JP3257914B2 - 植生地盤の温度制御方法 - Google Patents

植生地盤の温度制御方法

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JP3257914B2
JP3257914B2 JP01226095A JP1226095A JP3257914B2 JP 3257914 B2 JP3257914 B2 JP 3257914B2 JP 01226095 A JP01226095 A JP 01226095A JP 1226095 A JP1226095 A JP 1226095A JP 3257914 B2 JP3257914 B2 JP 3257914B2
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敏雄 児玉
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  • Cultivation Of Plants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、たとえばゴルフ場のテ
ィグランドやグリーン、サッカー場などの芝生を年間を
通じて容易に維持管理することのできる植生地盤の温度
制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴルフ場のティグランドやグリーン、サ
ッカー場、グランドなどの芝生は、冬季には降雪によっ
て埋もれたり、冬枯れとなって緑色ではなくなる。近
年、冬季に休眠し夏季に強い高麗芝と、逆に冬季に強い
ベントグラスの両方を植えて通年に亘って緑色の芝を保
持しようとするオーバーシート技術も開発されている
が、この場合においてもやはり自然条件の影響を受け
る。また、これらの施設は競技やレクリエーション等に
よって芝生面の利用環境が厳しく、芝生の生育にとって
は障害となっている。さらに、芝生土壌の水はけが悪く
て植芝土壌中の水分が過剰になると、根腐れや病虫害の
発生が起こり易くなり、逆に水分が不足すると芝生は枯
れてしまうなどの問題がある。
【0003】そこで、これらの植芝施設では、地中に排
水手段を巡らして水はけを良くするとともに、適時散水
を行い土壌の湿潤状態を適性に保つことも行われている
が、芝生は外部条件によって育成状態が大きく左右され
るため、多大な手間と経費を掛けてその維持管理を行っ
ているにも拘わらず、年間を通して継続的に緑化状態に
維持管理することは困難な状況にある。
【0004】一方、特にゴルフ場では、病害や細菌によ
る病害の防止に関しては、大量の殺虫剤、殺菌剤を散布
する以外に適切な方法が見当たらず、この散布農薬によ
る公害が近年問題となっている。
【0005】他方、近年ゴルフ場の無農薬化に関する研
究も進み、芝生に関する基礎的な知見をもとに農薬に代
わる土壌管理システムも提案されている。たとえば、特
開平4−58836号公報においては、地表面から一定
の深さ掘り下げてその掘り下げ凹部の底面及び内側面を
遮水処理し、掘り下げ凹部内へ排水手段を設けるととも
に、地表面から所定深さの給水パイプを巡らして掘り下
げ凹部を培土で埋め戻し、前記排水手段から排水された
水を浄化して給水パイプへ供給する循環路を設け、循環
水量をコントールして地中の保水量を一定に保つことに
より、曝気槽で浄化された水により土壌を浄化して病虫
害や病気の発生を抑制し、農薬散布を無くする方法が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平4−588
36号公報による方法は、概略すると地中の保水量を一
定に保つとともに、殺菌した浄化水を使用することによ
り病害をなくするというものである。確かに前記保水量
の制御も芝生の育成にとって重要なファクターではある
が、これだけでは農薬散布を無くすだけの抵抗力を持っ
た芝生は育成することはできない。病害に対する抵抗力
を持った強い芝生にするためには芝生の気候的な育成環
境をコントロールする必要がある。
【0007】一方、芝生の育成や降雪の融解などのため
に、地下に埋設したパイプ中に温水を循環させて育成床
を保温する方法が従来より提案されているが、このよう
な一定環境下で生育される芝生は脆弱となってしまい、
雪腐病などの特定の病害に対しては強くなるが、春はげ
症などの他の病害に対する抵抗力は却って小さくなり病
