JP7186625B2 - 形状測定装置の制御方法 - Google Patents
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Description
このPCC曲線を元に倣い測定の経路を生成する。さらに、PCC曲線を分割して分割PCC曲線群とする。
プローブが合成ベクトルVに基づく移動を行うと、プローブ(測定子)はPCC曲線に沿うように移動しつつ、押込み量を一定としたワーク表面倣い測定、つまり、「アクティブ設計値倣い測定」が実現される。
図1において、設計データ(輪郭点データ)から所定量(測定子半径r―基準押込み量E0)オフセットしたところにPCC曲線(つまり、倣い経路)がある。
また、図1においては、実際のワークが設計データから少しずれている。
点P1から点P7まで一続きのPCC曲線L_PCCがあり、このPCC曲線L_PCCは、点Pにより複数のセグメントに分割されている。(各セグメントもPCC曲線である。)
各セグメントの終了点は、次のセグメント(PCC曲線)の開始点となっている。セグメントの開始点の座標を(KX0、KY0、KZ0)と表わし、そのPCC曲線における始点と終点との間の直線の長さをDとする。
このように定義すると、PCC曲線上の任意の位置における座標{X(S)、Y(S)、Z(S)}は、3次曲線を表わすための係数(KX3、KX2・・・・KZ1、KZ0)を用い、次の式で表される。
Y(S)=KY3S3+KY2S2+KY1S+KY0
Z(S)=KZ3S3+KZ2S2+KZ1S+KZ0
一方、ワークの測定部位が複雑な形状をしており、かつ、このような測定部位に精度良く追随しながら高精度の倣い測定を行うためには、PCC曲線を細かく分割してセグメント数を増やさなければならない。
例えば、図3のような曲線の輪郭形状を倣い測定する場合、図4に例示するように曲率が変化するところでセグメントに分割する。そして、セグメントごとに適切な速度パターンが設定される(特許文献3)。つまり、曲線に精度よく追随しながら、かつ、できる限り高速に移動する速度パターンが各セグメントに応じて設定される。
仮に、VsからVmaxに達するための加速に要する時間を加速時間Taとする。
Vmax=Vs+a×Ta
ここで、aは加速度とする。
ただし、ここで、制約が二つある。
一つ目の制約としては、加速度aには上限値があることである。
加速度aの上限値を加速度上限値Autmと表わすことにする。
加速度上限値Autmは、例えば、マシン(三次元測定機)の耐加速度の半分に設定される。
これは、後に加速度カーブをS字曲線化するためである。
加速度上限値Autmの値は、例えば、1.33m/secである。
マシン(三次元測定機)の実際の制御サイクルタイムはもっと短く、例えば0.4msecなのであるが、加速時間Taはかなり大きな単位時間(50msec)の区切りでカウントされる。
(これも後に加速度カーブをS字曲線化する都合上のことである。この理由は後述する。)
加速時間Taは、50msecの倍数なので、kを整数として、Ta=50msec×kとする。
Vmax-Vs=a×Ta
0.35[m/s]=a×50[msec]×k
a=0.35[m/s]/0.05[sec]×k
kを1から順に大きくしていくと、そのときaは次のようになる。
a=7、3.5、2.33、1.75、1.4、1.66
この図5の速度パターンでは加速度を一定とし、すなわち、速度は時間に関して一次関数として与えられている。
これを実際の滑らかな移動制御のため、速度が変化する領域(加速区間)に対し、徐々に加速し、徐々に減速する、という滑らかなS字加減速処理を行なう。
例えば、図6に例示のように、S字曲線に沿って速度を変化させるときの0.4msecごとの速度Viが一つのモデルパターンとして用意されている。
このS字曲線のモデルパターンは、0.4msecごとに125個の点からなり、すなわち50msecが一つの単位となっている。
つまり、加速度テーブルが50msecを単位としている。
