以下、本発明に係る遊技機の一実施形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、パチンコ機1の機械的構成について説明する。以下の説明では、図1の手前側、奥側、上側、下側、左側、及び右側を、それぞれ、パチンコ機1の前側、後側、上側、下側、左側、及び右側とする。パチンコ機1は、いわゆる一種タイプの遊技機であるが、本発明は、いわゆる一種二種混合タイプ、二種タイプ(羽根物タイプ)、特別図柄を有さない一般電役タイプ等、様々なタイプの遊技機に適用できる。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は正面視略正方形の板状であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠10によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、遊技球発射装置37(図3参照)に金属製の遊技球を供給し、且つ賞球を受ける。上皿5の上面には、遊技者によって操作される操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。発射ハンドル7は、遊技者が回転操作できるように設けられており、遊技者が発射ハンドル7を回転させて発射操作を行うと、発射ハンドル7の回転角度に応じた強度で、遊技球発射装置37によって遊技球が発射される。前面枠10の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。ガイドレール3は、遊技領域4の左側に形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行するセンター飾り8が設けられている。遊技球発射装置37(図14参照)によって発射された遊技球は、ガイドレール3によって遊技領域4へ導かれ、遊技領域4内を流下する。所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は、センター飾り8の左側を流下し、所定の強度以上で発射された遊技球は、センター飾り8の右側を流下する。以下、遊技球がセンター飾り8の左側を流下するように遊技球を発射することを「左打ち」と、遊技球がセンター飾り8の右側を流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。
センター飾り8は、7セグ表示器28及びルーレット表示器30を備える。ルーレット表示器30は、センター飾り8の略中央に配置されている。7セグ表示器28は、ルーレット表示器30の前側に配置される。7セグ表示器28は、7セグメントディスプレイのように数字を表示できる表示部を、左右に3つ並べて備える。7セグ表示器28は、表示部のそれぞれに演出用の図柄である演出図柄80(図10参照)を変動表示させた後に、後述する大当たり判定の結果を示す演出図柄80の組合せを確定表示させることで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する報知演出を実行可能である。後述するサブ制御基板58は、7セグ表示器28に内蔵された電飾基板33(図3参照)に搭載されたLEDを所定のパターンで点灯及び消灯させることによって、報知演出を実行する。なお、7セグ表示器28は、図1及び図2に示す位置(以下、「中央位置」という。)と、中央位置よりも下降した下降位置(図示略)との間を上下方向に移動可能に構成されている。ルーレット表示器30は、正面視で円形の表示体である。ルーレット表示器30は、その外周部において円周方向に並んで配置される複数の表示部を備える。ルーレット表示器30は、7セグ表示器28が下降位置にある場合に、表示部に表示される絵柄を用いて報知演出を実行する。
センター飾りの略中央下方には、第一始動口12が設けられている。第一始動口12は、遊技球が入賞可能に構成された入賞口であり、第一特別図柄の始動口として機能する。センター飾り8の右方には、ゲート11が設けられている。ゲート11は、遊技球が通過可能に構成されており、普通図柄の作動ゲートとして機能する。
ゲート11の下方には、第二始動口13が設けられている。第二始動口13は、遊技球が入賞可能に構成された入賞口であり、第二特別図柄の始動口として機能する。第二始動口13は、第二始動口ソレノイド69(図3参照)によって電気的に作動される作動部材131を備える。作動部材131は、第二始動口13の入口の下部において前後方向に延びる略平板状の部材である。作動部材131は、前端部を遊技盤2の前面よりも前方に突出させて第二始動口13の入口の大きさを拡大することによって第二始動口13への遊技球の入賞を可能にし、前端部を遊技盤2の前面と略同じ位置まで後方に退避させて第二始動口13の入口の大きさを縮小することによって第二始動口13への遊技球の入賞を阻害する。第二始動口13は、いわゆる普通電動役物(普通当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。なお、第二始動口13は、第二始動口13の入口の大きさが縮小された縮小状態にも遊技球の入賞が可能であって、第二始動口13の入口の大きさが拡大された拡大状態においては、縮小状態よりも遊技球が入賞容易となる構成であってもよい。
第二始動口13の下方であり、センター飾り8の右下方には、第一大入賞口16が設けられている。第一大入賞口16は、いわゆる特別電動役物(大当たり判定の結果に基づき入賞口の入口の大きさを変化する役物)に係る入賞口として構成されている。第一大入賞口16は、第一大入賞口ソレノイド70(図3参照)によって電気的に開閉される開閉部材161を備える。開閉部材161は、第一大入賞口16の入口の上部において左右方向に長手方向を有して前後方向に延びる略平板状の部材である。開閉部材161は、前端部を遊技盤2の前面よりも前方に突出させて第一大入賞口16の入口を上部から覆った閉鎖状態において第一大入賞口16への遊技球の入賞を阻害し、前端部を遊技盤2の前面と略同じ位置まで後方に退避させることで第一大入賞口16の入口を開放した開放状態において、第一大入賞口16への遊技球の入賞を可能にする。
第一大入賞口16の内部には、特定領域及び非特定領域(図示略)が設けられている。特定領域及び非特定領域は、第一大入賞口16に入賞した遊技球のみが通過できる領域である。第一大入賞口16に入賞した遊技球のうち、特定領域を通過しないものは、非特定領域を通過する。第一大入賞口16に入賞した遊技球は、特定領域及び非特定領域のいずれかを通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
第一大入賞口16の左下方であり、第一始動口12の下方には、第二大入賞口17が設けられている。第二大入賞口17も、いわゆる特別電動役物に係る入賞口として構成されている。第二大入賞口17は、第二大入賞口ソレノイド71(図3参照)によって電気的に作動される開閉部材171を備える。開閉部材171は、第二大入賞口17の入口の右部において、左右方向に長手方向を有して前後方向に延びる略平板状の部材である。開閉部材171は、図1及び図2に示す閉鎖位置に配置された状態において第二大入賞口17の入口に連結しない。また、開閉部材171が閉鎖位置に配置された状態において、第二大入賞口17の入口を閉鎖する閉鎖部材(図示略)が配置されるので、閉鎖状態においては遊技球が第二大入賞口17に遊技球が入賞しない。開閉部材171の左端部が第二大入賞口17の入口に向けて左方にスライドされた開放状態においては、開閉部材171が第二大入賞口17の入口に連結するとともに、閉鎖部材が第二大入賞口17の入口を覆わない位置に退避するので、第二大入賞口17への遊技球の入賞が可能になる。本実施形態では、第二大入賞口17は、後述する大当たり遊技において閉鎖状態から開放状態に切り替わるように構成されている。
