JP7180465B2 - 逃し弁一体減圧弁及び給湯機 - Google Patents

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Description

本発明は、逃し弁一体減圧弁及び給湯機に関する。
下記特許文献1には、流体が一定の圧力以上になった場合に流体を流すリリーフ弁が開示されている。
特開2012-7640号公報
特許文献1のリリーフ弁は、流体が一定の圧力以上になった場合に流体を流すだけであるので、流体の圧力を下げる減圧弁として使用することはできない。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、逃し弁の機能と減圧弁の機能とを兼ね備えた逃し弁一体減圧弁、及び当該逃し弁一体減圧弁を備えた給湯機を提供することを目的とする。
本発明に係る逃し弁一体減圧弁は、流体が流入する流入口に連通する一次側流路と、流体が流出する流出口に連通する二次側流路と、排出口に連通する排出流路と、を備え、二次側流路の圧力である二次側圧力を第一設定圧力に減圧する減圧弁の機能と、二次側圧力が第一設定圧力よりも高い第二設定圧力を超えると二次側流路の流体を排出流路へ排出する逃し弁の機能とを有する逃し弁一体減圧弁において、二次側流路と排出流路との間を隔てるように配置され、二次側圧力が上昇すると第一方向へ変位するダイヤフラムと、第一方向と反対の第二方向へダイヤフラムを付勢する第一付勢手段と、逃し弁内周部を有し、ダイヤフラムとともに変位する逃し弁弁座と、逃し弁内周部に着座可能な逃し弁弁体と、逃し弁弁体が逃し弁内周部に着座しているときに逃し弁弁体と逃し弁内周部との間をシールするシール部材と、逃し弁弁体を逃し弁内周部に着座させる方向へ付勢する第二付勢手段と、二次側圧力が第二設定圧力を超えたときに逃し弁弁体が逃し弁内周部から離れるように逃し弁弁体を押圧する押圧部と、をさらに備える。逃し弁弁体は、円錐面状の外周面を有する円錐状傾斜構造を備え、逃し弁内周部は、円錐面状の内周面を有する傾斜受け構造を備え、逃し弁弁体が逃し弁内周部に着座しているときに円錐状傾斜構造が傾斜受け構造に接すると、シール部材が所定寸法に圧縮される。
本発明に係る逃し弁一体減圧弁は、流体が流入する流入口に連通する一次側流路と、流体が流出する流出口に連通する二次側流路と、排出口に連通する排出流路と、を備え、二次側流路の圧力である二次側圧力を第一設定圧力に減圧する減圧弁の機能と、二次側圧力が第一設定圧力よりも高い第二設定圧力を超えると二次側流路の流体を排出流路へ排出する逃し弁の機能とを有する逃し弁一体減圧弁において、二次側流路と排出流路との間を隔てるように配置され、二次側圧力が上昇すると第一方向へ変位するダイヤフラムと、第一方向と反対の第二方向へダイヤフラムを付勢する第一付勢手段と、逃し弁内周部を有し、ダイヤフラムとともに変位する逃し弁弁座と、逃し弁内周部に着座可能な逃し弁弁体と、逃し弁弁体が逃し弁内周部に着座しているときに逃し弁弁体と逃し弁内周部との間をシールするシール部材と、逃し弁弁体を逃し弁内周部に着座させる方向へ付勢する第二付勢手段と、二次側圧力が第二設定圧力を超えたときに逃し弁弁体が逃し弁内周部から離れるように逃し弁弁体を押圧する押圧部と、をさらに備える。逃し弁弁体は、第一方向及び第二方向に対して垂直な平面を有する平面構造を備え、逃し弁内周部は、平面構造と接することが可能な平面を有する平面受け構造を備え、逃し弁弁体が逃し弁内周部に着座しているときに平面構造が平面受け構造に接すると、シール部材が所定寸法に圧縮される。平面構造の平面と、平面受け構造の平面とは、シール部材に対して排出流路側に位置する。
また、本発明に係る給湯機は、上記逃し弁一体減圧弁を備えたものである。
本発明によれば、逃し弁の機能と減圧弁の機能とを兼ね備えた逃し弁一体減圧弁、及び当該逃し弁一体減圧弁を備えた給湯機を提供することが可能となる。
実施の形態1による逃し弁一体減圧弁を示す斜視図である。 実施の形態1による逃し弁一体減圧弁を示す断面図である。 実施の形態1による逃し弁一体減圧弁を、給湯機あるいは空気調和装置に代表される冷熱機器の内部配管に接続した当初の状態を示す断面図である。 実施の形態1における逃し弁弁体及び逃し弁弁座の周辺部を拡大した断面図である。 実施の形態2による逃し弁一体減圧弁が備える逃し弁弁体の断面図である。 実施の形態2による逃し弁一体減圧弁が備える逃し弁弁座の断面図である。
