JP7192462B2 - フタロシアニン顔料、着色組成物およびカラーフィルタ - Google Patents
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Description
本明細書中、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表す。また、本明細書中、「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明のフタロシアニン顔料は、一般式(1)で表され、着色組成物に用いられる着色剤、特に緑色着色剤として好適に用いることができる。
Xは、ハロゲン原子を表し、n(Xで表されるハロゲン原子の置換数の平均値)が、15.1~16.0であり、ハロゲン分布幅が3以上である。Xnはn個の同一または異なる基Xを意味する。
Yは、-OP(=O)R101R102、-OC(=O)R103、-OS(=O)2R104または水酸基を表す。R101およびR102は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。R104は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。]
また、ハロゲン分布幅は、3以上の場合、フタロシアニン分子同士の会合や凝集が著しく抑制される傾向がある。そのため、ハロゲン分布幅が上記範囲内である場合、分子同士の会合や凝集に起因するコントラスト低下の抑制に大きく寄与し、所望とする各種特性を得ることが容易となる。
ここで「ハロゲン分布幅」とは、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を質量分析して得られたマススペクトラムにおいて、ハロゲン置換個数に応じた各成分のアルミフタロシアニンの分子量に相当する分子イオンピークの信号強度(各ピーク値)と、各ピーク値を積算した値(全ピーク値)とを算出し、全ピーク値に対する各ピーク値の割合が1%以上のピークの数をカウントし、ハロゲン分布幅とした。また、使用するハロゲン原子の種類は、上記の置換数の平均数および分布幅の範囲内であれば、2種以上併用してもよい。この場合、特に、臭素および塩素を併用することが、好ましい。
置換基を有するアルキル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基等のアルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアルキル基としては、例えば、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、2,2-ジブロモエチル基、2-エトキシエチル基、2-ブトキシエチル基、2-ニトロプロピル基、べンジル基、4-メチルべンジル基、4-tert-ブチルべンジル基、4-メトキシべンジル基、4-ニトロべンジル基、2,4-ジクロロべンジル基等が挙げられる。
置換基を有するアリール基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアリール基としては、例えば、p-ブロモフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-メトキシフェニル基、2,4-ジクロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2-ジメチルアミノフェニル基、2-メチル-4-クロロフェニル基、4-メトキシ-1-ナフチル基、6-メチル-2-ナフチル基、4,5,8-トリクロロ-2-ナフチル基、アントラキノニル基等が挙げられる。
置換基を有するアルコキシル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルコキシル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ニトロ基が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアルコキシル基としては、例えば、トリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2,2,2-トリフルオロエトキシ基、2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ基、2,2-ジトリフルオロメチルプロポキシ基、2-エトキシエトキシ基、2-ブトキシエトキシ基、2-ニトロプロポキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
置換基を有するアリールオキシ基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。したがって、置換基を有するアリールオキシ基としては、例えば、p-ニトロフェノキシ基、p-メトキシフェノキシ基、2,4-ジクロロフェノキシ基、ペンタフルオロフェノキシ基、2-メチル-4-クロロフェノキシ基等が挙げられる。
置換基を有するシクロアルキル基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有するシクロアルキル基としては、例えば、2,5-ジクロロシクロペンチル基、4-ヒドロキシシクロヘキシル基等がある。
置換基を有する複素環基の置換基としては、塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。また、置換基は、複数あっても良い。置換基を有する複素環基としては、3-メチルピリジル基、N-メチルピペリジル基、N-メチルピロリル基等が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料において、Yが水酸基である化合物は、下記化学式(3)で表されるフタロシアニン化合物をハロゲン化した後、加水分解することで得られる(一般式(4))。一方、Yが水酸基以外の置換基である化合物は、一般式(4)で表されるフタロシアニン顔料を出発原料とする。一般式(4)で表されるフタロシアニン顔料と、Z1P(=O)R101R102、Z2C(=O)R103またはZ3S(=O)2R104で表される酸性化合物とを反応させることで、所望とする置換基を有するフタロシアニン顔料を得ることができる。上記酸性化合物におけるZ1~Z3はハロゲン原子または水酸基を表し、R101~R104は、一般式(1)におけるR101~R104とそれぞれ同義である。
塩素化剤としては、塩素(Cl2)、N-クロロスクシンイミド、スルフリルクロライド、トリクロロイソシアヌル酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、2,3,4,5,6,6-ヘキサクロロ-2,4-シクロヘキサジエノン、2,3,4,4,5,6-ヘキサクロロ-2,5-シクロヘキサジエノン、N-クロロトリエチルアンモニウムクロライド、ベンゼンセレネニルクロライドなどが挙げられる。
