本発明の実施形態に係る杭孔形成装置100について図面を参照して説明する。
杭孔形成装置100は、図1に示すように、アースオーガ110を用いて既製杭の杭孔を掘削する際において、アースオーガ110の先端部が支持層に到達していることを確認することが可能な地盤強度確認機構を備えている。
ここでは、アースオーガ110を使用する既製杭の埋め込み杭工法のうち、オーガヘッド30からセメントミルクなどの固化材を根固め液として注入する工法に、杭孔形成装置100を適用する場合について説明する。具体的には、セメントミルク工法などのプレボーリング法、中掘り根固め工法等の中掘り工法、回転根固め工法等の回転工法などの工法である。
杭孔形成装置100は、主に、杭などを打設する掘削孔を形成するアースオーガ110と、現場に設置され、アースオーガ110を回転駆動して地盤Aに貫入させるアースオーガ駆動装置120とから構成されている。また、図示しないが、セメントミルクなどの固化材を蓄える固化材タンクも配置されている。
アースオーガ110は、アースオーガ駆動装置120の支柱121に設けられた振れ止め122に、上下方向へ移動自在に保持されながら、支柱121にガイドされて下降移動されるオーガヘッド30により回転駆動されて、地盤Aに圧入される。
これにより、アースオーガ110は、地盤Aに貫入され、掘削孔が鉛直下向きに形成される。そして、支柱121の下部に達したオーガヘッド30の支柱121の上部への盛り替えと、地盤Aへ貫入されたアースオーガ110に対して、オーガロッド20の継ぎ足しを繰り返すことにより、設計上の所定深さの掘削孔が形成される。
アースオーガ110は、複数本のオーガロッド10,20が上下方向に接続されてなり、最先端(最下端)のオーガロッド10の先端部(下端部)にオーガヘッド30が設けられている。
オーガロッド10,20は、図2に示すように、掘削する杭孔の深さに応じて、接続される本数及びその長さが定まる。1本目(最先端)のオーガロッド10以外のオーガロッド20、すなわち2本目以降のオーガロッド20は、同じ構造である。これらのオーガロッド20は、円筒状体であって、掘削した土砂を上部に送るために、螺旋翼(スクリュー)20aが外周面に固定されている。
1本目のオーガロッド10は、複数、ここでは5つの円筒状体11~15が接続された構造となっている。これら円筒状体11~15は、隣接して接続される円筒状体11~15に対して、それぞれ分離可能に構成されている。各円筒状体11~15には、隣接する円筒状体11~15との接続のために、これら円筒状体との接続面側に端部にそれぞれフランジ11b~15bが形成されている。
そして、詳細には図示しないが、各フランジ11b~15bには貫通孔が形成されており、対応する貫通孔にボルトを挿通させた状態で、ナットの雌ねじ部をボルトの雄ねじ部と螺合することによって、隣接する円筒状体11~15が固定される。また、各オーガロッド10,20の後端部には雄ジョイント10b、20bが、2本目以降のオーガロッド20の先端部には雌ジョイント20cがそれぞれ設けられている。そして、雄ジョイント10b、20bと雌ジョイント20cとを接続することにより、隣接するオーガロッド10,20同士が固定される。
各円筒状体11~15の外周面にも前記オーガロッド20と同様に、螺旋翼11a~15aが固定されている。螺旋翼11a~15aは、なるべく連続するように形成されている。ここでは、螺旋翼11a~15aはフランジ11b~15bの側面まで形成されており、これにより螺旋翼11a~15aは連続している。これにより、オーガロッド10の回転による掘削効率の向上を図ることが可能となる。
そして、1段目(最先端)の円筒状体11の先端部(下端部)にはオーガヘッド30が設けられている。具体的には、円筒状体11の外周面に固定された螺旋翼11aの先端部に、複数個の掘削ビット41が取り付けられている。
さらに、図3に示すように、ここでは、円筒状体11には、拡閉可能な拡大ヘッド42が設けられている。この拡大ヘッド42は、複数本、ここでは2本の拡大翼42aから構成されている。各拡大翼42aは、中間部が円筒状体11の外部に設けられた軸11cに回転自在に支持されており、先端部には複数個の掘削ビット42bが取り付けられている。拡大ヘッド42の拡大翼42aは、円筒状体11に内蔵された油圧シリンダ43によって拡閉される。
