JP7187937B2 - 意匠材 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、複数の調光シートを含む前面板を、画像表示装置の観察者側の面に接合して、表示画質を損なうことなく意匠性や周囲との調和を確保することを目的として、電界を印加することで、透明状態と白濁状態とを切り替えて、不使用時に画像表示装置を隠蔽する技術が開示されている。
ところが、上記材料を基材として用いた高分子分散型液晶素子を画像表示装置の観察者側に用いると、偏光機能を有するサングラスを介して画像を観察した場合に、「ニジムラ」と呼ばれる干渉色や色変化が伴うムラが生じるといった課題があった。
また、上記第1の基材、及び、上記第2の基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
また、上記第1の基材、及び、上記第2の基材は、リタデーションの下限が2000nm、上限が5000nmであることが好ましい。
また、高分子/液晶複合層と第1の透明導電層との間、及び、上記高分子/液晶複合層と第2の透明導電層との間に、配向膜を有することが好ましい。
また、本発明の意匠材は、画像表示装置の観察者側に配置して用いられ、第1の基材の遅相軸、及び、第2の基材の遅相軸の少なくとも一方と、上記画像表示装置の観察者側に有する偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲となるように配置されることが好ましい。
図1は、本発明の意匠材の好ましい一例を示す断面図である。
本発明の意匠材100は、少なくとも、第1の基材10、第1の透明導電層20、高分子/液晶複合層30、第2の透明導電層40、及び、第2の基材50がこの順で積層された構成を有する。
本発明の意匠材100は、第1の基材10、及び、第2の基材50が、面内に複屈折率を有し、第1の基材10の遅相軸と、第2の基材50の遅相軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲となるように配置することにより、偏光機能を有するサングラスを介して観察した際に生じるニジムラを抑制することができる。
第1の基材10の遅相軸と、第2の基材50の遅相軸とのなす角度は、0°±15°の範囲、又は、90°±15°の範囲であることが好ましく、0°±10°の範囲、又は、90°±10°の範囲であることがより好ましく、0°±5の範囲、又は、90°±5°の範囲であることがさらに好ましく、0°、又は、90°であることが特に好ましい。
本発明の意匠材100をリバースタイプとして用いる場合、高分子/液晶複合層30と第1の透明導電層20との間、及び、高分子/液晶複合層30と第2の透明導電層40との間に、配向膜を有する。
ここで、本発明の意匠材100をノーマルタイプとして用いる場合、本発明の意匠材100は、透明導電層(20及び40)により電界を印加されていない状態において、液晶材料の向きが不規則な不透明状態となっており、透明導電層(20及び40)により電界を印加された状態において、液晶材料が配列された透明な状態となる。
一方、本発明の意匠材100をリバースタイプとして用いる場合、本発明の意匠材100は、透明導電層(20及び40)により電界を印加されていない状態において、液晶材料(液晶分子)が配列した透明状態となっており、透明導電層(20及び40)により電界を印加された状態において、液晶材料の向きが不規則な不透明な状態となる。
この場合、第1の基材10の遅相軸、及び、第2の基材50の遅相軸の少なくとも一方と、画像表示装置の観察者側に有する偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲となるように配置されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、偏光機能を有するサングラスを介して観察した際に生じるニジムラを好適に抑制することができる。
ここで画像表示装置に係る構成の一例として分かりやすく説明するため、画像表示装置、特にIPSモード又はVAモードの液晶表示装置の視認側の偏光板の透過軸が、画面に対して垂直方向若しくは水平方向になっている場合を挙げる。そして一般に、偏光サングラスは、画面に対して垂直方向が透過軸になっている。
このため、画像表示装置の視認側の偏光板と、偏光サングラスとは、クロスニコル若しくはパラレルニコルの関係になり、意匠材の基材の遅相軸を考慮せずに作製した意匠材を画像表示装置の視認側の偏光板と偏光サングラスとの間に配置した場合、意匠材が有する上下両方、若しくは、いずれかの基材の位相差により、ニジムラが発生する。
