図1は、本実施形態に係る管路選択装置が取り付けられた管内検査装置の構成図である。同図に示すように、管路選択装置1は、管Z内を移動可能に構成された推進装置2に接続され、管Z内を検査する検査装置4を構成する。本実施形態に係る管路選択装置1は、例えば、後述の推進装置2に着脱可能に構成される。
図2は、本実施形態に係る管路選択装置1の概略構成図である。同図に示すように、管路選択装置1は、管路選択動作部6と、管路選択制御部70とを備える。管路選択動作部6は、概略、伸縮部10と、回転部30と、曲がり部50とで構成される。
図3は、伸縮部10の軸方向断面図である。本実施形態に係る伸縮部10は、液体、気体等の流体の給排、すなわち、流体の圧力により一方向に伸縮可能に構成される。つまり、伸縮部10は、伸縮方向が規定されている。なお、以下の説明では、伸縮部10は、流体の一つである空気の圧力(空気圧)により動作するものとして説明する。例えば、伸縮部10は、二重管を形成するように設けられた内筒11及び外筒12と、内筒11及び外筒12の端部を閉鎖するとともに、内筒11及び外筒12の二重管の関係を維持する一対の端部部材13;13と、内筒11の外周を覆うように内筒11と外筒12との間に設けられるコイル状の引張バネ15とを備える。
内筒11及び外筒12は、気密性及び可撓性を有し、非伸縮性の素材で形成された筒体である。内筒11及び外筒12には、例えば、軸方向に伸縮が可能であり、半径方向に膨縮しない蛇腹状のチューブや、アルミを蒸着させたシートを丸めて筒状にしたものなどで良い。好ましくは、伸縮時の抵抗が小さい素材で構成することにより、軸方向に伸縮するときの応答性を向上させることができる。なお、内筒11及び外筒12の軸方向の長さ等の寸法については後述する。
端部部材13;13は、軸方向に貫通する中空部を有する環体であって、厚肉の大径部16と、大径部16の一方の端面16cから突出するように形成された薄肉の小径部17とを備える。小径部17は、外径が内筒11の内周側に挿入可能な寸法で形成され、内筒11の内周に挿入した状態で内筒11の外周17b側からホースバンドや紐などの固定手段18で締め付けることで内筒11が固定される。
大径部16の外周面16bには、引張バネ15を取り付けるためのバネ取付部19と、外筒12を固定するための外筒固定部20とが設けられる。バネ取付部19は、外周面16bの小径部17側に設けられる。
バネ取付部19は、例えば、大径部16の端面16cから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部19に取り付けられる引張バネ15を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ15が固定される。端部部材13;13は、バネ取付部19に引張バネ15を固定することにより、外力が働かない状態において引張バネ15の自然長分離間し、軸方向内向きのけん引力がバネ取付部19により作用した状態にある。
外筒固定部20は、例えば、外筒12の内周側に挿入可能な円筒面として形成され、外筒12の端部を固定可能に設けられる。外筒固定部20は、バネ取付部19に引張バネ15を取り付け、さらに外筒12の端部を固定したときに、引張バネ15と外筒12とが接触しない、或いは接触が最小化されるように引張バネ15の外径よりも大きく形成すると良い。そして、内筒11及び引張バネ15を端部部材13;13に取り付けた状態で、外筒12を引張バネ15の外周に被せ、外筒12の端部を外周側からバンド等の固定手段14により外筒固定部20に向けて締め付け、固定することで端部部材13;13に一体化される。これにより、内筒11の外周面11b及び外筒12の内周面12a及び一対の端部部材13;13により囲まれる筒状の閉空間の流体室Sが形成される。
ここで、内筒11及び外筒12と引張バネ15の関係について説明する。本実施形態に係る伸縮部10では、前述のように端部部材13;13に引張バネ15を取付け、引張バネ15が自然状態において内筒11及び外筒12が収縮状態にあるように内筒11及び外筒12の長さが設定される。内筒11及び外筒12の収縮状態は、後述の動作を満たすように設定すれば良い。
一方の端部部材13には、流体室Sへの空気の給排を可能とする空気給排部21が設けられる。空気給排部21は、例えば、大径部16の一方の端面16cから他方の端面16dに貫通する孔として形成され、後述の管路選択制御部70から延長するチューブ75が接続される(図2参照)。