臭素化剤としては、臭素(Br2)、N-ブロモスクシンイミド、硫酸銀-臭素、テトラメチルアンモニウムトリブロマイド、トリフルオロアセチルハイポブロマイト、ジブロモイソシアヌル酸、2,4,4,6-テトラブロモシクロヘキサ-2,5-ジエンオン、臭化水素-ジメチルスルホキシド、N-ブロモスクシンイミド-ジメチルホルムアミド、2,4-ジアミノー1,3-チアゾールハイドロトリブロマイド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインなどが挙げられる。
ヨウ素化剤としては、ヨウ素(I2)、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、トリフルオロアセチルハイポヨーダイト、ヨウ素-過ヨウ素酸、エチレンヨードクロライド、N-ヨードスクシンイミドなどが挙げられる。
また、一般式(4)で表されるフタロシアニンと上記酸性化合物との反応は、例えば、有機溶媒中で混合撹拌することで進行させることができる。次いで、上記有機溶剤を除去することによって、所望とするフタロシアニン顔料を得ることができる。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノールに代表される一価のアルコール系溶媒、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶媒、
1-メチル-2-ピロリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、2-ピロリジノン、ε-カプロラクタム、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のようなアミド系溶媒、
その他、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級モノアルキルエーテル系溶媒、
エチレングリコールジメチルエーテル(モノグライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、もしくはトリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)等のポリエーテル系溶媒、
スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3-スルホレン等の含イオウ系溶媒、
ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒、
酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、
メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等。
一実施形態において、リン酸ジフェニルの溶解が良好であることから、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価のアルコール系溶媒や、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒を用いることが好ましい。これらの有機溶媒は、単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
<フタロシアニン顔料の微細化>
微細化の方法としては、アシッドペースティング法、ソルベントソルトミリング法等といった一般的な着色剤や顔料の微細化に用いられる業界公知の方法が挙げられる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができる。価格の点から、塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、フタロシアニン顔料の全重量を基準(100重量%)として、50~2000重量%用いることが好ましく、300~1000重量%用いることが最も好ましい。
本発明の着色組成物は、着色剤、バインダー樹脂および有機溶剤を含有し、着色剤が、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする。一実施形態において、着色組成物は、着色剤として使用する一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料に由来する緑色の色味を有する。本発明の着色組成物は、色度調整等のために、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料による効果を損なわない範囲で、着色剤として、追加の色素を含んでもよい。
(緑色色素)
本発明の一実施形態において、着色組成物は、さらに色度調整するために、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料以外の緑色色素を含有してもよい。緑色色素としては、特に制限はないが、一般的には、緑色顔料又は緑色染料が挙げられる。
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメント グリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、37、45、48、50、51、54、55、58、62、63、特開2008-19383号公報、特開2007-320986号公報、特開2004-70342号公報等に記載の亜鉛フタロシアニン顔料、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料などを挙げることができるが、特にこれらに限定されない。これらの中でも、高コントラスト比、高明度を得る観点から、好ましくはC.I.ピグメント グリーン7、36、58、62、63である。
本発明の着色組成物は、さらに色度調整するために、本発明の効果を損なわない範囲で黄色色素を含有してもよい。黄色色素としては、特に制限はないが、一般的には、黄色顔料又は黄色染料が挙げられる。
[一般式(5)中、R1~R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基または置換基を有しても良いアリール基を表す。ただし、R1~R4のうち少なくとも1つの隣接した一組の基、及び/又は、R10~R13のうち少なくとも1つの隣接した一組の基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。]
本発明の着色組成物に用いられる着色剤は、高い明度および高いコントラストを得るため、必要に応じてソルトミリング処理等により、着色剤粒子の微細化を施すことにより、カラーフィルタ用着色剤として好適に使用することができる。着色剤の体積平均一次粒子径は、着色剤担体中への分散性を高めるために、10nm以上であることが好ましい。また、コントラストが高いフィルタセグメントを得るためには、80nm以下であることが好ましい。一実施形態において、より好ましくは20~60nmの範囲であり、さらに好ましくは30~50nmの範囲である。
バインダー樹脂は、顔料や色素などの着色剤、特に一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を分散するものであればよい。バインダー樹脂の具体例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。中でもアクリル樹脂を用いることが好ましい。
