JP7192153B1 - アンカーボルトの施工方法、および、レベル調整部材 - Google Patents

アンカーボルトの施工方法、および、レベル調整部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 アンカーボルトの施工精度を向上する。【解決手段】 アンカーボルトの施工方法は、コンクリート打設領域の外側に鋼製の複数の支柱を設置する支柱設置工程と、前記複数の支柱に支持される鋼製の梁を前記コンクリート打設領域に架け渡す梁設置工程と、前記アンカーボルトの基端が前記梁よりも下方に位置するように前記梁にアンカーボルトを固定するアンカーボルト固定工程と、アンカーボルトの先端が露出するように、前記梁よりも下方に位置するコンクリート打設レベルまでコンクリート打設領域にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記コンクリート打設工程で打設した前記コンクリートの養生後に、前記梁および前記支柱を撤去する撤去工程と、を備える。【選択図】図4

Description

特許法第30条第2項適用 本特許出願に係る発明は、特許を受ける権利を有する者が、2021年12月8~10日に阪井康友・阪井祥太様施主宅付共同住宅新築工事(千葉県船橋市宮本2丁目81-17、20)にて施工したことにより、特許法第29条第1項第2号に該当するに至った。
本発明はアンカーボルトの施工技術に関する。
CLTパネルを使用して建物を建設する技術が従来から知られている(例えば、火金御特許文献1)。土台がない場合のCLTパネルの基礎定着方法は、基礎梁コンクリートの上端から突出したアンカーボルトの端部と、CLTパネル用の接合コネクタ(金物)と、を直接的に接合することを必要とする。
アンカーボルトは、基礎梁を築造する過程において設置される。具体的には、型枠に対してアンカーボルトを固定し、アンカーボルトの端部が露出するようにコンクリートが打設される。しかしながら、この方法によれば、コンクリート打設圧の影響を受けて型枠が傾いてしまうと、アンカーボルトの位置ずれが生じる。このため、従来は、アンカーボルトの平面位置やレベル(高さ位置)を精度良く確保することが難しかった。また、1枚のCLTパネルに対して複数の接合コネクタが複数設置される場合もある。このような場合には、1箇所のアンカーボルトの精度のみならず、1群のアンカーボルトの精度を合わせる必要があるので、より高い精度が求められる。
特開2019-167684号公報
このようなことから、アンカーボルトの施工精度を高めることが求められる。このようなアンカーボルトの精度向上の課題は、土台がない場合のCLTパネルの基礎定着に限られるものではなく、土台がある場合のCLTパネルの基礎定着にも共通し、もとより、CLパネルの基礎定着に限られず、アンカーボルトの施工全般に共通する。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態によれば、アンカーボルトの施工方法が提供される。この施工方法は、コンクリート打設領域の外側に鋼製の複数の支柱を設置する支柱設置工程と、複数の支柱に支持される鋼製の梁をコンクリート打設領域に架け渡す梁設置工程と、アンカーボルトの基端が梁よりも下方に位置するように梁にアンカーボルトを固定するアンカーボルト固定工程と、アンカーボルトの先端が露出するように、梁よりも下方に位置するコンクリート打設レベルまでコンクリート打設領域にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、コンクリート打設工程で打設したコンクリートの養生後に、梁および支柱を撤去する撤去工程と、を備えている。
この施工方法によれば、コンクリート打設領域の外側に設置された支柱に支持された梁にアンカーボルトが固定された状態でコンクリートが打設される。支柱は、コンクリート打設領域の外側に設置されるので、支柱、および、それに支持される梁には、コンクリートの打設圧が直接的には作用しない。一方、アンカーボルトには、コンクリートの打設圧が直接的に作用するが、アンカーボルトは、鋼製で剛性が高い支柱および梁に固定されているので、コンクリートの打設圧によって位置がずれることがない。したがって、アンカーボルトの施工精度を向上できる。なお、「コンクリート打設領域」とは、複数領域(複数段階)に分けてコンクリートが打設される場合には、複数領域の全体であってもよいし、複数領域のうちの少なくとも1つの領域であってもよい。