一次関数として与えられた速度パターンに合わせて加速度を下げたい場合には(加速時間Taを長くとりたい場合には)、図7に例示のように、この125個の加速度カーブをそのまま横に(時間方向に)引き伸ばして、250個、375個、500個…とすることで、加速度カーブの形状そのものは変えずに加速時間を伸ばす。
この加速度カーブはマシンの開発時にマシンの特性に合わせて滑らかなトルク変動を得るために計算されたものであり、この加速度カーブにおいて最大加速度の発生タイミングは加速時間全体の36.8%のところにある。
これは、加速によって発生するマシンの振動が減衰するための時間を長めにとるようにする工夫である。
例えば、時間軸を延ばし、速度軸を延ばして図7に例示のように図5の速度パターンをS字曲線化する。
したがって、図7で求められた速度パターンに基づき、制御サイクルタイムtiごとの目標座標値を順次算出する。
このようにして制御サイクルタイムごとの目標座標値が得られる。
制御装置からマシンに目標座標値を順次与えることにより図7の速度パターンに従った滑らかな加減速を行いつつ、できる限り速く倣い経路に沿った倣い測定が行なわれる。
この加速度1.16m/secは実際のマシンの性能(加速度上限値Autm:1.33m/sec)よりも小さい値である。
したがって、加速が遅く、測定時間が長くなる要因となっていた。
プローブを三次元的に移動させる移動機構を有し、ワークの形状を測定する三次元測定機の制御計画の設計方法であって、
所与の移動区間を所与の速度計画で計画された区間内目標速度に達しながらできる限り短い時間で移動する制御計画を設計するにあたり、
制御サイクルタイムの整数倍となる加速時間Taを設定する加速時間算出工程と、
前記加速時間算出工程で得られた加速時間Taと前記移動区間内の目標速度増分ΔVとから区間内の最高加速度Amaxを算出する最高加速度算出工程と、
前記加速時間Taと前記最高加速度Amaxとを含み、制御サイクルタイムごとの目標座標値を時間の関数として与える加速区間座標算出式により、制御サイクルタイムごとの目標座標値を求める座標算出工程と、を有し、
加速区間座標算出式は、前記加速時間Taと前記最高加速度Amaxとを含み、徐々に加速し、徐々に減速する加速度を与える加速度連続関数を時間に関して二回積分した式により与えられる
ことを特徴とする。
前記加速時間算出工程において、前記加速時間Taは、前記目標速度増分ΔVを前記三次元測定機の耐加速度の半分で除した値を前記制御サイクルタイムの整数倍になるように切り上げた値である
ことが好ましい。
前記加速度連続関数は、加速度A(t)を時間tの関数として次のように与えられる
ことが好ましい。
A(t)=A{sin(ωt-π/2)+1}
ω=2π/Ta
A=Amax/2
前記三次元測定機の制御計画の設計方法で与えられた制御計画に従って前記三次元測定機を駆動制御することを特徴とする。
(第1実施形態)
図8は、形状測定システム100の全体構成を示す図である。
形状測定システム100は、三次元測定機200と、三次元測定機200の駆動を制御するモーションコントローラ300と、モーションコントローラ300を制御すると共に必要なデータ処理を実行するホストコンピュータ500と、を備える。
三次元測定機200は、定盤210と、移動機構220と、プローブ230と、を備える。
図9は、モーションコントローラ300およびホストコンピュータ500の機能ブロック図である。
モーションコントローラ300は、測定指令取得部310と、カウンタ部330と、移動指令生成部340と、駆動制御部350と、を備える。
移動指令生成部340の構成を図10に示す。
移動指令生成部340は、速度パターン計画部341と、ベクトル指令生成部348と、を備える。
速度パターン計画部341は、速度パターン演算部342と、速度パターン修正部343と、を備える。速度パターン修正部343は、加減速調整部344を有する。各機能部の動作についてはフローチャートを参照しながら後述する。
手動コントローラ400は、ジョイスティックおよび各種ボタンを有し、ユーザからの手動入力操作を受け付け、ユーザの操作指令をモーションコントローラ300に送る。この場合、モーションコントローラ300(駆動制御部350)は、ユーザの操作指令に応じて各スライダを駆動制御する。
