JP7189734B2 - レドックスフロー電池 - Google Patents
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Description
[1]
線状部と該線状部を結合する結合部とを有する炭素繊維からなる炭素フォームと、
前記炭素フォームに積層して面接触する少なくとも1つの接触面を有し、前記接触面の積層方向における高さ位置が、前記積層方向に垂直な仮想平面の位置によって異なる集電板と、を備え、
前記接触面の積層方向における高さ位置は、前記集電板の一端から他端に向かうに連れて低くなる
レドックスフロー電池。
[2]
前記集電板は、それぞれ前記接触面を含む複数の畝部を有する
[1]に記載のレドックスフロー電池。
[3]
前記一端は電解液の排出側の端であり、前記他端は前記電解液の供給側の端である
[1]又は[2]に記載のレドックスフロー電池。
[4]
前記接触面の少なくとも一部は、前記仮想平面に対して傾斜している
[1]から[3]に記載のレドックスフロー電池。
[5]
前記接触面の少なくとも一部は、曲面である
[1]から[3]のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
[6]
前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.4以上1.6以下である
[1]から[5]のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
[7]
前記炭素繊維の繊維径が1μm以上5μm以下である
[1]から[6]のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
[8]
前記炭素フォームの300μm×300μm×300μmの領域内に含まれる前記線状部の前記積層方向対する配向角度の平均値と、前記積層方向に垂直且つ互いに垂直な2方向に対する配向角度それぞれの平均値との差が3°以上である
[1]から[7]のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
[9]
前記接触面の高さの位置の最大と最小の差が0.01mm以上0.5mm以下である
[1]から[8]のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
[10]
前記炭素フォームはメラミン樹脂フォームを炭素化して得られるメラミン炭素フォームである
[1]から[9]のいずれか1つに記載のレドックスフロー電池。
図1に示すように、第1の実施形態における、レドックスフロー電池10は、陽極側および負極側それぞれのタンク11、陽極側および負極側それぞれのポンプ12、および充放電部13を備える。タンク11は、陽極側および負極側それぞれの電解液を貯蔵する。ポンプ12は、タンク11および充放電部13の間で電解液を循環させる。
図2に示すように、充放電部13は、陽極側および負極側の集電板14、陽極側および負極側の炭素フォーム15、電解質膜16、およびフレーム17を備える。充放電部13では、集電板14、炭素フォーム15、電解質膜16、炭素フォーム15、および集電板14が順番に積層されている。電解質膜16および炭素フォーム15は、フレーム17により所定の間隔に離された2枚の集電板14によって挟持されている。
図3に示すように、集電板14は、炭素フォーム15と面接触する、少なくとも1つの接触面(斜線部参照)を有する。本願明細書では、集電板14において、主面の厚み方向に垂直かつ互いに垂直な2方向を第1方向および第2方向と呼ぶ。集電板14が接触面を有するのは、一方の主面側であってよい。
本実施形態において、集電板14における、接触面の積層方向における高さ位置は読取顕微鏡を用いて測定される。溝の底部、すなわち隣合う2つの畝部に挟まれた平面部の高さを、集電板の前面に亘って所定の間隔をおいて測定し、それらの平均値を求める。同様に測定した接触面の高さから、溝の底部の高さの平均値を減じた値を、積層方向における高さ位置とする。
炭素フォーム15は炭素繊維からなる炭素フォームである。炭素フォーム15は、線状部と当該線状部を結合する結合部とを有する炭素フォームであり、三次元網目状構造を有する。なお、第1の実施形態において、炭素フォーム15は、第1の流路fp1および第2の流路fp2全体を接触面側から覆う大きさを有してよい。
炭素フォーム15において、結合部の数に対する線状部の数の割合は、1.4以上1.6以下であってよい。割合は、換言すれば、結合部にて分岐する枝分かれの平均数の半分の数値である。当該割合が1.4以上であることにより、線状部が結合部で枝分かれした三次元網目状構造を有さず、不織布のように結合していない線状部が接触している構造が炭素フォーム15から排除され得る。また、当該割合が1.6以下であることにより、枝分かれによる分岐が正確に検出できない複雑な構造や、線状部が帯状の様になった、例えば蜂の巣の様な壁面でから成る多孔性構造が炭素フォーム15から排除され得る。当該割合は、好ましくは1.42以上1.58以下、より好ましくは1.44以上1.56以下である。
