以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、トイレ装置は、腰掛大便器(便器)800と、その上に設置された衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
ケーシング400は、ケースプレート400a(図3~図5参照)と、ケースカバーと、を有する。ケースプレート400aは、ケーシング400の下部に位置し、ケースカバーは、ケーシング400の上部に位置する。各機能部は、ケースプレート400aとケースカバーとの間の空間に収納されている。
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの局部の洗浄を実現する局部洗浄機能部などが内蔵されている。局部洗浄機能部は、例えば、ノズルユニットを含む。また、例えばケーシング400には、使用者の便座200への着座を検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500(図2参照)を操作すると、局部洗浄ノズル(ノズル)473を便器800のボウル801内に進出させたり、ボウル801内から後退させたりすることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
ノズル473は、人体局部に向けて水(洗浄水)を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cが設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口474aまたはやわらか洗浄吐水口474bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口474cから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、「ビデ洗浄」と、を実行することができる。
なお、図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口474cがやわらか洗浄吐水口474bよりもノズル473の先端側に設けられており、やわらか洗浄吐水口474bがおしり洗浄吐水口474aよりもノズル473の先端側に設けられているが、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。また、図1に表したノズル473では、3つの吐水口が設けられているが、例えば、やわらか洗浄吐水口474bが省略されていてもよいし、4つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
実施形態において、おしり洗浄吐水口474aの吐水角度、やわらか洗浄吐水口474bの吐水角度、及びビデ洗浄吐水口474cの吐水角度は、例えば、それぞれ異なる。吐水角度は、例えば、便器800の上面と吐出された水とのなす角度(劣角)である。おしり洗浄吐水口474aの吐水角度は、例えば、43度程度である。やわらか洗浄吐水口474bの吐水角度は、例えば、43度程度である。ビデ洗浄吐水口474cの吐水角度は、例えば、47度程度である。
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を模式的に表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば、以下に説明する電磁弁431、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
導水部20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、管路20aを開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、管路20a内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
逆止弁433の下流には、熱交換器ユニット440(加熱部)が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。瞬間加熱式の熱交換器は、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式の熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。また、加熱部は、熱交換器に限ることなく、例えば、マイクロ波加熱を利用するものなど、他の加熱方式を用いたものでもよい。
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れが無い時に、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば、管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調部454が設けられている。圧力変調部454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のおしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、及びビデ洗浄吐水口474cやノズル洗浄部478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調部454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、制御部405に接続されている。圧力変調部454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。圧力変調部454は、管路20a内の水の圧力を変動させる。