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による逃し弁一体減圧弁1を示す斜視図である。図1に示すように、逃し弁一体減圧弁1は、流体が流入する流入口2と、流体が流出する流出口3と、排出口4とを備える。逃し弁一体減圧弁1を流れる流体は、例えば水のような液体でもよい。逃し弁一体減圧弁1の用途は、特に限定されないが、例えば給湯機(図示省略)に用いられてもよい。逃し弁一体減圧弁1を備えた給湯機は、貯湯タンク100を有する貯湯式給湯機でもよい。貯湯式給湯機の場合には、例えば以下のようになる。流入口2は、上水道等の水源からの水を供給する給水配管(図示省略)に接続される。流出口3は、貯湯タンク100に接続される。排出口4は、系外すなわち貯湯式給湯機の外部空間に連通する。給水配管から流入口2に流入した水は、流出口3から流出して、貯湯タンク100内に供給される。この際、水源の水圧は、逃し弁一体減圧弁1により、減圧弁設定圧Pcに減圧される。逃し弁設定圧Psは、減圧弁設定圧Pcよりも高い圧力である。例えば貯湯タンク100の水を加熱する沸上運転のときに、貯湯タンク100内の圧力が上昇する。貯湯タンク100内の圧力が逃し弁設定圧Psを超えると、貯湯タンク100内の湯水が排出口4から系外へ排出されることで、貯湯タンク100内の圧力の過上昇が防止される。逃し弁一体減圧弁1は、減圧弁の機能と逃し弁の機能とを兼ね備えている。このような逃し弁一体減圧弁1を給湯機に備えることで、給湯機内の流体の圧力調整の信頼性を向上させることが可能となる。
図2は、実施の形態1による逃し弁一体減圧弁1を示す断面図である。図2に示すように、逃し弁一体減圧弁1は、筐体5と、筐体5に固定されたばねカバー6と、筐体5に固定された下部蓋7とを備えている。筐体5に流入口2及び流出口3が形成されている。ばねカバー6に排出口4が形成されている。流入口2に連通する一次側流路8が筐体5により形成されている。流出口3に連通する二次側流路9が筐体5及び下部蓋7により形成されている。排出口4に連通する排出流路10がばねカバー6により形成されている。
本実施の形態の逃し弁一体減圧弁1は、流入口2、流出口3、及び排出口4を一つずつ備えるが、流入口2、流出口3、及び排出口4のそれぞれは、複数設けられていてもよい。例えば、下部蓋7に代えて、第二の流出口を有する継手を設けてもよい。
逃し弁一体減圧弁1は、二次側流路9の圧力である二次側圧力を第一設定圧力に減圧する減圧弁の機能と、二次側圧力が第一設定圧力よりも高い第二設定圧力を超えると二次側流路9の流体を排出流路10へ排出する逃し弁の機能と有している。前述した減圧弁設定圧Pcは第一設定圧力に相当し、逃し弁設定圧Psは第二設定圧力に相当する。
逃し弁一体減圧弁1は、ダイヤフラム11と、減圧弁弁体12と、逃し弁弁体13と、ばね押さえ14と、逃し弁弁座15と、第一調整ネジ16と、第二調整ネジ17と、第一ばね18と、第二ばね19と、第三ばね20と、シール部材21と、シール部材22とを備えている。第一ばね18、第二ばね19、及び第三ばね20のそれぞれは、例えば、円筒ばね、あるいは円錐ばねでもよい。図面では、第一ばね18、第二ばね19、及び第三ばね20のそれぞれは、簡略化して図示されている。
ダイヤフラム11は、その周縁部が筐体5とばねカバー6との間に挟み込まれるようにして固定されている。ダイヤフラム11は、二次側流路9と排出流路10との間を隔てる。ダイヤフラム11の一面には二次側圧力が作用する。ダイヤフラム11の他面には排出流路10の圧力が作用する。排出流路10の圧力は、系外の圧力であり、例えば大気圧である。
ダイヤフラム11の中央部にばね押さえ14及び逃し弁弁座15が固定されている。二次側圧力が上昇すると、ダイヤフラム11の中央部は、第一方向へ変位する。第一方向は、図2中の上方向である。以下の説明では、第一方向と反対の方向、すなわち図2中の下方向を「第二方向」と称する。
