JP7194083B2 - 電子機器及び電流検出器 - Google Patents
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Description
第1に本発明は電子部品を提供する。本発明の電子部品は、複数の構成部品を内部に収容する筐体に加えて、位置決め手段及び経路規制手段の構成を備える。このうち「位置決め手段」は、複数ある構成部品の筐体内での収容状態において、ある特定の構成部品を他の構成部品との干渉が生じない位置関係が保持される規定位置に位置決めする。これにより、筐体内への収容状態において、複数の構成部品が正しい位置関係となり、干渉による損傷等を抑えることができる。ただし、これは収容状態でのことであり、ある意味で必然の構成であるといえる。本発明が解決すべき課題は、筐体への収容に際しての容易性や部品損傷の防止である。
第2に本発明は、電流検出器を提供する。本発明の電流検出器は、複数の構成部品を内部に収容するケース体を備え、また、複数の構成部品として磁性体コア、回路基板等を備える。磁性体コアは、環状をなす磁路の途中にギャップが形成されており、回路基板には、実装状態でギャップ内に配置される磁気検出素子を含む回路が形成されている。
図2及び図3に示されているように、電流センサ100は主にケース体102、磁性体コア104、ギャップ間スペーサ106、位置決めスペーサ108及び回路基板110を備えており、ケース体102に磁性体コア104、ギャップ間スペーサ106、位置決めスペーサ108及び回路基板110を収容した状態で、図1に示されるような一使用形態となる。図1~3は、この使用形態を想定した姿勢で電流センサ100を示しており、この使用形態では、被検出電流を導通する図示しない導体(バスバー等)が横方向(水平方向)に挿通されることを想定している。なお、電流センサ100はその他の姿勢(例えば平置き姿勢、小端立て姿勢、倒立姿勢等)で使用される形態であってもよい。
ケース体102は、一端面が開放し、他端面が閉塞された矩形の容器状をなしている。また、ケース体102は、その中央に矩形状の貫通孔102aが形成されており、このためケース体102の容器形状は、全体として矩形の環状をなしている。貫通孔102aは、組み立て状態で電流センサ100の中央を厚み方向に貫通しており、上記の図示しない導体は、図1に示す電流センサ100の立姿勢において、貫通孔102a内を横方向(水平方向)に挿通されることになる。このためケース体102には、電流センサ100を立姿勢で設置するためのフランジ(参照符号なし)が一体に形成されている。なお、ケース体102の内部構造(図中に符号を付した多数のリブ類)については後述する。
磁性体コア104は、全体として矩形の環状をなしている。この磁性体コア104は、一対をなすコア部材104a,104bから構成されている。一対のコア部材104a,104bは、個々に横向きのU字形状(いわゆるU-U型)をなしており、互いにU字の両先端面を対向させた状態で環状に配置され、1つの磁性体コア104を構成する。このとき、一対のコア部材104a,104bの端面間(2箇所)にはギャップ104cが形成される。コア部材104a,104bには軟磁性材料(例えばフェライト、珪素鋼等)が用いられており、図示しない導体に被検出電流が導通すると、その周囲に発生した磁界が磁性体コア104に収束される。このとき磁性体コア104は、その周方向に磁界の収束経路(磁気回路、磁気経路、磁束経路)を形成する。
ギャップ間スペーサ106は、例えば樹脂製の薄板材料からなる。ギャップ間スペーサ106は、磁性体コア104のギャップ104c間にそれぞれ介挿して配置されるものとなっている。ギャップ間スペーサ106は、一対のコア部材104a,104bの端面間に挟み込まれた状態で、ギャップ104cを規定の間隔に保持する。具体的には、ギャップ間スペーサ106は、その厚みに相当する寸法を規定寸法としてギャップ104cの間隔を保持することができる。
位置決めスペーサ108は、ケース体102の一端面開口や磁性体コア104の一側面に合わせた環形状(孔空き矩形状)をなしている。また、位置決めスペーサ108は、環形状をなす板状部分(参照符号なし)に一対の開口108aが形成されている他、板状部分の周縁(四隅)に脚部108b及び掛止爪108cが4本ずつ形成されるとともに、対向する両側縁にばね部108dが形成されている。これら脚部108bや掛止爪108c、ばね部108dは板状部分からケース体102の内部に向けて延びており、電流センサ100の組み立て状態では、脚部108b、掛止爪108c及びばね部108dは磁性体コア104の外周面とケース体102内面との間に配置される。このため位置決めスペーサ108は、ケース体102の一端面開口側から磁性体コア104の一側面及び外周面に被さるようにしてケース体102に収容されるものとなっている。この収容状態で、位置決めスペーサ108は磁性体コア104を所定位置に位置決めする。なお、位置決めスペーサ108による位置決めについてはさらに後述する。
