JP7181172B2 - 電流検出器 - Google Patents
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Description
電流センサ100は、例えば図1に示される組み立て状態で使用される。電流センサ100は、ケース体102を本体(ボディ、あるいは筐体)とした構成であり、その外殻として周壁部102a及び底壁部102gを有している。これら周壁部102a及び底壁部102gは、図1及び図2の立姿勢でみて電流センサ100本体の上面、両側面及び底面の各外面を構成する。
また、ケース体102には挿通部108が形成されており、挿通部108は、図1及び図2の立姿勢でみてケース体102(あるいは電流センサ100全体)の中央を水平方向に貫通して延びている。すなわち、ケース体102は周壁部102a及び底壁部102gの内側に角筒部102bを有しており、この角筒部102bは、挿通部108を4方向から面で取り囲むようにして角筒状に形成されている。角筒部102bの一端は、収容部102dの一端開口から水平方向に突出して延びているが、他端は奥壁部102eの外面と同一面に位置している(図1中(B))。
また、ケース体102には締結部102fが形成されており、締結部102fは、図1及び図2の立姿勢でみて奥壁部102eの外面から水平方向に突出している。この締結部102fは、挿通部108に挿通させた一次導体(図1及び図2には示していない)に対し、ケース体102(あるいは電流センサ100全体)を締結するために用いられる。なお、締結部102fや一次導体の締結についてはさらに後述する。
磁性体コア104は、一例として横向きのU字形状をなす一対のコア部材104a,104bから構成されている。一対のコア部材104a,104bは、それぞれの先端面(2つ)を互いに向き合わせた状態で組み合わされ、先端面間の2箇所にエアギャップ104cを形成する。磁性体コア104は、挿通部108にバスバー等の一次導体を挿通させることで、被検出電流により発生する磁界を収束させる。あるいは、一次導体への被検出電流の導通により、磁性体コア104に磁界が発生(収束)する。
2つのホール素子110は、電流センサ100の組み立て状態で磁性体コア104の2箇所のエアギャップ104c内にそれぞれ配置されている。ホール素子110は、その感磁面を各コア部材104a,104bの端面(磁気回路断面)に対向させることで、磁性体コア104に発生(収束)する磁界の強度に応じた電圧信号(磁気検出信号)を出力する。
回路基板106は、収容部102dの形状に合わせて横向きU字形状をなしている。回路基板106には、上記のホール素子110が実装されている他、図示しない各種の電子部品やICチップ等が実装されることで、出力回路(電流検出回路)が形成されている。出力回路は、例えばホール素子110から出力される電圧信号を増幅し、また、各種の電気的処理を行って電流検出信号を出力する。回路基板106には外部コネクタ106aが実装されており、外部コネクタ106aは、電流センサ100の組み立て状態においてケース体102から突出(露出)している。電流センサ100は、外部コネクタ106aを通じて出力回路への電源供給を行ったり、出力回路から電流検出信号を出力したりすることができる。
図3は、挿通部108への一次導体BUの挿通とその締結を示した図である。図3中(A)が図1及び図2の立姿勢でみた電流センサ100の平面図に相当し、図3中(B)がその垂直断面図に相当する。
締結部102fは、上記のように挿通部108から一次導体BUの挿通方向に突出して形成されており、例えば、ちょうど建物の壁面から張り出したバルコニーのような構造を有している。すなわち、締結部102fは、ケース体102(奥壁部102e)の外面から張り出した底板部(符号なし)を有するとともに、この底板部の周囲から立ち上がった側板部(符号なし)を有する構造である。なお、側板部はケース体102(奥壁部102e)の外面に連結されることで、締結部102fの曲げ剛性を高めている。
締結部102fには、上記の底板部に合計3つの貫通孔102h,102kが形成されており、このうち1つの貫通孔102hが丸孔で、他の2つの貫通孔102kが長孔である。この例では、例えば1つの貫通孔102hに上方からねじBTを挿通することで、一次導体BUに対してケース体102(あるいは電流センサ100全体)が締結可能となっている。なお、一次導体BUの対応する位置には、予めねじ穴が形成されている。
図4は、電流センサ100を斜め下方向から示した斜視図である。このうち図4中(A)が奥壁部102e側から示した図であり、図4中(B)がその反対側から示した図である。
