JP7180105B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体を用いて帯電、静電潜像形成、現像、転写、クリーニング等の工程を順次行う装置が広く知られている。
電子写真感光体としては、導電性を有する基体上に、電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、又は電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型感光体が知られている。
例えば、特許文献1には、「少なくとも導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体と、半導体レーザー光を光源とした露光装置を有する電子写真装置において、半導体レーザーの発振波長が380~500nmの範囲にあり、かつ該導電性支持体が表面を陽極酸化処理により酸化被膜を形成したアルミニウム及びアルミニウム合金であることを特徴とする電子写真感光体。」が開示されている。
特開2004-069970号
ところで、従来から、使用済みの電子写真感光体をリサイクルすることが知られている。しかし、下引層及び感光層に結着樹脂を含む有機電子写真感光体はリサイクル性が低い。
そこで、本発明の課題は、下引層及び感光層に結着樹脂を含む積層型有機電子写真感光体に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1>
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層と、
前記下引層上に設けられ、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ電荷輸送層と、
を有する電子写真感光体。
<2>
前記下引層の膜厚が、0.05μm以上10μm以下である前記<1>に記載の電子写真感光体。
<3>
前記下引層の膜厚が、0.1μm以上1μm以下である前記<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
前記下引層が、第13族元素および酸素を含む金属酸化物層からなる下引層である前記<1>~<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5>
前記第13族元素が、ガリウムである前記<4>に記載の電子写真感光体。
<6>
前記酸素及び前記第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)が1.00以上1.40以下である前記<4>又は<5>に記載の電子写真感光体。
<7>
前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<8>
前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<9>
前記露光手段の露光波長よりも、前記電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長が大きい前記<8>に記載の画像形成装置。
<10>
前記露光手段の露光波長、及び前記電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長が、370nm以上500nm以下の範囲内に有する前記<9>に記載の電子写真感光体。
<1>、<4>、<5>、<6>に係る発明によれば、下引層及び感光層に結着樹脂を含む積層型有機電子写真感光体に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体が提供される。
<2>、又は<3>に係る発明によれば、下引層の厚さが、0.05μm未満である場合に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体が提供される。
<7>、<8>、<9>、又は<10>に係る発明によれば、下引層及び感光層に結着樹脂を含む積層型有機電子写真感光体に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の電子写真感光体の下引層(金属酸化物層)の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態の電子写真感光体の下引層(金属酸化物層)の形成に用いるプラズマ発生装置の例を示す概略模式図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 実施例の画像形成試験で形成したテストチャートを示す図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
[電子写真感光体]
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、「感光体」とも称する)は、導電性基体と、導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層と、導電性基体上に設けられ、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ電荷輸送層と、を有する。
ここで、積層型電子写真感光体は、単層型電子写真感光体に比べ、感光層の機能を分離していることから、性能が高く、安定している。そして、従来から、使用済みの積層型電子写真感光体をリサイクルすることが知られている。しかし、下引層及び感光層に結着樹脂を含む積層型有機電子写真感光体はリサイクル性が低い。具体的には、感光体をリサイクルするには、溶剤により感光層(電荷発生層および電荷輸送層)および下引層を除去した後、再度、下引層および感光層(電荷発生層および電荷輸送層)を塗布形成する工程を経る。そのため、現状の有機感光体をリサイクルするには、3回以上の塗布工程を経る。
また、感光層を除去する溶剤に下引層が溶解しない場合、下引層を再利用し、感光層の塗布工程のみを経て、感光体がリサイクルされる。しかし、下引層を再利用する場合、下引層は、感光層を除去する溶剤に接触するため、少なからず成分が溶剤に溶出するため、感光体のリサイクル品は電気特性が低下する傾向がある。そして、リサイクルの回数が増えれば、感光体の電気特性の低下は大きくなる。
一方、本実施形態に係る感光体において、導電性基体上に設けられた下引層は、金属酸化物層からなるため、経時での劣化が少ない。そのため、感光体をリサイクルするとき、溶剤により電荷輸送層のみを除去する。この溶剤による電荷輸送層の除去では、金属酸化物層からなる下引層は溶解せず、電気特定の低下が生じ難い。そして、電荷輸送層の除去後、電荷輸送層のみを塗布形成することで、感光体のリサイクルが完了する。