遊技領域4には、上記以外に、アウト口18、その他の入賞口、各種の電飾部材及び遊技くぎ(図示略)等が設けられている。アウト口18は、遊技盤2の下部に設けられている。第一始動口12、第二始動口13、第一大入賞口16、第二大入賞口17及びその他の入賞口のいずれにも入賞せず遊技領域4の下部まで流下した遊技球は、アウト口18を通過した後、遊技領域4の外部へ排出される。
なお、遊技領域4において、各遊技部材が上記のように配設されるため、左打ちされた遊技球は、右打ちされた遊技球よりも、第一始動口12を通過しやすい。また、右打ちされた遊技球は、左打ちされた遊技球よりも、ゲート11、第二始動口13、第一大入賞口16を、通過又は入賞しやすい。また、第二大入賞口17には、左打ちされた遊技球及び右打ちされた遊技球のいずれも入賞可能であるが、左打ちされた遊技球よりも、右打ちされた遊技球の方が第二大入賞口17に入賞しやすくなるように遊技くぎ等が配置されている。左打ちされた遊技球が、ゲート11、第二始動口13、第一大入賞口16を、通過又は入賞することは困難である。したがって、遊技者は、後述する小当たり遊技中、大当たり遊技中及び時短状態中には右打ちによって遊技を進め、それ以外の場合に左打ちによって遊技を進める。
遊技盤2の右下部には、図柄表示部24が設けられている。図柄表示部24は、第一特別図柄表示部、第二特別図柄表示部、普通図柄表示部、第一特別図柄記憶数表示LED、第二特別図柄記憶数表示LED及び普通図柄記憶数表示LEDを備える。第一特別図柄表示部及び第二特別図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって第一大当たり判定及び第二大当たり判定の結果を表示する。以下、第一大当たり判定及び第二大当たり判定を総称する場合、又はいずれかを特定しない場合、大当たり判定ともいう。普通図柄表示部は、LEDの点灯及び消灯によって普通当たり判定の結果を表示する。第一特別図柄記憶数表示LEDは、第一大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である第一保留球数を表示する。第二特別図柄記憶数表示LEDは、第二大当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である第二保留球数を表示する。普通図柄記憶数表示LEDは、普通当たり判定の結果がまだ表示されていない遊技球の個数である普通保留球数を表示する。
パチンコ機1には、大当たり遊技及び普通当たり遊技が設けられている。本実施形態において、大当たり遊技は、大当たりであることを示す特別図柄が確定表示された場合に行われる。大当たり遊技が行われると、第一大入賞口16又は第二大入賞口17に遊技球が入賞可能な状態になる。以下、大当たり遊技において第一大入賞口16の開閉部材161又は第二大入賞口17の開閉部材171が、繰り返して開放状態にされる繰り返しの一単位を、「大当たりラウンド」という。また、1回の大当たり遊技を構成する大当たりラウンドの合計数を、以下、「ラウンド数」という。大当たりラウンドは、開放した第一大入賞口16又は第二大入賞口17に所定のカウント数の遊技球が入賞するか、又は予め定められた開放時間が経過することで終了する。
パチンコ機1において、通常の遊技状態である通常状態において遊技が開始されたとする。通常状態において、遊技は左打ちで進行する。左打ちされた遊技球が第一始動口12へ入賞すると、第一大当たり判定が行われ、第一特別図柄が変動表示を開始する。第一特別図柄の変動表示が終了すると、判定の結果を示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。第一大当たり判定では、大当たり又ははずれのいずれかの判定結果が、第一大当たり乱数に基づいて導出される。第一大当たり判定によって大当たりであると判定されると、判定結果が大当たりであることを示す第一特別図柄が図柄表示部24の第一特別図柄表示部に確定表示される。その後、大当たり遊技が実行される。大当たり遊技中は、右打ちで遊技が進行する。本実施形態では、ラウンド数が「5」である大当たり遊技と、ラウンド数が「10」である大当たり遊技とが設けられている。いずれの大当たり遊技においても、5ラウンド目の大当たりラウンドにおいて第一大入賞口16の開閉部材161が所定の時間で開放し、それ以外の大当たりラウンドにおいて第二大入賞口17の開閉部材171が所定の時間で開放する。
パチンコ機1は、確変状態又は非確変状態を設定できる。確変状態とは、大当たり判定によって大当たりであると判定される確率(以下、「大当たり確率」という。)が通常よりも高い確率に変動している遊技状態である。非確変状態は、確変状態が設定されておらず、大当たり確率が通常の確率の状態である。本確変状態は、大当たり遊技において第一大入賞口16に入賞した遊技球が特定領域を通過した場合に、大当たり遊技の終了後に設定される。設定された確変状態は、次回に大当たり遊技が開始されるまでの間継続する。
本実施形態では、大当たり遊技の終了後に、所定の割合で時短状態が生起される。時短状態は、通常状態に対して、通常状態よりも第二始動口13の作動部材131が拡大状態になりやすい状態である。普通当たり遊技は、普通当たり判定によって普通当たりであると判定されることによって行われる。時短状態は、普通当たり判定によって普通当たりであると判定される確率が通常状態よりも高確率に変動すること(確率変動)、普通図柄の変動時間の短縮(変動短縮)、普通当たり遊技において第二始動口13の作動部材131が拡大状態になる時間の延長(開放延長)等が行われることで発生する。時短状態中は、右打ちで遊技が進行する。右打ちされた遊技球がゲート11を通過することを契機として、普通当たり判定が行われ、普通図柄が変動表示を開始する。判定の結果を示す普通図柄が図柄表示部24の普通図柄表示部に表示される。普通当たり判定において普通当たりであると判定されると、第二始動口13の作動部材131が作動される普通当たり遊技が実行される。本実施形態では、大当たり遊技の終了後に生起された時短状態は、その後に所定回数の大当たり判定が行われることを契機として終了し、遊技状態は通常状態に移行する。この場合、遊技は右打ちから左打ちに戻る。なお、大当たり遊技の終了後に時短状態が生起されない場合には、通常状態が生起される。
時短状態において、普通当たり遊技中に第二始動口13に遊技球が入賞することを契機として、第二大当たり判定が行われ、第二特別図柄が変動表示を開始した後、判定の結果を示す第二特別図柄が図柄表示部24の第二特別図柄表示部に表示される。第二大当たり判定では、大当たり又ははずれのいずれかの判定結果が、第二大当たり乱数に基づいて導出される。