本発明の意匠材100においては、第1の基材10の遅相軸と、第2の基材50の遅相軸とのなす角度が、所定の角度となるよう配置されている。そのため、本発明の意匠材100を画像表示装置の観察者側に配置して用いることにより、第1の基材10又は第2の基材50の遅相軸と、画像表示装置の視認側の偏光板及び偏光サングラスの透過軸とが、略平行又は略垂直の関係とすることができるので、第1の基材10又は第2の基材50の複屈折による位相差が発生せずニジムラが発生しない。
なお、画像表示装置としては、偏光により表示を行うものであれば特に限定されず、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等に好適に適用することができる。
なかでも、液晶ディスプレイ(LCD)に特に好適に適用することができ、上記液晶ディスプレイは、VA(Vertical Alignment)モードであっても、IPS(In-Plane Switching)モードであっても好適に用いることができる。
ここで、本発明の画像表示装置は、表示画面側(第1の基材10、又は、第2の基材50)において、例えば画像表示装置が接地された面で一旦反射した外光の画面映り込みを防止することで、反射防止性能をより優れたものとすることができる。
上記反射し、上記画像表示装置の表示画面に入射する光は、その多くが上記表示画面の左右方向に振動した状態(S偏光と呼ぶ)となっている。したがって、第1の基材10、又は、第2の基材50の遅相軸を、上記接地された面で反射した光の振動方向に対して垂直な方向を向いた状態とすることにより、上記接地された面で反射した光の反射を好適に防止することができ、反射防止性能を向上することができる。
本発明の意匠材100において、画像表示装置の観察者側の面に接合して用いる場合には、第1の基材10の遅相軸、又は、第2の基材50の遅相軸と、画像表示装置の表示画面の上下方向との角度は、0°±30°の範囲であることが好ましく、0°±10°の範囲であることがより好ましく、0°±5°の範囲であることが意匠材基材10と50の反射防止性能を向上するための構成として更に好ましい。
以下、本発明の意匠材100を構成する層等について詳しく説明する。
本発明における第1の基材10及び第2の基材50(以下、共通する材料、性質等について記載するときは、単に基材フィルムともいう)は、面内に複屈折率を有する。
上記「複屈折率を有する」とは、上記基材フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)としたとき、nx-ny(以下、Δnとも表記する)が、0より大きいことをいう。
上記リタデーションの範囲とすることにより、偏光機能を有するサングラスを介して観察した際に生じるニジムラを好適に抑制することができる。
上記基材フィルムは、リタデーションの下限が2500nmであることがより好ましく、下限が3000nmであることがさらに好ましい。
また、上記基材フィルムは、リタデーションの上限が4500nmであることがより好ましく、上限が4000nmであることがさらに好ましい。
なお、上記リタデーションとは、基材フィルムの面内において最も屈折率が大きい方向(遅相軸方向)の屈折率(nx)と、遅相軸方向と直交する方向(進相軸方向)の屈折率(ny)と、基材フィルムの厚み(d)とにより、以下の式によって表わされるものである。
リタデーション(Re)=(nx-ny)×d
また、上記リタデーションは、例えば、王子計測機器製KOBRA-WRによって測定(測定角0°、測定波長548.2nm)することができる。
なかでも、機械的強度を好適に付与する観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)を用いることが好ましい。
第1の基材10、及び、第2の基材50は、双方が同じ透明フィルム材を用いても良いし、双方が異なるフィルム材を用いても良く、用途に応じて適宜選択することができる。
なお、第1の基材10と第2の基材50の厚みは異なっていても良いし、同じ厚みであっても良い。
