JP7190542B1 - 接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れる接着剤を提供する。【解決手段】本発明の接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有している。【選択図】 なし

Description

本発明は、接着剤に関する。
従来、各種プラスチック用の接着剤として、低温域(例えば、-10℃~15℃)での接着安定性、並びに、常温域(25±10℃)での接着性、柔軟性、加工性、及び、各種分子設計の容易さから、ポリウレタン系の接着剤が多く使われている。
前記ポリウレタン系の接着剤としては、主剤として、ポリエステルポリオールやアクリルポリオールを含み、かつ、架橋剤として、ポリイソシアネートを含んでおり、前記主剤と前記架橋剤との間で架橋反応を進行させることによりウレタン結合を生成させて用いられるものや、主剤として、ある程度の鎖長を有するポリウレタン(いわゆる、ポリウレタンプレポリマー)を含み、かつ、架橋剤として、イソシアネート系架橋剤を含んでおり、前記主剤と前記架橋剤との間で架橋反応を進行させ硬化させることにより用いられるものがある。
また、ウレタン結合に代えてウレア結合を多く系内に導入させたポリウレタン-ウレア樹脂をポリウレタン樹脂の代わりに用い、更に、エポキシ樹脂を含有させた接着剤も知られている(例えば、下記特許文献1)。
さらに、カルボキシル基を有するウレタン樹脂にエポキシ当量が比較的高い(例えば、5000g/eq以上の)フェノキシ樹脂と、3官能以上のエポキシ樹脂とを用いた接着剤も知られている(例えば、下記特許文献2)。
また、主剤としてポリウレタン樹脂を含み、架橋剤としてエポキシ樹脂を含む接着剤も知られている(例えば、下記特許文献3)。
特許第4806944号公報 特許第6499860号公報 特許第6578100号公報
これらの接着剤は、通常、一の基材上に接着剤層を形成させるように用いられ、一の基材と他の基材とを該接着剤層で貼り合わせた後、熱によって接着剤層を硬化させて架橋構造体にすることによって基材どうし(一の基材および他の基材)を接着させるタイプの接着剤である。
ところで、このようなタイプの接着剤は、基材どうしを接着させた後においては、各基材との密着性に優れることが望まれ、また、接着剤層の硬化後においては、耐熱性に優れることに加えて、各基材との接着性にも優れることが望まれる。
ポリウレタン-ウレア樹脂を含有する引用文献1に記載の接着剤は、ポリウレタン-ウレア樹脂がエポキシ樹脂で架橋されることにより耐熱性に優れるという利点を有する。
しかし、引用文献1に記載の接着剤は、ポリウレタン-ウレア樹脂を用いることにより接着剤層が硬くなり、加工性が悪いものとなりやすい。
そのため、このようなポリウレタン-ウレア樹脂を含有する接着剤は、ポリウレタン樹脂を含有する接着剤に場合に比べて、フィルム等各種材料などで構成された基材との初期密着力に劣る傾向にある。
また、引用文献1に記載の接着剤は100℃以上の温度で十分に硬化する性質を有するものであることから、60℃以下で硬化させた場合には、基材に対する十分な接着性を確保できるものではない。
さらに、引用文献1には、接着シートの耐熱性の有無について、280℃のオーブンで90秒放置した後、260℃のハンダ浴に1分浸漬する等の比較的短い時間での耐熱試験にて判断することは記載されているものの、より長期の耐熱試験にて、接着剤の耐熱性の有無を判断することについては何ら記載されていない。
また、引用文献2の接着剤は、硬化温度が100℃以上であることから、引用文献1の接着剤と同様に、該接着剤を60℃以下の温度で硬化させた場合においては、基材に対する十分な接着性を確保できるものではなく、また、十分な耐熱性を確保できるものでもない。
また、引用文献3には、接着剤を用いて、複数枚のシート材を貼り合せることにより絶縁シートを作製することが記載されているものの、前記接着剤を十分に硬化させるための条件として引用文献3に記載されているものは、100℃にて12時間処理することである。
このことから、引用文献3の接着剤を60℃以下で硬化させた場合、該接着剤は、引用文献1および2に記載の接着剤と同様に、基材に対する十分な接着性を確保できるものではなく、また、十分な耐熱性を確保できるものでもない。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れる接着剤を提供することである。
本発明者らが鋭意検討したところ、接着剤を、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有するものとした上で、さらに、前記エポキシ樹脂(B)を、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有するものとすることにより、前記接着剤が、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れるものとなることを見出した。
そして、本発明を想到するに至った。
即ち、本発明に係る接着剤は、
ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、
前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450eq/g以上3000eq/g以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有している。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記水酸基含有エポキシ樹脂の水酸基価は、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
熱重量示差熱分析(TG-DTA)において、50質量%の質量変化が認められる温度が300℃以上である、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化後において、長時間の耐熱性により一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、末端に水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有し、
前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であり、
前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)が、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋されている、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネートを構成単位として有する、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下含有されている、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上1,00,000以下である、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、カルボキシル基を有しており、
酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記イソシアネート系架橋剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下含有されている、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
前記ポリウレタン樹脂(A)は、カーボネートジオールを構成単位として有する、ことが好ましい。
斯かる構成によれば、前記接着剤は、硬化前においては、基材との密着性により一層優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性により一層優れるとともに、基材への接着性にもより一層優れるものとなる。
前記接着剤においては、
ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂フィルムと、
アラミド紙と、を接着するために用いられる、ことが好ましい。
本発明によれば、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れる接着剤を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定され
るものではない。
