JP3515504B2 - 植生地盤の温度制御方法 - Google Patents
植生地盤の温度制御方法Info
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Description
れた競技場などにおいて、地表面温度を計測しなくても
制御開始当初から高い精度で地温の制御を可能とした植
生地盤の温度制御方法に関する。
ゴルフ場などの芝生が植生された土壌では、日照り不足
や季節による気温低下、降雨や夜間等の一時的な温度低
下等による芝生への影響や、各種競技による芝荒れ、積
雪、霜の影響や除雪などを目的として、地盤中に熱媒体
を循環させるパイプを埋設し、芝にとって生育し易い環
境を人工的に作り、芝の緑化を助けることが行われてい
る。
号公報において制御対象領域の地温を経済的かつ利用目
的に即した地温分布にするために、土壌中に温度センサ
ーを埋設するとともに、解析モデルの境界(地盤面)に
所定の境界条件を与えることによって地盤の熱伝導率解
析を行い、植生地盤の温度を精度良く制御する方法を提
案した。
場は、やり投げや砲丸投げなどの投てき競技に使用され
ることがあるとともに、芝刈機による芝刈りや芝の貼り
替えのため、地表面上はもちろんの事、地表面下数十cm
までの領域には温度センサーは一切埋設することができ
ないなどの問題が生じた。この土壌表層の温度計測の結
果は、制御開始時に境界条件として設定することによ
り、比較的短時間で計算温度を実際の温度に収束させ計
算結果を安定させ得る点で、熱伝導解析上非常に有効で
あり、かつ適宜行われる熱伝導率の同定などの際にも有
効に利用されるものである。
号公報において、地表表層領域に温度計を埋設できない
条件の下で、該地盤表層領域の地中温度を知るために、
測定対象領域の地表温度を測定するサーモグラフィを設
置し、このサーモグラフィによって測定した表面温度お
よび日射、温度および湿度などの気象観測データを境界
条件とする熱伝導解析により、温度計を埋設できない地
盤表層領域の地中温度を求め、地盤温度を制御する方法
を提案した。
グラフィは、昼間の反射光の具合、夜間照明の程度、降
雨による乱反射による影響などによって、所定の条件下
では思い通りに実際温度を正確に測定できないことが判
った。また、サーモグラフィ自体が非常に高価であると
ともに、設置場所が高所となるためメンテナンスの困難
さや故障による交換などが困難であることから、サーモ
グラフィを設けずに高度な地温制御を可能とする方法が
強く望まれていた。
度の計測値を境界条件として与えなくても、地温制御開
始当初から高精度の地盤温度制御を可能とした植生地盤
の温度制御方法を提供することにある。
の請求項1に係る本第1発明は、植生地盤内にパイプを
敷き巡らし、このパイプ中に熱媒体を供給することによ
り地盤表層領域の温度を制御する温度制御方法におい
て、少なくとも日射計、外気温度計、外気湿度計の気象
データ計測機器を設置するとともに、この気象データ計
測機器による計測値を記憶する計測データ記憶装置を設
けておき、植生地盤の温度制御を開始するに当たり、前
記計測データ記憶装置に記憶された過去の計測データに
基づいて、過去の所定時刻から現在に至る時刻歴に従っ
て仮想的熱伝導解析を実行し、求められた現時刻での地
盤表層領域の温度を前記温度制御開始時における地盤表
層領域の温度初期条件として設定し、以降は、前記気象
データ計測機器によって計測した少なくとも日射計、外
気温度計、外気湿度計の気象データを境界条件とする熱
伝導解析により、前記地盤表層領域の温度を求め、この
地盤表層領域の地中温度を目標地温とするべく、地盤の
熱伝導率を考慮しながら前記パイプに供給される熱媒体
を制御することを特徴とする植生地盤の温度制御方法で
ある。
述すると、同図に波線(比較例)で示されるように、境