さらに、空気給排部21の形成された端部部材13の内周13aの小径部17側には、伸縮部10と回転部30とを連結する引張バネ23を取り付けるためのバネ取付部22が設けられる。バネ取付部22は、例えば、小径部17の端面17cから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部22に取り付けられる引張バネ23の巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ23を固定可能に形成される。バネ取付部22に取り付けられた引張バネ23は、図2に示すように、他方の端部部材13の内周13a側を貫通し、回転部30に接続される。
また、引張バネ23が貫通する他方の端部部材13の大径部16の外周面16bには、引張バネ23とともに伸縮部10と回転部30とを連結する引張バネ25を取り付けるためのバネ取付部24が設けられる。バネ取付部24は、例えば、大径部16の端面16dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部24に取り付けられる引張バネ25を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ25を固定可能に形成される。
図3(b)に示すように、伸縮部10は、空気給排部21から流体室Sに空気を供給することにより、引張バネ15の付勢力に打ち勝って軸C方向に伸長し、流体室Sから空気を排出することによって、引張バネ15の付勢力により図3(a)に示す状態へと収縮する。伸縮部10が、伸長する長さL(以下、伸長長さLという)は、後述の管路選択制御部70により制御される。
図4は、回転部30の断面図である。図5は、回転子32に設けられたカム歯40と、制御子33に設けられたカム受歯46との関係を示す斜視図及び展開図である。図4に示すように、回転部30は、基体31と、基体31に対して回転可能に取り付けられる回転子32と、回転子32の回転を制御する制御子33とを備える。
基体31は、円筒状の筒体からなり内周に伸縮部10から延長する引張バネ23を取り付けるためのバネ取付部34を備え、引張バネ23により伸縮部10の後方の端部部材13と接続される。バネ取付部34は、例えば、基体31の軸方向の一端側の端面31dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部34に取り付けられる引張バネ23の巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ23を固定可能に形成される。また、基体31の他端側の外周には、回転子32を回転可能に取り付けるためのベアリング35の内周が嵌着される。
回転子32は、概略円筒状に形成された筒体からなり、外径が小さい円筒面として形成された小径部36と、小径部36よりも外径の大きい大径部37とを備える。
回転子32は、小径部36側の内周が、基体31に取り付けられたベアリング35の外周に嵌着され、基体31に対して回転自在に取り付けられる。
小径部36の外周には、回転子32を回転させるためのカム歯40が円周方向に沿って複数設けられる。図5(b)に示すように、カム歯40は、平面視において台形状に形成される。カム歯40を形成する台形の上底及び下底である辺40a及び辺40bは、軸C方向に沿って延長し、脚となる辺40m;40mは、同じ長さの等脚台形として形成される。辺40aと、辺40mとが交差する角度θは、カム歯40と噛み合うカム受歯46に応じて設定される。この辺40aと辺40mとが交差する点を頂部40Tという。この辺40m;40mは、カム歯40における歯面を形成し、以下の説明では辺40m;40mを含む面を歯面といい、特に進行方向前側を前方歯面40A、後側を後方歯面40Bという。
大径部37の外周には、曲がり部50を形成する引張バネ51を取り付けるためのバネ取付部41が設けられる。バネ取付部41は、例えば、回転子32の軸方向の一端側の端面32dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部41に取り付けられる引張バネ51を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで固定可能に形成される。
制御子33は、外径が小さい円筒面として形成された小径部42と、小径部42よりも外径の大きい大径部43とを有する筒体からなり、回転子32の小径部36の外周に設けられ、小径部36の外周を軸方向に移動可能に設けられる。