図5は、リブ112による一次導体BUの位置の保持を示した図である。このうち図5中(A)が側面図であり、図5中(B)が締結部102f近傍の拡大図である。
図6は、ケース体102の縦断面図である。ここではケース体102を単独で示している。
図7は、角筒部102bの長さを短縮した電流センサ100の別形態例を示す斜視図である。この別形態例は、一次導体BUの挿通方向でみた角筒部102bの長さが短縮されている他は前記実施形態と同じであり、同様の効果を達成することができる。リブ112は側面視で台形状をなしていることから、角筒部102b(挿通部108)の長さが短縮されている分、リブ112の一端における突出高さ(台形の辺に相当)が前記実施形態より高いものとして図7にも示されている。
図8は、リブ112の突出高さDRに応じて一次導体BUが電流センサ100の内部構成から離隔されることを示した図である。ここでは電流センサ100の内部構成(磁性体コア104、回路基板106等)が封止樹脂によって封止されているものとする。
ケース体102(電流センサ100)と一次導体BUとが締結された状態では、必然的に一次導体BUと電流センサ100の内部構成との物理的な距離が近くなる。このとき、一次導体BUと電流センサ100の内部構成が寄生容量(浮遊容量)CPによって容量結合され得ることになる。このような容量結合は、一次導体BUで生じた急峻な電圧変動(dV/dt)のノイズが内部構成の出力回路等に侵入し、出力信号に悪影響を及ぼすことになる。
また、電流センサ100の使用時に、一次導体BUには大電流(例えば数百~数千A)が通電されるため、一次導体BU自身の発熱量は大きい。このとき、一次導体BUと電流センサ100との間には物理的な接触や媒介物(空気)による熱抵抗HRが存在する。このため、一次導体BUから電流センサ100に熱が伝わり、磁性体コア104やホール素子110、出力回路等の温度が上昇して出力信号に変動が生じることになる。
図9及び図10は、電流センサ100のdV/dt特性を観測した結果を示す図である。ここで、「dV/dt特性」は、一次導体BUで生じた電圧変動(dV/dt)によって電流センサ100の出力信号(波形)がどの程度の影響を受けるかを計る指標であり、電圧変動から受ける出力信号への影響が低いほど、良好なdV/dt特性を示していると考えられる。
先ず図9は、リブ112の突出高さDRが0、つまり一次導体BUをリブ112に接触させず、角筒部102bの下側内面及び締結部102fの下面に一次導体BUを接触させたとした場合のdV/dt特性を観測した結果を示す。
図9中(B):印加波形に対する出力波形の観測結果である。印加波形がステップ状に高下した時刻t1及び時刻t2において、それぞれ極端な出力波形の変化(誤動作)が見られた。これらの出力波形の最大の誤動作量Vp-p1は、例えば350mV程度であった。
次に図10は、リブ112の突出高さDRを大(例えば4.5mm)とし、一次導体BUをリブ112に接触させることで、角筒部102bの下側内面及び締結部102fの下面から一次導体BUまでの距離を離隔させた場合のdV/dt特性を示す。
図10中(B):印加波形がステップ状に高下した時刻t1及び時刻t2において、それぞれ微小な出力波形の変化(誤動作)が見られた。これらの出力波形の最大の誤動作量Vp-p2は、例えば300mV程度であった。
図11は、角筒部102bの下側内面及び締結部102fの下面から一次導体BU上面までの距離(リブ112の突出高さDR)と出力波形に現れる誤動作量Vp-pとの関係を示す図である。なお、波形の観測結果についての図示は省略しているが、本発明の発明者等は、この他に突出高さDRを小(例えば1.5mm)、中(例えば3.0mm)とした場合の出力波形の観測も行い、これらを図11の関係図にまとめている(Vp-pは、Vp-p1,Vp-p2等の観測結果を含む総称)。
すなわち、一次導体BUをリブ112に接触させて角筒部102bの下側内面及び締結部102fの下面からの距離を離隔させた場合、リブ112に接触させない場合よりもdV/dt特性が大きく改善されている。そして、リブ112の突出高さDRを大きくすると、それに応じてdV/dt特性は向上することが分かる。これは、距離を離すことによって一次導体BUと電流センサ100の各種構成要素との間の容量結合が低減されたことによる顕著な効果を意味するものである。
また、本発明の発明者等は、リブ112の突出高さDR、接触本数、リブ112の幅、長さについての検証結果を以下にまとめている。
図12は、図9の配置から一次導体BUと電流センサ100との位置関係を変えて行ったdV/dt特性の評価モデルを示す図である。この位置関係ではリブ112が関係しないため、ここでは距離DSで評価する。なお、図12のように電流センサ100を横向きにした配置で検証を行うのは、回路基板106が図1、図2に示すようにコ字形(横向き)に配置されているため、回路基板106の中央部分と一次導体BUとの距離DSとの関係についても評価を行うためである。
