以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係り、図1は移動装置の概略構成図、図2は移動装置の斜視図、図3は第1の駆動ユニットの斜視図、図4は第1の駆動ユニットの分解斜視図、図5は図4のV−V線に沿う断面図、図6はローラーの斜視図、図7は第1のブレーキが作動状態にあるときの第1の駆動ユニットの斜視図、図8はブレーキ部材の要部を示す分解斜視図、図9は配管内において第1のブレーキが非作動状態にあるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、図10は配管内において第1のブレーキが作動状態にあるときの第1の駆動ユニットを模式的に示す要部断面図、図11は配管の屈曲管路部内を通過する際の第1のスライダユニットの状態を模式的に示す要部断面図、図12は配管内において補助ブレーキが作動状態にあるときの補助ブレーキユニットを模式的に示す要部断面図、図13,14は配管の屈曲管路部内を第2の駆動ユニットが通過する際の移動装置の状態を模式的に示す説明図、図15は通常時における移動装置の移動手順を示すフローチャート、図16は屈曲管路部の通過時における移動装置の移動手順を示すフローチャートである。
図1に示す移動装置1は、例えば、建物等に設けられた配管100(図9〜図14参照)内に内視鏡7(図2,3参照)をガイドするためのガイドチューブ5に適用されている。この移動装置1は、第1の駆動ユニット2Aと、第1のユニット2Aよりも基端側に連設された第2の駆動ユニット2Bと、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側に連設された補助ブレーキユニット3と、をガイドチューブ5の先端側に有して構成されている。さらに、移動装置1は、これら第1,第2の駆動ユニット2A,2B及び補助ブレーキユニット3に流体としてのエアを供給或いは排出することが可能な流体調整部4を有する。
ここで、ガイドチューブ5は、例えば、ポリウレタン等によって構成された可撓性を有する長尺なチューブを主体として構成され、その内部が、内視鏡7等を挿通可能なチャンネル5aとして設定されている。
図1〜図4,図9〜図11に示すように、第1の駆動ユニット2Aは、流体調整部4から供給される流体によって付与される内部圧力に応じて断面形状が弾性変形(膨張収縮)可能な第1のチューブ体としての第1の弾性チューブ10Aと、この第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変化に応じて当該第1の弾性チューブ10A上を長手方向に進退移動可能な第1のスライダユニット20Aと、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aと、を有して構成されている。
第1の弾性チューブ10Aは、ゴムチューブ等の弾性部材によって構成されている。この第1の弾性チューブ10Aには、第1のチューブ体として、内面側に第1の可撓チューブ11Aが挿通されているとともに、外面側に第1のメッシュチューブ12Aが被覆されている。
第1の可撓チューブ11Aは、例えば、第1の弾性チューブ10Aの内部圧力に対して変形不能な剛性を有するポリウレタン等からなるチューブによって構成されている。この第1の可撓チューブ11Aの外径は、第1の弾性チューブ10Aの内径と同等、或いは、第1の弾性チューブ10Aの内径よりも若干大径に形成されている。これにより、第1の可撓チューブ11Aの外周面には自然状態にあるときの第1の弾性チューブ10Aの内周面が面接触され、第1の可撓チューブ11Aは、所定の可撓性を有して第1の弾性チューブ10Aを支持することが可能となっている。また、第1の可撓チューブ11Aの内径は、ガイドチューブ5の内径と同等に形成され、これにより、第1の可撓チューブ11Aの内部は、ガイドチューブ5のチャンネル5aと一連のチャンネル11aとして設定されている。
第1のメッシュチューブ12Aは、例えば伸縮不能なPET(ポリエチレンテレフタラート)繊維、ステンレス線等を網目状に織り込んだチューブによって構成されている。この第1のメッシュチューブ12Aは、網目の変形可能な範囲を限度として外径方向に変形することが可能となっている。これにより、第1のメッシュチューブ12Aは、第1の弾性チューブ10Aが局所的に膨張することを防止しつつ、第1の弾性チューブ10Aが長手方向に略均一な所定の外径にて膨張することを許容する。
これら第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aの先端側には、リング状をなす先端側終端部材13が設けられている。この先端側終端部材13には、内周側に第1の可撓チューブ11Aの基端側が接着固定されるとともに、外周側に第1の弾性チューブ10A及び第1のメッシュチューブ12Aの基端側が接着固定されている。そして、この先端側終端部材13との接着により、第1の弾性チューブ10Aの先端側は、第1の可撓チューブ11Aの先端側と気密な状態にて連結されている。
また、先端側終端部材13には、流体としてのエアを流通可能な第1の前側流体供給管15Aの先端側が保持され、この第1の前側流体供給管15Aの先端開口部が、第1の弾性チューブ10Aの先端側の内部(より具体的には、第1の弾性チューブ10Aの内周面と第1の可撓チューブ11Aの外周面との間)に連通されている。
なお、配管100等に対する挿入性を向上するため、先端側終端部材13の外周面には、先細り形状をなすテーパ面13aが形成されている。
同様に、第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aの基端側には、リング状をなす終端部材14が設けられている。ここで、本実施形態の終端部材14は、第1の駆動ユニット2Aの基端側終端部材としての機能を有するとともに、後述する第2の駆動ユニット2Bの先端側終端部材としての機能を有する。
この終端部材14には、内周側に第1の可撓チューブ11Aの基端側が接着固定されるとともに、外周側に第1の弾性チューブ10A及び第1のメッシュチューブ12Aの基端側が接着固定されている。そして、この終端部材14との接着により、第1の弾性チューブ10Aの基端側は、第1の可撓チューブ11Aの基端側と気密な状態にて連結されている。
また、終端部材14には、流体としてのエアを供給可能な第1の後側流体供給管16Aの先端側が保持され、この第1の後側流体供給管16Aの先端開口部が、第1の弾性チューブ10Aの基端側の内部(より具体的には、第1の弾性チューブ10Aの内周面と第1の可撓チューブ11Aの外周面との間)に連通されている。
第1のスライダユニット20Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して第1の弾性チューブ10Aの外周側に装着された第1の前側スライダ21Aと、この第1の前側スライダ21Aよりも基端側において、第1のメッシュチューブ12Aを介して第1の弾性チューブ10Aの外周側に装着された第1の後側スライダ22Aと、これら第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aを離間方向に付勢する付勢部材としての第1のコイルスプリング23Aと、を有して構成されている。
図1〜図4に示すように、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aは、リング状をなすスライダ本体25と、このスライダ本体25に軸支された複数のローラー26と、を有して構成されている。
図5,6に示すように、各ローラー26は、断面形状が部分円弧状をなす転動面26aを有して構成されている。各ローラー26は。スライダ本体25の内周面に環状に配列された状態にて軸支され、これら各ローラー26の転動面26aにより、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aの内周には環状をなす一連の押圧面が形成されている。
そして、このように形成された押圧面により、第1の前側スライダ21Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して、第1の弾性チューブ10Aの内周面を第1の可撓チューブ11Aの外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変形が第1の前側スライダ21Aの移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第1の前側スライダ21Aよりも先端側には、第1の前側流体供給管15Aに連通する第1の前側圧力室17Aが形成されている。
同様に、第1の後側スライダ22Aは、第1のメッシュチューブ12Aを介して、第1の弾性チューブ10Aの内周面を第1の可撓チューブ11Aの外周面に押し当てながら移動することが可能となっている。これにより、第1の弾性チューブ10Aの断面形状の変形が第1の後側スライダ22Aの移動状態に応じた任意の位置において一部規制され、第1の後側スライダ22Aよりも基端側には、第1の後側流体供給管16Aに連通する第1の後側圧力室18Aが形成されている。
第1のコイルスプリング23Aは、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの間において、第1のメッシュチューブ12Aの外周側(すなわち、第1の弾性チューブ10Aの外周側)に介装されている。