炭素フォーム15では、線状部を構成する炭素繊維の平均繊維径が0.1μm以上5.0μm以下であってよい。炭素繊維の繊維径は、結合部を繋ぐ線状部の太さである。炭素繊維の平均繊維径が0.1μm以上であれば、物理的な強度と導電性が確保され得る。平均繊維径は、好ましくは0.8μm以上、より好ましくは1.2μm以上、いっそう好ましくは1.5μm以上である。また、炭素繊維の平均繊維径が5μm以下であれば、圧縮挙動時の変形性や復元性が確保され得る。また、電解質膜への突刺さりを抑制し、高い電流効率を得ることができる。平均繊維径は、好ましくは4μm以下、より好ましくは3.5μm以下である。
炭素フォーム15を構成する線状部(炭素繊維)の平均繊維長は20μm以上200μm以下であってよい。線状部の平均繊維長は、具体的には任意の隣接する結合部の間の長さである。線状部の平均繊維長が20μm以上であれば、炭素フォーム15の柔軟性が確保され得る。平均繊維長は、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、線状部の平均繊維長は、200以下であれば、炭素フォーム15の導電性が確保され得る。平均繊維長は、好ましくは150μm以下であり、さらに好ましくは100μm以下である。
充放電部13への組込み前の炭素フォーム15は、熱処理炉において、例えばメラミン樹脂フォームを熱処理して炭素化すると、炭素フォームの骨格を構成する炭素繊維がすべての方向に均等に広がった等方的な構造を有するものとなる。このような炭素フォーム15では、線状部の互いに直交する三方向の各々に対する配向角度の平均値について、一方向に対する配向角度の平均値と、他の方向に対する配向角度の平均値の差θは通常は1°以下である。
充放電部13への組込み前の炭素フォーム15の結合部の密度は、圧縮荷重を印加された際の復元性の観点から、8,000個/mm3以上であってよく、好ましくは15,000個/mm3以上であり、より好ましくは30,000個/mm3以上であり、さらに好ましくは50,000個/mm3以上である。また、結合部の密度は、炭素フォーム15の柔軟性の観点から5,000,000個/mm3以下であってよく、好ましくは3,000,000個/mm3以下であり、より好ましくは2,000,000個/mm3以下である。
炭素フォーム15の、蛍光X線分析による表面分析で測定される酸素原子の割合は、電解液への濡れ性の観点から、0.03質量%以上であってよく、0.04質量%以上であることが好ましく、0.06質量%以上であることがより好ましい。また、電極の抵抗の観点から、酸素原子の割合は、10質量%以下であってよく、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
炭素フォーム15の炭素含有率は、導電性の観点から、好適には51質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上である。上限は特に限定は無いが、炭素フォーム15の炭素含有率は、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよく、98質量%以下であってもよい。なお、炭素フォーム15の炭素含有率は、蛍光X線測定から求めることができる。
炭素フォーム15では、X戦光電子分光法によって測定される炭素原子のうち、黒鉛の割合が70at%以上80at%以下であってよい。当該割合が70at%以上であることにより、長期充放電に対して安定的に抵抗が低く維持され得る。また、当該割合が80at%以下であることにより、電解液への濡れ性が良好となり得る。
本明細書において、炭素フォーム15のX線光電子分光法による表面分析は以下のように行われる。炭素フォーム表面の含酸素官能基濃度はX線光電子分光計(パーキンエルマー,ESCA-5500MT)を用いて測定することができる。得られたC1sピークを、結合エネルギー284.4eV(黒鉛)、285.6eV(C-OH)、287.0eV(C=O)および288.6eV(COOH)をピークとする4つのガウス分布によってフィッティングし、4つのピークの合計面積に対する各ピークの面積の割合を算出することで、表面官能基濃度を測定することができる。
炭素フォーム15の空隙率は、柔軟性の観点から70%以上であってよく、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。上限は特に限定は無いが、炭素フォーム15空隙率は、99.5%以下であってよく、99%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。