ばね押さえ14及び逃し弁弁座15は、ダイヤフラム11の中央部とともに第一方向及び第二方向に移動する。ばね押さえ14は、ダイヤフラム11の、排出流路10側の面に接している。第一ばね18は、ばね押さえ14に接する一端と、第一調整ネジ16に接する他端とを有している。第一ばね18は、圧縮されている。ダイヤフラム11の中央部、ばね押さえ14及び逃し弁弁座15は、第一ばね18の復元力により、第二方向へ押圧されている。第一ばね18は、ダイヤフラム11を第二方向へ付勢する第一付勢手段に相当する。
逃し弁弁座15は、逃し弁内周部23を有している。逃し弁内周部23により形成される開口は、二次側流路9と排出流路10との間を連通させる流路となる。逃し弁弁体13は、逃し弁内周部23の内側に挿入されている。逃し弁弁体13は、第一方向及び第二方向に移動可能である。逃し弁弁体13は、逃し弁内周部23に着座可能である。シール部材22は、逃し弁弁体13に取り付けられている。シール部材22は、例えばOリングでもよいし、シート状のパッキンでもよい。シール部材22は、逃し弁弁体13が逃し弁内周部23に着座しているときに逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間をシールする。逃し弁弁体13が逃し弁内周部23に着座すると、シール部材22は、逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間で圧縮される。これにより、二次側流路9と排出流路10との間の流路が閉じられ、二次側流路9の流体は排出流路10へ流れない。これに対し、シール部材22が逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間で圧縮されないときには、二次側流路9と排出流路10との間の流路が開き、二次側流路9から排出流路10へ流体が排出される。逃し弁弁座15と逃し弁弁体13とが嵌合し、逃し弁弁座15がシール部材22に接触する際は、逃し弁弁座15は、シール部材22から第一方向の力を受ける。
減圧弁弁座24が筐体5の内部に形成されている。減圧弁弁座24には、一次側流路8と二次側流路9との間の流路となる開口25が形成されている。減圧弁弁体12は、開口25を貫通するように配置されている。減圧弁弁体12は、第一方向及び第二方向に移動可能である。シール部材21は、減圧弁弁体12に取り付けられている。シール部材21は、例えばOリングでもよいし、シート状のパッキンでもよい。図2に示す状態から減圧弁弁体12が第一方向へ移動すると、シール部材21が減圧弁弁座24に着座する。シール部材21が減圧弁弁座24に着座すると、開口25がシール部材21によって閉鎖され、一次側流路8と二次側流路9との間での流体の流れが阻止される。シール部材21が減圧弁弁座24から離れると、流体が一次側流路8から開口25を通って二次側流路9へ流れることができる。
第二ばね19は、下部蓋7に接する一端と、減圧弁弁体12に接する他端とを有している。第二ばね19は、圧縮されている。減圧弁弁体12は、第二ばね19の復元力により、第一方向へ押圧されている。
減圧弁弁体12の移動を案内するガイド部26が筐体5の内部に形成されている。ガイド部26は、減圧弁弁体12が貫通する貫通孔を有している。減圧弁弁体12は、ガイド部26の貫通孔に対して摺動する。減圧弁弁体12の、第一方向を向く端面には、凹部27が形成されている。凹部27は、ガイド部26の貫通孔から、二次側流路9に面している。例えばOリングのようなシール部材28が減圧弁弁体12に取り付けられている。ガイド部26の貫通孔の内周面と減圧弁弁体12との隙間をシール部材28が封止することで、流体がガイド部26の貫通孔を通過することが阻止される。
逃し弁弁体13の、第二方向を向く端部は、凹部27に挿入している。逃し弁弁体13は、凹部27に対して摺動可能である。逃し弁弁体13は、減圧弁弁体12に対して、相対的に第一方向及び第二方向に移動可能である。逃し弁弁体13の、第二方向を向く端面には、凹部29が形成されている。第三ばね20は、凹部27に接する一端と、凹部29に接する他端とを有している。第三ばね20は、圧縮されている。逃し弁弁体13は、第三ばね20の復元力により、第一方向へ押圧されている。逃し弁弁体13は、第三ばね20によって、減圧弁弁体12から離れる方向の力を受ける。第三ばね20が縮むと、逃し弁弁体13は、減圧弁弁体12に接触する。逃し弁弁体13が減圧弁弁体12に接触すると、逃し弁弁体13は、第一方向の力を減圧弁弁体12から受ける。
