JP7182228B2 - 植物活性化剤及びその製造方法、並びに肥料組成物及び植物生育方法 - Google Patents

植物活性化剤及びその製造方法、並びに肥料組成物及び植物生育方法 Download PDF

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Description

本発明は、植物活性化剤及び肥料組成物、並びに植物生育方法に関する。
従来より、カルシウム源や多孔質体として卵殻を配合した肥料が広く知られている。例えば、特許文献1には家畜排泄物等に乾燥卵殻を混合した熟成させた粒状化肥料が報告されている。また、特許文献2には卵殻と米糠の混合物をペレット状に加工した肥料が開示されている。また、特許文献3には、食酢もろみ粕と卵殻と珪藻土を含む肥料が開示されている。
卵殻は、糖蛋白質からなる卵殻膜や卵白を含み、これらが腐敗して悪臭を発生させるため、通常、卵殻に付着したタンパク質成分(卵殻膜や卵白)は除去して使用されている。例えば、特許文献4には、卵殻内から卵白を洗浄除去したのちに、卵殻膜付の卵殻を炭酸水溶液に浸漬して卵殻から卵殻膜を分離し夫々を回収する卵殻と卵殻膜との分離回収方法が報告されている。回収した卵殻は肥料等の原料とされ、卵殻膜は例えば、化粧料等の原料等として利用されている。
特開2003-2773号公報 特許第4868343号公報 特許第6023413号公報 特開2012-139205号公報
上記の通り、卵殻を配合した肥料が広く知られているが、卵殻膜は、肥料としてほとんど使用されていない。その理由の一つとして、卵殻膜は比較的分解されにくい蛋白質であり、そのままの状態では土壌にいれても生分解されにくいことが挙げられる。また、卵白や卵黄においても、肥料として利用することは一般的に行われていない。
かかる状況下、本発明の目的は、卵由来成分を原料とした植物生長促進剤及びこれを配合した肥料組成物、並びにこれらを使用した植物生育方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、卵由来成分の加水分解物が植物の生長を促進させる作用があることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> 卵由来加水分解物を含有する植物活性化剤。
<2> 前記卵由来加水分解物が、卵殻膜加水分解物を含有する<1>に記載の植物活性化剤。
<3> 前記卵由来加水分解物が、卵殻膜加水分解物及び卵白加水分解物の混合物である<1>または<2>に記載の植物活性化剤。
<4> 液状である<1>から<3>のいずれかに記載の植物活性剤。
<5> 対象植物に<1>から<4>のいずれかに記載の植物活性化剤を吸収させる植物生育方法。
<6> <1>から<4>のいずれかに記載の植物活性化剤及び肥料成分を含有する肥料組成物。
<7> 液状である<6>に記載の肥料組成物。
<8> 対象植物に<6>または<7>に記載の肥料組成物を吸収させる植物生育方法。
また、本発明は、以下の植物活性化剤の製造方法に係るものである。
<A1> <1>から<4>のいずれかに記載の植物活性化剤の製造方法であって、卵殻膜粉末、卵白粉末又は卵黄粉末を酵素法にて加水分解させる工程を有する植物活性化剤の製造方法。
本発明によれば、植物の生長促進に有用な植物活性化剤及び肥料組成物、並びに植物生育方法が提供される。
植物活性化剤の投与前のきゅうりの様子を示す写真である。 実施例1、比較例1及び参考例(対照)のきゅうり(10日後)の様子を示す写真である。 実施例2の小松菜(30日後)の様子を示す写真である 生育調査の結果を示すグラフであり、(a)はカブ、(b)は青梗菜、(c)はサンチュを示す。 新鮮物収穫量を示すグラフであり、(a)はカブ、(b)は青梗菜を示す。 青梗菜及びサンチュの葉先枯れ障害の発生率を示すグラフである。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。なお、本明細書において、「~」とはその前後の数値又は物理量を含む表現として用いるものとする。また、本明細書において、「A及び/又はB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「A及びBの双方」が含まれる。
(1.植物活性化剤)
本発明は、卵由来加水分解物を含有する植物活性化剤(以下、「本発明の植物活性化剤」と記載する。)に関する。
本明細書において「植物活性化剤」は、対象植物に吸収させることによって植物活性化作用を有することを意味する。
本明細書において「植物活性化作用」は、植物生長促進作用又は病害抵抗作用を意味する。本発明の植物活性化作用は植物生長促進作用及び病害抵抗作用の少なくとも一つの作用を有し、両方の作用を有していることがより好ましい。
