JP7191764B2 - 気体浮上式搬送装置及び洗浄方法 - Google Patents

気体浮上式搬送装置及び洗浄方法 Download PDF

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本発明は気体浮上式搬送装置に関し、特に、レールを洗浄する技術に関する。
電子ビーム描画装置、マスク検査装置、半導体製造装置、走査型電子顕微鏡等は、一般に、対象物を搬送する搬送装置を備えている。搬送装置として各種の搬送装置が実用化されている。その中で気体浮上式搬送装置は、対象物を載置したステージを気体圧力により浮上させつつそのステージを移動させることにより、対象物を搬送する装置である。
気体浮上式搬送装置は、一般に、レール及びスライダからなる搬送機構を有している。例えば、スライダの上部にステージが設けられる。スライダには水平方向に貫通した角穴が設けられている。その角穴を角軸であるレールが貫通している。角穴の内面には、複数の開口部が設けられており、各開口部からの気体の吹き出しにより、ステージの浮上状態が形成される。すなわち、ステージがレールに接触していない状態が形成される。ステージの浮上状態を形成するために、スライダに対して、チューブを介して浮上用気体が供給される。スライダには、必要に応じて、駆動用気体を供給するチューブも接続される。
なお、特許文献1には、レール上の異物をステージ移動により押し出す技術が開示されている。
WO2010/109574号公報
気体浮上式搬送装置において、レールの表面が汚れると、例えば、レールの表面に微粒子等の異物が付着すると、スライダが滑らかに動かなくなり、あるいは、スライダが停止してしまう。そのような異常が生じた場合あるいはその前に、レールの表面を洗浄する必要がある。例えば、手作業で表面を拭いて汚染を除去する必要がある。それは作業者にとって大きな負担となるものである。気体浮上式搬送装置が真空室内に配置されている場合、例えば、真空室の天井を取り外さないと、レールの洗浄を行うことができない。洗浄を行った後、密閉空間を再び形成した上で、そこを再び真空にするにはかなりの時間を要する。レールの表面には、スライダを移動させても露出しない部分があり、その部分に対しては拭き洗浄を行うことができない。
本発明の目的は、気体浮上式搬送装置において、レールの表面を簡便に洗浄できるようにすることにある。あるいは、気体浮上式搬送装置が収容されている空間の状態を維持したまま、レールの表面を洗浄できるようにすることにある。
本発明に係る気体浮上式搬送装置は、対象物を直接的又は間接的に載置するためのスライダと、前記スライダに設けられた穴を通過したレールと、通常動作時において前記スライダを浮上させるための第1の気体を前記スライダに供給し、洗浄動作時において前記スライダを浮上させ且つ前記レールの表面をクリーニングするための第2の気体を前記スライダに供給する気体供給機構と、を含み、前記第2の気体は、前記第1の気体とは異なる気体であって、前記レールの表面を洗浄する成分を有する気体である、ことを特徴とするものである。
上記構成によれば、洗浄動作時において、第2の気体がレールの表面に吹き付けられ、第2の気体によってレールの表面が洗浄される。第2の気体として、汚れを落とす作用を発揮するオゾンガス、プラズマガス等の成分を有する気体が利用され得る。そのような気体を常時、浮上用気体として利用することも考えられるが、その場合にはコストアップという問題が生じるので、望ましくは、一時的に又は間欠的に洗浄工程が実行される。対象物に対して第2の気体が悪影響を及ぼすものであれば、対象物が存在しない状況において洗浄工程が実施される。
異常の程度に応じて、第2の気体の成分比を変更してもよい。洗浄後に確認工程を実行してもよい。荷電粒子線が照射される対象物が第2の気体により影響を受けるものであれば、対象物が存在しない状況において第2の気体による洗浄が実行される。対象物がスライダに対して直接的に載置されてもよいし、対象物が何らかの機構を介してスライダに対して間接的に載置されてもよい。
実施形態においては、前記スライダ及び前記レールを含む搬送機構が真空室内に配置され、前記真空室内において前記対象物に対して荷電粒子線が照射される。気体洗浄によれば、真空室内の真空を維持したまま、レールの洗浄を行える。
実施形態においては、気体浮上式搬送装置が、更に、前記スライダにおける異常を検出する検出部と、前記異常が検出された場合に前記第2の気体を前記スライダに供給する制御部と、を含む。この構成によれば、洗浄の必要性に応じてレールの洗浄を行える。スライダの位置又は姿勢のずれを検出することにより、異常が検出されてもよい。