上記横延伸温度としては、80~130℃が好ましく、より好ましくは90~120℃である。また、横延伸倍率は2.5~6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0~5.5倍である。横延伸倍率を上記範囲とすることにより、基材フィルムが所定のリタデーションを有し、かつ、透明性にも優れたものを好適に得ることができる。本発明の意匠材100では、リタデーションを上記範囲とする事によって、横延伸において引裂き強度を良好に保つことが可能となる。
機械的強度を好適に付与する観点から、二軸延伸試験装置を用いて、上記未延伸フィルムの横延伸を上記条件で行った後、該横延伸に対する流れ方向の延伸(以下、縦延伸ともいう)を行ってもよい。この場合、Δnを好適に調整する観点から、上記縦延伸は、延伸倍率が2倍以下であることが好ましい。
本発明の意匠材100では、二軸延伸フィルムを用いたとしても、偏光機能を有するサングラスを介して観察した際に生じるニジムラを好適に抑制することができる。
また、上記熱処理時の処理温度としては、100~250℃が好ましく、より好ましくは180~245℃である。
高分子/液晶複合層30は、後述する透明導電層(20及び40)による電界の印加状態に応じて、透視性を変化させる機能を有する層である。
高分子/液晶複合層30は、高分子分散型液晶により形成されている。
上記高分子分散型液晶としては、特に限定されないが、例えば、透明な高分子材料の中に液晶の液滴を分散させたもの(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、液晶の連続層の中に高分子樹脂のネットワークが形成されたポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、コレステリック液晶を用いた高分子安定型コレステリック液晶(PSCT:Polymer Stabilized Cholesteric Texture)等を挙げることができる。
高分子/液晶複合層30が、上記PDLCにより形成された例について説明する。
上記重合性モノマーが重合することにより、高分子/液晶複合層中に高分子マトリックスが形成され、該高分子マトリックス中に上記液晶材料が分散された状態となる。
上記長手方向を有する液晶分子は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、上記長手方向を有する液晶分子の長手方向に直交する方向での屈折率と、該液晶分子の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。
上記重合基を有しない液晶材料としては、例えば、ネマティック材料等を好適に用いることができる。
上記液晶材料の市販品としては、例えば、メルク社製のE7等のネマティック材料等を用いることができる。
上記液晶材料としては、例えば、特開2003-121853号公報、特開2002-174725号公報、及び特開2005-70098号公報等に開示されているような種々のものも用いることができる。
また、本発明の意匠材100をリバースタイプとして用いる場合、上記液晶材料としては、ネガ型の液晶分子を含む液晶材料を用いることが好ましい。
上記重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
また、上記アクリレート類以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。
上記重合性モノマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
上記アセトフェノン類としては、例えば、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を用いることができる。
これらの光重合開始剤の市販品としては、例えば、BASF社製のイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア651、イルガキュア184等を挙げることができる。
上記光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
上記スペーサは、第1の基材10と第2の基材50との間隔を所定の間隔に保ち、これにより、高分子/液晶複合層30の厚さを所定の厚さに保持する機能を有する。
上記スペーサとしては、例えば、プラスチックビーズ等の光透過性の高い樹脂製のものを用いることができる。また、上記スペーサの形状は特に限定されず、球状であっても不定形であっても良い。
上記二色性色素は、長手方向を有し、上記液晶材料を電界によって配向方向を変化させた際に、上記液晶材料の向きの変化に従って向きを変化させ、それに応じて意匠材に色味を生じさせることができる材料である。