バインダー樹脂に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルド樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
また、バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、着色剤を好ましく分散させるために、10,000~100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000~80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000~50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
方法(b)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
本発明の着色組成物には、着色剤をモノマー及び樹脂などに充分に溶解させ、さらにガラス基板等の基板上に乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布することでフィルタセグメントを形成することを容易にするために、有機溶剤を含有させる。
さらに、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n-アミル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
これらの有機溶剤は、1種を単独で、若しくは2種以上を混合して用いることができる。
本発明の着色組成物は、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料を含む着色剤を、前記バインダー樹脂と、必要に応じて溶剤とからなる着色剤担体中に、好ましくは色素誘導体などの分散助剤と一緒に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、又はアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料の溶解性が高い場合、具体的には使用する有機溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解し、かつ異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散して製造する必要はない。
着色剤を着色剤担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて着色剤を着色剤担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、分光透過率の高いカラーフィルタが得られる。
ビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk-101、103、107、108、110、111、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、またはAnti-Terra-U、203、204、またはBYK-P104、P104S、220S、6919、またはLactimon、Lactimon-WSまたはBykumen等。
日本ルーブリゾール社製のSOLSPERSE-3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、76500等、
BASF社製のEFKA-46、47、48、452、4008、4060、4406、4408、450、451、453、4540、4800、5070、7500、7554、1101、120、150、1502、Efka PU 4009、4010、4015、4020、4046、4047、4050、4055、4061、4063、4080、Efka PA 4400、4401、4402、4403、4414、4450、Efka PX 4300、4310、4320、4330、4340、4350、4700、4701、4731、4732、Efka FA4610、4665、4666、Dispex Ultra PA 4501、4503、4550、4560、4580、4590等。
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPA111、PB711、PB821、PB822、PB824等。
ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン-アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン-アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;
アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;
アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤。
これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
一実施形態として、バインダー樹脂等の着色剤担体への分散処理に先立ち、独立して着色剤を分散処理してもよい。すなわち、顔料の分散処理によって顔料分散体を調製した後に、着色剤として使用してもよい。
本発明の着色組成物は、光重合開始剤を含有させることができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料100質量部に対し、5~200質量部であることが好ましく、光硬化性の観点から10~150質量部であることがより好ましい。
ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン等のアセトフェノン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン類;
その他フェニルグリオキシリックメチルエステル等。
より具体的には、イルガキュアー651、イルガキュアー184、ダロキュアー1173、イルガキュアー500、イルガキュアー1000、イルガキュアー2959、イルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379、イルガキュアー1700、イルガキュアー149、イルガキュアー1800、イルガキュアー1850、イルガキュアー819、イルガキュアー784、イルガキュアー261、イルガキュアーOXE-01、イルガキュアーOXE-02(BASF社)、アデカオプトマーN1717、アデカオプトマーN1919、アデカアークルズNCI-831(ADEKA社)、及びEsacure1001M(Lamberti社)が挙げられる。
