JP2018177713A - 卵殻膜加水分解物 - Google Patents

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亮治 田中
寛子 湯川
Hiroko Yukawa
寛子 湯川
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亮 笹原
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Abstract

【課題】システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物を提供する。
【解決手段】システイン含量が5.0%以上15.0%以下であり、分子量分布において、分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、分子量10,000以上の割合が0%以上5%以下である、卵殻膜加水分解物。前記卵殻膜加水分解物において、アラニン1部に対するシステインの割合が、1.0部以上10.0部以下であってよい。前記卵殻膜加水分解物は食品組成物として用いられてよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物に関する。
卵殻膜は、鶏卵において卵黄や卵白などの内容物を包み、卵殻と共に物理的に外界から隔離し、有害な紫外線や酸素、乾燥から鶏卵を守っている。また、病原菌やウイルスなどの外来生物の感染から防御する重要な働きを持っている。
また、卵殻膜には抗菌物質、リゾチームやβ−N−アセチルグルコサミニターゼなどの抗菌酵素が含まれている。さらに卵殻膜には、その他特殊なタンパク質が含まれているといわれており、その機能性に注目が集まっている。
実際、卵殻膜の活用例として、コラーゲン人工膜(特許文献1:特開1993−253285号公報)、飲料(特許文献2:特許第5184257号)、浴用剤(特許文献3:特開1992‐036232号公報)などが報告されている。しかしながら、卵殻膜は水に不溶のため、活用用途が限られている。
そこで、卵殻膜を可溶化する方法として、これまでアルカリを用いた化学処理法が報告されている(特許文献4:特許第5179847号)。しかしながら、アルカリを用いた化学処理法では、加水分解反応中に卵殻膜中のシステインが分解され、硫化水素として揮発してしまうため、得られた卵殻膜加水分解物のシステイン含量が大きく低減してしまっていた。
また、分子量分布を分析すると、高分子量のタンパク質が多いために、経口摂取したり皮膚に塗布しても吸収性が十分でない、という課題があった。
そこで、上記課題を解決する方法として、還元剤の存在下で、タンパク質分解酵素を作用させる方法が報告されている(特許文献5:特開2016−152816号公報)。しかしながら、特に食品に用いる場合、使用可能な還元剤が少なく、用途が限られることや、還元剤によって卵殻膜タンパク質中のジスルフィド結合を開裂させて加水分解反応を促進させることから、得られる卵殻膜加水分解物のシステイン含量が少ない恐れがあり、上記課題を完全に解決することはできなかった。
特開1993−253285号公報 特許第5184257号 特開1992‐036232号公報 特許第5179847号 特開2016−152816号公報
そこで、本発明の目的は、システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物を提供するものである。
本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アルカリ領域に至適pHを有するタンパク質分解酵素を作用させたのち、pH5〜7に調整した上で酵素失活させたところ、意外にも
システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)システイン含量が5.0%以上15.0%以下であり、
分子量分布において、
分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、
分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、
分子量10,000以上の割合が0%以上5%以下である、
卵殻膜加水分解物、
(2)(1)の卵殻膜加水分解物において、
アラニン1部に対するシステインの割合が、1.0部以上10.0部以下である、
卵殻膜加水分解物、
(3)(1)又は(2)の卵殻膜加水分解物において、
前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の660nmの透過率が90%以上100%以下である、