害を促進する結果となる。また、この場合には外部条件
に即した熱媒体(冷熱、温熱)の供給がされていないた
め、必ずしも芝生の育成に適した地盤環境となっていな
いなどの問題を有する。この点に関して、計測に外部条
件を考慮した制御法として、芝生用地中散水装置(特開
平3−206823号公報)の開示があるが、水分の供
給のみで地温の制御を行った例は過去に存在しない。ま
た、この場合であっても、空間的および時間的な変化に
ついての把握がないため、周期的な時間変化に追随した
制御はできない。
【0008】他方、芝生のうち、ベントグラスの夏の病
害を抑制する方法として床土を冷却する冷却法が検討さ
れている。この冷却法は、ヒートポンプで約10℃の冷
却水を作り、地下30cmに埋設したパイプに冷却水を循
環させグリーン床土の温度を低下させるものであるが、
実験によれば、高温性の病害であるブラウンパッチに対
しては明らかな抑制効果が認められるが、低温性の病害
であるダラースポットに対してはむしろ促進的に作用し
て被害が大きくなることが確認されている。
【0009】そこで、本発明の主たる課題は、外部条件
を考慮しながら、制御対象領域の地温を経済的にかつ利
用目的に即した地温分布とすることにより、抵抗力の強
い芝生等を育成して病害を防止し、年間を通じて容易に
維持管理することのできる植生地盤の温度制御方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、植生地盤内にパイプを敷き巡らし、この
パイプ中に熱媒体を供給することにより植生地盤の温度
を制御する制御方法において、地温制御対象領域の地温
を継続的に測定し、この測定地温が周期関数曲線状の目
標地温になるように前記パイプに熱媒体を供給すること
を特徴とするものである。
【0011】前記目標地温を周期関数曲線状に変化させ
る温度制御方法としては、所定時間毎に高温熱媒体と低
温熱媒体とを交互に供給する制御とするのが最も制御が
容易で実際的である。前記高温熱媒体と低温熱媒体との
供給に当り、ヒートポンプにより交互に前記高温熱媒体
と低温熱媒体とを作り出すこともできるが、高温熱媒体
を貯留する高温熱媒体槽と低温熱媒体を貯留する低温熱
媒体槽とを夫々備え、所定時間毎に前記高温熱媒体槽か
らの供給と前記低温熱媒体槽からの供給とを交互に切換
えることにより、制御遅れもなく迅速に高温熱媒体から
低温熱媒体へ、またはこの逆に熱媒体を変化させること
ができる。
【0012】また、他の方法としては、若干制御動作が
緩慢とはなるが、高温熱媒体を貯留する高温熱媒体槽お
よび低温熱媒体を貯留する低温熱媒体槽の一方を備え、
所定時間毎に前記高温熱媒体槽または低温熱媒体槽から
の供給とその供給停止とを交互に繰り返して行うことも
できる。
【0013】これらの場合、特に熱媒体の輸送距離(パ
イプの敷設延長)が長い場合には、前記植生地盤内に敷
き巡らされたパイプの中間に、所定温度(熱媒体供給当
初の温度)の熱媒体が貯留された補助熱媒体槽または供
給される熱媒体に対する加熱/冷却手段を設けることに
より、熱交換により変化した熱媒体の温度を元の基準温
度まで回復させることができる。
【0014】他方、植生地盤内にパイプを敷き巡らし、
このパイプ中に熱媒体を供給することにより植生地盤の
温度を制御する制御方法において、地温制御対象領域の
地温を継続的に計測し、この測定地温を周期関数曲線状
の目標地温にするべく、地盤の熱伝導率に基づき前記パ
イプに供給する熱媒体の温度を変化させるとともに、前
記熱伝導率の同定は、地盤内で計測された温度の時刻歴
を用い、計測点に対応する位置における計算値と計測値
との残差を最小にすることにより求めることを特徴とす
る植生地盤の温度制御方法も提供される。
【0015】
【作用】本発明においては、地温制御対象領域の地温計
測結果を基に、たとえば有限要素法によって地盤の熱伝
導率を考慮しながら空間的および時間的な温度変化を把
握して、定点(観測点)設定温度と実際の計測した温度
との差異を最小にするようにパイプ通水温度(熱媒体温
度)を求めて地温を制御する。したがって、実際の地盤
温度を計測するため、所望の地温に精度良く制御するこ
とができるため、任意の温度環境に植生地盤をコントロ
ールすることができる。また、前記目標地温を周期関数
曲線状に変化させることにより、育成される芝生等が丈
夫となり、すべての病害に対して抵抗力を有するものと
なり、もって農薬散布を不要または少なくすることがで