さらに、特開平1-54440号公報、ヨーロッパ特許第109851号明細書、ヨーロッパ特許第126712号明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.IMAG.SCI.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の金属アレン錯体、特開昭61-151197号公報記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(COORDINATION CHEMISTRY REVIEW)」、第84巻、第85~第277頁(1988年)ならびに特開平2-182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3-209477号公報記載のアルミナート錯体、特開平2-157760号公報記載のホウ酸塩化合物、特開昭55-127550号公報ならびに特開昭60-202437号公報記載の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59-107344号公報記載の有機ハロゲン化合物、特開平5-255347号公報記載のスルホニウム錯体またはオキソスルホニウム錯体、特開昭54-99185号公報、特開昭63-264560号公報ならびに特開平10-29977記載のアミノケトン化合物、特開2001-264530号公報、特開2001-261761号公報、特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特表2004-534797号公報、特開2006-342166、特開2008-094770、特開2009-40762、特開2010-15025、特開2010-189279、特開2010-189280公報、特表2010-526846、特表2010-527338、特表2010-527339、USP3558309号明細書(1971年)、USP4202697号明細書(1980年)ならびに特開昭61-24558号公報記載のオキシムエステル化合物等が挙げられる。
本発明の光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。より具体的には、光重合体単量体は、分子内に光重合性基を1以上有する化合物であり、その分子量は、代表的に1000以下である。
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。増感剤としては、ベンゾフェノン誘導体、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン誘導体、ベンジルやカンファーキノンなどに代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
先に例示した増感剤の中で、チオキサントン誘導体としては、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4,4'-ジメチルベンゾフェノン、4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等を挙げることができる。クマリン類としては、クマリン1、クマリン338、クマリン102等を挙げることができる。ケトクマリン類としては、3,3'-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)等を挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
本発明の着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(5-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
また、本発明の着色組成物には、溶存している酸素を還元する働きのあるアミン系化合物を含有させることができる。このようなアミン系化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、及びN,N-ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
本発明の着色組成物には、透明基板上での組成物のレベリング性を良くするため、レベリング剤を添加することが好ましい。レベリング剤としては、主鎖にポリエーテル構造またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、東レ・ダウコーニング社製FZ-2122、ビックケミー社製BYK-333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの具体例としては、ビックケミー社製BYK-310、BYK-370などが挙げられる。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンと、主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンとは、併用することもできる。レベリング剤の含有量は、通常、着色組成物の合計100質量%中、0.003~0.5質量%の割合で用いることが好ましい。
テル;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
また本発明の着色組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100質量部に対し、0.01~15質量部が好ましい。
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
本発明の着色組成物は、先に説明したように、各種分散手段を用いて各成分を微細に分散して製造することができる。一実施形態において、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段を用いて、着色組成物中の、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。ここで、上記粗大粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子状態を意味する。したがって、着色組成物は、実質的に0.5μm以上の二次粒子を含まないことが好ましい。一実施形態において、着色組成物中の粒子の粒径は、0.5μm未満であることが好ましく、0.3μm以下であることがより好ましい。
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備する。また、カラーフィルタは、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを具備するものであってもよい。
本発明のカラーフィルタは、上記着色組成物を使用し、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、製造することができる。
(フタロシアニンの同定)
フタロシアニンの同定は、飛行時間型質量分析装置(autoflexIII(TOF-MS)、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致、並びに、元素分析装置(2400CHN元素分析装置、パーキン・エルマー社製)を用いて得られる炭素、水素および窒素の比率と、理論値との一致により行った。
ハロゲン原子の置換数の平均値は、顔料を酸素燃焼フラスコ法にて燃焼させ、該燃焼物を水に吸収させた液体を、イオンクロマトグラフ(ICS-2000イオンクロマトグラフィー、DIONEX社製)により分析してハロゲン量を定量し、ハロゲン原子の置換数の平均値に換算することで得た。