本発明の第2の形態によれば、第1の形態において、梁には、上下方向に延在する第1の貫通孔が形成されている。アンカーボルト固定工程は、アンカーボルトが第1の貫通孔を貫通した状態でアンカーボルトを梁に固定する工程を含む。この形態によれば、現場搬入前に工場にて、梁の、アンカーボルトを設置すべき位置に第1の貫通孔を形成しておけば、アンカーボルトの平面位置の位置決めを容易に行える。
本発明の第3の形態によれば、第2の形態において、アンカーボルト固定工程は、アンカーボルトが第1の貫通孔を貫通した状態で、第1の貫通孔の径よりも大きな外径を有する第1のナットをアンカーボルトの先端の雄ネジ部に螺合させ、アンカーボルトを梁から吊り下げる工程を含む。この形態によれば、アンカーボルトの先端に対する第1のナットの位置を調節することによって、アンカーボルトのレベル(高さ位置)の位置決めを容易に行える。
本発明の第4の形態によれば、第3の形態において、アンカーボルト固定工程は、第1のナットと、第1の貫通孔の径よりも大きな外径を有し、アンカーボルトの先端の雄ネジ部に螺合する第2のナットと、で梁を上下方向に締め付けて、アンカーボルトを梁に固定する工程を含む。この形態によれば、固定作業を簡単かつ簡素な構成で行うことができる。
本発明の第5の形態によれば、第1ないし第4のいずれかの形態において、コンクリート打設工程の前に、第1の端部と第2の端部とを有する中間支持ロッドを、第1の端部が地盤に支持され、第2の端部が梁に固定されるように設置して、梁を中間支持する中間支持設置工程をさらに備えている。この形態によれば、支柱によって支持される箇所の途中で、中間支持ロッドによって梁を中間支持できる。このため、支柱によって支持される箇所間の距離が長い場合であっても、梁の撓みを抑制できる。したがって、アンカーボルトをより精度良く位置決めできる。なお、「地盤」とは、土壌に限られず、土壌上に構築された構造物(例えば、捨てコンクリート)であってもよい。
本発明の第6の形態によれば、第5の形態において、梁には、上下方向に延在する第2の貫通孔が形成されている。中間支持設置工程は、中間支持ロッドが第2の貫通孔を貫通した状態で、第2の貫通孔の径よりも大きな外径を有し、第2の端部の雄ネジ部に螺合する2つの第3のナットで梁を上下方向に締め付けて、アンカーボルトを梁に固定する工程を含む。この形態によれば、第4の形態と同様に、固定作業を簡単かつ簡素な構成で行うことができる。
本発明の第7の形態によれば、第5または第6の形態において、中間支持ロッドは、第1の端部と、当該第1の端部と反対側の第3の端部と、を有する第1の中間支持ロッドと、第2の端部と、当該第2の端部と反対側の第4の端部と、を有する第2の中間支持ロッドと、を備えている。中間支持設置工程は、第1の中間支持ロッドの第3の端部の雄ネジ部と第2の中間支持ロッドの第4の端部の雄ネジ部とに螺合する第4のナットを介して、第1の中間支持ロッドと第2の中間支持ロッドとを接続する工程を含む。撤去工程は、第1の中間支持ロッドを、コンクリート打設工程で打設されたコンクリートに残しつつ、少なくとも第2の中間支持ロッドを撤去する工程を含む。この形態によれば、中間支持ロッドがアンカーボルトの施工後の工事の邪魔にならないように、中間支持ロッドのうちの上側の部分(第2の中間支持ロッド)を容易に撤去することができる。
本発明の第8の形態によれば、第7の形態において、中間支持設置工程は、第4のナットの上端がコンクリート打設レベル以下に位置するように第1の中間支持ロッドおよび第2の中間支持ロッドを設置する工程を含む。撤去工程は、第1の中間支持ロッドに加えて第4のナットを、コンクリート打設工程で打設されたコンクリートに残しつつ、少なくとも第2の中間支持ロッドを撤去する工程を含む。アンカーボルトの施工方法は、さらに、第2の中間支持ロッドの撤去の後に、中心が盛り上がった頭部を有する水平度調整ボルトを第4のナットに螺合させる工程を含む。この形態によれば、基礎とパネル建材(例えば、CLTパネル)とを接合するための接合コネクタ(金物)をアンカーボルトに取り付ける際に、第4のナットに螺合する水平度調整ボルトを水平度調整具として使用できる。このため、水平度調整のために施工されていた仮設用無収縮モルタル(いわゆる「まんじゅう」)を施工する必要がなくなり、工事を簡素化できる。