図1〜図4,図7〜図11に示すように、このような第1のスライダユニット20Aの第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの間には、第1のブレーキ30Aを構成する複数のブレーキ部材31が架設されている。
各ブレーキ部材31は、例えば、第1の前側スライダ21Aに支持された複数の前側揺動体32と、第1の後側スライダ22Aに支持された複数の後側揺動体33と、を有して構成されている。
具体的に説明すると、第1の前側スライダ21Aには、当該第1の前側スライダ21Aの軸心方向に沿って基端側(第1の後側スライダ22A側)に延在する複数のガイド用突起21aが設けられている。これらのガイド用突起21aは、第1のコイルスプリング23Aの外周側において、所定間隔毎隔てて環状に配列されている。また、各ガイド用突起21aの両側部には、第1の前側スライダ21Aの軸心方向に沿って延在するガイド溝21bがそれぞれ設けられている。
また、第1の後側スライダ22Aには、当該第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って先端側(第1の前側スライダ21A側)に延在する複数のガイド用突起22aが設けられている。これらのガイド用突起22aは、第1のコイルスプリング23Aの外周側において、第1の前側スライダ21Aのガイド用突起21aとそれぞれ対向するよう、所定間隔毎隔てて環状に配列されている。また、各ガイド用突起22aの両側部には、第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って延在するガイド溝22bがそれぞれ設けられている。
前側揺動体32は、第1の前側スライダ21Aにおいて隣接するガイド用突起21a,21aの間に配設されている(図3,4,7参照)。前側揺動体32の先端側(固定端側)には軸部34が設けられ(図8参照)、この軸部34の両端がガイド用突起21a,21aに設けられたガイド溝21b,21bにそれぞれ係入されている。これにより、前側揺動体32は、ガイド溝21b,21bに沿って第1の前側スライダ21Aの軸心方向に進退移動可能、且つ、第1の前側スライダ21Aの拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起21a,21a間に支持されている。
また、前側揺動体32の基端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部36が設けられている。この係止爪部36は、前側揺動体32と一体的に揺動することが可能となっており、前側揺動体32が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、前側揺動体32には、係止爪部36の一部を覆うための爪カバー32aが一体形成されている。
後側揺動体33は、第1の後側スライダ22Aにおいて隣接するガイド用突起22a,22aの間に配設されている(図3,4,7参照)。後側揺動体33の基端側(固定端側)には軸部35が設けられ(図8参照)、この軸部35の両端が、ガイド用突起22a,22aに設けられた各ガイド溝22b,22bにそれぞれ係入されている。これにより、後側揺動体33は、前側揺動体32に対向する位置で、ガイド溝22b,22bに沿って第1の後側スライダ22Aの軸心方向に進退移動可能、且つ、第1の後側スライダ22Aの拡径方向に揺動可能となるよう、ガイド用突起22a,22a間に支持されている。
また、後側揺動体33の先端側(自由端側)には、接触部材としての係止爪部37が設けられている。この係止爪部37は、後側揺動体33と一体的に揺動することが可能となっており、後側揺動体33が揺動によって拡径方向に変位されたとき、配管等の内周面に摺接することが可能となっている。なお、後側揺動体33には、係止爪部37の一部を覆うための爪カバー33aが一体形成されている。
更に、前側揺動体32及び後側揺動体33の間には、これらの自由端側(すなわち、前側揺動体32の基端側と、後側揺動体33の先端側)を連結するための連結部材38が設けられている。本実施形態において、連結部材38は、所定の弾性を有する帯状のゴムプレートによって構成されている。
ここで、エアの供給及び排出によって第1の前側圧力室17Aと後側圧力室18Aが膨張及び収縮を繰り返す際に、第1の弾性チューブ10Aと第1の可撓チューブ11Aとの相対位置にズレが発生する等して、第1の弾性チューブ10Aの一部が重なった状態で第1の可撓チューブ11A上に支持される等の現象を防止するため、第1の可撓チューブ11Aと第1の弾性チューブ10Aとの間にズレ防止用のストッパリング40を介装することが望ましい。この場合、ストッパリング40は、第1の弾性チューブ10Aの長手方向に対する第1のスライダユニット20Aの移動範囲を規定するためのストッパとしての機能を兼用させることが望ましい。
また、例えば、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを大気開放した際の第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18A内へのエアの残留を防止するため、或いは、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aから第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22A間に漏れ入ったエアを第1の弾性チューブ10Aの外部に排出するため、第1の可撓チューブ11Aにリーク孔41を設けることが望ましい。この場合、リーク孔41は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aが流通するエアの流量よりも十分小さいリーク量にてエアをリークさせることが可能な孔径に設定されていることが望ましい。また、リーク孔41は、第1の可撓チューブ11Aの長手方向に沿って所定間隔毎に設けられていることが望ましく、リーク孔41が設けられる間隔は、例えば、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが最接近しているときの間隔よりも短く設定されていることが望ましい。このように設定することで、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの間隔に関わらず、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18Aとの間に漏れ入ったエアを第1の弾性チューブ10Aの外部に排出することができる。
このように構成された第1の駆動ユニット2Aにおいて、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18Aが大気開放されている場合には、第1のコイルスプリング23Aの付勢力により、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、互いに離間する方向に付勢されている。そして、この付勢力により、例えば、図1〜図3,図19に示すように、前側揺動体32と後側揺動体33は第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って倒伏されている。
すなわち、第1前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが互いに離間する方向に付勢された場合には、前側揺動体32の固定端側(軸部34)はガイド溝21bの基端側まで相対移動され、後側揺動体33の固定端側(軸部35)はガイド溝22bの先端側まで相対移動される。さらに、前側揺動体32及び後側揺動体33の固定端側に第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aからの牽引力が伝達されることにより、前側揺動体32及び後側揺動体33の自由端側は、連結部材38を介して互いに牽引される。これにより、前側揺動体32と後側揺動体33は、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aの軸心方向に沿って倒伏される。
そして、このように第1の前側揺動体32後側揺動体33が倒伏されることにより、各係止爪部36,37は、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aの間に収納される。
一方、例えば、第1の前側圧力室17Aと第1の後側圧力室18A内にエアが供給され、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが互いに接近する方向に移動されると、図7,図10に示すように、前側揺動体32と後側揺動体33は、拡径方向に起立される。
すなわち、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが互いに接近する方向に付勢されると、前側揺動体32の固定端側(軸部34)はガイド溝21bの先端側まで移動され、後側揺動体33の固定端側(軸部35)はガイド溝22bの基端側まで移動される。そして、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aがさらに接近すると、前側揺動体32と後側揺動体33の固定端側に、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aからの押圧力が伝達される。これにより、連結部材38が弓なりに弾性変形され、この連結部材38の弾性変形による斥力により、前側揺動体32と後側揺動体33は、拡径方向に起立される。これら第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとは、互いに対向するガイド用突起21a、22aの端部が当接する位置まで接近させることが可能であり、このように第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとが最接近したとき、前側揺動体32と後側揺動体33は最も拡径された状態にて起立される。