きるとともに、年間を通じて継続的または断続的(たと
えば、積雪でゴルフ場が閉鎖される場合にはその間は維
持管理を行わない。)に植生植物の維持管理を容易に行
うことができるようになる。この場合の熱源制御として
は、所定時間毎に高温熱媒体と低温熱媒体とを交互に供
給する制御とすることにより、その制御が容易かつ現実
的なものとなる。
【0016】なお、前記周期関数曲線とは、基準点を境
に正負の振幅を繰り返す曲線を言い、たとえばsin曲
線、cos曲線、exponention 曲線またはこれら曲線の
組合せなどの適宜の周期曲線を用いることができる。
【0017】他方、前記熱伝導率の同定に当り、試料を
採取して室内実験により熱伝導率を測定することは比較
的容易に行うことができるが、原位置での熱伝導率を正
確に求めることは、地盤の不均一性、含水比の未確定性
により一般的に困難である。しかし、室内実験により得
られた定数を、実際の地盤をモデル化する数値計算にそ
のまま用いることは好ましくはない。そこで、本発明に
おいては、熱伝導率の推定を逆問題として取扱、非線型
最小二乗法を用いて同定する方法を用いる。すなわち、
地盤内で観測された温度の時刻歴を用い、観測点に対応
する位置における計算値と計測値との残差を最小にする
ことにより求める。この場合、計算値と測値の残差平
方和すなわち評価関数の最小化には、たとえばGauss-Ne
wton法を用いることができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
図1において、植生地盤の構成は、上層側より細砂層
2、粗砂層3、玉砂利層4の3層構成となっている。一
般的に、ゴルフ場のグリーンやサッカー場のフィールド
などの場合には散水車、芝生カッター車などの管理車が
往来するため、地盤の沈下や轍掘などを防止するために
多層構成の地盤構とされている。
【0019】本発明に係るこの種の敷設パイプ1の場合
は、表層近傍に埋設したのでは、上載荷重の影響により
変形することがあるため、中層の粗砂層3中に敷設され
ている。敷設状態は、たとえば図2に示されるように、
同一平面内で敷き巡らすようにして敷設する。地盤表面
からパイプの敷設位置までの深さhは、通常15cm〜3
5cm程度とされる。また、その設置間隔は通常の例であ
れば、15〜60cm程度とされる。前記パイプ1に対し
ては、図示しない熱源操作手段より所定温度の温水また
は冷水等の熱媒体(熱媒および冷媒の両者を指す。)が
供給循環されるようになっている。前記パイプ1に供給
される熱媒体は、周囲の地盤との熱交換により温度が変
化することになるが、敷設されたパイプ1の中間に、図
2に示されるように、所定温度の熱媒体が貯留された補
助熱媒体槽22を設けたり、あるいは加熱/冷却コイル
等の熱媒体に対する加熱/冷却手段23、23…を設け
ることにより熱媒体の温度を元の基準温度に回復させる
ことができる。
【0020】また、地盤深さ方向には、地盤表面近傍の
地盤を目標地温に制御するため及び熱伝導率の同定のた
めに適宜の間隔で熱電対5、5…が埋設されている。な
お、他の熱媒体としては、たとえば高温熱媒体として
は、蒸気、高温ガスなどを用いることができるし、また
低温熱媒体としてはフロンガス、ブライン、アンモニア
などを用いることができる。
【0021】さて、以下本発明に係る制御解析手法を述
べると、基礎方程式としては下式(1)の非定常熱伝導
方程式を用いる。ここで、式(1)において、Tは温
度、ρ、C、κは地盤材料の密度、定圧比熱、熱伝導率
をそれぞれ表し、qは単位体積当りの熱の発生項を意味
する。
【0022】
【数1】
【0023】上記(1)式を解くためには、以下に示す
基本境界条件および自然境界条件は必要となる。
【0024】
【数2】
【0025】
【数3】
【0026】ここで、Γは境界を表し、nX 、ny はΓ
に対して外向き単位法線ベクトルの成分を意味する。ま
た、T^(注;^は直上に符号される)は境界Γ1 で与
えられる温度、Q^は境界Γ2 で与えられるフラックス
をそれぞれ示す。初期条件は以下のように与えられる。
【0027】
【数4】
【0028】基礎方程式に対して通常のGalerkin法を適
用し、三節点三角形要素で変数を離散化することによ
り、以下の有限要素方程式が得られる。
【0029】
【数5】
【0030】ここで、Mαβ、Sαβ、Ωα(注;αお
よびβは添字)は質量マトリックス、拡散マトリック