本実施形態の接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有している。
本実施形態の接着剤では、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有している。
本明細書における「ポリウレタン樹脂」とは、「ポリウレタン-ウレア樹脂」を含む広義の「ポリウレタン樹脂」を意味するものではなく、ウレア結合を実質的に含んでいない「ポリウレタン樹脂」を意味する。
(ポリウレタン樹脂(A))
前記ポリウレタン樹脂(A)は、1分子に2以上の水酸基を有するポリオール成分(a)と、1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)とを含む反応成分をウレタン結合させて得られるものである。
前記ポリウレタン樹脂(A)は、前記イソシアネート系架橋剤(C)と反応するために、末端に水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。
前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以上15mgKOH/g以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る接着剤では、前記ポリウレタン樹脂(A)は、前記エポキシ樹脂(B)とともに、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋されていることが好ましい。
具体的には、本実施形態に係る接着剤では、比較的低温(60℃以下の温度)にて、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)が、前記イソシアネート系架橋剤(C)によって架橋されていることが好ましい。
また、前記ポリウレタン樹脂(A)は、カルボキシル基を有しており、酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
前記酸価は、9mgKOH/g以上25mgKOH/g以下であることがより好ましい。
前記ポリウレタン樹脂(A)がカルボキシル基を有することにより、該ポリウレタン樹脂(A)は、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基と反応できるようになるため、本実施形態接着剤は、耐久性に優れるものとなる。
また、本実施形態の接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が5mgKOH/g以上であることにより、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記エポキシ樹脂(B)とが架橋反応した後において、その架橋密度を比較的高くすることができる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物は、長時間の耐熱性に優れるものとなる。
さらに、本実施形態の接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)の酸価が30mgKOH/g以下であることにより、前記架橋密度が過度に高くなることを抑制できる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物が過度に柔軟性に劣るものとなって、該硬化物に歪みが発生することを抑制できる。
なお、ポリウレタン樹脂(A)の酸価は、ポリウレタン樹脂(A)をメチルエチルケトン(MEK)などで溶液化して、JIS K1557-5:2007の方法に従って測定したものを意味する。
前記カルボキシル基は、ポリオール成分(a)やポリイソシアネート成分(b)によってポリウレタン樹脂に備えさせることができる。
前記カルボキシル基は、例えば、ポリオール成分(a)に、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)を含有させることでポリウレタン樹脂(A)に備えさせることができる。この場合には、ポリオール成分(a)は、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)と共に一般的なポリオール(a2)を含有することが好ましい。
前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は、1分子に2以上の水酸基を有する。
また、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は1分子に2以上の水酸基を有するので、1分子に2以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分(b)と反応し、ポリウレタン樹脂が得られる。
前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)としては、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、それらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満)やγ-カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量Mn500未満)、酸無水物とグリセリンから誘導されるハーフエステル類、水酸基と不飽和基を含有するモノマーとカルボキシル基と不飽和基を含有するモノマーとをフリーラジカル反応により誘導される化合物などが挙げられる。
これらの化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることが出来る。
ここで、本明細書における数平均分子量Mnは、末端官能基定量法で測定した値を意味する。
なお、上記した化合物は、本発明において使用される好ましい化合物の例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。
従って、上記に例示した化合物のみならず、その他現在市販されていて、市場から容易に入手できる、カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)は、いずれも本発明に使用することができる。これらの化合物の中で、ジメチロールプロパン酸やジメチロールブタン酸を使用することが好ましく、ジメチロールプロパン酸を使用することが特に好ましい。
前記ポリオール(a2)としては、ポリウレタン樹脂の合成の際に用いられる従来公知のポリオールを用いることができる。
前記ポリオール(a2)の具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)及び/又は芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸など)と、低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール,1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)と、を縮重合したものが例示される。
このようなポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ-3-メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ-3-メチルバレロラクトンジオールなどを挙げることができる。
ポリエステルポリオールは、ポリエーテルポリオールに比べ、耐熱性に優れている。
従って、ポリエステルポリオールは、耐熱性に優れた接着剤を得る上においてポリエーテルポリオールよりも有利である。
ポリエーテルポリオールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べ、耐加水分解性に優れている。
従って、ポリエーテルポリオールは、耐加水分解性に優れた接着剤を得る上においてポリエステルポリオールよりも有利である。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などを挙げることができる。
ポリカーボネートポリオールとして、上記のごとき各種ポリカーボネートジオールを用いることにより、前記ポリウレタン樹脂(A)にカーボネートジオールの構成単位を備えさせることができる。
ポリカーボネートポリオールは、耐加水分解性および耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