そして、各拡大翼42aの他端部は、油圧シリンダ43のロッド43aの外周部に設けられた窪み43bに嵌合されている。なお、油圧シリンダ43は、その中央部に上下方向に貫通する孔が形成されており、全体として細長いドーナツ形状となっている。
さらに、ロッド43aより上方の油室S1内に油などの流体を流入又は当該油室S1内の流体を排出するための第1の流体配管44、及び、ロッド43aより下方の油室S2内に流体を流入又は当該油室S2内の油などの流体を排出するための第2の流体配管45(不図示)が円筒状体11内に設けられている。各流体配管44,45の端部は、それぞれ円筒状体11の上端部に設けられた接続部(コネクタ)46aに接続されている。
拡大ヘッド42は、上記のように構成されることによって、図3に実線で示すように、第1の流体配管44を介して流体が流入し、油室S1が拡大することにより、ロッド43aが下方に移動して、各拡大翼42aが外側に向って開き、拡大ヘッド42が拡大する。一方、図3に2点鎖線で示すように、第2の流体配管45を介して流体が流入し、油室S2が拡大することにより、ロッド43aが上方に移動して各拡大翼42aが内側に向って閉じ、拡大ヘッド42が閉じる。
さらに、オーガヘッド30、ひいては円筒状体11の先端部に形成された開口11d内に、コーン貫入試験で使用される測定コーン51が設けられている。測定コーン51は、支持層に貫入可能なように先端が鋭角な円錐形状であり、後端部(上端部)に接続された貫入用ロッド52によって地盤A(図1参照)内に貫入される。
貫入用ロッド52は、円筒状体11に固定された管53内に摺動可能に設けられている。ここでは、貫入用ロッド52は、オーガヘッド30の中央部に設けられたセメントミルクなどの固化材を圧送する固化材圧送管53内に設けられている。固化材圧送管53は、オーガヘッド30の中央部に上下方向に延在して、油圧シリンダ43の中央部に形成された貫通孔を挿通するように設けられている。
固化材圧送管53は必ずしも油圧シリンダ43の中央部に設ける必要はないが、中央部以外に設けた場合、固化材圧送管53が設置された部分に油圧が作用し難く、油圧シリンダ43を押圧する力に偏りが生じるおそれがあるので、好ましくない。なお、1段目の円筒状体11中の固化材圧送管53の断面積は、後述する2段目の円筒体状12内以降の固化材圧送管56に比べて、貫入用ロッド52の断面積分だけ大きいことが好ましい。
固化材圧送管53の先端は連通孔11eを介して開口11dまで達しており、固化材圧送管53の先端から飛び出した貫入用ロッド52の先端部に測定コーン51が、3成分センサ54を介して接続されている。3成分センサ54は、測定コーン51の先端抵抗(qc)、周面摩擦(fs)、間隙水圧(ud)の3成分を測定する。
そして、固化材圧送管53は、その先端より上方において水平方向に分岐しており、これら分岐した水平部の先端に噴射孔53aが複数個設けられている。このように、固化材圧送管53の噴出孔53aは、オーガヘッド30の先端部より上方の周囲部に設けられており、固化材は水平方向に噴出される。
また、固化材圧送管53内に外部から土砂などが流入しないように、固化材圧送管53の分岐部より下方のなるべく先端の部分に、封止手段55を設けることが好ましい。封止手段55は、連通孔11e内に外部から土砂が流入することを防止する土砂流入防止手段である。
封止手段55は、例えば、ゴムなどの弾性材料からなり、測定コーン51の突出によって内側から押し開けられて、測定コーン51が元の位置に戻った後とは板ばねなどで閉じる構造を有する逆流防止弁(逆止弁)である。また、封止手段55とは別に、貫入用ロッド52の外周面と固化材圧送管53の内周面とを隙間なく密着させるために、貫入用ロッド52の先端部付近と固化材圧送管53との間に摺動パッキン55aが装着されている。
このような摺動パッキン55aが存在していても、3成分センサ54は、摺動パッキン55aの下方に位置している。これにより、3成分センサ54によって、貫入用ロッド52の自重及び摺動パッキン55aの摩擦抵抗に影響を受けずに、測定コーン51の先端部からの反力を直接的に測定することが可能となる。
なお、セメントミルク工法等のように固化材を下方に噴出させる必要がある場合には、圧送される固化材の圧力によって開くほどの弱い封止力を有する封止手段55を用いればよい。
