以下に、実施の形態にかかる電動機を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる電動機50を備える電動機システム100の概略構成を示す模式図である。電動機システム100は、電動機50と、線状に延びた設置物であるガイド60と、ガイド60に沿って移動可能なスライダ70とを備える。
電動機50は、可動子1と固定子2とを有する。可動子1は、固定子2に向かい合わせて配置されている。固定子2は、界磁である。可動子1は、界磁との相互作用による推力を得るための電機子である。可動子1は、間隙を介して固定子2と対向する。可動子1は、スライダ70に固定されている。可動子1は、可動子1と固定子2との相互作用により発生する推力によって、スライダ70とともにガイド60に沿って移動する。可動子1は、固定子2に対して直線方向に移動可能である。すなわち、可動子1は、固定子2に対して相対的に移動可能である。電動機50は、可動子1を直線方向に動作させる直動電動機である。図1に示す両矢印は、可動子1が移動可能な方向、すなわち、可動子1の進行方向を表す。
固定子2は、取付座22を有する固定子鉄心と、取付座22の表面に設けられた複数の永久磁石21とを有する。固定子鉄心の図示は省略する。各永久磁石21は、固定子鉄心の表面の取付座22に貼り付けられている。複数の永久磁石21は、可動子1の進行方向に並ぶ。
図2は、実施の形態1にかかる電動機50の断面図である。図2に示す断面は、可動子1の進行方向と、可動子1および固定子2が対向する方向とを含む断面である。図2に示す固定子2の断面は、固定子2のうち可動子1と対向する部分の断面とする。
可動子1は、可動子鉄心と、可動子鉄心に取り付けられた複数のコイル13とを有する。可動子鉄心は、可動子1の進行方向へ延ばされたコアバック11と、コアバック11から固定子2の方へ延ばされた複数のティース12とを有する。実施の形態1では、可動子1は、5個のティース12を有する。5個のティース12は、可動子1の進行方向に並ぶ。各ティース12のうち界磁側の先端部は、ストレート状である。コイル13が配置されるスロットは、可動子1の進行方向においてティース12と隣り合う部分である。互いに隣り合うティース12同士は、スロットを構成する。各コイル13は、ティース12に導線が集中的に巻回されることによって構成されている。すなわち、可動子1が有する複数のコイル13の各々は、スロットを跨がないように配置されている。
実施の形態1では、可動子1の進行方向に並ぶ複数の永久磁石21のうちの4個が、5個のティース12と対向する。すなわち、可動子1の進行方向において5個のティース12と対向する範囲にある磁極の数は4である。
可動子1には、3相交流電源から電圧が印加される。3相交流電源の図示は省略する。可動子1のティース12の数をN、ティース12の数であるNと、N個のティース12と対向する範囲にある磁極の数との最大公約数をCとする。以下、磁極の数とは、N個のティース12と対向する範囲にある磁極の数とする。実施の形態1では、磁極の数は4であって、N=5およびC=1である。実施の形態1では、N/Cは5であって、3の倍数以外の整数である。Nは3の倍数以外の整数である。電動機50は、かかる条件を満足することによって、コギングトルクを低減させることができるという効果を得られる。
実施の形態1では、可動子1の各ティース12に、便宜的にティース番号を割り当てる。各ティース12には、図2において左から右へ向かって、それぞれティース番号であるt1,t2,t3,t4,t5が割り当てられている。
5個のティース12には、3相のコイル13が取り付けられている。t1のティース12には、-U相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、-V相のコイル13が取り付けられている。t3のティース12には、+V相のコイル13と-W相のコイル13とが取り付けられている。t4のティース12には、+W相のコイル13が取り付けられている。t5のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。「+」と「-」とは、コイル13の巻き方向を表す。なお、図2に示す、U-,V-,V+,W-,W+,U+は、それぞれ、-U相、-V相、+V相、-W相、+W相、+U相を表す。
t1,t2,t4,t5の各ティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である。t3のティース12は、2相のコイル13が取り付けられたティース12である。このように、可動子1の複数のティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である第1のティースと、複数の相のコイル13が取り付けられたティース12である第2のティースとを含む。t1,t2,t4,t5の各ティース12は、第1のティースである。t3のティース12は、第2のティースである。可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12であるt1のティース12とt5のティース12との各々は、第1のティースである。
電動機50では、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されている。実施の形態1では、5個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置されている。また、実施の形態1において、セクション10に含まれる第2のティースは、1個である。