このような前側揺動体32と後側揺動体33の拡径方向の変位に伴い、係止爪部36,37は拡径方向に変位し、配管100の内壁等の対象物に摺接される。そして、これらの係止爪部36,37の摺接により、第1のスライダユニット20Aは、配管100内等における移動が禁止される。
より具体的には、第1のスライダユニット20Aの基端側に向けて所定の仰角を有して傾斜する第1のブレーキ30Aの係止爪部36が配管100の内壁等に摺接されることにより、第1のスライダユニット20Aは、基端側(退避側)への移動が禁止される。一方、第1のスライダユニット20Aの先端側に向けて所定の仰角を有して傾斜する係止爪部87が配管100の内壁等に摺接されることにより、第1のスライダユニット20Aは、先端側(進出側)への移動が禁止される。
なお、前側揺動体32及び後側揺動体33の固定端側(各軸部34,35)はガイド溝21b,22bを介して第1のスライダユニット20Aに支持されているため、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aが互いに接近する方向に移動を開始した場合にも、これら第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aからの押圧力が前側揺動体32及び後側揺動体33に対して直ちに伝達されることはない。換言すれば、第1の前側スライダ21A及び第1の後側スライダ22Aと、前側揺動体32及び後側揺動体33との間には、各ガイド溝21b、22bによって遊びが設けられている。従って、例えば、図11に示すように、本実施形態の駆動ユニット2Aは、屈曲された配管100内を進退移動する際にも、各ガイド溝21b,22bが各軸部34,35の移動を許容する範囲内において、前側揺動体32及び後側揺動体33を拡径動作させることなく、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aを相対的に変位させることが可能である。
第2の駆動ユニット2Bは、上述の第1の駆動ユニット2Aと略同様の構成となっている。このため、第1の駆動ユニット2Aに対応する第2の駆動ユニット2Bの各構成部材等については、図中において、同符号を付して、或いは、末尾を「A」から「B」に置き換えた符号を適宜付して、詳細な説明を省略する。
なお、第2の駆動ユニット2Bにおいて、第2のチューブ体としての、第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12Bの先端側は終端部材14に接着固定されている。
また、第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12Bの基端側には、リング状をなす基端側終端部材19が接着固定されている。
さらに、基端側終端部材19の内周側には、ガイドチューブ5の先端側が接着固定されている。なお、本実施形態においては、終端部材14及び基端側終端部材19を介して、第1,第2の可撓チューブ11A,11Bをガイドチューブ5の先端側に連結した構成について例示しているが、これらを一体のチューブによって構成することも可能である。
図1,12に示すように、補助ブレーキユニット3は、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側において、ガイドチューブ5の中途に介装されている。
この補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の中途に介装されたインナチューブ45と、このインナチューブ45の外周側を被覆する補助ブレーキとしてのアウタチューブ46と、これらインナチューブ45及びアウタチューブ46の先端及び基端をガイドチューブ5の中途に連結する前側連結用口金47及び後側連結用口金48と、を有して構成されている。
インナチューブ45は、例えば、ポリウレタン等によって構成された可撓性を有するチューブを主体として構成されている。このインナチューブ45の内径はガイドチューブ5の内径と同等に形成され、これにより、インナチューブ45の内部は、ガイドチューブ5のチャンネル5aと一連のチャンネル45aとして設定されている。
アウタチューブ46は、ゴムチューブ等の弾性部材によって構成されている。このアウタチューブ46は、流体調整部4から供給される流体によって付与される内部圧力に応じて弾性変形(膨張収縮)可能となっている。すなわち、インナチューブ45とアウタチューブ46との間に流体調整部4から流体(エア)が供給された際に、当該流体によって付与される内部圧力に対して、インナチューブ45が変形不能であるのに対し、アウタチューブ46は弾性変形可能となっている。
前側連結用口金47は、段付きの略円筒形状をなす部材によって構成されている。この前側連結用口金47の先端側の内周には、ガイドチューブ5の中途が接着固定されている。
また、前側連結用口金47の基端側の外周には、インナチューブ45の先端側が接着固定されている。また、前側連結用口金47の基端側において、インナチューブ45の外周にはアウタチューブ46の先端側がスペーサ50を介して接着固定され、さらに、アウタチューブ46の先端側の外周には外装管49が接着固定されている。本実施形態のスペーサ50はシール部材としての機能を有し、このスペーサ50を介した接着により、インナチューブ45とアウタチューブ46の先端側は、気密に封止されている。
後側連結用口金48は、段付きの略円筒形状をなす部材によって構成されている。この後側連結用口金48の基端側の内周には、ガイドチューブ5の中途が接着固定されている。
また、後側連結用口金48の先端側の外周には、インナチューブ45の基端側が接着固定されている。また、後側連結用口金48の先端側において、インナチューブ45の外周にはアウタチューブ46の基端側がスペーサ50を介して接着固定され、さらに、アウタチューブ46の基端側の外周には外装管51が接着固定されている。本実施形態のスペーサ50はシール部材としての機能を有し、このスペーサ50を介した接着により、インナチューブ45とアウタチューブ46の基端側は、気密に封止されている。
前側連結用口金47と後側連結用口金48によって保持されたインナチューブ45とアウタチューブ46との間には、圧力室53が形成されている。この圧力室53内に流体を供給するため、スペーサ50には継手52が設けられ、この継手52には、流体としてのエアを供給可能な流体供給管55の先端側が接続されている。
このように構成された補助ブレーキユニット3において、圧力室53が大気開放されている場合には、アウタチューブ46は、収縮状態にあり、インナチューブ45とともに長手方向に沿って延在されている(図1,2参照)。
一方、圧力室53内にエアが供給されると、アウタチューブ46は、膨張を開始し、拡径方向に変位する。そして、拡開方向に変位したアウタチューブ46の一部が配管100の内壁等の対象物に摺接されることにより、補助ブレーキユニット3は、配管100内等における移動が禁止される。すなわち、補助ブレーキユニット3は、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側において、配管100等の対象物に対するガイドチューブ5の移動を禁止する。
ここで、補助ブレーキユニット3は、スライダ等を有しない構成であるため、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bに対し、外径が十分に細径となっている。
図1に示すように、流体調整部4は、作動流体であるエアを圧縮するためのコンプレッサ65と、コンプレッサ65によって圧縮されたエアの空気圧を予め設定された基準圧に調整するためのレギュレータ66と、レギュレータ66で基準圧に調圧されたエアの空気圧を任意の制御圧Pに調圧するための電空比例弁67と、電空比例弁67を駆動制御するための制御用計算機68と、を有して構成されている。
本実施形態において、電空比例弁67には、第1の前側流体供給管15A、第1の後側流体供給管16A、第2の前側流体供給管15B、第2の後側流体供給管16B、及び、流体供給管55が接続されている。
電空比例弁67は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを介して、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aに対し、それぞれ個別の制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
また、電空比例弁67は、第2の前側流体供給管15B及び第2の後側流体供給管16Bを介して、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bに対し、それぞれ個別の制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
さらに、電空比例弁67は、流体供給管55を介して、圧力室53に対し、制御圧Pに調圧されたエアを供給することが可能となっている。