卵殻膜加水分解物、
(4)(3)の卵殻膜加水分解物において、
前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液10mLを60℃で1時間加熱した時の660nmの透過率が90%以上100%以下である、
卵殻膜加水分解物、
(5)(1)ないし(4)の卵殻膜加水分解物と
デキストリンを含む、
食品組成物、
である。
本発明によれば、システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物を提供できる。
図1は、本発明の卵殻膜加水分解物のシステイン含量を表したグラフである。 図2は、本発明の卵殻膜加水分解物の分子量分布を示したものである。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
<本発明の特徴>
本発明は、システイン含量が多く、低分子量から高分子量まで幅広い分子量のペプチドを含む、卵殻膜加水分解物に特徴を有する。
具体的には、システイン含量が5.0%以上15.0%以下であり、
分子量分布において、
分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、
分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、
分子量10,000以上の割合が0%以上5%以下である、
卵殻膜加水分解物である。
<卵殻膜>
本発明において、卵殻膜とは、鳥類、特に鶏の卵の外殻の内側に存在する膜をいう。加水分解処理に供する卵殻膜の形態は、特に限定されず、例えば、乾燥状態や湿潤状態のものを使用できる。
<卵殻膜加水分解物>
本発明の卵殻膜加水分解物とは、少なくとも一部の卵殻膜が加水分解されているものをいう。加水分解する方法は、酵素を用いた生化学的処理や、酸・アルカリによる化学処理などが挙げられ、特に限定されるものではないが、システイン含量を高められ、かつ幅広い分子量の卵殻膜加水分解物を得られる点から、酵素を用いた生化学的処理を施すとよい。
<卵殻膜加水分解物のアミノ酸組成>
<システイン含量>
本発明の卵殻膜加水分解物は、システイン含量が5.0%以上15.0%以下であり、さらに6.0%以上12.0%以下であるとよい。
卵殻膜はシステインを多く含み、それに伴って美白効果(チロシナーゼ活性阻害効果)や抗酸化作用、創傷治癒効果が期待できる。
卵殻膜を加水分解することでシステインを含むタンパク質がペプチドやアミノ酸に分解されて吸収性が高まるため、経口摂取や皮膚に塗布することで前記効果がより一層期待できるが、これまでのアルカリ処理により得られた卵殻膜加水分解物はシステイン含量が低く、目的の効果は得られなかった。
しかしながら、本発明の卵殻膜加水分解物は、卵殻膜と同等のシステイン含量を維持することに成功した。
<アラニン含量>
本発明の卵殻膜加水分解物は、アラニン含量が1.0%以上3.0%以下であるとよい。システインが分解するとアラニンになることから、アラニンの含有量が少ない方がシステインの分解を防げていると推測できる。
<アラニンに対するシステインの割合>
本発明の卵殻膜加水分解物は、アラニン1部に対するシステインの割合が1.0部以上10.0部以下であるとよく、さらに2.0部以上7.0部以下であるとよい。
<アミノ酸の測定方法>
本発明において、アミノ酸組成は、一般的に用いられるアミノ酸自動分析法により算出した。
<分子量分布>
本発明の卵殻膜加水分解物は、分子量分布において、
分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、
分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、
分子量10,000以上の割合が0%以上5%以下である。
さらに、分子量3,000未満の割合が85%以上95%以下、
分子量3,000以上10,000未満の割合が3%以上12%以下、
分子量10,000以上の卵殻膜加水分解物が0%以上5%以下であるとよい。
これは、低分子量から高分子量のペプチドを含むことを意味しており、経口摂取や皮膚に塗布することで吸収性を向上させることが期待できる。
<分子量および分子量分布の算出方法>
本発明において、分子量分布は後述の段落[0050]に記載されたゲル濾過カラムクロマトグラフィー(HPLC)により分析した。
<水溶性>
本発明の卵殻膜加水分解物は、水溶性を示す。
水溶性とは、粉末状の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた清水をpH5.0に調整した時の660nmの透過率が70%以上100%以下であることをいう。