図3は、実施の形態1において各ティース12に取り付けられているコイル13の巻数の例を示す図である。図3には、各ティース12における相ごとのコイル13の巻数と、各ティース12の合計巻数とを示す。図3に示す巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された巻数とする。図3に示す合計巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された合計巻数とする。すなわち、可動子1の全体における巻数に対する比によって、各ティース12の巻数と合計巻数とを表す。また、図3には、可動子1の全体における直列導体数に対する、相ごとの直列導体数の比を示す。
図3に示すように、t3のティース12における合計巻数は、0.12である。t2のティース12とt4のティース12との各々は、第2のティースと隣り合う第1のティースである。t2のティース12とt4のティース12との各々における合計巻数である0.27は、t3のティース12における合計巻数である0.12よりも多い。このように、実施の形態1のセクション10では、第2のティースと隣り合う第1のティースにおけるコイル13の合計巻数が、第2のティースにおけるコイル13の合計巻数よりも多い。
また、t1のティース12とt5のティース12との各々は、1個の第1のティースを介して第2のティースと隣り合う第1のティースである。t1のティース12とt5のティース12との各々における合計巻数である0.17は、t2のティース12とt4のティース12との各々における合計巻数である0.27よりも少ない。このように、実施の形態1のセクション10では、1個の第1のティースを介して第2のティースと隣り合う第1のティースにおけるコイル13の合計巻数が、第2のティースと隣り合う第1のティースにおけるコイル13の合計巻数よりも少ない。
ここで、実施の形態1の比較例にかかる電動機の構成を説明する。図4は、実施の形態1の比較例にかかる電動機51の断面図である。図5は、実施の形態1の比較例において各ティース12に取り付けられているコイル13の巻数の例を示す図である。図2に示す電動機50と同様に、可動子1は、5個のティース12を有する。t1のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、+V相のコイル13と-U相のコイル13とが取り付けられている。t3のティース12には、-V相のコイル13が取り付けられている。t4のティース12には、+V相のコイル13と-W相のコイル13とが取り付けられている。t5のティース12には、+W相のコイル13が取り付けられている。
電動機51のセクション10は、2個の第2のティースを有する。電動機51のセクション10において、第2のティースであるt2のティース12と、第2のティースであるt4のティース12との間には、第1のティースであるt3のティース12が配置されている。電動機51のセクション10におけるコイル13の数は、図2に示す電動機50のセクション10におけるコイル13の数よりも1個多い。また、電動機51のセクション10には、1個の第1のティースを介して第2のティースと隣り合う第1のティースは存在しない。
図6は、実施の形態1にかかる電動機50の各コイル13における誘起電圧を表すベクトル図である。図7は、実施の形態1の比較例にかかる電動機51の各コイル13における誘起電圧を表すベクトル図である。図6および図7において、実線矢印で示すベクトルは、ティース12に配置された各コイル13における誘起電圧の振幅と位相とを表す。図6および図7の各ベクトル図では、永久磁石21のピッチの2倍長さを位相角360度とする。以下、コイル13における誘起電圧の振幅と位相とを表すベクトルを、誘起電圧ベクトルと称する。図6に示す「t1_U-」は、t1のティース12に取り付けられた-U相のコイル13の誘起電圧ベクトルとする。図6および図7では、各コイル13の誘起電圧ベクトルを、「t1_U-」の場合と同じ要領により表記するものとする。破線矢印で示すベクトルは、各相の誘起電圧ベクトルであって、各コイル13の誘起電圧ベクトルを相ごとに合成した合成ベクトルである。
互いに隣り合うティース12間の位相差は、磁極の数であるPと、ティース12の数であるNとを用いて、{360×(P/2)/N}度と表される。例えば、電動機50では、t1のティース12とt2のティース12との位相差は、360°×(4/2)/5=144°である。電動機50の各ティース12は、互いに隣り合うティース12間の位相差が144度となるように配置される。なお、巻き方向が「-」である場合における誘起電圧の位相は、巻き方向が「+」である場合における誘起電圧の位相に対して180度進む。
各コイル13の誘起電圧ベクトルを相ごとに合成することで、各相の誘起電圧ベクトルが得られる。各相の分布巻係数kdであるkd,phaseは、次の式(1)により定義される。
NCは、各相のコイル13の合計数を表す。Nphase,i(i=1,・・・,NC)は、各コイル13の巻数を表す。θphase,iは、各コイル13における誘起電圧ベクトルの位相を表す。θphaseは、各相の合成ベクトルの位相を表す。θphaseは、次の式(2)により定義される。
例えば、電動機50におけるU相の合成ベクトルは、「t1_U-」と「t5_U+」とを合成した合成ベクトルである。「t1_U+」の位相を0度とすると、「t1_U-」の位相であるθU,1は180度である。「t5_U+」の位相であるθU,2は、144°×(5-1)=576°と計算される。かかるθU,2を0度から360度までの角度に換算すると、θU,2は、216度である。「t1_U-」のコイル13の巻数と「t5_U+」のコイル13の巻数とは互いに同等であるため、U相の合成ベクトルの位相であるθUは、(θU,1+θU,2)/2=(180°+216°)/2=198°と計算される。
