JP7194428B2 - エキスパンションジョイント用の断熱帯及びエキスパンションジョイント - Google Patents
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Description
また、間隙の両側の躯体端部に、一対の弾性シートを金属製固定金具で留め付けて架け渡し、両弾性シートの間にグラスウールなどの柔軟性断熱材を充填して、間隙内を断熱した構造のものが知られている(例えば特許文献1参照)。
また、一対の弾性シートの間に柔軟性断熱材を充填する構造のものは、熱伝導率の高い固定金具が間隙に面して取り付けられるので、この金具を通して熱橋を生じさせ、断熱欠損を発生させるという問題がある。また、壁の間隙に取り付ける態様では、柔軟性弾性材が自重によって経年的に落下しやすいという問題がある。
そこで、本発明では、前記厚みのグラスウールと同程度の断熱性能を備え、しかも肉厚が10mm程度と薄いシート状に形成された断熱材、例えば真空断熱材などの、断熱機能を有するコア材の表面にフィルムをラミネートしてパッケージ化された断熱材を用い、これを間隙内に没入して間隙に面する両躯体間に架け渡されるように断面略U字形に成形し、その両端部分に合成樹脂製の支持材を取り付け、支持材を介して躯体端部に取り付けて断熱材を間隙内に架設するように構成した。
断熱機能を有するコア材の表面がフィルムで包装されてなる帯状の断熱材であってその短手幅方向に沿って略U字形に湾曲乃至屈曲した形状に形成された断熱材と、
前記断熱材の対向長手側辺部にそれぞれ接続される合成樹脂製の支持材からなり、
前記断熱材の対向長手側辺部にそれぞれ接続された前記支持材が、間隙を挟んで向き合う躯体の端部取り付け面にそれぞれ配置されて両躯体間に前記断熱材が架設されることを特徴とする。
真空断熱材を用いれば、構造物の断熱材として広く使用されているグラスウールの厚みが225mmのものと同等の熱抵抗値を厚み10mmの真空断熱材で得ることができるので、断熱帯全体を薄く形成することができ、例えば100mm程度の幅の狭い間隙にも嵩張らずに施工することが可能である。また、間隙を覆う幅及び長さを有する帯状の真空断熱材を、その短手幅方向に沿って略U字形に湾曲乃至屈曲させて形成し、対向長手辺側であるU字形の両端部を前記支持材で躯体に固定して間隙内に架設することで、間隙が伸縮変形するのにともなう可動追従性を確保することが可能である。
また、真空断熱材は、ある程度の硬さを持った素材であり、しかもコア材が包装フィルム内に封止されているため、間隙内に設置された状態でコア材が落下するようなことはなく、持続して断熱効果が発揮されることになる。
なお、コア材の表面がフィルムで包装されたパッケージ型の帯状の断熱材であって、前記真空断熱材と同等の断熱性能を有し、かつ同等の厚みに形成されるものであれば、真空断熱材に代えて本発明の断熱帯を構成する断熱材に用いることができる。真空断熱材に代えて使用可能な断熱材としては、例えば特開2016-74841号公報に記載のものが相当すると考えられる。真空断熱材又はこれと同等の断熱性能を備えた断熱材を用いることにより、熱貫流率0.35(W/m2・K)の断熱性能を備えた断熱帯を構成することができる。
支持材を形成する合成樹脂材としては、塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。支持材は、塩化ビニル樹脂などを材料にして押出成形により、間隙の長さ方向に沿った長さで長尺に形成されるが、施工性や作業性確保、断熱材の破損リスク軽減のため、軟質又は半硬質に成形されていること、具体的には、一般的な施工環境下-10~+40℃におけるデユロメータを使用してのタイプAの硬度が60~95Aの範囲に設定されて成形してあることが好ましい。
これによれば、断熱材の対向長手側辺に前記支持材の接続部をそれぞれ接続し、略U字形に湾曲乃至屈曲した断熱材が間隙内に没入するように配置し、間隙両側の躯体端部の取り付け面に支持材の取り付け面部を重ね、留めネジなどで固定することにより、間隙に断熱帯を取り付けることができる。
このように形成された支持材を断熱材に取り付けるには、支持材の主面部の隙間部に隙間部に断熱材の辺縁部を挿入し、挿入された断熱材の辺縁部に重なる前記主面部の突片部と下側面部を固着具で留め付けることにより、断熱材の辺縁部に支持材を固定して行うことができる。
この場合、前記断熱材の辺縁部、突片部及び主面部の下側面部を一体に留め付ける固着具は、タッピングネジではその表面に露出する角部が断熱材に接触して傷をつける虞があり、また、取り付け操作に手間がかかることから、リベットを用いて前記各部を締結することが好ましい。