このように、本実施形態に係る感光体のリサイクル品は、少なくとも1回の塗布工程、つまり、少ない工程数で得られる。また、溶剤の接触による下引層の電気特性の劣化も生じ難いため、性能維持性も高い。
以上から、本実施形態に係る感光体は、リサイクル性に優れた感光体である。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。感光体107Aは、導電性基体103上に、下引層101と、下引層101上に設けられた電荷輸送層102が設けられた構造を有する。感光体107Aは、下引層101と電荷輸送層102との間に中間層を有していてもよい。また、電荷輸送層102の表面に表面保護層を有していてもよい。
以下、電子写真感光体を構成する各要素について説明する。なお、符号は省略して説明する場合がある。
(導電性基体)
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これを更にアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
導電性基体の厚み(肉厚)は、感光体の強度を確保する点で、1mm以上であることがよく、1.2mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。導電性基体の厚みの上限は特に限定されないが、例えば、感光体の操作性あるいは製造性との点から、3.5mm以下であることがよく、3mm以下としてもよく、3mm未満としてもよい。導電性基体の厚みが上記範囲であることで、導電性基体の撓みが抑制されやすくなる。
(下引層)
下引層は、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる。つまり、下引層は、金属酸化物層からなる電荷発生層に相当する。
下引層は、例えば、ガリウムおよび酸素を含む金属酸化物からなる場合、下引層表面の光吸収端波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有し、露光手段から露光波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有する露光光の照射により、電荷が発生する。
ここで、金属酸化物層からなる下引層とは、金属酸化物の層状物(例えば、金属酸化物のCVD膜、金属酸化物の蒸着膜、金属酸化物のスパッタ膜等)または焼結体の層状物を指し、樹脂に金属酸化物粒子を分散させたものは除かれる。
金属酸化物層からなる下引層としては、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層の他に、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等の金属酸化物からなる金属酸化物層等が挙げられる。
これらの中でも、金属酸化物層からなる下引層としては、機械的強度、及び電荷発生能の向上の観点から、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい、
第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム層、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
特に、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、機械的強度、及び電荷発生能の向上の観点から、特に酸化ガリウムが好ましい。
つまり、下引層は、ガリウム及び酸素を含む金属酸化物層からなる下引層であることが好ましい。
そして、金属酸化物層からなる下引層において、酸素及び第13族元素の元素組成比(酸素/第13族元素=O/Ga)を変えることで、電荷発生能を発現する光吸収端波長制御が容易に行われる。この元素比は、原子%比である。
例えば、下引層表面の光吸収端波長を370nm以上500nmとし、露光手段から露光波長370nm以上500nmの露光光の照射により、電荷が発生するには、酸素及び第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)を1.00以上1.40以下(好ましくは1.1以上1.3以下)とすることがよい。
金属酸化物層からなる下引層は、好ましくは、第13族元素(好ましくはガリウム)及び酸素を含有する金属酸化物からなる層であればよいが、必要に応じて、水素及び炭素原子を含む層であってもよい。
特に、金属酸化物層からなる下引層は、第13族元素、酸素、及び水素を含有し、金属酸化物層からなる下引層を構成する全元素に対する、第13族元素、酸素、及び水素の元素構成比率の和が90原子%以上であることが好ましい。
金属酸化物層からなる下引層を構成する全元素に対する、第13族元素(特にガリウム)、酸素、及び水素の元素構成比率の和は、90原子%以上であることで、例えば、N,P,Asなどの第15族元素などが混入した場合、これらが第13族元素(特にガリウム)と結合する影響などが抑制され、下引層の硬度又は電気特性を向上させ得る酸素及び第13族元素(特にガリウム)組成比(酸素/第13族元素(特にガリウム))の適正範囲を見出しやすくなる。上記元素構成比率の和は、上記の観点で、95原子%以上が好ましく、96原子%以上がより好ましく、97原子%以上がさらに好ましい。
金属酸化物層からなる下引層には、上記した第13族元素、酸素、水素及び炭素の他、導電型の制御のために、他の元素を含んでいてもよい。
金属酸化物層からなる下引層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
ここで、下引層における各元素の確認、元素構成比率、原子数比等は、厚み方向の分布も含めてラザフォードバックスキャタリング(以下、「RBS」と称する)により求められる
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
RBS測定は、具体的には以下のように行う
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
なお、水素の元素構成比率は、ハイドロジェンフォワードスキャタリング(以下、「HFS」と称する)により求められる。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400を用い、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾う。この時検出器をアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことがよい。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによって行う。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用する。