ハロゲン分布幅は、飛行時間型質量分析装置(autoflexIII(TOF-MS)、ブルカー・ダルトニクス社製)を用いて得られたマススペクトラムにおいて、各成分に相当する分子イオンピークの信号強度(各ピーク値)と、各ピーク値を積算した値(全ピーク値)とを算出し、全ピーク値に対する各ピーク値の割合が1%以上のピークの数をカウントし、ハロゲン分布幅とした。
(フタロシアニン顔料(CP-1)の製造)
反応容器中で、n-アミルアルコール1250部にフタロジニトリル225部と塩化アルミニウム無水物78部を混合攪拌した。これに、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理し、その後、乾燥して、135部のヒドロキシアルミニウムフタロシアニン(下記化学式(6)参照)を得た。
得られたヒドロキシアルミニウムフタロシアニンについて元素分析を行ったところ、計算値(C)69.1%、(H)3.1%、(N)20.1%、(O)2.9%に対して、実測値(C)68.7%、(H)3.0%、(N)19.8%、(O)2.7%であり、目的の化合物であることを同定した。
粗製塩素化アルミニウムフタロシアニンを濃硫酸4000部に溶解し、50℃で3時間撹拌した。次いで、水24000部に撹拌しながら溶解液を注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄、乾燥して163部のフタロシアニン顔料(CP-1)を製造した。得られたフタロシアニン顔料(CP-1)について塩素置換数を算出したところ、平均15.3個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は5であった。
(フタロシアニン顔料(CP-2)の製造)
上記フタロシアニン顔料(CP-1)の製造において、トリクロロイソシアヌル酸263部をトリクロロイソシアヌル酸276部に変更した以外は、実施例1と同様にして175部のフタロシアニン顔料(CP-2)を製造した。
得られたフタロシアニン顔料(CP-2)について塩素置換数を算出したところ、平均15.8個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は3であった。
(フタロシアニン顔料(CP-3)の製造)
上記フタロシアニン顔料(CP-1)の製造において、作製したヒドロキシアルミニウムフタロシアニン100部を濃硫酸1500部に氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン505部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、300部のフタロシアニン顔料(CP-3)を得た。
得られたフタロシアニン顔料(CP-3)について臭素置換数を算出したところ、平均15.2個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は6であった。
(フタロシアニン顔料(CP-4)の製造)
上記フタロシアニン顔料(CP-1)の製造において、作製したフタロシアニン顔料(CP-1)100部を濃硫酸1500部に氷浴下にて加えた。その後、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン96部を徐々に加え、25℃で6時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、312部のフタロシアニン顔料(CP-4)を得た。
得られたフタロシアニン顔料(CP-4)についてハロゲン置換数を算出したところ、平均16個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は5であった。
上記フタロシアニン顔料(CP-3)の製造において、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン505部を1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン800部に変更した以外は、実施例1と同様にして216部のフタロシアニン顔料(CP-5)を製造した。
得られたフタロシアニン顔料(CP-5)についてヨウ素置換数を算出したところ、平均15.1個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は6であった。
(フタロシアニン顔料(P-1)の製造)
反応容器に、1-メチル-2-ピロリジノン1000部、実施例1で得られたフタロシアニン顔料(CP-1)100部、ジフェニルホスフィン酸30.4部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水5000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水12000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、124部のフタロシアニン顔料(P-1)を得た。
(フタロシアニン顔料(P-2)~(P-14)の製造)
上記フタロシアニン顔料(P-1)の製造において、原料となるフタロシアニン顔料と酸性化合物を表1に記載した条件にそれぞれ変更した以外は、フタロシアニン顔料(P-1)と同様の操作を行い、それぞれフタロシアニン顔料(P-2)~(P-14)を得た。Xで表されるハロゲン原子の置換数の平均値、ハロゲン分布幅については表2の通りであり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。
[比較例1](フタロシアニン顔料(P-15)の製造)
反応容器中で、n-アミルアルコール1250部にフタロジニトリル225部と三塩化ガリウム85部を混合攪拌した。これに、DBU(1,8-Diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、203部のクロロガリウムフタロシアニンを得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニンについて元素分析を行ったところ、計算値(C)62.22%、(H)2.61%、(N)18.14%に対して、実測値(C)62.4%、(H)2.7%、(N)18.0%であり、目的の化合物であることを同定した。
次いで、別の反応容器中で、塩化チオニル800部、塩化アルミニウム1000部および塩化ナトリウム120部を加温して溶融し、60℃で上記上記クロロガリウムフタロシアニン100部を加えた。続いてトリクロロイソシアヌル酸273部を徐々に加え、65℃で6時間反応させた。水16000部に上記反応液を注入し、濾過、温水洗浄、1%塩酸水溶液洗浄、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄の順で処理をし、その後、乾燥して粗製塩素化ガリウムフタロシアニン185部を得た。 粗製塩素化ガリウムフタロシアニンを濃硫酸4000部に溶解し、50℃で3時間撹拌した。次いで、水24000部に撹拌しながら溶解液を注ぎ入れ、70℃に加熱して、濾過、温水洗浄、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、温水洗浄、乾燥して166部のフタロシアニン顔料(CP-6)を製造した。
