(第1実施形態)
以下、実施形態について説明する。以下、前、後、横という方向を示す用語を使用するが、これらは、冷却システムにおいて便宜的に前と決められた方向を基準とする方向であって、これら方向が、冷却システムの外部に対する冷却システムの姿勢を限定するものでないことに留意されたい。ただし、上、下については、冷却システムが使用されている状態における重力の方向を基準とした上、下を意味している。製造、販売、輸送等、冷却システムが実際に使用されない状態においては、上、下は、冷却システムの外部に対する冷却システムの姿勢を限定するものではない。
冷却システムは、人が持ち運べる程度の大きさおよび重量を有しており、例えば、搬送用トラックの荷台への搬入および荷台からの搬出等が可能である。つまり、冷却システムは、モバイル型の小型冷却システムである。
図1、図2、図3、図4、図5、図6に示すように、本実施形態の冷却システムは、台座1、保冷ボックス2、冷却装置3を備えている。台座1は、その板面が上下方向に対して交差して、より具体的には上下方向に対して垂直に、配置された板形状の部材である。台座1の上面に保冷ボックス2と冷却装置3が載置される。
台座1は、図3に示すように、略矩形形状の第1部11と略矩形形状の第2部12を有している。図3では、第1部11と第2部12の境界を仮想線としての破線で表している。第1部11の後方に、第2部12が位置している。そして、第1部11の後側の縁部と第2部12の前側の縁部の一部とが、一体に接続されている。第1部11よりも第2部12の方が前後方向および横方向のサイズが大きい。
第1部11の上面には冷却装置3が載置され、第2部12の上面には保冷ボックス2が載置および固定される。固定は、接着、締結、一体成型等、どのような方法で実現されてもよい。
保冷ボックス2は、冷却対象を収容する箱である。冷却対象は、食品、薬剤等、冷却されることで意味があるものならば、どのようなものでもよい。図1、図2に示すように、保冷ボックス2は、略直方体形状の箱であり、その外殻は、断熱材を含む。この外殻は、内部の冷却室2xを囲んでいる。
図2に示すように、この外殻のうち、冷却装置3と対向する前面壁21には、冷却室2xと保冷ボックス2の外部とを連通させる第1連通孔211および第2連通孔212が形成されている。第1連通孔211は、冷却室2xから冷却装置3に回収される空気が通る。第2連通孔212は、冷却装置3において冷却された後に冷却装置3から冷却室2xに供給される空気が通る。第1連通孔211は第2連通孔212よりも下方に配置される。冷却室2xと冷却装置3内とを行き来する空気は、第1気体に対応する。
冷却装置3は、冷却室2xから空気を回収して保冷ボックス2の外部において冷却し、冷却された後の空気を保冷ボックス2内に供給する装置である。冷却装置3は、ケーシング31、バッテリ32、第1仕切部材33、第2仕切部材34、コンプレッサ35、コンデンサ36、膨張弁37、エバポレータ38を有している。更に冷却装置3は、排気ファン39、吹出ファン40、ドレンパン41、蒸発皿42、インバータ43、ECU46を有している。
ケーシング31は、冷却装置3の外殻を構成する部材であり、冷却装置3の他の構成要素を収容する。冷却装置3の外形は、略直方体形状であり、前後方向の長さが、上下方向の長さよりも横方向の長さよりも短い。ケーシング31の背面側が保冷ボックス2の前面壁21に接するように対向している。以下、ケーシング31のうち、背面に対向する面を前面とし、前面と背面の間にあって前面とも背面とも交差する4つの面を側面という。
ケーシング31には、ケーシング31の内部とケーシング31の外部とを連通させる外気導入孔311、外気排出孔312、内気回収孔313、内気供給孔314が形成されている。
外気導入孔311は、図1、図4、図6に示すように、ケーシング31の4つの側面のうち、上側の面とも下側の面とも違う横側の面の1つである側面31bに形成されている。外気導入孔311は、ケーシング31の外からケーシング31内のコンデンサ36に気体を導入する孔である。
外気排出孔312は、図1、図4に示すように、ケーシング31の前面に形成されている。外気排出孔312は、コンデンサ36において冷媒と熱交換した空気をケーシング31の外に放出する孔である。
内気回収孔313は、図6に示すように、ケーシング31の背面において、第1連通孔211と対向して互いに連通するように形成されている。内気回収孔313は、保冷ボックス2の内部の冷却室から冷却装置3に回収される空気が通る。
内気供給孔314は、図6に示すように、ケーシング31の背面において、第2連通孔212と対向して互いに連通するように形成されている。内気供給孔314は、冷却装置3において冷却された後に冷却装置3から保冷ボックス2の冷却室に供給される空気が通る。内気供給孔314は、内気回収孔313よりも上方にある。
また、ケーシング31には、その背面側(すなわち、保冷ボックス2側)に、回収ダクト315、供給ダクト316が形成されている。
回収ダクト315は、図6に示すように、内気回収孔313を囲むようにケーシング31の背面から保冷ボックス2側に突出する管形状の部分である。回収ダクト315の一方側の端部はケーシング31の背面に接続されており、他方側の端部は、第1連通孔211内に圧入されている。
供給ダクト316は、図6に示すように、内気供給孔314を囲むようにケーシング31の背面から保冷ボックス2側に突出する管形状の部分である。供給ダクト316の一方側の端部はケーシング31の背面に接続されており、他方側の端部は、第2連通孔212内に圧入されている。
これら回収ダクト315、供給ダクト316の圧入により、冷却装置3は、保冷ボックス2に対して前面壁21の外側にユーザが脱着可能に組み付けられた状態となっている。このように、脱着用の工具を必要としない手作業の形態で冷却装置3を保冷ボックス2に脱着可能に取り付けることが可能である。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。なお、図2に示すように冷却装置3を保冷ボックス2から取り外した場合、回収ダクト315、供給ダクト316がそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212から抜ける。
バッテリ32は、ケーシング31内の、外気導入孔311が形成された側面と反対の側面側の端部に、配置されている。なお、他の例として、バッテリ32は、ケーシング31外の、外気導入孔311が形成された側面と反対の側面に接触して配置されていてもよい。このバッテリは、膨張弁37、インバータ43、ECU46に作動のための電力を供給する。
第1仕切部材33は、ケーシング31の内部においてコンデンサ36が配置された吸熱室31xとエバポレータ38が配置された放熱室31yとを仕切る板部材である。第1仕切部材33は、吸熱室31xと放熱室31yとの間の熱の移動を妨げる断熱材を含んでいてもよい。第2仕切部材34は、吸熱室31x内において空気の通路を形成するための板部材である。
吸熱室31xは、放熱室31yの背面側および上側に形成されている。上述の外気導入孔311、外気排出孔312は、放熱室31yに開口しており、内気回収孔313、内気供給孔314は、吸熱室31xに開口している。