界条件の温度を設定出来ない場合には、仮の任意の数値
(同図では約5℃)を設定した上で、非定常熱伝導解析
を行うため、計算温度が実際の温度に近づくのに数日の
時間を要したが、実線で示される本発明の場合には、予
め計測データだけは計測を行って記憶装置に記憶してお
き、制御開始時に、これら蓄積した気象データに基づい
て仮想的な熱伝導解析を行い、時刻歴に従って現時刻に
おける温度を計算によって求める。そして、この計算温
度を初期値として、以降の熱伝導解析を行うため、制御
開始当初から高精度の地温制御が可能となる。換言すれ
ば、本発明では計算温度が実際の温度に安定するまでに
時間を要するならば、制御開始当初に蓄積した過去の気
象データに基づいてシミュレーション的な計算を行い、
現時刻での計算温度を求めるようにしている。この計算
温度は、計算はごく短時間(数分程度)で終わるが、過
去の時刻歴を経た計算温度であり、実際の温度に近似し
た温度であるため、制御開始当初から信頼出来る計算精
度が得られるようになる。
地盤内にパイプを敷き巡らし、このパイプ中に熱媒体を
供給することにより地盤表層領域の温度を制御する温度
制御方法において、前記地盤表層領域よりも深い位置に
地中温度計を埋設するとともに、少なくとも日射計、外
気温度計、外気湿度計の気象データ計測機器を設置し、
かつこれら地中温度計および気象データ計測機器による
計測値を記憶する計測データ記憶装置を設けておき、植
生地盤の温度制御を開始するに当たり、前記計測データ
記憶装置に記憶された過去の計測データに基づいて、過
去の所定時刻から現在に至る時刻歴に従って仮想的熱伝
導解析を実行し、求められた現時刻での地盤表層領域の
温度を前記温度制御開始時における地盤表層領域の温度
初期条件として設定し、以降は、前記気象データ計測機
器によって計測した少なくとも日射計、外気温度計、外
気湿度計の気象データを境界条件とする熱伝導解析によ
り、前記地盤表層領域の温度を求め、この地盤表層領域
の地中温度を目標地温とするべく、地盤の熱伝導率を考
慮しながら前記パイプに供給される熱媒体を制御するこ
とを特徴とする植生地盤の温度制御方法である。
地盤表層領域よりも深い位置に地中温度計を埋設するよ
うにしたもので、計算結果の精度向上を図ったものであ
る。すなわち、解析モデルの地中温度計を埋設した位置
の節点に、計測温度を代入するようにし、計算精度の向
上を図るようにしている。
度計を埋設できない条件としているが、競技などで使用
していない時間帯であれば、一時的に地中温度計を設置
することは可能である。そこで、不定期または定期に一
時的に、前記地盤表層領域またはその近傍域に地中温度
計を設置し、この地中温度計によって計測された実測地
中温度と、前記気象データ計測機器によって計測した気
象データを境界条件として熱伝導解析により求めた前記
地中温度計埋設位置の計算地中温度とを比較して、その
残差を少なくするように熱伝導解析上の物性値を補正す
ることにより、計算温度の精度確保に努めるようにする
のが望ましい。なお、この場合に使用される地中温度計
としては、針状のもので地盤に対して簡単に挿入できる
ようなものが好適に使用される。
スト裏であれば競技に支障がないため地盤表層領域に地
中温度計を埋設することが可能である場合がある。そこ
で、前記地盤表層領域またはその近傍域に地中温度計を
埋設し、この地中温度計によって計測された実測地中温
度と、前記気象データ計測機器によって計測した気象デ
ータを境界条件として熱伝導解析により求めた前記地中
温度計埋設位置の計算地中温度とを比較して、その残差
を少なくするように熱伝導解析上の物性値を補正するこ
とにより、計算温度の精度を確保することも可能であ
る。
盤状態の違いによって熱伝導率に変化が表れるため、あ
る程度の時間間隔毎に物性値の較正を行って、現在の地