第二調整ネジ17は、押圧部30を有している。押圧部30は、第二方向へ向かって突出している。図2に示す状態では、逃し弁弁体13は、押圧部30から離れている。逃し弁弁体13は、押圧部30に接触する位置まで第一方向へ移動可能であり、当該位置よりも第一方向へ移動することはできない。押圧部30は、二次側圧力が第二設定圧力を超えたときに逃し弁弁体13が逃し弁内周部23から離れるように逃し弁弁体13を押圧する。すなわち、逃し弁が開くときには、逃し弁弁体13が押圧部30に接触する。
第一ばね18の押圧力は、ばね押さえ14、逃し弁弁座15、及び逃し弁弁体13を介して、減圧弁弁体12を第二方向へ押圧するように作用する。第一ばね18は、シール部材21が減圧弁弁座24から離れる方向、すなわち減圧弁が開く方向へ、減圧弁弁体12を付勢する。また、第一ばね18は、逃し弁弁座15を逃し弁弁体13に押し当てる方向、すなわち逃し弁が閉じる方向へ、逃し弁弁座15を付勢する。
第二ばね19は、シール部材21が減圧弁弁座24に着座する方向、すなわち減圧弁が閉じる方向へ、減圧弁弁体12を付勢する。第三ばね20は、減圧弁弁体12と逃し弁弁体13との間で圧縮される。第三ばね20は、逃し弁弁体13を逃し弁内周部23に押し当てる方向、すなわち逃し弁が閉じる方向へ、逃し弁弁体13を付勢する。本実施の形態における第三ばね20は、逃し弁弁体13を逃し弁内周部23に着座させる方向へ付勢する第二付勢手段に相当する。
第一調整ネジ16の外周に形成された雄ネジは、ばねカバー6に形成された雌ネジに螺合している。第一調整ネジ16を回転させると、第一調整ネジ16が第一方向あるいは第二方向へ変位することにより、第一ばね18の圧縮量を変化させることができる。第一調整ネジ16の頂部は、逃し弁一体減圧弁1の外部に露出している。例えば、第一調整ネジ16の頂部に六角形の突起を設け、逃し弁一体減圧弁1の外部からボックスドライバーを用いて第一調整ネジ16を回転させることができるように構成してもよい。その他の工具類を使用するように構成する場合には、使用する工具に合わせて、第一調整ネジ16の頂部の形状を適宜変更してよい。
本実施の形態では、第一調整ネジ16により第一ばね18の圧縮量を変化させることにより、第一設定圧力を調整可能である。第一調整ネジ16は、第一設定圧力を調整可能な第一設定圧力調整手段に相当する。本実施の形態であれば、逃し弁一体減圧弁1を分解することなく、第一設定圧力を調整可能である。
第二調整ネジ17の外周に形成された雄ネジは、第一調整ネジ16に形成された雌ネジに螺合している。第二調整ネジ17を回転させると、第二調整ネジ17が第一方向あるいは第二方向へ変位することにより、押圧部30の位置を変化させることができる。第二調整ネジ17の頂部は、逃し弁一体減圧弁1の外部に露出している。例えば、第二調整ネジ17の頂部にプラス形の窪みを設け、逃し弁一体減圧弁1の外部からプラスドライバーを用いて第二調整ネジ17を回転させることができるように構成してもよい。その他の工具類を使用するように構成する場合には、使用する工具に合わせて、第二調整ネジ17の頂部の形状を適宜変更してよい。
本実施の形態では、逃し弁弁体13を押圧して逃し弁を開くための押圧部30の位置を、第二調整ネジ17を回して変化させることにより、逃し弁が開く圧力である第二設定圧力を調整可能である。第二調整ネジ17は、第二設定圧力を調整可能な第二設定圧力調整手段に相当する。本実施の形態であれば、逃し弁一体減圧弁1を分解することなく、第二設定圧力を調整可能である。