回路基板110もまた、ケース体102の一端面開口や磁性体コア104の一側面に合わせた形状をなしているが、環状にはつながっておらず、孔空き矩形状を半割にしたようなコ字形状の実装面を有している。一方の実装面には磁気検出素子として2つのホール素子112がスルーホール実装されており、また、他方の実装面にはコネクタ114がスルーホール実装されている。電流センサ100の組み立て状態では、回路基板110は位置決めスペーサ108の一側面に宛がうようにしてケース体102に収容される。この収容状態で、2つのホール素子112は位置決めスペーサ108の開口108aを通じて磁性体コア104のギャップ104c内に配置されるものとなっている。回路基板110には、ホール素子112の磁気検出信号を用いて被検出電流を検出するための回路が形成されている。このため、回路基板110の各実装面には図示しない各種の電子部品(チップ部品、IC等)が実装されており、また、各実装面及び内層には、各種の配線パターンやビアホールが形成されている。なお、回路基板110は環状に形成されていてもよい。
次に、ケース体102の内部構造について説明する。
図4は、ケース体102の内部構造を示した斜視図である。視認の便宜のため、図4中(A)と(B)とでケース体102を斜視する方向を異ならせている。なお、以下の説明では便宜上、電流センサ100の使用形態(図1の立姿勢)におけるケース体102の一端面開口側からみた矩形の長寸方向を長手方向(横方向)、短寸方向を短手方向(縦方向)とする。
図5は、ギャップ間スペーサ106のケース体102内での配置を示した斜視図である。ここでも同様に、視認の便宜のため図5中(A)と(B)とでケース体102等を斜視する方向を異ならせている(これ以降も同様。)。
図6は、磁性体コア104(コア部材104a,104b)のケース体102内での配置を示した斜視図である。
この状態で、コア部材104a,104bの端面間(2箇所)にギャップ104cが形成されているが、ギャップ104c内にはギャップ間スペーサ106が挟み込まれているものの、ギャップ間隔DGが規定通りの寸法であることの確証はない。すなわち、各コア部材104a,104bの外面とケース体102内面やリブ類との間には、長手方向及び短手方向のいずれにも、各コア部材104a,104bがある程度の位置ずれを生じるだけの余裕(隙間)が存在しているからである。
一方、図7に示される状態では既に、2つのコア部材104a,104bは、2箇所ある端面同士を正しく対向させた状態に位置決めされている。このような位置決めは、コア部材104a,104bを短手方向に位置決めすることによってなされており、その位置決めは、案内リブ102dによって実現されている。
図8は、図7中のVIII-VIII線に沿うケース体102及び磁性体コア104の断面図である。図8中(A)が断面全体を示し、図8中(B)はその一部(一点鎖線の囲み部)を拡大して示している。
次に、長手方向の位置決めについて説明する。長手方向の位置決めは、上記の位置決めスペーサ108によって実現される。
上記のように位置決めスペーサ108は、コア部材104a,104bの一側面側から被さるようにしてケース体102内に収容されている。この状態で、位置決めスペーサ108はコア部材104a,104bのケース体102内からの脱落を防止するとともに、長手方向の位置決めをなしている。また、位置決めスペーサ108の2箇所の開口108aは、それぞれ対応するギャップ104cに通じる位置にある。
上記のように位置決めスペーサ108は、脚部108b、掛止爪108c及びばね部108dを有している。このうち脚部108bは、全体として薄板状をなしており、挿入方向で厚みや幅は略一定である。掛止爪108cは、先端部分に「返し」が形成されたボス状をなしている。ばね部108dは、長手方向で対をなす板ばね形状(クリップ形状)をなしており、これら一対のばね部108dは、間に2つのコア部材104a,104bを挟み込んで対向方向に付勢することができる。
図12は、図10中のXII-XII線に沿うケース体102及び位置決めスペーサ108(脚部108b)の断面図である。
位置決めスペーサ108の挿入過程において、最初に脚部108bの先端部分がケース体102の内面に沿って差し込まれ、四隅で位置決めスペーサ108の挿入を案内する。これにより、電流センサ100の組み立て過程においてケース体102の一端面開口に対する位置決めスペーサ108の挿入開始位置を容易に得ることができる。なお、挿入初期に脚部108bの先端部分が差し込まれた段階で、他の掛止爪108c及びばね部108dはケース体102やコア部材104a,104bと接触することはない。また、脚部108bはケース体102の内面に接するが、挿入の完了後もコア部材104a,104bとは接触しない。