盤状態に合致する最適な物性値を設定する上で重要であ
る。
は温度計などを設置・埋設できないとされる地盤の浅層
範囲を言い、数値的には定義されない。しかし、芝生育
成に大きな影響を与える温度域としての観点からは概ね
5〜10cm程度とされる。
例に基づいて詳述する。
ッカーフィールドの平面図、図2は気象データ計測ユニ
ットの概略図、図3はパイプおよび熱電対を敷設したフ
ィールドの断面図である。
ように、散水車、芝生カッター車などの管理車が往来す
るため、地盤の沈下や轍掘などを防止するとともに、水
はけを考慮して、上層側より細砂層2、粗砂層3、玉砂
利層4の3層構成となっている。熱媒体を循環させるた
めのパイプ1を表層近傍に埋設したのでは管理車による
上載荷重や槍投げ、ハンマー投げなどの競技の際に変
形、破裂することがあるため、地表面下数十cmの安全な
深さ位置に埋設される。具体的には、地盤表面からパイ
プの敷設位置までの深さhは、概ね15〜35cm、好ま
しくは25〜30cm程度とされる。また敷設状態は、同
一平面内で敷き巡らすようにして敷設する。その設置間
隔Pは通常の例であれば15〜60cm程度とする。
操作手段により所定温度の温水または冷水等の熱媒体
(熱媒および冷媒の両者を指す。)が供給循環されるよ
うになっている。他の熱媒体としては、たとえば高温熱
媒体としては、蒸気、高温ガスなどを用いることができ
るし、また低温熱媒体としてはフロンガス、ブライン、
アンモニアなどを用いることができる。前記パイプ1に
供給される熱媒体は、周囲の地盤との熱交換により次第
に温度上昇または温度降下することになるが、敷設され
たパイプ1の流路途中に、所定温度の熱媒体が貯留され
た補助熱媒体槽を設けたり、あるいは加熱/冷却コイル
等の熱媒体に対する加熱/冷却手段を設けることにより
熱媒体の温度を元の基準温度に回復させることができ
る。
に、サッカーフィルドを平面的に複数に、具体的にはブ
ロックA〜ブロックLにブロック割りし、これらのブロ
ックA〜L毎にパイプ1の熱媒体供給系統を独立に形成
し、ブロックA〜L毎に熱媒体を供給制御できるように
してある。
ために計算地中温度との比較や熱伝導率の同定のために
適宜の間隔で熱電対5、5…などの地中温度計が埋設さ
れている。この場合、前記熱電対5は、前記各ブロック
A〜Lに対応させて1ブロック当り、たとえば2〜3箇
所とし、管理車による上載荷重や槍投げ、ハンマー投げ
などの競技を考慮して地表面下数十cmの範囲(地盤表層
領域X)には埋設できないため、パイプ1と同じ深さ位
置とこれより深い位置に適宜の間隔で複数個埋設され
る。本例では、深さ方向に計3個の熱電対5、5…を設
置してある。なお、前記熱電対5に代えて光ファイバー
などを使用することもできる。
は、種々の気象データを測定するために2台の気象デー
タ計測機器ユニット9A、9Bが設置されている。前記
気象データ計測機器ユニット9A(9B)は、たとえば
図2に示されるように、地盤上に立設されたポールに対
して日射計40、外気温度計41、41…、外気湿度計
42、風速計43、風向計44、電源46を設備したも
ので、サッカーフィールド脇にそれぞれ設置することに
よって、時刻にもよるが日向部と日陰部との両方を計測
できるようにしてある。前記気象データ計測機器として
は、後述するように解析式との関係で、日射計40、外
気温度計41、41…、外気湿度計42の3種類とする
ことができる。なお、気象データ計測機器ユニット9A
(9B)に近接する地盤上には雨量計45も設置してあ
る。
図4に示す。気象データ計測機器ユニット9A(9B)
によって計測された気象データおよび地中に埋設された
熱電対5、5…による計測データは制御コンピュータ5
2に入力される。制御コンピュータ52では、これらの
計測情報を基に、後述する熱伝導解析により熱電対5を