これによれば、金属部材で断熱材の辺縁部を連結した態様では、相対して配置した二つの金具の間に断熱材の辺縁部を挟み込み、挟み込んだ部分を固着具で締結して連結するのが通常であるが、本発明では支持材を押出成形により形成し、断熱材の辺縁部が挿入される隙間部が一体成形により設けてあるので、金属部材の態様のものよりも連結に用いる部材が少なくなり、連結作業も簡易に行え、また、連結部分が破損するリスクも少なく、断熱帯の組み立てに要するコストを抑えることが可能である。
また、断熱帯を間隙に取り付けたときに、前記軟質又は半硬質に成形された支持材の主面部の下側面部に形成された湾曲凹面部が、断熱材の内側表面に柔らかく接して断熱材を躯体の端部内面側へ押圧するが、この押圧された部分とは反対側の断熱材の外側表面が躯体端部内面に押圧されて接していると、断熱材に傷をつける虞がある。よって、前記断熱材が留め付けられた突片部背面から前記湾曲面部で躯体の端部内面側へ押圧される断熱材の端部に亘る部分には、緩衝材としての発泡樹脂片が取り付けられていることが好ましい。発泡樹脂片は、例えばポリエチレンフォームにより成形することができ、その取り付け手段には、例えば両面粘着テープを用いることができる。
これによれば、断熱帯を間隙内に設置したときに、支持材の主面部が断熱材を躯体の端部内面側へ押圧して断熱材を間隙内面に沿って拡張することで、間隙の断熱効果を高めることができる。前記の通り、支持材の主面部の端部に湾曲凹面部が設けてあり、この湾曲凹面部が断熱材の表面に広く接して押圧するので、押圧によって断熱材の表面に傷がつくようなことはない。
前記のとおり、支持材を軟質又は半硬質に成形することで、所望の幅で長さ方向に沿って容易に切断することが可能であり、床や壁、天井、これらのコーナー部の取り合いなどの各部に設置されるエキスパンションジョイントの間隙に対応して設置することが可能である。
このように、支持材が躯体に固定される躯体側部材と、断熱材の端部が接続される間隙側部材からなり、間隙側部材が躯体側部材に間隙長さ方向に沿ってスライド変位し得るように取り付けられていれば、地震が起きて間隙を挟んで相対する躯体同士が間隙長さ方向沿って大きく変位しても、これに追随して支持材の間隙側部材がスライド変位することで、断熱帯を構成する断熱材と支持材が捻じれたり躯体との取り付け部に応力が集中して破損したりすることを防ぎ、当初の設置状態を維持することが可能である。
また、断熱材が間隙の幅よりも十分に長く略U字形に湾曲乃至屈曲して形成されているので、間隙の両側の躯体が相対変位したときは、変位方向に沿って断熱材が変形することで変位を吸収し、当初の設置状態を維持することが可能である。なお、断熱材の支持材が取り付けられた部分は、一面に支持材の湾曲凹面部が広く接し、他面に発泡樹脂片が取り付けてあるので、間隙の両側の躯体が相対変位して断熱材が変位方向に沿って変形しても、前記取り付け部に応力が集中することはなく、傷や破損が発生しにくい。
また、躯体が間隙長さ方向に沿って相対変位した場合、合成樹脂製の支持材が弾性変形することで、或いは略U字形の断熱材のたるみ長さによる撓みよって変位を吸収し、さらに、支持材が躯体側部材と間隙側部材とにより形成され、間隙側部材が躯体側部材に間隙長さ方向に沿ってスライド変位し得るように設けられていれば、躯体同士が間隙長さ方向沿って大きく変位しても、これに追随して支持材の間隙側部材がスライド変位することで躯体の変位を吸収し、設置状態を維持する。
本形態では、短手幅の長さが前記間隙Gの幅よりも十分に大きな長尺な真空断熱材を、図2に示されるように、その短手幅方向に沿って略U字形に湾曲させて形成したものを断熱材2として用いている。
また、前記主面部61、取り付け面部62及び突片部64の表面には、留めネジなどの固着具を螺合し又は打ち込む位置を示した凹筋68が形成してある。
このとき、支持材6の主面部61が間隙G内に、取り付け面部62が躯体A,Bの取り付け面に配置されることにより、図7に示されるように、主面部61と、これに鋭角に屈曲していた取り付け面部62の交差角度が広がるため、取り付け面部62が固定された状態で、主面部61には躯体A,Bの端部内面側へ押圧する弾性力が作用し、その背面側に取り付けられた断熱材5の表面は湾曲凹面部66で押圧されて、断熱材5は間隙G内面に沿って拡張される。これにより、間隙G内は断熱材5ですっぽりと覆われて断熱効果を高めることができる。なお、断熱材5の前記湾曲凹面部66で押圧された面と反対側の面、つまり間隙G内面側の面には発泡樹脂材8が設置してあり、これが間隙G内面との間で緩衝材として機能するため、押圧により断熱材5の表面に傷がつくようなことはない。
また、図10に示されるように、断面U字形状に形成された断熱材5を用いてもよい。