植物生長促進作用は、発芽後の植物の生長を促進させる作用を意味し、具体的には、茎の伸長・肥大、根の伸長・肥大及び葉の生長、果実の発生・肥大等を含む。
病害抵抗作用は、植物の病気の発生を抑制できる作用を意味する。
本発明の植物活性化剤は、対象植物に施用することによって、「植物の生長促進」、「発根性の向上」、「花や葉への発色性の向上」、「耐病原性の強化」などの生長促進効果や品質向上効果が得られる。
本明細書において「卵由来加水分解物」は、卵殻膜加水分解物、卵白加水分解物及び卵黄加水分解物を総称したものである。
本明細書において「卵殻膜加水分解物」は、卵殻膜に含まれる成分の加水分解物を意味する。卵殻膜は鳥類(特には鶏)の卵殻の内側にある繊維質の薄膜であり、外卵殻膜及び内卵殻膜の二層の網目状構造からなる。卵殻膜の水分を除く主成分はタンパク質であるが、その他にも脂質や糖質等を含む。なお、卵殻膜のタンパク質は約20種類のアミノ酸で構成され、特にシスチンを多く含む。卵殻膜はさらにコラーゲンとヒアルロン酸を含むという特徴がある。本発明に係る卵殻膜加水分解物は、主成分であるタンパク質の加水分解物のみならず、タンパク質以外の成分の加水分解物も含む場合がある。また、卵殻から卵殻膜を分離する際に卵殻由来のカルシウム成分を含むことがある。
本明細書において「卵白加水分解物」は、卵白に含まれる成分の加水分解物を意味する。卵白は鳥類(特には鶏)の卵黄膜と卵殻膜の間にあるゾル状の物質であり、水分を除く主成分はタンパク質であるが、その他にも脂質や糖質等を含む。なお、卵白のタンパク質の主成分はアルブミンであり、上記卵殻膜タンパク質とは異なる。本発明に係る卵白加水分解物は、主成分であるタンパク質の加水分解物のみならず、タンパク質以外の成分の加水分解物も含む場合がある。
本明細書において「卵黄加水分解物」は、卵黄に含まれる成分の加水分解物を意味する。卵黄は鳥類(特には鶏)の卵白に内包された卵細胞に貯蔵される栄養物質である。卵黄は脂質(中性脂質、リン脂質及びコレステロール)を主性分とし、その他にもタンパク質や糖質等を含む。本発明に係る卵黄加水分解物は、主成分である脂質の加水分解物のみならず、タンパク質以外の成分の加水分解物も含む場合がある。
加水分解処理に供される卵殻膜、卵白、卵黄の形態は、特に限定されず、例えば、乾燥状態や湿潤状態のものを使用できる
本発明の植物活性化剤は、卵由来加水分解物を有効成分として含有する。本発明に係る卵由来加水分解物は、対象となる植物が吸収できる程度に卵由来成分が加水分解されて入ればよくその分子量には制限はないが、水に可溶化するものが好ましい。なお、本明細書において、「水に可溶化する」とは、卵由来加水分解物が溶解している状態だけでなく、自然沈降せずに分散している状態を含むものとする。
本発明の植物活性化剤は、有効成分として、卵由来加水分解物として、卵殻膜加水分解物、卵白加水分解物及び卵黄加水分解物を任意の割合で含有することができ、施用対象となる植物の種類等の条件に応じて適宜選択することができる。
卵由来加水分解物は、様々な分子量の成分を含んでいてもよいが、用途に応じて、所望の分子量分布に調整してもよい。例えば、非水溶性の卵由来加水分解物を得たのちに、さらなる加水分解によって低分子化して水に可溶化したり、遠心分離や分離膜等を使用して所望の分子量のものを回収したりして使用してもよい。
また、卵由来加水分解物は、重量平均分子量の上限及び下限は、使用目的に応じた安全面等を考慮して、適宜決定すればよい。なお、重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーで得られる分子量分布から求めることができる。
本発明の植物活性化剤には、卵由来加水分解物として、卵殻膜加水分解物を含有することが好ましい。卵殻膜のタンパク質は、上述の通り、約20種類のアミノ酸で構成され、特にシスチンを多く含み、その加水分解物は優れた植物活性化作用を有する。また、卵殻膜加水分解物は化粧品等の原料としても使用される成分であるため、本発明の植物活性化剤が皮膚に付着した場合に皮膚を保護する作用が期待される。
このような卵殻膜加水分解物に由来する作用を得るためには、卵殻膜加水分解物の割合は、卵由来加水分解物100重量%としたときに、10重量%以上であり、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは50重量%以上であり、さらに好ましくは80重量%以上である。また、卵由来加水分解物が卵殻膜加水分解物のみ(100重量%)であってもよい。
一方、卵殻膜加水分解物の割合が多くなりすぎると流動性が低下する場合がある。そのため、流動性を高める点では、卵由来加水分解物は、卵殻膜加水分解物と卵白加水分解物の混合物であることが好ましい。その配合割合は、卵殻膜加水分解物と卵白加水分解物の合計を100重量%としたときに、卵白加水分解物が10重量%~50重量%である。