本発明の第9の形態によれば、第8の形態において、第4のナットは、第1の中間支持ロッドの第3の端部の雄ネジ部と、第2の中間支持ロッドの第4の端部の雄ネジ部と、に螺合する雌ネジ径を有する下側ナット部と、下側ナット部よりも雌ネジ径が大きい上側ナット部と、が接合された形態を有する。水平度調整ボルトは、上側ナット部に螺合する雄ネジ径を有している。この形態によれば、アンカーボルトに取り付けられた接合コネクタにパネル建材を取り付けた後に水平度調整ボルトに作用する荷重に耐えられるように水平度調整ボルトの強度を確保しつつ、第1の中間支持ロッドの径を細くすることができる。換言すれば、第1の中間支持ロッドの径を水平度調整ボルトの径に合わせて太くする必要がないので、第1の中間支持ロッドがオーバースペックになることを避けることができる。
本発明の第10の形態によれば、水平度調整部材が提供される。この水平度調整部材は、第1の雌ネジ径を有する第1のナットと、第1の雌ネジ径よりも大きい第2の雌ネジ径を有する第2のナットと、が同軸状に接合された複合ナットと、第2のナットに螺合するボルトであって、中心が盛り上がった頭部を有するボルトと、を備えている。この水平度調整部材は、第9の形態に使用することができる。
支柱および梁の配置例を示す該略平面図である。 図1に示すA-A線に沿った縦断面図であり、図1の領域A2部分を示している。 図1の領域A3部分の平面図である。 アンカーボルトおよび中間支持ロッドを梁に固定する方法の一例を示す図である。 図5の部分拡大図である。 コンクリート打設後のアンカーボルトの先端周辺の拡大図である。 コンクリート打設時の第4のナットの周辺の養生の例を示す図である。 梁を撤去した後のアンカーボルトの先端周辺の拡大図である。 第4のナットにボルトを螺合させた状態を示す図である。 アンカーボルトに接合コネクタを取り付けた状態を示す図である。 第4のナットの代替実施形態を示す図である。 第4のナットの代替実施形態を示す図である。
以下、本発明の例示的な実施形態として、建物の新築時において、基礎コンクリートの打設時にアンカーボルトを施工する方法について説明する。アンカーボルトの施工においては、まず、基礎コンクリートの打設領域A1(以下、単に打設領域A1とも呼ぶ)の外側に複数の支柱10が設置される。次いで、複数の支柱10に支持されるように、梁20が打設領域A1に架け渡される。本実施形態では、梁20はリップ溝形鋼であるが、任意の鋼材が使用され得る。
図1は、支柱10および梁20の配置例を示している。図示するように、打設領域A1を取り囲むように複数の支柱10が打設領域A1の外側に配置されている。また、支柱10に支持される梁20が、打設領域A1にメッシュ状に架け渡されている。梁20は、アンカーボルト30(図4参照)を設置すべき位置の上方を延在するように配置される。以下では、説明の便宜上、紙面の縦方向に延在する梁20を縦梁20aとも呼び、横方向に延在する梁20を横梁20bとも呼ぶ。支柱10、梁20、および、それらに付属する部材は、いずれも鋼製である。
図2は、図1に示すA-A線に沿った縦断面図であり、図1の領域A2部分を示している。支柱10は、ベースプレート11およびアンカー(図示せず)を介して捨てコンクリート90上に固定されている。支柱10は、鉛直方向に延在しており、その頂部には、水平方向に延在する連結部12が取り付けられている。この連結部12には、ターンバックルブレース13が取り付けられている。ターンバックルブレース13によって、支柱10の傾き、および、複数の梁20全体の水平度を調節することができる。図1に示す例では、紙面の右側のみに連結部12およびターンバックルブレース13が取り付けられているが、連結部12およびターンバックルブレース13の水平方向の取付位置および数は、適宜設定され得る。
また、支柱10には、T字状の支持部14が取り付けられている。支持部14のうちの水平方向に延在する部分には、縦梁20aが載置されている。支持部14と縦梁20aとは、鉛直方向に支持部14および縦梁20aを貫通するボルト(図示せず)によって固定されている。また、縦梁20aにボルト(図示せず)で取り付けられた連結プレート15上には、横梁20bが載置され、連結プレート15と横梁20bとは、ボルト(図示せず)によって固定されている。図示するように、梁20は、基礎コンクリート95の天端よりも上方に配置される。