実施形態においては、洗浄工程の実行時において、前記スライダをその可動域の全体にわたって運動させる制御部が設けられ、あるいは、洗浄工程の実行時において、前記スライダを異常検知部位に位置決める制御部が設けられる。このように、可動域の全体が洗浄されてもよいし、汚染部位が集中的に洗浄されてもよい。
本発明に係る方法は、対象物を直接的又は間接的に載置するためのスライダと、前記スライダに設けられた穴を通過したレールと、を有する気体浮上式搬送装置において、前記レールを洗浄する方法であって、前記スライダを浮上させるための第1の気体を前記スライダに供給する通常工程と、前記スライダを浮上させ且つ前記レールの表面を洗浄するための第2の気体を前記スライダに供給する洗浄工程と、を含み、前記第2の気体は、前記第1の気体とは異なる気体であって、前記レールの表面を洗浄する成分を有する気体である、ことを特徴とする。
本発明によれば、気体浮上式搬送装置において、レールの表面を簡便に洗浄できる。あるいは、気体浮上式搬送装置が収容されている空間の状態を維持したまま、レールの表面を洗浄できる。
実施形態に係る気体浮上式搬送装置を備えた荷電粒子線装置を示す模式図である。 気体浮上式搬送装置の上面を示す図である。 第1実施例の動作を示すフローチャートである。 洗浄工程を示すフローチャートである。 第2実施例の動作を示すフローチャートである。 洗浄工程の変形例を示すフローチャートである。 荷電粒子線装置の変形例を示す模式図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、実施形態に係る荷電粒子線装置が示されている。この荷電粒子線装置は、具体的には、電子ビーム描画装置10である。電子ビーム描画装置10は、例えば、半導体製造用マスクを形成する際に利用されるものである。他の荷電粒子線装置に対して以下に説明する構成が適用されてもよい。
電子ビーム描画装置10は、鏡筒12及び基部14を有している。鏡筒12内には、電子ビーム源、偏向レンズ、対物レンズ等が設けられている。それらの構成により電子ビーム22が生成及び走査される。基部14の内部は真空室16である。真空室16内に気体浮上式搬送装置18が設けられている。気体浮上式搬送装置18はガスベアリング装置とも称される。気体として例えばエアが用いられる。
なお、対象物20を加工する際には、連続的に電子ビーム22を形成しながら電子ビーム22が走査され、あるいは、間欠的に電子ビーム22を形成しながら電子ビーム22が走査される。なお、図1において、左右方向がX方向であり、上下方向がZ方向である。X方向とZ方向に直交する方向(紙面貫通方向)がY方向である。
気体浮上式搬送装置18は、X方向搬送機構18X、Y方向搬送機構18Y1及びY方向搬送機構18Y2を有する。X方向搬送機構18Xは、X方向に伸長したレール24及びレール24に沿って運動するスライダ25を有している。レール24は角軸である。スライダ25は、X方向に貫通した角穴を有し、その角穴をレール24が貫通している。角穴が有する4つの内面には、それぞれ、複数の開口部40,42が設けられている。個々の開口部40,42から浮上用ガスが放出される。これにより、スライダ25の浮上状態が形成される。すなわち、スライダ25がレール24に対して接触していない状態が形成される。浮上状態において、圧力勾配等を利用して、スライダ25に対してX方向への運動力が与えられる。駆動用ガスが別途、供給されてもよい。
スライダ25の上部にステージ19が設けられている。スライダ25の上部それ自体がステージ19として機能してもよい。ステージ19上に対象物20が載置され、それが保持される。もっとも、以下に詳述する洗浄工程の実行時において、対象物20に影響が及ぶおそれがある場合には、ステージ19上に対象物20が存在しない状況において、洗浄工程が実行される。
Y方向搬送機構18Y1及びY方向搬送機構18Y2は、それら両者相俟って、X方向搬送機構18XをY方向に搬送するものである。具体的には、Y方向搬送機構18Y1は、Y方向に伸長したレール26と、レール26に沿って運動するスライダ32と、を有する。スライダ32に対してレール24の一方端部が連結固定されている。スライダ32は、Y方向に貫通した角穴を有し、その角穴を角軸であるレール26が貫通している。角穴が有する4つの内面には、それぞれ複数の開口部が設けられている。個々の開口部は上記同様に浮上用ガスを吹き出すものである。符号36はレール26を保持した支柱を示している。
Y方向搬送機構18Y2は、Y方向搬送機構18Y1と同様の構成を有し、具体的には、レール28及びスライダ34を有する。スライダ34に形成された角穴を角軸であるレール28が貫通している。スライダ34からの気体吹き出しにより、スライダ34は非接触、浮上状態におかれる。符号38はレール28を保持した支柱を示している。スライダ34には、レール24の他方端部が連結固定されている。