次に、逃し弁一体減圧弁1の動作について説明する。図3は、実施の形態1による逃し弁一体減圧弁1を、給湯機あるいは空気調和装置に代表される冷熱機器の内部配管に接続した当初の状態を示す断面図である。図3の状態では、以下のようになっている。シール部材21は、減圧弁弁座24から離れている。流入口2から逃し弁一体減圧弁1内に流入した流体は、一次側流路8、開口25、及び二次側流路9を通って、流出口3から逃し弁一体減圧弁1の外へ流出する。この状態では、二次側圧力が減圧弁設定圧Pcよりも低く、ダイヤフラム11が二次側流路9の流体から受ける第一方向の力が小さいため、第一方向への逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15の移動量が小さい。このため、シール部材22が圧縮された状態となる。その結果、二次側流路9から排出流路10への流路が閉ざされているため、流体は流入口2及び一次側流路8から二次側流路9及び流出口3へのみ流れる。
図3に示す状態から二次側圧力P2が上昇すると、ダイヤフラム11が二次側流路9の流体から受ける第一方向の力が増加し、ダイヤフラム11、逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15が第一方向へ移動する。その結果、減圧弁弁体12が第二ばね19に押圧されて第一方向へ移動する。二次側圧力P2が減圧弁設定圧Pcに達すると、シール部材21が減圧弁弁座24に接触して押圧されるため、流入口2及び一次側流路8から二次側流路9及び流出口3への流体の流れが止まる。なお、この状態では逃し弁弁体13の先端は、押圧部30にまだ接触しない。
二次側圧力P2が減圧弁設定圧Pcを超えてさらに上昇すると、ダイヤフラム11が二次側流路9の流体から受ける力がさらに増加し、ダイヤフラム11、逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15が第一方向へさらに移動する。このとき、第三ばね20が逃し弁弁体13を第一方向へ押圧することで、逃し弁弁体13の先端が押圧部30に接触するまでは、逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間でシール部材22が圧縮され、二次側流路9から排出流路10への流路は閉ざされたままとなる。
二次側圧力P2が逃し弁設定圧Psを超えると、逃し弁弁体13の先端が押圧部30に接触する。第三ばね20のばね係数を充分小さく設定しておけば、ダイヤフラム11が受ける力に抗することができず、逃し弁弁体13が逃し弁内周部23から離れることで二次側流路9から排出流路10への流路が開き、圧力上昇した流体を排出口4から排出することができる。その後、二次側圧力P2が低下していき、二次側圧力P2が減圧弁設定圧Pcとなる。
図4は、実施の形態1における逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15の周辺部を拡大した断面図である。図4に示すように、逃し弁弁体13は、円錐状傾斜構造31を備えている。円錐状傾斜構造31は、円錐面状の外周面を有している。逃し弁内周部23は、傾斜受け構造32を備えている。傾斜受け構造32は、円錐状傾斜構造31の外周面に対応した形状の円錐面状の内周面を有している。円錐状傾斜構造31及び傾斜受け構造32は、逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15が嵌合する嵌合部に相当している。
逃し弁弁体13が逃し弁内周部23に着座すると、円錐状傾斜構造31が傾斜受け構造32に接する。シール部材22は、逃し弁弁体13の外周面に形成された環状凹部33内に配置されている。シール部材22が逃し弁内周部23から離れているときには、シール部材22の一部は、環状凹部33よりも外側へ食み出している。円錐状傾斜構造31が傾斜受け構造32に接すると、逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間でシール部材22が圧縮される。円錐状傾斜構造31が傾斜受け構造32に接すると、シール部材22はそれ以上圧縮されることはない。したがって、円錐状傾斜構造31が傾斜受け構造32に接することで、シール部材22を所定寸法に圧縮することができる。例えば、シール部材22がOリングであるとした場合には、円錐状傾斜構造31が傾斜受け構造32に接した状態で、シール部材22の圧縮量が、当該Oリングの線径の25%となるように、環状凹部33等の形状及び寸法を調整してもよい。