<b値>
本発明の卵殻膜加水分解物は、水溶液に溶解させたときに褐変が抑制された水溶液が得られやすいことから、粉末にした場合、色の色相を表すb値が10以上25以下であるとよい。
ここで、b値は、物質が有する色の色相(hue)を規定する値であり、b値が大きいほど黄味が強いことを示し、一方、b値が小さいほど青味が強いことを示す。b値は、JISZ8730によって規定される色差表示方法によって、Lab 系色度座標で表示されることができる。また、b値は、市販の色差計により測定することができる。本発明の卵殻膜加水分解物のb値は、例えば、色差計(商品名「COLORANDCOLORDIFFERENCEMETER MODEL1001DP」,日本電色工業株式会社製)に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上を敷き詰めて測定することができる。
<400nmの透過率(%)>
本発明の卵殻膜加水分解物は、水溶液に溶解させたときに褐変が抑制された水溶液が得られやすいことから、本発明の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の400nmの透過率が70%以上100%以下であるとよく、さらに80%以上95%以下であるとよい。ここで、400nmの透過率は水溶液の褐変の程度を示している。
<卵殻膜加水分解物のpH>
本発明の卵殻膜加水分解物は、水溶液に溶解させた場合に透明度の高い水溶液が得られやすいことから0.2%水溶液に調整した際のpHが6.0以上9.0であるとよい。
<灰分含量>
本発明の卵殻膜加水分解物は、灰分含量が5.0%以上20.0%以下であるとよい。
<炭水化物含量>
本発明の卵殻膜加水分解物は、加熱させた場合の褐変を抑制させやすいことから、炭水化物含量が0%以上55.0%以下であるとよい。本発明の卵殻膜加水分解物を食品用として使用する場合、炭水化物含量が30.0%以上55.0%以下であるとよく、化粧品用として使用する場合、0%以上2.0%以下であるとよい。
<灰分含量および炭水化物含量の測定方法>
本発明において、灰分含量および炭水化物含量の測定方法としては、栄養表示基準(平成15年4月24日厚生労働省告示第176号)に準拠する方法により算出したものである。
<デキストリン>
本発明の卵殻膜加水分解物は、さらにデキストリンを含むことで食品組成物として使用できる。
デキストリンを含むことで、粉末状にした場合、水に溶かした際にダマなどができにくく、溶解安定性を向上させることができる。
<デキストリン含量>
本発明の卵殻膜加水分解物を含む食品組成物において、卵殻膜加水分解物1部に対するデキストリンの割合は、固形分換算で0.1部以上2.0部以下であり、さらに0.5部以上1.5部以下であるとよい。
<pH安定性>
本発明の卵殻膜加水分解物は、pH安定性が高いことを特徴とする。
具体的には、本発明の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の660nmの透過率が90%以上100%以下であるとよい。
また、本発明の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH4.0に調整した時の660nmの透過率が60%以上80%以下であるとよい。なお、pH調整については、1mol/L塩酸および1mol/L水酸化ナトリウム溶液により適宜調整するとよい。
pH6.0よりpH4.0の透過率が低いことは、本発明の卵殻膜加水分解物が等電点pH4.0以下のペプチドを含むことを意味している。
<熱安定性>
本発明の卵殻膜加水分解物は、熱安定性が高いことを特徴とする。
具体的には、本発明の卵殻膜加水分解物が0.2%になるように溶解させた水溶液10mLを60℃で1時間加熱した時の660nmでの透過率が90%以上100%以下であるとよい。
また、前記水溶液10mLを80℃で1時間加熱した時の660nmでの透過率が70%以上85%以下であるとよい。
<香気成分>
本発明の卵殻膜加水分解物からは独特の発酵臭や酸味臭を感じさせる香気成分が検出できる。
具体的には、粉末状態の卵殻膜加水分解物では、酢酸、イソ酪酸、イソ吉草酸が検出できる。溶液状態では、二硫化炭素、イソ酪酸アルデヒド、イソ吉草酸アルデヒドが検出できる。
それに対して、未分解の卵殻膜では、腐敗臭を感じさせるジメチルスルフィドやジメチルトリスルフィドが検出される。
<検出方法>
固相マイクロ抽出(SPME)−ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)で分析した。