この場合において、電空比例弁67は、例えば、エアの制御圧Pとして、第1の制御圧P1と、この第1の制御圧P1よりも所定圧高い第2の制御圧P2を調圧することが可能となっている。
一方、電空比例弁67は、第1の前側流体供給管15A及び第1の後側流体供給管16Aを個別に大気開放することにより、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aに供給されたエアを排出することが可能となっている。
また、電空比例弁67は、第2前側流体供給管15B及び第2の後側流体供給管16Bを個別に大気開放することにより、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bに供給されたエアを排出することが可能となっている。
さらに、電空比例弁67は、流体供給管55を大気開放することにより、圧力室53に供給されたエアを排出することが可能となっている。
次に、このように構成された移動装置1の通常時における移動手順の一例について、図15のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明においては、使用者等が操作入力を行うことにより配管100内を進出移動させる一例について説明するものであるが、例えば、制御用計算機68に予め設定したプログラム等によって行う自動で行うことも可能である。
移動装置1は、配管100内で第1、第2の駆動ユニット2A、2Bの第1ブレーキ30A、第2のブレーキ30Bの移動と把持、解除を行うことで、前進または後進させる。
この移動手順では、先ず、配管100内に移動装置1の第1,第2の駆動ユニット2A,2Bが挿入された状態において、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のブレーキ30Bの作動解除が行われる(ステップS101)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bを大気開放する。これにより、第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bは、第2のコイルスプリング23Bの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第2のブレーキ30Bの作動が解除される。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のスライダユニット20Bが第2の弾性チューブ10Bの基端側へと移動され(ステップS102)、さらに、第2の弾性チューブ10Bの基端側において、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS103)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の前側流体供給管15Bを通じて第2の前側圧力室17Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を先端側から基端側へと移動する。そして、基端側に位置するストッパリング40によって第2のスライダユニット20Bの基端側への移動が規制された後も、第2の前側スライダ21Bは、第2前側圧力室17Bからの圧力を受けてさらに基端側へと移動し、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の後側スライダ22Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第2の弾性チューブ10Bの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のブレーキ30Aの作動解除が行われる(ステップS104)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aを大気開放する。これにより、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、第1のコイルスプリング23Aの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第1のブレーキ30Aの作動が解除される。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aは第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動され(ステップS105)、さらに、第1の弾性チューブ10Aの先端側において、第1のブレーキ30Aが作動される(ステップS106)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1のスライダユニット20Aは、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する。
この場合において、配管100内における第2のブレーキ30Bの摺接によって第1の駆動ユニット2Aの長手方向への移動が禁止されているため、第1のスライダユニット20Aは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
そして、先端側に位置するストッパリング40によって、第1のスライダユニット20Aの先端側への移動が規制された後も、第1の後側スライダ22Aは、第1の後側圧力室18Aからの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aに接近する。これにより、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のブレーキ30Bの作動解除が行われる(ステップS107)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bを大気開放する。これにより、第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bは、第2のコイルスプリング23Bの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第2のブレーキ30Bの作動が解除される。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のスライダユニット20Bは第2の弾性チューブ10Bの先端側へと移動され(ステップS108)、さらに、第2の弾性チューブ10Bの先端側において、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS109)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の後側流体供給管16Bを通じて第2の後側圧力室18Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を基端側から先端側へと移動する。
この場合において、配管100内における第1のブレーキ30Aの摺接によって第2の駆動ユニット2Bの長手方向への移動が禁止されているため、第2のスライダユニット20Bは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
そして、先端側に位置するストッパリング40によって、第2のスライダユニット20Bの先端側への移動が規制された後も、第2の後側スライダ22Bは、第2の後側圧力室18Bからの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の前側スライダ21Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bが第1,第2の弾性チューブ10A,10Bの基端側に移動される(ステップS110)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の前側流体供給管15A及び第2の前側流体供給管15Bを通じて第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bにそれぞれ供給する。これにより、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の前側スライダ21A及び第2の前側スライダ21Bが受けることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態及び第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bとの接近状態を維持したまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bに供給された第2の制御圧P2は、第1の後側圧力室18A及び第2の後側圧力室18Bに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の後側圧力室18A及び2の後側圧力室18Bを基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1,第2のスライダユニット20A,20Bに設けられた第1,第2のブレーキ30A,30Bは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1,第2のスライダユニット20A,20Bの位置は不変のまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B、第1,第2の可撓チューブ11A,11B、及び、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bが一体的に配管100内を前進する。そして、これら移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管100内を前進する。