コンプレッサ35は、ケーシング31内において吸熱室31xとも放熱室31yとも違う機械室31zに配置されている。第1仕切部材33および第2仕切部材34は、機械室31zと吸熱室31x、放熱室31yとの間も仕切っている。外気導入孔311は、機械室31zに対して開口している。コンプレッサ35は、冷媒を圧縮して吐出する流体機械であり、インバータ43から供給される交流電流によって作動する。
コンデンサ36は、放熱室31yに配置されており、放熱室31y内の空気と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。コンデンサ36は、放熱部に対応する。膨張弁37は、機械室31zに配置されており、冷媒の通路を絞ることで冷媒を減圧膨張させる。膨張弁37は、バッテリ32から供給される電力によって作動する電気式膨張弁である。エバポレータ38は、吸熱室31xに配置されており、吸熱室31x内の空気と冷媒とを熱交換させる熱交換器である。エバポレータ38は、冷却部に対応する。
排気ファン39は、吸熱室31xにおいて、外気排出孔312に配置されている。排気ファン39は、放熱室31y内においてコンデンサ36を通過した空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、外気排出孔312を介して、保冷ボックス2および冷却装置3の外部に吹き出す。
吹出ファン40は、吸熱室31xにおいて、内気供給孔314に対向して配置されている。吹出ファン40は、吸熱室31xにおいてエバポレータ38を通過した空気を吸い込み、吸い込んだ空気を、内気供給孔314、第2連通孔212、供給ダクト316を介して、保冷ボックス2の冷却室2x内に吹き出す。
このような吹出ファン40の作用により、図6の矢印に示すように、冷却室2x内の空気(すなわち、内気)は、第1連通孔211、内気回収孔313を通って冷却室2xから吸熱室31x内に入る。吸熱室31x内に入った内気は、吸熱室31x内を上昇してエバポレータ38を通過し、その後吹出ファン40によって吸い込まれて、内気供給孔314、第2連通孔212を通って吸熱室31xから冷却室2xに吹き出される。内気は、第1気体に対応する。
また、上記のような排気ファン39の作用により、図4の矢印のように、保冷ボックス2および冷却装置3の外部の空気(すなわち外気)は、外気導入孔311を通って保冷ボックス2、冷却装置3の外部からケーシング31内の機械室31zに入る。機械室31zに入った外気は、コンプレッサ35の表面を通過する。コンプレッサ35の表面を通過した外気は、機械室31zから放熱室31yに入り、コンデンサ36の表面を通過する。コンデンサ36の表面を通過した外気は、排気ファン39によって吸い込まれて、外気排出孔312を通ってケーシング31内から保冷ボックス2、冷却装置3の外部に排出される。外気は、第2気体に対応する。
コンプレッサ35、コンデンサ36、膨張弁37、エバポレータ38は、図4、図5に示す配管で接続されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成する。コンプレッサ35は、エバポレータ38から流出した冷媒を圧縮してコンデンサ36側に送出する。コンデンサ36は、コンプレッサ35から吐出された冷媒と外気とを熱交換させることで冷媒の熱を外気に放出させると共に冷媒を凝縮させる。膨張弁37は、コンデンサ36で凝縮された冷媒を減圧させる。エバポレータ38は、コンデンサ36で減圧された冷媒と内気とを熱交換させることで、冷媒を蒸発させると共に内気を冷却する。したがって、冷却装置3の作動中、エバポレータ38がコンデンサ36よりも低温である。
このような冷凍サイクルの作用により、エバポレータ38で冷やされて内気供給孔314、第2連通孔212から冷却室2x内に入った空気は、図6のように冷却室2xで下降しながら冷却対象Tを冷却する。
ドレンパン41は、第1仕切部材33を吸熱室31xから放熱室31yに貫通する漏斗形状の部材である。ドレンパン41は、吸熱室31x内においては、エバポレータ38の下方に配置され、エバポレータ38で発生して滴下した凝縮水を受け、受けた凝縮水を放熱室31yに導く形状をしている。またドレンパン41は、放熱室31yにおいては、蒸発皿42の上方に配置され、放熱室31yに導いた凝縮水を蒸発皿42に滴下させる形状をしている。
蒸発皿42は、放熱室31yにおいて、コンデンサ36およびドレンパン41の下方に配置される。蒸発皿42は、ドレンパン41から滴下した凝縮水を受け、受けた凝縮水をコンデンサ36の下方に導く形状をしている。
したがって、蒸発皿42に滴下した凝縮水は、コンデンサ36を通る冷媒の熱によって蒸発する。この結果、コンデンサ36の温度も低下し、ひいては、冷却室2x内の冷却効果も高まる。
インバータ43は、バッテリ32から電力供給を受け、ECU46からの指令に応じた形態でコンプレッサ35に交流電流を供給することで、コンプレッサ35の回転数等の作動を制御する。
ECU46は、不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を備えるマイクロコンピュータである。RAM、ROM、フラッシュメモリは、いずれも、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUが、ROMまたはフラッシュメモリに記憶されたプログラムを実行し、その際にRAMを作業領域として使用する。このようなCPUによるプログラムの実行により、ECU46の種々の作動が実現する。
ここで、台座1、保冷ボックス2、冷却装置3の構成について、更に詳しく説明する。図1に示すように、冷却装置3は、保冷ボックス2に組み付けられることにより、台座1の第1部11に載置された状態になる。このとき、第1部11の外縁部111は、ケーシング31における外気導入孔311が形成された側面31bよりも、当該側面が向いている側に、突出している。また同様に、前面壁21の外縁部21zは、冷却装置3の当該側面よりも、当該側面が向いている側に、突出している。したがって、ケーシング31における外気導入孔311が形成された側面31bは、保冷ボックス2のうち外縁部21zが属する面22に対して、窪むようにオフセットして取り付けられている。
このようになっていることで、ケーシング31の上記側面に形成された外気導入孔311にごく近接させて障害物を置くことが、第1部11の外縁部111および前面壁21の外縁部21zの存在によって、困難になる。したがって、ケーシング31の外部において、外気導入孔311の周囲に空隙ができ易く、ひいては、ケーシング31内に導入されて排出される外気の圧力損失を低減できる。
また同様に、第1部11の外縁部112は、ケーシング31における外気排出孔312が形成された前面よりも、当該前面が向いている側に、突出している。このようになっていることで、ケーシング31の前面に形成された外気排出孔312にごく近接させて障害物を置くことが、第1部11の外縁部112の存在によって、困難になる。したがって、ケーシング31の外部において、外気導入孔311の周囲に空隙ができ易く、ひいては、ケーシング31内に導入されて排出される外気の圧力損失を低減できる。