本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。第三ばね20の製造精度による荷重ばらつき、あるいは二次側流路9からの排圧上昇によらず、シール部材22が所定寸法以上圧縮されることを確実に防止できる。このため、極端な圧縮によるシール部材22の変形、破断などが発生することを確実に防止することができ、長寿命化を図れる。
円錐状傾斜構造31の外周面と、傾斜受け構造32の内周面との少なくとも一方に、例えばスリット構造のような凹部(図示省略)が1つまたは複数形成されていてもよい。当該凹部を設けることで、以下の利点がある。逃し弁弁体13と逃し弁弁座15とが嵌合した際に、円錐状傾斜構造31と傾斜受け構造32との間に、例えば砂または砂利のような異物が混入した場合でも、上記凹部を介して、異物の噛み込みを防止することができる。
本実施の形態では、円錐状傾斜構造31の外周面と、傾斜受け構造32の内周面とは、シール部材22に対して排出流路10側に位置している。これにより、以下の利点がある。円錐状傾斜構造31と傾斜受け構造32との間に異物が混入し、万が一にその異物が堆積した場合であっても、シール部材22よりも排出流路10側に異物が堆積するため、シール部材22のシール性に影響が出ることを確実に防止できる。さらに、二次側圧力の上昇に伴う逃し弁の開弁時に、排出口4へ排出される流体によって当該異物を押し流し、逃し弁一体減圧弁1の外部へ排出することができる。
また、本実施の形態では、円錐状傾斜構造31と傾斜受け構造32とが接するタイミングよりも早くシール部材22と逃し弁内周部23とが密接する構成としている。これにより、円錐状傾斜構造31と傾斜受け構造32との間に異物が混入し、万が一にその異物が円錐状傾斜構造31と傾斜受け構造32との間に噛み込んだ場合であっても、シール部材22と逃し弁内周部23との密接により、流路を確実に遮断することが可能となる。
実施の形態2.
次に、図5及び図6を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。図5は、実施の形態2による逃し弁一体減圧弁が備える逃し弁弁体13の断面図である。図6は、実施の形態2による逃し弁一体減圧弁が備える逃し弁弁座15の断面図である。本実施の形態2は、実施の形態1と比べ、逃し弁弁体13及び逃し弁弁座15の形状が部分的に異なること以外は同じである。なお、図5では、シール部材22の図示を省略している。
図5に示すように、本実施の形態における逃し弁弁体13は、平面構造34を備えている。平面構造34は、第一方向及び第二方向に対して垂直な平面を有している。図6に示すように、本実施の形態における逃し弁弁座15の逃し弁内周部23は、平面受け構造35を備えている。平面受け構造35は、平面構造34と接することが可能な平面を有している。すなわち、平面受け構造35は、第一方向及び第二方向に対して垂直な平面を有している。
逃し弁弁体13が逃し弁内周部23に着座すると、平面構造34が平面受け構造35に接する。シール部材22は、逃し弁弁体13の外周面に形成された環状凹部33内に配置されている。シール部材22が逃し弁内周部23から離れているときには、シール部材22の一部は、環状凹部33よりも外側へ食み出している。平面構造34が平面受け構造35に接すると、逃し弁弁体13と逃し弁内周部23との間でシール部材22が圧縮される。平面構造34が平面受け構造35に接すると、シール部材22はそれ以上圧縮されることはない。したがって、平面構造34が平面受け構造35に接することで、シール部材22を所定寸法に圧縮することができる。例えば、シール部材22がOリングであるとした場合には、平面構造34が平面受け構造35に接した状態で、シール部材22の圧縮量が、当該Oリングの線径の25%となるように、環状凹部33等の形状及び寸法を調整してもよい。
本実施の形態であれば、以下の効果が得られる。第三ばね20の製造精度による荷重ばらつき、あるいは二次側流路9からの排圧上昇によらず、シール部材22が所定寸法以上圧縮されることを確実に防止できる。このため、極端な圧縮によるシール部材22の変形、破断などが発生することを確実に防止することができ、長寿命化を図れる。
