JP7194909B2 - 磁性樹脂粉末、磁性プリプレグ及び磁性樹脂ペースト - Google Patents

磁性樹脂粉末、磁性プリプレグ及び磁性樹脂ペースト Download PDF

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Description

本発明は、磁性樹脂粉末、磁性プリプレグ及び磁性樹脂ペーストに関する。
近年、スマートフォンなどの各種情報通信機器の小型多機能化や演算処理速度の高速化に伴って駆動周波数が高周波化している。このような情報通信機器に用いられる高周波回路には、インダクタ部品が使用されている。
インダクタ部品として、特許文献1には、コイル状配線と、このコイル状配線を被覆する、樹脂シートの硬化物(以下、磁性材料)とを備えるインダクタ部品が開示されている。この樹脂シートは、エポキシ樹脂と、フェノキシ樹脂と、線状エラストマーと、硬化剤と、無機フィラーとを含有する。無機フィラーの含有量は、樹脂シート全量に対して80~98質量%である。線状エラストマーの含有量は、線状エラストマーを除いた樹脂シートの構成成分の合計100質量部に対して、0.01~0.5質量部である。
しかしながら、特許文献1に記載のような、従来の磁性材料は、磁性材料の損失の少なさを示すQ値(quality factor、以下、磁性材料のQ値という)が高周波帯(例えば、100MHz)で低く、高周波帯で高損失である。このような従来の磁性材料を用いたインダクタ部品は、高周波帯でのインダクタの抵抗成分が大きく、高周波帯でのインダクタのQ値(quality factor、Q=2πfL/R、Lはインダクタンス、Rはインダクタの抵抗成分、fは周波数)が低い。そのため、例えば、従来の磁性材料を、高周波帯のノイズを制御するインダクタ部品の材料に使用することができないおそれがあった。
特許第5881027号公報
本発明の目的は、高周波帯での磁性材料のQ値を高くすることができる磁性樹脂粉末、磁性プリプレグ及び磁性樹脂ペーストを提供することにある。
本発明に係る一態様の複合磁性粉末は、第一の粉末を含む磁性粉末と、第二の粉末を含む非磁性粉末とを含有し、前記第一の粉末が、合金鉄粉末からなり、前記第二の粉末が、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなり、前記第一の粉末の平均粒径が、5μm未満であり、かつ前記第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である。
本発明に係る一態様の磁性樹脂組成物は、前記複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有する。
本発明に係る一態様の磁性樹脂ペーストは、前記磁性樹脂組成物が、ペースト状である。
本発明に係る一態様の磁性樹脂粉末は、前記磁性樹脂組成物が、粉状である。
本発明に係る一態様の磁性樹脂スラリーは、前記磁性樹脂組成物が、溶剤をさらに含有し、スラリー状である。
本発明に係る一態様の磁性樹脂シートは、前記磁性樹脂組成物が、シート状である。
本発明に係る一態様の金属箔付磁性樹脂シートは、前記磁性樹脂シートと、前記磁性樹脂シートの少なくとも一方の面に積層された、厚みが5μm以下の金属箔とを備える。
本発明に係る一態様の磁性プリプレグは、繊維質基材と、前記磁性樹脂組成物又は前記磁性樹脂組成物の半硬化物と、を備える。
本発明に係る一態様のインダクタ部品は、コイル状配線と、コイル状配線を被覆する絶縁層とを備え、前記絶縁層が、前記磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物で成形されている。
図1Aは、本発明の複合磁性粉末において、第一の粉末を構成する磁性粒子と、第二の粉末を構成する非磁性粒子との配置関係を説明するための概略断面図である。図1Bは、複数の大径磁性粒子同士が近接して形成された見かけ上ひと塊の大きな粒子を示す概略断面図である。図1Cは、第一の粉末の平均粒径が第二の粉末の平均粒径の3倍未満である場合の、磁性粒子と非磁性粒子との配置関係を説明するための概略断面図である。図1Dは、第一の粉末の平均粒径が第二の粉末の平均粒径の30倍超である場合の、磁性粒子と非磁性粒子との配置関係を説明するための概略断面図である。 図2Aは、本発明の実施形態に係る磁性樹脂シートの製造方法の一部を説明するための概略断面図である。図2Bは、本発明の実施形態に係る磁性樹脂シートの製造方法の一部を説明するための概略断面図である。図2Cは、本発明の実施形態に係る磁性樹脂シートの製造方法の一部を説明するための概略断面図である。 図3は、グリニス値の測定方法を説明するための概略図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る金属箔付磁性樹脂シートの概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る磁性プリプレグの概略断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態は、複合磁性粉末に関し、特に磁性材料として好適に用いられる複合磁性粉末に関する。
[複合磁性粉末]
本実施形態に係る複合磁性粉末(以下、複合磁性粉末)は、磁性粉末と、非磁性粉末とを含有する。磁性粉末は、第一の粉末を含む。第一の粉末は、合金鉄粉末からなる。非磁性粉末は、第二の粉末を含む。第二の粉末は、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなる。第一の粉末の平均粒径は、5μm未満であり、かつ第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である。
磁性粉末とは、磁性粒子の集合体である。非磁性粉末とは、非磁性粒子の集合体である。以下、磁性粒子のうち、第一の粉末を構成する磁性粒子を大径磁性粒子10といい、非磁性粒子のうち、第二の粉末を構成する非磁性粒子を小径非磁性粒子20という。磁性粒子とは、外部磁場により磁性を帯びることが可能な物質(磁性体)で構成される粒子であり、代表的な物質としては、酸化鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト等がある。非磁性粒子とは、前記磁性体に含まれない物質(外部磁場を印加しても磁性を帯びない)の粒子である。本明細書において「平均粒径」とは、原則、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径(D50)を意味する。なお、平均粒径が50nmなどの微粒である場合、本明細書において「平均粒径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって測定した粒径の平均値を意味する。
複合磁性粉末は、高周波帯のノイズを制御するインダクタ部品(以下、高周波インダクタ部品)の磁性材料の原料として好適に用いられる。高周波インダクタ部品は、磁性材料のQ値によって、その性能が評価され得る。磁性材料のQ値が高いほど磁性材料の損失が少なく、インダクタの抵抗成分Rが小さくなるため、インダクタのQ値は高くなり、高周波インダクタ部品の性能が高い。高周波インダクタ部品として機能するには、100MHzでの磁性材料のQ値が20以上である必要があり、高周波インダクタ部品の高性能化の点で33以上であることが好ましい。高周波帯とは、数10MHz以上数GHz以下をいう。磁性材料とは、後述する第一の磁性樹脂組成物の硬化物、又は後述する第二の磁性樹脂組成物の固化物を指す。磁性材料のQ値は、実施例に記載の方法(RFインピーダンスアナライザ)と同様にして求めることができる。
磁性材料のQ値は、複素透磁率(μ=μ’-i×μ”、iは虚数単位)の実数部(μ’)及び虚数部(μ”)で表される損失係数(tanδ=μ”/μ’)の逆数(1/tanδ=μ’/μ”)である。実数部(μ’)及び虚数部(μ”)は、周波数に依存するため、磁性材料のQ値も周波数に依存する。具体的に、ある周波数以上になると、虚数部(μ”)が急激に増大する一方で、実数部(μ’)が減少する傾向にある。100MHzでの磁性材料のQ値を高くするには、磁性材料のQ値=μ’/μ”の式から明らかなように、100MHzにおいて、実数部(μ’)が高く、虚数部(μ”)が低いことが好ましい。100MHzでの実数部(μ’)は、高周波インダクタ部品を設計する上で6.0以上であることが好ましい。
本実施形態では、第一の粉末の平均粒径は、第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である。これにより、100MHzにおいて、虚数部(μ”)が低く、磁性材料のQ値を20以上とすることができる。これは、隣接する大径磁性粒子10,10同士が凝集しにくいこと、隣接する大径磁性粒子10,10同士の電気的絶縁性が確保されていることが主要因であると推測される。具体的には、処理前の磁性材料において、図1Aに示すように、大径磁性粒子10の1粒子1粒子の周囲に複数の小径非磁性粒子20が均一に配置されて、大径磁性粒子10の表面に小径非磁性粒子20からなる層21が形成されやすい。これにより、各大径磁性粒子10はそれぞれ独立した粒子として振る舞いやすくなり、隣接する大径磁性粒子10,10同士の間隔Iを適正化することができる。言い換えると、図1Bに示すように、接近する複数の大径磁性粒子10,10同士が見かけ上ひと塊の大きな粒子11として振る舞いにくくなる。さらに、第二の粉末はアルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなるため、層21は絶縁性を有する。そのため、隣接する大径磁性粒子10同士にまたがって流れる粒子間渦電流が発生しにくく、渦電流損をより低減することができる。これらにより、100MHzでの虚数部(μ”)は低くなると推測される。処理前の磁性材料とは、磁性材料が硬化又は固化する前の状態であって、硬化前の第一の磁性樹脂組成物、後述する磁性樹脂ペースト、後述する磁性樹脂粉末、後述する樹脂磁性スラリー、後述する磁性樹脂シート、固化前の第二の磁性樹脂組成物などを含む。
複合磁性粉末は、第一の粉末及び第二の粉末を含有する混合粉末であれば、第一の粉末及び第二の粉末とは異なる粉末をさらに含有してもよい。すなわち、複合磁性粉末の体積換算で計測した粒径分布において、その存在頻度を表すピークが少なくとも2つ存在すればよく、ピークが3つ以上あってもよい。