例えば、図7に示すように、台座1、保冷ボックス2、冷却装置3の組からなる冷却システムが複数個密集してマトリクス状に並べられる場合がある。そのような場合、第1部11の上記外縁部および保冷ボックス2の前面壁21の外縁部が、隣り合う冷却システムの保冷ボックス2、第1部11に当接する。この当接により、ケーシング31外における外気導入孔311と外気排出孔312の周囲に、空隙ができる。その結果、ケーシング31内に導入されて排出される外気の圧力損失を低減できる。
また、エバポレータ38とコンデンサ36は、前面壁21に沿った方向に並んでいる。より具体的には、コンデンサ36は、前面壁21上下方向に並んでいる。このように、エバポレータ38とコンデンサ36が、前面壁21に沿った方向に並んでいることで、エバポレータ38とコンデンサ36が前面壁21に直交する方向に並んでいる場合に比べ、当該直交する方向におけるケーシング31の薄型化が実現できる。ひいては、保冷ボックス2と冷却装置3とが重なる方向(すなわち、前後方向)における冷却システムの体格を抑えることができる。
そして、エバポレータ38は、コンデンサ36の上方向に配置されている。このようになっていることで、エバポレータ38における冷気が下がってコンデンサ36を冷やすことで、冷却装置3が内気を冷却する能力が向上する。
また、ケーシング31において、図1に示すように、外気導入孔311が形成される面と外気排出孔312が形成される面は、異なる方向に向いている。このようになっていることで、外気排出孔312から排出された高温の外気がすぐに外気導入孔311からケーシング31の内部に導入されてしまう現象、すなわち、ショートサーキットが、発生しにくくなる。
また、冷却装置3の作動中、外気導入孔311からケーシング31内に導入された外気は、図1の矢印のように、コンプレッサ35を通過した後にコンデンサ36を通り、その後コンプレッサ35を通らずに外気排出孔312からケーシング31の外に排出される。このようにコンプレッサ35を通る外気は、コンデンサ36を通って昇温する前の外気であるので、昇温した外気によるコンプレッサ35への影響を抑制できる。
以上、説明した通り、保冷ボックス2の前面壁21には、保冷ボックス2の内部から冷却装置3に回収される内気が通る第1連通孔211が形成される。さらに前面壁21には、冷却装置3において冷却された後に冷却装置3から保冷ボックス2に供給される内気が通る第2連通孔212が形成されている。
このような前面壁21の存在により、冷却装置3が保冷ボックス2から取り外されても、前面壁21が保冷ボックス2から取り外されることはない。したがって、保冷ボックス2の内部の内気が保冷ボックス2の外部に流出し難い。したがって、保冷ボックス2の保冷機能の低下を抑えつつ、冷却装置を取り外すことができる。
なお、冷却装置3を保冷ボックス2から取り外した後の第1連通孔211、第2連通孔212に関しては、冷却装置3の取り外し後に容易に塞ぐことができる。また、第1連通孔211、第2連通孔212を塞がなかったとしても、前面壁21自体の存在により、冷却装置3を取り外した後の保冷ボックス2の保冷機能の低下は、従来よりも低減される。
また、前面壁21には、第1連通孔211と、第2連通孔212とが、別々に分離して形成されている。このように、第1連通孔、第2連通孔という2つの連通孔を壁に設けることで、第2連通孔212から吹き出される空気の風速に合わせて、第1連通孔、第2連通孔の位置を、ショートカットを十分低減できる位置に配置する自由度が生じる。内気のショートカットとは、第2連通孔212を通って冷却室2x内に入った空気が、すぐに第1連通孔211を通って冷却装置3内に戻ってしまうことをいう。ショートカットが顕著になると、保冷ボックス2内の冷却能力が低下する。
(第2実施形態)
次に第2実施形態について、図8、図9を用いて説明する。本実施形態の冷却システムにおいて、保冷ボックス2が第1実施形態と異なるのは、第1連通孔211、第2連通孔212が、図8に示す単一の共用連通孔213に置き換えられている点である。前面壁21には、保冷ボックス2と冷却装置3内との間で内気を連通させる他の孔は形成されていない。保冷ボックス2の他の構成は第1実施形態と同じである。
共用連通孔213では、冷却室2xから冷却装置3に回収される空気が通ると共に、冷却装置3において冷却された後に冷却装置3から冷却室2xに供給される空気が通る。共用連通孔213は、前面壁21に形成される。前面壁21において共用連通孔213が形成される位置および大きさは、必要に応じて種々の形態が採用されてよい。
冷却装置3は、第1連通孔211、第2連通孔212が共用連通孔213に置き換えられたことに対応する変更が、第1実施形態に対して加えられている。具体的には、図9に示すように、回収ダクト315、供給ダクト316が、単一の共用ダクト317に置き換えられている。
共用ダクト317は、ケーシング31の背面側(すなわち、保冷ボックス2側)に形成されている。共用ダクト317は、図9に示すように、内気回収孔313および内気供給孔314を囲むようにケーシング31の背面から保冷ボックス2側に突出する管形状の部分である。共用ダクト317の一方側の端部はケーシング31の背面に接続されており、他方側の端部は、共用連通孔213内に圧入されている。本実施形態では、この圧入により、冷却装置3の保冷ボックス2へのユーザが脱着可能な取り付けが、実現している。
本実施形態では、内気回収孔313と内気供給孔314の両方が、前面壁21における上下方向中央よりも上側に配置されている。内気回収孔313が内気供給孔314よりも下側に配置されている点は、第1実施形態と同様である。なお、台座1の構成は、第1実施形態と同じである。
以上のような構成において、吹出ファン40の作用により、図9の実線矢印に示すように、冷却室2x内の空気(すなわち、内気)は、共用連通孔213、共用ダクト317、内気回収孔313を通って冷却室2xから吸熱室31x内に入る。吸熱室31x内に入った内気は、吸熱室31x内においてエバポレータ38を通過し、その後吹出ファン40によって吸い込まれて、内気供給孔314、共用ダクト317、共用連通孔213を通って吸熱室31xから冷却室2xに吹き出される。このとき、吹出ファン40の回転数が十分高ければ、本実施形態のように内気回収孔313と内気供給孔314が互いに近接していても、図9の破線矢印に示すような内気のショートカットを十分抑えることができる。
以上のように、本実施形態の冷却システムも、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。また、本実施形態では、冷却室2xと冷却装置3内との間で内気を通すために前面壁21に開けられた連通孔の数が、1個となっている。