同一の機種のパチンコ機1が、複数の異なる遊技仕様で提供されることがある。遊技仕様の違いは、例えば、大当たり確率、ラウンド数、カウント数、確変状態が設定される割合、確変終了条件、時短状態が設定される割合、時短終了条件等の違いによって設けられる。確変終了条件には、上記実施形態の例の他、所定回数の大当たり判定の実行により終了する、公知の転落抽せんに当せんすることにより終了する等のバリエーションがある。時短終了条件には、いわゆる時短回数の違い等によるバリエーションがある。また、所定の小当たり確率で小当たりと判定されることによって小当たり遊技を実行する遊技仕様もある。小当たり遊技を利用した、いわゆる小当たりラッシュの遊技仕様もある。また、本実施形態のパチンコ機1は、役物連続作動装置が作動していない状態で、遊技球が第一大入賞口16の内部の特定領域を通過した場合に大当たり遊技が行われるようにすることで、1種2種混合タイプとして提供されることもできる。以下の説明では、同一の機種のパチンコ機1について、四つの異なる遊技仕様であるメインスペックA1~メインスペックA4が提供可能であるとする。
このように、同一の機種のパチンコ機1が、様々な遊技仕様で提供される場合、遊技仕様に応じた演出の内容も様々なものになり得る。具体的には、パチンコ機1において、二つの遊技仕様のうち互いに異なる部分に関する特別な演出が設けられることがある。特別な演出を実行するために、新たな演出仕様を設ける必要が生じることがある。このため、同一機種のパチンコ機1に対して、複数の演出仕様の提供が必要になることがある。以下の説明では、同一の機種のパチンコ機1について、二つの異なる演出仕様であるサブスペックB1及びサブスペックB2が提供可能であるとする。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、払出制御基板45、中継基板47及び電源基板42を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。パチンコ機1の主制御は、パチンコ機1における遊技の結果に影響を及ぼす大当たり判定に係る処理を伴う遊技動作に関する。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、主制御プログラム等を記憶したメインROM53とが設けられている。主制御プログラムは、同一の機種のパチンコ機1が複数の異なる遊技仕様で提供される場合、遊技仕様毎にそれぞれ異なる内容で設けられる。したがって、同一の機種のパチンコ機1であっても、異なる遊技仕様で提供される場合には、メインROM53に記憶される内容が遊技仕様毎に異なる。
主基板CPUユニット50には、乱数発生回路56及び割込信号発生回路57が接続されている。乱数発生回路56は、所定範囲の乱数を発生させる。割込信号発生回路57は、一定周波数のクロック信号を出力するクロック回路(図示略)からクロック信号が入力される毎に割込信号を発生させる。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎に、後述する主制御プログラムのメイン処理を実行する。
また、主基板41には、RAMクリアスイッチ412が設けられている。RAMクリアスイッチ412は、RAM52の初期化(RAMクリア)を行う際に操作されるスイッチである。RAMクリアスイッチ412は、I/Oインタフェイス54を介して主基板CPUユニット50に接続する。RAMクリアスイッチ412は、本体枠29の内部において主基板41を覆う主基板ケースの内部に設けられている。パチンコ機1が設置されるホールの作業者等は、前面枠10を開放することによって、RAMクリアスイッチ412を外部から操作できる。遊技者等、作業者以外の者は、前面枠10を開放することができないため、RAMクリアスイッチ412を操作できない。
主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、外部端子板55、第一始動口スイッチ61、第二始動口スイッチ62に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、報知演出等の演出の総合的な制御を行う。サブ制御基板58は、各種の演算処理を行うCPU581と、データを一時的に記憶するRAM582と、サブ制御プログラム等を記憶したサブROM583を備える。サブ制御プログラムは、同一の機種のパチンコ機1が複数の演出仕様で提供される場合、演出仕様毎にそれぞれ異なる内容で設けられる。したがって、同一の機種のパチンコ機1であっても、異なる演出仕様で提供される場合には、サブROM583に記憶される内容が演出仕様毎に異なる。
また、サブ制御基板58は、パチンコ機1の演出等に用いられる音である遊技音を示す遊技音データを複数記憶する音ROM593を備える。音ROM593は、パチンコ機1で用いられる、BGM一曲分の音楽、セリフ音声、予告音、各種の通知音等の各種の遊技音データを、圧縮音データとして予め格納する。音ROM593は、音制御回路591を介してCPU581に接続する。音制御回路591は、CPU581からの指定に応じた遊技音データを音ROM593から取得し、取得した遊技音データを再生することで、遊技音をスピーカ48に出力させる。音制御回路591は、例えば、音処理用のLSI等によって構成されていてもよい。
音ROM593に記憶される遊技音データは、同一の機種のパチンコ機1が複数の異なる演出仕様で提供される場合、演出仕様毎にそれぞれ異なる内容で設けられることがある。例えば、演出仕様に応じて特別な演出が設けられている場合、その特別な演出に必要な遊技音の遊技音データが、音ROM593に記憶される必要が生じることがある。このような場合には、同一機種のパチンコ機1であっても、音ROM593に記憶される遊技音データ群の内容が、演出仕様に応じて異なる。以下の説明では、同一の機種のパチンコ機1について、二つの異なる演出仕様のそれぞれに対応して、遊技音データ群として音データC1及び音データC2が設けられているとする。サブスペックB1に音データC1が対応しており、サブスペックB2に音データC2が対応しているとする。
サブ制御基板58は、ランプドライバ基板46、操作ボタン9及びスピーカ48に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、報知演出の制御等を行う。ランプドライバ基板46は、電飾基板33、駆動モータ31Mに接続している。ランプドライバ基板46は、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って、7セグ表示器28及びルーレット表示器30等の内部に設けられる電飾基板33の発光動作、駆動モータ31Mの駆動等を制御する。駆動モータ31Mは、ルーレット表示器30を中央位置と下降位置との間において上下方向に移動させる。
払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を賞球として賞球払出装置49に払い出させる。中継基板47は、第二始動口ソレノイド69、第一大入賞口ソレノイド70、第二大入賞口ソレノイド71、ゲートスイッチ75、第一大入賞口スイッチ77、第二大入賞口スイッチ78、特定領域スイッチ79及び図柄表示部24に接続している。
第二始動口ソレノイド69は、普通当たり遊技中に第二始動口13の作動部材131を作動する。第一大入賞口ソレノイド70は、大当たり遊技中に第一大入賞口16の開閉部材161を開閉する。第二大入賞口ソレノイド71は、小当たり遊技中に第二大入賞口17の開閉部材171を開閉する。ゲートスイッチ75は、ゲート11に設けられており、ゲート11への遊技球の通過を検出する。第一大入賞口スイッチ77は、第一大入賞口16に設けられており、第一大入賞口16への遊技球の入賞を検出する。第二大入賞口スイッチ78は、第二大入賞口17に設けられており、第二大入賞口17への遊技球の入賞を検出する。特定領域スイッチ79は、第二大入賞口17の特定領域に設けられており、特定領域への遊技球の通過を検出する。
