JP7180105B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
電子写真感光体としては、導電性を有する基体上に、電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、又は電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型感光体が知られている。
導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層と、
前記下引層上に設けられ、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ電荷輸送層と、
を有する電子写真感光体。
<2>
前記下引層の膜厚が、0.05μm以上10μm以下である前記<1>に記載の電子写真感光体。
<3>
前記下引層の膜厚が、0.1μm以上1μm以下である前記<2>に記載の電子写真感光体。
<4>
前記下引層が、第13族元素および酸素を含む金属酸化物層からなる下引層である前記<1>~<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5>
前記第13族元素が、ガリウムである前記<4>に記載の電子写真感光体。
<6>
前記酸素及び前記第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)が1.00以上1.40以下である前記<4>又は<5>に記載の電子写真感光体。
<7>
前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<8>
前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<9>
前記露光手段の露光波長よりも、前記電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長が大きい前記<8>に記載の画像形成装置。
<10>
前記露光手段の露光波長、及び前記電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長が、370nm以上500nm以下の範囲内に有する前記<9>に記載の電子写真感光体。
<2>、又は<3>に係る発明によれば、下引層の厚さが、0.05μm未満である場合に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体が提供される。
<7>、<8>、<9>、又は<10>に係る発明によれば、下引層及び感光層に結着樹脂を含む積層型有機電子写真感光体に比べ、リサイクル性に優れた電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下、「感光体」とも称する)は、導電性基体と、導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層と、導電性基体上に設けられ、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ電荷輸送層と、を有する。
また、感光層を除去する溶剤に下引層が溶解しない場合、下引層を再利用し、感光層の塗布工程のみを経て、感光体がリサイクルされる。しかし、下引層を再利用する場合、下引層は、感光層を除去する溶剤に接触するため、少なからず成分が溶剤に溶出するため、感光体のリサイクル品は電気特性が低下する傾向がある。そして、リサイクルの回数が増えれば、感光体の電気特性の低下は大きくなる。
このように、本実施形態に係る感光体のリサイクル品は、少なくとも1回の塗布工程、つまり、少ない工程数で得られる。また、溶剤の接触による下引層の電気特性の劣化も生じ難いため、性能維持性も高い。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
下引層は、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる。つまり、下引層は、金属酸化物層からなる電荷発生層に相当する。
下引層は、例えば、ガリウムおよび酸素を含む金属酸化物からなる場合、下引層表面の光吸収端波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有し、露光手段から露光波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有する露光光の照射により、電荷が発生する。
これらの中でも、金属酸化物層からなる下引層としては、機械的強度、及び電荷発生能の向上の観点から、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物からなる金属酸化物層が好ましい、
第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、例えば、酸化ガリウム層、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ホウ素等の金属酸化物、又はこれらの混晶が挙げられる。
特に、第13族元素及び酸素を含有する金属酸化物としては、機械的強度、及び電荷発生能の向上の観点から、特に酸化ガリウムが好ましい。
つまり、下引層は、ガリウム及び酸素を含む金属酸化物層からなる下引層であることが好ましい。
例えば、下引層表面の光吸収端波長を370nm以上500nmとし、露光手段から露光波長370nm以上500nmの露光光の照射により、電荷が発生するには、酸素及び第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)を1.00以上1.40以下(好ましくは1.1以上1.3以下)とすることがよい。
金属酸化物層からなる下引層は、導電型の制御のために、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよく、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
なお、RBSでは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは約109°とする。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて厚みを算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFS測定では、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS-400を用い、システムとして3S-R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。そして、HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