また、オーガヘッド30内の固化材圧送管53は、貫入用ロッド52が内蔵されるので、固化材の通過可能な領域が制限される。そこで、固化材の圧送量を確保するために、通常のものと比較して内径を大きくすることが好ましい。
また、2段目の円筒状体12は、その中央部を上下方向に貫入用ロッド52が挿通している。さらに、2段目の円筒状体12には、第1及び第2の流体配管44,45に接続された接続部46aにそれぞれ、第1及び第2の流体配管47,48(第2の流体配管48は図3には不図示)が接続部46bを介して接続されて、内部に配置されている。
そして、2段目の円筒状体12には、固化材圧送管53に接続される固化材圧送管56も内部に配置されている。固化材圧送管53は、1段目の円筒状体11の上部において、水平方向に分岐して延びる部分を有しており、円筒状体11の上端部の中央部から径方向外側にずれた一部に、固化材圧送管56の端部に存在する接続部57bに接続される接続部57aを有している。これにより、2段目の円筒状体12内においては、中央部から離れた部分において固化材圧送管56が上下方向に延在している。
なお、固化材圧送管53の分岐位置を貫入用ロッド52が上下動するので、これによって固化材が漏れ出ないように、固化材圧送管53の水平方向に伸びる部分の上方に存在する先端部には、上部摺動パッキン58が設けられている。そして、この上部摺動パッキン58を挿通して貫入用ロッド52が伸びている。
図4に示すように、3段目の円筒状体13には、貫入用ロッド52を下方向に向けて押し出す油圧シリンダ(ジャッキ)71が設けられている。そして、油圧シリンダ71のロッド71aの先端(下端)に貫入用ロッド52の後端(上端)が固定されている。そして、油圧シリンダ71に接続された2本の流体配管72,73も、3段目の円筒状体13に内蔵されている。
油圧シリンダ71は貫入用ロッド52に荷重をかけるため、その軸中心は、貫入用ロッド52と同じく、3段目の円筒状体13の軸中心と一致することが好まししい。この場合、3段目の円筒状体13内では、固化材圧送管56は軸中心から径方向にずれて配置される。
油圧シリンダ71のロッド71aが伸長することにより、貫入用ロッド52が下方向に移動して、貫入用ロッド52の先端部に固定されている測定コーン51(図3参照)が、オーガヘッド30の先端部より下方の外部に突出する。油圧シリンダ71のロッド71aの伸長量、伸長速度などの伸長の態様は、すなわち測定コーン51の突出の態様は、通常の静的コーン貫入試験で貫入試験を行う場合と同じ態様とすることが好ましい。これにより、通常の静的コーン貫入試験における測定コーン51の貫入量と支持力との関係をそのまま用いることができる。
ただし、通常の静的コーン貫入試験で貫入試験を行う場合と異なる態様でもよく、この場合は、予め、測定コーン51の貫入量と支持力との関係を予め実験などによって求めておく必要がある。
2段目の円筒状体12には、貫入用ロッド52の振れ、回転、変形などを防止するための振れ止め74を内蔵させることが好ましい。振れ止め74は、ここでは、貫入用ロッド52の上端部と油圧シリンダ71のロッド71aの先端部との間に固定されている。ただし、振れ止め74は、貫入用ロッド52の他の部分に固定されていてもよい。
振れ止め74は、図5に示すように、その外形が円筒状体12の内面の形状に倣った形状であり、ここでは、大略円板状に形成されている。貫入試験においては、測定コーン51をオーガヘッド30の先端から1m程度押し出す必要があるが、これによって、円筒状体12の内面に沿って貫入用ロッド52が摺動するので、貫入用ロッド52及び油圧シリンダ71のロッド71aが、回転、捻れ、座屈などが生じずに良好に上下方向に摺動可能となる。
なお、振れ止め74は、その外形が円筒状体13の内面の形状に倣った形状が少なくとも一部存在していればよく、また、その外面と円筒状体13の内面との間に多少の隙間があってもよい。また、振れ止め74を上下方向に間隔を開けて複数設けることも好ましい。
なお、貫入用ロッド52は、ここでは、3成分センサ54(図3参照)に接続された通信線54aが内部を通っており、細長い円筒状に構成されている。静的コーン貫入試験は測定コーン51を支持地盤に所定深さまで貫入させる際の反力を測定する試験であり、貫入用ロッド52には貫入時に地盤の支持力に相当する大きな反力が作用する。また、貫入用ロッド52は、静的コーン貫入試験に必要な長さ、具体的には、オーガヘッド30の先端から杭孔の底面までの距離に杭孔底のスライムの厚さ及び貫入試験時の押し込み量を加えた長さであって1m程度の長さが必要であり、長尺である。これらのため、貫入ロッド52は、予測される反力が作用しても座屈しない剛強な構造とする必要がある。