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
なお、金属酸化物層からなる下引層は、目的に応じて、厚み方向に組成比に分布を有していてもよいし、多層構成からなるものであってもよい。
-下引層の特性-
金属酸化物層からなる下引層の体積抵抗率は、5.0×10Ωcm以上1.0×1012Ωcm未満が好ましく、8.0×10Ωcm以上7.0×1011Ωcm以下がより好ましく、1.0×10Ωcm以上5.0×1011Ωcm以下がさらに好ましく、5.0×10Ωcm以上2.0×1011Ωcm以下が特に好ましい。
この体積抵抗率は、nF社製LCRメーターZM2371を用いて、周波数1kHz、電圧1Vの条件にて測定した抵抗値から、電極面積、試料厚みに基づき算出して求められる。
なお、測定試料は、測定対象となる下引層の成膜時の同条件でアルミ基体上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から下引層を露出させ、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
金属酸化物層からなる下引層は、微結晶膜、多結晶膜、非晶質膜などの非単結晶膜であることが好ましい。これらの中でも、非晶質は表面の平滑性で特に好ましいが、微結晶膜は硬度の点でより好ましい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
金属酸化物層からなる下引層の膜厚は、機械的強度、及び電荷発生能の向上の観点から、例えば、0.05μm以上10μm以下であることがよく、0.1μm以上1μm以下が好ましい。
-下引層の形成-
下引層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
以下、下引層の形成について、成膜装置の一例を図面に示しつつ具体例を挙げて説明する。なお、以下の説明は、ガリウム、酸素、及び水素を含んで構成された下引層の形成方法について示すが、これに限られず、目的とする下引層の組成に応じて、周知の形成方法を適用すればよい。
図2は、本実施形態に係る電子写真感光体の下引層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図2(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図2(B)は、図2(A)に示す成膜装置のA1-A2間における模式断面図を表す。図2中、210は成膜室、211は排気口、212は基体回転部、213は基体支持部材、214は基体、215はガス導入管、216はガス導入管215から導入したガスを噴射する開口を有するシャワーノズル、217はプラズマ拡散部、218は高周波電力供給部、219は平板電極、220はガス導入管、221は高周波放電管部である。
図2に示す成膜装置において、成膜室210の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口211が設けられており、成膜室210の排気口211が設けられた側と反対側に、高周波電力供給部218、平板電極219及び高周波放電管部221からなるプラズマ発生装置が設けられている。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、図2に示す成膜装置に設けられたプラズマ発生装置の代わりに、図3に示すプラズマ発生装置を用いてもよい。図3は、図2に示す成膜装置において利用されるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図であり、プラズマ発生装置の側面図である。図3中、222が高周波コイル、223が石英管を表し、220は、図2中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管223と、石英管223の外周面沿って設けられた高周波コイル222とからなり、石英管223の一方の端は成膜室210(図3中、不図示)と接続されている。また、石英管223のもう一方の端には、石英管223内にガスを導入するためのガス導入管220が接続されている。
図2において、平板電極219の放電面側には、放電面に沿って延びる棒状のシャワーノズル216が接続されており、シャワーノズル216の一端は、ガス導入管215と接続されており、このガス導入管215は成膜室210外に設けられた不図示の第2のガス供給源と接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、導電性基体が用いられる。
下引層の形成は、例えば、以下のように実施する。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
次に、トリメチルガリウムガスをガス導入管215、活性化手段である平板電極219の下流側に位置するシャワーノズル216を介して成膜室210に導入することによって、基体214表面にガリウムと酸素と水素とを含む非単結晶膜を成膜する。
基体214としては、導電性基体を用いる。
下引層の成膜時の基体214表面の温度は、特に制限はないが、温度上昇による基体214の劣化が生じない温度以下とすることがよい。
また、成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としては、n型用としてはSiH,SnHを、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、などをガス状態で使用する。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用してもよい。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の下引層を得る。