外部端子板55は、パチンコホールに設置されている遊技機を統括的に管理する遊技場管理用コンピュータ(いわゆるホールコンピュータ、図示略)にパチンコ機1の情報を接点出力する。第一始動口スイッチ61は、第一始動口12に設けられており、第一始動口12への遊技球の入賞を検出する。第二始動口スイッチ62は、第二始動口13に設けられており、第二始動口13への遊技球の入賞を検出する。
電源基板42は、主基板41及び遊技球発射装置37に接続されており、各基板及び遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。また、電源基板42には、電源スイッチ423が設けられている。電源スイッチ423は、パチンコ機1の電源をON、OFFするために操作されるスイッチである。
図4を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、メインROM53に記憶されている主制御プログラムによって行われる。主制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図3参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が検知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
パチンコ機1の電源スイッチ423が操作されることによってパチンコ機1の電源がONにされると、CPU51はメイン処理を開始する。まず、稼働中フラグが「ON」であるかが判断される(S10)。稼働中フラグは、パチンコ機1が稼働中であるかを示すフラグであり、RAM52に記憶される。稼働中フラグは、電源スイッチ423の操作によってパチンコ機1の電源がOFFにされるときに「OFF」になり、パチンコ機1の電源がONにされるときに実行される後述する電源投入時処理(S111)の実行に伴って「ON」になる。よって、パチンコ機1の電源がONにされた直後は稼働中フラグが「OFF」である。稼働中フラグが「OFF」の場合(S10:NO)、電源投入時処理が実行されて(S11)、メイン処理が終了する。
図5を参照して、電源投入時処理(S11、図4参照)の詳細について説明する。電源投入時処理が開始されると、まず、初期設定が行われる(S31)。初期設定では、スタックポインタを所定値に設定したり、RAM52へのアクセスを許可したりするための処理等が行われる。
次いで、RAMクリアスイッチ412がON状態であるかが判断される(S32)。すなわち、パチンコ機1の電源が投入されたときにおけるRAMクリアスイッチ412の操作状況が判断される。パチンコ機1の電源投入時にRAMクリアスイッチ412も操作されており、RAMクリアスイッチ412がON状態である場合(S32:YES)、処理はS41へ移行する。
一方、RAMクリアスイッチ412がOFF状態であると判断された場合(S32:NO)、RAM判定値が算出される(S33)。RAM判定値は、例えばRAM52の使用領域のチェックサム値である。次いで、算出されたRAM判定値が正常であるかが判断される(S35)。CPU51は、パチンコ機1の電源遮断時に、RAM判定値を算出して、その値を保存する。算出されたRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致せず、算出されたRAM判定値が正常でないと判断された場合(S35:NO)、処理はS41へ移行する。
次いで、RAM52に記憶されている遊技に関する各種情報を消去(クリア)する、RAMクリアが実行される(S41)。RAMクリアが実行されることにより、RAM52に記憶されているフラグ、カウンタ等の各種情報が初期化され、パチンコ機1が初期状態に設定される。次いで、RAMクリア通知コマンドが生成され、生成されたRAMクリア通知コマンドが、サブ制御基板58に送信される(S42)。RAMクリア通知コマンドは、RAMクリアが実行されたことをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。
次いで、パチンコ機1に搭載されている遊技仕様である搭載遊技仕様に応じて、初期中図柄指定コマンドが生成され、生成された初期中図柄指定コマンドが、サブ制御基板58に送信される(S43)。処理はS48に移行する。本実施形態では、演出図柄80は、左図柄81、中図柄82及び右図柄83の三つの図柄で構成される(図10(2)参照)。本実施形態では、左図柄81、中図柄82及び右図柄83のそれぞれは、「1」から「8」の数字を示す8種類の図柄によって構成される。初期中図柄指定コマンドは、パチンコ機1の初期状態において7セグ表示器28に表示される演出図柄80の組合せである初期出目のうち、中図柄82をいずれの数字を示す図柄にするかを指定するためのコマンドである。
図6を参照して、遊技仕様と、初期中図柄指定コマンドによって指定される中図柄82との関係を説明する。遊技仕様-中図柄対応表は、パチンコ機1が提供可能な四つの遊技仕様であるメインスペックA1~メインスペックA4のそれぞれに対応付けられる初期出目のうち中図柄82との対応を示す。遊技仕様がメインスペックA1の場合には、初期出目の中図柄82に、数字の「1」を示す図柄が対応付けられている。遊技仕様がメインスペックA2の場合には、初期出目の中図柄82に、数字の「3」を示す図柄が対応付けられている。遊技仕様がメインスペックA3の場合には、初期出目の中図柄82に、数字の「4」を示す図柄が対応付けられている。遊技仕様がメインスペックA4の場合には、初期出目の中図柄82に、数字の「5」を示す図柄が対応付けられている。
すなわち、S43(図5参照)において、遊技仕様がメインスペックA1の場合には、「1」を示す図柄を初期出目の中図柄82に指定することを示す初期中図柄指定コマンドが生成される。遊技仕様がメインスペックA2の場合には、「3」を示す図柄を初期出目の中図柄82に指定することを示す初期中図柄指定コマンドが生成される。遊技仕様がメインスペックA3の場合には、「4」を示す図柄を初期出目の中図柄82に指定することを示す初期中図柄指定コマンドが生成される。遊技仕様がメインスペックA4の場合には、「5」を示す図柄を初期出目の中図柄82に指定することを示す初期中図柄指定コマンドが生成される。
図5の説明に戻る。一方、S33の処理で算出されたRAM判定値が、電源遮断時に保存されたRAM判定値と一致する場合には、算出されたRAM判定値が正常であると判断される(S35:YES)。この場合、スタックポインタを電源遮断時の値に復帰させる等、遊技状態を電源遮断時の状態に復帰させるための復帰処理が行われる(S36)。次いで、復帰通知コマンドが生成され、生成された復帰通知コマンドが、サブ制御基板58に送信される(S38)。復帰通知コマンドは、復帰処理が実行されたことをサブ制御基板58に通知するためのコマンドである。処理はS48に移行する。
次いで、RAMクリアの実行又は復帰処理の実行が完了したことを示す処理完了コマンドが生成され、生成された処理完了コマンドが、サブ制御基板58に送信される(S48)。次いで、稼働中フラグが「ON」になり(S49)、メイン処理が終了する。