このようにすることで、第1実施形態に比べ、連通孔の周長を短くすることができる。例えば、第1実施形態における第1連通孔211と第2連通孔212の開口面積の総和と、本実施形態における共用連通孔213の開口面積とが同じ場合、第1連通孔211と第2連通孔212の周長の総和よりも共用連通孔213の方を短くすることができる。そして、連通孔の周長を短くすることで、前面壁21に設けられた連通孔を介した内気の漏れを低減することができ、更に、当該連通孔を介した熱漏れを低減することができる。
また、冷却室2xと冷却装置3との間で内気を通すために前面壁21に設けられる連通孔の数が1個になることで、保冷ボックス2の設計において許容される共用連通孔213の位置公差および寸法公差を大きく設定することができる。冷却室2xと冷却装置3との間で内気を通すために前面壁21に設けられる連通孔の数が2個の場合、それぞれの連通孔の加工時の位置のばらつきの積み重ねを考慮すると、個々の連通孔について許容される位置公差、寸法公差等を小さくする必要がある。
(第3実施形態)
次に第3実施形態について、図10を用いて説明する。第1実施形態では、冷却装置3の保冷ボックス2へのユーザが脱着可能な取り付けは、回収ダクト315、供給ダクト316の各々の第1連通孔211、第2連通孔212への圧入によって実現している。また第2実施形態では、冷却装置3の保冷ボックス2へのユーザが脱着可能な取り付けは、共用ダクト317の共用連通孔213への圧入によって実現している。
これに対し、本実施形態における冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、上述のような圧入に加え、図10に示すベルト部50によって、ユーザが脱着可能な取り付けが可能となっている。ベルト部50は、脱着構造に対応する。
ベルト部50は、第1ベルト紐51、第1コネクタ52、第2ベルト紐53、第2コネクタ54を有する。第1ベルト紐51は、撓み可能な細長い帯状の部材であり、その長手方向の一端が保冷ボックス2のうち前面壁21に属する面とは異なる面22に固定され、他端が第1コネクタ52に取り付けられている。第1コネクタ52は、ユーザの所定のロック作業により第2コネクタ54と係合可能であると共に、ユーザの所定のアンロック作業により第2コネクタ54との係合を解除可能なように、構成されている。
第2ベルト紐53は、撓み可能な細長い帯状の部材であり、その長手方向の一端が保冷ボックス2のうち面22とは反対側にある外面に固定され、他端が第2コネクタ54に取り付けられている。第2コネクタ54は、上記ロック作業により第1コネクタ52と係合可能であると共に、上記アンロック作業により第1コネクタ52との係合を解除可能なように、構成されている。
第1ベルト紐51および第2ベルト紐53は、長手方向に弾性を有して伸縮可能であってもよい。あるいは、第1ベルト紐51の上記一端から第1コネクタ52までの第1ベルト紐51の長さが調整可能であってもよい。あるいは、第2ベルト紐53の上記一端から第2コネクタ54までの第2ベルト紐53の長さが調整可能であってもよい。第1コネクタ52および第2コネクタ54は、例えばバックルであってもよい。
ここで、冷却装置3と保冷ボックス2の脱着の手順について説明する。なお、この手順の説明においては、本実施形態の冷却システムにおけるベルト部50以外の構成は、第1実施形態と同じであるとする。ただし、以下の手順の説明において、回収ダクト315、供給ダクト316を共用ダクト317に置き換え、第1連通孔211、第2連通孔212を共用連通孔213に置き換えてもよい。そのように置き換えることで、本実施形態の冷却システムにおけるベルト部50以外の構成を、第2実施形態と同じにすることもできる。
冷却装置3を保冷ボックス2に装着する場合、ユーザは、冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212に挿入する。これにより、保冷ボックス2に対して冷却装置3が位置決めされる。
その後、ユーザは上記所定のロック作業を第1コネクタ52、第2コネクタ54に対して行うことで、第1コネクタ52と第2コネクタ54を係合させる。ロック作業は、工具を用いない作業(例えば、ユーザの手による所定の位置までの挿入作業)である。このとき、ベルト部50が冷却装置3のケーシング31に巻き付いて、ベルト部50と前面壁21の間に冷却装置3が挟まれた状態になる。そして、この係合により、第1ベルト紐51と第2ベルト紐53とが長手方向への張力が発生するように張られる。
この際、ユーザは、第1ベルト紐51の上記一端から第1コネクタ52までの第1ベルト紐51の長さ、または、第2ベルト紐53の上記一端から第2コネクタ54までの第2ベルト紐53の長さを調整することで、この張力を調整してもよい。
その結果、冷却装置3は、ベルト部50によって、保冷ボックス2の方向に押されると共に、保冷ボックス2に対して離れないよう拘束される。ベルト部50によって、保冷ボックス2および冷却装置3が互いに近付く方向に付勢されるからである。これにより、冷却装置3の保冷ボックス2への取り付けがより強固になる。以上により、冷却装置3の保冷ボックス2への装着が完了する。
冷却装置3から保冷ボックス2を取り外す場合、ユーザは上記所定のアンロック作業を第1コネクタ52、第2コネクタ54に対して行うことで、第1コネクタ52と第2コネクタ54の係合を解除する。アンロック作業は、工具を用いない作業(例えば、ユーザの手による所定の部位の押下操作)である。これにより、ベルト部50によって、保冷ボックス2および冷却装置3が互いに近付く方向に付勢および拘束される状態が解消される。
その後、ユーザは、冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212から抜き取る。以上により、冷却装置3から保冷ボックス2の取り外しが完了する。
なお、本実施形態においては、回収ダクト315と第1連通孔211、供給ダクト316と第2連通孔212、共用ダクト317と共用連通孔213は、圧入の関係であってもよいし、遊嵌合の関係であってもよい。
以上の通り、本実施形態の冷却システムには、脱着用の工具を必要としない形態で冷却装置3を保冷ボックス2に脱着可能に取り付けることを可能とする脱着構造として、ベルト部50が設けられている。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
なお、本実施形態においては、ベルト部50は、保冷ボックス2に固定されており、ロック作業が行われることで冷却装置3を自己と保冷ボックス2の間に挟んで拘束する。しかし、ベルト部50は、冷却装置3に固定されていてもよい。その場合ベルト部50は、ロック作業が行われることで保冷ボックス2に巻き付いて保冷ボックス2を自己と冷却装置3の間に挟んで拘束する。前者の例においても後者の例においても、ベルト部50は、保冷ボックス2および冷却装置3が互いに近付く方向に保冷ボックス2および冷却装置3を付勢する。また、ベルト部50は、保冷ボックス2と冷却装置3の両方に巻き付いて保冷ボックス2および冷却装置3が互いに近付く方向に保冷ボックス2および冷却装置3を付勢してもよい。