このため意匠材は、上記液晶材料が配列された状態の時には、無色透明又は無色透明に近い状態が維持され、上記液晶材料の向きが不規則な状態の時には、所定の色味を有しながら不可視化された状態となる。
ここで所定の色味を、本発明の意匠材100の周囲の部分と同様の色にすると、本発明の意匠材100の部分だけ周囲の部分と外観が異なることを防ぐことができる。
また、上記液晶材料が配列された状態にある意匠材の色味が、周囲の部分の色味と異なるようにして、意匠性を積極的に付与しても良い。
このような二色性色素としては、例えば、特開2007-009120号公報、特開2011-246411号公報に開示されているような種々の公知のものを用いることができる。
第1の透明導電層20、及び、第2の透明導電層40(以下、共通する材料、性質等について記載するときは、単に透明導電層ともいう)は、通電されることにより上記高分子/液晶複合層に電界を印加し、これにより上記高分子/液晶複合層に含まれる液晶材料を駆動する電極として機能する層である。
ここで、液晶材料を「駆動」するとは、液晶材料に含まれる液晶分子の向きを変化させることを意味する。したがって、透明導電層を用いて高分子/液晶複合層に対して電界を印加することにより、上記高分子/液晶複合層の液晶材料に含まれる液晶分子の配向方向を変化させることができる。
例えば、上記透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)、ATO(Antimony Tin Oxide)、ZNO(Zinc Oxide)等の金属酸化物のほか、導電性高分子膜、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を含有する材料を用いることができる。
上記透明導電層におけるシート抵抗及び透過率は特に限定されないが、例えば、シート抵抗を100Ω/□以上、300Ω/□以下、透過率を85%以上とすることが好ましい。
本発明の意匠材100をリバースモードとして用いる場合、高分子/液晶複合層30と第1の透明導電層20との間、及び、高分子/液晶複合層30と第2の透明導電層40との間に、配向膜を有する。
配向膜60は、上述した第1の透明導電層20の第1の基材10を有する面と反対側の面上、及び、第2の透明導電層40の第2の基材50を有する面と反対側の面上に配向膜用組成物からなる塗工液を塗工して硬化させることによって得られ、配向規制力を発現する。
ここで、配向規制力とは、液晶化合物を所定の方向に配列(配向)させる機能をいう。
本発明の意匠材100の製造方法の一例について説明する。
まず、第1の基材の一方の面側にITO等の金属酸化物膜からなる第1の透明導電層20を形成する。
その一方で、第2の基材50の一方の面側にITO等の金属酸化物膜からなる第2の透明導電層40を形成する。
次いで、液晶材料、重合性モノマー、及び、光重合開始剤を混合した高分子/液晶複合層用組成物を、第1の透明導電層20上に塗布した後、上記高分子/液晶複合層用組成物の塗布層と、第2の透明導電層40とが接するようにして、第2の透明導電層40と第2の基材50とを重ねる。
その後、露光して、高分子/液晶複合層用組成物の塗布層を硬化させて高分子/液晶複合層30を形成する。
最後に、得られた本発明の意匠材100を用途に応じて裁断し、透明導電層(第1の透明導電層20及び第2の透明導電層40)からの取り出し電極加工を行う。
配向膜60は、第1の透明導電層20の第1の基材10を有する面と反対面側、及び、第2の透明導電層40の第2の基材50を有する面と反対面側に、配向膜用組成物を塗工して硬化させることにより得ることができる。
なお、上記組成物が溶剤を含む場合は、塗工後、熱風乾燥機等により塗布層を予め加熱乾燥してから、さらに加熱処理、あるいは、電離放射線を照射することが好ましい。
上記粘着剤としては、例えば透明性に優れるアクリル系粘着剤等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。
<高分子/液晶複合層用液晶組成物の調整>
液晶材料として、誘電異方性が正である駆動型液晶成分(メルク社製E7)を50質量%、重合性化合物としてイソボルニルアクリレートを47.5質量%、光重合開始剤としてイルガキュア651(BASF製)を2.5質量%含む高分子/液晶複合層用液晶組成物を調整した。