圧力変調部454の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄部478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471及び流路切替部472は、1つのユニットとして設けてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471及び流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズル駆動部476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり、ボウル801内から後退したりする。
ノズル洗浄部478は、例えば、吐水部から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
また、流路切替部472の下流には、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水を、ノズル473に供給するおしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21は、流路切替部472とおしり洗浄吐水口474aとを接続する。やわらか洗浄流路22は、流路切替部472とやわらか洗浄吐水口474bとを接続する。ビデ洗浄流路23は、流路切替部472とビデ洗浄吐水口474cとを接続する。
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄部478の吐水部へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、ビデ洗浄吐水口474c、ノズル洗浄部478、及び噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調部454や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズル駆動部476などの動作を制御する。
人体検知センサ403は、図1に表したように、ケーシング400の上面に形成された凹設部409に埋め込まれるように設けられ、便座200に近づいた使用者(人体)を検知する。換言すれば、人体検知センサ403は、衛生洗浄装置100の近傍にいる使用者を検知する。また、便蓋300の後部には透過窓310が設けられている。そのため、便蓋300が閉じた状態において、人体検知センサ403は、透過窓310を介して使用者の存在を検知することができる。制御部405は、例えば、人体検知センサ403による使用者の検知に応答して、便蓋300を自動的に開く。
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
図3~図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す斜視図である。
図3は、ノズル473がケーシング400に収納された収納状態を表す。
図4及び図5は、ノズル473がケーシング400から進出した進出状態を表す。
なお、図3~図5では、ノズル473周辺の部材以外を省略している。
図3~図5に表したように、ノズル473は、ケーシング400に収納された収納状態と、ケーシング400から前方に進出した進出状態と、を有する。ノズル473は、進出状態において、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、またはビデ洗浄吐水口474cから吐水することで、人体局部を洗浄する。
この例では、ノズル473は、第1筒部473aと、第2筒部473bと、を有する多段ノズルである。第1筒部473aは、ケーシング400から進出する。第2筒部473bは、第1筒部473aの内部に収納され、第1筒部473aから進出する。このように、ノズル473を多段ノズルとすることで、ノズルユニットを前後方向に小型化することができる。これにより、ケーシング400を前後方向に小型化することができる。なお、ノズル473は、多段ノズルに限定されない。ノズル473は、1つの筒部からなる一段ノズルであってもよい。
また、この例では、ノズル473は、上向きに凸となるように湾曲している。この場合、ノズル473は、円弧状の軌道に沿って進退する。このように、ノズル473を上向きに凸となるように湾曲した形状とすることで、ノズルユニットを上下方向に小型化することができる。これにより、ケーシング400を上下方向に小型化することができる。なお、ノズル473は、湾曲しているものに限定されず、直線状のものであってもよい。
ノズル473は、ノズル473の下方に設けられたノズル支持部480により支持される。ノズル473は、ノズル支持部480の上面の傾斜に沿って移動(摺動)しながら、進出及び後退(進退)する。換言すれば、ノズル支持部480の上面の傾斜は、ノズル473の進退の軌道に沿う。この例では、ノズル支持部480の上面は、後方から前方に向かって、下方に傾斜している。なお、ノズル支持部480は、例えば、ノズル473を収納する筒状の部材であってもよい。
ノズル473を進退させるノズル駆動部476の少なくとも一部は、例えば、ノズル473の下方に設けられる。この例では、ノズル駆動部476の少なくとも一部は、ノズル支持部480の内部に設けられている。このように、ノズル駆動部476の少なくとも一部をノズル473の下方に設けることで、ノズル473の下方の空間をノズル駆動部476の可動域として有効活用することができ、ケーシング400を小型化することができる。
ノズル駆動部476は、例えば、モータ、歯車、ケーブルラック(フレキシブルなラックギア)などを有する。ノズル駆動部476は、例えば、モータにより歯車を回転させ、ケーブルラックを動かすことで、ケーブルラックに接続されたノズル473を進退させる。この例では、ケーブルラックは、ノズル473の下方に取りまわされている。換言すれば、ケーブルラックは、ノズル473から後方に延び、下方に湾曲し、さらに前方に湾曲するように設けられている。例えば、ノズル473がケーシング400の内部に収納された収納状態において、ケーブルラックのノズル473と接続されていない側の端部は、ノズル473の下方に位置する。