ス、フラックスベクトルをそれぞれ表し、Δtは微小時
間増分である。時間方向の離散化にはCrank-Nicolson
法を採用する。
【0031】次いで、熱伝導率の同定手法を示す。本例
では、熱伝導率の推定を逆問題として取扱い、非線型最
小二乗法を用いて同定する方法を用いる。すなわち、地
盤内で観測された温度の時刻歴を用い、観測点に対応す
る位置における計算値と計測値との残差を最小にするこ
とにより求める。この場合、計算値と測値の残差平方
和すなわち評価関数の最小化には、Gauss-Newton法を用
いる。
【0032】地盤構造を図3に示すように、いくつかの
層(部分領域)からなるものとし、各層内の熱伝導率は
一定、という仮定を用いる。熱伝導率を一般的に書き表
せば下式(6)となる。
【0033】
【数6】
【0034】ここで、λは部分領域に対応する熱伝導率
の番号を表し、nは部分領域の総数である。
【0035】また、解析領域内に設けられた観測点での
温度を次のように表す。
【0036】
【数7】
【0037】ここで、〜は測値であることを意味し、
μは観測点の番号、mは観測点の総数を表す。同様に観
測点1〜mに対応する節点での計算値を以下のように表
しておく。
【0038】
【数8】
【0039】熱伝導率を求めるための評価関数は、以下
に示すように、観測された温度と対応する温度の計算値
との残差平方和で表される。
【0040】
【数9】
【0041】ここに、t0 、tf は計算開始時刻、計算
終了時刻をそれぞれ表す。この式から判るように、評価
関数は熱伝導率κλ(注;λは添字)の関数であるた
め、最適な熱伝導率κλは、(9)式を最小化すること
により求めることができる。
【0042】評価関数の最小化には、さまざまな方法が
あるが、たとえばGauss-Newton法を用いることができ
る。そのアルゴリズムを図に示す。
【0043】また、各パラメーターの感度マトリックス
は感度方程式法により求める。
【0044】
【数10】
【0045】増分値Δκλi は、以下の式(11)(1
2)によって求めることができる。
【0046】
【数11】
【0047】
【数12】
【0048】以上の手順により、各領域の熱伝導率を求
めることができる。
【0049】次いで、地温制御手法について詳述する
と、基礎方程式(1)式は、以下のようなマトリックス
形式で表すことができる。
【0050】
【数13】
【0051】ここで、[ A ]{u}の項は、制御温度の
節点に関わる項であり、{u}は制御温度を表す。ま
た、(2)式の境界条件は[ B ]{f}で表される。さ
らに(13)式を変形すると次式(14)を得る。
【0052】
【数14】
【0053】ここで、[ C ]=−[ M ] -1 [ S ][ D ]
=−[ M ] -1 [ A ]、{F}=−[M ] -1 [ B ]{f}
である。
【0054】制御温度を得るための評価関数は、以下の
ようになる。
【0055】
【数15】
【0056】ここに、T* は着目点における目標温度を
意味し、[ Q ][ R ]は重みを表す対角マトリックス
である。これらは一般に観測値の誤差、制御温度のばら
つきを表す共分散の逆行列が用いられるが、これらの値
を見積もることは非常に困難であるため、ここでは重み
の値を経験的にそれぞれ1.0、0.001とした。
【0057】最適化には、(13)式の拘束条件のもと
に評価関数(15)式を最小化する問題に帰着する。以
下、最適制御理論の手順に従い、制御温度{u}の求め
方を示す。ここでは、最適制御理論のうち、勾配法に基
づくSakawa-Shindo 法を採用する。まず、Hamiltonian
関数Hを導入する。
【0058】
【数16】
【0059】ここに、{p}はLagrangeの未定乗数であ
る。この式よりEuler-Lagrangeの方程式を求め、横断性
の条件を適用すると、未定乗数は(18)式で規定され
る終端条件を用いて(17)式を解くことにより求める
ことができる。
【0060】
【数17】
【0061】
【数18】
【0062】このとき、{p}については、初期条件で
はなく終端条件が規定されているため、(17)式は次
式のように逆時間で解かなければならない。
【0063】
【数19】
【0064】よって、観測点における温度の節点値を全
時間ステップで記憶させておく必要がある。
【0065】次に、制御温度{u}を求めるため、修正
Hamiltonian 関数を次式のようにおく。