本発明の植物活性化剤は、通常、液状組成物(卵由来加水分解物が可溶化した状態)として施用されるが、溶媒を留去させて固体組成物として施用することもできる。固体組成物の場合は、卵由来加水分解物を乾燥させて粉末や顆粒などの形状として施用することができる。
なお、本明細書において、「液状」とは、常温(10~25℃、以下同様)において、組成物が固化しておらず、流動性のある状態を意味する。
本発明の植物活性化剤が液状組成物である場合、卵由来加水分解物は、溶媒に溶解又は分散されている。また、凝集や沈殿の発生した場合でもこれを再度撹拌することにより、本発明の植物活性化剤を液状組成物として施用することができる。
溶媒としては、通常、水のみが用いられるが、卵由来加水分解物の溶解や分散を阻害せず、施用対象となる植物に悪影響を及ぼさない範囲で水に相溶性の溶媒であれば、水に混合して用いることもできる。溶媒における水の割合は、80重量%以上(100重量%含む)である。水以外の溶媒としては、エタノールなど低級アルコールが挙げられる。
また、卵由来加水分解物の溶解や分散を阻害せず、施用対象となる植物に悪影響を及ぼさないものであれば、本発明の植物活性化剤は、溶媒以外にも任意の成分を含んでいてもよい。このような成分として、例えば、公知の分散剤、pH調整剤等が挙げられる。
本発明の植物活性化剤における卵由来加水分解物の含有割合は、施用対象となる植物の種類等の条件に応じて適宜決定される。液状とした場合は、卵由来加水分解物は植物活性化剤に対して、例えば、0.01重量%以上30重量%以下である。なお、濃度は対象植物の種類や施用方法に応じて適宜変更可能である。
本発明の植物活性化剤が卵由来加水分解物を高濃度で含有する場合には、溶媒(通常、水)で希釈して使用してもよい。また、卵由来加水分解物が固形物(乾燥物)の場合には、使用直前に溶媒に添加して溶解・分散させて液状組成物として使用することもできる。
本発明の植物活性化剤の形態は、固体状、粉末状、粒状、液状などが挙げられ、用途に応じて適宜選択すればよい。
例えば、散布のしやすさからは、液状の植物活性化剤が好適に使用される。液状の植物活性化剤の場合、固形分(卵由来加水分解物)の濃度は、散布がスムーズに行われる粘度であればよい。
本発明に係る卵由来加水分解物は、原料である卵殻膜、卵白、卵黄を、酸、アルカリ、酵素等によって加水分解することによって得ることができる。また、卵殻膜、卵白及び卵黄を同一の加水分解方法で処理してもよいし、異なる加水分解方法で処理してもよい。
この中でも、卵由来加水分解物が、酵素を利用した酵素法由来の加水分解物であることが好ましい。
酵素法では、アルカリ性プロテアーゼ、酸性プロテアーゼのいずれも使用することができる。アルカリ性プロテアーゼは、アルカリ性条件下で、卵由来タンパク質を可溶化できる程度に加水分解できるものであればよい。アルカリ性プロテアーゼは市販品を用いることができ、例えば、ナガセケムテックス株式会社のビオプラーゼシリーズ等が挙げられる。
酸性プロテアーゼとしては、酸性条件下で、卵由来タンパク質を可溶化できる程度に加水分解できるものであればよい。酸性プロテアーゼとしては麹由来の酸性プロテアーゼが好適な一例である。なお、麹由来のプロテアーゼには、酸性プロテアーゼ以外にアルカリ性プロテアーゼも存在するがこれを利用することもできる。
また、麹からプロテアーゼを分離させずに、麹そのものを酵素含有物として利用することもできる。麹は、麹菌を米、麦、大豆等の穀物、その他食品素材に接種して発育させたものである。本発明においては、卵由来タンパク質を分解する酵素を生成する限り、使用する麹菌の種類は特に制限はなく、Aspergillus属、Mucor属、Rhizopus属、Penicillium属、Monascus属、Absidia属に属する菌が挙げられる。好ましい麹菌の具体例としては、Aspergillus awamori、Aspergillus saitoi、Aspergillus saitoi ver kagoshimaensis、Aspergillus usami、Aspergillus ojae、Aspergillus oryzae、Aspergillus awamori ver kawachii等が挙げられる。
麹の中でも、有機酸を含有する麹が好ましい。麹が含有する有機酸の種類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸等が挙げられる。麹が有機酸を含有することにより、雑菌の発生数が抑えられると共に、対象植物への栄養分となりうる。
卵由来加水分解物の製造において、原料となる卵殻膜、卵白及び卵黄の割合は任意であり、本発明の植物活性化剤の目的(施用対象となる植物等)に応じて適宜選択することができる。