金属酸化物層からなる下引層の体積抵抗率は、5.0×107Ωcm以上1.0×1012Ωcm未満が好ましく、8.0×107Ωcm以上7.0×1011Ωcm以下がより好ましく、1.0×108Ωcm以上5.0×1011Ωcm以下がさらに好ましく、5.0×108Ωcm以上2.0×1011Ωcm以下が特に好ましい。
なお、測定試料は、測定対象となる下引層の成膜時の同条件でアルミ基体上に成膜し、その成膜物上に真空蒸着により金電極を形成し得られた試料であってもよいし、又は作製後の電子写真感光体から下引層を露出させ、一部エッチングして、これを一対の電極で挟み込んだ試料であってもよい。
なお、結晶性、非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別される。
下引層の形成には、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
また、成膜室210内には、基体回転部212が設けられており、円筒状の基体214が、シャワーノズル216の長手方向と基体214の軸方向とが沿って対面するように基体支持部材213を介して基体回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部212が回転することによって、基体214が周方向に回転する。なお、基体214としては、導電性基体が用いられる。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H2)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
基体214としては、導電性基体を用いる。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の下引層を得る。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基体214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが好ましい。
電荷輸送層は、正孔輸送能又は電子輸送能を持つ層である。
正孔輸送能を持つ層は、正孔輸送材料および結着樹脂を含む。一方、電子輸送能を持つ層は、電子輸送材料および結着樹脂を含む。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
粘度平均分子量の下限としては、結着樹脂としての特性を保持する点から、20000以上であることがよい。
まず、測定対象となる感光体から、測定対象となる電荷輸送層を露出させる。そして、その電荷輸送層の一部を削り出し測定用試料を準備する。
次に、測定試料から結着樹脂を抽出する。抽出した結着樹脂1g分をメチレンクロライド100cm3に溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計にて、その比粘度ηspを測定する。そして、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3)より極限粘度〔η〕(cm3/g)を求め、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10-4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvを求める。
保護層は、必要に応じて電荷輸送層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
露光手段の露光波長および電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長は、例えば、370nm以上500nm以下の範囲内に有する態様が例示できる。
なお、電子写真感光体の下引層表面の光吸収端波長は、光吸収係数αが1000[cm-1]となる波長を指す。
媒質に入射する前の光の強度をI0としたとき、距離X進んだときのきの光の強度Iはランベルト・ベールの法則から光吸収係数αを用いて以下の式で定義される。
I=I0 × exp(-αX)
そして、下引層の光吸収係数αは、光度計による透過率測定やエリプソメーターなどの種々の測定手段により得ることができる。中でもエリプソメーターは導電性基体上の下引層を非破壊で測定できることから好ましい。光吸収係数αは、エリプソメーターで得られる消衰係数kにより、α=4πk/λ(λは光の波長)で算出される。
また、下引層の膜厚は、断面は断面SEMなどの観察やエリプソメーターにより測定することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(露光手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。なお、画像形成装置100において、制御装置60(制御手段の一例)は、画像形成装置100内の各装置及び各部材の動作を制御する装置であり、各装置及び各部材と接続されて配置されている。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。
電子写真感光体7において、電荷発生能を有する下引層表面の光吸収端波長が370nm以上500nm以下の範囲内に有する場合、露光装置9としては、370nm以上500nm以下に露光波長(発振波長)の光源を持つ装置を適用することがよい。この範囲の露光波長(発振波長)の光源としては、青色レーザが例示される。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
制御装置60は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。具体的には、制御装置60は、例えば、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)、各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)、プログラムの実行時にワークエリアとして使用されるRAM(Random Access Memory)、各種情報を記憶する不揮発性メモリ、及び入出力インターフェース(I/O)を備えている。CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、及びI/Oの各々は、バスを介して接続されている。そして、I/Oには、電子写真感光体7(駆動モータ30を含む)、帯電装置8、露光装置9、現像装置11、転写装置40等の画像形成装置100の各部が接続されている。
図5に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
-下引層の形成-
ホーニング加工したアルミニウム基体(外径30mm、長さ365mm、厚み(肉厚)1.0mmの)の表面へ、水素を含む酸化ガリウムで構成された下引層(金属酸化物層)を形成した。この下引層(金属酸化物層)の形成は、図2に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