図4の説明に戻る。次の割込み信号でメイン処理が開始されると、稼働中フラグが「ON」であるので(S10:YES)、まず、コマンド出力処理が行われる(S20)。コマンド出力処理では、制御コマンドが、サブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47等に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実施されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S21)。スイッチ読込処理では、ゲート11、第一始動口12、第二始動口13、第一大入賞口16、第二大入賞口17、その他の入賞口に設けられた各スイッチ(図3参照)の検出結果から、遊技球の通過又は入賞を検知するための処理が行われる。各スイッチが遊技球の通過を検出すると、RAM52に記憶されている各スイッチに対応するフラグが「ON」となる。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S22)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタの値が加算され、且つ、第一特別図柄及び第二特別図柄の変動時間を計測するためのタイマカウンタである第一変動時間カウンタ及び第二変動時間カウンタの値が減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S23)。特別電動役物処理では、大当たり遊技の動作を制御するための処理、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態に関する処理等が行われる。大当たり遊技の動作とは、主に、大当たり遊技における第一大入賞口16及び第二大入賞口17の開閉部材161,171の開閉動作である。大当たり遊技が開始される場合には、大当たり遊技開始コマンドが生成され、生成された大当たり遊技開始コマンドはRAM52に記憶される。
次いで、特別図柄処理が行われる(S24)。特別図柄処理では、大当たり判定、特別図柄の変動パターン(報知演出の内容及び演出時間)の決定、大当たり判定の結果を示す特別図柄の決定及び遊技状態の移行処理等が行われる。また、決定された特別図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドが生成される。また、特別図柄の変動時間が経過した場合には、特別図柄の変動が停止することを通知するための特別図柄停止コマンドが生成される。生成された各コマンドはRAM52に記憶される。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S25)。普通電動役物処理では、普通当たり遊技の動作(主に第二始動口13の開閉部材121の開閉動作)を制御するための処理が行われる。
次いで、普通図柄処理が行われる(S26)。普通図柄処理では、普通当たり判定、普通当たり判定の結果を示す普通当たり図柄の決定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。
次いで、払出処理(S27)、エラーチェック(S28)、及び情報出力処理(S29)が行われ、メイン処理が終了する。払出処理では、スイッチ読込処理によって各スイッチに対応するフラグが「ON」とされた場合に、各スイッチに対応する入賞口へ遊技球が入賞したことを示すコマンドが、払出制御基板45に送信される。このコマンドを受信した払出制御基板45のCPU45aは、コマンドに対応する入賞口について予め定められている個数の賞球を、入賞口への入賞球数に応じて賞球払出装置49に払い出させる。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、7セグ表示器28及びスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、遊技場管理用コンピュータ(図示略)に各種の情報が出力される。
図7を参照して、サブ制御基板58が実行するサブ制御基板処理について説明する。サブ制御基板処理では、主基板41から送信されるコマンドに従って、各種の演出を制御する処理が行われる。サブ制御基板処理は、サブROM583に記憶されているサブ制御プログラムに従って、CPU581によって実行される。
CPU581は、主基板41から処理完了コマンドを受信すると、サブ制御基板処理を開始する。まず、初期設定処理が行われる(S51)。初期設定処理の詳細は後述する。初期設定処理が実行された後、主基板41から変動パターン指定コマンドを受信したかが判断される(S52)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合(S52:NO)、処理はS55の判断へ移行する。変動パターン指定コマンドを受信した場合(S52:YES)、変動パターン指定コマンドの示す変動パターンに応じて、報知演出の実行が開始される(S53)。処理はS55の判断へ移行する。
次いで、主基板41から特別図柄停止コマンドを受信したかが判断される(S55)。特別図柄停止コマンドを受信していない場合(S55:NO)、処理はS58の判断へ移行する。特別図柄停止コマンドを受信した場合(S55:YES)、報知演出を終了させるため、変動表示している演出図柄80が大当たり判定の結果を示す組合せで確定表示される(S56)。処理はS58の判断へ移行する。
次いで主基板41から大当たり遊技開始コマンドを受信したかが判断される(S58)。大当たり遊技開始コマンドを受信していない場合(S58:NO)、処理はS52へ戻る。大当たり遊技開始コマンドを受信した場合(S58:YES)、7セグ表示器28、ルーレット表示器30の表示内容及びスピーカ48から出力される遊技音が所定のパターンで制御されることによって、大当たり遊技演出が実行される(S59)。処理はS52へ戻る。搭載遊技仕様と、パチンコ機1に搭載されている演出仕様である搭載演出仕様との組合せが正規のものでない場合には、S52~S59の各処理が正常に行われない可能性がある。
図8を参照して、初期設定処理の詳細について説明する。初期設定処理が開始されると、まず、初期設定が行われる(S61)。初期設定では、ランプドライバ基板46等がサブ制御基板58から送信されたコマンドを処理できる状態にするための準備設定、7セグ表示器28を中央位置に復帰させるための初期動作等が行われる。
次いで、主基板41から初期中図柄指定コマンドを受信したかが判断される(S62)。初期中図柄指定コマンドを受信していない場合(S62:NO)、主基板41から復帰通知コマンドを受信したかが判断される(S63)。復帰通知コマンドを受信していない場合(S63:NO)、処理はS71の判断へ移行する。復帰通知コマンドを受信した場合(S63:YES)、電源遮断時の出目が7セグ表示器28に表示され(S65)、処理はS71の判断へ移行する。
一方、初期中図柄指定コマンドを受信した場合(S62:YES)、受信した初期中図柄指定コマンドの示す初期出目の中図柄82が、RAM582に記憶される(S66)。この処理では、遊技仕様がメインスペックA1の場合には、初期出目の中図柄82を「1」を示す図柄とすることが記憶される。遊技仕様がメインスペックA2の場合には、初期出目の中図柄82を「3」を示す図柄とすることが記憶される。遊技仕様がメインスペックA3の場合には、初期出目の中図柄82を「4」を示す図柄とすることが記憶される。遊技仕様がメインスペックA4の場合には、初期出目の中図柄82を「5」を示す図柄とすることが記憶される。