図2及び図3に示す成膜装置のプラズマ発生手段は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いてもよいし、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でもよい。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起されるようにすることが好ましい。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けてもよい。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種類のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図2に示す成膜装置を例に上げれば、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用される。この場合、例えば、ガス導入管215を介して、シャワーノズル216に高周波電圧を印加して、シャワーノズル216を電極として成膜室210内に放電を起こさせる。又は、シャワーノズル216を電極として利用する代わりに、成膜室210内の基体214と平板電極219との間に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して、成膜室210内に放電を起こさせる。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが好ましい。
下引層の形成は、例えば、成膜室210に、導電性基体である基体214を設置し、各々組成の異なる混合ガスを導入して、下引層を形成する。
また、成膜条件としては、例えば高周波放電により放電する場合、低温で良質な成膜を行うには、周波数として10kHz以上50MHz以下の範囲とすることが好ましい。また、出力は基体214の大きさに依存するが、基体の表面積に対して0.01W/cm以上0.2W/cm以下の範囲とすることが好ましい。基体214の回転速度は0.1rpm以上500rpm以下の範囲が好ましい。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ層である。
正孔輸送能を持つ層は、正孔輸送材料および結着樹脂を含む。一方、電子輸送能を持つ層は、電子輸送材料および結着樹脂を含む。
電子輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。これらの電子輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
一方、正孔輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電子輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
正孔輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
Figure 0007180105000001
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
Figure 0007180105000002
構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
なお、正孔輸送材料および電子輸送材料は、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いてもよい。特に、特開平8-176293号公報、特開平8-208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材料は特に好ましい。なお、高分子の正孔輸送材料および電子輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、具体的には、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合型、又はその共重合型)、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アクリル共重合体、アチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールTP等の単独重合型、又はその共重合型)が好ましい。ポリカーボネート樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。また、同様の点で、ポリカーボネート樹脂の中でも、ビスフェノールZの単独重合型ポリカーボネート樹脂を含むことがより好ましい。
結着樹脂の粘度平均分子量は、例えば、50000以下であることがよい。45000以下であることがよく、35000以下であってもよい。
粘度平均分子量の下限としては、結着樹脂としての特性を保持する点から、20000以上であることがよい。
ここで、結着樹脂の粘度平均分子量の測定は、以下の一点測定法が用いられる。
まず、測定対象となる感光体から、測定対象となる電荷輸送層を露出させる。そして、その電荷輸送層の一部を削り出し測定用試料を準備する。
次に、測定試料から結着樹脂を抽出する。抽出した結着樹脂1g分をメチレンクロライド100cmに溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計にて、その比粘度ηspを測定する。そして、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕cの関係式(ただしcは濃度(g/cm)より極限粘度〔η〕(cm/g)を求め、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10-4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を下引層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
なお、電荷輸送層形成用塗布液中に粒子(例えばシリカ粒子やフッ素樹脂粒子)を分散させる場合、その分散方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、10μm以上40μm以下がよく、10μm以上35μm以下が好ましく、15μm以上35μm以下がより好ましい。
(保護層)
保護層は、必要に応じて電荷輸送層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、-OH、-OR[但し、Rはアルキル基を示す]、-NH、-SH、-COOH、-SiRQ1 3-Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1~3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
[画像形成装置(及びプロセスカートリッジ)]
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、露光手段の露光波長よりも、電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長が大きいことがよい。それにより、電子写真感光体の下引層の電荷発生効率が高まる。
露光手段の露光波長および電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長は、例えば、370nm以上500nm以下の範囲内に有する態様が例示できる。