また、貫入用ロッド52は、複数本、例えば2本から4本に分解可能に構成することが好ましい。これにより、円筒状体11,12内に設置する場合や、後述するSTEP7において清掃するために分解する場合などに、貫入用ロッド52の取り扱いが容易となる。貫入用ロッド52は、特に、固化材圧入管53内に収納される、又は収納され得る清掃が必要な部分と他の清掃が不必要な部分とを分離可能に構成することが好ましい。
貫入用ロッド52の上端部付近には、貫通孔又は切り欠きからなる開口52aが形成されており、この開口52aを介して通信線54aが貫入用ロッド52の外部に露出し、振れ止め74に形成された貫通孔又は切り欠きからなる開口74aを介して、第3の円筒状体13内を上下方向に延びている。なお、貫入用ロッド52の開口74aより上方に位置する部分は中空である必要はない。
貫入用ロッド52に形成された開口52aは、油圧シリンダ71のロッド71aが最大限伸長した際にも、固化材圧送管53の内部に入らない位置に形成されている。これにより、開口52aを介して、貫入用ロッド52やその先端に位置する3成分センサ54の内部に固化材が流入するおそれ、及び固化材圧送管53から固化材が外部に漏れ出るおそれの低減が図られる。
ただし、貫入用ロッド52の開口52aが振れ止め74より上側に設けられる場合、開口74aは必要ない。この場合、振れ止め74は油圧シリンダ71のロッド71aが最大限伸長した際にも、固化材圧送管53の内部に入らない位置に形成される。また、振れ止め74を上下方向に間隔を開けて複数設ける場合、最下段の振れ止め74は油圧シリンダ71のロッド71aが最大限伸長した際にも、固化材圧送管53の内部に入らない位置に形成される。
なお、貫入用ロッド52及び油圧シリンダ71のロッド71aが、座屈などが生じずに良好に上下方向に摺動可能とするために、振れ止め74の外径は円筒状体12の内面の径とほぼ等しくすることが好ましい。
さらに、通信線54aは、油圧シリンダ71のロッド71aの伸縮に従って伸縮可能であることが好ましい。そこで、例えば、図示しないが、通信線54aの何れかの位置に巻き取り機能を有するリールを介在させて配置して、リールによる巻き取り、巻き出しによって通信線54aをロッド71aの伸縮に合わせて伸縮可能とすることが好ましい。
振れ止め74には、また、貫通孔又は切り欠きからなる、固化材圧送管56が挿通する開口74b及び2本の流体配管47,48が挿通する開口74c,74dも形成されている。
なお、図4においては、振れ止め74は開口52aより先端側に設けられている。しかし、振れ止め74は開口52aより上端側に設けられてもよい。ただし、この場合、振れ止め74は、油圧シリンダ71のロッド71aが最大限伸長した際にも、固化材圧送管53の上端部より上側の位置に設ける必要があり、当然に開口52aは固化材圧入管53の内部には入らない。
4段目の円筒状体14には、図4を参照して、油圧シリンダ71のロッド71aの移動量、ひいては測定コーン51の移動量を計測する変位計81が内蔵されている。変位計81は、ロッド71aの上端部に端部を固定されたワイヤの引き出しによって回転するリール(スプール)の軸の回転数によって変位を計測するワイヤ式であることが好ましい。これは、オーガロッド10内は湿度が高く、レーザ変位計は適さないからである。
なお、変位計81がワイヤ式である場合には、ワイヤの先端は振れ止め74に固定されていることが好ましい。また、変位計81がレーザ式である場合には、レーザのターゲットは振れ止め74に固定されていることが好ましい。
4段目の円筒状体14には、また、図示しないが、3成分センサ54及び変位計81の測定データをデジタル化するA/D変換器などの計測関連機器82が内部に収容されている。なお、4段目の円筒状体14の中央部に設置する機器など存在しない場合は、固化材圧送管56を径方向に折り曲げて中央部に設けてもよい。
さらに、4段目の円筒状体14には、固化材圧送管56、4本の流体配管47,48,72,73(流体配管47,48は図4には不図示)及び通信線54aが内部を上下方向に挿通している。