まず、ノギス等を用いて炭素フォーム15の寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォーム15のかさ体積Vbulkを求める。次に、精密天秤を用いて、炭素フォーム15の質量Mを測定する。得られた質量Mおよびかさ体積Vbulkから、下記の式(1)を用いて炭素フォーム15のかさ密度ρbulkを求めることができる。
ρbulk=M/Vbulk ・・・(1)
炭素フォーム15の真密度ρrealは、n-ヘプタン、四塩化炭素および二臭化エチレンからなる混合液を用いて浮沈法によって求めることができる。具体的には、まず、共栓試験管に適当なサイズの炭素フォーム15を入れる。次に、3種の溶媒を適宜混合して試験管に加え、30℃の恒温槽に漬ける。試料片が浮く場合は、低密度であるn-ヘプタンを加える。一方、試験片が沈む場合は、高密度である二臭化エチレンを加える。この操作を繰り返して、試験片が液中に漂うようにする。最後に、液の密度をゲーリュサック比重瓶を用いて測定する。
上述のように求めたかさ密度ρbulkおよび真密度ρrealから、下記の式(2)を用いて空隙率Vf,poreを求めることができる。
Vf,pore=((1/ρbulk)-(1/ρreal))/(1/ρbulk)×100 (%)・・・(2)
炭素フォーム15の結晶子サイズは、導電性の観点からは、1.1nm以上であってよく、1.5nm以上であることが好ましい。また、物理的な脆弱性の点から、結晶子サイズは、4.0nm以下であってよく、3.0nm以下であることが好ましい。
また、一軸圧縮試験によって測定した、炭素フォーム15の圧縮ひずみ60%における圧縮応力σ60が400kPa以下であってよく、100kPa以下であることが好ましく、40kPa以下であることがよりに好ましい。圧縮応力σ60が400kPa以下であることにより、集電板14によって強く挟まれて大きな圧縮応力が印加された状態においても、炭素フォーム15はより柔軟性を有するものとなり、電解質膜16と炭素フォーム15との間の耐剥離性能を向上させることができる。また、圧縮応力σ60は、10kPa以上であってよく、20kPa以上であることが好ましい。圧縮応力σ60が10kPa以上であることにより、後述する膜電極複合体のハンドリング性が良好となり,セルの組立が容易になる。
炭素フォーム15の圧縮ひずみ60%における圧縮応力σ60は、ミネベア社製万能材料試験機TG-1KNを用いて測定される、一軸圧縮における応力ひずみ曲線から求めることができる。具体的には、炭素フォーム15を縦横20mm、高さ5~20mmの直方体に切断した試料片を、高さ方向に速度5mm/minにて一軸圧縮する。得られた応力ひずみ曲線のひずみ60%における応力を圧縮応力σ60とする。
炭素フォーム15は、例えばメラミン樹脂発泡体を不活性雰囲気下で800~2500℃にて炭素化することによって形成することができる。メラミン樹脂発泡体としては、例えば、特開平4-349178号公報に開示されている方法により製造されるメラミン/ホルムアルデヒド縮合発泡体を用いることができる。
電解質膜16は高分子電解質膜である。高分子電解質膜の種類は特に限定されないが、レドックスフロー電池に用いる観点からは、プロトン伝導性を有する膜が好ましい。
パーフルオロスルホン酸系樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(2)で表される繰り返し単位とを含む重合体が挙げられる。
-[CX1X2-CX3X4]-・・・(1)
(式(1)中、X1、X2、X3、X4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であり、X1、X2、X3、X4のうち少なくとも1つは、フッ素原子または炭素数1~10のパーフルオロアルキル基である。)
-[CF2-CF(-(Oa-CF2-(CFX5)b)c-Od-(CF2)e-SO3R)]- ・・・(2)
(式(2)中、X5はハロゲン原子または炭素数1~4のパーフルオロアルキル基であり、Rは、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、若しくはカリウム原子等のアルカリ金属原子、NH4、NH3R1、NH2R1R2、NHR1R2R3、若しくはNR1R2R3R4(R1R2R3R4は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基またはアリール基を示す)等のアミン類である。また、aは0または1であり、bは0または1であり、cは0~8の整数であり、dは0または1であり、eは0~8の整数である。ただし、bとeは同時に0でない。)
-[CF2-CX3X4]f-[CF2-CF(-O-CF2-CFX5)c-Od-(CF2)e-SO3R)]g- ・・・(3)