ポリカーボネートポリオールの中でも、ポリヘキサメチレンカーボネートが、コストの観点や、材料としての入手のし易さの観点から好適である。
その他のポリオールの具体例としては、ダイマージオールやその水素添加物、ポリブタジエンポリオールやその水素添加物、ポリイソプレンポリオールやその水素添加物、アクリルポリオール、エポキシポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、シロキサン変性ポリオール、α,ω-ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω-ポリブチルメタクリレートジオール、シロキサン変性ポリオールなどを挙げることができる。
これらのうちダイマージオールの水素添加物、ポリブタジエンポリオールの水素添加物から得られるジオールは、ポリカーボネートポリオールと同様に、耐加水分解性および耐熱性に優れるので、ポリオールとして好適に用いることができる。
これらのことから、前記ポリオール(a2)としては、耐加水分解性および耐熱性に優れる観点から、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましく、ポリカーボネートポリオールの中でも、コストの観点や材料としての入手のし易さの観点から、ポリヘキサメチレンカーボネートを用いることが特に好ましい。
前記ポリオール(a2)の数平均分子量Mn(末端官能基定量法による)は、特に限定されないが、500以上6000以下であることが好ましい。
前記ポリオール(a2)の数平均分子量Mnが上記のごとき数値範囲内であることにより、本実施形態の接着剤において、ウレタン結合による凝集力が発現し易くなる。
これにより、本実施形態の接着剤は、機械特性が高いものとなる。
また、結晶性ポリオールは、数平均分子量Mnが大きすぎると、本実施形態の接着剤を被膜化した際に、被膜に白化現象が引き起こされることがある。
そのため、前記ポリオール(a2)として、結晶性ポリオールを単独で使用する場合には、数平均分子量Mnが3,000以下のものを使用することが好ましい。
なお、前記ポリオール(a2)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ポリオール成分(a)としては、前記ポリオール(a2)に加えて、必要に応じて、短鎖ジオール(a3)を用いることができる。
前記短鎖ジオール(a3)の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(末端官能基定量法による数平均分子量Mn500未満);1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,1-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールやそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量Mn500未満、同上)などを挙げることができる。
上記のごとき短鎖ジオール(a3)の中でも、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1 ,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどを用いることが好ましく、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコールを用いることが特に好ましい。
これらの短鎖ジオール(a3)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、前記ポリウレタン樹脂(A)を生成する際には、前記ポリウレタン樹脂(A)の材料として、前記短鎖ジオール(a3)と同様に、多価アルコール系化合物を用いることもできる。
前記多価アルコール系化合物の具体例としては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパンなどを挙げることができる。
前記ポリイソシアネート成分(b)としては、ポリウレタン樹脂の製造に用いられている従来公知のポリイソシアネート成分を用いることができる。
前記ポリイソシアネート成分(b)の具体例としては、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、それらの混合体、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDI、ジュリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソフォロンンジイソシアネート、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネート;これらのジイソシアネートと、低分子量のポリオールとを、末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを挙げることができる。
これらポリイソシアネート成分(b)の中でも、工業上安定的に、廉価で耐熱性に優れる接着剤を得るといった観点から、芳香族イソシアネートを用いることが好ましく、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、それらの混合体、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、及びクルード又はポリメリックMDIを用いることが特に好ましい。
前記ポリイソシアネート成分(b)として、芳香族イソシアネートを用いることにより、前記ポリウレタン樹脂(A)に芳香族ジイソシアネートの構成単位を備えさせることができる。
これらのポリイソシアネート成分(b)は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、引用文献1の接着剤のようにポリウレタン-ウレア樹脂を含有する接着剤の場合には、ポリウレタン-ウレア樹脂の材料として用いるポリイソシアネート成分としては、上述したような廉価なものを用いることが困難なため、コストがかかるという問題がある。
(ポリウレタン樹脂(A)の製造方法)
ポリウレタン樹脂(A)は、従来公知のポリウレタンの製造方法により製造することができる。
具体的には、まず、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下又は不存在下で、反応成分として、前記カルボキシル基を有する水酸基含有化合物(a1)と、前記ポリオール(a2)と、前記ポリイソシアネート成分(b)と、鎖伸長剤として必要に応じて用いられる短鎖ジオール(a3)と、を含む反応用組成物を反応させてポリウレタン樹脂(A)を得る。
前記反応用組成物は、一般的にはイソシアネート基と水酸基の当量比が0.8~1.25の配合組成とすればよい。
また、反応はワンショット法又は多段法により、通常20~150℃、好ましくは60~110℃で実施すればよい。
上記のようにして得られるポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上100,000以下であること好ましい。
前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwが上記数値範囲内であることにより、該ポリウレタン樹脂(A)は、柔軟性、接着性、及び耐熱性などの特性がより有効に発揮されるものとなる。
なお、前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した値を意味する。例えば、以下の装置、条件にて測定することができる。
(1)機器装置:商品名「HLC-8020」(東ソー社製)
(2)カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、
「G4000GXL」(東ソー社製)
(3)溶媒:THF
(4)流速:1.0ml/min
(5)試料濃度:2g/L
(6)注入量:100μL
(7)温度:40℃
(8)検出器:型番「RI-8020」(東ソー社製)
(9)標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
本実施形態では、ポリウレタン樹脂の合成において、必要に応じて触媒を使用できる。
前記触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn-ブチルチタネートなどの金属と有機酸又は無機酸との塩、有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミン、ジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。