ノズル473には、ノズル473に水を供給するチューブ475が接続されている。チューブ475は、例えば、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、及びビデ洗浄流路23の少なくとも一部を構成する。チューブ475の一端(下流側)は、ノズル473に接続され、チューブ475の他端(上流側)は、チューブ475に水を供給する入水接続部477に接続される。例えば、チューブ475の一部は、ノズル473の内部に位置し、チューブ475の別の一部は、ノズル473の外部に位置している。
ノズル洗浄部478は、ノズル支持部480に設けられている。ノズル支持部480の前方側の端部には、ノズル洗浄部478を軸支するためのフレーム部480aが設けられており、ノズル洗浄部478には、吐水部478aと支持体478bとが設けられている。ノズル洗浄部478は、フレーム部480aにより支持体478bが軸支されることで、ノズル支持部480に対して回動可能に取り付けられている。
以下、ノズル473及びノズル洗浄部478の動作について説明する。
ノズル473が使用されていない状態では、図3に表したように、ノズル473の全体がケーシング400の内部に収納されている。ノズル473によって局部洗浄が行われる際には、図4に表したように、第2筒部473bが第1筒部473aから前下方に進出する。第2筒部473bが所定の位置に到達すると、図5に表したように、ノズル支持部480に沿って、第1筒部473aが前下方に移動する。このとき、第1筒部473aは、第2筒部473bが第1筒部473aから前方に延びた状態で、第2筒部473bとともに前下方に移動する。第1筒部473aが所定の位置に到達すると、おしり洗浄吐水口474a、やわらか洗浄吐水口474b、またはビデ洗浄吐水口474cから使用者の局部に向けて水が吐出され、洗浄が行われる。
局部洗浄が完了すると、ノズル473は、ケーシング400の内部に向けて後上方に移動する。ノズル473が後退する際には、まず、図4に表したように、第1筒部473aが、所定の位置まで後退する。このとき、第1筒部473aは、第2筒部473bが第1筒部473aから前方に延びた状態で、第2筒部473bとともに後上方に移動する。第1筒部473aが所定の位置に到達すると、図3に表したように、第2筒部473bが後上方に後退し、第1筒部473aに収納される。
図3~図5に表したように、ノズル洗浄部478は、ノズル473が収納状態のときの第1位置と、ノズル473が進出状態のときの第2位置と、の間で回動する。ノズル473が収納状態のときには、ノズル洗浄部478は、図3に表したように、吐水部478aが下がった第1位置になる。ノズル473が進出すると、ノズル473により押し上げられることで吐水部478aが前方及び上方に向かって回動し、ノズル洗浄部478は、図4及び図5に表したように、吐水部478aが上がった第2位置になる。このように、第2位置における吐水部478aは、第1位置における吐水部478aよりも上方に位置する。また、第2位置における吐水部478aは、第1位置における吐水部478aよりも前方に位置する。
ノズル洗浄部478は、ノズル473が進退する際に、吐水部478aから機能水あるいは水を吐出(噴射)することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。換言すれば、ノズル洗浄部478は、第1位置及び第2位置において、吐水部478aから水を吐出する。
図4及び図5に表したように、進出状態においてノズル473の先端は、ケースプレート400aの前端よりも前方(すなわち、ボウル801の内部)に位置する。また、第2位置において、ノズル洗浄部478の吐水部478aは、ケースプレート400aの前端よりも前方に位置する。したがって、第2位置にあるノズル洗浄部478から水が吐出されると、吐出された水は、ノズル473を伝ってノズル473の先端に向かい、ケーシング400の外部(すなわち、ボウル801の内部)に排出される。つまり、ノズル473の進出状態において、ノズル洗浄部478から吐出された水は、ケーシング400の内部(ケースプレート400a)に着水しにくい。
一方、図3に表したように、収納状態においてノズル473の先端は、ケースプレート400aの前端よりも後方(すなわち、ケーシング400の内部)に位置する。また、第1位置において、ノズル洗浄部478の吐水部478aは、ケースプレート400aの前端よりも後方に位置する。したがって、第1位置にあるノズル洗浄部478から水が吐出されると、吐出された水は、ケーシング400の内部に排出される。つまり、ノズル473の収納状態において、ノズル洗浄部478から吐出された水は、ケーシング400の内部(ケースプレート400a)に着水しやすい。ノズル洗浄部478から吐出された水がケースプレート400aに着水すると、ノズル473の左右方向に飛散する。ノズル473の左右方向に配置された機器にこの飛散した水が着水すると、故障の原因となるおそれがある。
そこで、実施形態においては、ケーシング400の内部に一対の水飛散抑制部485を設ける。一対の水飛散抑制部485は、第1位置にあるノズル洗浄部478から吐出された水が直接着水するケースプレート400aの着水部WP(図6参照)の左右に設けられる。着水部WP及び一対の水飛散抑制部485については、後述する。
このように、着水部WPの左右に一対の水飛散抑制部485を設けることで、第1位置にあるノズル洗浄部478から吐出され着水部WPで跳ねた水の飛散を、水飛散抑制部485によって抑制できる。したがって、回動式のノズル洗浄部478から吐出された水がケーシング400の内部においてノズル473の左右方向に飛散することを抑制できる。
なお、ノズル洗浄部478から吐出されケースプレート400aに着水した水の一部は前後方向にも飛散しうるが、着水部WPの後方にはノズル473が配置されているため、ノズル473によって着水部WPの後方への水の飛散は抑制される。また、着水部WPの前方には機器が設けられていないため、水が着水部WPの前方に飛散しても機器の故障などの不具合は生じにくい。