本発明の植物活性化剤は、これらの製剤をそのまま、あるいは希釈して土壌施用、水面施用または育苗箱施用等により施用することができる。本発明の植物活性化剤の施用量は、含有される卵由来加水分解物の性状(加水分解物の分子量、アミノ酸割合、原料となる卵殻膜、卵白、卵黄の割合等)、環境条件、施用する剤型などによって変動するため、対象植物に応じて適宜変更される。
さらに、本発明の植物活性化剤は、その目的を阻害しない範囲で、必要に応じて殺虫剤、殺菌剤、除草剤、他の植物活性化剤、生長促進剤等の任意の成分と混合してもよい。また、本発明の植物活性化剤は、窒素、リン、カリウムやその他の無機成分として、例えば、カルシウム、硫黄、マグネシウム、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、塩素、を含んでいてもよい。なお、本発明の植物活性化剤が無機成分(窒素、リン、カリウム等)を含む場合には、本発明の植物活性化剤が含有する無機成分を、後述する本発明の肥料組成物の肥料成分の一部にすることもできる。
また、上述の通り、本発明の植物活性化剤の有効成分は、卵殻膜、卵白及び卵黄を原料とした卵由来加水分解物であるが、これら以外の卵由来成分(卵殻やカラザ等)を含んでいてもよい。例えば、本発明の植物活性化剤は、粉砕化した卵殻粉末を含んでいてもよいし、卵殻を、酸(例えば酢酸)で溶解した卵殻由来のカルシウム成分を含んでいてもよい。さらに、本発明の目的を損なわない限り、卵由来成分以外の成分として、魚や肉等から得られる動物由来タンパク質などの有機物を含んでいてもよい。これらの卵由来成分以外の有機物は必要に応じて加水分解処理を行い、加水分解物として使用してもよい。
本発明の植物活性化剤は、他の成分を加えて任意の組成物(典型的には肥料組成物)としても使用でき、これを含む培土としても使用することができる。さらに、植物の種子と、本発明の植物活性化剤を含む肥料組成物及び/又は本発明の植物活性化剤を含む培土とを含む植物栽培キットとして使用することもできる。
(2.肥料組成物)
本発明の肥料組成物は、上記本発明の植物活性化剤及び肥料成分を含有する組成物であり、本発明の植物活性化剤に起因した植物活性化作用と、肥料成分による作用を有する。
本明細書において、「肥料成分」とは、肥料取締法における「肥料」と同義であり、これを対象植物に吸収させることによって「植物の栄養に供すること」または「植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施されるもの」及び「植物の栄養に供することを目的として植物に施されるもの」を意味する。
肥料成分は植物を構成する成分を含み、その成分が栄養となって植物を生長させるものであり、植物の持つ生理的機能を高め、それによって植物が生育するようなものは肥料成分とはいわない。
肥料組成物中の植物活性化剤(卵由来加水分解物換算)の割合は、本発明の目的を損なわない限り任意であり、対象植物の種類や施用方法に応じて適宜設定されるが、肥料組成物100重量%(液状の場合は、固形物換算)としたときに、通常、5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、より好ましくは、30重量%以上である。
植物活性化剤(卵由来加水分解物換算)の上限は本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、肥料組成物100重量%としたときに、例えば、70重量%以下であり、50重量%以下である。
肥料成分として、典型的には肥料の三要素と呼ばれる窒素、リン、カリウムが挙げられる。これらは肥料の三要素の配合割合は、対象植物の種類や栽培目的により使い分けることができる。一般的に、窒素は、「葉肥」ともいわれ、植物の生長を促進し、葉色を濃くし、リンは、「実肥」ともいわれ、開花や結実を促進し、カリウムは、「根肥」ともいわれ、根の発達を促進することが知られている。なお、以下、窒素、リン及びカリウムを総称して「NPK肥料成分」と称す場合がある。
肥料組成物中のNPK肥料成分の割合は、本発明の目的を損なわない限り任意であり、対象植物の種類や施用方法に応じて適宜設定されるが、肥料組成物100重量%(液状の場合は、固形物換算)としたときに、通常、5重量%以上であり、10重量%以上であり、30重量%以上である。NPK肥料成分の上限は本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、肥料組成物100重量%としたときに、例えば、90重量%以下であり、70重量%以下であり、50重量%以下である。
NPK肥料成分における窒素、リン及びカリウムの割合は、対象となる植物の種類に応じて適宜選択される。典型的には、窒素の濃度は0重量%以上30重量%以下であり、リンの濃度は0重量%以上30重量%以下であり、カリウムの濃度は0重量%以上30重量%以下である(但し、窒素、リン及びカリウムがすべて0重量%である場合は除く。)。