前記触媒は、ポリウレタン樹脂の合成の反応を促進する。
一方で、前記触媒を過剰に使用すると、ポリウレタン樹脂以外の物質を分解する分解反応を誘発するおそれがあり、その結果、得られる接着剤が、高温域(例えば、255℃)での耐熱性や長時間の耐熱性に劣るものとなるおそれがある。
そのため、前記触媒を用いる場合には、前記触媒を適量用いることが好ましい。
前記ポリウレタン樹脂(A)は、有機溶剤を用いずに合成されてもよいし、有機溶剤を用いて合成されてもよい。
前記有機溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性な有機溶剤、又はイソシアネート基に対して反応成分よりも低活性な有機溶剤を用いることができる。
前記有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n-ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンなどの炭酸エステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトンが、ポリウレタン樹脂の溶解性を高める観点や接着剤の乾燥性を高める観点などから好ましい。
(エポキシ樹脂(B))
本実施形態の接着剤では、前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下含有されていることが好ましく、20質量部以上80質量部以下含有されていることがより好ましい。
前記エポキシ樹脂(B)の含有量が10質量部以上であることにより、本実施形態の接着剤を十分な耐熱性能を有するものとすることができる。
また、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が100質量部以下であることにより、本実施形態の接着剤において、ウレタン樹脂系由来のフレキシブル性を十分に発揮させることができる。
これにより、本実施形態の接着剤が、硬化後(架橋反応後)において、過度に硬くなり過ぎて脆くなることを抑制することができる。
本実施形態の接着剤では、上記したように、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、かつ、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有している。
エポキシ当量が上記数値範囲内であることにより、本実施形態の接着剤は、比較的低温(例えば、60℃以下)において、基材への接着性に優れるものとなる。
前記水酸基価は、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であることがより好ましい。
前記水酸基価が50mgKOH/g以上であることにより、前記水酸基含有エポキシ樹脂を前記イソシアネート系架橋剤(C)と架橋反応させた後において、架橋密度をより一層高くすることができる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物を長時間の耐熱性により一層優れるものとすることができる。
また、前記水酸基価が250mgKOH/g以下であることにより、架橋密度が過度に高くなることを抑制できる。
これにより、架橋反応後に得られる硬化物が過度に柔軟性に劣るものとなって、該硬化物に歪みが発生することを抑制できる。
さらに、前記水酸基価が250mgKOH/g以下であることにより、未反応の水酸基を比較的少なくすることができる。
これにより、比較的多く残存した未反応の水酸基が、大気中などの水分と反応することが原因となって、本実施形態の接着剤の長期耐久性が低下することを抑制できる。
前記エポキシ樹脂(B)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂 、ビスフェノールS型エポキシ樹脂を使用することができ、これらを一種単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
前記エポキシ樹脂(B)としては、上記以外にもフェノキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ゴム変性型等のエポキシ樹脂を併用することが可能である。
前記エポキシ樹脂(B)は、有機溶剤に溶解した状態で、前記ポリウレタン樹脂(A)と混合することが好ましい。
前記有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;トルエン、キシレン、スワゾール(商品名、コスモ石油社製)、ソルベッソ(商品名、エクソン化学社製)などの芳香族系炭化水素溶剤;n-ヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンなどの炭酸エステル系溶剤;エチレングリコールエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル系溶剤; ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶剤;N-メチル-2-ピロリドンなどのラクタム系溶剤などを挙げることができる。
特にトルエン、メチルエチルケトンが、エポキシ樹脂の溶解性、接着剤の乾燥性等から好ましい。
また、トルエン、メチルエチルケトンは、アルコール系の溶剤に比べて、イソシアネート基を失活し難いという観点で好ましい。
(イソシアネート系架橋剤(C))
本実施形態の接着剤では、前記イソシアネート系架橋剤(C)は、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下含有されていることが好ましい。
前記イソシアネート系架橋剤(C)の含有量が上記数値範囲内であることにより、架橋反応が過度に進行することにより、本実施形態の接着剤を塗布して塗膜としたときに、該塗膜が硬脆(かたもろ)くなることを抑制できる。換言すれば、前記塗膜の靭性が低下することを抑制できる。
これにより、本実施形態の接着剤は、接着剤としての十分な特性を備えるものとなる。
前記イソシアネート系架橋剤(C)としては、特に限定されるものではないが、イソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体、ポリメリック体とした多官能のイソシアネート基を有するもの等、従来から使用されている公知のものを使用することができる。
例えば、2,4-トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス-(p-イソシアネートフェニル) チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
これらのイソシアネート系架橋剤(C)のうち、芳香族系のものであれば、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネートが好ましい。脂肪族系のものであれば、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体が好ましい。
また、イソシアネート系架橋剤(C)としては、1分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましい。
さらに、イソシアネート系架橋剤(C)としては、前記ポリイソシアネートの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。
イソシアネート系架橋剤(C)の好ましい態様として、下記式(1)~(8)で表される化合物を例示するが、イソシアネート系架橋剤(C)はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007190542000001
Figure 0007190542000002
Figure 0007190542000003
Figure 0007190542000004
Figure 0007190542000005
Figure 0007190542000006
Figure 0007190542000007
Figure 0007190542000008
本実施形態接着剤は、熱重量示差熱分析(TG-DTA)において、50質量%の質量変化が認められる温度が300℃以上であることが好ましい。
また、本実施形態の接着剤は、熱重量示差熱分析(TG-DTA)において、50質量%の質量変化が認められる温度が350℃以上であることがより好ましい。
50質量%の質量変化が認められる温度は、以下の手順にしたがって求めることができる。

