JP7185302B2 - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Description
本発明に係るディーゼルエンジンによれば、低圧の燃料のパイロット噴射は、大径の孔のみから行われる。これにより、低圧の燃料噴霧を副燃焼室に対して円滑に行うことができるとともに、パイロット噴射時に噴射された燃料が副燃焼室の内壁面に付着することをより一層抑制することができる。
本発明に係るディーゼルエンジンによれば、高圧の燃料のメイン噴射は、燃料噴射ノズルの大径の孔と、燃料噴射ノズルの小径の孔と、の両方から行われる。これにより、大径の孔と、小径の孔と、の両方を用いて、高圧の燃料噴霧を副燃焼室に対して効率よく円滑に行うことができる。
本発明に係るディーゼルエンジンによれば、メイン噴射時の副燃焼室におけるペネトレーションの発生、すなわちメイン噴射時に噴射された燃料が副燃焼室の内壁面に衝突することを抑制することができる。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るディーゼルエンジンの主燃焼室と副燃焼室との付近を表す断面図である。
図1に示すディーゼルエンジン1は、いわゆる副室式のディーゼルエンジンであり、主燃焼室10と副燃焼室20とを有する。図1に示すディーゼルエンジン1は、E-TVCS(渦室流式)燃焼方式のディーゼルエンジンともいう。ディーゼルエンジン1は、例えばボア径が75mm以下の小型IDI(Indirect Injection)燃焼式のディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジン1は、例えば建設機械、農業機械、芝刈り機等に搭載される。但し、ディーゼルエンジン1が搭載される機器の種類は、特に限定されるわけではない。
図2は、本実施形態の副燃焼室の近傍を拡大して表した拡大断面図である。
図2に示すように、副燃焼室20の内部空間は、縦方向の断面で見てほぼ楕円形あるいは円形状である。装着孔48は、シリンダヘッド3において、シリンダ中心軸Pからシリンダ周壁側へ偏心した位置に形成されている。口金50は、装着孔48に収容された状態で保持されている。口金50は、チャンバなどとも呼ばれ、副燃焼室20の内部空間の下半分の部分を形成している。装着孔48は、シリンダヘッド底面6A側から燃料噴射ノズル30側に向かって順に、大径の開口部56と、小径の胴部収容部57と、を有する。大径の開口部56には、口金50の底部59が収容されている。胴部収容部57には、口金50の胴部60が収容されている。なお、副燃焼室20に配置されるグロープラグの図示は省略している。
次に、図2に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31の構成例を、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態の燃料噴射ノズルの噴射部の構造例を示す図である。
図3に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31は、中央部に大径の孔32と、大径の孔32の両側の位置に配置される小径の孔33,34と、を有する。大径の孔32の直径と、小径の孔33,34の直径と、の比の範囲は、好ましくは約1.1~2程度である。なお、噴射部31に設けられた孔の数は、3つには限定されず、4つ以上であってもよい。
さらに、図2に示す口金50の構造例を、図4を参照して説明する。
図4は、本実施形態の口金の構造例を示す底面図である。
口金50は、図2に示す多噴口40を有する。口金50の多噴口40は、主噴口51と、主噴口51の両側の位置に配置される副噴口52,52と、副噴口52,52の両側の位置に配置される補助噴口53,53と、を有する。多噴口40は、図1に示す副燃焼室20の内周面のほぼ接線方向に沿って、図1に示すシリンダ中心軸Pに対して傾斜して形成されている。ピストン5が主燃焼室10を圧縮するときに、副燃焼室20内に入る空気が副燃焼室20内で渦流を発生させる。
次に、本実施形態に係るディーゼルエンジン1における多段噴射の動作例を、図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施形態に係るディーゼルエンジンのクランク角に対するパイロット噴射とメイン噴射との圧力の変化例を示すグラフである。
燃料の多段噴射は、低圧のパイロット噴射100と、高圧のメイン噴射200と、を含む。図5に表したグラフは、ピストンの下死点T1においてパイロット噴射100が行われ、上死点T2においてメイン噴射200が行われる様子を示している。
まず、燃料のパイロット噴射100について、説明する。燃料のパイロット噴射100では、吸気工程の下死点T1を挟んでシリンダ内圧が10MPa以下となる範囲の吸気工程において、図3に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31の大径の孔32のみから図2に示す燃焼気流Gの方向に燃料の噴射が行われる。すなわち、燃料噴射ノズル30は、パイロット噴射100において10MPa以下の低圧噴射を行う。パイロット噴射100による燃料噴霧は、口金50の主噴口51を円滑に通過して図2に示すシリンダ4内へ入る。
次に、燃料のメイン噴射200について、説明する。上述した燃料のパイロット噴射100では、シリンダ4の内圧が10MPa以下の低い状態で、図3に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31の大径の孔32のみから燃料の噴射が行われる。これに対して、燃料のメイン噴射200では、図1のピストン5が図5に示す上死点T2に来たときに、図3に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31の全部の孔から燃料の噴射が行われる。すなわち、燃料のメイン噴射200では、ピストン5が上死点T2に来たときの高圧の状態において、図3に示す燃料噴射ノズル30の噴射部31の大径の孔32と小径の孔33,34との全部の孔から副燃焼室20に向かって燃料の噴射が行われる。このように、燃料噴射ノズル30は、パイロット噴射100のときのシリンダ内圧よりも高いシリンダ圧力の高圧噴射をメイン噴射200において行う。この際に、小径の孔33,34からの燃料噴射は、口金50の補助噴口53,53に向かうように、すなわち図2に示す燃料噴霧Xの方向に向かうように行われる。これにより、ペネトレーションの発生、すなわち燃料噴霧が副燃焼室20の内壁面に衝突することを抑制することができる。
Claims (4)
- 主燃焼室と、前記主燃焼室から偏心した箇所に設けられた副燃焼室と、が互いに通じているディーゼルエンジンであって、
中央部に配置された大径の孔と、前記大径の孔の両側の位置に配置され前記大径の孔の径よりも小さい径を有する小径の孔と、を有する燃料噴射ノズルと、
前記主燃焼室と前記副燃焼室とを連通させる噴口であって、主噴口と、前記主噴口の両側の位置に配置される副噴口と、前記副噴口の両側の位置に配置される補助噴口と、を含む前記噴口を有する口金と、
を備え、
吸気工程の下死点を挟んでシリンダ内圧が10MPa以下となる範囲の前記吸気工程で、燃料のパイロット噴射が、前記燃料噴射ノズルから前記副燃焼室を経て前記口金に向けて行われることを特徴とするディーゼルエンジン。 - 前記燃料の前記パイロット噴射は、前記燃料噴射ノズルの前記大径の孔のみから行われることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
- 前記パイロット噴射のときの前記シリンダ内圧よりも高い前記シリンダ内圧の状態で、前記燃料のメイン噴射がさらに行われ、
前記燃料の前記メイン噴射は、前記燃料噴射ノズルの前記大径の孔と、前記燃料噴射ノズルの前記小径の孔と、の両方から行われることを特徴とする請求項1または2に記載のディーゼルエンジン。 - 前記燃料の前記メイン噴射において、前記小径の孔からの前記燃料の噴射は、前記口金の前記補助噴口へ向けて行われることを特徴とする請求項3に記載のディーゼルエンジン。
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