5段目、すなわち先端のオーガロッド10を構成する最後端の円筒状体15には、その上端側に接続されるオーガロッド20の後端部の雌ジョイント20cと接続される雄ジョイント10bが備えられている。この雄ジョイント10bには、図6も参照して、4本の流体配管47,48,72,73の端部の接続部にそれぞれ接続される接続部91a~91d、固化材圧送管56の端部の接続部に接続される接続部91eが備わっており、雌ジョイント20cと接続されることにより、これらは自動的に接続される。これにより、流体配管47,48は流体配管(不図示)に、流体配管72,73は2本目以降のオーガロッド20内の流体配管95,96にそれぞれ接続される。
5段目の円筒状体15の後端部は、1本目のオーガロッド10の後端部であるので、上述したように、2本目のオーガロッド20の雌ジョイント20cと接続される雄ジョイント10bが設けられている。
そして、2本目以降のオーガロッド20の下端部には、接続部91a~91eにそれぞれ接続される接続部92a~92e(92b~92dは不図示)が設けられている。ここでは、接続部92a~92eは、例えば、それぞれ雌コネクタであり、雄ジョイント10b、20bと雌ジョイント20cが接続されることにより、雄コネクタからなる接続部91a~91eと自動的に接続される。これにより、流体配管47,48に接続されているは流体配管(不図示)及び2本目以降のオーガロッド20内の流体配管95,96はそれぞれ対応する流体配管に接続される。
そして、接続部92a~92dにはそれぞれ流体配管が接続されており、これら流体配管はオーガロッド20の内部に配置されている。そして、これら流体配管の上端には、図7も参照して、オーガロッド20の上端部に設けられた接続部91a~91dが接続されている。また、接続部92eには固化材圧送管93が接続され、固化材圧送管93はオーガロッド20の内部に配置されている。そして、この固化材圧送管93の上端には、オーガロッド20の上端部に設けられた接続部91eが接続されている。
先端のオーガロッド10の雄ジョイント10bと2本目のオーガロッド20の雌ジョイント20c及び2本目以降のオーガロッド20の雄ジョイント20b及び雌ジョイント2cの端面には、中心に固化材圧送管93を繋ぐ接続部91eが配置されており、その外周から径方向離れた同心円上に他の各流体配管47,48,72,73の接続部91a~91dが配置されている。
さらに、5段目の円筒状体15の上部の周壁には貫通孔15cが形成されており、この貫通孔15cを介して、計測関連機器82に接続された通信線94が円筒状体15の外部に露出している。
2本目以降の各オーガロッド20には、図8及び図9に示すように、それぞれ、螺旋翼20aの基端部に貫通孔20dが一直線上に形成されており、この貫通孔20dを挿通するように保護管21が固定されている。そして、各オーガロッド20には、それぞれ、保護管21内を通信線22が挿通されており、その上下方向の両端部にはコネクタ22aが設けられている。これにより、隣接するオーガロッド20を接続する際、コネクタ22a同士を接続することにより、簡易に通信線22同士を簡易に接続することができる。
さらに、図示しないが、先端のオーガロッド10と2本目のオーガロッド20とを接続する際も、コネクタ94aとコネクタ22aとを接続することにより、簡易に通信線94と通信線22を簡易に接続することができる。また、コネクタ22a,94aで接続された部分は、保護カバー23によって覆うことが好ましい。
保護管21とオーガロッド20の外周とは、図10に示すように、溶接などによって強固に固定されることが好ましい。通信線22、通信線94、コネクタ22a及びコネクタ94aは防水機能を有することが好ましい。これにより、保護カバー内及び保護管21内に泥水などが入り込んでも、通信が途絶するおそれを低減することが可能となる。
また、保護カバー23は、保護管21から露出する通信線22及び通信線94並びにコネクタ22a及びコネクタ94aを完全に覆うことができる形状とし、保護カバー23の通信線22と通信線94、コネクタ22aとコネクタ94aに接する側の面には、スポンジ等の緩衝材を設けることが好まししい。これにより、掘削によって保護カバー23に礫などが衝突などしても、衝撃によって通信線22、通信線94、コネクタ22a及びコネクタ94aが損傷を受けるおそれを低減することが可能となる。
