JP7187290B2 - 植生地盤の温度制御方法 - Google Patents
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Description
<第1の態様>
植生地盤上からグローライトを照射しつつ、このグローライトの照射領域の植生地盤内に敷設された、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う温度調節体により、地盤表層領域の温度を制御する温度制御方法において、
外気温度及び外気湿度を含む気象データ、並びにグローライトの照射データを境界条件として含む熱伝導解析により、前記地盤表層領域の温度を求め、この地盤表層領域の地中温度が目標地温となるように、地盤の熱伝導率を考慮しながら前記温度調節体を制御する、
ことを特徴とする植生地盤の温度制御方法。
このように、グローライトの照射領域の植生地盤内に敷設された温度調節体により、地盤表層領域の温度を制御する場合において、グローライトの照射データを境界条件として含む熱伝導解析を行うことにより、より高精度な温度計測を行うことができ、もってより高精度での地盤の温度制御が可能となる。
前記気象データは、日射計により計測される計測データを含み、
日光の照射環境下で、植生地盤上からグローライトを照射しつつ、このグローライトの照射領域の植生地盤内に敷設された温度調節体により、地盤表層領域の温度を制御する、
第1の態様の植生地盤の温度制御方法。
屋外競技場や開閉式屋根を有する競技場等では、日光の照射環境下で、補光を目的として植生地盤上からグローライトを照射することがある。このような場合には、日射計による計測データを気象データに含めて熱伝導解析を行うことが望ましい。
前記植生地盤を複数の制御ゾーンに区画するとともに、各制御ゾーンに前記温度調節体を独立的に配置し、各制御ゾーンごとに独立して前記地盤表層領域の温度制御を可能とし、
前記制御ゾーンのうち、グローライトを照射する照射ゾーン及びグローライトを照射しない非照射ゾーンを順次切り替えて、前記植生地盤にグローライトを照射するとともに、
前記照射ゾーンの前記温度制御では、前記グローライトの照射データを境界条件として含む熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行い、
前記非照射ゾーンの前記温度制御では、前記グローライトの照射データを境界条件として含まないか、又は前記照射ゾーンよりも少ない照射量に補正されたグローライトの照射データを境界条件として含む熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行う、
第1又は2の態様の植生地盤の温度制御方法。
競技場のような広大な面積の植生地盤に対しグローライトを照射する場合、植生地盤の全体にグローライトを設置することは不可能ではないが、通常は、効率及び経済性を考慮して、植生地盤を複数のゾーンに区画し、グローライトを照射する照射ゾーン及びグローライトを照射しない非照射ゾーンを順次切り替えて、植生地盤にグローライトを照射することが一般的である。したがって、このような場合にグローライトを加味した温度制御を行う場合、本態様のように、照射ゾーンではグローライトの照射データを加味し、非照射ゾーンではグローライトの照射データを加味しないか、又は加味するとしても照射ゾーンよりも少ない照射量に補正して加味すると、より高精度での温度制御が可能となるため好ましい。
前記温度調節体は、前記植生地盤内に敷設されたパイプ中に熱媒体を供給するものであり、このパイプに供給される熱媒体を制御することにより植生地盤の温度制御を行うものである、
第1~3のいずれか1つの態様の植生地盤の温度制御方法。
前述のように、競技場のような広大な面積の植生地盤に対しグローライトを照射する場合、植生地盤の全体にグローライトを設置することは不可能ではないが、通常は、効率及び経済性を考慮して、植生地盤を複数のゾーンに区画し、グローライトを照射する照射ゾーン及びグローライトを照射しない非照射ゾーンを順次切り替えて、植生地盤にグローライトを照射することが一般的である。これにより、グローライトの使用数を減らしつつ、効率よく植生地盤の育成促進を図ることができる。グローライトの照射パターンは公知のものを限定なく利用できる。例えば、図1に示すサッカーフィールドの場合、サッカーフィールドを平面的に3つの同時照射ゾーン(後述する制御ゾーンA~D、E~H、I~L)に区画し、表1に示す照射計画(タイムテーブル)に従って、図1(a)~(c)のグローライト10の設置位置の変更を1周期(各同時照射ゾーンにおける照射時間を8時間として合計24時間)として繰り返すことにより、グローライト10を照射する照射ゾーン及びグローライト10を照射しない非照射ゾーンを順次切り替えて、植生地盤にグローライト10を照射することができる。
(気象データの測定)
少なくとも制御開始より数日前(例えば3日前)から、気象データ計測機器ユニット9A(9B)による各種気象観測データ及び埋設した熱電対5による地中温度測定を行い、制御コンピュータ52に記憶する。
制御コンピュータ52に記憶されている過去の気象データ、地中温度データ及びグローライト10の照射データに基づいて、熱伝導解析を用いて各ゾーンA~Lについて地盤内温度を過去の所定時刻(例えば3日前)から現在に至る時刻歴に従って数値計算する。
2次元熱伝導方程式を下式(1)に示す。
既往文献により、乾燥芝の場合でa=0.66、湿潤芝の場合でa=0.75とする。
日射量は、太陽光による直接的な直接日射量と、放射的な天空日射量とがあり、日向ではそれらの両方が日射量として与えられ、日陰では天空日射量のみが与えられる。したがって、前述のように、二台の気象データ計測機器ユニット9A,9Bとにより、日向と日陰の気象観測データを夫々使い分ける。
既往文献により、ε=0.93とする。
既往文献により、下式(6)によって求める。