(1)メチルエチルケトン(MEK)を用いて、固形分30%となるように希釈した接着剤を剥離紙の一方面の全面に塗工した後、100℃で1分間乾燥させて、接着剤層付き剥離紙を作製する。
なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行う。
(2)接着剤層付き剥離紙を所定温度のオーブン中に所定時間放置して、前記接着剤層において硬化反応を進行させる。硬化反応を進行させた後、前記接着剤層付き剥離紙から剥離紙を剥離する。
(3)熱重量示差熱分析装置((株)リガク製、TG8120)を用い、空気100mL/分の雰囲気下、常温(23±2℃)から5℃/分で昇温を行って、剥離紙から剥離した前記接着剤層についてのTG-DTA曲線を得る。そして、50%の質量が減少した温度(50%減温度)を読み取る。
本実施形態の接着剤は、必要に応じて添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など) 、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、金属不活性剤などが挙げられる。これらの添加剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の接着剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)、前記エポキシ樹脂(B)、および、前記イソシアネート系架橋剤(C)を混合することによって得ることができる。
上記したように、前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の量を混合することが好ましい。
また、上記したように、前記イソシアネート系架橋剤(C)は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下の量を混合することが好ましい。
上記のようにして得た本実施形態の接着剤は、樹脂フィルム(プラスチックフィルム)の接着に用いられることが好ましい。
また、本実施形態の接着剤は、前記プラスチックフィルムの中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂フィルムの接着に用いられることがより好ましい。
さらに、本実施形態の接着剤は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂フィルムと、アラミド紙と、を接着するために用いられることがさらに好ましい。
具体的には、本実施形態の接着剤は、前記アラミド紙を上記のごとき樹脂フィルムの一方面に接着して3層構造の絶縁シートを作製するための接着剤として用いられたり、前記アラミド紙を上記のごとき樹脂フィルムの両面に接着して5層構造の絶縁シートを作製するための接着剤として用いられたりすることが好ましい。
また、上記の絶縁シートは、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)といったエコカー用のモータの絶縁シートとして用いられることが好ましい。
なお、アラミド紙は、全芳香族ポリアミド繊維を主たる材料として構成された紙状シートである。
このようなアラミド紙としては、フェニレンジアミンとフタル酸との縮合重合物のごとく、アミド基以外がベンゼン環で構成された樹脂材料からなる繊維(全芳香族ポリアミド繊維)を主たる構成材として形成されたシート状物を用いることができる。
本実施形態の接着剤は、従来公知の塗工方法、例えば、グラビア、スプレーなど種々の塗工方法によって基材に塗工することができる。
そして、基材に塗工された塗膜となった状態で、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れるという効果を発揮する。
塗工量については、乾燥後の塗膜の厚みが1μm以上50μm以下となるように、接着剤を塗工することが好ましい。
本実施形態の接着剤は、上記のような3層構造の絶縁シートまたは5層構造の絶縁シートとして用いられる場合、導電性フィラーを含有していないことが好ましい。
なお、導電性フィラーとは、金、銀、銅、亜鉛、鉄およびニッケルなどの金属またはその合金からなる導電性金属から構成されるフィラーや、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイトなどのカーボン材料から構成されるフィラーなどを意味する。
なお、本発明に係る接着剤は、上記実施形態に限定されるものではない。また、本発明に係る接着剤は、上記した作用効果によって限定されるものでもない。本発明に係る接着剤は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、参考例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
<ポリウレタン樹脂(A)の合成例>
<ポリウレタン樹脂の合成例:A1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量=2,000)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)87.1g を仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)51.2gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A1を含む樹脂溶液AA1を得た。得られた樹脂溶液AA1は、固形分が30%であり、ポリウレタン樹脂A1は、水酸基価が2.7mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A1の重量平均分子量は69,000 であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール: T6002 旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量= 2,000)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0g、ジメチロールプロパン酸14.4gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)100.6g を仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)77.3gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A2を含む樹脂溶液AA2を得た。得られた樹脂溶液AA2は、固形分が30%であり、ポリウレタン樹脂A2は、水酸基価が3.6mgKOH/gであり 、酸価が20.0mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A2の重量平均分子量は92,000であった。
<ポリウレタン樹脂の合成例:A3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、両末端水酸基のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(デュラノール:T6002 旭化成ケミカルズ(株)製、末端官能基定量法による数平均分子量= 2,000)200.0g、1,3-ブチレングリコール10.0gを仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)85.8gを仕込み、系内を撹拌した。系内が均一となった後、50℃下で4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)47.5gを仕込み、80℃で反応させて反応液を得た。反応液を溶剤たるメチルエチルケトン(MEK)で希釈することにより反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270 cm-1の吸収が消失するまで反応を進行させ、ポリウレタン樹脂A3を含む樹脂溶液AA3を得た。得られた樹脂溶液AA3は、固形分が30%であり、ポリウレタン樹脂A3は、水酸基価が9.2mgKOH/gであった。また、GPCにより測定したポリウレタン樹脂A3の重量平均分子量は24,000 であった。
<エポキシ樹脂(B)の溶解例>
<エポキシ樹脂の溶解例:B1>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:450g/eq 、jER1001:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B1という)400.0 gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B1を完全溶解させて、エポキシ樹脂B1の溶解品BB1(以下、エポキシ樹脂溶液BB1という)を得た。得られたエポキシ樹脂溶液BB1の固形分は40% であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:B2>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:925g/eq 、jER1004:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B2という)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B2を完全溶解させて、エポキシ樹脂B2の溶解品BB2(以下、エポキシ樹脂溶液BB2という)を得た。得られたエポキシ樹脂溶液BB2の固形分は40% であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:B3>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:1975g/eq 、jER1007:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B3という)400.0 gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B3完全溶解させて、エポキシ樹脂B3の溶解品BB3(以下、エポキシ樹脂溶液BB3という)を得た。得られたエポキシ樹脂溶液BB3の固形分は40%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:B4>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂(エポキシ当量:8500g/eq 、jER1256:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B4という)400.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)600.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B4を完全溶解させて、エポキシ樹脂B4の溶解品BB4(以下、エポキシ樹脂溶液BB4という)を得た。得られたエポキシ樹脂溶液BB4の固形分は40%であった。
<エポキシ樹脂の溶解例:B5>
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ビスフェノールAノボラック型のエポキシ樹脂(3官能以上)(エポキシ当量:200g/eq、jER157S70:三菱化学(株)製。以下、エポキシ樹脂B5という)800.0gを仕込み、撹拌しながら溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)200.0gを仕込み、系内を60℃に昇温しエポキシ樹脂B5を完全溶解させて、エポキシ樹脂B5の溶解品BB5(エポキシ樹脂溶液BB5)を得た。得られたエポキシ樹脂溶液BB5の固形分は80%であった。
<接着剤の作製>
[各例の接着剤]
下記表1に示したような材料を、下記表1に示したような配合割合で使用することにより、各例に係る接着剤を得た。
ポリウレタン樹脂(A)を含有する樹脂溶液としては、前記合成例A1~A2で示した樹脂溶液AA1~AA2を使用した。
エポキシ樹脂(B)を含有するエポキシ樹脂溶液としては、前記エポキシ樹脂の溶解例B1~B5で示したエポキシ樹脂溶液BB1~BB5を使用した。
イソシアネート系架橋剤(C)としては、HDIのイソシアヌレート体(C1)(D-170N:三井化学(株)製)、TDIのTMPアダクト体(C2)(D-101E:三井化学(株)製)、TDIのイソシアヌレート体(C3)(D-204:三井化学(株)製)を使用した。
Figure 0007190542000009
[接着剤のフィルムへの塗工]
メチルエチルケトン(MEK)を用いて、各例の接着剤を固形分25%となるように希釈した。
実施例1では、希釈した接着剤をPETフィルム(縦:210mm、横:150mm、厚み:100μm 、ルミラー:パナック(株)製)の片面側全面に塗布し、その後、100℃で1分間乾燥させることにより、接着剤層付きPETフィルムを作製した。
なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行った。
また、実施例2では、PETフィルムをPENフィルム(縦:210 mm、横:150mm、厚み:100μm 、テオネックス:東洋紡フィルムソリューション(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
さらに、実施例3では、PETフィルムをPBTフィルム(縦:210mm、横:150mm、厚み:25μm、ボブレット: 興人フィルム&ケミカルズ(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
また、実施例4-13、比較例1-4、および、参考例1では、実施例2と同様に、PETフィルムをPENフィルムに変えた以外は、実施例1と同様にして塗工を行った。
[初期密着性]
各例の接着剤層付きフィルムについて、初期密着性を評価した。
具体的には、以下の手順にしたがって評価した。