U相の分布巻係数kdであるkd,Uは、式(1)の各変数に値が代入されることにより、次の式(3)のように計算される。NU,1は、U相を構成するコイル13である「t1_U-」のコイル13の巻数である。NU,2は、U相を構成するコイル13である「t5_U+」のコイル13の巻数である。
kd,U={NU,1×cos(180°-198°)+NU,2×cos(216°-198°)}/(NU,1+NU,2) ・・・(3)
V相の分布巻係数kdであるkd,Vと、W相の分布巻係数kdであるkd,Wとの各々は、kd,Uの場合と同様の計算によって求めることができる。U相、V相およびW相である全ての相の分布巻係数kdの合計であるkd,UVWは、次の式(4)により計算される。
kd,UVW=(kd,U+kd,V+kd,W)/3 ・・・(4)
図8は、実施の形態1にかかる電動機50における分布巻係数の増加について説明するための図である。図8には、比較例にかかる電動機51の分布巻係数の値を表す棒グラフと、実施の形態1にかかる電動機50の分布巻係数の値を表す棒グラフとを示す。分布巻係数の値は、電動機51の分布巻係数の値を基に規格化された値とする。すなわち、電動機51の分布巻係数の値に対する比によって、分布巻係数の値を表す。
図6に示す実施の形態1の場合、U相のコイル13は2個、V相のコイル13は2個、W相のコイル13は2個である。図7に示す比較例の場合、U相のコイル13は2個、V相のコイル13は3個、W相のコイル13は2個である。実施の形態1では、比較例の場合よりもコイル13が1個少ないことから、比較例の場合よりも少ない巻数で、比較例の場合と同等の振幅を得ることができる。よって、実施の形態1では、比較例の場合よりも分布巻係数を増加させることができる。
電動機50は、図2に示すコイル配置と図3に示す巻数とを採用することによって、図4に示すコイル配置と図5に示す巻数とを備える比較例の場合と比べて分布巻係数を増加できる効果が得られる。
電動機50では、第2のティースと第2のティースとの間に第1のティースが配置される構成は採用されていない。電動機50は、比較例の場合と比べて分布巻係数を高くすることができるため、可動子1におけるコイル13の発熱を低減できる。
電動機50は、上述するように各ティース12の合計巻数が設定されることによって、各相の誘起電圧およびインダクタンスの差分を低減できる。これにより、電動機50は、電動機50の端子電圧の差異を低減できる効果が得られる。また、電動機50は、各相の合計巻数の差分を低減できるため、抵抗値の差分を低減できる。これにより、電動機50は、コイル13の局所的な発熱を低減できる効果が得られる。
図9は、実施の形態1にかかる電動機50による相互インダクタンスの低減について説明するための図である。図9には、比較例にかかる電動機51の相互インダクタンスの値を表す棒グラフと、実施の形態1にかかる電動機50の相互インダクタンスの値を表す棒グラフとを示す。相互インダクタンスの値は、電動機51の相互インダクタンスの値を基に規格化された値とする。すなわち、電動機51の相互インダクタンスの値に対する比によって、相互インダクタンスの値を表す。電動機50は、図2に示すコイル配置と図3に示す巻数とを採用することによって、図4に示すコイル配置と図5に示す巻数とを備える比較例の場合と比べて相互インダクタンスを低減できる効果が得られる。
なお、電動機50は、各ティース12に取り付けられるコイル13の巻数が図3に示すように設定されるものに限られない。2相のコイル13が取り付けられるティース12の巻数が他のティース12に比べて極端に大きくならなければ良く、各ティース12の巻数の組み合わせは、図3に示す場合とは異なっても良い。電動機50は、各ティース12の巻数の組み合わせが図3に示す場合とは異なる場合でも、図3に示すように各コイル13の巻数が設定される場合と同様の効果が得られる。
複数の相のコイル13が取り付けられるティース12におけるコイル13の配置の順序は任意とする。図2に示すt3のティース12における、+V相のコイル13と-W相のコイル13との順序は、図2に示す場合とは逆でも良い。また、複数のティース12におけるコイル13の配置は、可動子1の進行方向における相の順序が図2に示す場合と同じであれば良い。図2に示す場合と相の順序が同じであれば、進行方向における端に位置する相はいずれの相であっても良い。
実施の形態1では、可動子1の構成を、N=5およびC=1を満足する構成とした。すなわち、可動子1は、5個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置された構成とした。電動機50では、複数のセクション10が進行方向に配置されても良い。すなわち、可動子1は、複数のセクション10を備える構成であっても良い。この場合、Cは1よりも大きい自然数である。電動機50は、Cが1よりも大きい自然数である場合も、Cが1である場合と同様に上述の効果を得ることができる。
実施の形態1では、可動子1の構成を、単一または複数のセクション10が進行方向に配置される構成とした。これに加え、可動子1のうち進行方向の両端の各々には、コイル13を有しないティース12である補助ティースが取り付けられても良い。電動機50は、可動子1のうち進行方向の両端の各々に補助ティースが取り付けられる場合も、補助ティースが取り付けられない場合と同様の効果を得ることができる。
複数のティース12の各々は、界磁側の先端部がストレート状であるものに限られない。ティース12の界磁側の先端部には、進行方向に向けられた突起、またはくぼみが形成されていても良い。電動機50は、ティース12に突起またはくぼみが形成されている場合も、ティース12がストレート状である場合と同様の効果を得ることができる。