第1の基材として、後述する方法で測定したリタデーションが3000nm、100μm厚のPETフィルム基材を用意し、該PETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/sqのITO膜(第1の透明導電層)を成膜した。
一方、第2の基材として、後述する方法で測定したリタデーションが3000nm、100μm厚のPETフィルム基材を用意し、該PETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/sqのITO膜(第2の透明導電層)を成膜した。
それぞれの基材(第1の基材及び第2の基材)について、クロスニコルに配置した偏光板を用いて遅相軸を調査した。
次いで、第2の透明導電層上にスペーサードライ散布装置(株式会社アイエヌジー社製SDI-12)を用いて、直径16μmのスペーサ剤(積水化学製ミクロパール(登録商標SP216)を散布し、その一方で、第1の透明導電層上に、上記のように調整した高分子/液晶複合層用液晶組成物を滴下した。
その後、第1の基材の遅相軸と、第2の基材との遅相軸とが直交(0°)となるように(上記高分子/液晶複合層用組成物を滴下した面と、第2の透明導電層が接するように)重ね、ラミネーターを用いて均一な厚みとなるよう貼り合せた。
貼り合せた状態のまま、高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い、高分子/液晶複合層用組成物中のイソボルニルアクリレートを重合(硬化)させて、厚み16μmの高分子/液晶複合層を有する意匠材を作製した。
得られた意匠材を所定の大きさに裁断するとともに、第1の透明導電層及び第2の透明導電層からの取り出し電極加工を行った。
第1の基材の遅相軸と、第2の基材との遅相軸とが表1に記載した角度となるように配置した以外は、実施例1と同様にして意匠材を作製した。
第1の基材及び第2の基材のリタデーション値を変更した以外は、実施例1と同様にして意匠材を作製した。
第1の基材として、後述する方法で測定したリタデーションが3000nm、100μm厚のPETフィルム基材を用意し、該PETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/sqのITO膜(第1の透明導電層)を成膜した。その後、第1の透明導電層上に、ポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS-2021」(日産化学工業(株)製)を塗布した後、乾燥させて配向膜(厚み0.3μm)を形成した。
その一方で、第2の基材として、後述する方法で測定したリタデーションが3000nm、100μm厚のPETフィルム基材を用意し、該PETフィルム基材上にシート抵抗150Ω/sqのITO膜(第2の透明導電層)を成膜した。その後、第2の透明導電層上に、ポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS-2021」(日産化学工業(株)製)を塗布した後、乾燥させて配向膜(厚み0.3μm)を形成した。
それぞれの基材(第1の基材及び第2の基材)について、クロスニコルに配置した偏光板を用いて遅相軸を調査した。
次いで、第2の透明導電層に形成された配向膜上にスペーサードライ散布装置(株式会社アイエヌジー社製SDI-12)を用いて、直径16μmのスペーサ剤(積水化学製ミクロパール(登録商標SP216)を散布し、その一方で、第1の透明導電層に形成された配向膜上に、上記のように調整した高分子/液晶複合層用液晶組成物を滴下した。
その後、第1の基材の遅相軸と、第2の基材との遅相軸とが直交(0°)となるように(上記高分子/液晶複合層用組成物を滴下した面と、第2の透明導電層上に形成された配向膜とが接するように)重ね、ラミネーターを用いて均一な厚みとなるよう貼り合せた。
貼り合せた状態のまま、高圧水銀灯を用いて紫外線照射を行い、高分子/液晶複合層用組成物中のイソボルニルアクリレートを重合(硬化)させて、厚み16μmの高分子/液晶複合層を有する意匠材を作製した。
得られた意匠材を所定の大きさに裁断するとともに、第1の透明導電層及び第2の透明導電層からの取り出し電極加工を行った。
基材(第1の基材及び第2の基材)のリタデーションは、位相差測定装置KOBRA-WR(王子計測機器社製)を用いて測定(測定角0°、測定波長548.2nm)を行った。
実施例及び比較例で作製した意匠材を、VAモード液晶表示装置上に配置した。暗所にて、液晶表示装置を白表示とした状態とし、観察者は偏光サングラス越しにニジムラの有無を観察し、下記基準により評価を行った。