(1)各例の接着剤層付きフィルムの接着剤層の露出面とアラミド紙(該接着剤層付きフィルムと同形状)の一方面とが当接するように、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを重ね合わせる。
(2)80℃に調整したラミネーターを用いて、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを貼り合せて、各例に係る絶縁シートを作製する。
(3)常温(23±2℃)下で、手で引っ張ることにより、各例の接着剤層付きフィルムからアラミド紙を剥がし、以下の基準で初期密着性を評価する。

・優: アラミド紙に材料破壊が生じる。すなわち、接着剤層との当接面の全域にアラミド紙の一方面側の一部が接着された状態で、残りのアラミド紙が剥離される。
・良: 接着剤層との当接面の一部にアラミド紙の一方面側の一部が接着された状態で、残りのアラミド紙が剥離される。
・不可: アラミド紙が簡単に剥離され、接着剤層との当接面にアラミド紙の残存が認められない。
[加工適性]
初期密着性の手順(1)および(2)にしたがって、各例の絶縁シートを作製した。
そして、以下の基準で加工適性を評価した。

・優: 絶縁シートを目視したときに、歪、皺、および、浮きが確認されない。
・良: 絶縁シートを目視したときに、歪は確認されるものの、皺および浮きは確認されない。
・不可: 絶縁シートを目視にて確認したときに、歪および皺が確認されるとともに、浮きも確認される。
[剥離性]
各例の接着剤層付きフィルムについて、オートグラブ((株)島津製作所 オートグラフAGS-J500N)を用いて、剥離性を評価した。
具体的には、以下の手順にしたがって評価した。

(1)各例の接着剤層付きフィルムの接着剤層の露出面とアラミド紙(該接着剤層付きフィルムと同形状)の一方面とが当接するように、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを重ね合わせる。
(2)80℃に調整したラミネーターを用いて、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを貼り合せて、各例に係る絶縁シートを作製する。
(3)各例の絶縁シートを所定温度のオーブン中に所定時間放置して硬化反応を進行させる。各実施例及び各比較例の絶縁シートについては、50℃のオーブン中に72時間放置して硬化反応を進行させる。一方で、参考例1の絶縁シートについては、100℃のオーブン中に12時間放置して硬化反応を進行させる。
(4)絶縁シートから幅25mm×長さ80mmの大きさの試験体を切り出して、該試験体について、オートグラフを用いて剥離試験を行い、以下の基準で剥離性を評価する。剥離試験は、T字剥離試験にて行い、引張速度は100mm/minとする。