ステージ19の位置及び姿勢を検出するために検出部が設けられている。検出部として例えばレーザー干渉計が利用される。図示の例では、センサ44によってステージ19の側面までの距離が計測されている。実際には、ステージ19におけるX方向を向いた面、Y方向を向いた面、及び、Z方向を向いた面に対して、それぞれ、複数の地点で距離計測が行われる。レール表面に汚れが生じた場合、それに起因してスライダの位置や姿勢が変化する。そこで、制御部56は、スライダの位置及び姿勢の変化(正規位置及び正規姿勢から現在の位置及び姿勢のずれ)に基づいて、異常を検出する。具体的には、検出部による距離計測結果に基づいて、制御部56が、X方向の位置ずれ、Y方向の位置ずれ、Z方向の位置ずれ、ピッチ角度ずれ、ローリング角度ずれ、及び、ヨーイング角度ずれを演算し、その演算結果に基づいて異常の有無を判定する。
なお、スライダのスライド方向がX方向である場合、X軸回りの回転がローリングであり、Y軸回りの回転がピッチであり、Z軸回りの回転がヨーイングである。異常が判定された場合、制御部56により、以下に説明する洗浄動作の開始が判定され、また、洗浄動作が制御される。
浮上用ガス源50は、スライダ25,32,34に対して供給する浮上用ガスを生成するものである。浮上用ガスは例えばクリーンドライエアである。洗浄用ガス源52は、レール24,26,28の表面を洗浄する際に用いられる洗浄用ガスを生成するものである。洗浄用ガスは、例えば、オゾンガス、プラズマガス等のガスである。洗浄時には、洗浄用ガスが浮上用ガスに混合され、それにより生じた混合ガスがスライダ25,32,34へ供給される。その混合を行うために混合器54が設けられている。混合の要否及び混合比は制御部56によって決定される。符号58,60,62はスライダ25,32,34へガスを供給するチューブを示している。2つのガスの混合方式としては従来から知られている各種の方法を利用し得る。例えば、並列に配置された複数の電磁バルブを制御することにより、混合比が調整されてもよい。混合前と混合後においてガス圧は維持される。
混合器54内に圧力を安定化させるレギュレータを設けてもよい。
図2には、気体浮上式搬送装置18の上面が示されている。気体浮上式搬送装置18は、上記のように、X方向搬送機構18X、Y方向搬送機構18Y1、及び、Y方向搬送機構18Y2を有する。それらの機構により、ステージ19がX方向及びY方向に走査され、あるいは、ステージ19のX方向座標及びY方向座標が定められる。ステージ19において、X方向に向く側面にはミラー64が設けられ、Y方向に向く側面にはミラー66が設けられている。ミラー64に向けてレーザー光が照射され、反射レーザー光が観測される(符号68を参照)。また、ミラー66に向けてレーザー光が照射され、反射レーザー光が観測される(符号70を参照)。ステージ19には、Z方向を向くミラーも設けられているが、それついては図示省略されている。
図3には、動作例が示されている。S10においてモニタリングの継続が判断された場合、S12において、スライダの位置及び姿勢から、汚れの有無つまり異常の有無が判定されている。具体的には、いずれかの方向又は角度において一定以上のずれが生じた場合に異常が判定される。レール表面とスライダの角穴の内面との間のギャップは非常に小さく、微粒子がそこに入り込んでも、スライダの運動に制約が生じ、あるいは、スライダが停止してしまう。異常が判定された場合、S14において洗浄工程が実行される。その後、S10以後の工程が繰り返し実行される。
図4には、第1実施例に係る洗浄工程が示されている。S20では、浮上用ガスに対して洗浄用ガスを混合することにより生成された混合ガスが各スライダへ供給される。そのような供給状態で、ステージが二次元走査される。例えば、二次元可動域の全体にわたってステージが走査される。必要に応じて、二次元走査が繰り返し実行される。汚染の度合いに応じて、走査速度、繰り返し回数、混合比等を変更するようにしてもよい。S24では、浮上用ガスの供給状態つまり非混合状態において、ステージが二次元可動域の全体にわたって走査され、その過程において、位置ずれや角度ずれが生じていないことが確認される。S24において、正常が判定されない場合、汚染が残留している可能性があるため、S20以降の工程が再び実行される。S24において、正常と判断された場合に洗浄工程は終了する。所定回数の洗浄を行っても、正常が判断されない場合にはエラー処理が実行される。例えば、ユーザーに対してエラーが報知される。