複合磁性粉末を構成する磁性粒子及び非磁性粒子の形状は、特に限定されず、例えば、球状、楕円体状、扁平状、破砕状などが挙げられる。各磁性粒子及び非磁性粒子の形状は、すべて同一であっても、各々異なっていてもよい。なかでも、各磁性粒子及び非磁性粒子の形状は、すべて球状であることが好ましい。各磁性粒子及び非磁性粒子の形状がすべて球状であれば、磁性材料に対する複合磁性粉末の充填量を高くすることができる。また、各磁性粒子及び非磁性粒子の形状がすべて球状である処理前の磁性材料と、各磁性粒子及び非磁性粒子の形状がすべて球状でない処理前の磁性材料とで、処理前の磁性材料に対する複合磁性粉末の充填量が同じである場合、前者の方が処理前の磁性材料の流動性に優れる。さらに、100MHzでの磁性材料のQ値をより高めることができる。
球状には、平均球形度が0.7以上であるものが含まれる。平均球形度は、次のようにして求めることができる。各磁性粒子のそれぞれの粒子像を走査型電子顕微鏡などで撮影し、各粒子像を画像解析装置などに取り込み、写真から各々の磁性粒子の投影面積(S)及び周囲長(L)を計測する。そして、計測結果を以下の式に代入して球形度を算出する。
球形度=4πS/L
このようにして、磁性粒子のそれぞれについて、ある一定個数(好ましくは200個以上)の粒子の球形度を求め、この平均値を平均球形度とする。
{磁性粉末}
複合磁性粉末は磁性粉末を含有する。磁性粉末は、第一の粉末を含み、他の磁性粉末をさらに含んでもよい。
磁性粉末は絶縁処理されていることが好ましい。すなわち、各磁性粒子はその表面が電気絶縁性皮膜で覆われていることが好ましい。これにより、100MHzにおいて、虚数部(μ”)をより低く、磁性材料のQ値をより高くすることができる。さらに、磁性材料自体の電気絶縁信頼性を向上させることができる。100MHzでの虚数部(μ”)をより低くできるのは、主に、絶縁被膜によって、隣接する磁性粒子同士にまたがって流れる粒子間渦電流が発生しにくく、渦電流損をより低減することができるためと推測される。
絶縁処理の方法としては、例えば、磁性粉末と電気絶縁性フィラーを含む水溶液とを混合して乾燥させる方法などが挙げられる。電気絶縁性フィラーの材質としては、例えば、リン酸、ホウ酸、酸化マグネシウムなどを用いることできる。この電気絶縁性皮膜は、小径非磁性粒子20からなる層21とは異なるものである。磁性粒子自体が電気絶縁性を有する場合、電気絶縁性皮膜で覆われていなくともよい。
磁性粉末の混合割合は、非磁性粉末1質量部に対して、好ましくは4.0質量部以上19.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以上5.7質量部以下であり、さらに好ましくは4.3質量部以上5.2質量部以下である。磁性粉末の混合割合が上記範囲内であれば、100MHzでの磁性材料のQ値と、処理前の磁性材料の流動性とのバランスをとることができる。これは、図1Aに示すように、大径磁性粒子10の周囲に配置される非磁性粒子20からなる層21の厚みをより薄くでき、間隔Iがより適正化しやすくなるためと推測される。
(第一の粉末)
第一の粉末は、合金鉄粉末からなる。合金鉄粉末は、合金鉄粒子の集合体である。合金鉄粒子の材質は、鉄を主体とした合金である。合金鉄粒子の材質としては、例えば、センダスト(Sendust)、パーメンジュール(permendur)、ケイ素鋼(silicon steel)、パーマロイ(permalloy)、Fe-Si-Cr合金などが挙げられる。これらは高透磁率の合金鉄である。
センダストは、鉄・ケイ素・アルミニウムからなる合金(Fe-Si-Al合金)である。センダストは、飽和磁束密度、透磁率が高く、鉄損が小さく、耐摩耗性に優れている。センダストの組成の一例はFe-9.5Si-5.5Alである(数値は質量%、残りFe)。この組成領域の近傍で、磁歪定数、磁気異方性定数がともにほぼ0となる。そのため、高い透磁率と低い保磁力が得られる。パーメンジュールは、鉄及びコバルトを主成分とする合金である。パーメンジュールは、実用化された軟磁性材料の中で最大の飽和磁束密度を持っている。パーメンジュールの組成の一例はFe-49Co-2Vである(数値は質量%、残りFe)。ケイ素鋼は、鉄に少量のケイ素を加えた合金である。ケイ素鋼は、炭素を含まないため、ケイ素鉄とも呼ばれる。パーマロイは、Ni-Feの合金である。パーマロイには、パーマロイA、パーマロイB、パーマロイC、パーマロイDとJIS規格で呼ばれるものが含まれる。
第一の粉末の平均粒径は、第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下であり、好ましくは3.5倍以上20倍以下、より好ましくは4倍以上15倍以下である。第一の粉末の平均粒径が、第二の粉末の平均粒径の3倍未満であると、100MHzにおいて、虚数部(μ’’)が高く、磁性材料のQ値が20未満となるおそれがある。100MHzでの虚数部(μ'')が高くなるのは、図1Cに示すように、大径磁性粒子10の表面に小径非磁性粒子20からなる層21が形成されにくくなるためと推測される。第一の粉末の平均粒径が、第二の粉末の平均粒径の30倍超であると、100MHzにおいて、実数部(μ’)が低く、磁性材料のQ値が20未満となるおそれがある。100MHzでの実数部(μ’)が低くなるのは、図1Dに示すように、大径磁性粒子10の表面に小径非磁性粒子20からなる層21が形成されやすくなり、隣接する大径磁性粒子10,10同士の間隔Iが広くなりすぎるためと推測される。なお、第一の粉末が平均粒径の異なる粉末を2種以上混合した混合粉末である場合、第一の粉末の平均粒径は混合粉末の平均粒径を指す。また、第二の粉末が平均粒径の異なる粉末を2種以上混合した混合粉末である場合も同様に、第二の粉末の平均粒径は混合粉末の平均粒径を指す。
第一の粉末の平均粒径は、5μm未満であり、好ましくは0.05μm以上5μm未満、より好ましくは0.5μm以上5μm未満である。第一の粉末の平均粒径が5μm以上であると、100MHzでの虚数部(μ”)が高く、磁性材料のQ値が20未満となるおそれがある。
第一の粉末の含有量は、他の磁性粉末の材質、平均粒径などに応じて適宜調整すればよく、磁性粉末の総質量に対して、好ましくは20質量%以上100質量%以下、より好ましくは40質量%以上100質量%以下である。第一の粉末の含有量が上記範囲内であれば、100MHzにおいて、高い磁性材料のQ値を維持したまま、実数部(μ’)をさらに向上させることができる。
(他の磁性粉末)
磁性粉末は、第一の粉末とは異なる他の磁性粉末を含有してもよい。他の磁性粉末は、大径磁性粒子10とは異なる他の磁性粒子の集合体である。
他の磁性粒子の材質としては、例えば、純鉄、金属酸化物、合金、樹脂などを用いることができる。純鉄は、99.90質量%以上99.95質量%以下の高純度の鉄である。具体的に、純鉄としては、カーボニル鉄、アームコ鉄、海綿鉄、電解鉄などが挙げられる。カーボニル鉄は、鉄カーボニルFe(CO)を熱分解して得られる。金属酸化物としては、例えば、フェライト、マグネタイトなどを用いることができる。フェライトは、酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称であり、絶縁性を有する。合金としては、例えば、ニッケル、コバルト基合金などを用いることができる。なかでも、他の磁性粒子の材質としてフェライトを用いることが好ましい。磁性材料がフェライトを含有することで、100MHzでの実数部(μ’)をさらに向上させることができる。
フェライトは、軟磁性を示すソフトフェライトでも強磁性を示すハードフェライトでもよい。フェライトの結晶構造としては、例えば、スピネルフェライト、六方晶フェライト、ガーネットフェライトなどが挙げられる。
スピネルフェライトは、スピネル型結晶構造を持ち、組成式はMeO・Fe又はMeFe(Me:Zn、Ni、Cu、Mn、Mg、Coなどの遷移金属)で示される。スピネルフェライトのほとんどはソフトフェライトである。具体例として、マンガンマグネシウムフェライト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライトが挙げられる。スピネルフェライトは、透磁率が高く、また電気抵抗が高いことから高周波数領域での渦電流損失が小さいため、高周波回路用のインダクタ部品として有効である。
六方晶フェライトは、マグネトプランバイト型の六方晶型結晶構造を持ち、組成式はMO・6Fe又はMFe1219(M:Ba、Sr、Pbなどのアルカリ土類金属)で示される。六方晶フェライトは、マグネトプランバイト型フェライト、M型フェライトとも呼ばれる。六方晶フェライトは、スピネルフェライトと比べて磁気異方性が大きいため大きな保磁力を示す代表的なハードフェライトである。具体例として、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライトが挙げられる。
ガーネットフェライトは、ガーネット型結晶構造を持ち、組成式は3R・5Fe又はRFe12(R:Y、Sm、Gdなどの希土類元素)で示される。ガーネットフェライトは、RIG(Rare-earth Iron Garnet、希土類鉄ガーネット)とも呼ばれる。代表的なものはYIG(Yttrium Iron Garnet、イットリウム鉄ガーネット)である。ガーネットフェライトは、高周波領域での磁気損失が小さいため、マイクロ波用のインダクタ部品として有効である。
他の磁性粉末の平均粒径は、特に限定されず、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.5μm以上5μm以下である。他の磁性粒径の平均粒径が上記範囲内であれば、100MHzでの虚数部(μ”)をより低くすることができる。
他の磁性粉末の混合割合は、他の磁性粉末の平均粒径等に応じて、適宜調整すればよい。他の磁性粉末の平均粒径が0.02μm以上0.1μm以下の場合、他の磁性粉末の混合割合は、第一の粉末に対して、好ましくは12質量%未満、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。他の磁性粉末の平均粒径が上記範囲内であって、その混合割合が上記範囲内であれば、100MHzでの磁性材料のQ値を20以上とすることができるとともに、得られる磁性樹脂シートは流動性に優れる。
{非磁性粉末}
複合磁性粉末は非磁性粉末を含有する。非磁性粉末は、第二の粉末を含み、他の非磁性粉末をさらに含んでもよい。