実施の形態1では、複数の永久磁石21が固定子鉄心の表面にて取付座22に貼り付けられる構成について説明したが、電動機50は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる構成であっても良い。電動機50は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる場合も、複数の永久磁石21が固定子鉄心の表面に設けられる場合と同様の効果を得ることができる。
実施の形態1によると、電動機50は、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されており、セクション10における第2のティースが1個である。電動機50は、分布巻係数を高くすることができることによって、可動子1におけるコイル13の発熱を低減できる。以上により、電動機50は、コイル13の発熱を低減できるという効果を奏する。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2にかかる電動機52の断面図である。実施の形態2では、可動子1におけるティース12およびコイル13の配置が、実施の形態1の場合とは異なる。実施の形態2では、上記の実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。図10に示す固定子2の断面は、図2の場合と同様に、固定子2のうち可動子1と対向する部分の断面とする。
実施の形態2では、磁極の数は3であって、N=4およびC=1である。実施の形態2では、N/Cは4であって、3の倍数以外の整数である。Nは3の倍数以外の整数である。電動機52は、かかる条件を満足することによって、コギングトルクを低減させることができるという効果を得られる。
実施の形態2では、可動子1の各ティース12に、便宜的にティース番号を割り当てる。各ティース12には、図10において左から右へ向かって、それぞれティース番号であるt1,t2,t3,t4が割り当てられている。
4個のティース12には、3相のコイル13が取り付けられている。t1のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、+V相のコイル13と-U相のコイル13とが取り付けられている。t3のティース12には、-V相のコイル13と+W相のコイル13とが取り付けられている。t4のティース12には、-W相のコイル13が取り付けられている。
t1,t4の各ティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である。t2,t3のティース12は、2相のコイル13が取り付けられたティース12である。このように、可動子1の複数のティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である第1のティースと、複数の相のコイル13が取り付けられたティース12である第2のティースとを含む。t1,t4の各ティース12は、第1のティースである。t2,t3のティース12は、第2のティースである。可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12であるt1のティース12とt4のティース12との各々は、第1のティースである。
電動機52では、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されている。実施の形態2では、4個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置されている。また、実施の形態2において、セクション10に含まれる第2のティースは2個である。セクション10では、進行方向において2個の第2のティースが連続して配置されている。すなわち、第2のティースと第2のティースとの間には、第1のティースが配置されていない。
図11は、実施の形態2において各ティース12に取り付けられているコイル13の巻数の例を示す図である。図11には、各ティース12における相ごとのコイル13の巻数と、各ティース12の合計巻数とを示す。図11に示す巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された巻数とする。図11に示す合計巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された合計巻数とする。すなわち、可動子1の全体における巻数に対する比によって、各ティース12の巻数と合計巻数とを表す。また、図11には、可動子1の全体における直列導体数に対する、相ごとの直列導体数の比を示す。
図11に示す例では、t1のティース12における合計巻数である0.27とt4のティース12における合計巻数である0.27との和は、0.54である。t2のティース12における合計巻数である0.23とt3のティース12における合計巻数である0.23との和は、0.46である。このように、実施の形態2では、セクション10に含まれる全ての第1のティースにおけるコイル13の合計巻数が、セクション10に含まれる全ての第2のティースにおけるコイル13の合計巻数よりも多い。
ここで、実施の形態2の比較例にかかる電動機の構成を説明する。図12は、実施の形態2の比較例にかかる電動機53の断面図である。図13は、実施の形態2の比較例において各ティース12に取り付けられているコイル13の巻数の例を示す図である。図10に示す電動機52と同様に、可動子1は、4個のティース12を有する。t1のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、+V相のコイル13と-U相のコイル13とが取り付けられている。t3のティース12には、+W相のコイル13が取り付けられている。t4のティース12には、+V相のコイル13と-W相のコイル13とが取り付けられている。