【0066】
【数20】
【0067】ここで、制御温度{u}に下式の拘束条件
が与えられるものとする。
【0068】
【数21】
【0069】本例では、図5に示すように、2段階のBa
ng bang 制御を行うこととすると、次式で表される修正
Hamiltonian 関数の勾配により、a、bを選択すること
になる。
【0070】
【数22】
【0071】制御温度の具体的な切換えは以下のように
行う。
【0072】
【数23】
【0073】ここで、は、{a}または{b}を選択
する。また、制御温度を求めるためのSakawa-Shindo 法
による計算のアルゴリズムを図6に示す。
【0074】前記2段階のBang bang 制御において、ヒ
ートポンプにより区間毎に冷水と温水とを交互に作り出
すことができるが、図7に示されるように、高温側(a
温度)の温水を貯留する温水槽6と、低温側(b温度)
の冷水を貯留する冷水槽7とを別々に用意しておき、切
換制御弁8、9により前記温水槽6と冷水槽7との切換
えを行うことにより、所定時間毎に一定温度の温水また
は冷水を制御遅れなく迅速かつ容易に供給するようにす
ることができる。
【0075】前記2段階のBang bang 制御の変形とし
て、季節に応じて前記温水槽6または冷水槽7の一方側
のみを用意して1段階制御を行うこともできる。具体的
には夏期には冷水槽7のみを用意し、所定時間はこの冷
水槽7から冷水を供給した後、しばらくの間は前記冷水
の供給を停止する操作を繰り返して行うことにより、前
記冷水を供給した際には地盤が冷やされるとともに、供
給を停止することにより地温が常温化して温められるこ
とになり、地盤表面近傍の地温を周期関数曲線状に変化
させることができる。逆に、冬季の場合には温水槽6の
みを用意し、所定時間はこの温水槽6から温水供給を
行った後、しばらくの間は前記温水の供給を停止する操
作を繰り返して行うことにより、地盤表面近傍の地温を
周期関数曲線状に変化させることができる。
【0076】他方、前記熱媒体の供給態様としては、敷
設されたパイプ中に、温水と冷水とを交互に供給するこ
ともできるが、他の方法として、図8に示されるよう
に、温水用パイプ20と冷水用パイプ21とを隣接させ
て敷設し、温水供給時には前記冷水用パイプ21に対す
る冷水供給を停止させた状態で温水用パイプ20に対し
て温水を供給し、冷水供給時には前記温水用パイプ20
に対する温水供給を停止させた状態で前記冷水用パイプ
21に対して冷水を供給して、温水と冷水とを交互に供
給することもできる。さらに、図9に示されるように、
温水用パイプ20と冷水用パイプ21とからなる二重管
19を用い、温水と冷水とを交互に供給することもでき
る。
【0077】これらの温水または冷水供給制御に際し、
インバータポンプを使用して外部条件の負荷を考慮しな
がらその供給量を調節することにより、制御応答性(熱
交換の応答性)を向上させることもできる。
【0078】〔実験例〕 (1) 実験装置 図10に示される直径2m、高さ1mの木製の円形土槽
10を作製して室内実験を行った。この円形土槽10の
円筒外型枠および底板は、厚さ3cmの材木を組み合わせ
て作成した。木製型枠の内側には底部厚さ10cm、側壁
部厚さ5cmの発泡スチロールを巻き、さらにその内側に
厚さ3mmのミラマットを敷き詰めることにより断熱の条
件を与えることとした。土槽中心部には、直径30cmの
アルミニウム缶11を挿入し、その内部に水を満たすこ
とにより外部境界とした。土槽内部には含水比3.1%
の砂を入れ、制御用ビニールパイプ13〜15、温度セ
ンサー16、16…を設置するとともに、上部まで巻き
出した。
【0079】外部境界(中心部のアルミ缶11)には恒
温装置から水をビニールパイプに循環させ、缶内部の水
温をヒートジェネレーター12により一定温度に保たせ
るものとする。アルミ缶11の周辺砂中には、外壁より
30cmの位置にビニールパイプ13(14・15)を図
11のように螺旋状に埋込み、外部境界とは別系統の恒
温装置によって作られた温水または冷水を循環させるよ
うにした。このビニールパイプ13〜15内の水温を制
御手法によってコントロールすることにより地中の着目
点での温度を制御する。
【0080】現象はアルミ缶11の中心、鉛直方向を軸
とした軸対称問題と考えることができるので、制御解析
は円筒の半鉛直断面で行えばよい。したがって、その解
析対象断面の概念を図12に示す。制御用パイプ13〜