これらステップS101〜ステップS110の手順を繰り返すことにより移動装置1は、ガイドチューブ5を前進させることが可能である。つまり、スライダユニット20Bの第2のブレーキ30Bで配管を把持した上で、第1のスライダユニット20Aを先端側に移動させ、配管を把持、その後、第2のスライダユニット20Bを先端側に移動の上配管把持、さらに第1、第2のスライダユニット20A、20Bを基端側に移動させることで移動装置1が前方に送られる。また、上述と逆の手順を行うことにより、移動装置1は、前進時と同様のパフォーマンスにてガイドチューブ5を後退させることも可能である。
ここで、このような移動装置1によるガイドチューブ5の移動時において、配管100内における移動位置は、チャンネル5a等を経て先端側終端部材13から突出する内視鏡7を用いた観察によって確認することが可能である。
そして、このような内視鏡7を用いた観察により、第1の駆動ユニット2Aが配管100内の屈曲管路部101を通過(図13参照)したことが確認された後に、例えば、図16に示す移動手順に従って移動装置1を動作させることにより、屈曲管路部101に対する第2の駆動ユニット2Bの通過を実現する。
ここで、一般に、屈曲管路部101にはエルボ管等を接続するための段差102等が存在している場合が多く、このような段差102は、第1,第2のスライダユニット20A,20Bの移動を阻害する要因となる。加えて、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを通過させる際には、第2の駆動ユニット2Bを構成するチューブ体(第2の弾性チューブ10B、第2の可撓チューブ11B、及び、第2のメッシュチューブ12B)の先端側が、既に屈曲管路部101を通過した第1の駆動ユニット2Aによって拘束されている。従って、単に、上述のステップS107,ステップS108等の手順を行うだけでは、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを通過させることが困難な場合がある。
具体的に説明すると、例えば、図17の参考例に示すように、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを進出させる際には、屈曲管路部101に対する第1の弾性チューブ10B等の進退移動を防止すべく、第1のブレーキ30Aを作動させる必要がある。このため、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18A内には流体が供給されている。これらの流体の供給によって、第1の駆動ユニット2Aを構成するチューブ体(第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12A)は全体としての硬度が増しており(可撓性が低下しており)、特に、このような状態では、第2の駆動ユニット2Bの先端側は、屈曲管路部101に対する変位が制限される。従って、第2のスライダユニット20Bが段差102等に係止された場合、単に第2のスライダユニット20Bを進出動作させるだけでは、当該係止状態から第2のスライダユニット20Bを解放することが困難となる。加えて、段差102等に対して係止状態のままの第2のスライダユニット20Bを進出動作させると、第2の弾性チューブ10B等は相対的に基端側に移動されるため、第2の駆動ユニット2Bが屈曲管路部101の屈曲方向の内側に押し当てられるように変位し(図17中の二点鎖線参照)、第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101内に移動不能にロックされて当該屈曲管路部101からの脱出自体が困難となる場合も想定される。
そこで、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを通過させる際には、図16に示すように、通常の直進時等とは異なる移動手順が行われる。ここで、以下の説明においては、移動装置1が上述のステップS110後の状態、すなわち、第1,第2のスライダユニット20A,20Bが第1,第2の駆動ユニット2A,2Bの基端側に位置し、且つ、第1,第2のブレーキ30A,30Bが作動状態にあることを前提として説明を行う。なお、以下の説明においては、使用者等が操作入力を行うことにより配管100内を進出移動させる一例について説明するものであるが、例えば、制御用計算機68に予め設定したプログラム等によって行う自動で行うことも可能である。
この移動手順では、先ず、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、補助ブレーキユニット3が作動される(ステップS201)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、例えば、第2の制御圧P1に調圧されたエアを、流体供給管55を通じて圧力室53に供給する。これにより、アウタチューブ46が、弾性変形によって拡径方向に変位して配管100の内周面に摺接される(図12,14参照)。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のブレーキ30Bの作動解除が行われる(ステップS202)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の前側圧力室17B及び第2の後側圧力室18Bを大気開放する。これにより、第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bは、第2のコイルスプリング23Bの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第2のブレーキ30Bの作動が解除される。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aが第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動される(ステップS203)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17Aに供給されているエアを第1の制御圧P1に減圧すると共に、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1の後側圧力室18Aは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の後側スライダ22Aが受けることにより、第1のスライダユニット20Aには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態を維持したまま、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の後側圧力室18Aに供給された第2の制御圧P2は、第1の前側圧力室17Aに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1のスライダユニット20Aには、第1の前側圧力室17Aを先端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1のスライダユニット20Aの位置は不変のまま、第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、及び、第1のメッシュチューブ12Aが一体的に配管100内を後退する。この時、補助ブレーキユニット3が作動していて、自走装置の手元側の位置は保持された状態であり、第2のブレーキ30Bが解除されていて、中間部分が移動可能になっているので、配管内で位置が保持されこれら第1の弾性チューブ10A等の後退により、第2の弾性チューブ10B等は、屈曲管路部101の屈曲方向の外側に撓まされる。なお、このステップS203の手順は適宜省略することも可能である。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第2のスライダユニット20Bは第2の弾性チューブ10Bの先端側へと移動され(ステップS203)、さらに、第2の弾性チューブ10Bの先端側において、第2のブレーキ30Bが作動される(ステップS204)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第2の後側流体供給管16Bを通じて第2の後側圧力室18Bに供給する。これにより、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10B上を基端側から先端側へと移動する。
この場合において、補助ブレーキユニット3によって、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側の移動が禁止されているため、仮に、第2のスライダユニット20Bが段差102等に係止された場合にも、第2の弾性チューブ10B等が屈曲管路部101の屈曲方向の内側に変位することが防止される。従って、第2のスライダユニット20Bは、第2の弾性チューブ10Bの先端側への進出動作の過程で段差102等との係止状態から解放され、屈曲管路部101内の先端側への移動が継続される。特に、上述のステップS203の手順によって第2の弾性チューブ10B等が屈曲管路部101の屈曲方向の外側に撓まされている場合には、第2のスライダユニット20Bは、段差102等との係止状態をより簡単に解放することが可能となる(図14参照)。