電動機53において、t1,t3の各ティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられた第1のティースである。t2,t4のティース12の各々は、2相のコイル13が取り付けられている。t2,t4のティース12は、複数のコイル13が取り付けられた第2のティースである。電動機53では、第2のティースと第2のティースとの間に1個の第1のティースが配置されている。
図13に示す比較例では、t1のティース12における合計巻数である0.27とt3のティース12における合計巻数である0.06との和は、0.33である。t2のティース12における合計巻数である0.34とt4のティース12における合計巻数である0.40との和は、0.74である。比較例では、図13に示す実施の形態2の場合とは異なり、セクション10に含まれる全ての第1のティースにおけるコイル13の合計巻数が、セクション10に含まれる全ての第2のティースにおけるコイル13の合計巻数よりも少ない。
図14は、実施の形態2にかかる電動機52の各コイル13における誘起電圧を表すベクトル図である。図15は、実施の形態2の比較例にかかる電動機53の各コイル13における誘起電圧を表すベクトル図である。図14および図15において、実線矢印で示すベクトルは、誘起電圧ベクトルである。図14および図15の各ベクトル図では、永久磁石21のピッチの2倍長さを位相角360度とする。破線矢印で示すベクトルは、各相の誘起電圧ベクトルであって、各コイル13の誘起電圧ベクトルを相ごとに合成した合成ベクトルである。
互いに隣り合うティース12間の位相差は、磁極の数であるPと、ティース12の数であるNとを用いて、{360×(P/2)/N}度と表される。例えば、電動機52では、t1のティース12とt2のティース12との位相差は、360°×(3/2)/4=135°である。電動機52の各ティース12は、互いに隣り合うティース12間の位相差が135度となるように配置される。実施の形態2においても、実施の形態1の場合と同様の計算によって、U相、V相およびW相である全ての相の分布巻係数kdの合計であるkd,UVWが求まる。
図14と図15とを比較すると、実施の形態2にかかる電動機52は、図14における「t3_V-」とV相の合成ベクトルとの位相差が、図15における「t4_V+」とV相の合成ベクトルとの位相差よりも小さいという特徴を有する。
図16は、実施の形態2にかかる電動機52における分布巻係数の増加について説明するための図である。図16には、比較例にかかる電動機53の分布巻係数の値を表す棒グラフと、実施の形態2にかかる電動機52の分布巻係数の値を表す棒グラフとを示す。分布巻係数の値は、電動機53の分布巻係数の値を基に規格化された値とする。すなわち、電動機53の分布巻係数の値に対する比によって、分布巻係数の値を表す。
電動機52は、図10に示すコイル配置と図11に示す巻数とを採用することによって、図12に示すコイル配置と図13に示す巻数とを備える比較例の場合と比べて分布巻係数を増加できる効果が得られる。
電動機52では、第2のティースと第2のティースとの間に第1のティースが配置される構成は採用されていない。電動機52は、比較例の場合と比べて分布巻係数を高くすることができるため、可動子1におけるコイル13の発熱を低減できる。
電動機52は、上述するように各ティース12の合計巻数が設定されることによって、各相の誘起電圧およびインダクタンスの差分を低減できる。これにより、電動機52は、電動機52の端子電圧の差異を低減できる効果が得られる。また、電動機52は、各相の合計巻数の差分を低減できるため、抵抗値の差分を低減できる。これにより、電動機52は、コイル13の局所的な発熱を低減できる効果が得られる。
実施の形態2では、可動子1の構成を、N=4およびC=1を満足する構成とした。すなわち、可動子1は、4個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置された構成とした。電動機52では、複数のセクション10が進行方向に配置されても良い。すなわち、可動子1は、複数のセクション10を備える構成であっても良い。この場合、Cは1よりも大きい自然数である。電動機52は、Cが1よりも大きい自然数である場合も、Cが1である場合と同様に上述の効果を得ることができる。
実施の形態2では、可動子1の構成を、単一または複数のセクション10が進行方向に配置される構成とした。これに加え、可動子1のうち進行方向の両端の各々には補助ティースが取り付けられても良い。電動機52は、可動子1のうち進行方向の両端の各々に補助ティースが取り付けられる場合も、補助ティースが取り付けられない場合と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1の場合と同様に、ティース12の界磁側の先端部には、進行方向に向けられた突起、またはくぼみが形成されても良い。実施の形態1の場合と同様に、電動機52は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる構成であっても良い。
実施の形態2によると、電動機52は、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されており、セクション10では進行方向において2個の第2のティースが連続して配置されている。電動機52は、分布巻係数を高くすることができることによって、可動子1におけるコイル13の発熱を低減できる。以上により、電動機52は、コイル13の発熱を低減できるという効果を奏する。
実施の形態3.