(第二の粉末)
第二の粉末は、シリカ粉末及びアルミナ粉末の少なくとも1種である。すなわち、第二の粉末の構成は、シリカ粉末のみからなる構成、アルミナ粉末のみからなる構成、又はシリカ粉末及びアルミナ粉末からなる構成である。シリカ粉末及びアルミナ粉末は、ともに高い電気的絶縁性を有するので、第二の粉末によって渦電流の流れを抑制し得る。
シリカ粉末はシリカ粒子の集合体である。シリカ粒子としては、例えば、結晶性シリカ粒子、非結晶シリカ粒子などを用いることができる。シリカ粒子は多孔質性であってもよい。
アルミナ粉末はアルミナ粒子の集合体である。アルミナ粒子の材質としては、例えば、α-アルミナ、γ-アルミナ、δ-アルミナ、θ-アルミナ、η-アルミナ、κ-アルミナなどを用いることができる。
第二の粉末の平均粒径は、第一の粉末の平均粒径が第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下となるように第一の粉末の平均粒径などに応じて調整され、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。第二の粉末の平均粒径が上記範囲内であれば、処理前の磁性材料の流動性を確保しやすくなる。
第二の粉末の含有量は、他の非磁性粉末の材質、平均粒径などに応じて適宜調整すればよく、非磁性粉末の総質量に対して、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下である。
(他の非磁性粉末)
非磁性粉末は、他の非磁性粉末をさらに含有してもよい。他の非磁性粉末は、小径非磁性粒子20とは異なる他の非磁性粒子の集合体である。
他の非磁性粒子の材質としては、例えば、カーボンブラック、チタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO、SiO、Crなどを用いることができる。
他の非磁性粉末は電気的絶縁性を有することが好ましい。すなわち、他の非磁性粒子はその表面が電気絶縁性皮膜で覆われていることが好ましい。絶縁処理の方法としては、例えば、非磁性粉末と電気絶縁性フィラーを含む水溶液とを混合して乾燥させる方法などが挙げられる。電気絶縁性フィラーの材質としては、例えば、リン酸、ホウ酸、酸化マグネシウムなどを用いることできる。他の非磁性粒子自体が電気絶縁性を有する場合、電気絶縁性皮膜で覆われていなくともよい。他の非磁性粉末の平均粒径は、特に限定されず、第二の粉末の平均粒径と同程度であればよい。
[磁性樹脂組成物]
本実施形態に係る磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有する。磁性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する樹脂組成物(以下、第一の磁性樹脂組成物という)であってもよく、熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物(以下、第二の磁性樹脂組成物という)であってもよい。
磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上であることが好ましい。すなわち、第一の磁性樹脂組成物の硬化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上であることが好ましく、第二の磁性樹脂組成物の固化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上であることが好ましい。この場合、磁性樹脂組成物を、高周波インダクタ部品の磁性材料として好適に用いることができる。磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物は、周波数100MHzでのQ値が33以上であることがより好ましい。
{第一の磁性樹脂組成物}
第一の磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末と、硬化性樹脂とを含有する。
第一の磁性樹脂組成物は、硬化性樹脂を含有する。硬化性樹脂の例は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を含む。第一の磁性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂のみを含有してもよく、光硬化性樹脂のみを含有してもよく、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂との両方を含有してもよい。
光硬化性樹脂は、光を吸収して架橋反応を起こし得る反応性化合物である。光硬化性樹脂は特に限定されず、光硬化性を有する樹脂であればよい。光硬化性樹脂として、例えば、重合性不飽和基を有する樹脂を用いてもよい。光硬化性樹脂の例は、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びオキセタン樹脂を含む。第一の磁性樹脂組成物に含有される光硬化性樹脂は、1種のみでも2種以上でもよい。光硬化性樹脂は、常温において液状でも、粉末状などの固形でもよい。
メタクリル樹脂の例は、メタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、及びエチレン-メタクリル酸共重合体を含む。
アクリル樹脂の例は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、アクリル酸エステル、及びポリアクリル酸エステルを含む。
エポキシ樹脂は、1分子中に1個のエポキシ基を有する単官能エポキシ樹脂でもよく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂でもよい。多官能エポキシ樹脂の例は、ポリブタジエンエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ、グリシジルアミン型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物などのアルコール型エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、異節環状型エポキシ化合物、多官能性エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、臭素化エポキシ化合物等のハロゲン化エポキシ化合物、ゴム変成エポキシ化合物、ウレタン変成エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、エポキシ基含有ポリエステル化合物、エポキシ基含有ポリウレタン化合物、エポキシ基含有アクリル化合物を含む。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
オキセタン樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
第一の磁性樹脂組成物が光硬化性樹脂を含有する場合、第一の磁性樹脂組成物は、必要に応じて光重合開始剤を含有してもよい。光重合開始剤の例は、光ラジカル発生開始剤及び光酸発生開始剤を含む。第一の磁性樹脂組成物がメタクリル樹脂及びアクリル樹脂のうちの少なくとも一方を含有する場合、第一の磁性樹脂組成物は、光ラジカル発生開始剤を含有することが好ましい。光ラジカル発生開始剤は特に限定されず、ラジカルを発生させて光重合反応を開始させるものであればよい。また、第一の磁性樹脂組成物がエポキシ樹脂及びオキセタン樹脂のうちの少なくとも一方を含有する場合、第一の磁性樹脂組成物は、光酸発生開始剤を含有することが好ましい。光酸発生開始剤は特に限定されず、イオン性光酸発生開始剤であってもよく、非イオン性光酸発生開始剤であってもよい。
第一の磁性樹脂組成物は熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂は、熱により架橋反応を起こしうる反応性化合物である。熱硬化性樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、イミド樹脂などを用いることができる。多官能エポキシ樹脂は、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する樹脂である。第一の磁性樹脂組成物に含有される熱硬化性樹脂は1種のみでも2種以上でもよい。熱硬化性樹脂は、常温において液状でも、粉末状などの固形でもよい。熱硬化性樹脂の含有量は、第一の磁性樹脂組成物中の樹脂成分の総質量に対して、好ましく75質量%以上100質量%以下である。
第一の磁性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、第一の磁性樹脂組成物は、硬化剤をさらに含有していてもよい。硬化剤は、熱硬化性樹脂を硬化させる添加剤である。硬化剤として、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤、シクロペンタジエン、アミン系硬化剤、酸無水物などを用いることができる。フェノール系硬化剤は、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する。フェノール系硬化剤として、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフタレン型フェノール樹脂、ビスフェノール樹脂などを用いることができる。ビスフェノール樹脂として、例えば、ビスフェノールA樹脂、ビスフェノールF樹脂などを用いることができる。硬化剤は、常温において、液状でもあっても、固形状であってもよい。硬化剤の含有量は、第一の磁性樹脂組成物の樹脂成分の総質量に対して、好ましくは20質量%以下である。
第一の磁性樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、第一の磁性樹脂組成物は、硬化促進剤をさらに含有していてもよい。硬化促進剤として、例えば、三級アミン、三級アミン塩、イミダゾール、ホスフィン、ホスホニウム塩などを用いることができる。イミダゾールとして、2-エチル-4-メチルイミダゾールなどを用いることができる。硬化促進剤の含有量は、熱硬化性樹脂及び硬化剤の材質に応じて適宜調整すればよい。