図6は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルの先端周辺を拡大して模式的に表す斜視図である。
図6は、図3に示した領域R1の拡大図である。
図6に表したように、ケースプレート400aは、着水部WPを有する。着水部WPは、第1位置にあるノズル洗浄部478から吐出された水が直接着水する部分である。ノズル洗浄部478は、下方に向けて水を吐出する。したがって、着水部WPは、第1位置にあるノズル洗浄部478の吐水部478aの下方に位置する。
この例では、ノズル洗浄部478は、下方かつ後方に向けて水を吐出する。したがって、着水部WPは、第1位置にあるノズル洗浄部478の吐水部478aの下方かつ後方に位置する。より具体的には、着水部WPは、第1位置にあるノズル洗浄部478の吐水部478aと収納状態におけるノズル473の下端との間に位置する。換言すれば、着水部WPの前端は、第1位置にあるノズル洗浄部478の吐水部478aよりも後方に位置する。着水部WPの後端は、収納状態におけるノズル473の下端よりも前方に位置する。このように、着水部WPを第1位置にあるノズル洗浄部478の吐水部478aと収納状態におけるノズル473の下端との間に位置するようにすることで、着水部WPで跳ねた水がケーシング400の奥部に飛散することを抑制できる。
水飛散抑制部485は、上下方向及び前後方向に拡がる板状の部材である。この例では、水飛散抑制部485は、側面視において、下方かつ前方に向かって突出する三角形状である。水飛散抑制部485の形状は、これに限定されず、任意の形状とすることができる。
水飛散抑制部485の前端は、着水部WPの前端よりも前方に位置する。水飛散抑制部485の後端は、着水部WPの後端よりも後方に位置する。このように、一対の水飛散抑制部485の前端を着水部WPの前端よりも前方に位置するようにするとともに、一対の水飛散抑制部485の後端を着水部WPの後端よりも後方に位置するようにすることで、着水部WPの側方の全域を水飛散抑制部485でカバーすることができる。したがって、着水部WPで跳ねた水の飛散をより確実に抑制できる。
また、一対の水飛散抑制部485は、左右方向において互いに重なる位置に設けられる。換言すれば、一対の水飛散抑制部485は、ノズル473に対して左右対称に設けられる。
また、この例では、一対の水飛散抑制部485は、ノズル支持部480に設けられている。より具体的には、一対の水飛散抑制部485は、ノズル支持部480の前方側の端部に設けられるフレーム部480aに設けられている。また、上記のように、ノズル洗浄部478もノズル支持部480に設けられている。つまり、一対の水飛散抑制部485とノズル洗浄部478とは、同じ部材に設けられている。
このように、ノズル洗浄部478及び一対の水飛散抑制部485をノズル支持部480に設けることで、ノズル洗浄部478に対する水飛散抑制部485の位置がずれることを抑制できる。換言すれば、ノズル洗浄部478と水飛散抑制部485とを同じ部材に設けることで、組み立て誤差によって水飛散抑制部485の位置が着水部WPからずれることを抑制できる。これにより、より確実に回動式のノズル洗浄部478から吐出された水がケーシング400の内部においてノズル473の左右方向に飛散することを抑制できる。
なお、この例では、一対の水飛散抑制部485は、ノズル支持部480と一体に形成されているが、一対の水飛散抑制部485は、ノズル支持部480と別体であってもよい。つまり、一対の水飛散抑制部485は、ノズル支持部480に取り付けられていてもよい。また、一対の水飛散抑制部485は、ケースプレート400aに設けられていてもよいし、ノズル473周辺の他の部材に設けられていてもよい。
図7は、実施形態に係る衛生洗浄装置の局部洗浄ノズル周辺を模式的に表す正面図である。
図7に表したように、一対の水飛散抑制部485は、例えば、ケースプレート400aから離れた位置に設けられる。つまり、一対の水飛散抑制部485は、例えば、ケースプレート400aの上方において、ケースプレート400aに当接しない位置に設けられる。換言すれば、一対の水飛散抑制部485とケースプレート400aとの間には、隙間が設けられる。
第1位置にあるノズル洗浄部478から吐出され、ケースプレート400aに排出された水は、例えば、前方(すなわち、ボウル801側)に向かって傾斜が設けられたケースプレート400aを伝って、ケーシング400の外部(すなわち、ボウル801の内部)に排出される。このとき、ケースプレート400aと一対の水飛散抑制部485が当接していると、当接箇所に水が留まり、ケースプレート400a上に水が残る場合がある。
これに対し、一対の水飛散抑制部485をケースプレート400aから離れた位置に設けることで、水飛散抑制部485とケースプレート400aとの間に隙間を設けることができる。これにより、第1位置にあるノズル洗浄部478から吐出され、ケースプレート400aに排出された水が、ケースプレート400a上に残ることを抑制できる。
また、図7において、ノズル洗浄部478の吐水部478aからの吐水を破線で示す。 図7に表したように、ノズル洗浄部478の吐水部478aには、例えば、左右方向に並ぶ複数の吐水孔478cが設けられている。例えば、着水部WPの左右方向の幅は、複数の吐水孔478cのうち左側の端に設けられた吐水孔478cと右側の端に設けられた吐水孔478cとの間の幅によって決まる。
したがって、一対の水飛散抑制部485は、例えば、左右方向において、一対の水飛散抑制部485の間に、吐水部478aの左側の端に設けられた吐水孔478cと右側の端に設けられた吐水孔478cとが位置するように設けられる。換言すれば、一対の水飛散抑制部485の1つは、吐水部478aの左側の端に設けられた吐水孔478cよりも左側に設けられ、一対の水飛散抑制部485の別の1つは、吐水部478aの右側の端に設けられた吐水孔478cよりも右側に設けられる。これにより、一対の水飛散抑制部485をより確実に着水部WPの左右に設けることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。