・優: アラミド紙に材料破壊が生じる。
・良: アラミド紙に材料破壊が生じておらず、かつ、剥離強度の測定値が1N以上である。
・不可: 剥離強度の測定値が1N未満である。
[255℃での耐熱性評価]
各例の接着剤層付きフィルムについて、255℃での耐熱性を評価した。
具体的には、以下の手順にしたがって評価した。

(1)各例の接着剤層付きフィルムの接着剤層の露出面とアラミド紙(該接着剤層付きフィルムと同形状)の一方面とが当接するように、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを重ね合わせる。
(2)80℃に調整したラミネーターを用いて、各例の接着剤層付きフィルムとアラミド紙とを貼り合せて、各例に係る3層構造の絶縁シートを作製する。
(3)メチルエチルケトン(MEK)を用いて、固形分25%となるように希釈した各例の接着剤を、各例の3層構造の絶縁シートの接着剤層(第1接着剤層)側とは反対側全面に塗布した後、100℃で1分間乾燥させて、各例の3層構造の絶縁シートに第2接着剤層を形成して、4層構造の絶縁シートを得る。
なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行う。
(4)各例の4層構造の絶縁シートにおける前記第2接着剤層の露出面とアラミド紙(該接着剤層付きフィルムと同形状)の一方面とが当接するように、各例の4層構造の絶縁シートとアラミド紙とを重ね合せる。
(5)80℃に調整したラミネーターを用いて、各例の4層構造の絶縁シートとアラミド紙とを貼り合せて、各例に係る5層構造の絶縁シートを作製する。すなわち、アラミド紙/第2接着剤層/フィルム/第1接着剤層/アラミド紙がこの順に配された絶縁シートを作製する。
(6)各例の5層構造の絶縁シートを所定温度のオーブン中に所定時間放置して、第2接着剤層において硬化反応を進行させる。各実施例及び各比較例の絶縁シートについては、50℃のオーブン中に72時間放置して硬化反応を進行させる。一方で、参考例1の絶縁シートについては、100℃のオーブン中に12時間装置して硬化反応を進行させる。
(7)各例の5層構造の絶縁シートから平面寸法5cm×5cmの大きさで試験体を切り出し、各試験体を255℃のオーブンに24時間放置する。その後、各試験体について、以下の基準で、耐熱性を評価する。

・優: 255℃での処理後に、絶縁シートに変形が認められず、かつ、剥離が認められない。
・良: 255℃での処理後に、絶縁シートに変形は認められるものの、剥離や過度な膨れは認められない。
・不可: 255℃での処理後に、絶縁シートに剥離が認められるとともに、過度な膨れが認められる。
[熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性評価(その1)]
各例の接着剤について、熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性を評価した。
具体的には、以下の手順にしたがって評価した。

(1)メチルエチルケトン(MEK)を用いて、固形分30%となるように希釈した各例の接着剤を剥離紙の一方面の全面に塗工した後、100℃で1分間乾燥させて、各例の接着剤層付き剥離紙を作製する。
なお、塗工は、乾燥後の接着剤層の厚みが12μmとなる様に行う。
(2)各例の接着剤層付き剥離紙を所定温度のオーブン中に所定時間放置して、前記接着剤層において硬化反応を進行させる。各実施例及び各比較例の接着剤層付き剥離紙については、50℃のオーブン中に72時間放置して硬化反応を進行させる。一方で、参考例1の接着剤層付き剥離紙については、100℃のオーブン中に12時間放置して硬化反応を進行させる。硬化反応を進行させた後、各実施例及び各比較例の接着剤層付き剥離紙から剥離紙を剥離する。
(3)熱重量示差熱分析装置((株)リガク製、TG8120)を用い、空気100mL/分の雰囲気下、常温(23±2℃)から5℃/分で昇温を行って、剥離紙から剥離した各例の接着剤層についてのTG-DTA曲線を得る。そして、5%の質量が減少した温度(5%減温度)、50%の質量が減少した温度(50%減温度)に注目し、耐熱性を判断した。尚、TG-DTA曲線における5%減温度は短期的な耐熱性を示し、TG-DTA曲線における50%減温度は長期的な耐熱性を示す。
熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性は、以下の基準にしたがって評価する。

・優: 5%減温度が280℃以上であり、かつ、50%減温度が350℃以上である。
・良: 5%減温度が200℃以上280℃未満であり、かつ、50%減温度が300℃以上350℃未満である。
・不可: 5%減温度が200℃未満であり、かつ、50%減温度が300℃未満である。
Figure 0007190542000010
表2に示した結果から、本発明の接着剤は、硬化前においては、基材との密着性に優れ、しかも、硬化後においては、長時間の耐熱性に優れるとともに、基材への接着性にも優れるものであることが把握される。
[熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性評価(その2)]
また、以下のようにして作製した5層構造の絶縁シート(実施例1A~3A、および、比較例1A)について、熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性(絶縁シートにおける接着剤の耐熱性)を評価した。
熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性の評価は、上で説明した評価手順のうち、(3)にしたがって行った。
なお、実施例1A~3A、および、比較例1Aについては、以下の基準で、熱重量示差熱分析(TG-DTA)での耐熱性を評価した。

・優: 10%の質量が減少した温度(10%減温度)が330℃以上であり、かつ、50%減温度が350℃以上である。
・不可: 10%減温度が330℃未満であり、かつ、50%減温度が350℃未満である。

その結果について、以下の表3に示した。
(実施例1A)
絶縁紙、接着剤層、および、基材フィルムを以下の順に5層に積層させて、実施例1Aの絶縁シート(絶縁シートの厚み:139μm)を得た。