次いで、搭載演出仕様に応じて、初期左右図柄が決定される(S68)。図9(1)を参照して、演出仕様と、決定される初期左右図柄との関係を説明する。演出仕様-左右図柄対応表は、パチンコ機1が提供可能な二つの演出仕様であるサブスペックB1及びサブスペックB2のそれぞれに対応付けられる初期出目のうち左図柄81及び右図柄83との対応を示す。演出仕様がサブスペックB1の場合には、初期出目の左図柄81及び右図柄83に、それぞれ数字の「7」を示す図柄が対応付けられている。演出仕様がサブスペックB2の場合には、初期出目の左図柄81及び右図柄83に、それぞれ数字の「3」を示す図柄が対応付けられている。
すなわち、S68において、演出仕様がサブスペックB1の場合には、初期出目の左図柄81及び右図柄83として、それぞれ数字の「7」を示す図柄が決定される。演出仕様がサブスペックB2の場合には、初期出目の左図柄81及び右図柄83として、それぞれ数字の「3」を示す図柄が決定される。
図8の説明に戻る。次いで、S66で記憶された初期中図柄と、S68で決定された初期左右図柄との組合せによる初期出目が、7セグ表示器28に表示される(S69)。その後、処理はS71の判断へ移行する。
図10を参照して、パチンコ機1における遊技仕様と演出仕様との組合せ及びパチンコ機1において表示されうる初期出目について説明する。図10(1)に示すように、パチンコ機1における遊技仕様と演出仕様との正規の組合せは、組合せ番号K1~K4に示す四通りである。組合せ番号K1は、メインスペックA1とサブスペックB2との組合せを示す。組合せ番号K2は、メインスペックA2とサブスペックB1との組合せを示す。組合せ番号K3は、メインスペックA3とサブスペックB2との組合せを示す。組合せ番号K4は、メインスペックA4とサブスペックB2との組合せを示す。
前述したように、遊技仕様がメインスペックA1の場合には「1」が、メインスペックA2の場合には「3」が、メインスペックA3の場合には「4」が、メインスペックA4の場合には「5」が、それぞれ中図柄82として指定される。また、演出仕様がサブスペックB1の場合には「7」が、サブスペックB2の場合には「3」が、それぞれ左図柄81及び右図柄83として決定される。よって、組合せ番号K1の遊技仕様及び演出仕様を搭載するパチンコ機1では、左図柄81,中図柄82,右図柄83の順に「3」,「1」,「3」となる初期出目が表示される。組合せ番号K2の遊技仕様及び演出仕様を搭載するパチンコ機1では、左図柄81,中図柄82,右図柄83の順に「7」,「3」,「7」となる初期出目が表示される。組合せ番号K3の遊技仕様及び演出仕様を搭載するパチンコ機1では、左図柄81,中図柄82,右図柄83の順に「3」,「4」,「3」となる初期出目が表示される。組合せ番号K4の遊技仕様及び演出仕様を搭載するパチンコ機1では、左図柄81,中図柄82,右図柄83の順に「3」,「5」,「3」となる初期出目が表示される。
図10(2)の(A)~(D)は、サブスペックB1の演出仕様に対してメインスペックA1~メインスペックA4の遊技仕様が対応された場合の初期出目を示す。(E)~(H)は、サブスペックB2の演出仕様に対してメインスペックA1~メインスペックA4の遊技仕様が対応された場合の初期出目を示す。
パチンコ機1の組み立て時において、主基板41とサブ制御基板58とがそれぞれ異なる業者からパチンコ機1のメーカーに納品されることがある。また、不具合が生じたパチンコ機1の基板をパチンコホールで交換する際等、メインROM53及びサブROM583のチェックサムをROMライタで確認できない場合がある。このような場合、パチンコ機1の組み立て時、基板交換時等に、遊技仕様と演出仕様とが正規の組合せ以外の組合せにされるミスが生じる可能性がある。例えば、組合せ番号K1の遊技仕様及び演出仕様の組合せによるパチンコ機1を製造する工場のラインを想定する。製造するパチンコ機1が図10(2)の(E)以外の初期出目を示す場合には、遊技仕様及び演出仕様の少なくともいずれかが誤って組み合わされていることがわかる。
パチンコ機1の組み立て作業等を行う作業者は、パチンコ機1の搭載遊技仕様及び搭載演出仕様の組合せを、例えば、メインROM53及びサブROM583のチェックサムをROMライタ等で確認することなく、パチンコ機1の外部から初期出目によって確認できる。また、作業者は、パチンコ機1の搭載遊技仕様及び搭載演出仕様が正規の組合せであるかを、初期出目によって確認することができる。したがって、遊技仕様と演出仕様との組合せが誤ったものになることが防止される。
図8の説明に戻る。次いで、主基板41からRAMクリア通知コマンドを受信したかが判断される(S71)。RAMクリア通知コマンドを受信していない場合(S71:NO)、処理はサブ制御基板処理へ戻る。RAMクリア通知コマンドを受信した場合(S71:YES)、搭載演出仕様に応じて、音ROM593に記憶されている遊技音データのうち登録番号に基づく遊技音データが指定される(S72)。次いで、指定された遊技音データに基づく遊技音がスピーカ48から出力される(S73)。処理はサブ制御基板処理へ戻る。
図9、図11及び図12を参照して、演出仕様と、S72の処理で指定される遊技音の登録番号との関係と、S72の処理に基づいて出力されうる遊技音について説明する。図9(2)に示すように、演出仕様-指定登録番号対応表は、パチンコ機1が提供可能な二つの演出仕様であるサブスペックB1及びサブスペックB2のそれぞれに対応付けられる遊技音データの登録番号との対応を示す。演出仕様がサブスペックB1の場合には、指定する遊技音データの登録番号として「T100」が、サブスペックB2の場合には、指定する遊技音データの登録番号として「T200」が、それぞれ対応付けられている。
前述したように、パチンコ機1における演出仕様と遊技音データ群との正規の組合せは、サブスペックB1と音データC1との組合せと、サブスペックB2と音データC2との組合せである。図11に示すように、音データC1及び音データC2のそれぞれは、遊技音データのそれぞれに登録番号を関連付けて遊技音データ群を登録している。例えば、音データC1及び音データC2のそれぞれは、登録番号のうちT1に「下皿満杯報知」の遊技音データを関連付けて登録している。「下皿満杯報知」は、「下皿が満タンです。球を抜いてください。」の音声に関する遊技音を示す遊技音データである。払出制御基板45のCPU45aは、払出制御基板45に接続される下皿満杯検知スイッチ(図示略)が下皿6に貯留された遊技球が所定量以上になったことを検知した場合、下皿満杯通知コマンドを生成する。生成された下皿満杯通知コマンドは、主基板41を介してサブ制御基板58に送信される。下皿満杯通知コマンドを受信したサブ制御基板58のCPU581は、音制御回路591に対してT1の登録番号を指定することで「下皿満杯報知」の遊技音データを音ROM593から取得し、取得した遊技音データの示す音声をスピーカ48に出力させる。
このように、CPU581は、遊技音のそれぞれの出力契機が到来することに応じて、登録番号を用いて遊技音データを指定し、指定した遊技音データの示す遊技音をスピーカ48に出力させる。遊技音データ群は演出仕様に対応して設けられているので、登録される遊技音データには、音データC1と音データC2とで共通の遊技音データも含まれるが、異なる遊技音データも含まれる。例えば、図11(1)及び(2)に示すように、いずれの演出仕様にも必要な遊技音に対応する、登録番号がT1~T3に示す遊技音データは、音データC1と音データC2とで共通に登録されている。一方、サブスペックB1とサブスペックB2とで実行する演出の内容が異なること等により、登録番号がT101,T102,T201,T202に対応する遊技音データとして、音データC1と音データC2とで異なるものが登録されている。