小径部42の外周には、基体31から延長する引張バネ25の他端側を取り付けるためのバネ取付部45が設けられる。バネ取付部45は、例えば、小径部42の端面42dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部45に取り付けられる引張バネ25を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ25を固定可能に形成される。
制御子33の内周面33aは、円筒面状に形成され、回転子32の外周36bに形成されたカム歯40に作用するカム受歯46が設けられる。図4,5に示すように、カム受歯46は、内周面33aにおける突部として形成され、回転子32の小径部36の外周36bに制御子33を配置したときに、回転子32に形成されたカム歯40を軸方向両側から挟み込むように、所定距離離間して一対設けられる。つまり、制御子33は、一対のカム受歯46が回転子32のカム歯40に衝接する範囲内で軸方向に移動可能である。以下、カム歯40よりも進行方向前側のカム受歯46を前方カム受歯46A、後側のカム受歯46を後方カム受歯46Bとして説明する。
前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bは、それぞれ円周方向に複数のカム山を有する。本実施形態の前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bを構成するカム山は、同一形状及び同一数形成され、互いのカム山が略対向するように設けられる。前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bを形成するカム山は、カム歯40の歯面40A又は歯面40Bと対向し、同一方向に傾斜する歯面47と、軸C方向に沿って延長し、歯面47と交差するように延長する延長面48とでくさび状に形成される。即ち、前方カム受歯46Aの歯面47と後方カム受歯46Bの歯面47は、円周方向に同一方向を向けて形成される。
前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bは、例えば、前方カム受歯46Aのカム山の頂部46Tと後方カム受歯46Bのカム山の頂部46Tとが円周方向に半ピッチ分位置ずれして形成される。ここでいうピッチとは、隣接するカム山の頂部46T間の円周方向の距離である。
本実施形態では、図5(b)に示すように、前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bの歯面47と延長面48とが交差する角度αを30°として説明する。この場合、上述のカム歯40の頂部40Tにおける角度θは、30°に設定される。なお、角度αは、30°に限定されず適宜設定すれば良い。
図6は、カム歯40及びカム受歯46(46A;46B)の作用を示す図である。前述のように前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bの頂部46T;46Tの位置をずらすことにより、前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bは、カム歯40に対して次のように作用する。
図6(a)に示すように、カム歯40が前方カム受歯46Aに噛み合った状態を初期状態とする。このときの後方カム受歯46Bの頂部47Tの位置をp1とし、この状態から制御子33が回転子32の軸方向前方に位置p2まで移動すると、図6(b)に示すように、前方カム受歯46A及び後方カム受歯46Bが前方に移動し、後方カム受歯46Bの歯面47がカム歯40の後方歯面40Bに衝接する。
後方カム受歯46Bの歯面47とカム歯40の後方歯面40Bとが衝接した状態から、さらに、制御子33が位置p2から位置p3へと前方に移動することにより、後方カム受歯46Bの歯面47が、カム歯40の後方歯面40Bに押し付けられてカム歯40を歯面47の傾斜に沿って移動させながら円周方向に回転させる。
そして、最終的に、図6(c)に示すように、カム歯40の頂部40Tが後方カム受歯46Bのカム谷46Vに衝突することにより、回転子32の回転が停止する。つまり、カム歯40が形成された回転子32は、後方カム受歯46Bの歯面47に衝接し、カム谷46Vに衝突して停止するまでの間、制御子33に対して円周方向に回転する。
また、図6(c)に示す状態から、制御子33が位置p3から位置p4へと後方に移動すると、図6(d)に示すように、前方カム受歯46Aの歯面47がカム歯40の前方歯面40Aに衝接する。