次いで、反応容器に、得られたフタロシアニン顔料(CP-6)100部と1-メチル-2-ピロリジノン1000部、リン酸ジフェニル28.8部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、フタロシアニン顔料(P-15)を得た。
得られたフタロシアニン顔料(P-15)について塩素置換数を算出したところ、平均15.8個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は3であった。
上記フタロシアニン顔料(CP-1)の製造において、トリクロロイソシアヌル酸263部をトリクロロイソシアヌル酸240部に変更した以外は、実施例1と同様にして148部のフタロシアニン顔料(CP-7)を製造した。
次いで、反応容器に、得られたフタロシアニン顔料(CP-7)100部と1-メチル-2-ピロリジノン1000部、リン酸ジフェニル30.5部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、フタロシアニン顔料(P-16)を得た。
得られたフタロシアニン顔料(P-16)について塩素置換数を算出したところ、平均15.0個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は4であった。
反応容器に、3,4,5,6-テトラクロロフタルイミド200部、尿素264部、モリブデン酸アンモニウム4.8部、硫酸ナトリウム1.6部、1-クロロナフタレン400部を加え撹拌した。150℃まで加熱後、塩化アルミニウム33.2部、尿素42.4部を加え、250℃、7時間、反応させた。これを室温まで冷却後、生成物をろ過し、メタノールで洗浄後、乾燥させた。次いで三角フラスコに、98%硫酸1000部を加えた。そこへ乾燥させた生成物を加え溶解させ、1時間室温で撹拌した。その後、3℃の氷水6000部に硫酸溶注入し、析出した固体をろ取、水洗、乾燥して、141部のフタロシアニン顔料(CP-8)を得た。
次いで、反応容器に、得られたフタロシアニン顔料(CP-8)100部と1-メチル-2-ピロリジノン1000部、リン酸ジフェニル29.5部を加えた。85℃で、3時間反応させた後、水8000部中にこの溶液を注入した。反応生成物をろ過し、水16000部で洗浄後、減圧下60℃にて一昼夜乾燥させて、フタロシアニン顔料(P-17)を得た。
得られたフタロシアニン顔料(P-17)について塩素置換数を算出したところ、平均116.0個であり、マススペクトラムからも同一の分子量に相当するピークを確認し、目的の化合物であることを同定した。また、ハロゲン分布幅は1であった。
以下の実施例は、先に製造したフタロシアニン顔料を用いた着色組成物(顔料分散体)に関する。使用した分散剤及びバインダー樹脂は、以下のようにして製造した。
(アクリル樹脂溶液1の調製)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn-ブチルメタクリレート13.3部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)26000のアクリル樹脂の溶液を得た。
上記樹脂溶液を室温まで冷却した後、上記樹脂溶液の約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定した。次いで、測定値を考慮し、不揮発分が20質量%になるように、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートを、先に得た樹脂溶液に添加することによって、アクリル樹脂溶液1を調製した。
(樹脂の重合平均分子量(Mw))
TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC-8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
樹脂溶液0.5~1.0部に、アセトン80mlおよび水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の固形分濃度から、樹脂の固形分あたりの酸価を算出した。
市販の樹脂型分散剤であるBASF社製Efka PX4300と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとを混合して不揮発分40質量%の溶液を調製し、樹脂型分散剤溶液1を得た。
[実施例20]
(顔料分散体(GP-1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM-250 MKII」)で3時間分散した。その後、得られた混合物を孔径5.0μmのフィルタで濾過し、不揮発成分が20質量%の顔料分散体(GP-1)を作製した。
フタロシアニン顔料(P-1) :11.0部
アクリル樹脂溶液1 :17.5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc) :66.5部
樹脂型分散剤溶液1 : 5.0部
(顔料分散体(GP-2)~(GP-17))
フタロシアニン顔料(P-1)を、表3に示すフタロシアニン顔料に変更した以外は、実施例20と同様の方法で顔料分散体(GP-2)~(GP-17)を作製した。
実施例及び比較例で得た顔料分散体(GP-1)~(GP-17)について、下記評価を行った。結果を表3に示す。
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の塗膜を通過し、もう一方の偏光板に到達する。この際、偏光板と偏光板の偏光面が並行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直交している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の塗膜を通過する際に、着色剤粒子によって散乱等が起こり、偏光面の一部にずれが生じると、偏光板が並行のときは透過する光量が減り、偏光板が直交のときは一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が並行の際の輝度と、直交の際の輝度との比を、コントラスト比として算出した。
(コントラスト比)=(並行のときの輝度)/(直交のときの輝度)
従って、塗膜中の着色剤により散乱が起こると、並行のときの輝度が低下し、かつ直交のときの輝度が増加するため、コントラスト比が低くなる。
◎:9000以上:極めて良好
○:6000以上~9000未満:良好
△:3000以上~6000未満:実用可能
×:3000未満:不良
顔料分散体をそれぞれ、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、次に70℃で20分乾燥し、ついで230℃で60分間加熱、放冷することで塗膜基板を作製した。作製した塗膜基板は、230℃での熱処理後で、膜厚が1.5μmとなるよう調整した。得られた塗膜の色度を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP100」)を用い、[L*(1)、a*(1)、b*(1)]を測定した。さらに250℃で60分間熱処理を行った後の色度[L*(2)、a*(2)、b*(2)]を測定し、下記式(1)により、色差ΔE*abを求めた。