図17は、実施の形態3にかかる電動機54の断面図である。実施の形態3では、可動子1におけるティース12およびコイル13の配置が、実施の形態1または2の場合とは異なる。実施の形態3では、上記の実施の形態1または2と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1または2とは異なる構成について主に説明する。図17に示す固定子2の断面は、図2の場合と同様に、固定子2のうち可動子1と対向する部分の断面とする。
実施の形態3では、磁極の数は4であって、N=5およびC=1である。実施の形態3では、N/Cは5であって、3の倍数以外の整数である。Nは3の倍数以外の整数である。電動機54は、かかる条件を満足することによって、コギングトルクを低減させることができるという効果を得られる。
実施の形態3では、可動子1の各ティース12に、便宜的にティース番号を割り当てる。各ティース12には、図17において左から右へ向かって、それぞれティース番号であるt2,t3,t4,t5,t1が割り当てられている。
5個のティース12には、3相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、-V相のコイル13が取り付けられている。t3のティース12には、+V相のコイル13と-W相のコイル13とが取り付けられている。t4のティース12には、+W相のコイル13が取り付けられている。t5のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。t1のティース12には、-U相のコイル13が取り付けられている。
t2,t4,t5,t1の各ティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である。t3のティース12は、2相のコイル13が取り付けられたティース12である。このように、可動子1の複数のティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である第1のティースと、複数の相のコイル13が取り付けられたティース12である第2のティースとを含む。t2,t4,t5,t1の各ティース12は、第1のティースである。t3のティース12は、第2のティースである。可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12であるt2のティース12とt1のティース12との各々は、第1のティースである。
電動機54では、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されている。実施の形態3では、5個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置されている。また、実施の形態3において、セクション10に含まれる第2のティースは、1個である。
第2のティースには、相間の絶縁のためのインシュレータが取り付けられている。第2のティースでは、インシュレータが占める分、第1のティースに比べて巻線面積が小さくなる。また、可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12には、コイル13を保護するため保護部品が取り付けられている。端に位置するティース12では、保護部品が占める分、端以外の位置のティース12に比べて巻線面積が小さくなる。
仮に、可動子1のうち進行方向における端に第2のティースが配置される場合、当該第2のティースにはインシュレータと保護部品とが取り付けられることによって、当該第2のティースにおける巻線面積は著しく小さくなる。当該第2のティースでは、巻数を稼ぐために、線径が細い導線によって形成されたコイル13が取り付けられることとなる。この場合、線径が細くなることによって、コイル13の発熱が大きくなる。
電動機54では、可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12が第1のティースであることによって、複数のティース12のうち進行方向における端に位置するティース12において巻線面積が局所的に小さくなることが防がれる。進行方向における端に位置する第1のティースには、線径が太い導線によって形成されたコイル13を配置可能であることによって、コイル13の発熱を低減できる。以上により、電動機54は、可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12が第1のティースであることによって、コイル13の発熱を低減できるという効果を奏する。
実施の形態1,2においても、電動機50,52は、可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12が第1のティースであることによって、コイル13の発熱を低減できる効果を得ることができる。
実施の形態3では、可動子1は、5個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置された構成とした。電動機54では、複数のセクション10が進行方向に配置されても良い。すなわち、可動子1は、複数のセクション10を備える構成であっても良い。この場合、Cは1よりも大きい自然数である。電動機54は、Cが1よりも大きい自然数である場合も、Cが1である場合と同様に上述の効果を得ることができる。
実施の形態3では、可動子1の構成を、単一または複数のセクション10が進行方向に配置される構成とした。これに加え、可動子1のうち進行方向の両端の各々には補助ティースが取り付けられても良い。電動機54は、可動子1のうち進行方向の両端の各々に補助ティースが取り付けられる場合も、補助ティースが取り付けられない場合と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1または2の場合と同様に、ティース12の界磁側の先端部には、進行方向に向けられた突起、またはくぼみが形成されても良い。実施の形態1または2の場合と同様に、電動機54は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる構成であっても良い。
実施の形態4.