アラミド紙(絶縁紙。厚み:50μm)
接着剤層(厚み:7μm)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(基材フィルム。厚み:25μm)
接着剤層(厚み:7μm)
アラミド紙(絶縁紙。厚み:50μm)

実施例1Aの絶縁シートにおいては、接着剤層は、ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有する接着剤で構成した。
実施例1Aの絶縁シートにおいて、接着剤は、ポリウレタン樹脂(A)を含有する樹脂溶液、エポキシ樹脂(B)を含有するエポキシ樹脂溶液、および、イソシアネート系架橋剤(C)としての脂肪族イソシアネートを混合することにより作製した。
前記ポリウレタン樹脂(A)を含有する樹脂溶液としては、前記合成例A2で示した樹脂溶液AA2を用いた。
前記エポキシ樹脂(B)を含有するエポキシ樹脂溶液としては、前記エポキシ樹脂の溶解例B1で示したエポキシ樹脂溶液BB1を用いた。
前記脂肪族イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体を用いた。
また、樹脂溶液AA2およびエポキシ樹脂溶液BB1は、ポリウレタン樹脂(固形分)の100質量部に対して、エポキシ樹脂(固形分)が45質量部となるように配合した。
さらに、前記脂肪族イソシアネートは、前記ポリウレタン樹脂(固形分)および前記エポキシ樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、10質量部配合した。
なお、実施例1Aの絶縁シートは、40℃で5日間(120時間)エージング処理することにより、接着剤層での硬化反応(架橋反応)を進行させた。
(実施例2A)
前記イソシアネート系架橋剤(C)を芳香族イソシアネートに変えた以外は、実施例1Aと同様にして、実施例2Aの絶縁シート(5層構造。厚み:139μm)を作製した。
前記芳香族イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)のイソシアヌレート体を用いた。
また、実施例2Aにおいても、前記芳香族イソシアネートは、前記ポリウレタン樹脂(固形分)および前記エポキシ樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、10質量部配合した。
なお、実施例2Aの絶縁シートも、40℃で5日間(120時間)エージング処理することにより、接着剤層での硬化反応(架橋反応)を進行させた。
(実施例3A)
前記イソシアネート系架橋剤(C)を脂肪族イソシアネートおよび芳香族イソシアネートの混合物(以下、イソシアネート混合物という)に変えた以外は、実施例1Aと同様して、実施例3Aの絶縁シート(5層構造。厚み:139μm)を作製した。
イソシアネート混合物としては、HDIのイソシアヌレート体およびTDIのイソシアヌレート体の混合物、すなわち、脂肪族イソシアネートおよび芳香族イソシアネートの混合物を用いた。
また、実施例3Aにおいても、前記イソシアネート混合物は、前記ポリウレタン樹脂(固形分)および前記エポキシ樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、10質量部配合した。
なお、実施例3Aの絶縁シートも、40℃で5日間(120時間)エージング処理することにより、接着剤層での硬化反応(架橋反応)を進行させた。
(比較例1A)
前記イソシアネート系架橋剤(C)に変えて、芳香族アミン架橋剤(4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS))を用いた以外は、実施例1Aと同様にして、比較例1Aの絶縁シート(5層構造。厚み:139μm)を作製した。
また、比較例1Aにおいても、前記芳香族アミン架橋剤は、前記ポリウレタン樹脂(固形分)および前記エポキシ樹脂(固形分)の合計100質量部に対して、10質量部配合した。
なお、比較例1Aの絶縁シートも、40℃で5日間(120時間)エージング処理することにより、接着剤層での硬化反応(架橋反応)を進行させた。
Figure 0007190542000011
この結果からも、本発明の接着剤は、絶縁シートに用いた場合においても、長時間の耐熱性に優れるものであることが把握される。

Claims (9)

  1. ポリウレタン樹脂(A)、エポキシ樹脂(B)、および、イソシアネート系架橋剤(C)を含有し、
    前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ当量が450g/eq以上3000g/eq以下であって、水酸基を有する水酸基含有エポキシ樹脂を含有しており、
    前記ポリウレタン樹脂(A)は、末端に水酸基を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有し、かつ、カーボネートジオールを構成単位として有し、
    前記水酸基含有ポリウレタン樹脂の水酸基価は、0.1mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である
    接着剤。
  2. 前記水酸基含有エポキシ樹脂の水酸基価は、50mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である
    請求項1に記載の接着剤。
  3. 熱重量示差熱分析(TG-DTA)において、硬化反応後における50質量%の質量変化が認められる温度が300℃以上である
    請求項1または2に記載の接着剤。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(A)は、芳香族ジイソシアネートを構成単位として有する
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の接着剤。
  5. 前記エポキシ樹脂(B)は、前記ポリウレタン樹脂(A)の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下含有されている
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の接着剤。
  6. 前記ポリウレタン樹脂(A)の質量平均分子量Mwは、1,000以上100,000以下である
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の接着剤。
  7. 前記ポリウレタン樹脂(A)は、カルボキシル基を有しており、
    酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下である
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接着剤。
  8. 前記イソシアネート系架橋剤は、前記ポリウレタン樹脂(A)および前記エポキシ樹脂(B)の合計量100質量部に対して、2質量部以上50質量部以下含有されている
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の接着剤。
  9. ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、および、ポリブチレンテレフタレートフィルムからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂フィルムと、
    アラミド紙と、を接着するために用いられる
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の接着剤。
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