式(1)
ΔE*ab=[[L*(2)-L*(1)]2+[a*(2)-a*(1)]2+[b*(2)-b*(1)]2]1/2
(微細化緑色顔料(PG58-1)の製造)
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン58(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(PG58-1)を得た。
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン7(CLARIANT社製「GreenGNX」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(PG7-1)を得た。
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン36(CLARIANT社製「Green8G」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(PG36-1)を得た。
フタロシアニン系緑色顔料C.I.ピグメント グリーン62(TOYOCOLOR社製「OPTLION GREEN 8880」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化緑色顔料(PG62-1)を得た。
ニッケル錯体系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー150(ランクセス社製「E-4GN」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY150-1)を得た。
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー138(BASF社製「Paliotol Yellow L 0960HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY138-1)を得た。
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー 139(BASF社製「Paliotol Yellow L 2146HD」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY139-1)を得た。
イソインドリン系黄色顔料C.I.ピグメント イエロー185(BASF社「Paliotol Yellow L 1155」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8リットルの温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化黄色顔料(PY185-1)を得た。
安息香酸メチル300部に、化合物(A)100部、テトラクロロ無水フタル酸108部、および安息香酸143部を加え、180℃に加熱し、4時間反応させた。TOF-MSにより、化学式(5-1)で表されるキノフタロン化合物の生成、および原料の化合物(A)の消失を確認した。さらに、室温まで冷却後、反応混合物をアセトン3510部に投入し、室温下にて1時間攪拌した。生成物を濾別し、メタノール洗浄、および乾燥を行い、120部の化学式(5-1)で表されるキノフタロン化合物を得た。TOF-MSによる質量分析の結果、化学式(5-1)で表されるキノフタロン化合物であることを同定した。
ジケトピロロピロール顔料C.I.ピグメント レッド254(BASF社製「IRGAPHOR RED S3610 CF」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、190部の微細化ジケトピロロピロール顔料(PR254-1)を得た。
アントラキノン系赤色顔料C.I.ピグメント レッド177(BASF社製「Paliongen Red L4039」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部をー、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、アントラキノン系の微細化赤色顔料(PR177-1)を得た。
フタロシアニン系青色顔料C.I.ピグメント ブルー15:6(トーヨーカラー社製「LIONOL BLUE ES」、比表面積60m2/g)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、微細化青色顔料(PB15:6-1)を得た。
ジオキサジン系紫色顔料C.I.ピグメント バイオレット23(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET RL」)200部、塩化ナトリウム1400部、およびジエチレングリコール360部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、80℃で6時間混練した。次に、この混練物を8000部の温水に投入し、80℃に加熱しながら2時間攪拌してスラリーを形成した。このスラリーを濾過し、水洗を繰り返すことによって塩化ナトリウムおよびジエチレングリコールを除いた後、85℃で一昼夜乾燥し、紫色微細化紫色顔料(PV23-1)を得た。
(微細化顔料分散体(GP‐18)~(GP‐21)、(YP‐1)~(YP‐5)、(RP-1)、(RP-2)、(BP‐1)、(VP‐1)の製造)
フタロシアニン顔料(P-1)を表4に示す微細化顔料に変更した以外は、顔料分散体(GP-1)と同様の方法で顔料分散体(GP‐18)~(GP‐21)、(YP‐1)~(YP‐5)、(RP-1)、(RP-2)、(BP‐1)、(VP‐1)を作製した。
[実施例34]
(緑色感光性着色組成物(GR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、緑色感光性着色組成物(GR-1)を作製した。
顔料分散体(GP-1) (緑色顔料分散体) :34.8部
PY138・顔料分散体(YP-2) (黄色顔料分散体) :15.2部
アクリル樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
緑色感光性着色組成物(GR-1)において、後述する着色画素層の色相が、C光源においてx=0.297、y=0.570になるように、緑色顔料分散剤と黄色顔料分散体を表5に示す成分及び質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例34と同様にして、それぞれ緑色感光性着色組成物(GR-2)~(GR-25)を得た。
実施例及び比較例で得られた感光性着色組成物について、下記評価を行った。結果を表5に示す。
感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布し、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外光を露光した。