<固相マイクロ抽出条件>
固相−マイクロ抽出ファイバー:StableFlex 50/30μm、PDMS/Carboxen/DVB(Sigma Aldrich社製)
揮発性成分抽出装置:Combi PAL(CTC Analitics)
予備加熱:40℃、15min
撹拌速度:300rpm
揮発性成分抽出:40℃、20min
脱着時間:10min

<GC−MS条件>
GCオーブン:Agilent 6890N(Agilent Technologies)
カラム:SOLGEL−WAX;30m、0.25mm
GC温度条件:35℃(5min)→5℃/min→120℃→15℃/min→220℃(6min)
キャリアー:He、1.0 mL/min
インレット温度:250℃
質量分析計:Agilent 5973N(Agilent Technologies)
イオン化方式:EI(70eV)
<食品用途>
本発明の卵殻膜加水分解物は、独特の発酵臭や酸味臭を有するという特徴がある。したがって、食品用途に用いた場合、システイン含量が多いことと合わせて卵風味や乳風味の増強効果が期待できる。
<化粧品用途>
本発明の卵殻膜加水分解物は、pH安定性および熱安定性が高いという特徴がある。したがって、幅広い形態の化粧料に配合することができ、透明性の高い化粧料にすることができる。
<他の原料>
本発明の卵殻膜加水分解物には、一般的な食品原料および化粧品原料を本発明の効果が損なわれない範囲で適宜添加することができる。
食品原料としては、例えば、糖類、増粘剤、pH調整剤、抗酸化剤、香辛料等が挙げられる。化粧品原料としては、例えば、油性成分、界面活性剤、乳化剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、pH調整剤、美白剤等が挙げられる。
<卵殻膜加水分解物の製造方法>
本発明の卵殻膜加水分解物の製造方法は、酵素を用いて加水分解するとよい。具体的には、湿潤させた卵殻膜を清水に分散させて、アルカリ領域に至適pHを有するタンパク質分解酵素を作用させたのち、pH5〜7に調整した上で酵素失活させるとよい。
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、さらに説明する。なお、本発明はこれに限定するものではない。
[実施例1]
<酵素分解による卵殻膜加水分解物の調製>
タンク内で、清水750kgに湿潤状態の卵殻膜500kgを分散させて撹拌した。この卵殻膜分散溶液を60℃まで加温し、前記タンク内に粉末状のアルカリプロテアーゼを28800AU(アンソンユニット)添加し、水酸化ナトリウムでpH8.0〜9.0に保つように調整しながら、27時間加水分解反応を行った。
その後、塩酸でpH6.0まで戻し、さらに90℃で1分加熱処理により酵素を失活させて加水分解反応を停止した。得られた卵殻膜加水分解物を含む溶液(固形分10%)を冷却した後、デキストリンを添加・混合し、スプレードライにより粉末化し、実施例1の卵殻膜加水分解物を得た。
なお、卵殻膜加水分解物1部に対するデキストリンの割合は、固形分換算で1.0部であった。
得られた粉末状の卵殻膜加水分解物のb値は18.0であった。
前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように清水に溶かしたところ、pH7.0であった。
前記pH7.0の卵殻膜加水分解物水溶液をpH5.0に調整した時の660nmの透過率は98.2%であり、濁ることなく溶かすことができた。
ここで、1AUとは、フェノール試薬で1ミリ当量のチロシンと同じ色をもたらすトリクロロ酢酸可溶生成物の量が1分当たり遊離されるような初速度で、ヘモグロビンAを蒸解する酵素の量をいう。
[実施例2]
<酵素分解による卵殻膜加水分解物の調製>
実施例1において、加水分解反応を停止させた後、前記卵殻膜加水分解物を含む溶液(固形分10%)を冷却した。前記溶液を濾過した後、スプレードライにより粉末化し、実施例2の卵殻膜加水分解物を得た。
[比較例1]
<アルカリ処理による卵殻膜加水分解物の調製>
乾燥した卵殻膜2kgに、水酸化ナトリウム濃度1Nに調整したアルカリ性含水(エタノール濃度40%)40Lを加え、撹拌しながら、70℃で5時間加水分解処理を行った。得られた処理液を氷酢酸を用いてpH8.0に調整し、不溶物をフォルターにより除去した後、電気透析により脱塩して卵殻膜の加水分解溶液を得た。さらに、この溶液から溶媒であるエタノールと水を蒸発されて、比較例1の粉末状の卵殻膜加水分解物を得た。
[試験例1]
実施例1、2および比較例1で得られた卵殻膜加水分解物について、アミノ酸組成の分析を行った。結果を表1および図1に示す。
1.アミノ酸組成の分析
[表1]
表1および図1より、実施例1および2により得られた卵殻膜加水分解物は、システイン含量が5.0%以上15.0%以下であることが理解できる。
[試験例2]
実施例1および比較例1で得られた卵殻膜加水分解物について、分子量分布の分析を行った。結果を表2および図2に示す。
2.分子量分布
[表2]
分子量は、下記条件でHPLCにより分析した。