-[CF2-CF2]f-[CF2-CF(-O-CF2-CF(CF3))c-O-(CF2)e-SO3R)]g- ・・・(4)
-[CF2-CF2]f-[CF2-CF-O-(CF2)e-SO3R)]g- ・・・(5)
-[CF2-CF2]f-[CF2-CF(-O-CF2-CFX5)c-Od-(CF2)e-SO3H]g ・・・(6)
-[CF2-CF2]f-[CF2-CF-(CF2)e-SO3R)]g- ・・・(7)
(式(3)~(7)中、X3、X4、X5、Rは、式(1)、(2)と同様である。また、c、d、eは、式(1)、(2)と同様であり、0≦f<1、0<g≦1、f+g=1である。ただし、式(5)、(7)においてeは0でない。)
充放電部13において、電解質膜16および2枚の炭素フォーム15を接合することにより膜電極複合体が形成される。膜電極複合体の形成には、ホットプレス法や膜と同種の高分子の溶液によって貼り合わせる方法などを適用してよい。この中でも、ホットプレス法は、加工性の点から好ましい。ホットプレス法による膜電極複合体の形成は、具体的には、まず、電解質膜16を2枚の炭素フォーム15によって挟み、適当な厚さのスペーサとともにホットプレス機の圧板間に置く。次に、圧板を所定の温度まで加熱した後、プレスする。所定の時間保持した後、圧板を開放して膜電極複合体を取り出し、室温まで冷却する。こうして膜電極複合体を形成してよい。
フレーム17は、2枚の集電板14を、厚み方向を充放電部13における積層方向に平行にしながら、相互に所定の間隔に離す。フレーム17は、炭素フォーム15および電解質膜16の側面の周囲を覆う枠体であってよい。フレーム17の内周は、電解質膜16の外周と同じ形状および同じ大きさであってよい。フレーム17の内壁に、電解質膜16の全外周は接合されていてよい。フレーム17の枠の高さは、組込前の膜電極複合体の厚みよりも短い。したがって、フレーム17を2枚の集電板14で挟むと、集電板14により膜電極複合体は厚み方向に押圧される。
(実施例1)
まず、炭素フォームの材料としてメラミン樹脂フォーム(寸法:400mm×400mm×20mm)を用意した。次いで、450mm角の黒鉛板の上にサンプルを置き、サンプル横の両端に、スペーサとして厚み0.6mmの400mm×20mmSUS板を置き、上から更に黒鉛板を置いてサンプルとスペーサを挟込んだ。この黒鉛板に挟込んだ状態で、真空プレス機内に導入し、真空ポンプで真空減圧しながら設定圧力3.0MPaで押圧した。減圧を続けながら昇温速度:5℃/分で370℃まで昇温した後、10分間保持してから冷却を行ってサンプルを取出した。続いて、プレスしたサンプルを400mm角の黒鉛板の上に置き、その上に黒鉛板を載置して、280Paの圧縮荷重を印加し、この圧縮荷重を印加した状態でサンプルを高温熱処理炉内に導入した。続いて、真空ポンプにより炉内を減圧排気して炉内の真空度を1Pa未満とした。続いて、減圧排気しつつ、炉内に窒素ガスを流量:2L/分で供給しながら、炉内の温度を昇温速度:5℃/分で800℃まで昇温した後、窒素ガスの導入を止め、更に昇温速度:5℃/分で1500℃まで昇温した後、2時間保持してから冷却を行って室温まで降温した後、サンプルを取出した。続いて、得られた炭素フォームを乾燥空気気流下500℃にて1時間熱処理することにより、表面を酸化させた炭素フォームを得た。なお、乾燥空気流速は1L/minとした。こうして実施例1による炭素フォームを作製した。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
実施例1と同様に、実施例2による炭素フォームを作製した。ただし、高温熱処理炉内で2000℃まで昇温し、2時間保持した。また、乾燥空気気流下での酸化温度を600℃に変更した。その他の条件は実施例1とすべて同じである。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
実施例2と同様に、実施例3による炭素フォームを作製した。ただし、材料としてメラミン樹脂フォームとして(寸法:400mm×400mm×40mm)を用意し、真空プレス機でのプレス時に使用するスペーサの厚みを1.1mmとした。。その他の条件は実施例2とすべて同じである。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
実施例2と同様に、実施例4による炭素フォームを作製した。ただし、真空プレス機でのプレス時に使用するスペーサの厚みを1.1mmとした。その他の条件は実施例2とすべて同じである。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
実施例4と同様に、実施例5による炭素フォームを作製した。ただし、セルの構成において集電板は、後述する流路段差が実施例4と異なるものを用いた。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