平面構造34の平面と、平面受け構造35の平面との少なくとも一方に、例えばスリット構造のような凹部(図示省略)が1つまたは複数形成されていてもよい。当該凹部を設けることで、以下の利点がある。逃し弁弁体13と逃し弁弁座15とが嵌合した際に、平面構造34と平面受け構造35との間に、例えば砂または砂利のような異物が混入した場合でも、上記凹部を介して、異物の噛み込みを防止することができる。
本実施の形態では、平面構造34の平面と、平面受け構造35の平面とは、シール部材22に対して排出流路10側に位置している。これにより、以下の利点がある。平面構造34と平面受け構造35との間に異物が混入し、万が一にその異物が堆積した場合であっても、シール部材22よりも排出流路10側に異物が堆積するため、シール部材22のシール性に影響が出ることを確実に防止できる。さらに、二次側圧力の上昇に伴う逃し弁の開弁時に、排出口4へ排出される流体によって当該異物を押し流し、逃し弁一体減圧弁1の外部へ排出することができる。
また、本実施の形態では、平面構造34と平面受け構造35とが接するタイミングよりも早くシール部材22と逃し弁内周部23とが密接する構成としている。これにより、平面構造34と平面受け構造35との間に異物が混入し、万が一にその異物が平面構造34と平面受け構造35との間に噛み込んだ場合であっても、シール部材22と逃し弁内周部23との密接により、流路を確実に遮断することが可能となる。
実施の形態1における円錐状傾斜構造31と、実施の形態2における平面構造34とは、逃し弁弁体13が逃し弁内周部23に着座しているときに逃し弁内周部23に接する接触部に相当している。実施の形態1または2の逃し弁一体減圧弁1を備えた給湯機においては、シール部材22に対して円錐状傾斜構造31あるいは平面構造34が水平方向に隣り合うか、または、円錐状傾斜構造31あるいは平面構造34の位置がシール部材22よりも低い位置になる姿勢で逃し弁一体減圧弁1が取り付けられていることが望ましい。例えば、第一方向及び第二方向が水平になる姿勢で逃し弁一体減圧弁1が取り付けられているか、または、第一方向が鉛直下方を向く姿勢で逃し弁一体減圧弁1が取り付けられていることが望ましい。そのようにすることで、以下の利点がある。円錐状傾斜構造31あるいは平面構造34に滞留した異物が、重力の影響を受けてシール部材22に堆積することをより確実に防止することができる。その結果、異物によるシール不良をより確実に防止できるので、信頼性がさらに向上する。
1 逃し弁一体減圧弁、 2 流入口、 3 流出口、 4 排出口、 5 筐体、 6 ばねカバー、 7 下部蓋、 8 一次側流路、 9 二次側流路、 10 排出流路、 11 ダイヤフラム、 12 減圧弁弁体、 13 逃し弁弁体、 15 逃し弁弁座、 16 第一調整ネジ、 17 第二調整ネジ、 21 シール部材、 22 シール部材、 23 逃し弁内周部、 24 減圧弁弁座、 25 開口、 26 ガイド部、 27 凹部、 28 シール部材、 29 凹部、 30 押圧部、 31 円錐状傾斜構造、 32 傾斜受け構造、 33 環状凹部、 34 平面構造、 35 平面受け構造、 100 貯湯タンク

Claims (7)

  1. 流体が流入する流入口に連通する一次側流路と、
    前記流体が流出する流出口に連通する二次側流路と、
    排出口に連通する排出流路と、
    を備え、
    前記二次側流路の圧力である二次側圧力を第一設定圧力に減圧する減圧弁の機能と、前記二次側圧力が前記第一設定圧力よりも高い第二設定圧力を超えると前記二次側流路の前記流体を前記排出流路へ排出する逃し弁の機能とを有する逃し弁一体減圧弁において、
    前記二次側流路と前記排出流路との間を隔てるように配置され、前記二次側圧力が上昇すると第一方向へ変位するダイヤフラムと、
    前記第一方向と反対の第二方向へ前記ダイヤフラムを付勢する第一付勢手段と、
    逃し弁内周部を有し、前記ダイヤフラムとともに変位する逃し弁弁座と、
    前記逃し弁内周部に着座可能な逃し弁弁体と、