<HPLC条件>
HPLCシステム:Waters 2695 Separation Module
検出器:Waters 996 Photodiode Array Detecter
カラム:GE ヘルスケア社製 Superdex Peptide HR10/300GL(内径10 mm×長さ300 mm)
移動相:25 mM Tris−HCl Buffer(pH7.5),150mM NaCl
試料濃度:5%水溶液
試料注入量:50μL(試料として2.5 mg)
流速:0.5 mg/min
分析時間:60 min
カラム温度:20℃
測定波長:220nm,280nm
表2および図2より、実施例1で得られた卵殻膜加水分解物は、分子量分布において、分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、分子量10,000未満の割合が0%以上5%以下である、卵殻膜加水分解物であることが理解できる。
[試験例3]
実施例1および2で得られた卵殻膜加水分解物について五成分の分析を行った。結果を表3に示す。
3.五成分の分析
[表3]
表3より、実施例1および2の卵殻膜加水分解物は灰分含量が5.0%以上20.0%以下であることが理解できる。
また、実施例1の卵殻膜加水分解物は炭水化物含量が30.0%以上55.0%以下であり、実施例2の卵殻膜加水分化物は炭水化物含量が0以上2.0以下であることが理解できる。
[試験例4]
<pH安定性>
実施例2の卵殻膜加水分解物についてpH安定性を調べた。具体的には、前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように清水に溶解させた。溶解した卵殻膜加水分解物溶液を1mol/L塩酸および1mol/L水酸化ナトリウム溶液によりpH3.0〜10.0に調整し、30mLバイアル瓶に10mLずつ分注し、400nmおよび660nmの透過率(%)を測定した(株式会社島津製作所製:UV−2700)。ここで、660nmの透過率は水溶液の白濁の程度を観察しており、400nmの透過率は水溶液の褐変の程度を観察している。結果を表4に示す。
[表4]
表4より、実施例2の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の660nmの透過率が90%以上100%以下であることから、本発明の卵殻膜加水分解物はpH安定性が高いことが理解できる。
また、実施例2の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の400nmの透過率が70%以上100%以下であることから、本発明の卵殻膜加水分解物は、水溶液に溶解させたときに褐変が抑制された水溶液が得られることが理解できる。
[試験例5]
<熱安定性>
実施例2の卵殻膜加水分解物について熱安定性を調べた。具体的には、前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように清水に溶解させた。得られた卵殻膜加水分解物溶液を50mLバイアル瓶に10mLずつ分注し、60℃および80℃に設定した湯浴中に、0、1、3、5時間浸した。所定の時間浸した後、バイアル瓶を氷冷した。この溶液について、400nmおよび660nmの透過率(%)を測定した(株式会社島津製作所製:UV−2700)。結果を表5に示す。
[表5]
表5より、実施例2の卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液10mLを60℃で1時間加熱した時の660nmでの透過率が90%以上100%以下であることから、本発明の卵殻膜加水分解物は熱安定性が高いことが理解できる。
<処方例1>
実施例1の卵殻膜加水分解物を配合したソフトカプセル剤を調製した。
<処方例2>
実施例1の卵殻膜加水分解物を配合した錠剤(打錠物)を調製した。
<処方例3>
実施例1の卵殻膜加水分解物を配合した酸性飲料を調製した。
<処方例4>
実施例2の卵殻膜加水分解物を配合した化粧水を調製した。
<処方例5>
実施例2の卵殻膜加水分解物を配合したクリームを調製した。
<処方例6>
実施例2の卵殻膜加水分解物を配合した美容液を調製した。


Claims (5)

  1. システイン含量が5.0%以上15.0%以下であり、
    分子量分布において、
    分子量3,000未満の割合が80%以上95%以下、
    分子量3,000以上10,000未満の割合が1%以上15%以下、
    分子量10,000以上の割合が0%以上5%以下である、
    卵殻膜加水分解物。
  2. 請求項1記載の卵殻膜加水分解物において、
    アラニン1部に対するシステインの割合が、1.0部以上10.0部以下である、
    卵殻膜加水分解物。
  3. 請求項1又は2記載の卵殻膜加水分解物において、
    前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液をpH5.0に調整した時の660nmの透過率が90%以上100%以下である、
    卵殻膜加水分解物。
  4. 請求項3記載の卵殻膜加水分解物において、
    前記卵殻膜加水分解物を0.2%になるように溶解させた水溶液10mLを60℃で1時間加熱した時の660nmの透過率が90%以上100%以下である、
    卵殻膜加水分解物。
  5. 請求項1ないし4記載の卵殻膜加水分解物と
    デキストリンを含む、
    食品組成物。




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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022042003A (ja) * 2020-08-31 2022-03-11 株式会社グリーンテクノ21 植物活性化剤及び肥料組成物、並びに植物生育方法

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