図13は、図10中のXIII-XIII線に沿うケース体102、磁性体コア104及び位置決めスペーサ108(掛止爪108c)の断面図である。図13中(A)が挿入初期の状態を示し、図13中(B)が挿入完了時の状態を示している。
図13中(B):ケース体102の内面には、掛止爪108cが配置される位置に対応して出っ張り状の掛止部102hが形成されており、掛止爪108cは、掛止部102hとともに挿入過程の終盤において機能する。すなわち、挿入過程の終盤において、掛止爪108cの先端部分(返し部分)が掛止部102hに接することでコア部材104a,104b側に撓む(弾性変形する)。このとき、挿入過程の初期段階で位置決めスペーサ108の挿入開始位置が決定しているため、掛止爪108cが受ける曲げ荷重及び撓み量の安定した管理が可能となる。
図14は、図10中のXIV-XIV線に沿うケース体102、磁性体コア104及び位置決めスペーサ108(ばね部108d)の断面図である。ここでは、図14中(A)→(B)→(C)の順番に挿入過程が進行している。
図15は、位置決めスペーサ108によるコア部材104a,104bの位置決めを解説した図である。なお、図15は図14に示す断面を長手方向に延長したものに相当する。
ここで、ばね部108d同士のピッチW1は、上記のようにばね部108dの反り返り部分間の最短距離である。また、磁性体コア104の全幅W2は、各コア部材104a,104bの長手方向寸法LCを2倍したものに、ギャップ104cの正規間隔DGを加えた長さである。なお、ピッチW1及び全幅W2はある程度の公差があってもよい。
図16は、回路基板110のケース体102内での配置を示した斜視図である。
上記のように回路基板110は、実装面がコ字形状をなす外形をなしており、電流センサ100の組み立て状態では、位置決めスペーサ108の外面に宛がうようにしてケース体102内に配置されている。また、ホール素子112(図16、図17には示されていない)については、その感磁部分(感磁面)が位置決めスペーサ108の開口108aを通じてギャップ104c内に配置されている。
図17は、回路基板110を含む電流センサ100の正面図である。回路基板110の位置決めには、ケース体102のギャップ位置リブ102b及び補助リブ102fが用いられている。このため回路基板110には、外縁部の2箇所に切欠部110aが形成されている他、1箇所に切欠部110cが形成されており、各切欠部110aの位置は、回路基板110の配置状態においてギャップ位置リブ102bの位置に対応しており、切欠部110cの位置は、補助リブ102fの位置に対応している。なお、この他にも回路基板110の外縁部には、切欠部110bが形成されている。
回路基板110は、図17に示す第1配置とは異なる第2配置に変更することができる。具体的には、回路基板110を第1配置から貫通孔102aの周方向に180°回転させると第2配置となる(図示していない)。第1配置では、コネクタ114が図17に示す正面視で右下隅に位置しているが、第2配置では、コネクタ114が左上隅に位置することになる。これにより、実際の電流センサ100の使用環境に応じてコネクタ114への接続(配線取り回し)に便宜となる位置を選択することが可能になる。
図18は、電流センサ100の組み立て過程における回路基板110を取り付け途中の状態で示した図(図17中XVIII-XVIII線に沿う断面図)である。
なお、図示していないが、図18に示す状態から回路基板110を正しくケース体102に収容するとすれば、作業者や作業機械は回路基板110を正規の取り付け位置と正対する状態に修正する必要がある。その上で、ホール素子112が位置決めスペーサ108やコア部材104a,104bの外面と干渉しない経路を通じてのみ、回路基板110をケース体102内に収容することが許容されることになる。
図19は、図18とは異なる方向から電流センサ100の組み立て過程における回路基板110を取り付け途中の状態で示した図(図17中XIX-XIX線に沿う断面図)である。
図19中(A):例えば、回路基板110が正規の取り付け位置に正対しておらず、ケース体102の長手方向(図中矢印A2方向)に位置がずれたまま回路基板110をケース体102に収容しようとしても、やはり回路基板110(実装面)がケース体102の一端開口縁に接触してその収容が阻まれる。また同様に、回路基板110がケース体102の開口縁に接触したとしても、やはりホール素子112の実装高さHTに比較して、ケース体102の開口縁から位置決めスペーサ108の外面までの深さDPが大きく設定されているため、ホール素子112が他の構成部品と干渉することはない。