このエキスパンションジョイント1は、前記図1に示されたものと同様に、建物に配された間隙Gを覆うように躯体A,Bの躯体面Wa,Wb間にカバー材2を架け渡すとともに間隙G内に断熱帯4を設置したものであるが、断熱帯4をその断熱材5の一方の端部に前述の支持材6、他方の端部に躯体側部材6A1とこの躯体側部材6A1にスライド自在に接続する間隙側部材6A2からなる支持材6Aを取り付けて設置した構成のものである。
取り付け面部6A12を基部6A11に対して鋭角に屈曲させて設けてあり、躯体Aの端部に躯体側部材6A1を取り付けるときに、自身の弾性により、基部6A11と取付け面部6A12の交差角度を広げた状態で取り付けられる点は、前記支持材6と同様である(図14参照)。また、下折れ面部6A14も基部6A11の前方へ突出した端部から下方へ鋭角に屈曲させて設けてあり、間隙側部材6A2を接続するときに、下折れ面部6A14の端部を広げることで後述する間隙側部材6A2の係合部6A22を係合部6A13に係合させることが可能となり、係合させた状態で間隙側部材6A2の主面部6A21の下部表面に下折れ面部6A14が弾圧接するようになっている(図14参照)。
Claims (9)
- エキスパンションジョイントが設置される構造物の躯体間隙に取り付けられる断熱帯において、
断熱機能を有するコア材の表面がフィルムで包装されてなる帯状の断熱材であってその短手幅方向に沿って略U字形に湾曲乃至屈曲した形状に形成された断熱材と、
前記断熱材の対向長手側辺部にそれぞれ接続される合成樹脂製の支持材からなり、
前記断熱材の対向長手側辺部にそれぞれ接続された前記支持材が、間隙を挟んで向き合う躯体の端部取り付け面にそれぞれ配置されて両躯体間に前記断熱材が架設されることを特徴とするエキスパンションジョイント用の断熱帯。 - 間隙を挟んで向き合う躯体にそれぞれ取り付けられた支持材の少なくとも一方は、断熱材の長手側辺部に接続する接続部が背面側に設けられた主面部と、主面部の上端から前記背面側へ屈曲していて躯体端部の取り付け面に重なって取り付けられる取り付け面部を備えて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 主面部は、その面内に当該主面部の下側面部をその上側面部よりも前方に張り出させた段部が設けられ、この段部の下側から下方へ突出した突片部が設けられ、この突片部と前記下側面部との間に断熱材の長手側辺の辺縁部が挿入される隙間部が設けられているとともに、前記下側面部の端部に背面側へ膨らんだ湾曲凹面部が設けられて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 主面部の隙間部に断熱材の辺縁部が挿入され、この辺縁部に重なる前記主面部の突片部と下側面部が固着具で留め付けられて断熱材の辺縁部が固定されるとともに、前記断熱材が留め付けられた突片部背面から断熱材の端部に亘る部分に発泡樹脂片が取り付けられた構成を有することを特徴とする請求項3に記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 支持材はその取り付け面部の主面部に対する屈曲角度を鋭角に設けて形成されており、躯体の端部取り付け面に前記取り付け面部を固定したときに、間隙内に配置された前記主面部と前記取り付け面に固定された前記取り付け面部の交差角度が広がることにより、前記主面部がその背面側に接続された断熱材を間隙内面側へ押圧するように設けられていることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 間隙を挟んで向き合う躯体にそれぞれ取り付けられた支持材の少なくとも一方は、断熱材の長手側辺部に接続する接続部が背面側に設けられた主面部を含んで形成された間隙側部材と、躯体端部の取り付け面に重なって取り付けられる取り付け面部を含んで形成された躯体側部材からなり、
前記間隙側部材が、躯体間隙長さ方向に沿って変位し得るように躯体側部材に取り付けられた構成を有することを特徴とする請求項1から4の何れか記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。 - 支持材が熱可塑性樹脂を用いて軟質又は半硬質に成形されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 断熱材は真空断熱材であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のエキスパンションジョイント用の断熱帯。
- 請求項1から8の何れかに記載の断熱帯が、間隙を挟んで対向する躯体間に架設された構成を有するエキスパンションジョイント。
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