そして、先端側に位置するストッパリング40によって、第2のスライダユニット20Bの先端側への移動が規制された後も、第2の後側スライダ22Bは、第2の後側圧力室18Bからの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、第2のコイルスプリング23Bの付勢力に抗して第2の前側スライダ21Bに接近する。これにより、第2のスライダユニット20Bに設けられた第2のブレーキ30Bの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100或いは屈曲管路部101の内周面に摺接される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のブレーキ30Aの作動解除が行われる(ステップS206)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の前側圧力室17A及び第1の後側圧力室18Aを大気開放する。これにより、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aは、第1のコイルスプリング23Aの付勢力によって互いに離間する方向に相対移動される。そして、この相対移動によって前側揺動体32と後側揺動体33が倒伏されることにより、第1のブレーキ30Aの作動が解除される。
次に、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1のスライダユニット20Aは第1の弾性チューブ10Aの先端側へと移動され(ステップS207)、さらに、第1の弾性チューブ10Aの先端側において、第1のブレーキ30Aが作動される(ステップS208)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第1の制御圧P1に調圧されたエアを、第1の後側流体供給管16Aを通じて第1の後側圧力室18Aに供給する。これにより、第1のスライダユニット20Aは、第1の弾性チューブ10A上を基端側から先端側へと移動する。
この場合において、配管100内における第2のブレーキ30Bの摺接によって第1の駆動ユニット2Aの長手方向への移動が禁止されているため、第1のスライダユニット20Aは、配管100内を基端側から先端側へと移動する。
そして、先端側に位置するストッパリング40によって、第1のスライダユニット20Aの先端側への移動が規制された後も、第1の後側スライダ22Aは、第1の後側圧力室18Aからの圧力を受けてさらに先端側へと移動し、第1のコイルスプリング23Aの付勢力に抗して第1の前側スライダ21Aに接近する。これにより、第1のスライダユニット20Aに設けられた第1のブレーキ30Aの前側揺動体32と後側揺動体33は第1の弾性チューブ10Aの拡径方向に変位して係止爪部37が配管100の内周面に摺接される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、補助ブレーキユニット3の作動解除が行われる(ステップS209)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、圧力室53を大気開放する。これにより、アウタチューブ46は縮径方向へと変位され、第2の補助ブレーキユニット3の作動が解除される。
その後、使用者等による流体調整部4に対する操作入力が行われることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bが第1,第2の弾性チューブ10A,10Bの基端側に移動される(ステップS210)。
すなわち、流体調整部4は、制御用計算機68の電空比例弁67に対する制御により、第2の制御圧P2に調圧されたエアを、第1の前側流体供給管15A及び第2の前側流体供給管15Bを通じて第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bにそれぞれ供給する。これにより、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bは膨張を開始し、この膨張による圧力を第1の前側スライダ21A及び第2の前側スライダ21Bが受けることにより、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の前側スライダ21Aと第1の後側スライダ22Aとの接近状態及び第2の前側スライダ21Bと第2の後側スライダ22Bとの接近状態を維持したまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B上を先端側から基端側へと移動する方向の力が働く。すなわち、第1の前側圧力室17A及び第2の前側圧力室17Bに供給された第2の制御圧P2は、第1の後側圧力室18A及び第2の後側圧力室18Bに供給されている第1の制御圧P1よりも高圧であるため、第1,第2のスライダユニット20A,20Bには、第1の後側圧力室18A及び2の後側圧力室18Bを基端側へと押し戻す方向の力が作用する。この場合において、第1,第2のスライダユニット20A,20Bに設けられた第1,第2のブレーキ30A,30Bは配管100の内壁に摺接されているため、配管100内における第1,第2のスライダユニット20A,20Bの位置は不変のまま、第1,第2の弾性チューブ10A,10B、第1,第2の可撓チューブ11A,11B、及び、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bが一体的に配管100内を前進する。そして、これら移動に牽引されて、ガイドチューブ5は、配管100内を前進する。
これらステップS201〜ステップS210の手順により、屈曲管路部101に対し、第2のスライダユニット20B等を的確に通過させることができる。つまり、配管の屈曲管路部101を第1のスライダユニット20Aが通過後、第2のスライダユニット20Bを通過させる場合、基端側の補助ブレーキユニット3を動作させ、配管を把持した状態で第1の弾性チューブ10A、第1の可撓チューブ11A、第1のメッシュチューブ12Aを基端側に後退させて弛ませるとともに、第2のスライダユニット20Bを先端側に移動させることで配管屈曲部の内周面での抵抗を少なくすることで通過しやすくする。
なお、上述のステップS201〜ステップS210の手順は、予め設定した回数繰り返し行うことも可能である。或いは、屈曲管路部101を通過したか否かを判定するための圧電素子等を第2のスライダユニット20Bに設け、圧電素子等によって検出される圧力等が設定閾値以下となり第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101を通過したと判断されるまでの間、上述のステップS201〜ステップS210の手順を繰り返すことも可能である。
このような実施形態によれば、第1の弾性チューブ10Aと、第1の弾性チューブ10Aの外周側に設けられ当該第1の弾性チューブ10Aの長手方向に移動可能な第1のスライダユニット20Aと、第1のスライダユニット20Aの拡径方向に変位可能な第1のブレーキ30Aとを有する第1の駆動ユニット2Aと、第2の弾性チューブ10Bと、第2の弾性チューブ10Bの外周側に設けられ当該第2の弾性チューブ10Bの長手方向に移動可能な第2のスライダユニット20Bと、第2のスライダユニット20Bの拡径方向に変位可能な第2のブレーキ30Bと、を有し第1の駆動ユニット2Aよりも基端側に連設された第2の駆動ユニット2Bと、拡径方向に変位可能な補助ブレーキとしてのアウタチューブ46を有し、第2の駆動ユニット2Bよりも基端側に連設された補助ブレーキユニット3と、を備えて移動装置1を構成することにより、配管100等の挟空間内に屈曲管路部101が存在する場合にも、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bを的確に通過させることができる。
すなわち、第1の駆動ユニット2Aが屈曲管路部101を通過した後において、補助ブレーキユニット3のアウタチューブ46を弾性変形によって拡径方向に変位させ(すなわち、補助ブレーキユニット3を作動させ)、対象物である配管100に摺接させることにより、屈曲管路部101内において、第2のスライダユニット20Bを第2の弾性チューブ10Bの基端側から先端側に移動させる際に、仮に、第2のスライダユニット20Bが段差102等に係止される状態が発生した場合にも、第2の弾性チューブ10Bやガイドチューブ5等が相対的に基端側に移動し、第2の駆動ユニット2Bが屈曲管路部101の屈曲方向の内側に押してあれるように変位することを防止することができる。従って、第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101内に移動不能にロックされることを防止することができる。これにより、万が一、第2のスライダユニット20Bが屈曲管路部101内の段差102等に係止された場合にも、例えば、弾性チューブ10B等に対する進退移動を繰り返すことにより、第2のスライダユニット20Bを係止状態から脱出させることができ、屈曲管路部101等に対して第2のスライダユニット20Bを的確に通過させることができる。
