JP6195103B2 - 伸縮ユニット、管体内移動体、及び管体内探査装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された管体内探査装置は、空気室内への圧縮空気等の流体の供給により径方向に膨張しつつ軸方向に収縮する弾性膨張体を備えた伸縮ユニットを軸方向に複数個連結するとともに、複数の伸縮ユニットの進行方向前方に撮像装置を設け、管体の外部に設置された流体給排手段を制御して伸縮ユニットを規則的に伸縮動作させることにより管体内を進行する管体内探査装置が提案されている。
本構成によれば、弾性膨張体の外周面側に低摩擦層が設けられ、当該低摩擦層と管体の内周面との摩擦係数が、弾性膨張体の外周面と管体の内周面との摩擦係数よりも小さく、さらに、弾性膨張体の収縮時において管体の内周面側への弾性膨張体の外周面の露出を許容するため、管体内移動体に組み込まれた場合に、弾性膨張体の収縮時において摩擦係数の高い外周面が管体の内周面と接し、弾性膨張体の伸長時においては摩擦係数の低い低摩擦層と管体の内周面が接するため、伸長状態にある伸縮ユニットが管体内移動体の進行を阻害することがなくなり、管体内移動体が管体内を速やかに進行可能となる。
また、望ましくは、低摩擦層を弾性膨張体の外周面を覆い、弾性膨張体の収縮時において拡大する開口部を有するシートとすれば、拡大した開口部より弾性膨張体の外周面が管体の内周面側に露出するため、弾性膨張体の外周面を収縮時において管体の内周面と適切に接触させることが可能となる。
また、望ましくは、上記各構成からなる伸縮ユニットを6個以上連結し、管体の一部に形成された屈曲部の内径をD、弾性膨張体の最大収縮率をα、連結手段の軸方向長さをpとしたとき、弾性膨張体の軸方向長さLと外径dとが、以下の式を満たす構成とすれば、上記各構成から生じる効果に加えて、管体の一部に90度エルボ等の部材によって形成された屈曲部が存在する場合であっても当該屈曲部を速やかに進行可能な管体内移動体を得ることができる。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
図1は、管体1の内部の状態を探査,把握する管体内探査装置10の概要を示す図である。なお、以下の説明においては、矢印X1で示す管体内探査装置10の進行方向を前側とし、当該進行方向とは逆の後退方向を後側としてその前後方向を特定する。同図に示すように、管体内探査装置10は、当該管体内探査装置10の前端側に設けられた探査ユニット11と、当該探査ユニット11と接続され、管体1の後方に延在するケーブル12と、複数の伸縮ユニット20A〜20Fが連結されてなる管体内移動体13と、当該管体内移動体13と前記探査ユニット11との間に設けられた第1のコイルバネ15A及び第2のコイルバネ15Bとから構成される先端挿入体15と、各伸縮ユニットの駆動源となる流体としての圧縮空気を給排する圧縮空気給排手段16と、圧縮空気給排手段16による圧縮空気の給排を制御する進行制御手段17とを主たる構成として備える。
また、探査ユニット11には、可撓性を有するケーブル12の前端部から前方に延出する細径のリード線R1;R2が接続されており、当該ケーブル12のリード線R1;R2を介して撮像手段11M及び照明手段11Nに対して管体1の外部より電源が供給されるとともに、撮像手段11からの信号が管体1の外部に設置されたモニタ等の表示手段に出力される。また、ケーブル12のリード線R1;R2は、先端挿入体15の内部を通じて撮像手段11M及び照明手段11Nと接続され、リード線R1;R2よりも大径なケーブル12は、管体内移動体13の内部を通じて管体1の外部に延出する。
内筒21の両端部はそれぞれ、ほぼ円環状に形成されたフランジ23E;23Fの内周面に対して接着剤等の固定手段によって強固に固定される。
筒本体22Aの材質としては、シリコーンゴム等の合成ゴム、或いは天然ラテックスゴム等の天然ゴムが好適であるが、後述する空気室への圧縮空気の給排によってその形状が変化し得る材質であれば如何なる材質であってもよい。また、図3に示すように、規制繊維22Bは、筒本体22Aの壁厚内において幾重にも積層されるように密に内挿されるとともに、筒本体22Aの軸方向に沿って延在する。規制繊維22Bの材質としては、例えばグラスロービング繊維やカーボンロービング繊維等、軸方向への伸びの少ない材質が好適に用いられる。
弾性膨張体22の両端部はそれぞれ、フランジ23E;23Fの外周面において円周方向に沿って形成された環状溝29と対応する位置でピアノ線等の括り部材29Aによって強固に固定される。
図2(b),(c)に示すように、フランジ23の内周面には、円周方向に沿って等間隔(本例では60°間隔)となる位置で、フランジ23の軸方向に沿って延在する複数のエアチューブ係合台座33A〜33Fが中心方向に向けて突設されている。エアチューブ係合台座33A〜33Fは、扁平状に形成された複数のエアチューブ24A〜24Fの幅方向両端部の円弧と対応する弧面を有しており、隣接するエアチューブ係合台座33A〜33F間に複数のエアチューブ24A〜24Fを独立して支持する計6か所のエアチューブ支持凹部33が形成される。なお、エアチューブ支持凹部33に挿入されるエアチューブ24A〜24Fは、軸方向にスライド可能な程度に緩やかに拘束されており、伸縮ユニット20の伸縮動作に伴うキンクの発生が抑制される。