既往文献により、下式(8)により任意高さhでの風速Vhから算出する。なお、風速べき指数を0.25と仮定する。
既往文献により、K:0.1~0.2(降水量のうちKの割合で蒸発が発生すると考える。
既往文献により、水蒸気の場合はCa=0.501kcal/kg℃、空気の場合はCa=0.241kcal/kg℃とする。
既往文献により、L=597.5kcal/kgとする。
グローライトの照射係数aGLは、グローライトがon(照射)の時は1とし、グローライトがoff(非照射)の時は0又は0に近い数値とすることにより、照射ゾーンではグローライトの照射データを加味し、非照射ゾーンではグローライトの照射データを加味しないか、又は加味するとしても照射ゾーンよりも少ない照射量に補正して加味することとなる。
(j)グローライトの照射量;THGL
グローライトの照射量THGLはゾーンごとに配置されるグローライトの光量に応じて設定することができる。
上記仮想的熱伝導解析の結果、求められた地盤表層領域Xの温度を温度制御開始時における地盤表層領域Xの境界条件として設定し、以降は、所定の時間毎、例えば2~3時間に、日射計、外気温度計、外気湿度計の気象データ、及びグローライト10の照射データを境界条件とする熱伝導解析を行い地盤表層領域Xの温度を求めるようにすることができる。熱伝導解析は、仮想的熱伝導解析と同様の計算方法により行うことができる。
以上、ステップ2までの手順により、直接、温度計測できない地盤表層領域Xの地温が把握できたことになるため、次の手順としては、地盤表層領域X内に設定した着目点S(図3参照、芝生の育成にとって温度管理が重要となる地表面下数cmの点)が目標温度となるように、温度調節体の調節計画、すなわち本例ではパイプ1に供給される熱媒体の通水計画を立てる。
本例においては、前述した地温制御対象領域の地温計算結果を基に、例えば有限要素法によって地盤の熱伝導率を考慮しながら空間的及び時間的な温度変化を把握して、着目点Sの目標温度と計算温度との差を最小にするようにパイプ通水温度(熱媒体温度)を求めて地温を制御する。したがって、芝生の育成に最も影響の大きい地盤表層域を適切な温度環境にコントロールすることができる。この場合の熱源供給制御としては、所定時間ごとに高温熱媒体と低温熱媒体とを交互に供給する制御とすることにより、その制御が容易かつ現実的なものとなる。
次いで、熱伝導率の同定手法を示す。熱伝導率の同定に当り、試料を採取して室内実験により熱伝導率を決定することは容易であるが、地盤の不均一性、含水比の未確定性により原位置での熱伝導率を正確に表しているとは言い難い。また、熱伝導率も地盤中の含水状態で変化するため、解析精度を上げるには、適時、熱伝導率の較正を行う必要がある。
(A) 3時間毎に日射計、外気温度計、外気湿度計の気象データ、並びにグローライトの照射データを境界条件とした熱伝導解析を行った場合(解析値:グローライト考慮あり)。
(B) 3時間毎に日射計、外気温度計、外気湿度計の気象データを境界条件とし、グローライトの照射データを境界条件とせずに熱伝導解析を行った場合(解析値:グローライト考慮なし)。
Claims (4)
- 屋外競技場又は開閉式屋根を有する競技場における天然芝生地盤上から、架台に下向きのナトリウムランプが多数横並びで取り付けられたグローライトを照射しつつ、このグローライトの照射領域の天然芝生地盤内に敷設された、加熱及び冷却の少なくとも一方を行う温度調節体により、地盤表層領域の温度を制御する温度制御方法において、
日射計、外気温度計及び外気湿度計によりそれぞれ計測された、日射計測データ、外気温度及び外気湿度を含む気象データ、並びに計画されたグローライトの照射量を境界条件として含む熱伝導解析により、前記地盤表層領域の温度を求め、この地盤表層領域の地中温度が目標地温となるように、地盤の熱伝導率を考慮しながら前記温度調節体を制御する、
ことを特徴とする植生地盤の温度制御方法。 - 前記天然芝生地盤を複数の制御ゾーンに区画するとともに、各制御ゾーンに前記温度調節体を独立的に配置し、各制御ゾーンごとに独立して前記地盤表層領域の温度制御を可能とし、
前記制御ゾーンのうち、グローライトを照射する照射ゾーン及びグローライトを照射しない非照射ゾーンを順次切り替える照射計画に基づいて、前記天然芝生地盤にグローライトを照射するとともに、
前記照射ゾーンの前記温度制御では、前記照射計画に基づく前記グローライトの照射量を境界条件として含む熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行い、
前記非照射ゾーンの前記温度制御では、前記グローライトの照射量を境界条件として含まないか、又は前記照射計画に基づく前記グローライトの照射量を前記照射ゾーンよりも少なく補正した補正値を境界条件として含む熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行う、
請求項1記載の植生地盤の温度制御方法。 - 前記グローライトの照射開始から所定時間経過するまでは、前記グローライトの照射量を境界条件として含まない熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行い、その後から前記グローライトの照射終了まで、前記グローライトの照射量を境界条件として含む熱伝導解析に基づいて前記温度制御を行う、
請求項1又は2に記載の植生地盤の温度制御方法。 - 前記温度調節体は、前記天然芝生地盤内に敷設されたパイプ中に熱媒体を供給するものであり、このパイプに供給される熱媒体を制御することにより前記天然芝生地盤の温度制御を行うものである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の植生地盤の温度制御方法。
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