次に、He希釈40%酸素ガス(流量2.0sccm)と水素ガス(流量50sccm)とを、ガス導入管220から直径85mmの平板電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図2中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力150Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(流量2.2sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は5.3Paであった。
この状態で、アルミニウム基体を500rpmの速度で回転させながら60分間成膜し、アルミニウム基体表面に膜厚0.5μmの下引層を形成した。
下引層における、酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム)は1.21であった。
アルミニウム基体に下引層を形成したものを切り出し、J.A.WOOLLAM社製分光エリプソメーターM-2000を用いて、波長1500nmから200nmの範囲で入射角65度、70度、75度で測定し、解析ソフトWVA32で解析し、消衰係数kと膜厚dを得た。波長と消衰係数kから各波長での光吸収係数αを求めた。そして、下引層表面の光吸収端波長を求めた。
テトラヒドロフラン250質量部に、20℃の液温に保ちながら4-(2,2-ジフェニルエチル)-4’,4’’-ジメチル-トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30000)25質量部を加え、12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で40分間乾燥し、膜厚が30μmの電荷輸送層を形成し、電子写真感光体を得た。
成膜時間を調整し「下引層の膜厚」、ガス流量比を調整し「調整酸素とガリウムとの元素組成比(酸素/ガリウム=Ga/Ga)」を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を得た。
-下引層の作製-
酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
前記表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと攪拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(エスレック BM-1、積水化学工業社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部と混合し、混合液を得た。この混合液38質量部とメチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて外径30mm、長さ365mm、厚み(肉厚)1.0mmのアルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い厚さ19μmの下引層を得た。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3°、16.0°、24.9°、28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、n-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
テトラヒドロフラン250質量部に、20℃の液温に保ちながら4-(2,2-ジフェニルエチル)-4’,4’’-ジメチル-トリフェニルアミン25質量部、結着樹脂として、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:30000)25質量部を加え、12時間攪拌混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
得られた感光体について、次の評価を実施した。結果を表1に示す。
得られた新品の感光体を、画像形成装置「DocuCenter Color a450(富士ゼロックス社製)」の改造機(露光装置の光源を露光波長(発振波長)405nm±5の青色レーザに取り替えた改造機)に搭載した。
この改造機により、A4紙に、200lpiの網点スクリーン線数で、画像濃度Cin30%のハーフトーン画像を1000枚出力した。
その後、図6に示したテストチャートをA3に出力し、画像を目視にて観察し、次の評価基準で評価した。
A:階調再現が得られている、かつ、ハーフトーンに×が見えない
B:階調再現が得られているが、ハーフトーンに×が見える
C:階調再現は得られているが、画像濃度が低い、または高い、またはカブリがみられる
D:階調再現が得られない
上記画像形成試験を終了した後、感光体をリサイクルした。
具体的には、実施例の感光体は、溶剤(テトラヒドロフラン)により電荷輸送層を除去した後、再度、同じ手法により、溶剤により除去できなかった下引層上に電荷輸送層を形成し、感光体をリサイクルした。
一方、比較例の感光体は、溶剤(テトラヒドロフラン)により電荷発生層および電荷輸送層を除去した後、下引層上に電荷発生層および電荷輸送層を順次形成した。
そして、リサイクル品の感光体を使用し、再度、上記画像形成試験を実施した。
また、本実施例の感光体のリサイクル品は、性能維持性にも優れることがわかる。
Claims (6)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられ、電荷発生能を有する金属酸化物層からなる下引層であって、膜厚が0.1μm以上0.5μm以下の下引層と、
前記下引層上に接して設けられ、正孔輸送材料および結着樹脂を含む正孔輸送能のみを持つ電荷輸送層、又は、電子輸送材料および結着樹脂を含む電子輸送能のみを持つ電荷輸送層と、
を有する電子写真感光体。 - 前記下引層が、第13族元素および酸素を含む金属酸化物層からなる下引層である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記第13族元素が、ガリウムである請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記酸素及び前記第13族元素の元素構成比率(酸素/第13族元素)が1.1以上1.3以下である請求項2又は請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面を露光し、静電潜像を形成する露光手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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