図3は、図1の領域A3部分の平面図である。上述した構成と同様に、支柱10に取り付けられた支持部14には、梁20の一端が固定されている。また、横梁20bと縦梁20aとは、T字状の連結プレート15によって連結されている。なお、連結プレート15の形状は、横梁20bと縦梁20aとの連結態様に応じて、L字状、十字状などに適宜変更され得る(図1参照)。
図3に示すように、梁20のうちの、アンカーボルト30を設置すべき位置に対応する位置には、上下方向に延在する第1の貫通孔21が形成されている。また、後述する中間支持ロッド40を設置すべき位置に対応する位置には、上下方向に延在する第2の貫通孔22が形成されている。第1の貫通孔21,22は、梁20の現場搬入前に工場にて高い位置精度で形成される。
このようにして、支柱10および梁20が設置されると、次いで、アンカーボルト30および中間支持ロッド40が梁20に固定される。図4は、アンカーボルト30および中間支持ロッド40を梁20に固定する方法の一例を示す図であり、図5は、図4の部分拡大図である。図4に示すように、アンカーボルト30は、その基端32が梁20よりも下方となるように配置される。
本実施形態では、アンカーボルト30が第1の貫通孔21(図3参照)を貫通した状態で、アンカーボルト30が梁20に固定される。第1の貫通孔21は、工場にて高い位置精度で形成されているので、この方法によれば、アンカーボルト30の平面位置の位置決めを容易かつ正確に行える。また、アンカーボルト30の先端31の雄ネジ部には、第1のナット51および第2のナット52が螺合される。第1のナット51は、第2のナット52よりも上方に配置される。第1のナット51および第2のナット52の各々は、第2の貫通孔22の径よりも大きな外径を有している。
図5に示すように、第1のナット51と梁20との係合によってアンカーボルト30が梁20から吊り下げられた状態で、第2のナット52を上方に向けて締め付けると、第1のナット51と第2のナット52とが、ワッシャを介して梁20(梁20の底面)を上下方向に締め付ける。これによって、アンカーボルト30は梁20に固定される。この方法によれば、アンカーボルト30と第1の貫通孔21とのクリアランスに起因して、アンカーボルト30の水平位置がずれたり、傾いたりすることなく、アンカーボルト30を梁20に対して強固に固定することができる。しかも、固定作業を簡単かつ簡素な構成で行うことができる。また、アンカーボルト30に対する第1のナット51の螺合位置を調節すれば、アンカーボルト30のレベル(高さ位置)の位置決めを容易に行うことができる。ただし、アンカーボルト30は、公知の任意の方法によって梁20に固定されてもよく、例えば、固定具(例えば、クランプ)が使用されてもよい。
中間支持ロッド40は、鋼製の部材であり、支柱10による梁20の支持を補助するために支柱10による支持箇所間に配置され、梁20を中間支持する。中間支持ロッド40を設置することによって、支柱10によって支持される箇所間の距離が長い場合であっても、梁20の撓みを抑制できる。このため、アンカーボルト30の位置決め精度が向上する。図4に示す例では、中間支持ロッド40は、2つのアンカーボルト30の近傍で、それらの間に配置されている。
図4に示すように、中間支持ロッド40は、雄ネジが形成された第1の端部43および第2の端部44を備えている。第1の端部43は、捨てコンクリート90の埋め込まれた雌ネジアンカー91に螺合される。これによって、中間支持ロッド40は、捨てコンクリート90を介して地盤に支持される。第2の端部44は梁20に固定される。
本実施形態では、中間支持ロッド40が第2の貫通孔22(図3参照)を貫通した状態で、第2の端部44が梁20に固定される。第2の貫通孔22は、工場にて高い位置精度で形成されているので、この方法によれば、アンカーボルト30に対して中間支持ロッド40を精度良く位置決めできる。中間支持ロッド40は、アンカーボルト30の固定と同様に、第2の端部44の雄ネジ部に螺合し、第2の貫通孔22の径よりも大きな外径を有する2つの第3のナット53で、ワッシャを介して梁20(梁20の底面)を上下方向に締め付けることによって、梁20に強固に固定される。