この場合において、補助ブレーキユニット3を作動させた後、第1のブレーキ30Aを作動させたままの状態にて、第1のスライダユニット20Aを第1の弾性チューブ10A等の基端側から先端側に進出させることにより、第1の弾性チューブ10A等を後退させ、屈曲管路部101等の内部において第2の弾性チューブ10B等を所定に撓ませることができる。これにより、屈曲管路部101等に対して第2のスライダユニット20Bを進出移動させる際の自由度を持たせることができ、段差102等が存在する場合にも、屈曲管路部101等に対して第2のスライダユニット20Bをより的確に通過させることができる。
ここで、例えば、図18に示すように、構造上及び機能上許容される範囲内において、第2のブレーキ30Bが非作動時における第2の駆動ユニット2Bの外径φ2を、第1のブレーキ30Aが非作動時における第1の駆動ユニット2Aの外径φ1よりも相対的に小さく設定することも可能である。このように構成することにより、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bをより的確に通過させることができる。
また、例えば、図19に示すように、第1の駆動ユニット2Aよりも先端側においても補助ブレーキユニット3を設けることが可能である。このように構成すれば、特に問題となる屈曲管路部101に対する進出時のみならず後退時においても、屈曲管路部101等に対して第1のスライダユニット20Aを的確に通過させることができる。
また、例えば、図20に示すように、第2の弾性チューブ10B等の長さL2を、第1の弾性チューブ10A等の長さL1よりも相対的に長く設定することも可能である。このように構成することにより、屈曲管路部101等の内部において第2の弾性チューブ10Bを好適に撓ませることができ、屈曲管路部101等に対して第2のスライダユニット20Bをより的確に通過させることができる。
また、例えば、図21、或いは、図22,23に示すように、補助ブレーキユニット3をガイドチューブ5に対して着脱自在な構成とすることも可能である。
図21に示す例において、補助ブレーキユニット3は、螺旋状に形成された弾性体からなるベース部70と、ベース部70の外周部に設けられたチューブ状の補助ブレーキとしてのバルーン71とを有して構成されている。そして、この補助ブレーキユニット3は、ベース部70を弾性変形させながらガイドチューブ5の外周に巻き付けることにより、ガイドチューブ5に装着することが可能となっている。なお、ガイドチューブ5に対するベース部70の固定は、ベース部70をガイドチューブ5に対して弾性的に押し当てることによる摩擦力により、或いは、図示しない面テープ等を用いることにより、実現することができる。
このような着脱自在な構成により、移動装置1に対し、補助ブレーキユニット3を後付けによって設けることが可能となっている。
また、図22,23に示す例において、補助ブレーキユニット3は、略円筒形状をなすベース部72と、このベース部72の外周部に設けられた補助ブレーキとしてのシート状のバルーン73と、を有して構成されている。
本変形例のベース部72は、一対の半円筒部材74,75を有し、これら半円筒部材74,75の一側がヒンジ76を介して連結されている。さらに、一対の半円筒部材74,75のうち、一方の半円筒部材74の他側にはフック74aが設けられ、他方の半円筒部材75の他側にはフック74aに係合可能な凸部75aが設けられている。
そして、この補助ブレーキユニット3は、ベース部72を構成する一対の半円筒部材74,75を開閉することにより、ガイドチューブ5の外周に装着することが可能となっている。なお、図23に示すように、本変形例の補助ブレーキユニット3に流体を供給するための流体供給管55は、ガイドチューブ5の外周に巻装されている。
このような着脱自在な構成により、移動装置1に対し、補助ブレーキユニット3を後付けによって設けることが可能となっている。
また、例えば図24に示すように、補助ブレーキユニット3を、ガイドチューブ5に対して長手方向に移動可能な構成とすることも可能である。
本変形例における補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の外周側に配設されたインナチューブ77と、インナチューブ77の外周側を被覆する補助ブレーキとしてのアウタチューブ78と、これらインナチューブ77及びアウタチューブ78の先端及び基端に連結された前側口金79及び後側口金80と、ガイドチューブ5の外周を被覆するガイドチューブアウタ81と、を有して構成されている。
インナチューブ77の先端側及びアウタチューブ78の先端側は前側口金79に接着固定され、これにより、インナチューブ77の先端側とアウタチューブ78の先端側とは気密に封止されている。同様に、インナチューブ77の基端側及びアウタチューブ78の基端側は後側口金80に接着固定され、これにより、インナチューブ77の基端側とアウタチューブ78の基端側とは気密に封止されている。そして、これらの封止により、インナチューブ77とアウタチューブ78の間には圧力室82が形成されている。さらに、インナチューブ77とアウタチューブ78基端側において、圧力室82には流体供給管55の先端側が連通されている。
また、前側口金79と後側口金80の内周面は、Oリング83を介してガイドチューブ5の外周面に摺接されている。
さらに、後側口金80の基端部にはガイドチューブアウタ81の先端部が液密に接着固定されている。
このような構成によれば、ガイドチューブ5に対して前側口金79及び後側口金80を相対移動させることにより、第2の駆動ユニット2Bと補助ブレーキユニット3との相対距離を適宜調整することができる。
この場合において、前側口金79及び後側口金80の移動は、ガイドチューブ5の基端側においてガイドチューブアウタ81を相対移動させることによって実現が可能である。或いは、ガイドチューブ5とガイドチューブアウタ81との間に、エア等を供給或いは吸引することにより実現が可能である。
また、例えば、図25に示すように、補助ブレーキユニット3は、糸巻接着部86を介してガイドチューブ5の外周に直接的に固定される補助ブレーキとしての弾性チューブ85を有して構成することも可能である。
ここで、本変形例の弾性チューブ85の基端側は、内側に袋状に折り返した状態にてガイドチューブ5の外周に固定されている。これにより、図25中に二点鎖線で示すように、弾性チューブ85の内部に図示しない流体供給管からの流体が供給されると、弾性チューブ85は、拡径方向に変位すると共に基端側に変位する。
このように構成すれば、弾性チューブ85が、配管100等の内周面に摺接された後は、ガイドチューブ5を長手方向の先端側に押し出すことができる。
また、例えば、図26に示すように、補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の外周に固定される環状部材88と、環状部材88の基端側に延在する補助ブレーキとしての複数の小バルーン89と、を有して構成することも可能である。
このように構成すれば、図25に示した変形例と同様、複数の小バルーン89が、配管100等の内周面に摺接された後は、ガイドチューブ5を長手方向の先端側に押し出すことができる。
また、例えば、図27,28に示すように、補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の外周に固設された環状部材90と、環状部材90に先端側が揺動自在に支持された補助ブレーキとしての複数の揺動体91と、複数の揺動体91に設けられた係止爪部92と、複数の揺動体91の内側に設けられたバルーン93と、を有して構成することも可能である。
このように構成すれば、図示しない流体供給管からの流体がバルーン93に供給されることにより、揺動体91の基端側を拡径方向に変位させて係止爪部92を配管100等の内周面に摺接させることが可能となる。
また、例えば、図29,30に示すように、補助ブレーキユニット3は、ガイドチューブ5の外周に固設された環状部材94と、環状部材94に先端側が揺動自在に支持された葛折り状をなす補助ブレーキとしての傘部95と、傘部95の内側に設けられたバルーン96と、を有して構成することも可能である。
このように構成すれば、図示しない流体供給管からの流体がバルーン96に供給されることにより、傘部95の基端側を拡径方向に変位させて配管100等の内周面に摺接させることが可能となる。
また、例えば、図31に示すように、第1の駆動ユニット2Aと第2の駆動ユニット2Bとの間に、長手方向に伸縮可能な伸縮部97を設けることも可能である。この伸縮部97は、例えば、蛇腹状の筒状部材によって構成され、ガイドチューブ5等に比べて小さな力で湾曲等することが可能となっている。
このように構成すれば、第2の駆動ユニット2Bの変位を容易なものとして、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bをより的確に通過させることが可能となる。
また、例えば、図32に示すように、第2の駆動ユニット2Bと補助ブレーキユニット3との間に、長手方向に伸縮可能な伸縮部97を設けることも可能である。この伸縮部97は、例えば、蛇腹状の筒状部材に酔って構成され、ガイドチューブ5等に比べて小さな力で湾曲等することが可能となっている。
このように構成すれば、第2の駆動ユニット2Bの変位を容易なものとして、屈曲管路部101に対して第2のスライダユニット20Bをより的確に通過させることが可能となる。