なお、図示の便宜上、図2(c)の例においては、フランジ23Fのエアチューブ接続部30にエアチューブ24Aが接続され、複数のエアチューブ支持凹部33にエアチューブ24E;24Fが支持された状態を示しているが、実際には図2(b)に示すように、エアチューブ24Aを除く他のエアチューブ24B〜24Fがエアチューブ支持凹部33Bによって支持され、前方に延在することとなる。
即ち、本実施形態に係る管体内移動体13を構成する伸縮ユニット20は、圧縮空気の供給により軸方向に収縮し、圧縮空気の排出により軸方向に伸長するユニットである。
また、摩擦低減層25は、伸縮ユニット20の伸長時において弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面との接触面積を低減し、伸縮ユニット20の収縮時において弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面との接触面積を伸長時よりも増大させる。以下、図4を参照して摩擦低減層25の具体例について説明する。
同図に示すように本例における摩擦低減層25は、弾性膨張体22及び両端に位置するフランジ23;23の全体を覆うように巻き付けられた単一の被覆シート26に対して、その円周方向において等間隔となるように(例えば4本)、軸方向に延在する複数の切り込み27A〜27Dを形成することにより構成される。図1,図5に示すように、切り込み27A〜27Dは、弾性膨張体22の軸方向端部まで達しており、被覆シート26の両端部がフランジ23;23の外周上において接着剤等により固定される。
本例における摩擦低減層25は、弾性膨張体22及びフランジ23;23の円周方向において例えば4分割された被覆シート26(26A〜26D)により形成される。同図に示すとおり、被覆シート26A〜26D同士は、互いに円周方向に略等しい間隙Gを有して隣接しており、被覆シート26A〜26Dの両端部が、フランジ23;23の外周面上において接着剤により貼着される。なお、上記切り込み27A〜27Dの本数や被覆シート26の分割数は、4つに限られるものではなく、複数であればその数は問わない。また、複数の切り込みや被覆シートを設ける際には、軸対称となる位置に設けるのが望ましい。また、被覆シート26の材質としては、アルミ蒸着シートのような表面が滑らかな金属もしくは合金のシートや、フッ素樹脂などから成る潤滑性の樹脂シート等、弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面との摩擦係数よりも小さい摩擦係数となり得る材質であれば好適に採用できる。
また、同図における摩擦低減層25は、上述した摩擦低減層25の一例としての単一の被覆シート26に複数の切り込み27A〜27Dを設けた形態である。同図に示すように、伸縮ユニット20C;20Fの弾性膨張体22の外周面は、摩擦係数の小さい摩擦低減層25の存在によりその全域が覆われた状態となり、管体1の内周面と直接接することが阻止される。
つまり、摩擦低減層25は、伸縮ユニット20の伸長時において弾性膨張体22の外周面の露出範囲を減少させ、伸縮ユニット20の収縮時において弾性膨張体22の外周面の露出範囲を拡大させるものである。換言すれば、摩擦低減層25は、伸縮ユニット20の伸長時において弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面との接触面積を収縮時よりも減少させ(上記例においては接触面積が実質的に0)、伸縮ユニット20の収縮時において弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面との接触面積を伸長時よりも増大させる作用を奏するものである。そして、このような作用は、図4(b)に示した摩擦低減層25の形態についても同様である。
また、弾性膨張体22の外周面に対して円周方向に所定の間隔を持って塗布剤を塗布することにより摩擦低減層25を構成した場合には、伸縮ユニット20の伸長時において弾性膨張体22の外周面が円周方向への所定の間隔以下の面積で露出し、伸縮ユニット20の収縮時においては、弾性膨張体22の膨張に伴って、上記間隔を拡大しつつ、当該拡大後の間隔より管体1の内周面側に露出し、摩擦係数の高い弾性膨張体22の外周面と管体1の内周面とが高い押し付け力下において密着することとなる。
図1に示すように、先端挿入体15は、管体内移動体13を構成する伸縮ユニット20A〜20Fのうち、先頭に位置する伸縮ユニット20Aに取り付けられて前方に延出する。同図に示すように、先端挿入体15は、第1のコイルバネ15Aと、第2のコイルバネ15Bとから構成されており、第1のコイルバネ15Aは引張バネあり、第2のコイルバネ15Bは圧縮バネである。