図5に示すように、この中間支持ロッド40は、本実施形態では、第1の中間支持ロッド41と第2の中間支持ロッド42とを備えている。第1の中間支持ロッド41は、上述の第1の端部43と、その反対側の第3の端部45と、を備えている。第2の中間支持ロッド42は、上述の第2の端部44と、その反対側の第4の端部46と、を備えている。
第1の中間支持ロッド41と第2の中間支持ロッド42とは、第3の端部45および第4の端部46の雄ネジ部に螺合する第4のナット60によって接続される。具体的には、第4のナット60は、第3の端部45および第4の端部46の雄ネジ部に螺合する雌ネジ径を有する下側ナット部61と、下側ナット部61よりも雌ネジ径が大きい上側ナット部62と、を備えている。下側ナット部61と上側ナット部62とは、雌ネジ径が異なる2つのナットを同軸状に接合することによって形成されている。接合手段としては、溶接、接着剤などを利用できる。このように接合することによって、下側ナット部61と上側ナット部62の接合部から第4のナット60内へ水が浸入することを防止できる。図5に示すように、第3の端部45および第4の端部46の各々の雄ネジ部を下側ナット部61に同時に螺合する状態にすることによって、第1の中間支持ロッド41と第2の中間支持ロッド42とが接続される。この第4のナット60は、第4のナット60の上端がコンクリート基礎の天端(つまり、コンクリート打設レベル)以上に位置するように配置される(図5の例では、第4のナット60の上端がコンクリート基礎の天端よりも上方に位置している)。
梁20へのアンカーボルト30の固定、および、中間支持ロッド40の固定は、いずれを先に行ってもよい。ただし、中間支持ロッド40の固定を先に行えば、梁20の撓みを抑制した状態で、アンカーボルト30のレベル(高さ位置)の位置決めをより精度良く行うことができる。
このようにして、アンカーボルト30および中間支持ロッド40が梁20に固定されると、次いで、図6に示すように、基礎コンクリート95が打設される。基礎コンクリート95の天端は、アンカーボルト30の先端31が基礎コンクリート95から露出するように設定される。このとき、上側ナット部62の頂部から上側ナット部62内へコンクリート、雨などの水、埃などのゴミが侵入しないようにするために、上側ナット部62の周囲が養生されてもよい。図7は、そのような養生の例を示している。この例では、中間支持ロッド40の設置時に、第4のナット60の上側ナット部62の上に第5のナット65が載置されるように第5のナット65が配置される。第5のナット65は、上側ナット部62と同じサイズの内径および外径を有している。
基礎コンクリート95が打設されると、次いで、所定のコンクリート養生期間の後に、支柱10、梁20および第2の中間支持ロッド42が撤去される。このとき、図8に示すように、第1の中間支持ロッド41および第4のナット60は、基礎コンクリート95に残置されている。
以上説明した手順によれば、支柱10は、打設領域A1の外側に設置されるので、支柱10、および、それに支持される梁20には、基礎コンクリート95の打設圧が直接的には作用しない。一方、アンカーボルト30には、基礎コンクリート95の打設圧が直接的に作用するが、アンカーボルト30は、鋼製で剛性が高い支柱10および梁20に固定されているので、基礎コンクリート95の打設圧によって位置がずれることがない。したがって、アンカーボルト30の施工精度を向上できる。
本実施形態では、さらに、アンカーボルト30の設置後、図9に示すように、上側ナット部62に、水平度調整ボルト63が螺合される。水平度調整ボルト63は、第1の端部43よりも大きな径を有している。また、水平度調整ボルト63は、中心が盛り上がった頭部を有している。
水平度調整ボルト63および第4のナット60は、図10に示すようにアンカーボルト30を、基礎とCLTパネルとを接合するための接合コネクタ70に接合する際の水平度調整具として使用できる。つまり、水平度調整ボルト63および第4のナット60は、従来から水平度調整のために施工されていた仮設用無収縮モルタル(いわゆる「まんじゅう」)の代替として機能する。このため、工事を簡素化することができる。