具体的には、実施例1~10及び比較例1~3で作製した意匠材では、電圧を印加し透明状態にした状態で、意匠材を回転させて観察をした。
また、実施例11で作製した意匠材では、電荷を印加しない状態(透明状態)で、意匠材を回転させて観察をした。
同時に15人で観察を行い、下記の基準に従い、評価した。最多数の評価を観察結果とした。
◎:ニジムラが見えなくなる角度がある
〇:ニジムラが薄く見えるが許容範囲である角度ある
×:いずれの角度で配置してもニジムラが見える(薄く見えるが許容範囲である角度もない)
実施例1~6から、第1の基材の遅相軸と、第2の遅相軸とのなす角度が、0°±15°の範囲、又は、90°±15°の範囲である場合には、ニジムラ評価が特に良好であることが確認された。
また、実施例7~9から、第1の基材及び第2の基材のリタデーションが2000以上である場合には、ニジムラ評価が特に良好であることが確認された。
更に、実施例11から、意匠材が配向膜を有する場合であっても、ニジムラ評価が良好であることが確認された。
実施例1~11では、第1の基材の遅相軸、及び、第2の基材の遅相軸の少なくとも一方と、画像表示装置の観察者側に有する偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲において、ニジムラ評価が良好(ニジムラが消える、又は、薄くなる)となり、0°±15°の範囲、又は、90°±15°の範囲において特に良好になることが確認された。
一方で、比較例1~3から、第1の基材の遅相軸と、第2の遅相軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲では無い意匠材では、ニジムラを解消することができないことが確認された。
その後、分光光度計(V7100型、自動絶対反射率測定ユニットVAR-7010 日本分光社製)を用いて、S偏光に対して、観察者側に配置した第1の基材の遅相軸を90°に設置した場合(すなわち、第1の基材の遅相軸と、画像表示装置の表示画面の上下方向とが、平行に配置された場合)、第1の基材の遅相軸を80°に設置した場合、第1の基材の遅相軸を60°に設置した場合、第1の基材の遅相軸を45°に設置した場合、及び、第1の基材の遅相軸を0°に設置した場合の5度反射率をそれぞれ測定した。
その結果、S偏光に対して、第1の基材の遅相軸を90°に設置した場合が最も反射率が低く、次いで第1の基材の遅相軸を80°に設置した場合、第1の基材の遅相軸を60°に設置した場合、第1の基材の遅相軸を45°に設置した場合、第1の基材の遅相軸を0°に設置した場合の順に反射率が低くなり、第1の基材の遅相軸と、画像表示装置の表示画面の上下方向とが、平行に配置することにより、反射防止性能が向上することが確認された。
20 第1の透明導電層
30 高分子/液晶複合層
40 第2の透明導電層
50 第2の基材
60 配向膜
100 意匠材
Claims (4)
- 画像表示装置の観察者側に配置して用いられ、少なくとも、第1の基材、第1の透明導電層、高分子/液晶複合層、第2の透明導電層、及び、第2の基材がこの順で積層され、
前記第1の基材、及び、前記第2の基材は、面内に複屈折率を有し、
前記第1の基材の遅相軸と、前記第2の基材の遅相軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲となるように配置されており、
前記第1の基材の遅相軸、及び、前記第2の基材の遅相軸の少なくとも一方と、前記画像表示装置の観察者側に有する偏光子の透過軸とのなす角度が、0°±30°の範囲、又は、90°±30°の範囲となるように配置されている
ことを特徴とする意匠材。 - 第1の基材、及び、第2の基材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1に記載の意匠材。
- 第1の基材、及び、第2の基材は、リタデーションの下限が2000nm、上限が5000nmである請求項1又は2に記載の意匠材。
- 高分子/液晶複合層と第1の透明導電層との間、及び、前記高分子/液晶複合層と第2の透明導電層との間に、配向膜を有する請求項1、2又は3に記載の意匠材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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