この衝接した状態から、さらに、制御子33が位置p4から位置p1へと後方に移動することにより、前方カム受歯46Aの歯面47が、カム歯40の前方歯面40Aに押し付けられてカム歯40を歯面47の傾斜に沿って移動させながら円周方向に回転させる。
そして、最終的に、図6(e)に示すように、カム歯40の頂部40Tが前方カム受歯46Aのカム谷46Vに衝突することにより、回転子32の回転が停止する。つまり、カム歯40が形成された回転子32は、前方カム受歯46Aの歯面47に衝接し、カム谷46Vに衝突して停止するまでの間、制御子33に対して円周方向に回転する。
即ち、回転部30は、上述のように、制御子33が回転子32に対して前方、或いは後方に移動する毎に、一方向に回転する所謂オルタネイト機構を制御子33との間で構成する。
前述の後方カム受歯46Bが移動する位置p1~p3の距離、及び位置p3~p1の距離は、制御子33の移動した距離であり、以下、この距離を回転ストロークという。
ここで、伸縮部10と回転部30とを連結する引張バネ23及び引張バネ25について説明する。回転部30は、基体31が伸縮部10の後方の端部部材13に引張バネ23により連結され、制御子33が伸縮部10の前方の端部部材13に引張バネ25により連結される。引張バネ23;25は、伸縮部10が伸縮することにより、制御子33を回転子32に対して移動させるように構成される。
図6(a)に示す状態を初期状態とした場合、引張バネ25は、伸縮部10と回転部30とに取り付けられた状態において、少なくとも制御子33がp1からp3に移動したときに、伸縮部10と回転部30とが接触しないように軸方向の長さを設定すると良い。また、引張バネ25は、自然状態において巻線同士が実質的に接触状態にあるか、それ以外の場合には、引張バネ23よりも付勢力の大きいものを用いると良い。引張バネ23は、引張バネ25に応じて長さや付勢力等を設定すれば良い。引張バネ23及び引張バネ25は、伸縮部10が収縮した状態において無負荷状態であることが好ましい。
このように、引張バネ23及び引張バネ25を設定し、伸縮部10を伸長させることにより、図6(a)乃至(c)に示すように、回転部30の基体31が引張バネ23の付勢力により後方に引かれ、制御子33が引張バネ25により前方に押されて回転子32が回転する。また、伸縮部10を収縮させることにより、図6(c)乃至(e)に示すように、基体31が引張バネ23の付勢力により後方に引かれ、制御子33が引張バネ25とともに後方に引かれて回転子32が回転する。
図2に示すように、曲がり部50は、回転子32から延長する引張バネ51と、連結体52と、引張バネ53と、先端部54とで概略構成される。
連結体52は、円筒状に形成された筒体であって、後方側の外周に引張バネ51を取り付けるバネ取付部52Aと、他端側に引張バネ53を取り付けるバネ取付部52Bとを備える。
バネ取付部52Aは、例えば、連結体52の軸方向の端面52dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部52Aに取り付けられる引張バネ51を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで固定可能に形成される。
バネ取付部52Bは、例えば、連結体52の軸方向の端面52cから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部52Bに取り付けられる引張バネ53を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで固定可能に形成される。
連結体52から前方に延長する引張バネ53は、一端側と他端側とでばね特性が異なる引張バネからなる。具体的には、引張バネ53は、一端側のばね定数が大きく他端側のばね定数が小さくなる非線形ばねからなり、ばね定数の大きい側が前述の連結体52のバネ取付部52Bに取り付けられる。
先端部54は、例えば、円筒状の筒部57と、筒部57の一端側に球状に膨出する球状部58とを備える。筒部57は、外周にバネ取付部59が設けられ、連結体52から延長する引張バネ53が取り付けられる。
バネ取付部59は、例えば、筒部57の端面57dから軸方向に沿って延長する螺旋溝として形成され、当該バネ取付部59に取り付けられる引張バネ53を巻線方向に沿って回転させながらねじ込むことで引張バネ53を固定可能に形成される。
球状部58は、筒部57の中心軸を半径とする半球状に形成される。球状部58は、例えば、透明なアクリル等の素材により構成され、内部には、管Z内を検査するためのカメラ214や照明213等の撮影手段が収容される。