また本実施形態のベルト部50は、第1コネクタ52と第2コネクタ54の係合により第1ベルト紐51と第2ベルト紐53が間接的に接続されることで、ベルト部50によって保冷ボックス2および冷却装置3が拘束される。しかし、第1コネクタ52と第2ベルト紐53は必須ではない。例えば、第1ベルト紐51と第2ベルト紐53がユーザの手作業によって結ばれることで、ベルト部50によって保冷ボックス2および冷却装置3が拘束される。この場合、第1ベルト紐51と第2ベルト紐53を結ぶ作業がロック作業に対応し、第1ベルト紐51と第2ベルト紐53の結びを解く作業がアンロック作業に対応する。
また本実施形態のベルト部50は、第1ベルト紐51、第1コネクタ52という2つのベルト紐を有しているが、これは必須ではない。例えば、第1コネクタ52を面22に直接固定することで、第1ベルト紐51を廃することができる。
(第4実施形態)
次に第4実施形態について、図11、図12を用いて説明する。本実施形態における冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、第1、第2実施形態のような圧入に加え、図11、図12に示す磁力脱着部によって、ユーザが脱着可能な取り付けが可能となっている。磁力脱着部は、脱着構造に対応する。
磁力脱着部は、第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68を含む。第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64の各々は、磁場を発生する物体であり、永久磁石であっても電磁石であってもよい。
図11に示すように、第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64は、保冷ボックス2の前面壁21のうち、冷却装置3に対向する部分において、互いに離れて取り付けられている。
第1軟磁性体65、第2軟磁性体66、第3軟磁性体67、第4軟磁性体68は、それぞれ磁石でない強磁性体(例えば鉄等の軟磁性体)である。第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68は、図12に示すように、ケーシング31の保冷ボックス2に対向する側すなわち背面側の壁において、互いに離れて取り付けられている。そして、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68は、冷却装置3が保冷ボックス2に装着された際に、それぞれ第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64に対向して接触するよう、配置されている。
ここで、冷却装置3と保冷ボックス2の脱着の手順について説明する。なお、この手順の説明においては、本実施形態の冷却システムにおける磁力脱着部以外の構成は、第1実施形態と同じであるとするが、第2実施形態と同じにすることもできる。
冷却装置3を保冷ボックス2に装着する場合、ユーザは、冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212に挿入する。これにより、保冷ボックス2に対して冷却装置3が位置決めおよび装着される。
このとき、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68は、それぞれ第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64に対向して接触する。そして、互いに対向して接触する磁性体と磁石との間に、互いに引き合う磁力が発生する。その結果、冷却装置3および保冷ボックス2は、この磁力に起因して互いの方向に付勢された状態になる。これにより、冷却装置3の保冷ボックス2への取り付けがより強固になる。なおこのとき、互いに対向する磁石と磁性体とは、接触せず磁力が十分な強さで発生する程度に近接しているだけでもよい。
冷却装置3から保冷ボックス2を取り外す場合、ユーザは冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212から抜き取る。このとき、互いに対向して接触あるいは近接していた磁石と磁性体とが、離れる。以上により、冷却装置3から保冷ボックス2の取り外しが完了する。
なお、本実施形態においては、回収ダクト315と第1連通孔211、供給ダクト316と第2連通孔212、共用ダクト317と共用連通孔213は、圧入の関係であってもよいし、遊嵌合の関係であってもよい。
以上の通り、本実施形態の冷却システムには、脱着用の工具を必要としない手作業の形態で冷却装置3を保冷ボックス2に脱着可能に取り付けることを可能とする脱着構造として、磁力脱着部が設けられている。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
なお、本実施形態において、第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64が保冷ボックス2に取り付けられ、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68が冷却装置3に取り付けられる。しかし、逆に、第1磁石61、第2磁石62、第3磁石63、第4磁石64が保冷ボックス2に取り付けられ、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68が冷却装置3に取り付けられてもよい。
また、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68の各々が磁石に置き換えられてもよい。その際、それら磁石は、冷却装置3が保冷ボックス2に装着された際に、対向する磁石と引き合うような配置および姿勢で、冷却装置3に取り付けられている。
また、ケーシング31が磁性体で構成されている場合、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68は廃されてもよい。また、保冷ボックス2が磁性体で構成されている場合、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68が廃され、第1磁性体65、第2磁性体66、第3磁性体67、第4磁性体68の各々が磁石に置き換えられてもよい。
また、保冷ボックス2に取り付けられる磁石の数、および、冷却装置3に取り付けられる磁性体の数は、それぞれ4個に限られない。
(第5実施形態)
次に第5実施形態について、図13、図14を用いて説明する。本実施形態における冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、第1、第2実施形態のような圧入に加え、図13、図14に示す面ファスナー脱着部によって、ユーザが脱着可能な取り付けが可能となっている。面ファスナー脱着部は、脱着構造に対応する。
面ファスナー脱着部は第1一方側面ファスナー部材71、第2一方側面ファスナー部材72、第3一方側面ファスナー部材73、第4一方側面ファスナー部材74を含む。更に面ファスナー脱着部は、第1他方側面ファスナー部材75、第2他方側面ファスナー部材76、第3他方側面ファスナー部材77、第4他方側面ファスナー部材78を含む。