なお、電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長は、光吸収係数αが1000[cm-1]となる波長を指す。
媒質に入射する前の光の強度をIとしたとき、距離X進んだときのきの光の強度Iはランベルト・ベールの法則から光吸収係数αを用いて以下の式で定義される。
I=I × exp(-αX)
そして、下引層の光吸収係数αは、光度計による透過率測定やエリプソメーターなどの種々の測定手段により得ることができる。中でもエリプソメーターは導電性基体上の下引層を非破壊で測定できることから好ましい。光吸収係数αは、エリプソメーターで得られる消衰係数kにより、α=4πk/λ(λは光の波長)で算出される。
また、下引層の膜厚は、断面は断面SEMなどの観察やエリプソメーターにより測定することができる。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(露光手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。なお、画像形成装置100において、制御装置60(制御手段の一例)は、画像形成装置100内の各装置及び各部材の動作を制御する装置であり、各装置及び各部材と接続されて配置されている。
図4におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図4には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
-帯電装置-
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
-露光装置-
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。
電子写真感光体7において、電荷発生能を有する下引層表面の光吸収端波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有する場合、露光装置9としては、370nm以上500nm以下に露光波長(発振波長)の光源を持つ装置を適用することがよい。この範囲の露光波長(発振波長)の光源としては、青色レーザが例示される。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
-現像装置-
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
-クリーニング装置-
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
-転写装置-
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
-中間転写体-
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
-制御装置-
制御装置60は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置60は、例えば、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。そして、I/Oには、電子写真感光体7(駆動モータ30を含む)、帯電装置8、露光装置9、現像装置11、転写装置40等の画像形成装置100の各部が接続されている。
なお、CPUは、例えば、ROMや不揮発性メモリに記憶されているプログラム(例えば、画像形成シーケンスや回復シーケンス等)の制御プログラム)実行し、画像形成装置100の各部の動作を制御する。RAMは、ワークメモリとして使用される。ROMや不揮発性メモリには、例えば、CPUが実行するプログラムやCPUの処理に必要なデータ等が記憶されている。なお、制御プログラムや各種データは、記憶部等の他の記憶装置に記憶されていてもよいし、通信部を介して外部から取得されてもよい。
また、制御装置60には、各種ドライブが接続されていてもよい。各種ドライブとしては、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータ読み取り可能な可搬性の記録媒体からデータを読み込んだり、記録媒体に対してデータを書き込んだりする装置が挙げられる。各種ドライブを備える場合には、可搬性の記録媒体に制御プログラムを記録しておいて、これを対応するドライブで読み込んで実行してもよい。
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
なお、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記構成に限られず、例えば、電子写真感光体7の周囲であって、転写装置40よりも電子写真感光体7の回転方向下流側でクリーニング装置13よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、残留したトナーの極性を揃え、クリーニングブラシで除去しやすくするための第1除電装置を設けた形態であってもよいし、クリーニング装置13よりも電子写真感光体の回転方向下流側で帯電装置8よりも電子写真感光体の回転方向上流側に、電子写真感光体7の表面を除電する第2除電装置を設けた形態であってもよい。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、上記構成に限られず、周知の構成、例えば、電子写真感光体7に形成したトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の画像形成装置を採用してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は質量部を意味する。
<実施例1>
-下引層の形成-
ホーニング加工したアルミニウム基体(外径30mm、長さ365mm、厚み(肉厚)1.0mmの)の表面へ、水素を含む酸化ガリウムで構成された下引層(金属酸化物層)を形成した。この下引層(金属酸化物層)の形成は、図2に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、アルミニウム基体を成膜装置の成膜室210内の基体支持部材213に載せ、排気口211を介して成膜室210内を圧力が0.1Paになるまで真空排気した。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量2.0sccm)と水素ガス(流量50sccm)とを、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図2中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量2.2sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、アルミニウム基体を500rpmの速度で回転させながら60分間成膜し、アルミニウム基体表面に膜厚0.5μmの下引層を形成した。