先端部54には、当該先端部54から伸縮部10の端部部材13までの長さを拘束する拘束体61を取り付けるための取付部60が設けられる。取付部60は、例えば、引張バネ53の内周側、かつ軸Cから離れた位置に設けると良い。
拘束体61は、例えば、ワイヤー等の可撓性を有し、非伸縮の紐状のものであればどのようなものであっても良い。
拘束体61は、一端が先端部54の取付部60に固定され、先端部54に取り付けられた引張バネ53、連結体52、引張バネ51、回転部30、引張バネ23の内周を通り、他端が伸縮部10の進行方向後方に位置する端部部材13に設けられた取付部29に他端が固定される。
拘束体61は、先端部54及び端部部材13に固定された状態において、弛みのないように長さを調節して取り付けると良い。例えば、先端部54の取付部60から端部部材13の取付部29までの直線距離と、固定された拘束体61の長さが一致するように取り付けると良い。
曲がり部50は、前述のように、伸縮部10の後方の端部部材13と拘束体61により接続されたことにより、伸縮部10を伸長させることで先端部54が拘束体61により後方に牽引される。拘束体61は、引張バネ53の軸Cに対して偏心した位置の取付部60に固定されているため、引張バネ53の収縮に偏りを生じさせ、牽引側に曲率中心が位置するように湾曲する(図7(c)参照)。
図2に示すように、管路選択制御部70は、空気給排装置71と、管路選択制御ユニット72とを備える。空気給排装置71は、概略、コンプレッサー73、給排弁74、チューブ75等により構成される。コンプレッサー73は、圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を所定の圧力に調整し、配管を介して給排弁74に供給する。
給排弁74は、チューブ75を介して伸縮部10に接続され、コンプレッサー73から供給された圧縮空気を伸縮部10に供給、伸縮部10に供給した圧縮空気を排出可能に構成される。給排弁74は、例えば、電気的な信号に基づいて動作する電磁弁であって、管路選択制御ユニット72と電気的に接続され、管路選択制御ユニット72から入力される信号に基づいて動作する。
管路選択制御ユニット72は、例えば、演算処理手段としてのCPU、記憶手段としてのRAMやROM、入出力手段としてのインターフェースなどのハードウェアを備えるコンピュータであって、記憶手段に記憶させたプログラムを演算処理手段が演算処理することにより、給排弁74の動作を制御するための信号を出力する。
管路選択制御ユニット72は、操作盤77が接続され、操作盤77における操作に応じて給排弁74に異なる信号を出力する。操作盤77には、例えば、回転ボタンと、曲げ調整ダイヤルと、解除ボタンとが設けられる。
図7は、管路選択動作部6の動作を示す図である。
回転ボタンは、曲がり部50を軸C周りに回転させるための入力手段であって、管路選択制御ユニット72を次のように動作させる。
例えば、回転ボタンが1回押下されると、管路選択制御ユニット72は、伸縮部10を回転ストローク分、伸長させるだけの空気を流体室Sに供給し、その状態を維持するように給排弁74に信号を出力する。これにより、曲がり部50は、図7(a)に示す状態から図7(b)に示すように、軸C周りに30°回転する。
さらに、この状態から回転ボタンが追加で押下されると、管路選択制御ユニット72は、伸縮部10を回転ストローク分一度伸縮させるように流体室Sから空気を給排し、その状態を維持するように給排弁74に信号を出力する。これにより、曲がり部50は、軸C周りに60°回転し、回転ボタンの操作開始時から90°回転することになる。
曲げ調整ダイヤルは、曲がり部50の湾曲を制御するための入力手段であって、管路選択制御ユニット72を次のように動作させる。管路選択制御ユニット72は、回転ボタンが操作されず、曲げ調整ダイヤルが操作された場合、伸縮部10を回転ストロークよりもさらに伸長させるとともに、曲げ調整ダイヤルの操作量に対応するように、流体室Sに空気を供給し、その状態を維持するように給排弁74に信号を出力する。これにより、曲がり部50は、軸C周りに30°回転した後に、曲げ調整ダイヤルの操作量分、図7(c)に示すように、湾曲する。
また、管路選択制御ユニット72は、回転ボタンの操作後に、曲げ調整ダイヤルが操作された場合、曲げ調整ダイヤルの操作量に対応するように、流体室Sに空気を供給し、その状態を維持するように給排弁74に信号を出力する。これにより、曲がり部は50は、回転ボタンの操作により軸C周りに回転した状態のまま、曲げ調整ダイヤルの操作量分、図7(c)に示すように、湾曲する。