また、水平度調整ボルト63および第4のナット60によれば、アンカーボルト30に取り付けられた接合コネクタ70にCLTパネルを取り付けた後に水平度調整ボルト63に作用する荷重に耐えられるように水平度調整ボルト63の強度(径)を確保しつつ、第1の中間支持ロッド41を、梁20を中間支持できれば十分な強度(径)に抑える(つまり、水平度調整ボルト63に比べて細くする)ことができる。換言すれば、第1の中間支持ロッド41がオーバースペックになることを避けることができる。
図11は、代替実施形態を示しており、図6に対応している。この例では、上述した第4のナット60に代えて、第4のナット160が使用される。第4のナット160は、全体的に、第4のナット60の上側ナット部62と同一の雌ネジ径を有している。このため、第2の中間支持ロッド42は、第4のナット60の雌ネジ径に合わせて、図6に示す例よりも太くなっている。このような方法においても、支柱10、梁20および第2の中間支持ロッド42の撤去後に、第4のナット160に水平度調整ボルト63を取り付けることができる。
図12は、さらなる代替実施形態を示しており、図6に対応している。この例では、上述した第4のナット60に代えて、第4のナット260が使用される。第4のナット260は、全体的に、第4のナット60の下側ナット部61と同一の雌ネジ径を有している。第4のナット260は、第1の中間支持ロッド41の第3の端部45と、第2の中間支持ロッド42の第4の端部46と、に螺合している。第4のナット260は、支柱10、梁20および第2の中間支持ロッド42の撤去時に、一緒に撤去することができる。
このような方法によれば、水平度調整ボルト63を設置することはできないが、簡単な手法で、中間支持ロッド40がアンカーボルト30の施工後の工事の邪魔にならないように、中間支持ロッド40のうちの上側の部分(本実施形態では第2の中間支持ロッド42)を容易に撤去することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素または工程の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
例えば、中間支持ロッド40は、必ずしも、アンカーボルト30に隣接して(典型的には、隣り合う2つのアンカーボルト30の間)に配置される必要はなく、水平度調整ボルト63を使用しない場合には、任意の箇所に設置され得る。もとより、中間支持ロッド40は省略されてもよい。
また、中間支持ロッド40は、必ずしも、第1の中間支持ロッド41と第2の中間支持ロッド42とを備えている必要は無く、単一のロッドであってもよい。この場合、基礎コンクリート95から露出する中間支持ロッドの先端がアンカーボルト30の施工後の工事の邪魔になるのであれば、当該先端が切断されてもよい。
10…支柱
11…ベースプレート
12…連結部
13…ターンバックルブレース
14…支持部
15…連結プレート
20…梁
20a…縦梁
20b…横梁
21…第1の貫通孔
22…第2の貫通孔
30…アンカーボルト
31…先端
32…基端
40…中間支持ロッド
41…第1の中間支持ロッド
42…第2の中間支持ロッド
43…第1の端部
44…第2の端部
45…第3の端部
46…第4の端部
51…第1のナット
52…第2のナット
53…第3のナット
60,160,260…第4のナット
61…下側ナット部
62…上側ナット部
63…水平度調整ボルト
65…第5のナット
70…接合コネクタ
90…捨てコンクリート
91…雌ネジアンカー
95…基礎コンクリート
A1…コンクリート打設領域

Claims (7)

  1. アンカーボルトの施工方法であって、
    コンクリート打設領域の外側に鋼製の複数の支柱を設置する支柱設置工程と、
    前記複数の支柱に支持される鋼製の梁を前記コンクリート打設領域に架け渡す梁設置工程と、
    前記アンカーボルトの基端が前記梁よりも下方に位置するように前記梁に前記アンカーボルトを固定するアンカーボルト固定工程と、
    前記アンカーボルトの先端が露出するように、前記梁よりも下方に位置するコンクリート打設レベルまで前記コンクリート打設領域にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
    前記コンクリート打設工程で打設した前記コンクリートの養生後に、前記梁および前記支柱を撤去する撤去工程と