なお、後述する実施例にて、N―P―K=7-7-7が例示されるが、肥料組成物において、N-P-K=7-7-7とは、肥料中の窒素(N)、リン(P)、カリウム(KO)換算の成分割合がそれぞれ7重量%、7重量%、7重量%であることを示す。
また、NPK肥料成分における窒素、リン及びカリウムの態様は特に限定はないが、典型的には硝酸カルシウム、リン酸、硝酸アンモニウム、リン酸一アンモニウム、リン酸一カリウム、水酸化カリウム、尿素、リン酸二水素カリウム、硝酸マグネシウム、塩化カリウムなどの成分を用いて調整される。
本発明の肥料組成物は、NPK肥料成分以外のその他の肥料成分を任意に加えることができる。その他の肥料成分として、例えば、カルシウム、硫黄、マグネシウム、鉄、マンガン、ホウ素、亜鉛、銅、塩素、などが挙げられる。
本発明の肥料組成物の形態は、特に限定されず、固体組成物、及び、液状組成物のいずれでもよいが、液状組成物であれば、溶媒と共に土壌内部へ浸透させることができるので、土壌改善用として好ましい。なお、本発明における「液状組成物」とは上述の通りである。
(3.植物生育方法)
本発明の植物生育方法は、対象植物に本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を吸収させる方法であり、植物活性化剤又は本発明の肥料組成物が含有する卵由来加水分解物の有効量を吸収させることによって対象植物に植物活性化作用(植物生長促進作用及び病害抵抗作用)を発現させる。
なお、本発明の植物生育方法における「有効量」は、本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を、対象植物に施用した際に、植物生長促進作用及び病害抵抗作用の少なくとも一つの作用のいずれか(好ましくは両方の作用)が発現する量を意味する。
本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を対象植物に吸収させる方法としては、特に制限はなくその方法や態様については限定されない。本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物が液状組成物の場合には、例えば、葉面に散布する方法、土壌に散布する方法、液状物中に根を浸漬する方法、還流状態の液状物に根を常に接触させる方法などが挙げられ、葉面に散布する方法が好ましい。また、本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物が固体組成物の場合には、粉剤、粒剤等の固形状のまま、土壌に散布する方法が挙げられる。
本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を対象植物の葉面に散布すると、葉に直接、栄養分を吸収させることができるため、栄養吸収に即効性がある。また、根や株元が弱っている状態でも葉から栄養補給を行うことができ、植物の生長促進などに非常に有用である。
本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物の施用量、施用濃度としては、植物活性化剤中の有効成分である卵由来加水分解物における卵殻膜、卵白、卵黄のそれぞれの加水分解物の割合、卵由来加水分解物の濃度、製剤の形態、対象植物の種類や生育状態、施用間隔、施用回数等に応じて適宜調節することができる。
例えば、本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を粉末等の固体組成物として施用する場合は、栽培培土にそのまま撒いても良く、必要に応じて事前に栽培培土に混和してもよい。なお、本明細書における栽培培土は、種子が発芽でき、植物が生育できる基盤となるものであればよく、土や砂だけではなく、脱脂綿、スポンジ等も含まれるものとする。
培土に播種する場合には、播種する前に予め培土と混和しておいてもよいし、播種の後に本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を混和してもまいてもよい。発芽後の植物に施用する場合も同様に、当該植物体を植える前に本発明の植物活性化剤を培土と混和しておいてもよいし、植えた後に本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物を散布してもよい。散布する方法として、例えば、霧吹き、スプリンクラー、農薬等散布用噴霧器などの器具を用いることができる。
本発明において施用対象となる植物の種類は特に限定されないが、例えばキュウリ、メロン、カボチャ、スイカ等のウリ科、ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ等のナス科、エンドウ、インゲン等のマメ科、タマネギ、ネギ等のユリ科、ダイコン、カブ、ハクサイ、カンラン、ハナヤサイ、ブロッコリー、小松菜や青梗菜等のアブラナ科、ニンジン、セルリー等のセリ科、ゴボウ、レタス、サンチュ、シュンギク等のキク科、アズキ、大豆、エンドウ等のマメ科の野菜類や、ソバ等のタデ科、米、小麦、大麦等のイネ科の穀物類、リンゴやナシ、サクランボ、モモなどのバラ科、キウイフルーツなどのツバキ科、ブドウなどのブドウ科の果実類の植物が挙げられる。