実施例3と同様に、実施例6による炭素フォームを作成した。ただし、セルの構成において集電板は、後述する流路段差が実施例3と異なるものを用いた。得られた炭素フォームの詳細を表1に示す。
炭素繊維ペーパ(SGL CARBON Co. Ltd,SIGRACET GDL39AA)を、実施例1に示す方法に従って空気酸化することによって、空気酸化炭素繊維ペーパを得た。
実施例4と同様に炭素フォームを作成した。ただし、集電板は、流路に段差が無いものを用いた。
集電板は、樹脂含浸黒鉛(大和田カーボン,P─3100)を、フライス盤を用いて切削加工して作製した。厚さ5mmの樹脂含浸黒鉛板の片面の縦33mm、横30mmの範囲に、縦方向と並行に櫛歯型流路を形成した。畝部の幅は1mm、隣り合う2本の畝部の間隔は1mmとした。接触面の高さ、すなわち隣り合う2本の畝部に挟まれた平面部の高さの平均値と接触面との高さの差は、電解液の入口側において1mmとし、入口側から出口側に向かって、直線的に減少するようにした。この電解液入口側と出口側における接触面の高さの差を流路段差と呼び、この値が異なる集電板を複数用意した。尚、接触面の高さは前述のように、日本光機製作所製読取顕微鏡を用いて測定した。
ケマーズ社製のナフィオン(登録商標)211を用い、40mm×150mmに切り出して使用した。また、レドックスフロー電池評価をする際には、事前に室温の2M硫酸水溶液に基材から剥離した膜を1時間浸漬して用いた。
ナフィオン211、炭素フォーム、枠板、集電板、およびガスケットを、所定の順番にしたがって重ねた後、スクリューボルトを所定のトルクによって締結することによってセルを作製した。正負極電解液には、バナジウムイオン濃度1.6M/L、硫酸イオン濃度4.5M/L、バナジウムイオン価数3.5の硫酸酸性水溶液を用いた。電解液量は正負極ともに30mlとした。電極単位面積当たりの電解液流速は2ml/(mincm2)とした。充放電試験は菊水電子製充放電試験機(PFX2011)を用いて行った。電圧範囲1.00-1.55V、電流密度160mA/cm2とした。10サイクル目における充電容量に対する放電容量の比から電流効率を求めた。セル抵抗は10サイクル目における充電平均電圧と放電平均電圧の差を、電流密度の2倍で除して求めた。
実施例1の炭素フォーム表面上の合計20箇所に対して、走査型電子顕微鏡を用いて10,000倍の倍率でSEM像を撮像した。各箇所のSEM像に含まれる炭素繊維像の中の任意の一本の炭素繊維の繊維径を測定し、当該各箇所の繊維径とみなした。20箇所の繊維径を平均化して、平均値を算出した。得られた平均値を表1に示す。実施例2~6および比較例1、2それぞれの炭素フォームに対しても、実施例1と同様にSEM像を撮像して、繊維径の平均値を求めた。
実施例1~6および比較例1、2による炭素フォームに対して、X線CTによる構造解析を行った。具体的には、X線画像を撮像しやすくするため、実施例および比較例の各々に無電解銅めっきを行った後、試験片を採取し、高分解能3DX線顕微鏡nano3DX(株式会社リガク製)を用いて、採取した試験片に対して構造解析を行った。具体的な無電解めっき条件、X線CT解析条件は以下の通りである。
サンプルをOPCコンディクリーンMA(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)に70℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCプリディップ49L(奥野製薬工業社製、10mL/Lに蒸留水で希釈、98%硫酸を1.5mL/L添加)に70℃で2分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPCインデューサー50AM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)および、OPCインデューサー50CM(奥野製薬工業社製、100mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に45℃で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC-150クリスタMU(奥野製薬工業社製、150mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した後、蒸留水で1分間洗浄した。続いてOPC-BSM(奥野製薬工業社製、125mL/Lに蒸留水で希釈)に室温で5分間浸漬した。続いて化学銅500A(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)および、化学銅500B(奥野製薬工業社製、250mL/Lに蒸留水で希釈)を1:1で混合した溶液中に室温で10分間浸漬した後、蒸留水で5分間洗浄した。その後90℃で12時間真空乾燥を行い、水分を乾燥させた。