15、熱電対(K型)を用いた温度センサー16、16
…は同図に示す位置に設置されている。
【0081】(2) 砂の熱伝導率の同定 制御解析に先立ち、砂の熱伝導率の同定を行った。図1
2中のハッチング部分を解析領域とした。また、この部
分の有限要素モデルを図13に示す。現象が軸対称であ
ること、および鉛直方向に温度分布が一様であることを
考慮すれば、解析領域は当該領域で充分であると思われ
る。また、砂はほぼ一定であると考えられるため、熱伝
導率は全領域において一定であるものと仮定し、密度と
貯留係数を乗じた値として、砂の一般的な値、ρC=2,
000,000 kg/Kms2 を用いた。
【0082】同定解析に用いた境界条件を図14に示
す。図14は約3日間の間にパイプ内の水温を変化させ
ることにより得たパイプおよび外部境界(アルミ缶の水
温)の温度の境界条件を示す。図13中、■、●の位置
にこの境界条件を与え、▲点での実測値と計算値の残差
が最小となる熱伝導率を上記した手法により同定した。
また、図15に評価関数の推移、図16に熱伝導率同定
の結果を示す。
【0083】砂の熱伝導率κは、約5回の繰り返しでκ
=0.75W/mKに収束していることが判る。この熱伝導率
を用いた場合の実測値と計算値を比較したものを図17
に示す。この結果、最大で約2℃程度の差異が認められ
るものの、すべての点で両者はよく一致しているものと
考えられる。したがって、以下の制御解析においては、
砂の熱伝導率としてκ=0.75W/mKを用いることとし
た。一般に未凍結土の熱伝導率は含水比等により異なる
が、概ね0.8 〜4.0 W/mKの範囲にあり、ここで得られ
た熱伝導率はこの範囲の下限よりやや小さいものの、物
理的に妥当なオーダーの値であると考えられる。
【0084】(3)Bang bang制御解析 制御計算においても、熱伝導率の同定の場合と同様に、
図13に示される有限要素モデルを用いる。ここでは、
外部境界(■点)の温度を25℃一定とした条件のもと
に、観測点(▲点)の温度を下式(24)にするような
制御点(●点)での制御温度を求める。ただし、式(2
4)中、Tは周期を示し、ここでは24時間とした。
【0085】
【数24】
【0086】また、制御温度の拘束条件を下式(25)
とした。
【0087】
【数25】
【0088】図18に観測点での目標温度、計算で求め
られた制御温度およびそれらの条件のもとに計算された
観測点での温度を示す。Bang bang 制御の理論により計
算された観測点での温度は、目標温度を良く表現してい
ると認められる。
【0089】次に、計算された制御温度の通りに実験シ
ステムのパイプの温度の設定を試みた結果を図19に示
す。図19によれば、制御温度そのものも、計算どおり
に与えることが可能であることが判明した。結果として
観測された実際の地温は、図18の計算結果と同様に目
標温度実用上十分な程度に近似していると考えられ
る。
【0090】なお、前記Bang bang 制御では、外部境界
条件が制御時間全般に亘り既知であることが前提になっ
ているため、適用制限の問題はあるものの、外部に配し
た温度計などのデータを取り込み、制御系に加味するこ
とにより、たとえば気温の日較差等の周期的な外的条件
の変化に対しても対応可能となる。
【0091】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明の場合には、
実際の地盤温度を計測し、原位置での熱伝導率を考慮し
ながら供給される熱媒体の温度を管理するので、実際的
で経済的な制御が可能となる。また、設定温度と計測温
度の誤差がゼロとなるようにコンピューターでパイプ通
水温度を計算するため緻密な制御が可能となり、定点の
温度を周期的に変化させることもできる。この周期的な
地温変化により、芝生等の生育にとって有効な生育環境
を整備でき、病害等に侵されない丈夫な芝生に育成する
ことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地温制御方法に係るパイプ敷設断
面図である。
【図2】パイプ敷設状態の斜視図である。
【図3】熱伝導率の同定手法を説明するための地盤構造
図である。
【図4】評価関数の最小化に用いたGauss-Newton法のア
ルゴリズムである。
【図5】Bang bang 制御の制御動作図である。
【図6】制御温度を求める際のSakawa-Shindo 法のアル