図19中(B):その後、作業者や作業機械が回路基板110を正規の取り付け位置と正対させると、その状態から取り付け位置に向かう正規の経路を通じてのみ、回路基板110をケース体102に収容することが許容される。このような正規経路を通じてのみ、回路基板110の収容(取り付け作業)を許容することにより、ホール素子112が位置決めスペーサ108やコア部材104a,104bの外面と干渉してダメージを受けることを確実に防止することができる。
(1)複数のコア部材104a,104bで磁性体コア104を構成している場合、構造上、各コア部材104a,104bの位置精度のばらつきによってギャップ104cの間隔を要求値に近づけることが困難になるが、本実施形態では、位置決めスペーサ108のばね部108dによって2つのコア部材104a,104bを互いの対向方向に付勢して位置決めするので、端面間に挟み込んだギャップ間スペーサ106によってギャップ間隔を要求値に近づけたまま維持することができる。
102 ケース体(経路規制手段)
102b ギャップ位置リブ(位置決め手段)
104 磁性体コア
110 回路基板(経路規制手段)
110a 切欠部(位置決め手段)
112 ホール素子
Claims (2)
- 複数の構成部品を内部に収容する筐体と、
前記筐体内での収容状態で、特定の構成部品を他の構成部品との干渉が生じない位置関係が保持される規定位置に位置決めする位置決め手段と、
前記特定の構成部品を前記他の構成部品との干渉を生じない正規経路を通じてのみ、外部から前記筐体内の前記規定位置への収容を許容する経路規制手段とを備え、
前記位置決め手段は、
前記筐体又は前記特定の構成部品を保持する構成部品としての保持部品のうちいずれか一方に形成された所定方向に延びる突条のリブと、
前記筐体又は前記保持部品のうちいずれか他方に形成され、前記収容状態で前記リブを嵌め合わせて前記保持部品の前記所定方向以外への移動を規制することにより、前記特定の構成部品を前記他の構成部品との干渉が生じない前記規定位置に位置決めする切欠部とを有し、
前記経路規制手段は、
前記位置決め手段により前記特定の構成部品が前記規定位置に位置決めされた状態で前記保持部品の外縁を受け入れ可能な大きさの開口を前記筐体が有し、前記特定の構成部品が前記規定位置と前記所定方向に正対していない状態では、前記保持部品の外縁の一部が前記筐体の開口面から外にはみ出すことで前記筐体の開口縁が前記保持部品に接触して前記特定の構成部品が前記他の構成部品と干渉しない間隔を保持する一方、前記特定の構成部品が前記規定位置と前記所定方向に正対する状態では、前記保持部品の外縁全体が前記筐体の開口面内に位置することで前記保持部品に接触することなく前記筐体内への収容を許容する構造を有する
ことを特徴とする電子機器。 - 複数の構成部品を内部に収容するケース体と、
前記構成部品として前記ケース体内に収容され、被検出電流の導通により発生する磁界を収束させる環状の磁路の途中にギャップが形成された磁性体コアと、
前記磁性体コアとともに前記構成部品として前記ケース体内に収容され、前記ギャップ内に配置される磁気検出素子からの出力信号を用いて被検出電流を検出する回路が形成された回路基板と、
前記ケース体内での収容状態で、前記磁気検出素子と前記磁性体コアとの間に干渉が生じない位置関係が保持される規定位置に前記回路基板を位置決めして配置させる位置決め手段と、
前記磁気検出素子と前記磁性体コアとの干渉を生じない正規経路を通じてのみ、外部から前記ケース体内への前記回路基板の収容を許容する経路規制手段とを備え、
前記位置決め手段は、
前記ケース体又は前記磁気検出素子を保持した前記回路基板のうちいずれか一方に形成された所定方向に延びる突条のリブと、
前記ケース体又は前記回路基板のうちいずれか他方に形成され、前記収容状態で前記リブを嵌め合わせて前記回路基板の前記所定方向以外への移動を規制することにより、前記磁気検出素子を前記磁性体コアとの干渉が生じない前記規定位置に位置決めする切欠部とを有し、
前記経路規制手段は、
前記位置決め手段により前記磁気検出素子が前記規定位置に位置決めされた状態で前記回路基板の外縁を受け入れ可能な大きさの開口を前記ケース体が有し、前記磁気検出素子が前記規定位置と前記所定方向に正対していない状態では、前記回路基板の外縁の一部が前記ケース体の開口面から外にはみ出すことで前記ケース体の開口縁が前記回路基板に接触して前記磁気検出素子が前記磁性体コアと干渉しない間隔を保持する一方、前記磁気検出素子が前記規定位置と前記所定方向に正対する状態では、前記回路基板の外縁全体が前記ケース体の開口面内に位置することで前記回路基板に接触することなく前記ケース体内への収容を許容する構造を有する
ことを特徴とする電流検出器。
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