なお、通信線94は貫通孔15cから外部に露出してからコネクタ94aまで、通信線22と同様の保護管21によって保護することが好ましい。また、コネクタ94aとコネクタ22aの保護管21から露出する部分は、オーガロッド10とオーガロッド20又はオーガロッド20同士を接続するまでは、図示しないが保護部材によって保護することが好ましい。
3成分センサ54によって測定した各種データ及び変位計81によって測定した変位量のデータは、通信線22,94を介して、アースオーガ駆動装置120などに備わる外部のコンピュータなどの記憶手段に送信される。そして、記憶手段に記憶されたデータに基づいて、コンピュータなどによって荷重変位曲線を作成し、これをモニタなどにリアルタイムに映し出すことが好ましい。この際、アースオーガ駆動装置120に搭乗した作業者などは、各種データからN値を推定し、このN値が所定値以上であれば支持力があると判断する。
以上のように、先端のオーガロッド10は、分離可能な5つの円筒状体11~15が接続された構造であるので、これら円筒状体11~15の何れかに収容される機器のメンテナンスや交換などの作業を行う際において、作業化の簡易化を図ることが可能である。例えば、振れ止め74に変位計81のリールを設置する場合、貫入用ロッド52に曲がりや座屈などが生じたために交換する場合などに、作業を必要とする円筒状体11~15を他の円筒状体11~15から分離して作業を行うことができ、さらに、円筒状体11~15ごとの交換も可能である。
なお、オーガロッド10は、必ずしも5つの円筒状体11~15からなる必要はなく、1乃至4又は6以上の円筒状体からなるものでよってもよい。また、各円筒状体11~15に内蔵される機器は上述したものに限定されない。
以下、プレボーリング(セメントミルク)拡大根固め工法において、上述した杭孔形成装置100を用いて支持力を確認する方法について図11を参照して説明する。
まず、拡大ヘッド42を閉じた状態で、支持層に達するに満たない深さまで、従来と同様に掘削孔を掘削する(STEP1)。
掘削孔の深さが深くなるに応じて、1本目のオーガロッド10に対して2本目のオーガロッド20を接続する。この接続は、1本目のオーガロッド10の後端部の雄ジョイント15cと2本目のオーガロッド20の先端部の雌ジョイント20cとを接続することにより行う。
これにより、5段目の円筒状体15の上端部に設けられている接続部92a~92dに2本目のオーガロッド20の内部に備わる流体配管の下端に備わる接続部93a~93dがそれぞれ接続される。さらに、5段目の円筒状体15の上部から露出した通信線22の先端部のコネクタ22aと2本目のオーガロッド20に備わる通信線22の下端部に備わるコネクタ22aを覆う保護部材を取り外した後に、両者を接続し、これらの接続箇所を保護カバー23によって覆う。また、5段目の円筒状体15の上端の接続部92eに、2本目のオーガロッド20の内部に備わる固化材圧送管93の下端部の接続部91eを接続する。
さらに、掘削孔の深さが深くなるに応じて、2本目のオーガロッド20に対して3本目以降のオーガロッド20を接続する。この接続は、2本目のオーガロッド20の後端部の雄ジョイント20bと3本目のオーガロッド20の先端部の雌ジョイント20cとを接続することにより行う。これにより、2本目と3本目のオーガロッド20に備わる流体配管の端部にそれぞれ備わる接続部91a~91d,92a~92d同士がそれぞれ接続される。
また、2本目のオーガロッド20に備わる固化材圧送管93eの上端部の備わるコネクタに、3本目のオーガロッド20に備わる固化材圧送管93eの下端部の接続部91eを接続する。さらに、2本目と3本目のオーガロッド20に備わる通信線22の端部に備わるコネクタ22aを覆う保護部材を取り外した後にそれぞれ接続し、これらの接続箇所を保護カバー23によって覆う。4本目以降のオーガロッド20の接続も同様にして行う。
なお、最終本目のオーガロッド20に備わる流体配管の上端の接続部91a~91dに、オーガ駆動装置120に備わる図示しない油圧装置に接続された管の端部の接続部に接続する。さらに、最終本目のオーガロッド20に備わる固化材圧送管93の上端の接続部91eに、オーガ駆動装置120に備わる図示しない固化材タンクに接続された管の端部の接続部に接続する。