    前記コンクリート打設工程の前に、第1の端部と第2の端部とを有する中間支持ロッドを、前記第1の端部が地盤に支持され、前記第2の端部が前記梁に固定されるように設置して、前記梁を中間支持する中間支持設置工程と
    を備え、
    前記中間支持ロッドは、
    前記第1の端部と、該第1の端部と反対側の第3の端部と、を有する第1の中間支持ロッドと、
    前記第2の端部と、該第2の端部と反対側の第4の端部と、を有する第2の中間支持ロッドと
    を備え、
    前記中間支持設置工程は、前記第1の中間支持ロッドの前記第3の端部の雄ネジ部と前記第2の中間支持ロッドの前記第4の端部の雄ネジ部とに螺合する第4のナットを介して、前記第1の中間支持ロッドと前記第2の中間支持ロッドとを接続する工程を含み、
    前記撤去工程は、前記第1の中間支持ロッドを、前記コンクリート打設工程で打設された前記コンクリートに残しつつ、少なくとも前記第2の中間支持ロッドを撤去する工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  2. 請求項1に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記梁には、上下方向に延在する第1の貫通孔が形成されており、
    前記アンカーボルト固定工程は、前記アンカーボルトが前記第1の貫通孔を貫通した状態で前記アンカーボルトを前記梁に固定する工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  3. 請求項2に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記アンカーボルト固定工程は、前記アンカーボルトが前記第1の貫通孔を貫通した状態で、前記第1の貫通孔の径よりも大きな外径を有する第1のナットを前記アンカーボルトの先端の雄ネジ部に螺合させ、前記アンカーボルトを前記梁から吊り下げる工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  4. 請求項3に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記アンカーボルト固定工程は、前記第1のナットと、前記第1の貫通孔の径よりも大きな外径を有し、前記アンカーボルトの前記先端の前記雄ネジ部に螺合する第2のナットと、で前記梁を上下方向に締め付けて、前記アンカーボルトを前記梁に固定する工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記梁には、上下方向に延在する第2の貫通孔が形成されており、
    前記中間支持設置工程は、前記中間支持ロッドが前記第2の貫通孔を貫通した状態で、前記第2の貫通孔の径よりも大きな外径を有し、前記第2の端部の雄ネジ部に螺合する2つの第3のナットで前記梁を上下方向に締め付けて、前記中間支持ロッドを前記梁に固定する工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記中間支持設置工程は、前記第4のナットの端が前記コンクリート打設レベル以下に位置するように前記第1の中間支持ロッドおよび前記第2の中間支持ロッドを設置する工程を含み、
    前記撤去工程は、前記第1の中間支持ロッドに加えて前記第4のナットを、前記コンクリート打設工程で打設された前記コンクリートに残しつつ、少なくとも前記第2の中間支持ロッドを撤去する工程を含み、
    アンカーボルトの施工方法は、さらに、前記第2の中間支持ロッドの撤去の後に、中心が盛り上がった頭部を有する水平度調整ボルトを前記第4のナットに螺合させる工程を含む
    アンカーボルトの施工方法。
  7. 請求項に記載のアンカーボルトの施工方法であって、
    前記第4のナットは、前記第1の中間支持ロッドの前記第3の端部の雄ネジ部と、前記第2の中間支持ロッドの前記第4の端部の雄ネジ部と、に螺合する雌ネジ径を有する下側ナット部と、前記下側ナット部よりも雌ネジ径が大きい上側ナット部と、が同軸状に接合された形態を有し、
    前記水平度調整ボルトは、前記上側ナット部に螺合する雄ネジ径を有している
    アンカーボルトの施工方法。
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