解除ボタンは、回転ボタン及び曲げ調整ダイヤルの操作状態を解除するための入力手段であって、次のように管路選択制御ユニット72を動作させる。管路選択制御ユニット72は、解除ボタンが操作されると、伸縮部10の流体室Sから空気を排出するように給排弁74に信号を出力する。これにより、曲がり部50は、湾曲状態が開放されるとともに、解除ボタンの操作前の状態から30°回転して、初期状態に戻る。
なお、管路選択制御部70の構成は、前述の構成に限定されず、適宜、伸縮部10の伸縮、回転部30の回転、曲がり部50の湾曲を制御できるものであれば良い。
以下、前述の管路選択装置1が取り付けられる推進装置2の一例について説明する。推進装置2は、管Z内に設けられる移動部8と、管Z外に設けられ、移動部8の動作を制御する推進制御部160とで構成される。図1に示すように、移動部8は、概略、複数(本例では4つ)の膨縮ユニット80で構成される。
図8は、膨縮ユニット80の軸方向断面図である。図9は、外筒83を半径方向に切断した切断面を誇張して示した図である。
図8に示すように、膨縮ユニット80は、軸線方向に伸縮可能な筒状の内筒81の外周に二重管を形成するように筒状の外筒83を設け、内筒81及び外筒83の端部を気密を有するようにフランジ82;82を取り付けることにより、内筒81に外周と外筒83の内周及びフランジ82;82とで囲まれる閉空間としての気室Vが形成される。
図9に示すように、外筒83は、弾性体より形成される円筒状の筒本体83Aと、当該筒本体83Aの内部において密に内挿された複数の規制繊維83Bとから構成される。規制繊維83Bは、筒本体83Aの軸線方向に沿って延長し、外筒83の軸方向への伸長を拘束する これにより、図8(a),(b)に示すように、膨縮ユニット80は、気室Vに空気を供給することにより、半径方向に膨張するとともに軸方向に収縮し、空気を排気することにより、半径方向に収縮するとともに軸方向に伸長する。
フランジ82;82には、連結体を介して膨縮ユニット80同士を連結するための連結部87が設けられる。連結部87は、フランジ82;82の内周面を円周方向に沿って窪む内周溝87Aと、円周方向に沿って所定間隔を空けて端面82b;82bから内周溝87Aに到達するように円弧状に窪む複数の切欠き87Bとにより構成される。
また、一方のフランジ82には、気室Vへの空気の供給、気室Vからの空気の排気を制御する弁90が設けられる。
図8(a)に示すように、弁90は、フランジ82に一体的に形成される。フランジ82には、例えば、該フランジ82の軸線に沿う円筒状の空間として弁室93と、気室Vに供給する空気が流入する流入路92と、気室V内に供給された空気を内筒81の内周空間に放出する放出路96と、気室V内に空気が流入出する給排路95とが形成される。
流入路92は、一端が弁室93に開口し、他端に制御部から延長するチューブを挿入可能に外部に向けて開口する。流入路92の弁室93の開口部には、平板状の弁体94が設けられる。弁体94は、流入路92に空気が供給されたときには、弁室93側の開口を開き、流入路92への空気の供給が停止したときには、弁室93側の開口を閉鎖するように付勢手段により付勢される。
流入路92に流入した空気は、弁室93、及び弁室93に一端が開口し、他端がフランジ82の外周に開口する給排路を経て気室Vに供給される。気室Vに供給された空気は、給排路、弁室93及び放出路を経て内筒81の内周側の空間に放出される。
図10は、膨縮ユニット80を連結する連結体の斜視図である。膨縮ユニット80は、例えば、連結体105により連結される。連結体105は、円筒体例えば樹脂や硬質のゴムにより構成された円筒体からなり、両端側の外周に、フランジ82;82の内周に形成された複数の切欠き87Bに対応する複数の係合片106が設けられる。係合片106は、連結体105の円周方向に沿って所定長さの円弧状に延在するように外周面に突設される。連結体105は、係合片106を連結部87の切欠き87Bに一致させて押し込み、内周溝87Aに沿って回転させることで、膨縮ユニット80同士を連結する。
なお、各膨縮ユニット80は、弁90を有するフランジ82が後側に位置するように連結体105により連結され、移動部8を構成する(図1参照)。
図1に示すように、推進制御部160は、概略、膨縮ユニット80に供給するための圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、圧縮空気生成部により生成された圧縮空気を各膨縮ユニット80に個別に分配する分配部162とで構成される。