第一の磁性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂をさらに含有していてもよい。これにより、後述する磁性樹脂シート1に折り曲げ追従性、弾力性などを付与することができる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂などを用いることができる。熱可塑性樹脂の含有量は、第一の磁性樹脂組成物の樹脂成分の総質量に対して、好ましくは2質量%以上50質量%以下である。
第一の磁性樹脂組成物は、表面処理剤をさらに含有していてもよい。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、分散剤などを用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。分散剤としては、例えば、高級脂肪酸リン酸エステル、高級脂肪酸リン酸エステルのアミン塩、高級脂肪酸リン酸エステルのアルキレンオキサイドなどを用いることができる。高級脂肪酸リン酸エステルとしては、オクチルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステルなどを用いることができる。表面処理剤の含有量は、第一の磁性樹脂組成物の樹脂成分の総質量に対して、好ましくは0質量%以上30質量%以下である。
第一の磁性樹脂組成物は、エラストマーをさらに含有していてもよい。これにより、第一の磁性樹脂組成物にエラストマーが含有されていると、第一の磁性樹脂組成物の硬化物にゴム弾性を付与することができる。エラストマーとして、例えば、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーを用いることができる。
第一の磁性樹脂組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いることができる。溶剤を1種のみ使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。溶剤を2種以上混合する場合、混合比(質量比及び体積比)は特に限定されない。
複合磁性粉末の含有量は、第一の磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。複合磁性粉末の含有量が、磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上であると、100MHzでの実数部(μ’)が6.0以上となりやすく、高周波インダクタを良好に設計することができる。また、複合磁性粉末の含有量は、第一の磁性樹脂組成物の固形分全体の99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98.5質量%以下であることが特に好ましい。複合磁性粉末の含有量が、磁性樹脂組成物の固形分全体の99.5質量%以下であると、磁性材料のQ値が高くなりやすい。ここで、磁性樹脂組成物の固形分とは、磁性樹脂組成物から溶剤を除いた分である。
第一の磁性樹脂組成物の調製方法としては、例えば、複合磁性粉末と、硬化性樹脂と、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、熱可塑性樹脂、表面処理剤、エラストマーなどを混合する方法などが挙げられる。
後述するように、第一の磁性樹脂組成物は、ペースト状、スラリー状、粉状、シート状のいずれの形態もとり得るので、その後の工程に応じて、適切な形態の第一の磁性樹脂組成物を使用することができる。その後の工程としては、例えば、金型を使用したトランスファー成形の工程や、加熱加圧して埋め込み成形する工程などが挙げられる。
{第二の磁性樹脂組成物}
第二の磁性樹脂組成物(以下、第二の磁性樹脂組成物)は、複合磁性粉末と、熱可塑性樹脂とを含有する。
熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟化し、ガラス転移温度又は融点より低い温度に冷却することによって固化する化合物である。熱可塑性樹脂として、例えば、ナイロンなどを用いることができる。ナイロンとしては、例えば、ナイロン6などを用いることができる。
第二の磁性樹脂組成物は、硬化性樹脂をさらに含有していてもよい。これにより、後述する磁性樹脂シート1に良好な強度を付与することができる。硬化性樹脂としては、上記の第一磁性樹脂組成物が含有しうる硬化性樹脂を用いることができる。硬化性樹脂の含有量は、第二の磁性樹脂組成物の樹脂成分の総質量に対して、好ましくは2質量%以上50質量%以下である。
第二の磁性樹脂組成物は、表面処理剤をさらに含有していてもよい。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、分散剤などを用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどを用いることができる。分散剤としては、例えば、高級脂肪酸リン酸エステル、高級脂肪酸リン酸エステルのアミン塩、高級脂肪酸リン酸エステルのアルキレンオキサイドなどを用いることができる。高級脂肪酸リン酸エステルとしては、オクチルリン酸エステル、デシルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステルなどを用いることができる。表面処理剤の含有量は、第二の磁性樹脂組成物の樹脂成分の総質量に対して、好ましくは0質量%以上30質量%以下である。
第二の磁性樹脂組成物は、エラストマーをさらに含有していてもよい。これにより、第二の磁性樹脂組成物の固化物にゴム弾性を付与することができる。エラストマーとしては、例えば、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。エラストマーの含有量は、第二の磁性樹脂組成物の使用用途などによって、適宜調整すればよい。
第二の磁性樹脂組成物は、溶剤をさらに含有していてもよい。溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いることができる。溶剤を1種のみ使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。溶剤を2種以上混合する場合、混合比(質量比及び体積比)は特に限定されない。
複合磁性粉末の含有量は、第二の磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。複合磁性粉末の含有量が、磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上であると、第二の磁性樹脂組成物に占める複合磁性粉末の割合が高くなり、複素透磁率の高い固化物を得ることができる。また、複合磁性粉末の含有量は、第二の磁性樹脂組成物の固形分全体の99.5質量%以下であることが好ましく、99質量%以下であることがより好ましく、98.5質量%以下であることが特に好ましい。複合磁性粉末の含有量が、磁性樹脂組成物の固形分全体の99.5質量%以下であると、成形時における第二の磁性樹脂組成物の流動性を確保することができ、しかも複素透磁率の高い固化物を得ることができる。ここで、磁性樹脂組成物の固形分とは、磁性樹脂組成物から溶剤を除いた分である。
第二の磁性樹脂組成物の調整方法としては、例えば、複合磁性粉末及び熱可塑性樹脂、必要に応じてエラストマーを混練機に投入し、溶融混練する方法などが挙げられる。混練機として、例えば、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリーミキサー、2軸混練押出機などを用いることができる。さらに、得られる第二の磁性樹脂組成物を所望の形状に成形してもよい。第二の磁性樹脂組成物の成形方法としては、押出成形、射出成形などが挙げられる。
後述するように、第二の磁性樹脂組成物は、ペースト状、スラリー状、粉状、シート状のいずれの形態もとり得るので、その後の工程に応じて、適切な形態の第二の磁性樹脂組成物を使用することができる。その後の工程としては、例えば、金型を使用したトランスファー成形の工程や、加熱加圧して埋め込み成形する工程などが挙げられる。
[磁性樹脂ペースト]
本実施形態に係る磁性樹脂ペースト(以下、磁性樹脂ペースト)は、磁性樹脂組成物が、ペースト状である。ペースト状とは、磁性樹脂組成物が室温において流動性を有することをいう。磁性樹脂組成物は、第一の磁性樹脂組成物であってもよく、第二の磁性樹脂組成物であってもよい。すなわち、磁性樹脂ペーストは、第一の磁性樹脂組成物がペースト状であってもよく、第二の磁性樹脂組成物がペースト状であってもよい。
磁性樹脂ペーストにおける磁性粉末の充填率(以下、磁性粉末のコンテント)は、磁性樹脂ペーストの固形分全体に対して、好ましくは20体積%以上99体積%以下、より好ましくは53体積%以上95体積%以下である。磁性粉末のコンテントが上記範囲内であれば、100MHzでの実数部(μ’)を高くすることができるとともに、磁性樹脂ペーストの流動性を、制御しやすくなる。磁性粉末のコンテントの算出方法は、磁性樹脂ペーストの固形分を構成する各材質の配合量と、各材質の比重とから算出した。なお、磁性樹脂ペーストにおいて、磁性樹脂組成物が溶剤を含有する場合、磁性樹脂ペーストの固形分とは、磁性樹脂組成物から溶剤を除いた分である。
磁性樹脂ペーストの調製方法としては、例えば、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の液状型の樹脂を用い、複合磁性粉末と、液状型の樹脂と、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、表面処理剤、エラストマーなどを混合する方法などが挙げられる。また、磁性樹脂ペーストにおいて、磁性樹脂組成物が溶剤を含有する場合には、例えば、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を溶剤に溶解させて樹脂溶液を得、得られる樹脂溶液に、複合磁性粉末と、必要に応じて硬化剤、硬化促進剤、表面処理剤、エラストマーなどを混合することによって磁性樹脂ペーストを得ることができる。
磁性樹脂ペーストは、磁性樹脂組成物が溶剤を含有するペースト状であってもよく、溶剤を含有しないペースト状であってもよい。すなわち、第一の磁性樹脂組成物が溶剤を含有するペースト状であってもよく、溶剤を含有しないペースト状であってもよい。また、第二の磁性樹脂組成物が溶剤を含有するペースト状であってもよく、溶剤を含有しないペースト状であってもよい。