下引層における、酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム)は1.21であった。
―下引層の評価―
アルミニウム基体に下引層を形成したものを切り出し、J.A.WOOLLAM社製分光エリプソメーターM-2000を用いて、波長1500nmから200nmの範囲で入射角65度、70度、75度で測定し、解析ソフトWVA32で解析し、消衰係数kと膜厚dを得た。波長と消衰係数kから各波長での光吸収係数αを求めた。そして、下引層表面の光吸収端波長を求めた。
-電荷輸送層の形成-
テトラヒドロフラン250質量部に、20℃の液温に保ちながら4-(2,2-ジフェニルエチル)-4’,4’’-ジメチル-トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30000)25質量部を加え、12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
以上の工程を経て、感光体を得た。
<実施例2~5>
成膜時間を調整し「下引層の膜厚」、ガス流量比を調整し「調整酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム=Ga/Ga)」を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。
<比較例1>
-下引層の作製-
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレック BM-1、積水化学工業社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部と混合し、混合液を得た。この混合液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて外径30mm、長さ365mm、厚み(肉厚)1.0mmのアルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を得た。
-電荷発生層の作製-
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
-電荷輸送層の作製-
テトラヒドロフラン250質量部に、20℃の液温に保ちながら4-(2,2-ジフェニルエチル)-4’,4’’-ジメチル-トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30000)25質量部を加え、12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
以上の工程を経て、感光体を得た。
<評価>
得られた感光体について、次の評価を実施した。結果を表1に示す。
(画像形成試験)
得られた新品の感光体を、画像形成装置「DocuCenter Color a450(富士ゼロックス社製)」の改造機(露光装置の光源を露光波長(発振波長)405nm±5の青色レーザに取り替えた改造機)に搭載した。
この改造機により、A4紙に、200lpiの網点スクリーン線数で、画像濃度Cin30%のハーフトーン画像を1000枚出力した。
その後、図6に示したテストチャートをA3に出力し、画像を目視にて観察し、次の評価基準で評価した。
A:階調再現が得られている、かつ、ハーフトーンに×が見えない
B:階調再現が得られているが、ハーフトーンに×が見える
C:階調再現は得られているが、画像濃度が低い、または高い、またはカブリがみられる
D:階調再現が得られない
(リサイクル試験)
上記画像形成試験を終了した後、感光体をリサイクルした。
具体的には、実施例の感光体は、溶剤(テトラヒドロフラン)により電荷輸送層を除去した後、再度、同じ手法により、溶剤により除去できなかった下引層上に電荷輸送層を形成し、感光体をリサイクルした。
一方、比較例の感光体は、溶剤(テトラヒドロフラン)により電荷発生層および電荷輸送層を除去した後、下引層上に電荷発生層および電荷輸送層を順次形成した。
そして、リサイクル品の感光体を使用し、再度、上記画像形成試験を実施した。
Figure 0007180105000003
上記結果から、本実施例の感光体は、比較例の感光体に比べ、少ない工程数でリサイクルできることがわかる。
また、本実施例の感光体のリサイクル品は、性能維持性にも優れることがわかる。
101 下引層、102 電荷輸送層、103 導電性基体、105 有機感光層、107A,7 電子写真感光体(感光体)、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑材、30 駆動モータ、40 転写装置、50 中間転写体、60 制御装置、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ、210 成膜室、211 排気口、212 基体回転部、213 基体支持部材、214 基体、215、220 ガス導入管、216 シャワーノズル、217 プラズマ拡散部、218 高周波電力供給部、219 平板電極、221 高周波放電管部、222 高周波コイル、223 石英管

Claims (6)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層であって、膜厚が0.1μm以上0.5μm以下の下引層と、
    前記下引層上に接して設けられ、正孔輸送材料および結着樹脂を含む正孔輸送能のみを持つ電荷輸送層、又は、電子輸送材料および結着樹脂を含む電子輸送能のみを持つ電荷輸送層と、
    を有する電子写真感光体。
  2. 前記下引層が、第13族元素および酸素を含む金属酸化物層からなる下引層である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記第13族元素が、ガリウムである請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記酸素及び前記第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)が1.1以上1.3以下である請求項2又は請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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