圧縮空気生成部は、例えば、前述の空気給排装置71を構成するコンプレッサー73を利用することができ、コンプレッサー73により所定圧力に調圧された空気を分配部162に供給する。
分配部162は、例えば複数の電磁弁166で構成され、推進部を構成する膨縮ユニット80の数量分の電磁弁166を備える。各電磁弁166には、レギュレータから延長する分配管が接続され、調圧された圧縮空気が流入可能に構成される。また、各電磁弁166は、個別に膨縮ユニット80とチューブ167を介して接続され、流入した圧縮空気をチューブ167を介して供給可能に構成される。つまり、電磁弁166と膨縮ユニット80が一対一の関係にある。
電磁弁166は、推進制御ユニット165と電気的に接続され、推進制御ユニット165から入力される信号に基づいて、各膨縮ユニット80への圧縮空気の供給及び供給の停止が制御される。
推進制御ユニット165は、各膨縮ユニット80に圧縮空気を供給するタイミング及び供給時間を制御することにより、蠕動運動を模した動作を推進部に行わせることで、管内における推進力が得られる。
推進制御ユニット165は、各電磁弁166と個別に電気的に接続される。推進制御ユニット165は、演算処理手段としてのCPU、RAM,ROMなどの記憶手段、入出力ポート等の入出力手段などのハードウェアを備えるコンピュータであって、ROMに記憶させたプログラムをCPUで演算処理することでプログラムに書かれた制御信号を図示しない出力ポートから電磁弁166に個別に信号を出力する。
推進制御ユニット165から電磁弁166に出力される信号には、収縮信号、収縮維持信号が出力され、各信号に基づいて電磁弁166の動作を制御する。収縮信号は、外筒83の外周面が管Zの内壁面に到達するまで気室Vに圧縮空気を供給する信号である。また、収縮維持信号は、管Zの内壁面に到達した外筒83がその状態を維持する信号である。
撮影装置200は、管Z内の状態を撮影する撮影部211と、撮影部211を制御する撮影制御部212とで構成される。撮影部211は、例えば、管Z内に光(照明)を照射する照明213及び管Z内を撮影するカメラ214等で構成され、前述の球状部に収容され、例えば、光の照射方向及び撮影方向を前方に向けて配置される。カメラ214は、例えば、動画を撮影できるものが好ましい。カメラ214及び照明213は、可撓性を有するケーブル216により撮影制御部212と接続され、カメラ214が撮影した管Z内の画像を画像データとして後述の撮影制御部212に出力される。
撮影制御部212は、ケーブル216を介してカメラ214及び照明213に電力を供給するとともに、カメラ214から出力された画像データをモニター等の表示装置217に出力する。なお、表示装置217に加えてハードディスクや不揮発性の半導体メモリ等の記憶手段を接続し、記憶手段に記憶しながら表示装置217に表示するようにしても良い。
図11は、分岐部Zzにおける検査装置4の動作を示す図である。同図に示すように、検査装置4は、推進装置2の移動部8の推進力により管Z内を移動し、管Zが丁字状の分岐部Zzに達したことを表示装置217により視認したときに、例えば、管Zaに向けて進行したい場合には、管路選択装置1を動作させ、曲がり部50を管Zaに向けて湾曲させれば良い。
また、管Zbに進行したい場合には、拘束体61が軸Cよりも管Zb側に来るように、回転部30により曲がり部50を回転させた後に、管Zbに向けて曲がり部50を湾曲させれば良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、管Zに分岐部Zzがあった場合でも、管路選択装置1の曲がり部50を進行したい管Za(Zb)に向けて曲げることにより、検査装置4の進行方向を積極的に設定することができる。
なお、上記実施形態では、伸縮部10と回転部30とを引張バネ23及び引張バネ25により連結するものとして説明したが、これに限定されない。例えば、可撓性や伸縮性のない樹脂や金属などを素材とするパイプ等であっても良い。好ましくは、管Z内における分岐部を円滑に通過することを考慮した場合、弾性を有する素材が好ましい。
また、上述の実施形態では、伸縮部10は、流体の圧力により伸縮するものとして説明したが、これに限定されず、適宜変更しても良い。伸縮部10は、例えば、電気的なエネルギーにより駆動するモーター等を利用し、前述の引張バネ23及び引張バネ25の伸縮に相対的な差を与え、回転部30を前述のように動作させるように構成しても良い。