磁性樹脂ペーストは、磁性樹脂組成物が溶剤を含有しないペースト状であることが好ましい。この場合、溶剤を用いないことで、環境に配慮した磁性樹脂ペーストを得ることができる。また、磁性樹脂ペーストが溶剤を含有しないことで、磁性樹脂ペーストを保存する場合や熱する場合にボイドが発生することを防ぐことができる。さらに、磁性樹脂ペーストを用いる際に、磁性樹脂ペーストに含有される溶剤によって磁性樹脂ペーストと共に用いる部材や機器が汚染されるリスクを低下させることができる。また、磁性樹脂ペーストに溶剤を含有させる場合、製造過程において専用の工程や使用装置の防爆対応化が必要となる場合がある。しかし、磁性樹脂ペーストが溶剤を含有しないことで、製造工程を簡素化することができる。
磁性樹脂ペーストにおいて、磁性樹脂組成物が溶剤を含有するペースト状である場合、磁性樹脂組成物に含有される溶剤の含有量は、磁性樹脂組成物の固形分全体の5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いることができる。溶剤を1種のみ使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。溶剤を2種以上混合する場合、混合比(質量比及び体積比)は特に限定されない。
[磁性樹脂粉末]
本実施形態に係る磁性樹脂粉末(以下、磁性樹脂粉末)は、磁性樹脂組成物が、粉状である。磁性樹脂組成物は、第一の磁性樹脂組成物であってもよく、第二の磁性樹脂組成物であってもよい。磁性樹脂組成物が第一の磁性樹脂組成物である場合、磁性樹脂粉末は、第一の磁性樹脂組成物が粉状であってもよく、第一の磁性樹脂組成物の半硬化物の粉状であってもよい。半硬化物とは、樹脂組成物が、さらに硬化しうる程度に途中まで硬化された状態のものである。すなわち、半硬化物とは、Bステージ状態を指し、硬化反応の中間段階の状態をいう。中間段階とは、ワニス状態(Aステージ状態)と完全に硬化した状態(Cステージ状態)との間の段階をいう。例えば、熱硬化性樹脂組成物を加熱すると、粘度が徐々に低下し、その後、硬化が開始し、粘度が徐々に上昇する。この場合、半硬化状態とは、粘度が上昇し始めてから、完全に硬化する前の間の状態である。磁性樹脂粉末を構成する粒子の平均粒径は特に限定されない。
磁性樹脂粉末を調製する方法としては、例えば、後述する磁性樹脂スラリーを用いてアトマイズ法を使用する方法、複合磁性粉末と硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂の粉末とを3本ロールミルなどで混ぜ合わせる方法、後述する磁性樹脂シートを破砕する方法などが挙げられる。磁性樹脂粉末を構成する個々の粒子をほぼ球形とすることができる点で、特にアトマイズ法が好ましい。磁性樹脂粉を構成する個々の粒子がほぼ球形であると、その後の成形加工時の流動性が良好となる。アトマイズ法では、磁性樹脂スラリーを高温(例えば140℃)の環境下で噴霧して霧状の粒にするとともに、急速に乾燥して溶剤を揮発させることによって、磁性樹脂粉を調製する。第一の磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末の含有量が多めであるため、粘度が高くなるおそれがある。しかし、上記のように溶剤を使用して一旦、磁性樹脂スラリーとした後、これを噴霧しながら高温の環境下にさらすと急激に揮発成分である溶剤が放散し、粉状となるので、その後の取扱いが良好となる。
[磁性樹脂スラリー]
本実施形態に係る磁性樹脂スラリー(以下、磁性樹脂スラリー)は、磁性樹脂組成物が、溶剤をさらに含有し、スラリー状である。スラリー状とは、磁性樹脂組成物が溶剤を含有し、室温において流動性を有することをいう。磁性樹脂組成物は、第一の磁性樹脂組成物であってもよく、第二の磁性樹脂組成物であってもよい。すなわち、磁性樹脂スラリーは、第一の磁性樹脂組成物が溶剤を含有するスラリー状であってもよく、第二の磁性樹脂組成物が溶剤を含有するスラリー状であってもよい。
溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)などを用いることができる。溶剤を1種のみ使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。溶剤を2種以上混合する場合、混合比(質量比及び体積比)は特に限定されない。磁性樹脂スラリーにおける溶剤の含有量は、特に限定されない。
磁性樹脂スラリーにおける磁性粉末の充填率(以下、磁性粉末のコンテント)は、磁性樹脂スラリーの固形分全体に対して、好ましくは20体積%以上99体積%以下、より好ましくは53体積%以上95体積%以下である。磁性粉末のコンテントが上記範囲内であれば、100MHzでの実数部(μ’)を高くすることができるとともに、磁性樹脂シートの流動性を、制御しやすくなる。磁性粉末のコンテントの算出方法は、磁性樹脂スラリーの固形分を構成する各材質の配合量と、各材質の比重とから算出した。ここで、磁性樹脂スラリーの固形分とは、磁性樹脂スラリーから溶剤を除いた分である。
磁性樹脂スラリーの調製方法としては、例えば、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を溶剤に溶解させて樹脂溶液を得、得られる樹脂溶液に複合磁性粉末を添加して混練し、必要に応じて最後に硬化剤、硬化促進剤、表面処理剤、エラストマーなどを添加して均一になるように攪拌する方法などが挙げられる。
[磁性樹脂シート]
本実施形態に係る磁性樹脂シート1(以下、磁性樹脂シート1)は、磁性樹脂組成物が、シート状である。磁性樹脂組成物は、第一の磁性樹脂組成物であってもよく、第二の磁性樹脂組成物であってもよい。磁性樹脂組成物が第一の磁性樹脂組成物である場合、磁性樹脂シート1は、第一の磁性樹脂組成物がシート状であってもよく、第一の磁性樹脂組成物の半硬化物のシート状であってもよい。
磁性樹脂シート1のサイズは、磁性樹脂シート1の使用用途に応じて適宜調整すればよい。磁性樹脂シート1の厚みは、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは50μm以上300μm以下である。磁性樹脂シート1の流動性を示すグリニス値は、好ましくは60%以上95%以下、より好ましくは70%以上90%未満である。磁性樹脂シート1のグリニス値が上記範囲内であれば、例えば、主面に配線が形成された配線基板の主面上に磁性樹脂シート1が積層された積層板をラミネートまたはプレスにより成型する際、適度な流動性を有する磁性樹脂シート1は配線を十分に埋め込むことができると共に、磁性樹脂シート1が流動しすぎて、磁性樹脂シート1のはみ出しによってラミネータまたはプレス機が汚損されるなどの問題を避けることができる。グリニス値は、実施例に記載の方法と同様にして測定することができる。
磁性樹脂シート1のボラタイル量は、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。磁性樹脂シート1のボラタイル量が上記範囲内であれば、表面をカバーフィルムで覆った磁性樹脂シート1の冷凍保管または冷蔵保管と、常温戻しとを繰り返した際に、磁性樹脂シート1とカバーフィルムとの間に、磁性樹脂シート1中の溶剤が揮発することに起因する斑点模様が発生することを防止したり、磁性樹脂シート1の流動性が高くなりすぎることを防ぐことができる。ボラタイル量は、実施例に記載の方法と同様にして測定することができる。
磁性樹脂シート1は、シート状であるので大面積を均一な厚みの磁性材料で形成することが容易で、粉状やペースト状では困難なプリント配線板の材料などに有用である。磁性樹脂シート1は半硬化物であるので、例えば、真空引きを行いながら加熱加圧して、プリント配線板の回路などを埋め込み成形する際に使用することができる。
磁性樹脂シート1の製造方法として、例えば、図2A~図2Cに示すように、フィルム2上に磁性樹脂スラリーを塗布して磁性樹脂スラリー層3を形成し、乾燥又は加熱する方法などが挙げられる。フィルム2として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、金属箔などを用いることができる。フィルム2の厚みは特に限定されない。磁性樹脂スラリー層3が塗布されるフィルム2の表面はあらかじめ離型処理が施されていることが好ましい。また、磁性樹脂ペーストをフィルム2上に塗布し、乾燥又は加熱することによって磁性樹脂シート1を作製してもよい。
[金属箔付磁性樹脂シート]
本実施形態に係る金属箔付磁性樹脂シート30(以下、金属箔付磁性樹脂シート30)は、図4に示すように、磁性樹脂シート1と、この磁性樹脂シート1の少なくとも一方の面に積層された、厚みが5μm以下の金属箔8とを備える。図4では、金属箔付磁性樹脂シート30は、磁性樹脂シート1と、この磁性樹脂シート1の片面に積層された金属箔8とからなる2層構成である。金属箔付磁性樹脂シート30は、磁性樹脂シート1と、この磁性樹脂シート1の両面に積層された2つの金属箔8とからなる3層構成であってもよい。金属箔付磁性樹脂シート30は、磁性樹脂シート1と金属箔8との間に他の層を備えていてもよい。
上述のように、磁性樹脂シート1は、第一の磁性樹脂組成物がシート状であってもよく、第一の磁性樹脂組成物の半硬化物のシート状であってもよく、第二磁性樹脂組成物がシート状であってもよい。
金属箔付磁性樹脂シート30の厚みは、好ましくは10μm以上800μm以下である。金属箔の材質としては、例えば、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、ステンレスなどを用いることができる。金属箔の厚みは、0.5μm以上300μm以下であることが好ましい。
金属箔付磁性樹脂シート30の調整方法として、例えば、磁性樹脂シート1の片面又は両面に物理的蒸着法により金属箔8を形成する方法が挙げられる。物理蒸着法としては、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。また、金属箔8上に磁性樹脂スラリー又は磁性樹脂ペーストをバーコータなどを用いて塗布して乾燥又は加熱することによって金属箔付磁性樹脂シート30を作製してもよい。
[磁性プリプレグ]