以上、本発明について述べたが、今回開示された内容は制限的なものではない。特に今回の開示において、明示的に開示されていない事項は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能である。
例えば、本発明の植物活性化剤又は本発明の肥料組成物の変形例として、有効成分である卵由来加水分解物の原料として、鳥類以外の卵を原料の一部又は全部に使用することもできる。鳥類以外の卵として、爬虫類(例えば、カメ)の卵、魚類の卵などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、pHはpHメータ(堀場製作所製、D―51)で測定した値である。
卵殻膜粉末は、以下の手順で得た。
食品工場から廃棄された、鶏卵由来の乾燥済みの卵殻と卵殻に付着した卵殻膜(それぞれ鶏卵由来)を、比重分離装置にて卵殻と卵殻膜を分離した後、得られた卵殻膜を粉砕して卵殻膜粉末(粒径20~100μm)を得た。
乾燥卵白粉末(鶏卵由来)は、卵白加工品として販売されているキューピータマゴ株式会社製乾燥卵白Wタイプを使用した。
(卵由来加水分解物の製造1)
水2000gに卵殻膜粉末250g及び乾燥卵白粉末250gを添加して、よく混合し、55℃保温下にて完全に分散させた。次いで、25重量%水酸化ナトリウムを添加してpH11.2に調整後、プロテアーゼ(ビオプラーゼOP、ナガセケムテックス株式会社)5gを添加し、55℃で攪拌しながら2時間反応させた。次いで、25重量%水酸化ナトリウムを再度添加してpH10.8に調整後、プロテアーゼ5gを添加し、18時間反応させた。
反応後、酢酸110gを添加してpH4.7に調整し、85℃に加温して酵素を失活させた。次いで、反応液を遠心分離して卵由来加水分解物を含有する植物活性化剤の溶液(原液)を得た。
得られた植物活性化剤の溶液(原液)のpH、蒸発残分、全窒素、タンパク質及びアンモニア態窒素を表1に示す。
表1において、蒸発残分は、赤外線水分計(メトラー・トレド製MJ33、蒸発温度135℃)で求めた。また、全窒素は、住化分析センター製スミグラフNC-Trinityを用いて燃焼法(改良デュマ法)にて定量した。タンパク質含量は、全窒素に6.25を乗じて表した。アンモニア態窒素は、AccQ-Tag誘導体化試薬(Waters製)を用いてアンモニウムイオンを誘導体化したのち、高速液体クロマトグラフを用いて定量した。
Figure 0007182228000001


試験例1(きゅうり)
<実施例1>
上記(卵由来加水分解物の製造1)の方法で得られた植物活性化剤の溶液(原液)に加水し、300倍に希釈して、実施例1の植物活性化剤とした。
きゅうり苗(品種:夏すずみ)を所定の容器(容量6L、横274mm×高さ196mm)に入れ(植え替え)、市販の培土(株式会社グリーン産業製、商品名「花と野菜の土」)6kgと鉢底石1.2Lを投入した。また肥料成分が流れ出ないよう、鉢受皿(鉢皿F型8号(鉢受け皿)横240mm×高さ39mm)を設置した。
きゅうり苗の植え替えから3日後より、午前に水1L、午後に実施例1の植物活性化剤50mL及び水1Lを与え、きゅうりの生育を観察した(24日間)。図1に生育試験開始1日目(投与前)、図2に生育試験開始10日目の写真を示す。また、表2に生育試験開始24日目に得られた果実の個数を示す。
<比較例1>
実施例1の植物活性化剤を施用せず、これに代えて、市販の培土(株式会社グリーン産業製、商品名「花と野菜の土」)に卵殻膜粉末及び乾燥卵白粉末(各70g)を混合した以外は実施例1と同様の条件にてきゅうりの生育を観察した(24日間)。図1に生育試験開始1日目(投与前)、図2に生育試験開始10日目の写真を示す。また、表2に生育試験開始24日目に得られた果実の個数を示す。
<参考例(対照)>
実施例1の植物活性化剤を施用せず、水のみを施用した以外は実施例1と同様にしてきゅうりの条件にて生育を観察した(24日間)。図1に生育試験開始1日目(投与前)、図2に生育試験開始10日目の写真を示す。また、表2に生育試験開始24日目に得られた果実の個数を示す。
Figure 0007182228000002


試験例1において、当該植物活性化剤を投与した7日後より、草丈に差分が表れ始めた。10日後にはきゅうりの先端の成長点、主枝において実施例1が好調に生育し、葉色も比較例1に比べ鮮やかな緑色となった。
試験例2(小松菜)
<実施例2>
原料として乾燥卵白粉末を使用せず、卵殻膜粉末のみを使用した以外は上記(卵由来加水分解物の製造1)と同様の方法で実施例2の卵殻膜加水分解物を含有する植物活性化剤の溶液(原液)を得た。これに加水し300倍に希釈して、実施例2の植物活性化剤とした。