埋設できない地盤表層領域Xの地中温度を求め、この計
算地中温度に基づいて後述する最適制御計算を実行して
各ブロックの通水計画を立案する。そして、この通水計
画に基づいて制御器53により各ブロックへの通水を制
御する制御弁に対して指令を発する。
制御を開始するに当たって、前記制御コンピュータ52
に記憶された過去の計測データに基づいて、過去の所定
時刻から現在に至る時刻歴に従って仮想的熱伝導解析を
実行し、求められた現時刻での地盤表層領域の温度を前
記温度制御開始時における地盤表層領域Xの温度初期条
件として設定し、以降は、前記気象データ計測機器によ
って計測した少なくとも日射計、外気温度計、外気湿度
計の気象データを境界条件とする熱伝導解析により、前
記熱電対5、5…を埋設していない地盤表層領域Xの温
度を求め、この地盤表層領域Xの地中温度を目標地温と
するべく、地盤の熱伝導率を考慮しながら前記パイプ1
に供給される熱媒体を制御するものである。
ット9A(9B)による気象データの計測は、地温制御
を行っている以外にも、定常的、若しくは地温制御を開
始する数日前、具体的には2〜5日前から行うように
し、計測された気象データを制御コンピュータ52に記
憶するようにしている。なお、気象データの計測を定常
的に行う場合でも、本発明の地温制御では実際には地温
制御を開始する数日前からの気象データが存在すれば十
分であるため、過去数日分の気象データのみを記憶し、
それより古い気象データについては順次廃棄するように
するのがよい。
開始から手順に従いながら具体的に詳述する。
(たとえば3日前)から、気象データ計測機器ユニット
9A(9B)による各種気象観測データおよび埋設した
熱電対5、5…による地中温度測定を行い、制御コンピ
ュータ52に記憶する。
コンピュータ52に記憶されている過去の気象データお
よび地中温度データに基づいて、熱伝導解析を用いて各
ブロックA〜Lについて地盤内温度を過去の所定時刻
(たとえば3日前)から現在に至る時刻歴に従って数値
計算する。
(1)に示す。
基礎方程式が用いられる。ここで、Tは温度、ρ、C、
κは地盤材料の密度、定圧比熱、熱伝導率をそれぞれ表
し、qは単位体積当りの熱の発生項を意味する。上記式
(1)を解くには、以下に示す境界条件が必要となる。
る)は境界Γ1で与えられる温度、Q^は境界Γ2で与
えられる熱のフラックスをそれぞれ示す。
き法線ベクトルの成分を意味する。図8に示されるよう
な解析領域を考えると、nX=cos(n、x)=cos90°
=0、ny=cos(n、y)=cos0°=1となるため、
上記式(3)は下式(4)となる。
より計算することができる。
る手法について詳述する。先ず、熱収支方程式は下式
(5)により示される。
辺第1項は日射吸収熱、第2項は長波長放射収支、第3
項は対流熱伝達、第4項は蒸発潜熱である。この場合、
各パラメータについては、実測および既往文献による現
実的な数値定義を行う。なお、前記熱収支方程式におい
て、TS(地表面温度)は計測値ではなく、前回の熱伝
導解析による計算温度が代入され計算が実行される。
の場合でa=0.75とする。
な天空日射量とがあり、日向ではそれらの両方が日射量
として与えられ、日陰では天空日射量のみが与えられ
る。したがって、前述のように、二台の気象データ計測
機器ユニット9A、9Bとにより、日向と日陰の気象観
測データを夫々使い分ける。
CT ;全雲量(10分数で示され0〜10の無次元
数)、x;外気絶対湿度(g/kg)である。なお、t
0 は実測外気温度を使い、xは湿度計よる実測値から
変換する。またCT は既往文献により、日照率SD
(日照時間/可照時間)で予測可能であり、下式(7)
により求める。
る。また、h+1は1時間後を示すため、CT は毎正
時の瞬間値となる。また、夜間は日没直前と日の出直後
とを直線補間する。