また、前述のとおり、先端挿入体15内には、キャップ体32に開設された開口を介してケーブル12のリード線R1;R2が通じている。なお、リード線R1;R2を省略し、ケーブル12を先端挿入体15内に直接内挿して撮像手段11M及び照明手段11Nと直接的に接続してもよいが、先端挿入体15の柔軟性を確保する観点から、細径なリード線R1;R2を介して接続するのが望ましい。
その後、図6(d)に示すように、伸縮ユニット20Bを伸長状態とするとともに、伸縮ユニット20Aを収縮させることにより、図6(a)に示す初期状態に復帰する。なお、この時、伸縮ユニット20Bの伸長動作と同時に伸縮ユニット20Aが軸方向に収縮するので、管体内移動体13は進行しない。以上のとおり、進行制御手段17の制御により、各伸縮ユニット20A〜20Cを順次収縮,伸長させる動作を繰り返すことにより、管体内移動体13を管体1内において進行させることが可能となる。
なお、管体内移動体13を進行させるには、伸縮ユニット20が3つ以上であれば如何なる数を連結してもよく、例えば図1に示す如く、管体内移動体13が例えば6個以上のような伸縮ユニット20A〜20Fを備える場合には、前述の摩擦低減層25の構成を付加するのが望ましく、さらに、管体1に90度エルボ等により形成された屈曲部が存在する場合には、摩擦低減層25の構成に加えて、前述の先端挿入体15の構成を付加するのが一層望ましい。以下、摩擦低減層25及び先端挿入体15の作用,効果についてそれぞれ詳細に説明する。
さらに、探査ユニット11の向きが直管1B方向に向くと、図8(c)に示すように、第2のコイルバネ15Bが自然長に復帰しようとするとともに、これに伴って後方に位置する第1のコイルバネ(引張バネ)15Aが伸長する。その後、図8(d)に示すように、伸長した第1のコイルバネ15Aは、自然長に復帰しようとするので、第1のコイルバネ15Aの後端部と接続された先頭の伸縮ユニット20Aが、第1のコイルバネ15Aに引っ張られてその向きが直管1B方向に向くため、探査ユニット11及びこれに続く後続の伸縮ユニット20A〜20Fについてもエルボ1R内を速やかに通過することができる。
図9(a)は管体1の寸法等を表す模式図、図9(b)は、伸縮ユニット20の弾性膨張体22の収縮前後の寸法変化を表す模式図である。各図に示すように、管体1の内径をD、弾性膨張体22の収縮時の最大半径をdmとすると、管体内移動体13が、管体1の内周面に接地しながら移動する条件は、dm>Dである。
したがって、管体内移動体13が、管体1の内周面に接触しながら移動するためには、弾性膨張体22の長さLと外径dとは、以下の式(1)を満たす必要がある。
したがって、直線部、湾曲部が存在する管体は元より、90度エルボ等の存在によって屈曲部を有する管体であっても管体内をスムースに進行可能な管体内移動体13及び管体内探査装置10を得ることが可能となる。
例えば、上記実施形態では、管体内移動体13にケーブル12を内挿した例について説明したが、探査ユニット11に内蔵した電源やメモリーなどにより管体1内の状態(画像,動画)を記憶すれば、ケーブル12を省略することが可能となる。
11 探査ユニット,12 ケーブル,13 管体内移動体,15 先端挿入体,
15A 第1のコイルバネ,15B 第2のコイルバネ,16 圧縮空気給排手段,
20(20A〜20F) 伸縮ユニット,21 内筒,22 弾性膨張体,
23(23A〜23F) フランジ,24(24A〜24F) エアチューブ,
25 摩擦低減層
Claims (6)
- 軸方向に伸縮可能な筒状伸縮体と、
前記筒状伸縮体の外周側に配設され、前記筒状伸縮体との間に形成された空気室への流体の供給により軸方向に収縮し、前記流体の排出により軸方向へ伸長する弾性膨張体とを備え、管体内を進行可能な管体内移動体に組み込まれる伸縮ユニットであって、
前記弾性膨張体の外周面側に、前記管体の内周面との摩擦係数が前記弾性膨張体の外周面と前記管体の内周面との摩擦係数よりも小さく、前記弾性膨張体の収縮時において当該弾性膨張体の外周面の前記管体の内周面側への接触を許容し、伸長時において当該弾性膨張体の外周面の前記管体の内周面側への接触を阻止する低摩擦層を設けたことを特徴とする伸縮ユニット。 - 前記低摩擦層が、弾性膨張体の外周面を覆い、前記弾性膨張体の収縮時において拡大する開口部を有するシートであることを特徴とする請求項1記載の伸縮ユニット。
- 請求項1又は請求項2記載の伸縮ユニットの軸方向両端部に設けられた連結手段を介して前記伸縮ユニットを3個以上連結してなることを特徴とする管体内移動体。
- 前記管体内移動体の進行方向先頭に位置する伸縮ユニットの前端部に、圧縮バネ及び引張バネとからなり、進行方向に向けて延長する先端挿入体を設けたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の管体内移動体。
- 前記請求項5記載の管体内移動体を備え、
前記先端挿入体の前端側に撮像手段を設けたことを特徴とする管体内探査装置。
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