本実施形態に係る磁性プリプレグ40(以下、磁性プリプレグ40)は、図5に示すように、繊維質基材42と、磁性樹脂組成物41又は磁性樹脂組成物41の半硬化物とを備える。磁性プリプレグ40としては、磁性樹脂組成物41又は磁性樹脂組成物41の半硬化物の中に繊維質基材42が存在するものが挙げられる。すなわち、磁性プリプレグ40は、磁性樹脂組成物41又は磁性樹脂組成物41の半硬化物と、磁性樹脂組成物41又は磁性樹脂組成物41の半硬化物中に存在する繊維質基材42と、を備える。磁性プリプレグ40は、繊維質基材42を備えるので、磁性樹脂シート1よりも曲げ強度などに優れる。
磁性樹脂組成物は、第一の磁性樹脂組成物であってもよく、第二の磁性樹脂組成物であってもよい。すなわち、磁性プリプレグ40は、第一の樹脂組成物を硬化させる前のものと、繊維質基材42とを備えていてもよく、第一の樹脂組成物の半硬化物と、繊維質基材42とを備えていてもよい。また、磁性プリプレグ40は、第二の樹脂組成物と繊維質基材42とを備えていてもよい。
磁性プリプレグの厚みは、好ましくは10μm以上500μm以下である。繊維質基材42としては、例えば、織布(クロス)、不織布、パルプ紙、及びリンター紙などを用いることができる。織布としては、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス及びポリエステルクロスなどの有機繊維クロス、グラファイトクロスなどを用いることができる。不織布としては、例えば、ガラス不織布、アラミド不織布及びポリエステル不織布などの有機繊維不織布、グラファイト製不織布、無機物(例えば酸化マグネシウム)の不織布などを用いることができる。ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた磁性プリプレグ40を得ることができる。特に偏平処理加工したガラスクロスを繊維質基材42として用いることが好ましい。偏平処理加工として、具体的に、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮する方法が挙げられる。繊維質基材42の厚みは特に限定されず、例えば、0.02mm以上0.3mm以下のものを用いることができる。
磁性プリプレグ40を製造する際には、磁性プリプレグ40を形成するための基材である繊維質基材42に含浸するために、磁性樹脂組成物41は、ワニス状に調製されて用いてもよい。すなわち、磁性樹脂組成物41がワニス状に調製された樹脂ワニスを用いてもよい。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製することができる。
まず、磁性樹脂組成物41における、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂を含む、溶媒に溶解可能な各成分を、溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、複合磁性粉末を含む、溶媒に溶解しない成分を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の組成物が調製される。ここで用いられる溶媒としては、磁性樹脂組成物が含有することのできる溶媒として上述されたのと同様の溶媒を用いることができる。
磁性プリプレグ40を製造する際には、磁性樹脂組成物41がワニス状に調製された樹脂ワニスを用いてもよく、上記で説明した、ペースト状の磁性樹脂組成物41である磁性樹脂ペーストや、スラリー状の磁性樹脂組成物41である磁性樹脂スラリーを用いてもよい。
磁性プリプレグ40の製造方法としては、例えば、繊維質基材42に、ワニス状に調製された磁性樹脂組成物41、磁性樹脂組成物41を含有する磁性樹脂ペースト、又は磁性樹脂組成物41を含有する磁性樹脂スラリーを含浸させて、乾燥させる方法などが挙げられる。
磁性樹脂組成物41は、繊維質基材42へ、浸漬及び塗布等によって含浸されうる。必要に応じて浸漬及び塗布等を複数回繰り返して含浸させてもよい。また、組成や濃度の異なる複数の磁性樹脂組成物41又は磁性樹脂組成物41を含有する磁性樹脂ペーストや磁性樹脂スラリーを用いて含浸を繰り返すことにより、最終的に希望とする組成及び含浸量に調整することも可能である。
磁性樹脂組成物41として熱硬化性樹脂を含有する第一の磁性樹脂組成物を用いる場合、第一の磁性樹脂組成物を繊維質基材42へ含浸させた後、所望の加熱条件、例えば、80℃以上180℃以下で1分以上10分以下加熱してもよい。加熱によって、第一の磁性樹脂組成物の半硬化物を備える磁性プリプレグ40を得ることができる。
[インダクタ部品]
本実施形態に係るインダクタ部品(以下、インダクタ部品)は、コイル状配線と、コイル状配線を被覆する絶縁層とを備え、絶縁層が、第一の磁性樹脂組成物の硬化物、又は第二の磁性樹脂組成物の固化物(以下、磁性材料という場合がある)で成形されている。本実施形態では、第一の磁性樹脂組成物の硬化物、又は第二の磁性樹脂組成物の固化物で成形されているので、絶縁層の100MHzでの磁性材料のQ値が高くなりやすく、高周波インダクタ部品として好適に用いることができる。特に、第一の磁性樹脂組成物の硬化物及び第二の磁性樹脂組成物の固化物の100MHzでのQ値が20以上である場合、絶縁層の100MHzでの磁性材料のQ値が20以上となるため、本実施形態のインダクタ部品は、高周波インダクタ部品として特に好適に用いることができる。高周波インダクタ部品の例は、コイル、インダクタ、フィルタ、リアクトル、及びトランスを含む。このようなインダクタ部品の用途としては、例えば、ノイズフィルタの部品、インピーダンスマッチング回路の部品などが挙げられる。ノイズフィルタとしては、ローパスフィルタ、コモンチョークコイルなどが挙げられる。
インダクタ部品の構造は、インダクタ部品の用途に応じて適宜調整すればよく、例えば、巻線型、積層型、フィルム型などが挙げられる。
インダクタ部品のサイズは、インダクタ部品の使用用途に応じて適宜調整すればよく、略立方形状の高周波インダクタ部品として使用する場合には、好ましくは、縦15mm以下×横15mm以下×高さ10mm以下である。
コイル状配線の形状は、インダクタ部品の使用用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、渦巻き状が平面的に形成されてもよいし、渦巻き状が三次元的に形成されていてもよい。渦巻き状が三次元的に形成されている場合、その巻構造は、横巻構造であっても、縦巻構造であってもよい。コイル状配線の始端及び終端は、それぞれ別の外部電極端子に電気的に接続されて使用される。コイル状配線の材質としては、例えば、Ag、Au、Cu、Ag-Pd、Niなどを用いることができる。
絶縁層は、コイル状配線の始端及び終端を除き、コイル状配線を被覆している。絶縁層の原料は、第1の磁性樹脂組成物又は第2の磁性樹脂組成物である。
インダクタ部品の製造方法としては、インダクタ部品の使用用途に応じたインダクタ部品の構成に応じて適宜選択すればよく、例えば、印刷方法、シート工法などによりコイル状配線を三次元的に連続して形成する方法が挙げられる。印刷方法は、磁性樹脂シート又は第2の磁性樹脂組成物のシート状物(以下、まとめてグリーンシートという)と、コイル状配線を構成する導体ペーストとを交互に印刷積層し、インダクタ部品の内部に立体的な巻き線を形成する方法である。シート工法は、グリーンシートにスルーホールを形成し、導体ペーストを印刷充填して積層する方法である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
磁性樹脂スラリーの原料を以下に示す。
[磁性粉末]
(第一の粉末)
・合金鉄粉末1(エプソンアトミックス株式会社製の「AW2-08/PF5KG」、代表組成:Fe-Si-Cr、平均粒径:4μm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:有り)
・合金鉄粉末2(エプソンアトミックス株式会社製の「AW2-08/PF3KG」、代表組成:Fe-Si-Cr、平均粒径:3μm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:有り)
(他の磁性粉末)
・合金粉末(エプソンアトミックス株式会社製の「AW2-08/PF8KG」、代表組成:Fe-Si-Cr、平均粒径:5μm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:有り)
・純鉄粉末(BASFジャパン株式会社製の「CIP FM」、代表組成:Fe、平均粒径:2μm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:無し)
・フェライト粉末1(パウダーテック株式会社製の「E001」、組成:Mn-Mg-Sr系フェライト、平均粒径:50nm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:無し)
・フェライト粉末2(パウダーテック株式会社製の「M001」、組成:Mn系フェライト、平均粒径:50nm、粒子形状:すべて球状、絶縁処理:無し)
[非磁性粉末]
(第二の粉末)
・シリカ粉末1(株式会社トクヤマ製の「SSP-10M」、平均粒径:1μm、粒子形状:すべて球状)
・アルミナ粉末(株式会社アドマテックス製の「AO502」、平均粒径:0.7μm、粒子形状:すべて球状)
・シリカ粉末2(株式会社トクヤマ製の「SSP-01M」、平均粒径:0.1μm、粒子形状:すべて球状)
[熱硬化性樹脂]
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製の「850S」)
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製の「YDF8170」)
・3官能エポキシ樹脂(株式会社プリンテック製の「VG3101」)
・多官能エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製の「NC3000」)
[熱可塑性樹脂]
・フェノキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製の「YP50EK35」)
[添加剤]
(硬化剤)
・ジシアンジアミド(日本カーバイド工業株式会社製の「ジシアンジアミド」)
(硬化促進剤)
・イミダゾール1(四国化成工業株式会社製の「2E4MZ」)
・イミダゾール2(四国化成工業株式会社製の「2MAOK-PW」)
(表面処理剤)
・シランカップリング剤1(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「A1871」)