図11(1)に示すように、音データC1は、登録番号のうちT100に「RAMクリア報知」の遊技音データを関連付けて登録している。「RAMクリア報知」は、主基板41においてRAMクリアが実行されたことを示す「メモリをクリアしています。」の音声に関する遊技音を示す遊技音データである。また、登録番号のうちT200に「サブ-音不整合報知」の遊技音データを関連付けて登録している。「サブ-音不整合報知」は、パチンコ機1に何らかのエラーが発生していることを報知するためのビープ音(警告音)を示す遊技音データである。
一方、図11(2)に示すように、音データC2は、登録番号のうちT100に「サブ-音不整合報知」を、T200に「RAMクリア報知」を、それぞれ関連付けて登録している。すなわち、音データC1と音データC2とで、「RAMクリア報知」に対応する登録番号と「サブ-音不整合報知」に対応する登録番号とが、反対にされている。
図12に示すように、パチンコ機1における演出仕様と音ROM593に記憶される遊技音データ群との組合せは、組合せ番号L1~L4に示す四通りである。組合せ番号L1は、サブスペックB1と音データC1との組合せを示す。組合せ番号L2は、サブスペックB2と音データC2との組合せを示す。組合せ番号L3は、サブスペックB1と音データC2との組合せを示す。組合せ番号L4は、サブスペックB2と音データC1との組合せを示す。パチンコ機1において、組合せ番号L1及びL2は正規の組合せであり、組合せ番号L3及びL4は正規の組合せでない。
前述したように、演出仕様がサブスペックB1の場合には「T100」が、サブスペックB2の場合には「T200」が、それぞれ指定される。また、音データC1は登録番号「T100」に「RAMクリア報知」の遊技音データを、登録番号「T200」に「サブ-音不整合報知」の遊技音データを登録している。音データC2は、登録番号「T100」に「サブ-音不整合報知」の遊技音データを、登録番号「T200」に「RAMクリア報知」の遊技音データを登録している。よって、組合せ番号L1の演出仕様及び遊技音データ群を搭載するパチンコ機1では、CPU581がRAMクリア通知コマンドを受信することに伴い(S71:YES)、「T100」の遊技音データが指定される(S72)。音データC1において「T100」に対応する遊技音データは「RAMクリア報知」であるので、「メモリをクリアしています」の音声がスピーカ48から出力される(S73)。組合せ番号L2の演出仕様及び遊技音データ群を搭載するパチンコ機1では、CPU581がRAMクリア通知コマンドを受信することに伴い(S71:YES)、「T200」の遊技音データが指定される(S72)。音データC2において「T200」に対応する遊技音データは「RAMクリア報知」であるので、「メモリをクリアしています」の音声がスピーカ48から出力される(S73)。
一方、組合せ番号L3の演出仕様及び遊技音データ群を搭載するパチンコ機1では、CPU581がRAMクリア通知コマンドを受信することに伴い(S71:YES)、「T100」の遊技音データが指定される(S72)。音データC2において「T100」に対応する遊技音データは「サブ-音不整合報知」であるので、ビープ音がスピーカ48から出力される(S73)。組合せ番号L4の演出仕様及び遊技音データ群を搭載するパチンコ機1では、CPU581がRAMクリア通知コマンドを受信することに伴い(S71:YES)、「T200」の遊技音データが指定される(S72)。音データC1において「T200」に対応する遊技音データは「サブ-音不整合報知」であるので、ビープ音がスピーカ48から出力される(S73)。
パチンコ機1の組み立て時において、サブROM583への演出仕様に応じたデータの書き込みと、音ROM593への遊技音データ群の書き込みとが、異なる業者によって、また、異なるタイミングで行われることがある。このような場合、サブ制御基板58への部品実装時等に、サブROM583に係る演出仕様と音ROM593に係る遊技音データ群との組合せが、正規の組合せ以外の組合せにされるミスが生じる可能性がある。このような場合であっても、作業者は、パチンコ機1のRAMクリアを実行することによって、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規の組合せであるか否かを遊技音に基づいて判別することができる。パチンコ機1は、作業者にサブROM583及び音ROM593のチェックサムをROMライタ等で確認させることなく、演出仕様と遊技音データ群との組合せを確認させることができる
以上説明したように、パチンコ機1は、S72の処理において、演出仕様がサブスペックB1の場合には「T100」を、サブスペックB2の場合には「T200」を、それぞれ指定する。音データC1は登録番号「T100」に「RAMクリア報知」の遊技音データを、登録番号「T200」に「サブ-音不整合報知」の遊技音データを登録している。音データC2は、登録番号「T100」に「サブ-音不整合報知」の遊技音データを、登録番号「T200」に「RAMクリア報知」の遊技音データを登録している。よって、図12において組合せ番号L1及びL2で示す正規の演出仕様と遊技音データ群との組合せがされている場合、「メモリをクリアしています」の音声がスピーカ48から出力される。組合せ番号L3及びL4で示す正規でない演出仕様と遊技音データ群との組合せがされている場合、ビープ音がスピーカ48から出力される。これにより、パチンコ機1は、パチンコ機1の組み立て作業等を行う作業者に、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものであるか否かを、サブROM583及び音ROM593のチェックサムをROMライタ等で確認することなく、パチンコ機1が出力する遊技音によって判別させることができる。
パチンコ機1の点検時等には、RAMクリアが実行されることが多い。パチンコ機1は、RAMクリアが実行された場合に、「RAMクリア報知」の遊技音データが示す遊技音又は「サブ-音不整合報知」の遊技音データが示す遊技音を出力する。したがって、作業者は、特別な操作等を行うことなく、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものであるか否かを判別することができる。
パチンコ機1は、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものでない場合にビープ音を出力するので、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものでないことを作業者に明確に警告できる。