図18は、実施の形態4にかかる電動機55の断面図である。実施の形態4では、可動子1におけるティース12およびコイル13の配置が、実施の形態1から3の場合とは異なる。実施の形態4では、上記の実施の形態1から3と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から3とは異なる構成について主に説明する。図18に示す固定子2の断面は、図2の場合と同様に、固定子2のうち可動子1と対向する部分の断面とする。
実施の形態4では、磁極の数は3であって、N=4およびC=1である。実施の形態4では、N/Cは4であって、3の倍数以外の整数である。Nは3の倍数以外の整数である。電動機54は、かかる条件を満足することによって、コギングトルクを低減させることができるという効果を得られる。
実施の形態4では、可動子1の各ティース12に、便宜的にティース番号を割り当てる。各ティース12には、図18において左から右へ向かって、それぞれティース番号であるt1,t2,t3,t4が割り当てられている。
4個のティース12には、3相のコイル13が取り付けられている。t1のティース12には、+U相のコイル13が取り付けられている。t2のティース12には、+V相のコイル13が取り付けられている。t3のティース12には、+W相のコイル13と-V相のコイル13とが取り付けられている。t4のティース12には、-W相のコイル13が取り付けられている。
t1,t2,t4の各ティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である。t3のティース12は、2相のコイル13が取り付けられたティース12である。このように、可動子1の複数のティース12は、1相のコイル13のみが取り付けられたティース12である第1のティースと、複数の相のコイル13が取り付けられたティース12である第2のティースとを含む。t1,t2,t4の各ティース12は、第1のティースである。t3のティース12は、第2のティースである。可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12であるt1のティース12とt4のティース12との各々は、第1のティースである。電動機55は、可動子1のうち進行方向における端に位置するティース12が第1のティースであることによって、コイル13の発熱を低減できる。
電動機55では、N/C個のティース12で構成されたセクション10が進行方向にC個配置されている。実施の形態4では、4個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置されている。また、実施の形態4において、セクション10における第2のティースは、1個である。
図19は、実施の形態4において各ティース12に取り付けられているコイル13の巻数の例を示す図である。図19には、各ティース12における相ごとのコイル13の巻数と、各ティース12の合計巻数とを示す。図19に示す巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された巻数とする。図19に示す合計巻数は、複数のティース12全体の巻数を基に規格化された合計巻数とする。すなわち、可動子1の全体における巻数に対する比によって、各ティース12の巻数と合計巻数とを表す。また、図19には、可動子1の全体における直列導体数に対する、相ごとの直列導体数の比を示す。
図19に示すように、t3のティース12における合計巻数は、0.23である。t2のティース12とt4のティース12との各々は、第2のティースと隣り合う第1のティースである。t1のティース12は、1個の第1のティースを介して第2のティースと隣り合う第1のティースである。t1のティース12における合計巻数である0.32は、t2のティース12とt4のティース12との各々における合計巻数である0.23よりも多い。このように、実施の形態4のセクション10では、1個の第1のティースを介して第2のティースと隣り合う第1のティースにおけるコイル13の合計巻数が、第2のティースと隣り合う第1のティースにおけるコイル13の合計巻数よりも多い。
図20は、実施の形態4にかかる電動機55における分布巻係数の増加について説明するための図である。ここでは、実施の形態4にかかる比較例の構成は、図12に示す電動機53の構成であるものとする。図20には、比較例にかかる電動機53の分布巻係数の値を表す棒グラフと、実施の形態4にかかる電動機55の分布巻係数の値を表す棒グラフとを示す。分布巻係数の値は、電動機53の分布巻係数の値を基に規格化された値とする。すなわち、電動機53の分布巻係数の値に対する比によって、分布巻係数の値を表す。
電動機55は、図18に示すコイル配置と図19に示す巻数とを採用することによって、図12に示すコイル配置と図13に示す巻数とを備える比較例の場合と比べて分布巻係数を増加できる効果が得られる。
電動機55では、第2のティースと第2のティースとの間に第1のティースが配置される構成は採用されていない。電動機55は、比較例の場合と比べて分布巻係数を高くすることができるため、可動子1におけるコイル13の発熱を低減できる。
電動機55は、上述するように各ティース12の合計巻数が設定されることによって、各相における誘起電圧の差異を低減でき、かつ、各相におけるインダクタンスの差異を低減できる。また、電動機55は、分布巻係数を増加させることができる。電動機55は、同一の推力を得る場合における電流値を低減可能であることによって、コイル13の発熱を低減できる。以上により、電動機55は、コイル13の発熱を低減できるという効果を奏する。
実施の形態4では、可動子1は、4個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置された構成とした。電動機55では、複数のセクション10が進行方向に配置されても良い。すなわち、可動子1は、複数のセクション10を備える構成であっても良い。この場合、Cは1よりも大きい自然数である。電動機55は、Cが1よりも大きい自然数である場合も、Cが1である場合と同様に上述の効果を得ることができる。
実施の形態4では、可動子1の構成を、単一または複数のセクション10が進行方向に配置される構成とした。これに加え、可動子1のうち進行方向の両端の各々には補助ティースが取り付けられても良い。電動機55は、可動子1のうち進行方向の両端の各々に補助ティースが取り付けられる場合も、補助ティースが取り付けられない場合と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1から3の場合と同様に、ティース12の界磁側の先端部には、進行方向に向けられた突起、またはくぼみが形成されても良い。実施の形態1から3の場合と同様に、電動機55は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる構成であっても良い。
実施の形態5.