また、例えば、図33,34に示すように、ガイドチューブ5を、第2の駆動ユニット2Bと補助ブレーキユニット3との間において、第1のガイドチューブ5Aと第2のガイドチューブ5Bとに分割し、これらが連結部110を介して接離可能に連結される構成とすることも可能である。
この場合の連結部110は、第1のガイドチューブ5Aの基端に設けられた第1のコネクタ部111と、第2のガイドチューブ5Bの先端に設けられた第2のコネクタ部112と、を有して構成されている。
図34に示すように、第1のコネクタ部111は、第1のガイドチューブ5Aの基端に固設された口金からなるコネクタ部本体115と、このコネクタ部本体115の外周部に回動自在に保持された雌ネジ部材116と、を有して構成されている。
コネクタ部本体115の内部には、第1のガイドチューブ5Aのチャンネル5aに連通するための開口部115aが設けられている。
また、コネクタ部本体115の基端面には、第1のガイドチューブ5Aの内部に挿通された第1,第2の前側流体供給管15A,15B及び第1,第2の後側流体供給管16A,16Bにそれぞれ連通する流体コネクタピン115bが設けられている。
また、コネクタ部本体115の基端面には、例えば、先端側終端部材13等に撮像素子や超音波探触子等の各種センサ類を設ける場合に、これらセンサ類の信号線信号線と電気的に接続される電極ピン115cが設けられている。
さらに、コネクタ部本体115の基端面には、第2のコネクタ部112との位置決めのためのガイドピン115dが設けられている。
第2のコネクタ部112は、第2のガイドチューブ5Bの先端に固設された口金によって構成されている。
この第2のコネクタ部112の内部には、第2のガイドチューブ5Bのチャンネル5aに連通する開口部112aが設けられている。
また、第2のコネクタ部112の先端面には、第1のコネクタ部111の各流体コネクタピン115bに対応する位置に、第2のガイドチューブ5Bの内部に挿通された第1,第2の前側流体供給管15A,15B及び第1,第2の後側流体供給管16A,16Bにそれぞれ連通する流体コネクタピン受容部112bが設けられている。
また、第2のコネクタ部112の先端面には、第1のコネクタ部111の各電極ピン115cに対応する位置に、電極板112cが設けられている。
また、第2のコネクタ部112の先端面には、第1のコネクタ部111のガイドピン115dに対応するガイド溝112dが設けられている。
さらに、第2のコネクタ部112の先端側の外周には、第1のコネクタ部111の雌ネジ部材116と螺合可能な雄ネジ部112eが設けられている。
これら第1のコネクタ部111と第2のコネクタ部112は、各流体コネクタピン115bが対応する流体コネクタピン受容部112bに挿入され、各電極ピン115cが対応する電極板112cと電気的に接続され、さらに、ガイドピン115dがガイド溝112dに挿入された状態にて、雌ネジ部材116が雄ネジ部112eに螺合されることにより連結される。
このように構成すれば、例えば、第1のガイドチューブ5Aに対して、予め用意された任意の長さの第2のガイドチューブ5Bを交換可能に連結することが可能となる。また、仕様の異なる補助ブレーキユニット3が設けられた複数の第2のガイドチューブ5Bを予め用意することにより、第1,第2の駆動ユニット2A,2Bと補助ブレーキユニット3との組み合わせを用途に応じて任意に変更することも可能となる。
また、例えば、図35,36に示すように、補助ブレーキユニット3のアウタチューブ46よりも外周側に、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bと同様のメッシュチューブ等からなるブレード120を設けることも可能である。なお、このブレード120は、アウタチューブ46を破損等から保護するとともに、補助ブレーキユニット3の作動時における摺動抵抗を向上させるためのものである。
この場合において、網目を大きく変形させてブレード120の拡径方向への変形量を十分に確保するため、例えば、ブレード120の先端側がガイドチューブ5の長手方向に沿ってスライド自在となっている。
具体的に説明すると、前側連結用口金47の先端側には、ガイドチューブ5の長手方向にスライド自在な環状部材121が設けられている。この環状部材121の外周には、ブレード120の先端側が被覆されている。さらに、ブレード120の先端側の外周には前側ブレード用口金122が外嵌され、これにより、ブレード120の先端側は、環状部材121に保持されている。
一方、ブレード120の基端側は、後側連結用口金48の外周を被覆するように配置されている。このブレード120の基端側の外周には後側ブレード用口金123が外嵌され、これにより、ブレード120の基端側は、後側連結用口金48に保持されている。
このように構成すれば、アウタチューブ46が拡径方向に変形された際に、ブレード120の先端側(環状部材121)が前側連結用口金47側に引き寄せられる(図36参照)。これにより、ブレード120の網目が大きく変形することが許容され、ブレード120は、アウタチューブ46と一体的に拡径方向に変形することが可能となる。
また、例えば、図37,38に示すように、補助ブレーキユニット3のアウタチューブ46よりも外周側に、第1,第2のメッシュチューブ12A,12Bと同様のメッシュチューブ等からなるブレード120を設けることも可能である。なお、この場合のブレード120はアウタチューブ46を破損等から保護するとともに、補助ブレーキユニット3の作動時における摺動抵抗を向上させるためのものである。
本変形例において、ブレード120の先端側は、前側連結用口金47の外周を被覆するように配置されている。このブレード120の先端側の外周には前側ブレード用口金122が外嵌され、これにより、ブレード120の先端側は、前側連結用口金47に保持されている。
また、ブレード120の基端側は、後側連結用口金48の外周を被覆するように配置されている。このブレード120の基端側の外周には後側ブレード用口金123が外嵌され、これにより、ブレード120の基端側は、後側連結用口金48に保持されている。
この場合において、網目を大きく変形させてブレード120の拡径方向への変形量を十分に確保するため、インナチューブ45が蛇腹状に形成され、長手方向に伸縮自在となっている。
このように構成すれば、アウタチューブ46が拡径方向に変形された際に、インナチューブ45が長手方向に収縮される(図38参照)。これにより、ブレード120の網目が大きく変形することが許容され、ブレード120は、アウタチューブ46と一体的に拡径方向に変形することが可能となる。
また、例えば、図39,40に示すように、ブレードを備えた補助ブレーキユニット3を長手方向に2分割し、ガイドチューブ5に対して着脱自在な構成とすることも可能である。
具体的に説明すると、本変形例の補助ブレーキユニット3は、例えば、同一形状をなす2つの補助ブレーキユニット半体130を互いに連結することによって構成されている。
図40に示すように、補助ブレーキユニット半体130は、ガイドチューブ5の外周に装着される環状の前側口金を構成するための前側口金半体131と、前側口金よりも基端側においてガイドチューブ5の外周に装着される後側口金を構成するための後側口金半体132と、これら前側口金半体131と後側口金半体132との間に保持されるアウタチューブ133及びブレード134と、前側口金を覆う前側カバーを構成するための前側カバー半体135と、後側口金を覆う後側カバーを構成するための後側カバー半体136と、を有して構成されている。
具体的に説明すると、前側口金半体131の基端側には、チューブ接続部131aとブレード接続部131bとが段状に形成され、これらチューブ接続部131a及びブレード接続部131bに、アウタチューブ133及びブレード134の先端側が接続されている。
また、後側口金半体132の先端側には、チューブ接続部132aとブレード接続部132bとが段状に形成され、これらチューブ接続部132a及びブレード接続部132bに、アウタチューブ133及びブレード134の基端側が接続されている。さらに、後側口金半体132の基端側には、図示しない流体供給管をアウタチューブ133の内部に接続するための流体コネクタ132cが設けられている。
また、前側カバー半体135の一側にはフック135aが設けられ、前側カバー半体135の他側には凸部135bが設けられている。
同様に、後側カバー半体136の一側にはフック136aが設けられ、後側カバー半体136の他側には凸部136bが設けられている。
このようにアウタチューブ133及びブレード134が接続された一対の前側口金半体131及び後側口金半体132は、ガイドチューブ5の両側から当該ガイドチューブ5の外周を覆うように組み付けられる。
そして、一対の前側口金半体131の外周を一対の前側カバー半体135が覆い、互いの凸部135bにフック135aが係止されることにより、前側口金半体131はガイドチューブ5の外周に固定される。
同様に、一対の後側口金半体132の外周を一対の後側カバー半体136が覆い、互いの凸部136bにフック136aが係止されることにより、後側口金半体132はガイドチューブ5の外周に固定される。
このような着脱自在な構成により、移動装置1に対し、補助ブレーキユニット3を後付けによって設けることが可能となっている。
なお、本発明は、以上説明した各実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲内である。また、上述の実施形態及び各変形例の構成を適宜組み合わせてもよいことは勿論である。