小松菜の種子を市販の培土と共に所定の容器に入れ、発芽後(1週間後)から3日に1回50mLの実施例2の植物活性化剤及び水を与え、小松菜の生育を観察した(30日間)。また、対照として植物活性化剤を与えず、水のみを与えた小松菜についても同期間観察を行った。
図3に実施例2の植物活性化剤を与えた小松菜の生育試験開始30日目の写真を示す。実施例2の植物活性化剤を与えた小松菜は、水のみを与えた小松菜と比較して色が鮮やかな緑色であり、葉の数も多いことが認められた。
(卵由来加水分解物の製造2)
水2000gに卵殻膜粉末500gを添加して、よく混合し、55℃保温下にて完全に分散させた。次いで、48重量%水酸化カリウムを添加してpH11.2に調整後、プロテアーゼ(ビオプラーゼOP、ナガセケムテックス株式会社)5gを添加し、55℃で攪拌しながら2時間反応させた。次いで、48重量%水酸化カリウムを再度添加してpH10.8に調整後、プロテアーゼ5gを添加し、18時間反応させた。
反応後、リン酸を添加してpH5.0~5.4に調整し、85℃に加温して酵素を失活させた。次いで、反応液を遠心分離して卵由来加水分解物を含有する植物活性化剤の溶液(原液)を得た。
上記(卵由来加水分解物の製造2)で得られた、卵殻膜加水分解物を含有する植物活性化剤の溶液(原液)とNPK肥料成分(液体)であるN-P-K=7-7-7(以下、「NPK配合肥料」と記載する。)を用いて、液状の肥料組成物(試料1~5)を調整した。試料1~5を用いて、野菜の生育、新鮮物収穫量、葉先枯れ障害について検討を行った。なお、参考例として「ハイポネックス原液」(株式会社ハイポネックスジャパン製)(以下、「液体肥料1」と称する。)を用いた。
表3に示す配合割合、希釈倍率に従い、肥料組成物を製造した。
試料1(比較例)は、NPK配合肥料の溶液を用い、肥料組成物(原液)に加水し、500倍希釈した。
試料2、3及び4(実施例)は、NPK配合肥料の溶液に、表3の配合割合に従い、植物活性化剤(実施例3)を添加し、肥料組成物(原液)を得た。得られた肥料組成物(原液)に加水し、500倍希釈した。
試料5(参考例)は、液体肥料1(ハイポネックス原液)に加水し、500倍希釈した。
Figure 0007182228000003


試験例3(生育調査)
カブ(品種:絹はだ、会社名:株式会社ウタネ)、青梗菜(品種:武帝、会社名:株式会社サカタのタネ)、サンチュ(品種:チマサンチュ、会社名:タキイ種苗株式会社)の種蒔を実施し、区画ごとに栽培を開始した。1区画の大きさは、縦120cm×横180cmである。栽培野菜は、淀川砂を用いて栽培した。試料1から5の散布は、種蒔当日から、毎日実施した。種蒔1日目から27日目までの27日間は、1日4回散布した。1回に散布する試料の量は1区画当たり1890mLとした。なお、散布方法は葉面散布とした。栽培開始から14日目と27日目の生育調査を実施した。
生育調査比較の結果は、27日目の測定結果と14日目の測定結果の差を算出することで示した。
生育調査の項目は、葉長(cm)、草丈(cm)、葉幅(cm)の3項目とした。
「葉長」:株元から葉先までの長さ
「草丈」:栽培野菜の地上部の高さ
「葉幅」:葉身が最も広くなる箇所の長さ
図4に各栽培野菜の生育調査のグラフを示す。
図4(a)に示す通り、カブの生育は、卵殻膜加水分解物を添加した試料2、3及び4と試料1(卵殻膜加水分解物未添加)を比較すると、葉長、葉幅についてはわずかに増加傾向を示していたが、草丈については顕著な増加が認められた。
図4(b)に示す通り、青梗菜の生育は、卵殻膜加水分解物を添加した試料2、3及び4と試料1(卵殻膜加水分解物未添加)を比較すると、葉長、草丈、葉幅ともに、増加傾向が認められた。
図4(c)に示す通り、サンチュの生育は、卵殻膜加水分解物を添加した試料2、3及び4と試料1(卵殻膜加水分解物未添加)を比較すると、草丈、葉幅は同等であったが、葉長については増加傾向が認められた。
以上のように、栽培野菜により、各項目の生育状況は異なるものの、いずれの栽培野菜においても試料2,3及び4を散布した区画の方が、卵殻膜加水分解物を添加していない試料1を散布した区画と比較してより好調に生育し、生育増加の傾向が認められた。
試験例4(新鮮物収穫量)
カブ(品種:絹はだ、会社名:株式会社ウタネ)、青梗菜(品種:武帝、会社名:株式会社サカタのタネ)については、種蒔28日目から35日目までの8日間、肥料組成物(試料1~5)を1日6回散布した以外は上記(試験例3)と同じ方法で栽培し、種蒔から35日目の収穫時における新鮮物重量を測定した。測定結果を「新鮮物収穫量」として算出した。
なお、「新鮮物収穫量」とは、収穫した栽培野菜の重量のことを意味する。カブは地下部と地上部(葉)の総重量を測定したもの、青梗菜は地下部(根)を取り除いた地上部のみの重量を測定したものを「新鮮物収穫量」とした。