・シランカップリング剤2(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「A186」)
・分散剤(ビックケミー・ジャパン株式会社BYKJapan KK製の「BYK-W903」)
(溶剤)
・MEK(メチルエチルケトン)
・DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)
グリニス値、ボラタイル量、2.0rpm粘度、チクソ指数、DMA-Tg、表面抵抗値、及び磁性特性の測定方法を以下に示す。
[グリニス値の測定]
グリニス値は、次のようにして求めた。
1)厚み200μmの磁性シートを60mmφの金型で打ち抜き加工し、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がした状態のものを試験板4として準備した。
2)図3に示すように、試験板4の両面に、厚み75μmの離型PETフィルム5、及び厚み1.8mmのSUS板6をこの順で積層して、サンプルセットを得た。
3)サンプルセットを、プレス熱盤温度を135℃に設定した熱盤7により、大気圧下で、実圧2.0Mpa、10分間上下からプレスして成型を行った。
4)成型後の試験板の面積を画像処理により計算して算出した。
5)下記式により2回の測定値を算出して、その平均値をグリニス値とした。なお、成型前の6cmφの試験片面積を28.26cm(30m×30mm×3.14)とした。
グリニス値(%)={1-28.26/成型後の試験片の面積}×100
グリニス値が60以上:成型に必須
グリニス値が70以上90未満:配線埋め込みに好ましい
グリニス値が90以上:成型時に、はみ出し量が多く、好ましくない
[ボラタイル量の測定]
厚み200μmの磁性シートを80mmφの金型で打ち抜き加工し、デシケータ内で30分間静置後に、初期重量を測定した。その後、163℃のオーブンへ15分間投入して、取り出してすぐにデシケータ内で30分以上静置・冷却した。デシケータから取り出し後すぐ重量を測定し、下記計算式によりボラタイル量を算出した。
ボラタイル(%)={シートの減少重量/シートの初期重量}×100
[2.0rpm粘度]
磁性樹脂ペーストの粘度は、TAインスツルメント社製のレオメータ「AR2000ex」を用いて測定した。具体的には、上下の直径25mmパラレルプレート間のギャップを300μmに設定し、ここへ磁性樹脂ペーストを充填した後、室温下で2分間の温度均衡時間をおいて、回転数0.2rpmにて粘度測定を行った。また、同様にして回転数2.0rpmでの粘度測定を行った。
[チクソ指数]
磁性樹脂ペーストのチクソ指数は、上記の[2.0rpm粘度]の測定において測定した0.2rpm粘度及び2.0rpm粘度の値を用いて、下記計算式により算出した。
チクソ指数=0.2rpm粘度/2.0rpm粘度
[DMA-Tgの測定]
磁性樹脂シートのDMA-Tgは、セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて測定した。具体的に、引張モジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から320℃まで昇温した際のtanδが極大を示す温度をDMA-Tgとした。
[表面抵抗値の測定]
表面抵抗値は、規格ASTM D257に則って、ADVANTEST社製の「R8340A」を用いて測定した。具体的には、主電極(25mmφ)及び主電極と同心円の電極(内径38mmφ、外径50mmφ)からなる表面電極と、裏面電極(50mmφ)との間に試験片(50mm×50mm×1mmt)を配置し、下記の設定条件で測定した。
設定条件:印加電圧100V、チャージ時間60秒、ディスチャージ時間0.1秒
[複素透磁率の測定]
磁性樹脂シートを10枚重ね、これを加熱加圧して硬化させ、リング状に切り抜いて評価用リングコア(厚み:1.0mmt、外径:7.0mm、内径:3.2mm)(以下、磁性材料)を得た。加熱加圧条件は、180℃、4.5MPa(50kgf/cm)、1時間であった。得られた100MHzでの磁性材料の複素透磁率は、ヒューレット・パッカード社製の「4291A RFインピーダンス/マテリアル・アナライザ」を用いて測定した。測定条件は、電流の周波数は1MHz以上1.8GHz以下の範囲内、常温であった。測定した初磁化曲線から実数部(μ’)、虚数部(μ”)を得、得られた実数部(μ’)及び虚数部(μ”)から損失係数(Tanδ)及び磁性材料のQ値を算出した。高周波インダクタ部品の設計上、実数部(μ’)は6.0以上であることが好ましい。高周波インダクタ部品として機能するためには、磁性材料のQ値が20以上であることが必須である。さらに、高周波インダクタ部品として良好な性能を発揮には、磁性材料のQ値が33以上であることが好ましい。
[実施例1~6]
実施例1~6では、磁性粉末のコンテントをそれぞれ変えて、高周波インダクタ部品として機能するのに適正な実数部(μ’)を示す磁性粉末のコンテント、すなわち100MHzでの実数部(μ’)が6.0以上を示す磁性粉末のコンテントの検討を行った。
表1に示す配合割合で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3官能エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、MEK及びDMFを混合して、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液に、表1に示す配合割合で、合金鉄2(平均粒径:3μm)及びアルミナ(平均粒径:0.7μm)を添加して混練し、ジシアンジアミド、イミダゾール1、シランカップリング剤1、分散剤を添加して均一になるように撹拌することによって、磁性樹脂スラリーを得た。
離形処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルムの表面に得られた磁性樹脂スラリーを塗布して乾燥させることによって、厚み200μmのBステージ状態の磁性樹脂シートを得た。得られた磁性樹脂シートを用いてグリニス値、ボラタイル量、DMA-Tg、表面抵抗値及び磁性特性を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0007194909000001
表1から明らかなように、磁性粉末のコンテントが高くなるにつれて、実数部(μ’)及び虚数部(μ”)は高くなる一方で、磁性材料のQ値及びグリニス値は低下する傾向にあることがわかった。実施例1~6の中で、実数部(μ’)及びグリニス値のバランスが最もとれているのは、磁性粉末のコンテントが53.0体積%の実施例4であった。
[実施例7,8、比較例1~4]
実施例7,8、比較例1,2では、実施例4の磁性粉末のコンテント(53.0体積%)を維持しながら、第二の粉末に対する第一の粉末の粒径比(以下、単に粒径比)を変えて、高周波インダクタ部品として機能するために必須である磁性材料のQ値を満たす粒径比、すなわち100MHzでの磁性材料のQ値が20以上の粒径比の検討を行った。比較例3及び比較例4では、第一の粉末を含まない。具体的に、表2に示す配合割合で、原料を配合した他は、[実施例1~6]と同様にして、磁性樹脂スラリーを得た。得られた磁性樹脂シートを用いてグリニス値、ボラタイル量、DMA-Tg、表面抵抗値及び磁性特性を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 0007194909000002
表2から明らかなように、実数部(μ’)及びグリニス値は、粒径比が大きくなるにつれて、低下する傾向にあった。虚数部(μ”)は、粒径比が大きくなると低下し、粒径比が4.3(実施例4)を超えるとほぼ一定となる傾向にあった。磁性材料のQ値は、粒径比が大きくなると、高くなり、粒径比が4.3(実施例4)を超えると低下する傾向であった。また、比較例3では、合金鉄粉末を含まないので、磁性材料のQ値は20未満であった。比較例4では、合金鉄粉末の平均粒径が5μm未満でなかったので、磁性材料のQ値は20未満であった。実施例4,7,8、比較例1~4の中で、磁性材料のQ値が最も高く、グリニス値が良好であるのは、粒径比が4.3の実施例4であった。
[実施例9~13、比較例5]
実施例9~13では、実施例4の磁性粉末のコンテント(53.0体積%)及び粒径比(4.3)を維持しながら、非磁性粉末に対する磁性粉末の質量比(以下、質量比)を変えて、高周波インダクタ部品としての良好な性能を発揮する磁性材料のQ値を満たす第一の質量比、すなわち100MHzでの磁性材料のQ値が33以上の質量比の検討を行った。比較例5では、非磁性粉末を含まない。具体的に、表3に示す配合割合で、原料を配合した他は、[実施例1~6]と同様にして、磁性樹脂スラリーを得た。得られた磁性樹脂シートを用いてグリニス値、ボラタイル量、DMA-Tg、表面抵抗値及び磁性特性を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 0007194909000003
表3から明らかなように、質量比が小さくなるにつれて、グリニス値は低下し、磁性材料のQ値は高くなる傾向であった。一方、比較例5は、非磁性粉末を含まないので、磁性材料のQ値は20未満であった。実施例4,9~13、比較例5の中で、磁性材料のQ値が33以上であるのは、質量比が4.0~5.7の範囲内である実施例11~13であった。この実施例11~13の中で、磁性材料のQ値及びグリニス値のバランスが最もとれているのは、質量比が4.7の実施例12であった。
[実施例14,15]
実施例14,15では、粒径比を4.3、質量比を6.0に維持しながら、他の磁性粉末としてフェライト粉末を添加し、フェライト粉末の添加による磁性材料のQ値の変化を調べた。具体的に、表4に示す配合割合で、原料を配合した他は、[実施例1~6]と同様にして、磁性樹脂スラリーを得た。得られた磁性樹脂シートを用いてグリニス値、ボラタイル量、DMA-Tg、表面抵抗値及び磁性特性を測定した。その結果を表4に示す。
Figure 0007194909000004
表4から明らかなように、第一の粉末全体に対するフェライト粉末の混合割合が約6質量%である実施例14,15では実施例11よりも磁性材料のQ値が下がったが、20以上であった。これらの結果から、フェライト粉末を含む磁性材料のQ値は、フェライト粉末を含まない磁性材料よりも低くなることがわかった。さらに磁性樹脂スラリーは、微粒のフェライト粉末の混合割合を少量含んでいても、高周波インダクタ部品として機能するために必須である磁性材料のQ値を満たすことがわかった。