図13に示すように、第1~第4一方側面ファスナー部材71~74は、保冷ボックス2の前面壁21のうち、冷却装置3に対向する部分において、互いに離れて取り付けられている。第1~第4一方側面ファスナー部材71~74の冷却装置3側の面には、複数(例えば10個以上の多数の)の突起物が形成されている。
図14に示すように、第1~第4他方側面ファスナー部材75~78は、ケーシング31の保冷ボックス2に対向する側すなわち背面側の壁において、互いに離れて取り付けられている。第1~第4他方側面ファスナー部材75~78の保冷ボックス2側の面には、複数(例えば10個以上の多数の)の突起物が形成されている。
第1~第4一方側面ファスナー部材71~74は、冷却装置3が保冷ボックス2に装着された際に、それぞれ第1~第4他方側面ファスナー部材75~78に対向して接触するよう、配置されている。互いに対向する一方側ファスナー部材と他方側ファスナー部材とは、互いの複数の突起物同士が噛み合うことにより、係合可能となっている。
第1~第4一方側面ファスナー部材71~74および第1~第4他方側面ファスナー部材75~78に形成された突起部の形状は、種々のものが採用可能である。例えば、互いに対向する一方側面ファスナー部材と他方側面ファスナー部材のうち片方の突起物の各々がループ状に形成され、もう片方の突起物がフック状に形成されていてもよい。また例えば、互いに対向する一方側面ファスナー部材と他方側面ファスナー部材の両方の突起物の各々がマッシュルーム状に先端部で太くなるように形成されていてもよい。
ここで、冷却装置3と保冷ボックス2の脱着の手順について説明する。なお、この手順の説明においては、本実施形態の冷却システムにおける磁力脱着部以外の構成は、第1実施形態と同じであるとするが、第2実施形態と同じにすることもできる。
冷却装置3を保冷ボックス2に装着する場合、ユーザは、冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212に挿入する。これにより、保冷ボックス2に対して冷却装置3が位置決めおよび装着される。
このとき、第1~第4他方側面ファスナー部材75~78は、それぞれ第1~第4一方側面ファスナー部材71~74に対向して接触する。そして、互いに対向して接触する一方側ファスナー部材と他方側ファスナー部材とが、係合する。この係合により、冷却装置3の保冷ボックス2への取り付けがより強固になる。
冷却装置3から保冷ボックス2を取り外す場合、ユーザは冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212から抜き取る。この際、互いに接触していた一方側ファスナー部材と他方側ファスナー部材とが、離れる。以上により、冷却装置3から保冷ボックス2の取り外しが完了する。
なお、本実施形態においては、回収ダクト315と第1連通孔211、供給ダクト316と第2連通孔212、共用ダクト317と共用連通孔213は、圧入の関係であってもよいし、遊嵌合の関係であってもよい。
以上の通り、本実施形態の冷却システムには、脱着用の工具を必要としない手作業の形態で冷却装置3を保冷ボックス2に脱着可能に取り付けることを可能とする脱着構造として、面ファスナー脱着部が設けられている。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
なお、保冷ボックス2に取り付けられる一方側面ファスナー部材の数、および、冷却装置3に取り付けられる他方側面ファスナー部材の数は、それぞれ4個に限られない。
(第6実施形態)
次に第6実施形態について、図15、図16、図17を用いて説明する。本実施形態における冷却装置3の保冷ボックス2への脱着可能な取り付けは、第1、第2実施形態のような圧入に加え、図15、図16、図17に示すクランプ式脱着部によって、ユーザが脱着可能な取り付けが可能となっている。クランプ式脱着部は、脱着構造に対応する。
クランプ式脱着部は、第1枠部材80および第2枠部材89を有する。第1枠部材80は、図15、図16に示すように、第1連通孔211、第2連通孔212を囲む矩形の枠形状を有し、保冷ボックス2の前面壁21から冷却装置3側に突出するように、前面壁21に固定されている。第1枠部材80には、第1窪み部81、第2窪み部82、第3窪み部83、第4窪み部84が形成されている。第1~第4窪み部81~84の各々は一方側係合部に対応する。
第1~第4窪み部81~84は、第1枠部材80の外周側に形成され、内周側に向けて窪んだ穴である。例えば、第1窪み部81は第1枠部材80の上側辺の上側において下側に窪むように形成される。第1~第4窪み部81~84の窪み方向は、保冷ボックス2の前面壁21と冷却装置3のケーシング31の背面との対向方向に対して交差している。交差の角度は90°でもよいし、他の角度でもよい。
第2枠部材89は、図17に示すように、回収ダクト315、供給ダクト316を囲む矩形の枠形状を有し、冷却装置3のケーシング31の背面から保冷ボックス2側に突出するように、当該背面に固定されている。第2枠部材89の内周側の面は、第1枠部材80の外周側の面とほぼ同じ形状となっている。これにより、保冷ボックス2に冷却装置3を装着した際、第2枠部材89の内周側に第1枠部材80が嵌まる。
第2枠部材89には、第1突起部85、第2突起部86、第3突起部87、第4突起部88が形成されている。これら第1~第4突起部85~88も、クランプ式脱着部の構成要素である。第1~第4突起部85~88の各々は他方側係合部に対応する。
第1~第4突起部85~88は、第2枠部材89の内周側に形成され、内周側に向けて突出した部材である。例えば、第1突起部85は第2枠部材89の上側辺の下側において下側に突出するように形成される。第1~第4突起部85~88の突出方向は、保冷ボックス2の前面壁21と冷却装置3のケーシング31の背面との対向方向に対して交差している。交差の角度は90°でもよいし、他の角度でもよい。
ここで、冷却装置3と保冷ボックス2の脱着の手順について説明する。なお、この手順の説明においては、本実施形態の冷却システムにおけるクランプ式脱着部以外の構成は、第1実施形態と同じであるとするが、第2実施形態と同じにすることもできる。
冷却装置3を保冷ボックス2に装着する場合、ユーザは、冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212に挿入する。このとき、第1枠部材80が第2枠部材89の内周に嵌ると共に、第1~第4突起部85~88が、それぞれ第1~第4窪み部81~84内に嵌る。これにより、保冷ボックス2に対して冷却装置3が位置決めおよび装着される。
上述の通り、第1~第4突起部85~88の突出方向と第1~第4窪み部81~84の窪み方向が、保冷ボックス2の前面壁21とケーシング31の背面との対向方向に対して交差している。したがって、保冷ボックス2に対して冷却装置3が位置決めおよび装着されたとき、嵌り合う突起部と窪み部とは、前面壁21とケーシング31の背面との対向方向に関して互いに係合関係にある。この係合により、冷却装置3の保冷ボックス2への取り付けがより強固になる。すなわち、冷却装置3を保冷ボックス2から取り外す方向への力に対して、嵌り合う突起部と窪み部の係合が、抵抗となる。