ゴリズムである。
【図7】熱媒体の他の供給態様図である。
【図8】熱媒体の他の供給態様図である。
【図9】他の熱媒体供給態様を示す概略図である。
【図10】実験装置の概略斜視図である。
【図11】制御パイプの配置要領図である。
【図12】温度センサーの配置図である。
【図13】有限要素法のモデル図である。
【図14】熱伝導率の同定解析に用いた境界条件を示す
図である。
【図15】熱伝導率の同定解析に用いた評価関数の推移
図である。
【図16】熱伝導率の同定結果を示す図である。
【図17】同定した熱伝導率を用いた場合の実測値と計
算値の比較図である。
【図18】Bang bang 制御計算値を示す図である。
【図19】Bang bang 制御結果を示す図である。
【符号の説明】
1…パイプ、2…細砂層、3…粗砂層、4…玉砂利層、
5…温度センサー、6…温水層、7…冷水層、8・9…
切換制御弁、10…円形土槽、11…アルミニウム缶、
12…ヒートジェネレーター、13〜15…制御用ビニ
ールパイプ、16…温度センサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 典由 東京都中央区日本橋本町4−12−20 佐 藤工業株式会社内 (72)発明者 児玉 敏雄 東京都中央区日本橋本町4−12−20 佐 藤工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−43020(JP,A) 特開 平5−328849(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01G 7/00 A01G 9/20 A01G 9/24

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】植生地盤内にパイプを敷き巡らし、このパ
    イプ中に熱媒体を供給することにより植生地盤の温度を
    制御する制御方法において、 地温制御対象領域の地温を継続的に測定し、この測定地
    温が周期関数曲線状の目標地温になるように前記パイプ
    に熱媒体を供給することを特徴とする植生地盤の温度制
    御方法。
  2. 【請求項2】前記パイプに供給される熱媒体の温度制御
    を、所定時間毎に高温熱媒体と低温熱媒体とを交互に供
    給する制御とすることにより、前記地温制御対象領域の
    地温を周期関数曲線状に変化させる請求項1記載の植生
    地盤の温度制御方法。
  3. 【請求項3】高温熱媒体を貯留する高温熱媒体槽と低温
    熱媒体を貯留する低温熱媒体槽とを夫々備え、前記パイ
    プに対する熱媒体の供給に当り、所定時間毎に前記高温
    熱媒体槽からの供給と前記低温熱媒体槽からの供給とを
    交互に切換えることにより、前記地温制御対象領域の地
    温を周期関数曲線状に変化させる請求項3記載の植生地
    盤の温度制御方法。
  4. 【請求項4】高温熱媒体を貯留する高温熱媒体槽および
    低温熱媒体を貯留する低温熱媒体槽の一方を備え、前記
    パイプに対する熱媒体の供給に当り、所定時間毎に前記
    高温熱媒体槽または低温熱媒体槽からの供給とその供給
    停止とを交互に繰り返して行うことにより、前記地温制
    御対象領域の地温を周期関数曲線状に変化させる請求項
    記載の植生地盤の温度制御方法。
  5. 【請求項5】前記植生地盤内に敷き巡らされたパイプの
    中間に、所定温度の熱媒体が貯留された補助熱媒体槽ま
    たは供給される熱媒体に対する加熱/冷却手段を設ける
    請求項1〜5記載の植生地盤の温度制御方法。
  6. 【請求項6】植生地盤内にパイプを敷き巡らし、このパ
    イプ中に熱媒体を供給することにより植生地盤の温度を
    制御する制御方法において、 地温制御対象領域の地温を継続的に計測し、この測定地
    温を周期関数曲線状の目標地温にするべく、地盤の熱伝
    導率に基づき前記パイプに供給する熱媒体の温 度を変化
    させるとともに、 前記熱伝導率の同定は、地盤内で計測された温度の時刻
    歴を用い、計測点に対応する位置における計算値と計測
    値との残差を最小にすることにより求める ことを特徴と
    する植生地盤の温度制御方法。
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