[実施例16]
実施例16では、溶剤を含有させずに、磁性樹脂ペーストを得た。具体的には、表5に示す原料を、表5に示す配合割合で混合し、均一になるよう混練することによって、磁性樹脂ペーストを得た。原料の混合及び混練には、公知の混合機及び混練機を用いた。
Figure 0007194909000005
表5から明らかなように、溶剤を含有させずに作製された実施例16のチクソ指数は3.8であり、Q値は20以上であった。この結果から、磁性樹脂組成物が溶剤を含有しないペースト状の磁性樹脂ペーストであっても、流動性に優れ、かつ高周波インダクタ部品として機能するために必須である磁性材料のQ値を満たすことがわかった。
以上述べた実施形態から明らかなように、本発明に係る第1の態様の複合磁性粉末は、 第一の粉末を含む磁性粉末と、第二の粉末を含む非磁性粉末とを含有する。第一の粉末が、合金鉄粉末からなり、第二の粉末が、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなる。第一の粉末の平均粒径が、5μm未満であり、かつ第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である。
第1の態様によれば、高周波帯での磁性材料のQ値を高くすることができる。
本発明に係る第2の態様の複合磁性粉末では、第1の態様において、磁性粉末の混合割合が、非磁性粉末1質量部に対して、4質量部以上19質量部以下である。
第2の態様によれば、100MHzでの磁性材料のQ値と、処理前の磁性材料の流動性とのバランスをとることができる。
本発明に係る第3の態様の複合磁性粉末では、第1又は第2の態様において、磁性粉末が絶縁処理されている。
第3の態様によれば、磁性材料のQ値をより高くすることができる。
本発明に係る第4の態様の磁性樹脂組成物は、第1乃至第3のいずれか1つの態様の複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有する。
第4の態様によれば、高周波帯での高いQ値を有する磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第5の態様の磁性樹脂組成物では、第4の態様において、複合磁性粉末の含有量が、磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上99.5質量%以下である。
第5の態様によれば、高周波インダクタ用途に好適に用いることのできる磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第6の態様の磁性樹脂組成物では、第4又は第5の態様において、磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上である。
第6の態様によれば、高周波インダクタ用途に好適に用いることのできる磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第7の態様の磁性樹脂ペーストでは、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物が、ペースト状である。
第7の態様によれば、良好な流動性を有する磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第8の態様の磁性樹脂粉末では、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物が、粉状である。
第8の態様によれば、粉状の磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第9の態様の磁性樹脂スラリーでは、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物が、溶剤をさらに含有し、スラリー状である。
第9の態様によれば、良好な流動性を有する磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第10の態様の磁性樹脂シートでは、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物が、シート状である。
第10の態様によれば、均一な厚みを有する磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第11の態様の磁性樹脂シートでは、第10の態様において、厚みが10μm以上500μm以下である。
第11の態様によれば、一定の厚みを有する磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第12の態様の金属箔付磁性樹脂シートは、第10又は第11の態様の磁性樹脂シートと、磁性樹脂シートの少なくとも一方の面に積層された、厚みが5μm以下の金属箔とを備える。
第12の態様によれば、金属箔付きの磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第13の態様の磁性プリプレグは、繊維質基材と、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物又は磁性樹脂組成物の半硬化物と、を備える。
第13の態様によれば、曲げ強度に優れた磁性材料を得ることができる。
本発明に係る第14の態様のインダクタ部品は、コイル状配線と、コイル状配線を被覆する絶縁層とを備え、絶縁層が、第4乃至第6のいずれか1つの態様の磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物で成形されている。
第14の態様によれば、高周波インダクタ部品として好適に用いることができるインダクタ部品を得ることができる。
1 磁性樹脂シート
2 フィルム
3 磁性樹脂スラリー層
8 金属箔
10 大径磁性粒子
11 複数の大径磁性粒子同士が近接して形成された見かけ上ひと塊の大きな粒子
20 小径非磁性粒子
21 小径非磁性粒子からなる層
30 金属箔付磁性樹脂シート
40 磁性プリプレグ
41 磁性樹脂組成物
42 繊維質基材

Claims (11)

  1. 磁性樹脂粉末であって、
    前記磁性樹脂粉末は、粉状である磁性樹脂組成物であり、
    前記磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有し、
    前記複合磁性粉末は、第一の粉末を含む磁性粉末と、第二の粉末を含む非磁性粉末とを含有し、
    前記第一の粉末が、合金鉄粉末からなり、
    前記第二の粉末が、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなり、
    前記第一の粉末の平均粒径が、5μm未満であり、かつ前記第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である
    磁性樹脂粉末。
  2. 前記磁性粉末の混合割合が、前記非磁性粉末1質量部に対して、4質量部以上19質量部以下である
    請求項1に記載の磁性樹脂粉末。
  3. 前記磁性粉末が絶縁処理されている
    請求項1又は2に記載の磁性樹脂粉末。
  4. 前記複合磁性粉末の含有量が、前記磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上99.5質量%以下である
    請求項1~3のいずれか1項に記載の磁性樹脂粉末
  5. 前記磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上である
    請求項1~4のいずれか1項に記載の磁性樹脂粉末
  6. 磁性プリプレグであって、
    前記磁性プリプレグは、繊維質基材と、磁性樹脂組成物又は前記磁性樹脂組成物の半硬化物と、を備え
    前記磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有し、
    前記複合磁性粉末は、第一の粉末を含む磁性粉末と、第二の粉末を含む非磁性粉末と、を含有し、
    前記第一の粉末が、合金鉄粉末からなり、
    前記第二の粉末が、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなり、
    前記第一の粉末の平均粒径が、5μm未満であり、かつ前記第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下である
    磁性プリプレグ。
  7. 前記磁性粉末の混合割合が、前記非磁性粉末1質量部に対して、4質量部以上19質量部以下である
    請求項6に記載の磁性プリプレグ。
  8. 前記磁性粉末が絶縁処理されている
    請求項6又は7に記載の磁性プリプレグ。
  9. 前記複合磁性粉末の含有量が、前記磁性樹脂組成物の固形分全体の70質量%以上99.5質量%以下である
    請求項6~8のいずれか1項に記載の磁性プリプレグ。
  10. 前記磁性樹脂組成物の硬化物又は固化物は、周波数100MHzでのQ値が20以上である
    請求項6~9のいずれか1項に記載の磁性プリプレグ。
  11. 磁性樹脂ペーストであって、
    前記磁性樹脂ペーストは、ペースト状である磁性樹脂組成物であり、
    前記磁性樹脂組成物は、複合磁性粉末と、硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の樹脂と、を含有し、
    前記複合磁性粉末は、第一の粉末を含む磁性粉末と、第二の粉末を含む非磁性粉末と、を含有し、
    前記第一の粉末が、合金鉄粉末からなり、
    前記第二の粉末が、アルミナ粉末及びシリカ粉末の少なくとも1種からなり、
    前記第一の粉末の平均粒径が、5μm未満であり、かつ前記第二の粉末の平均粒径の3倍以上30倍以下であり、
    前記磁性粉末の充填率が、前記磁性樹脂ペーストの固形分全体に対して、49.5体積%以上99体積%以下である
    磁性樹脂ペースト。
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