その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の緑色着色画素層を形成した。着色画素層の色相が、C光源においてx=0.297、y=0.570になるよう調整した。得られた着色画素の明度(Y)を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP-SP200」)で測定した。評価基準は下記のとおりである。
◎ :66.5以上 : 極めて良好
○ :65.9以上66.5未満 : 良好
△ :65.3以上65.9未満 : 実用可能
× :65.3未満 : 不良
緑色感光性着色組成物(GR-1~GR-21)を有効電極サイズ10mm×10mmのITO透明電極を有するガラス基板上に、スピンコーターを用いて、乾燥皮膜の膜厚が3.2μmになるように塗布し、電極部の塗膜を溶剤で拭き取りした後、積算光量50mJ/cm2で紫外線露光を行い、23℃のアルカリ現像液で現像し、塗膜基板を得た。ついで230℃で20分間加熱、放冷後、測定用のサンプル塗布基板を各二枚作製した。
VHR(電圧保持率)(%)=([V1]/5)×100
上記初期VHR測定済セルサンプルを、LED照明15万nit、3時間照射し再度照射後のVHR( % )の測定し、下記式よりΔVHR(電圧保持率変化率)を求めた。
ΔVHR=|初期VHR-露光後VHR|
下記の4段階で評価した。
◎:2%以下
○:2%以上5%未満
△:5%以上10%未満
×:10%以上
一方、本発明の実施例34~55のハロゲン置換数の平均値が15.1~16.0で、ハロゲン分布幅が3以上のフタロシアニン顔料を含む感光性着色組成物では、明度が高く、かつΔVHR に優れる結果となった。また、本発明のフタロシアニン顔料は、他の緑色色素や黄色色素を併用した場合でも良好な結果を示した。
本発明のフタロシアニン顔料を含む緑色感光性着色組成物を使用し、カラーフィルタを作製した。使用した赤色感光性着色組成物及び青色感光性着色組成物は、以下のようにして調製した。
(赤色感光性着色組成物(RR-1))
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、赤色感光性着色組成物(RR-1)を作製した。
PR254・顔料分散体(RP-1) :30.0部
PR177・顔料分散体(RP-2) :20.0部
アクリル樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
下記組成の混合物を均一になるように撹拌混合した後、孔径1μmのフィルタで濾過して、青色感光性着色組成物(BR-1)を作製した。
PB15:6・顔料分散体(BP-1) :45.0部
PV23・顔料分散体(VP-1) : 5.0部
アクリル樹脂溶液1 : 7.5部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM-402」) : 2.0部
光重合開始剤(BASF社製「イルガキュアー907」) : 1.2部
増感剤(保土谷化学工業社製「EAB-F」) : 0.3部
シクロヘキサノン :39.0部
赤色感光性着色組成物(RR-1)をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間乾燥させた。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
その後、この基板を23℃の0.2質量%の炭酸ナトリウム水溶液にて30秒間スプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、乾燥した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間加熱処理を行い、基板上にストライプ状の着色画素層を形成した。
次に、本発明の緑色感光性着色組成物(GR-8)を使用し、赤色着色画素層と同様にして緑色着色画素層を形成した。さらに、同様にして青色感光性着色組成物(BR-1)を使用して青色着色画素層を形成し、カラーフィルタ(CF-1)を得た。各着色画素層の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
Claims (7)
- 下記一般式(1)で表されるフタロシアニン顔料。
一般式(1)
Xは、ハロゲン原子を表し、n(Xで表されるハロゲン原子の置換数の平均値)が、15.1~16.0であり、ハロゲン分布幅が3以上である。Xnはn個の同一または異なるハロゲン原子を意味する。
Yは、-OP(=O)R101R102、-OC(=O)R103、-OS(=O)2R104または水酸基を表す。R101およびR102は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルコキシル基または置換基を有してもよいアリールオキシ基を表す。R103は、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。R104は、水酸基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素環基を表す。] - Xが、塩素原子および/または臭素原子であり、Yが、-OP(=O)R101R102である、請求項1に記載のフタロシアニン顔料。
- 着色剤、バインダー樹脂および有機溶剤を含有する着色組成物であって、前記着色剤が、請求項1または2に記載のフタロシアニン顔料を含有する着色組成物。
- 前記着色剤が、さらに、緑色色素および/または黄色色素を含有する、請求項3に記載の着色組成物。
- 前記緑色色素が、C.I.ピグメント グリーン7、36、58、62および63からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記黄色色素が、C.I.ピグメント イエロー138、139、150、185および下記一般式(2)で表されるキノフタロン顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載の着色組成物。
一般式(2)
[一般式(2)中、R1~R13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアルコキシル基または置換基を有しても良いアリール基を表す。ただし、R1~R4のうち少なくとも1つの隣接した一組の基、及び/又は、R10~R13のうち少なくとも1つの隣接した一組の基は、一体となって、置換基を有してもよい芳香環を形成する。] - さらに、光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 少なくとも1つの赤色フィルタセグメントと、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントと、少なくとも1つの青色フィルタセグメントとを備えるカラーフィルタにおいて、前記少なくとも1つの緑色フィルタセグメントが、請求項3~6のいずれか一項に記載の着色組成物により形成されるカラーフィルタ。
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