ホストコンピュータ500は、CPU511(CentralProcessingUnit)やメモリ等を備えて構成され、モーションコントローラ300を介して三次元測定機200を制御する。
ホストコンピュータ500は、さらに、記憶部520と、形状解析部530と、を備える。記憶部520は、測定対象物(ワーク)Wの形状に関する設計データ(CADデータや、NURBSデータ等)、測定で得られた測定データ、および、測定動作全体を制御する測定制御プログラムを格納する。
本実施形態に係る形状測定装置の制御方法を説明する。
従来技術では、速度パターンの速度が変化する領域にS字加減速処理をするため、50msec単位でS字曲線に基づく加速度テーブルを用意していた。
そして、加速度テーブルを当てはめて加速領域をS字曲線化し、さらに、制御サイクルタイムごとの目標座標値を求めていた。
この方法は、50msecという大きな単位でしか加速時間を選択できないという問題があった。
また、加速区間の最大加速度Amaxが得られたら、加速時間Taと最大加速度Amaxとに基づいて制御サイクルタイムtiごとの目標座標値を直接計算できるようにする。
まずは、加速時間Taと最大加速度Amaxとに基づいて、徐々に加速し、徐々に減速する加速度カーブを表わす関数を設定する。
ここでは、サインカーブを用いて加速度カーブを次のように表わす(もちろん三角関数のコサインカーブを用いてもよい)。
A=Amax/2
ω=2π/Ta
D(t)=∫∫A(t)dtdt
=-(A/ω2)sin(ωt-π/2)+A・t2/2+Vs・t+Ds
Dsは、加速開始時の座標値である。
すると、上式は次のようになる。
D(t)=-(A/ω2)sin(ωt-π/2)+A・t2/2-A/ω2
また、加速区間の平均加速度はAmax/2(=A)である。
すると、Vmax=A・Taであるから、ω=π・Amax/Vmaxと表わすこともできる。
このとき、制御サイクルタイムごとの座標値は次のように直接得られる。
D(k)=-(Amax/ω2)sin(0.4[msec]・ω・k-π/2)+Amax・(0.4[msec]・k)2/2-A/ω2
モーションコントローラ300は、ホストコンピュータ500で生成された測定指令としてのPCC曲線データを受信する(ST110)。
速度パターン計画部341は、このPCC曲線データに従ってプローブ230を倣い移動させるための速度パターンを生成する(ST120)。
速度パターン演算部342は、PCC曲線に精度よく追随しながら、かつ、できる限り高速に移動する速度パターンをセグメントごとに生成する(ST130)。
この工程自体は従来と同じであり、例えば背景技術で説明した図5のような速度パターンが生成される。
速度パターンの修正工程を図12のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ST210において、目標とする速度の増分ΔVを求める。
ΔV=Vmax-Vs
である。
加速度上限値Autmの定義は背景技術の説明と同じで、マシン(三次元測定機)の耐加速度の半分に設定される。
上式で求めた仮加速時間Ttemが制御サイクルタイムTcycの倍数でないときには、加速時間が制御サイクルタイムTcycの倍数になるように切り上げる必要がある(ST230)。
Ncyc=[Ntcyc+1]
あるいは、天井関数(x以上の最小の整数)ceiling(x)を使うと、
Ncyc=ceiling(Ntcyc)
とも表せる。
このようにして求まるNcycが加速時間の制御サイクルタイムの回数である。
したがって、加速時間Taは次のようになる。
Amax=(ΔV/Ta)×2
(加速度上限値Autmは耐久限度加速度の半分に設定していたが、加速カーブをS字曲線にしたときの最高到達加速度Amaxは、耐久限度加速度の近くまで上がる。)
さらに、k=1からNcycまで順に制御サイクルタイムごとの目標座標値を求める(ST250)。
このようにして、速度パターンを修正して滑らかな加減速を行なうための制御サイクルタイムごとの制御指令値(目標座標値)が得られた。