X線ターゲット:Cu
X線管電圧:40kV
X線管電流:30mA
投影数:1500枚
回転角度:180°
露光時間:20秒/枚
空間解像度:0.54μm/ピクセル
得られた3次元画像を、Median filterで隣接する1pixelにて処理し、大津のアルゴリズムを用いて二値化した。続いて、JSOL社製のソフトウェアsimplewareのCenterline editor(Ver.7)をデフォルトの設定値で使用して、2.16μm以下の線をノイズとして除去した後、測定視野300μm×300μm×300μm内の結合部および線状部それぞれの数を検出した。
ノギスを用いて炭素フォームの寸法を測定し、得られた寸法から、炭素フォームのかさ体積Vbulkを求めた。次に、精密天秤を用いて、炭素フォームの質量Mを測定した。得られた質量Mおよびかさ体積Vbulkから、上述の式(2)を用いて炭素フォームのかさ密度ρbulk(kgm-3)を求めた。得られた結果を表1に示す。
炭素フォームの炭素含有率は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX-100E(波長分散型、Rh管球)を用いた蛍光X線測定から求めた。サンプル面積は20mmφ以上を用いた。得られた結果を表1に示す。
炭素フォームの酸素含有率は、蛍光X線測定から求めた。蛍光X線測定は、株式会社リガク製の蛍光X線分析装置ZSX-100E(波長分散型、Rh管球)を用いた。サンプルは20mmφ以上のサイズを用いた。得られた結果を表1に示す。
実施例1~6および比較例1、2に用いた集電板の流路段差、すなわち電解液入口側と出口側における接触面の高さの差を、日本光機製作所製読取顕微鏡を用いて測定した。得られた結果を表1に示す。
実施例1~6および比較例1、2における電流効率を測定した。具体的には、10サイクル目における充電容量に対する放電容量の比から電流効率を求めた。得られた結果を表1に示す。
実施例1~6および比較例1、2におけるセル抵抗を測定した。具体的には、10サイクル目における充電平均電圧と放電平均電圧の差を電流密度の2倍で除して、セル抵抗を求めた。得られた結果を表1に示す。
11 タンク
12 ポンプ
13 充放電体
14、140 集電板
15 炭素フォーム
16 電解質膜
17、170 フレーム
18 第1の畝部
19 第2の畝部
fp1 第1の流路
fp2 第2の流路
Claims (10)
- 線状部と該線状部を結合する結合部とを有する炭素繊維からなる炭素フォームと、
前記炭素フォームに積層して面接触する少なくとも1つの接触面を有し、前記接触面の積層方向における高さ位置が、前記積層方向に垂直な仮想平面の位置によって異なる集電板と、を備え、
前記接触面の積層方向における高さ位置は、前記集電板の一端から他端に向かうに連れて低くなる
レドックスフロー電池。 - 前記集電板は、それぞれ前記接触面を含む複数の畝部を有する
請求項1に記載のレドックスフロー電池。 - 前記一端は電解液の排出側の端であり、前記他端は前記電解液の供給側の端である
請求項1又は2に記載のレドックスフロー電池。 - 前記接触面の少なくとも一部は、前記仮想平面に対して傾斜している
請求項1から3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記接触面の少なくとも一部は、曲面である
請求項1から3のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記結合部の数に対する前記線状部の数の割合が1.4以上1.6以下である
請求項1から5のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記炭素繊維の繊維径が0.1μm以上5μm以下である
請求項1から6のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記炭素フォームの少なくとも一部において、前記線状部の前記積層方向に対する配向角度の平均値と、前記積層方向に垂直且つ互いに垂直な2方向に対する配向角度それぞれの平均値との差が3°以上である
請求項1から7のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記接触面の高さ位置の最大と最小の差が0.01mm以上0.5mm以下である
請求項1から8のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。 - 前記炭素フォームはメラミン樹脂フォームを炭素化して得られるメラミン炭素フォームである。
請求項1から9のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池。
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