図5に各栽培野菜の新鮮物収穫量のグラフを示す。卵殻膜加水分解物を添加した試料2、3及び4を散布したカブ及び青梗菜は、卵殻膜加水分解物を添加していない試料1を散布したカブ及び青梗菜と比較して、新鮮物収穫量が多いことが認められた。
試験例5(葉先枯れ障害)
上記(試験例4)と同様の方法で栽培し、試料1、4及び5を散布した青梗菜(品種:武帝、会社名:株式会社サカタのタネ)、サンチュ(品種:チマサンチュ、会社名:タキイ種苗株式会社)は、種蒔から35日目での収穫時における葉の先枯れ障害について調査を行った。葉の先枯れは外葉と成長点付近の葉を目視で確認し、先枯れ障害の有無を調べ、先枯れ障害の発生率を算出した。
図6に葉先枯れ障害の発生率についてのグラフを示す。青梗菜の葉の先枯れ障害の発生率は試料1、4ともに0%と良好な結果であった。サンチュの葉の先枯れ障害の発生率は、試料1と比較して試料4の方が葉先枯れ障害の発生率が低い傾向を示した。
以上のことにより、卵殻膜加水分解物を添加することで葉先枯れ障害の発生率が抑えられることが認められた。
試験例6(小松菜の生育観察)
上記(卵由来加水分解物の製造2)で得られた、卵殻膜加水分解物を含有する植物活性化剤の溶液(原液)とNPK配合肥料の溶液を用いて、試料6(実施例)を調整した。
試料6は、NPK配合肥料の溶液に、植物活性化剤の溶液を5重量%添加し、肥料組成物(原液)を得た。得られた肥料組成物(原液)に加水し、500倍希釈した。
小松菜(品種:みすぎ小松菜)の種蒔を実施し、市販の培土(商品名「花ちゃん培養土」)を用いて、ミニプランターにて栽培を開始した。実施例として試料3及び6、参考例として試料5を散布した。散布は、種蒔から35日間毎週1回実施した。なお、散布方法は葉面散布とした。
種蒔から35日後の小松菜の生育を目視にて行った。
卵殻膜加水分解物を含有する試料3及び6を散布した小松菜の生育観察の結果、葉色は鮮やかな緑色であり、葉の数も多いことが認められた。
試験例7(流動性の評価)
以下の方法で、卵殻膜加水分解物又は卵由来加水分解物を含有する植物活性化剤A、B及びCの製造を行った。得られた植物活性化剤(原液)を用いて、溶液の流動性を確認した。
<植物活性化剤A>
卵由来加水分解物の製造2において、水1200gに卵殻膜粉末300gを添加して、プロテアーゼ3gずつを添加した以外は同様の製造方法で植物活性化剤A(原液)を得た。なお、卵殻膜粉末及び卵白粉末の合計に対する卵白粉末の割合は、0重量%である。
<植物活性化剤B>
植物活性化剤Aにおいて、卵殻膜粉末225g及び乾燥卵白粉末75gを混合した以外は、同様の製造方法で植物活性化剤B(原液)を得た。なお、卵殻膜粉末及び卵白粉末の合計に対する卵白粉末の割合は、25重量%である。
<植物活性化剤C>
植物活性化剤Aにおいて、卵殻膜粉末150g及び乾燥卵白粉末150gを混合した以外は、同様の製造方法で植物活性化剤C(原液)を得た。なお、卵殻膜粉末及び卵白粉末の合計に対する卵白粉末の割合は、50重量%である。
得られた植物活性化剤(原液)の流動性を目視にて調査した結果、卵殻膜粉末のみを含む卵殻加水分解物を含有した植物活性化剤Aに比べると、卵殻膜粉末及び卵白粉末を含む卵由来加水分解物を含有した植物活性化剤B及びCの方が、粘性が少なく、流動性が高いことが認められた。流動性の高さは卵白粉末の含有割合に比例していた。
流動性が高くなることで、製造しやすくなり、また、原液を水などの溶媒で希釈しやすくなる。製造時もしくは希釈時の操作性が向上した。

Claims (8)

  1. 酵素としてアルカリ性プロテアーゼを使用した酵素法由来の卵殻膜加水分解物を有効成分として含有することを特徴とする植物活性化剤。
  2. 前記卵殻膜加水分解物及び卵白加水分解物を含有する請求項1に記載の植物活性化剤。
  3. 液状である請求項1または2に記載の植物活性化剤。
  4. 対象植物に請求項1からのいずれかに記載の植物活性化剤を吸収させることを特徴とする植物生育方法。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の植物活性化剤及び肥料成分を含有することを特徴とする肥料組成物。
  6. 液状である請求項に記載の肥料組成物。
  7. 対象植物に請求項またはに記載の肥料組成物を吸収させることを特徴とする植物生育方法。
  8. 酵素としてアルカリ性プロテアーゼを使用した酵素法由来の卵殻膜加水分解物を有効成分として含有する植物活性化剤の製造方法であって、
    卵殻膜粉末を酵素としてアルカリ性プロテアーゼを使用した酵素法にて加水分解させた後に、前記酵素を失活させて卵殻膜加水分解物を得る工程を有する製造方法。
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