Vh から算出する。なお、風速べき指数を0.25と
仮定する。
の割合で蒸発が発生すると考える。
/kg ℃、空気の場合はCa=0.241kcal/kg ℃とす
る。
いて、各パラメータの影響度は日射吸収熱>長波長放射
収支>対流熱伝達>蒸発潜熱の順であり、少なくとも右
辺第1項の日射吸収熱と第2項の長波長放射収支は必ず
考慮する必要があるが、たとえば第3項の対流熱伝達
は、周囲が屋根で囲まれた競技場のように、地面を這う
風の影響が小さくなるような条件の下では、これを省略
することができる。また、高い精度が要求されない場合
などは第4項の蒸発潜熱は無視することもできる。した
がって、右辺第1項の日射吸収熱と第2項の長波長放射
収支との2つのパラメータを考慮する熱収支方程式とし
た場合には、気象観測データとしては日射量、外気温
度、外気湿度の3項目で十分である。
電対5、5…を埋設した位置の温度は計測によって判っ
ているので、解析モデル上の節点位置に前記計測温度を
代入し計算精度の向上を図るようにしている。
られる。
用し、三節点三角形要素で変数を離散化することによ
り、以下の有限要素方程式が得られる。
よびβは添字)は質量マトリックス、拡散マトリック
ス、フラックスベクトルをそれぞれ表し、Δtは微小時
間増分である。時間方向の離散化には,Crank-Nicolson
法を採用する。
の地盤表層領域Xの温度が計算により求められる。
Xの温度を前記温度制御開始時における地盤表層領域X
の境界条件として設定し、以降は、所定の時間毎、たと
えば2〜3時間に、日射計、外気温度計、外気湿度計の
気象データを境界条件とする熱伝導解析を行い地盤表層
領域Xの温度を求めるようにする。熱伝導解析は、前記
仮想的熱伝導解析と同様の計算方法により行われる。
計画立案 以上、ステップ2までの手順により、直接、温度計測で
きない地盤表層領域Xの地温が把握できたことになるた
め、次の手順としては、地盤表層領域X内に設定した着
目点S(図3参照、芝生の育成にとって温度管理が重要
となる地表面下数cmの点)が目標温度となるように、パ
イプ1に供給される熱媒体の通水計画を立てる。
述した地温制御対象領域の地温計算結果を基に、たとえ
ば有限要素法によって地盤の熱伝導率を考慮しながら空
間的および時間的な温度変化を把握して、着目点Sの目
標温度と計算温度との差を最小にするようにパイプ通水
温度(熱媒体温度)を求めて地温を制御する。したがっ
て、芝生の育成に最も影響の大きい地盤表層域を適切な
温度環境にコントロールすることができる。この場合の
熱源供給制御としては、所定時間毎に高温熱媒体と低温
熱媒体とを交互に供給する制御とすることにより、その
制御が容易かつ現実的なものとなる。
ンプにより区間毎に冷水と温水とを交互に作り出すこと
ができるが、図5に示されるように、高温側(a温度)
の温水を貯留する温水槽30と、低温側(b温度)の冷
水を貯留する冷水槽31とを別々に用意しておき、切換
制御弁32、33a、33b…より前記温水槽30と冷
水槽31との切換えを行うことにより、所定時間毎に一
定温度の温水または冷水を制御遅れなく迅速かつ容易に
供給するようにすることができる。また、季節に応じて
前記温水槽30または冷水槽31の一方側のみを用意し
て1段階制御を行うこともできる。具体的には夏期には
冷水槽31のみを用意し、所定時間はこの冷水槽31か
ら冷水を供給した後、しばらくの間は前記冷水の供給を
停止する操作を繰り返して行うことにより、前記冷水を
供給した際には地盤が冷やされるとともに、供給を停止
することにより地温が常温化して温められることにな
り、地盤表面近傍の地温を周期関数曲線状に変化させる
ことができる。逆に、冬季の場合には温水槽30のみを
用意し、所定時間はこの温水槽30から温水の供給を行
った後、しばらくの間は前記温水の供給を停止する操作