    前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部に着座しているときに前記逃し弁弁体と前記逃し弁内周部との間をシールするシール部材と、
    前記逃し弁弁体を前記逃し弁内周部に着座させる方向へ付勢する第二付勢手段と、
    前記二次側圧力が前記第二設定圧力を超えたときに前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部から離れるように前記逃し弁弁体を押圧する押圧部と、
    をさらに備え
    前記逃し弁弁体は、円錐面状の外周面を有する円錐状傾斜構造を備え、
    前記逃し弁内周部は、円錐面状の内周面を有する傾斜受け構造を備え、
    前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部に着座しているときに前記円錐状傾斜構造が前記傾斜受け構造に接すると、前記シール部材が所定寸法に圧縮される逃し弁一体減圧弁。
  2. 前記円錐状傾斜構造の前記外周面と、前記傾斜受け構造の前記内周面との少なくとも一方に形成された凹部を有する請求項に記載の逃し弁一体減圧弁。
  3. 前記円錐状傾斜構造の前記外周面と、前記傾斜受け構造の前記内周面とは、前記シール部材に対して前記排出流路側に位置する請求項または請求項に記載の逃し弁一体減圧弁。
  4. 流体が流入する流入口に連通する一次側流路と、
    前記流体が流出する流出口に連通する二次側流路と、
    排出口に連通する排出流路と、
    を備え、
    前記二次側流路の圧力である二次側圧力を第一設定圧力に減圧する減圧弁の機能と、前記二次側圧力が前記第一設定圧力よりも高い第二設定圧力を超えると前記二次側流路の前記流体を前記排出流路へ排出する逃し弁の機能とを有する逃し弁一体減圧弁において、
    前記二次側流路と前記排出流路との間を隔てるように配置され、前記二次側圧力が上昇すると第一方向へ変位するダイヤフラムと、
    前記第一方向と反対の第二方向へ前記ダイヤフラムを付勢する第一付勢手段と、
    逃し弁内周部を有し、前記ダイヤフラムとともに変位する逃し弁弁座と、
    前記逃し弁内周部に着座可能な逃し弁弁体と、
    前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部に着座しているときに前記逃し弁弁体と前記逃し弁内周部との間をシールするシール部材と、
    前記逃し弁弁体を前記逃し弁内周部に着座させる方向へ付勢する第二付勢手段と、
    前記二次側圧力が前記第二設定圧力を超えたときに前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部から離れるように前記逃し弁弁体を押圧する押圧部と、
    をさらに備え
    前記逃し弁弁体は、前記第一方向及び前記第二方向に対して垂直な平面を有する平面構造を備え、
    前記逃し弁内周部は、前記平面構造と接することが可能な平面を有する平面受け構造を備え、
    前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部に着座しているときに前記平面構造が前記平面受け構造に接すると、前記シール部材が所定寸法に圧縮され、
    前記平面構造の前記平面と、前記平面受け構造の前記平面とは、前記シール部材に対して前記排出流路側に位置する逃し弁一体減圧弁。
  5. 前記平面構造の前記平面と、前記平面受け構造の前記平面との少なくとも一方に形成された凹部を有する請求項に記載の逃し弁一体減圧弁。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の逃し弁一体減圧弁を備える給湯機。
  7. 前記逃し弁弁体は、前記逃し弁弁体が前記逃し弁内周部に着座しているときに前記逃し弁内周部に接する接触部を有し、
    前記シール部材に対して前記接触部が水平方向に隣り合うか、または前記接触部の位置が前記シール部材よりも低い位置になる姿勢で前記逃し弁一体減圧弁が取り付けられている請求項に記載の給湯機。
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