図13及び図14は、図12の評価モデルにおける電流センサ100のdV/dt特性を観測した結果を示す図である。
先ず図13は、距離DSが0、つまり一次導体BUを角筒部102bの内面に接触させた場合のdV/dt特性を観測した結果を示す。
図13中(B):印加波形に対する出力波形の観測結果である。印加波形がステップ状に高下した時刻t1及び時刻t2において、それぞれ極端な出力波形の変化(誤動作)が見られた。これらの出力波形の最大の誤動作量Vp-p3は、例えば512mV程度であった。
次に図14は、距離DSを大(例えば4.5mm)とし、一次導体BUを角筒部102bの内面から大きく離隔させた場合のdV/dt特性を示す。
図10中(B):印加波形がステップ状に高下した時刻t1及び時刻t2において、それぞれ微小な出力波形の変化(誤動作)が見られた。これらの出力波形の最大の誤動作量Vp-p4は、例えば228mV程度であった。
図15は、距離DSと出力波形に現れる誤動作量Vp-pとの関係を示す図である。ここでも波形の観測結果についての図示は省略しているが、本発明の発明者等は、この他に距離DSを小(例えば1.5mm)、中(例えば3.0mm)とした場合の出力波形の観測も行い、これらを図15の関係図にまとめている(Vp-pは、Vp-p3,Vp-p4等の観測結果を含む総称)。
すなわち、距離DSを大きく確保した場合、距離DSが0である場合よりもdV/dt特性が大きく改善されている。そして、距離DSを大きくすると、それに応じてdV/dt特性は向上することが分かる。これは、先と同様に距離を離すことによって一次導体BUと電流センサ100の各種構成要素との間の容量結合が低減されたことによる顕著な効果を意味するものである。したがって、例えば水平な一次導体BUに対し、電流センサ100を図12のように横向きに配置して使用する場合、締結部102f及びリブ112が一次導体BUの上面に対向する配置となるようにケース体102を成形することにより、一次導体BUの安定化やdV/dt特性の改善、熱影響の低減を図ることができる。
(1)ケース体102を締結部102fで一次導体BUと締結することにより、使用状態において一次導体BUを安定させることができる。
(2)ケース体102の角筒部102b等に抜き勾配が設けられている場合でも、リブ112との接触によってケース体102(電流センサ100全体)と一次導体BUとの相対的な位置関係を一定に(水平な状態)保持することができる。
(3)リブ112で一次導体BUと接触することにより、一次導体BUと内部回路等との容量結合や熱抵抗を低減し、dV/dt特性の改善及び熱影響の低減を図ることができる。
挿通部108の形状は角筒状に限らず、円筒状であってもよい。この場合、リブ112は円筒状をなす挿通部108の内面から突出して形成されるものとする。また、一次導体BUは丸棒状であってもよいし、角棒状であってもよい。いずれにしても、一次導体BUの外形に合わせてリブ112を形成すればよい。
102 ケース体
104 磁性体コア
106 回路基板
108 挿通部
110 ホール素子
112 リブ
Claims (3)
- 被検出電流が流れる導体を挿通させた状態で検出を行う電流検出器において、
前記検出を行う機器を収容するとともに、挿通させる導体の周囲を挿通方向に延びる面で区画する挿通部を有した本体と、
前記挿通部の面から突出して形成され、前記導体に接した状態で前記本体が前記導体と締結されることにより、前記本体と前記導体との相対的な位置関係を保持する突条体と
を備え、
前記挿通部は、
前記導体の挿通方向に延びて前記導体を4方向から面で囲う角筒状をなしており、
前記本体は、
前記挿通部から前記導体の挿通方向に突出して形成され、前記挿通部の1つの面に連なって延びる面を有し、この面を前記導体に対向させた状態で前記本体と前記導体との締結を可能とする締結部を有しており、
前記突条体は、
前記導体と対向する前記挿通部及び前記締結部の連なった面から突出して形成されていることを特徴とする電流検出器。 - 請求項1に記載の電流検出器において、
前記突条体は、
前記導体の外面が挿通方向に延びる平面を有する場合、前記導体に接した状態で、前記挿通部に予め規定された軸線に対して前記導体の平面を平行に保持することを特徴とする電流検出器。 - 請求項2に記載の電流検出器において、
前記導体の平面に対向する前記挿通部の面が前記導体の平面との間に角度をなしていることを特徴とする電流検出器。
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