を繰り返して行うことにより、地盤表面近傍の地温を周
期関数曲線状に変化させることができる。
インバータポンプを使用して外部条件の負荷を考慮しな
がらその供給量を調節することにより、制御応答性(熱
交換の応答性)を向上させることもできる。
伝導率の同定手法を示す。熱伝導率の同定に当り、試料
を採取して室内実験により熱伝導率を決定することは容
易であるが、地盤の不均一性、含水比の未確定性により
原位置での熱伝導率を正確に表しているとは言い難い。
また、熱伝導率も地盤中の含水状態で変化するため、解
析精度を上げるには、適時、熱伝導率の較正を行う必要
がある。
は定期に一時的に、前記地盤表層領域Xまたはその近傍
域に地中温度計を設置し、この地中温度計によって計測
された実測地中温度と、前記気象データ計測機器によっ
て計測した気象データを境界条件として熱伝導解析によ
り求めた前記地中温度計埋設位置の計算地中温度とを比
較して、その残差を少なくするように熱伝導率の補正を
行う第1の手法と、地中温度計を埋設できない条件領域
以外の地盤表層領域またはその近傍域、具体的には図1
に示されるように、サッカー場の例で言えばゴールポス
ト裏など競技によって荒らされない芝生領域などにに熱
伝導率較正用熱電対7を埋設し、この熱伝導率較正用熱
電対7によって計測された実測地中温度と、前記気象デ
ータ計測機器によって計測した気象データを境界条件と
して熱伝導解析により求めた前記地中温度計埋設位置の
計算地中温度とを比較して、その残差を少なくするよう
に熱伝導率を補正する第2の手法とを挙げることができ
る。
率の推定を逆問題として取扱い、非線型最小二乗法を用
いて同定する方法を用いる。すなわち、地盤内で観測さ
れた温度の時刻歴を用い、観測点に対応する位置におけ
る計算値と計測値との残差を最小にすることにより求め
る。この場合、計算値と観測値の残差平方和すなわち評
価関数の最小化には、Gauss-Newton法を用いる。
層(部分領域)からなるものとし、各層内の熱伝導率は
一定、という仮定を用いる。熱伝導率を一般的に書き表
せば下式(11)となる。
の番号を表し、nは部分領域の総数である。
温度を次のように表す。
μは観測点の番号、mは観測点の総数を表す。同様に観
測点1〜mに対応する節点での計算値を以下のように表
しておく。
に示すように、観測された温度と対応する温度の計算値
との残差平方和で表される。
計算終了時刻をそれぞれ表す。この式から判るように、
評価関数は熱伝導率kλの関数であるため、最適な熱伝
導率kλは、(14)式を、たとえばGauss-Newton法に
より最小化することにより求めることができる。
は感度方程式法により求める。
(17)によって求めることができる。
めることができる。
日間の計測データに基づいて、現在に至る時刻歴に従っ
て仮想的熱伝導解析を行い、現時刻での地盤表層領域
(地表下5cm)の地温を計算により求めて、この計算地
温を初期条件として設定し、以降は、3時間毎に日射
計、外気温度計、外気湿度計の気象データを境界条件と
する熱伝導解析により、前記地中温度計を埋設していな
い地盤表層領域の温度を求めた場合(本発明法)と、地
温制御開始時に各節点の温度条件として任意の数値を代
入し、以降は、3時間毎に日射計、外気温度計、外気湿
度計の気象データを境界条件とする熱伝導解析により、
前記地中温度計を埋設していない地盤表層領域の温度を
求めた場合(比較例)とについて計算を行うとともに、
実際に地盤表層領域に熱電対を埋設して所定の時間間隔
毎に地温計測を行い、前記本発明と比較例との比較を行
った。その結果を図7に示す。
較例の場合には、計算温度が安定するまで2日ほどの時
間を要しているのに対し、本発明法の場合には、地温制
御開始時に実際の温度に近い計算温度から制御開始可能
となるため、高い精度で地温を制御することが可能とな