図21は、実施の形態5にかかる電動機56の断面図である。実施の形態5では、第2のティースであるt3のティース12における各コイル13の配置が、図2に示す電動機50の場合とは異なる。電動機56の構成は、t3のティース12における各コイル13の配置が電動機50の場合とは異なる点を除いて、電動機50の構成と同様である。実施の形態5では、上記の実施の形態1から4と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1から4とは異なる構成について主に説明する。図21に示す固定子2の断面は、図2の場合と同様に、固定子2のうち可動子1と対向する部分の断面とする。
各ティース12は、コアバック11から固定子2の方へ延ばされている。コアバック11から固定子2へ向かう方向を、ティース12の長手方向とする。図2に示すt3のティース12において、+V相のコイル13と-W相のコイル13とは、ティース12の長手方向において互いに隣り合う。一方、図21に示すt3のティース12において、+V相のコイル13は、ティース12側である内側に巻かれている。-W相のコイル13は、+V相のコイル13の外側に巻かれている。すなわち、t3のティース12では、+V相のコイル13が取り付けられた上に、-W相のコイル13が取り付けられている。なお、t3のティース12では、-W相のコイル13が取り付けられた上に、+V相のコイル13が取り付けられても良い。
実施の形態5で説明するように第2のティースの各コイル13が配置されていることによって、コアバック11に接する位置に、コイル13の巻き始めの位置とコイル13の巻き終わりの位置とを揃えることができる。すなわち、可動子1に備えられる全てのコイル13について、コイル13の巻き始めの位置とコイル13の巻き終わりの位置とをコアバック11側に揃えることができる。この場合、コイル13の巻き終わりの位置から中性点までの距離、または、コイル13の巻き始めの位置から端子までの距離を最小化させることができ、コイル13の抵抗を低くすることができる。これにより、電動機56は、コイル13の発熱を低減できる効果が得られる。
実施の形態5で説明するように第2のティースの各コイル13が配置されていることによって、コイル13を通過する磁束を同一に保つことができる。したがって、電動機56は、各相のインダクタンスの差分を小さくすることができ、電動機56の端子電圧の差異を低減できる効果が得られる。
実施の形態5では、可動子1は、5個のティース12で構成されたセクション10が進行方向に1個配置された構成とした。電動機56では、複数のセクション10が進行方向に配置されても良い。すなわち、可動子1は、複数のセクション10を備える構成であっても良い。この場合、Cは1よりも大きい自然数である。電動機56は、Cが1よりも大きい自然数である場合も、Cが1である場合と同様に上述の効果を得ることができる。
実施の形態5では、可動子1の構成を、単一または複数のセクション10が進行方向に配置される構成とした。これに加え、可動子1のうち進行方向の両端の各々には補助ティースが取り付けられても良い。電動機56は、可動子1のうち進行方向の両端の各々に補助ティースが取り付けられる場合も、補助ティースが取り付けられない場合と同様の効果を得ることができる。また、実施の形態1から4の場合と同様に、ティース12の界磁側の先端部には、進行方向に向けられた突起、またはくぼみが形成されても良い。実施の形態1から4の場合と同様に、電動機56は、複数の永久磁石21が固定子鉄心の内部に埋め込まれる構成であっても良い。
実施の形態1から5にかかる電動機50,52,54,55,56の構成は、回転電機に適用されても良い。回転電機は、固定子と回転子とを備え、回転子を回転動作させる電動機である。電動機50,52,54,55,56の構成が回転電機に適用される場合も、電動機50,52,54,55,56の場合と同様の効果を得ることができる。
以上の各実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。各実施の形態の構成は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。各実施の形態の構成同士が適宜組み合わせられても良い。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、各実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。