冷却装置3から保冷ボックス2を取り外す場合、ユーザは冷却装置3の回収ダクト315、供給ダクト316をそれぞれ第1連通孔211、第2連通孔212から抜き取る。この際、第1枠部材80と第2枠部材89との嵌り合いも、第1~第4突起部85~88の突出方向と第1~第4窪み部81~84の係合も、解消される。以上により、冷却装置3から保冷ボックス2の取り外しが完了する。
なお、本実施形態においては、回収ダクト315と第1連通孔211、供給ダクト316と第2連通孔212、共用ダクト317と共用連通孔213は、圧入の関係であってもよいし、遊嵌合の関係であってもよい。
以上の通り、本実施形態の冷却システムには、脱着用の工具を必要としない手作業の形態で冷却装置3を保冷ボックス2に脱着可能に取り付けることを可能とする脱着構造として、クランプ式脱着部が設けられている。そして、互いに嵌り合う突起部と窪み部が互いに対して係合されることにより、冷却装置3が保冷ボックス2に対して脱着可能に取り付けられる。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
なお、保冷ボックス2に取り付けられる窪み部の数、および、冷却装置3に取り付けられる突起部の数は、それぞれ4個に限られない。また、保冷ボックス2に窪み部ではなく突起部が形成され、冷却装置3に突起部ではなく窪み部が形成されてもよい。
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。特に、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、上記実施形態において、センサから車両の外部環境情報(例えば車外の湿度)を取得することが記載されている場合、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信することも可能である。あるいは、そのセンサを廃し、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定することも可能である。また、本発明は、上記実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち明らかに矛盾する組み合わせを除く任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
(変形例1)
保冷ボックス2内と冷却装置3内を流れる内気は、上記実施形態では空気であったが、空気以外の気体であってもよい。また、保冷ボックス2内と冷却システムの外部を流れる外気は、上記実施形態では空気であったが、空気以外の気体であってもよい。
(変形例2)
上記実施形態では、外気導入孔311、外気排出孔312がそれぞれケーシング31の側面31b、背面に形成されている。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、外気導入孔311がケーシング31の背面に、外気排出孔312がケーシング31の側面31bに、形成されていてもよい。また例えば、外気導入孔311、外気排出孔312の両方がケーシング31の背面に形成されていてもよい。また例えば、外気導入孔311、外気排出孔312の両方がケーシング31の側面31bに配置されていてもよい。
例えば、外気導入孔311の位置と外気排出孔312の位置は、上記実施形態と逆になっていてもよい。すなわち、上記実施形態で外気導入孔311が配置されている部分に外気排出孔312が配置され、上記実施形態で外気排出孔312が配置されている部分に外気導入孔311が配置されてもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、保冷ボックス2と冷却装置3とが工具を用いず容易にユーザが脱着可能な例が示されている。しかし、保冷ボックス2と冷却装置3とをユーザが脱着可能な例としては、工具を用いる例もあってよい。例えば、ユーザがドライバーを用いて冷却装置3を保冷ボックス2に対してネジ締結およびネジ外しをすることで、保冷ボックス2と冷却装置3とが脱着可能となっていてもよい。このように、脱着可能というのは、工具を用いないものに限られず、工具を用いた破壊的でない脱着であってもよい。破壊的な脱着とは、脱着のどちらかにおいて冷却システムが破損してしまうような脱着をいう。
(変形例4)
上記実施形態では、冷却装置3内でエバポレータ38の下方にコンデンサ36が配置されている。しかし、コンデンサ36とエバポレータ38の配置は必ずしもこのようになっていなくてもよい。例えば、エバポレータ38の上方にコンデンサ36が配置されていてもよい。この場合、ケーシング31内に配置されたダクトが、エバポレータ38で冷却された内気を内気供給孔314まで導いてもよい。
あるいは、コンデンサ36とエバポレータ38は、保冷ボックス2の前面壁21に直交する方向に重なって配置されていてもよい。
(変形例5)
上記実施形態では、冷却装置3の外気導入孔311の形成された側面に対して前面壁21の外縁部が突出している。しかし、必ずしもこのようになっておらずともよい。例えば、冷却装置3の当該側面に対して前面壁21の外縁が面一になっていてもよい。
(変形例6)
上記実施形態では、コンデンサ36、排気ファン39から構成される凝縮器ユニットと、エバポレータ38、吹出ファン40で構成される蒸発器ユニットが、同じケーシング31に収められている。しかし、凝縮器ユニットと蒸発器ユニットは、異なるケーシングに収められていてもよい。
(変形例7)
上記実施形態では、排気ファン39は、コンデンサ36の空気流れ下流側に配置された吸い込みタイプである。しかし、排気ファン39は、コンデンサ36の空気流れ上流側に配置される押し込みタイプであってもよい。吹出ファン40についても同様である。
(変形例8)
上記実施形態では、外気は外気導入孔311に入った後、コンプレッサ35、コンデンサ36をこの順に通って、外気排出孔312からケーシング31の外に出る。しかし、外気は外気導入孔311に入った後、バッテリ32、コンプレッサ35、コンデンサ36をこの順に通って、外気排出孔312からケーシング31の外に出てもよい。
(変形例9)
冷却装置3から、バッテリ32が取り除かれてもよい。その場合、冷却装置3は、外部の電源(例えば系統電源)から電力の供給を受けてもよい。
(変形例10)
上記実施形態では、放熱部の一例としてコンデンサ36が示され、冷却部の一例としてエバポレータ38が示されている。しかし、放熱部と冷却部は、コンデンサ36とエバポレータ38の組み合わせ以外のものでもよい。例えば、放熱部と冷却部は、水回路における放熱部であってもよい。
(変形例11)
上記実施形態では、冷却システムの一例として、小型のモバイル型の冷却システムが開示されている。しかし、冷却システムは、モバイル型である必要はなく、小型である必要もない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、冷却装置と対向すると共に当該保冷ボックスの内部と外部を仕切る壁(21)には、前記保冷ボックスの内部から前記冷却装置に回収される前記気体が通る第1連通孔(211)と、前記冷却装置において冷却された後に前記冷却装置から前記保冷ボックスに供給される前記気体が通る第2連通孔(212)と、が形成されている。