上記実施形態において、サブ制御基板58が、本発明の「演出制御手段」に相当する。スピーカ48が、本発明の「音声出力手段」に相当する。遊技音データ群が、本発明の「登録データ」に相当する。音データC1が、本発明の「第一登録データ」に相当する。音データC2が、本発明の「第二登録データ」に相当する。図8のS72で搭載演出仕様に応じた登録番号で遊技音データを指定するサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「遊技音指定手段」として機能する。図8のS73で指定した遊技音データに基づく遊技音をスピーカ48に出力させるサブ制御基板58のCPU581が、本発明の「出力制御手段」として機能する。「RAMクリア報知」の遊技音データが、本発明の「第一データ」に相当する。「サブ-音不整合報知」の遊技音データが、本発明の「第二データ」に相当する。主基板41が、本発明の「主制御手段」に相当する。主基板41のRAM52が、本発明の「主制御記憶手段」に相当する。RAMクリアが、本発明の「クリア処理」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。例えば、演出図柄80を表示する演出図柄表示手段は、7セグ表示器28のように電飾基板33に搭載されたLEDの発光によって図柄を表示するものに限られず、液晶パネル、7セグメントLED、有機ELディスプレイ等、所定の図柄等を表示できる物であればよい。
演出図柄80を表示する演出図柄表示手段が、液晶パネル、有機ELディスプレイ等の表示器である場合には、サブ制御基板58が出力するコマンドに基づいて表示器における表示内容を制御する演出制御手段がさらに設けられることがある。このような場合、演出制御手段において実行される演出制御プログラムの内容が、遊技仕様及び演出仕様に応じて複数種類設けられる場合がある。このような場合、遊技仕様に対応する演出図柄80と、演出制御プログラムの内容に対応した演出図柄80との組合せによる初期出目が表示されてもよい。また、遊技仕様に対応する演出図柄80と、演出仕様に対応する演出図柄80と、演出制御プログラムの内容に対応した演出図柄80との組合せによる初期出目が表示されてもよい。また、このような演出制御手段が、遊技音の制御を行う場合がある。この場合、演出制御プログラムの内容に応じて異なる登録番号で、「RAMクリア報知」の遊技音データを指定することとしてもよい。すなわち、本発明の演出仕様は、サブ制御プログラムに対応することに限られず、演出制御プログラムに対応するものであってもよい。
搭載遊技仕様に対応する演出図柄80と、搭載演出仕様に対応する演出図柄80との組合せは、上記実施形態の内容に限定されない。例えば、搭載遊技仕様が左図柄81及び右図柄83のうち少なくともいずれかに対応し、搭載演出仕様が中図柄82に対応した形で、初期出目が表示されてもよい。搭載遊技仕様が左図柄81に対応し、搭載演出仕様が右図柄83に対応した形で、初期出目が表示されてもよい。また、演出図柄80は、特別図柄に対応する演出図柄に限られず、普通図柄に対応する演出図柄であってもよい。上記実施形態では、演出図柄80は三つの図柄によって構成されるが、演出図柄80が二つの図柄によって構成されてもよいし、四つ以上の図柄によって構成されてもよい。いずれの場合においても、演出図柄80のうち少なくともいずれかが遊技仕様に対応し、遊技仕様に対応する図柄以外の少なくともいずれかの図柄が演出仕様に対応した形で、初期出目が表示されれば良い。
音ROM593は、サブ制御基板58に設けられる態様に限られず、サブ制御基板58とは別の基板に設けられていてもよい。この場合、サブ制御基板58と音ROM593が搭載される基板とがそれぞれ異なる業者からパチンコ機1のメーカーに納品される場合がある。このような場合であっても、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものであるかが、遊技音によってパチンコ機1の外部から判別可能であるので、演出仕様と遊技音データ群との組合せが誤ったものになることが効果的に防止される。
上記実施形態では、音データC1と音データC2とで、登録番号がT101,T102,T201,T202に対応する遊技音データが、演出仕様の違いによって異なっている。例えば、音データC1と音データC2とで、サブスペックB1に必要な遊技音データが共通に設けられ、サブスペックB1には必要でなくサブスペックB2に必要な遊技音データが、音データC2のみに追加される形で、遊技音データ群が設けられてもよい。この場合であっても、「RAMクリア報知」の遊技音データの登録番号と、「サブ-音不整合報知」の遊技音データの登録番号とが、音データC1と音データC2とで入れ違いに設けられることで、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規なものであるか否かが、遊技音によって判別可能である。
上記実施形態では、RAMクリアが実行された場合に、搭載遊技仕様及び搭載演出仕様に対応した初期出目の表示によって、搭載遊技仕様及び搭載演出仕様を判別可能にしている。一方、RAMクリアが実行されず、電源投入のみが行われた場合においても、上記実施形態の初期出目が表示される態様であってもよい。
上記実施形態では、「RAMクリア報知」の遊技音データと「サブ-音不整合報知」の遊技音データとが対にされることで、RAMクリア実行時に出力される遊技音によって搭載演出仕様と遊技音データ群との組合せを判別可能にしている。例えば、パチンコ機1は、前面枠10が開放していることを報知する音声に対応する遊技音データである「扉開放報知」と、「サブ-音不整合報知」の遊技音データとを対にすることで、前面枠10の開放時に出力される遊技音によって搭載演出仕様と遊技音データ群との組合せを判別可能にしてもよい。すなわち、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規ものであるか否かを報知するタイミングは、RAMクリア時に限られず、任意のタイミングで設けられてよい。
「サブ-音不整合報知」の遊技音データに対応する遊技音は、上記実施形態のものに限られない。パチンコ機1は、例えば、「ロム種別を確認してください」の音声、その他の電子音等、演出仕様と遊技音データ群との組合せが正規のものでないことを作業者等に警告できる任意の音を採用できる。
同一の機種のパチンコ機1に対して、三つ以上の異なる演出仕様が設けられる場合であっても、本発明を適用可能である。
請求項、明細書及び図面に記載される全ての要素(例えば、演出制御手段等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、前記要素につけられた名称(要素名)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。従って、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。例えば、「演出制御手段」は、ハード単体でも、ソフトを含んだものであっても構わない。更には、上記全ての要素のうちの複数の要素を適宜一体的に構成するか、もしくはひとつの要素を複数の要素に分けて構成するかは、何れも当業者であれば容易に考えられる事項であり、敢えて明細書等において全パターンを記載しなくても何れのパターンも想定範囲内であることは明らかであることから、特許請求の範囲等においてそれらを明確に除外している旨の記載がない限りは、それら全てについて本発明に係る権利範囲に含まれることは言うまでもない。従って、その程度の範囲内での構成上の差異を、本実施例に記載がなされていないことを理由に遊技機に採用することのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはあたらない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。