る。
表面温度の計測値を境界条件として与えなくても、地温
制御開始当初から高精度の地盤温度制御が可能となる。
面図である。
図である。
示す図である。
5…熱電対、7…熱伝導率較正用熱電対、9A・9B…
気象データ計測機器ユニット、30…温水層、31…冷
水層、32・33a〜33f…切換制御弁、40…日射
計、41…外気温度計、42…外気湿度計、43…風速
計、44…風向計、45…雨量計
Claims (4)
- 【請求項1】植生地盤内にパイプを敷き巡らし、このパ
イプ中に熱媒体を供給することにより地盤表層領域の温
度を制御する温度制御方法において、 少なくとも日射計、外気温度計、外気湿度計の気象デー
タ計測機器を設置するとともに、この気象データ計測機
器による計測値を記憶する計測データ記憶装置を設けて
おき、 植生地盤の温度制御を開始するに当たり、前記計測デー
タ記憶装置に記憶された過去の計測データに基づいて、
過去の所定時刻から現在に至る時刻歴に従って仮想的熱
伝導解析を実行し、求められた現時刻での地盤表層領域
の温度を前記温度制御開始時における地盤表層領域の温
度初期条件として設定し、 以降は、前記気象データ計測機器によって計測した少な
くとも日射計、外気温度計、外気湿度計の気象データを
境界条件とする熱伝導解析により、前記地盤表層領域の
温度を求め、 この地盤表層領域の地中温度を目標地温とするべく、地
盤の熱伝導率を考慮しながら前記パイプに供給される熱
媒体を制御することを特徴とする植生地盤の温度制御方
法。 - 【請求項2】植生地盤内にパイプを敷き巡らし、このパ
イプ中に熱媒体を供給することにより地盤表層領域の温
度を制御する温度制御方法において、 前記地盤表層領域よりも深い位置に地中温度計を埋設す
るとともに、少なくとも日射計、外気温度計、外気湿度
計の気象データ計測機器を設置し、かつこれら地中温度
計および気象データ計測機器による計測値を記憶する計
測データ記憶装置を設けておき、 植生地盤の温度制御を開始するに当たり、前記計測デー
タ記憶装置に記憶された過去の計測データに基づいて、
過去の所定時刻から現在に至る時刻歴に従って仮想的熱
伝導解析を実行し、求められた現時刻での地盤表層領域
の温度を前記温度制御開始時における地盤表層領域の温
度初期条件として設定し、 以降は、前記気象データ計測機器によって計測した少な
くとも日射計、外気温度計、外気湿度計の気象データを
境界条件とする熱伝導解析により、前記地盤表層領域の
温度を求め、 この地盤表層領域の地中温度を目標地温とするべく、地
盤の熱伝導率を考慮しながら前記パイプに供給される熱
媒体を制御することを特徴とする植生地盤の温度制御方
法。 - 【請求項3】不定期または定期に一時的に、前記地盤表
層領域またはその近傍域に地中温度計を設置し、この地
中温度計によって計測された実測地中温度と、前記気象
データ計測機器によって計測した気象データを境界条件
として熱伝導解析により求めた前記地中温度計埋設位置
の計算地中温度とを比較して、その残差を少なくするよ
うに熱伝導解析上の物性値を補正する請求項1、2いず
れかに記載の植生地盤の温度制御方法。 - 【請求項4】前記地盤表層領域またはその近傍域に地中
温度計を埋設し、この地中温度計によって計測された実
測地中温度と、前記気象データ計測機器によって計測し
た気象データを境界条件として熱伝導解析により求めた
前記地中温度計埋設位置の計算地中温度とを比較して、
その残差を少なくするように熱伝導解析上の物性値を補
正する請求項1、2いずれかに記載の植生地盤の温度制
御方法。
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-
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