図5には、第2実施例に係る洗浄工程が示されている。なお、既に説明した工程には同一のステップ番号を付しその説明を省略する。このことは図6以後の各図についても同様である。S16では、現在が所定のタイミングであるか否かが判断される。例えば、1日ごと又は数時間ごとにS14の洗浄工程が実行されてもよい。ユーザーにおいて、洗浄工程を実行するタイミングがプログラミングされてもよい。
図6には、洗浄工程の変形例が示されている。S26では、異常が判定された領域に対して、混合ガスによるクリーニングが実行される。この場合、局所的な走査が行われてもよい。あるいは、ステージの位置を固定した状態でクリーニングが実行されてもよい。
図7には、気体浮上式搬送装置18の変形例が示されている。浮上用ガス源50は浮上用ガスを生成するものである。洗浄機能付き浮上用ガス源82は、洗浄ガス成分を含む浮上用ガスを生成するものである。切換器84は、洗浄用ガス又は洗浄機能付き浮上用ガスのいずれかを選択するものである。その動作は制御部86により制御される。洗浄工程は、ステージ19上に対象物が存在しない状況において実行される。これにより、対象物に対して、洗浄用ガスによる悪影響が及ぶことが防止される。例えば、ロボットにより、真空室に隣接して設けられた予備室から真空室内のステージ上へ対象物が移送され、また、ロボットにより、真空室内のステージ上から予備室内へ対象物が移送される(符号88を参照)。
上記実施形態によれば、洗浄動作時において、洗浄用ガスがレール表面に吹き付けられ、洗浄用ガスによってレール表面が洗浄される。洗浄用ガスを浮上用気体として常時使用した場合に比べて、上記実施形態によれば、コストダウンを図れる。なお、複数のレールのそれぞれに対して洗浄を行うのが望ましいが、特定のレールにおいて汚れが生じ易い場合にはそのレールだけを洗浄してもよい。
また、上記実施形態によれば、真空室の状態を維持したまま各レールを簡便に洗浄できる。これにより作業者の負担を大幅に軽減できる。上記実施形態では、3つの搬送機構の組み合わせが用いられていたが、1つの搬送機構のみを有する気体浮上式搬送装置に上記構成が適用されてもよい。
10 電子ビーム描画装置、12 鏡筒、14 基部、16 真空室、18 気体浮上式搬送装置、19 ステージ、20 対象物、24,26,28 レール、25,32,34 スライダ、50 浮上用ガス源、52 洗浄用ガス源、54 混合器、56 制御部。

Claims (6)

  1. 対象物を直接的又は間接的に載置するためのスライダと、
    前記スライダに設けられた穴を通過したレールと、
    通常動作時において前記スライダを浮上させるための第1の気体を前記スライダに供給し、洗浄動作時において前記スライダを浮上させ且つ前記レールの表面をクリーニングするための第2の気体を前記スライダに供給する気体供給機構と、
    を含み、
    前記第2の気体は、前記第1の気体とは異なる気体であって、前記レールの表面を洗浄する成分を有する気体である、
    ことを特徴とする気体浮上式搬送装置。
  2. 請求項1記載の装置において、
    前記スライダ及び前記レールを含む搬送機構が真空室内に配置され、
    前記真空室内において前記対象物に対して荷電粒子線が照射される、
    ことを特徴とする気体浮上式搬送装置。
  3. 請求項1記載の装置において、
    前記スライダにおける異常を検出する検出部と、
    前記異常が検出された場合に前記第2の気体を前記スライダに供給する制御部と、
    を含むことを特徴とする気体浮上式搬送装置。
  4. 請求項1記載の装置において、
    洗浄工程の実行時において、前記スライダをその可動域の全体にわたって運動させる制御部を含む、
    ことを特徴とする気体浮上式搬送装置。
  5. 請求項1記載の装置において、
    洗浄工程の実行時において、前記スライダを異常検知部位に位置決める制御部を含む、
    ことを特徴とする気体浮上式搬送装置。
  6. 対象物を直接的又は間接的に載置するためのスライダと、前記スライダに設けられた穴を通過したレールと、を有する気体浮上式搬送装置において、前記レールを洗浄する方法であって、
    前記スライダを浮上させるための第1の気体を前記スライダに供給する通常工程と、
    前記スライダを浮上させ且つ前記レールの表面を洗浄するための第2の気体を前記スライダに供給する洗浄工程と、
    を含み、
    前記第2の気体は、前記第1の気体とは異なる気体であって、前記レールの表面を洗浄する成分を有する気体である、
    ことを特徴とする洗浄方法。
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