このような壁の存在により、冷却装置が保冷ボックスから取り外されても、保冷ボックスの内部の気体が保冷ボックスの外部に流出し難い。したがって、保冷ボックスの保冷機能の低下を抑えつつ、冷却装置を取り外すことができる。
また、第2の観点によれば、前記気体は第1気体であり、前記冷却装置は、ケーシング(31)と、前記ケーシング内において前記保冷ボックスの内部から回収された前記第1気体と冷媒とを熱交換させることで前記第1気体を冷却する冷却部(38)と、前記ケーシング内において前記保冷ボックスおよび前記冷却装置の外部の第2気体と前記冷媒とを熱交換させることで前記冷媒から熱を奪う放熱部(36)と、を備え、前記ケーシングには、前記ケーシングの外から前記放熱部に前記第2気体を導入する外気導入孔(311)と、前記放熱部において前記冷媒と熱交換した空気を前記ケーシング外に放出する外気排出孔(312)とが形成される。このように冷却装置のケーシング内に冷媒、冷却部、放熱部が配置されていることで、第2気体を利用して第1気体を冷却することができる。
また、第3の観点によれば、前記ケーシングのうち前記保冷ボックスの前記壁に対向する面に対して交差する側面に前記外気導入孔および前記外気排出孔のうち少なくとも一方の孔が形成され、前記側面は、前記保冷ボックスの壁のうち前記ケーシングの前記側面が向いている側の面に対して、窪むようにオフセットして取り付けられていることで、前記外気導入孔の周囲に空隙ができ、前記外気導入孔から前記ケーシング内に導入される空気の圧力損失が低減される。
このようになっていることで、ケーシングの上記側面に形成された上記少なくとも一方の孔にごく近接させて障害物を置くことが、保冷ボックスの上記外縁部の存在によって困難になる。したがって、ケーシングの外部において、上記少なくとも一方の孔の周囲に空隙ができ易く、ひいては、ケーシング内に導入されて排出される第2気体の圧力損失を低減できる。
また、第4の観点によれば、前記冷却部と前記放熱部は、前記保冷ボックスの前記壁に沿った方向に並んでいる。このようになっていることで、冷却部と放熱部が保冷ボックスの壁に直交する方向に並んでいる場合に比べ、当該直交する方向におけるケーシングの薄型化が実現できる。ひいては、保冷ボックスと冷却装置とが重なる方向における冷却システムの体格を抑えることができる。
また、第5の観点によれば、前記冷却装置の作動中、前記冷却部は前記放熱部よりも高温であり、前記冷却部が前記放熱部の上方に配置されている。このようになっていることで、冷却部における冷気が下がって放熱部を冷やすことで、冷却装置が第1気体を冷却する能力が向上する。
また、第6の観点によれば、前記ケーシングにおいて前記外気導入孔が形成される面と、前記ケーシングにおいて前記外気排出孔が形成される面は、異なる方向に向いている。このようになっていることで、外気排出孔から排出された高温の第2気体がすぐに外気導入孔からケーシングの内部に導入されてしまう現象、すなわち、ショートサーキットが、発生しにくくなる。
また、第7の観点によれば、前記冷却装置は、前記冷却部から流出した前記冷媒を圧縮して前記放熱部に送出するコンプレッサ(35)を有し、前記冷却装置の作動中、前記外気導入孔から前記ケーシング内に導入された前記第2気体は、前記コンプレッサを通過した後に前記放熱部を通り、その後前記コンプレッサを通らずに前記外気排出孔から前記ケーシングの外に排出される。このようにコンプレッサを通る第2気体は、放熱部を通って昇温する前の第2気体であるので、昇温した第2気体によるコンプレッサへの影響を抑制できる。
また、第8の観点によれば、前記壁には、前記保冷ボックスの内部から前記冷却装置に回収される前記気体が通る第1連通孔と、前記冷却装置において冷却された後に前記冷却装置から前記保冷ボックスに供給される前記気体が通る第2連通孔と、が形成されている。
このように、第1連通孔、第2連通孔という2つの連通孔を壁に設けることで、第1連通孔、第2連通孔の位置を、ショートカットを十分低減できる位置に配置する自由度が生じる。
また、第9の観点によれば、前記壁には、前記保冷ボックスの内部から前記冷却装置に回収される前記気体が通ると共に前記冷却装置において冷却された後に前記冷却装置から前記保冷ボックスに供給される前記気体が通る単一の連通孔が形成されている。
このように、保冷ボックスの内部と冷却装置との間で気体を通すために壁に設けられる連通孔の数が1個になることで、保冷ボックスの設計において許容される連通孔の位置公差および寸法公差を大きく設定することができる。
また、第10の観点によれば、冷却システムは、脱着用の工具を必要としない形態で前記冷却装置を前記保冷ボックスに脱着可能に取り付けることを可能とする脱着構造を備える。このような、工具を必要としない脱着構造により、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
また、第11の観点によれば、前記脱着構造は、前記保冷ボックスと前記冷却装置のうち少なくとも一方に巻き付くことで前記保冷ボックスおよび前記冷却装置が互いに近付く方向に前記保冷ボックスおよび前記冷却装置を付勢するベルト部を有する。このようなベルト部によって、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
また、第12の観点によれば、前記脱着構造は、磁力によって前記冷却装置を前記保冷ボックスに対して脱着可能に取り付けることができる磁力脱着部を有する。このような磁力脱着部によって、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
また、第13の観点によれば、前記保冷ボックスは、一方側面ファスナー部材を有し、前記冷却装置は、前記一方側面ファスナー部材に対向して係合可能であり且つ前記一方側面ファスナー部材から剥離可能な他方側面ファスナー部材を有し、前記一方側面ファスナー部材と前記他方側面ファスナー部材が互いに対向して係合されることで、前記冷却装置が前記保冷ボックスに対して脱着可能に取り付けることができる。このような面ファスナー脱着部によって、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。
また、第14の観点によれば、冷却システムは、前記保冷ボックスに取り付けられ、前記保冷ボックスの前記壁と前記冷却装置のうち前記壁に対向する背面との対向方向に対して交差する方向に伸びる一方側係合部と、前記冷却装置に取り付けられ、前記保冷ボックスの前記壁と前記冷却装置のうち前記壁に対向する背面との対向方向に対して交差する方向に伸びる他方側係合部と、を備え、前記一方側係合部と前記他方側係合部が互いに対して係合されることで、前記冷却装置が前記保冷ボックスに対して脱着可能に取り付けることができる。このような面ファスナー脱着部によって、冷却装置と保冷ボックスの脱着が容易になる。