ベクトル指令生成部348で合成ベクトル指令を生成し(ST140)、プローブの駆動制御を実行すればよい(ST150)。
したがって、測定時間の短縮ができ、測定効率が向上する。
また、サインカーブを用いた本実施形態のS字加減速処理は従来のS字加減速処理よりも滑らかな加減速カーブを生成でき、このことは三次元測定機の振動を抑制し、測定精度の向上に繋がると期待できる。
解析計算で制御サイクルタイムごとの位置を直接時系列応答として得られるので、プログラムを非常にシンプルにできる。
一つデメリットを挙げるとすると、最大加速度発生タイミングを少し前半にずらすといった極めて高度な最適化はできない点である。
あるいは、ガウス関数を用いて、加速度関数を、例えば次のようにしてもよい(最大加速度発生タイミングを36.8%となるように調整してある)。
しかしながら、これらの式は解析的に計算できないため、速度、位置を得るのに数値計算(数値積分)を経なければならず、演算負荷が大きい。
最終的にほしい位置を表わす関数が解析的に得られないことが大きなデメリットであり、出力応答に時間が掛かると結局は測定時間が長くなる。
最大加速度発生タイミングをずらすためのプログラムの複雑さ、演算負荷、応答時間の遅れなどのデメリットが大きく、本実施形態の方が優れると考えられる。
「加速」を例に説明したが、「減速」の場合も同じである(式の適用自体は同じである)。
200…三次元測定機、
210…定盤、220…移動機構、221…Yスライダ、222…Xスライダ、223…Z軸コラム、224…Zスピンドル、
230…プローブ、231…スタイラス、232…測定子、233…支持部、
300…モーションコントローラ、
310…測定指令取得部、330…カウンタ部、340…移動指令生成部、
341…速度パターン計画部、
342…速度パターン演算部、343…速度パターン修正部、344…加減速調整部、348…ベクトル指令生成部、
350…駆動制御部、
400…手動コントローラ、
500…ホストコンピュータ、520…記憶部、530…形状解析部。
Claims (4)
- プローブを三次元的に移動させる移動機構を有し、ワークの形状を測定する三次元測定機の制御計画の設計方法であって、
所与の移動区間を所与の速度計画で計画された区間内目標速度に達しながらできる限り短い時間で移動する制御計画を設計するにあたり、
制御サイクルタイムの整数倍となる加速時間Taを設定する加速時間算出工程と、
前記加速時間算出工程で得られた加速時間Taと前記移動区間内の目標速度増分ΔVとから区間内の最高加速度Amaxを算出する最高加速度算出工程と、
前記加速時間Taと前記最高加速度Amaxとを含み、制御サイクルタイムごとの目標座標値を時間の関数として与える加速区間座標算出式により、制御サイクルタイムごとの目標座標値を求める座標算出工程と、を有し、
加速区間座標算出式は、前記加速時間Taと前記最高加速度Amaxとを含み、徐々に加速し、徐々に減速する加速度を与える加速度連続関数を時間に関して二回積分した式により与えられる
ことを特徴とする三次元測定機の制御計画の設計方法。 - 請求項1に記載の三次元測定機の制御計画の設計方法において、
前記加速時間算出工程において、前記加速時間Taは、前記目標速度増分ΔVを前記三次元測定機の耐加速度の半分で除した値を前記制御サイクルタイムの整数倍になるように切り上げた値である
ことを特徴とする三次元測定機の制御計画の設計方法。 - 請求項1または請求項2に記載の三次元測定機の制御計画の設計方法において、
前記加速度連続関数は、加速度A(t)を時間tの関数として次のように与えられる
ことを特徴とする三次元測定機の制御計画の設計方法。
A(t)=A{sin(ωt-π/2)+1}
ω=2π/Ta
A=Amax/2 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の三次元測定機の制御計画の設計方法で与えられた制御計画に従って前記三次元測定機を駆動制御することを特徴とする形状測定装置の制御方法。
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