次に、拡大ヘッド42を拡げた状態で、掘削孔が支持層に達すると想定される深さまで拡径孔を形成する(STEP2)。ただし、オーガヘッド30を回転駆動している際、所定の回転駆動力となる抵抗値を推定し、この抵抗値の推定値が所定の基準値を超えたことを確認してもよい。なお、拡大ヘッド42を拡げる際、油圧装置を駆動させることにより、第1の流体配管44を介して油室S1に流体を流入させる。
拡径孔を掘削しながら、セメントミルクなどの固化材を固化材圧送管53,93を介して圧送し、噴射孔53aを介して噴出させて、周囲の地盤Aの根固めを行う(STEP3)。
そして、先端が支持層内に位置すると想定される所定の深さまで掘削孔を掘削したら、掘削孔の掘削を終了する。そして、この時点からアースオーガ110を引き上げるまでの間に拡大ヘッド42を閉じる。
その後、オーガヘッド30の先端が掘削孔の先端から少し離間するように、アースオーガ110を吊り上げる。そして、この吊り上げた状態において、貫入用ロッド52を下方に所定の距離だけ移動させることにより、測定コーン51を地盤Aに貫入させて静的コーン貫入試験を行い、地盤Aの強度を確認する(STEP4)。なお、貫入用ロッド52を下方に移動させる際、油圧シリンダ71を駆動させることにより、油圧シリンダ71のロッド71aを伸長させる。
試験結果である、測定コーン51の貫入量、測定コーン51の先端部からの反力は通信線を介して、外部のコンピュータなどに送信される。
そして、掘削孔の先端が支持層に達していることを確認した後、貫入用ロッド52を引き上げ、測定コーン51をオーガヘッド30内に回収する(STEP5)。なお、このSTEP5は、アースオーガ110を全て引き上げた後に行ってもよい。
その後、アースオーガ110を引き上げて、オーガロッド10,20の接続を順次解除する(STEP6)。オーガロッド10,20の接続の解除は、上述した接続する場合と逆の手順で行えばよい。
最後に、先端のオーガロッド10を5本の円筒状体11~15に分解し、測定コーン51、固化材圧送管53,93などを清掃する(STEP7)。このように、先端のオーガロッド10は分解可能であるので、測定コーン51、固化材圧送管53などの内部機器を簡易に清掃することが可能である。
なお、本発明は、上述した実施例に具体的に記載した杭孔形成装置100及びこの杭孔形成装置100を用いた方法に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内であれば適宜変更することができる。
例えば、拡大ヘッド42の拡閉を行うための油圧シリンダ43に油圧を供給するための流体配管47,48などの油圧経路と、貫入用ロッド52の伸縮を行うための油圧シリンダ71に油圧を供給するための流体配管72,73などの油圧経路とは、別個の独立に別個の上記油圧装置に接続される場合について説明した。
しかし、これには限定されず、これらの油圧経路を同じ油圧装置に接続してもよい。この場合、拡大ヘッド42を拡げるために必要な油圧と比較して、貫入用ロッド52を下方に移動させるために必要な油圧を大きくすることにより、拡大ヘッド42を拡げた(STEP2)後に、貫入用ロッド52を下方に移動させることが可能となる(STEP4)。そして、その後、油圧の低下に伴い、貫入用ロッド52は上方に戻った(STEP5)後、拡大ヘッド42が閉じる。
また、プレボーリングに適用する場合について説明した。しかし、これに限定されず、例えば、中掘り根固め工法や中堀り拡底根固め工法などの中掘り工法に適用してもよい。また、拡底根固めを行わないプレボーリング根固め工法や中堀り拡底根固め工法に適用する場合、拡径孔を形成する必要がないので、杭孔形成装置100は、拡大ヘッド42及びこれに油圧を供給するための流体配管47,48などの油圧経路を備えていなくともよい。この場合、振れ止め74の開口74c、74dは存在しなくてもよく、固化材圧送管56が挿通される開口72bと通信線54aが挿通される開口74aのみが存在していればよい。
なお、固化材圧送管53の先端を水平方向に分岐させ、これら分岐した水平部の先端に噴射孔53aを設ける場合について説明した。しかし、これに限定されず、セメントミルク工法などに用いる場合には、固化材をオーガヘッド30の先端部から噴出させるために、固化材圧送管53はオーガヘッド30の先端まで貫通させ、この先端から固化材を噴出させてもよい。なお、この場合、摺動パッキン55aは不要となる。