出するキャップ差分算出処理が行われる。キャップ差分算出処理では、第1キャップ111の高さを基準にして、第1キャップ111と第2キャップ112との間の高さの差である第1第1キャップ差分高さ、第1キャップ111と第3キャップ113との間の高さの差である第2キャップ差分高さ、および、第1キャップ111と第4キャップ114との間の高さの差である第3キャップ差分高さを算出する。なお、ここでは、第1キャップ111の高さを基準にしているが、第2~第4キャップ112~114の何れかのキャップの高さを基準にしてもよい。本実施形態では、キャップ差分算出処理は、キャップ差分算出部265によって実行される。
キャップ差分算出部265は、第1キャップ111の第1キャップ実位置と、第2キャップ112の第2キャップ実位置との差を算出し、その差の絶対値を第1キャップ差分高さとする。同様に、キャップ差分算出部265は、第1キャップ111の第1キャップ実位置と、第3キャップ113の第3キャップ実位置との差を算出し、その差の絶対値を第2キャップ差分高さとし、第1キャップ111の第1キャップ実位置と、第4キャップ114の第4キャップ実位置との差を算出し、その差の絶対値を第3キャップ差分高さとする。なお、第1キャップ差分高さ、第2キャップ差分高さ、および第3キャップ差分高さは、記憶部151に記憶される。
以上のようにして、キャップ111~114の間の高さの差(第1~第3キャップ差分高さ)を算出した後、ステップS306では、通知部266は、メンテナンス時に、メンテナンスを行う作業者などに第1~第3キャップ差分高さを通知してもよい。この通知方法は特に限定されない。例えば通知部266は、操作パネル140の表示画面141(図1参照)に第1~第3キャップ差分高さを表示する。作業者は、表示画面141に表示された第1~第3キャップ差分高さを参考にして、キャップ111~114の高さを調整する。
以上、本実施形態では、ダンパー74a、74bの貯留室82内の圧力を検出することで、第1ノズル面45aに第1キャップ111が装着されたときの第1キャップ111の高さを測定することができる。このように、本実施形態では、専用の治具を使用することなく、第1キャップ111の相対的な高さを測定することができるため、測定の手間を軽減することができる。
仮に、第1キャップ111を第1ノズル面45aに装着して第1キャップ111の上下方向の位置を測定し、第2キャップ112を第2ノズル面45bに装着して第2キャップ112の上下方向の位置を測定した場合、ノズル面45a、45bの間にずれが生じている場合、キャップ111、112の間でずれが生じる。しかしながら、本実施形態では、1つの第1ノズル面45aにキャップ111~114をそれぞれ装着させることで、キャップ111~114の上下方向の相対的な位置を測定している。そのため、仮にノズル面45a~45dの間において上下方向のずれが生じている場合であっても、キャップ111~114の上下方向の相対的な位置を正確に測定することができる。なお、本実施形態では、第2~第4ノズル面45b~45dは、キャップ111~114の高さを測定する際には使用されない。
なお、本実施形態には、制御装置250によって実行される第1~第4キャップ移動処理、第1~第4キャップ上昇処理、第1~第4キャップ判定処理、第1~第4キャップ位置決定処理、および、キャップ差分算出処理をコンピュータに実現させるためのキャップ111~114の高さ測定用のコンピュータプログラムが含まれる。また、本実施形態には、上記各処理を行うためのキャップ111~114の高さ測定方法が含まれる。
なお、本実施形態では、例えば第1キャップ判定処理は、第1キャップ上昇処理によって第1キャップ111が所定の距離、上昇した後、第1キャップ111の上昇を停止させた後において、判定を行っていた。すなわち、第1キャップ判定処理は、第1キャップ上昇処理によって第1キャップ111が上昇しているときにおいて、第1キャップ111の上昇を一時的に停止させた状態で、上記判定を行っていた。しかしながら、第1キャップ判定処理は、第1キャップ上昇処理によって第1キャップ111が上昇している間、第1キャップ111の上昇を上昇させながら、上記判定を行っていてもよい。同様のことが、第2~第4キャップ判定処理においても言える。
なお、本実施形態では、第1ノズル面45aにキャップ111~114をそれぞれ装着させることで、キャップ111~114の高さを測定していた。しかしながら、第2~第4ノズル面45b~45dの何れかのノズル面にキャップ111~114をそれぞれ装着させることで、キャップ111~114の高さを測定してもよい。