1 実施の形態1
1.1 湾曲型表示装置
図1は、実施の形態1の湾曲型表示装置を模式的に図示する断面図である。図2は、実施の形態1の湾曲型表示装置の組み立て方法を模式的に説明する斜視図である。
図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100は、保護板110及び表示素子111を備える。表示素子111は、表示素子パネル120及び可撓性プリント基板(FPC)121を備える。湾曲型表示装置100がこれらの要素以外の要素を備えてもよい。
表示素子111は、液晶表示素子である。ただし、下述する集積回路(IC)チップ134の破損を起こりにくくするための技術が、液晶表示素子ではない表示素子を備える湾曲型表示装置において採用されてもよい。例えば、当該技術が、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子、電気化学的表示素子等を備える湾曲型表示装置において採用されてもよい。
保護板110は、外力が作用しない状態において湾曲している。表示素子パネル120は、外力が作用しない状態においては平坦であるが、外力により湾曲している。表示素子パネル120は、保護板110の湾曲面110aに添わされており、湾曲面110aに貼り付けられている。
湾曲型表示装置100の表示面は、湾曲型表示装置100の正面側にある。保護板110は、湾曲型表示装置100の正面側に配置されている。表示素子パネル120は、湾曲型表示装置100の背面側に配置されている。したがって、保護板110は、湾曲型表示装置100の正面側から加わる衝撃から表示素子パネル120を保護する。また、湾曲型表示装置100の正面側からは、保護板110を介して表示素子パネル120に表示された映像を視認することができる。
FPC121は、表示素子パネル120に接続されている。
1.2 表示素子
表示素子パネル120は、図1及び図2に図示されるように、ガラス基板130、ガラス基板131、偏光板132、偏光板133及びICチップ134を備える。表示素子パネル120がこれらの要素以外の要素を備えてもよい。ガラスからなるガラス基板130及び131が、ガラスではない透明材料からなる基板に置き換えられてもよい。例えば、ガラス基板130及び131が透明樹脂からなる透明樹脂基板に置き換えられてもよい。
ガラス基板130は、湾曲型表示装置100の正面側に配置されている。ガラス基板131は、湾曲型表示装置100の背面側に配置されている。ガラス基板131の一方の主面131Aは、ガラス基板130の一方の主面130Aに対向する。ガラス基板131の非額縁部140は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、ガラス基板130に重なっている。ガラス基板131の額縁部141は、ガラス基板131の非額縁部140から連続し、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、ガラス基板130に重なっていない。偏光板132は、ガラス基板130の他方の主面130Bに貼り付けられている。偏光板133は、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。
表示素子パネル120は、配線及び異方性導電膜を備える。当該配線は、ガラス基板131の一方の主面131A上に形成されている。FPC121及びICチップ134は、異方性導電膜を介して、一方の主面131Aに貼り付けられている。FPC121及びICチップ134は、額縁部141に貼り付けられている。異方性導電膜は、導電粒子が混入された接着剤層からなる。これにより、FPC121及びICチップ134は、一方の主面131A上に形成されている配線に電気的に接続されている。したがって、ICチップ134は、当該配線を介して、FPC121に電気的に接続されている。
表示素子111が映像を表示する際には、映像信号及び電源が、FPC121に供給され、FPC121を介して表示素子パネル120に供給される。表示素子パネル120に供給された映像信号及び電源は、ガラス基板131の一方の主面131A上に形成されている配線を介して、ICチップ134に供給される。ICチップ134は、駆動回路が搭載されている駆動用のICチップであり、供給された電源を利用して動作し、供給された映像信号に応じた駆動信号を生成する。表示素子パネル120は、生成された駆動信号に応じて各画素の光透過率を制御する。これにより表示素子パネル120は、供給された映像信号に応じた映像を映像表示領域170に表示する。映像信号ではない信号がFPC121に供給されFPC121を介して表示素子パネル120に供給されてもよい。例えば、タッチパネル用の信号がFPC121に供給されFPC121を介して表示素子パネル120に供給されてもよい。
1.3 ICチップの実装
ICチップ134は、図1及び図2に図示されるように、ガラス基板131上にチップオングラス(COG)実装されている。COG実装がCOG実装でない実装に置き換えられてもよい。ICチップ134は、ICチップ134の回路面134Aがガラス基板131に向けられている状態でガラス基板131上にフェイスダウン実装されている。ICチップ134は、額縁部141上に実装されている。
ICチップ134は、バンプを備える。当該バンプは、ICチップ134の回路面134Aに配置されている。当該バンプは、ガラス基板131の一方の主面131A上に形成されている配線に接続されている。これにより、ICチップ134は、当該配線に電気的に接続されている。
1.4 湾曲型表示装置の製造
湾曲型表示装置100が製造される際には、ICチップ134が実装されていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装される。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、図2に図示されるように、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置100が完成する。
1.5 曲げ応力
表示素子パネル120は、図1及び図2に図示されるように、外力により湾曲している。このため、表示素子パネル120に備えられるガラス基板130、ガラス基板131、偏光板132及び偏光板133の各要素は、各要素に作用する外力により湾曲している。表示素子パネル120に備えられるICチップ134も、ICチップ134に作用する外力によりガラス基板131に沿って湾曲している。これにより、ガラス基板131及びICチップ134の内部には、曲げ応力が発生している。
ガラス基板131の一方の主面131Aは、ICチップ134が実装されている実装領域160を有する。ガラス基板131の他方の主面131Bは、ガラス基板131の一方の主面131Aがある側とは反対の側にあり、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、実装領域160に重なっている実装領域裏面162を有する。
ICチップ134の背面134Bは、ICチップ134の回路面134Aがある側とは反対の側にある。
ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面とガラス基板131の他方の主面131Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用している。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用している。作用している引張応力TSは、他方の主面131Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
ガラス基板131及びICチップ134の厚さは、曲げ応力の中立面がICチップ134の回路面134A上、又はガラス基板131内に形成されるように決められている。このため、ガラス基板131及びICチップ134の少なくとも一方の厚さは、研磨等により調整されている。これにより、湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131及びICチップ134の断面係数が調整され、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。ICチップ134の研磨は、例えばウエハ状態で行われる。
ICチップ134は、主に脆性材料であるシリコン基板からなる。このため、ICチップ134は、圧縮応力CSに対して強いが、引張応力TSに対して弱い。湾曲型表示装置100においては、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
ガラス基板131の長辺側の縁辺131Lは、表示素子パネル120が湾曲している方向D2と平行をなし、湾曲している。ガラス基板131の短辺側の縁辺131Sは、方向D2と垂直をなし、湾曲していない。長辺側の縁辺131Lが方向D2と垂直をなし短辺側の縁辺131Sが方向D2と平行をなしてもよい。ICチップ134は、矩形状の平面形状を有する。ICチップ134Lは、長辺側の縁辺131Lに沿って設けられている実装領域160L上に実装されている。ICチップ134Lの長手方向は、長辺側の縁辺131Lと平行をなす。ICチップ134Sは、短辺側の縁辺131Sに沿って設けられている実装領域160S上に実装されている。ICチップ134Sの長手方向は、短辺側の縁辺131Sと平行をなす。ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなる効果は、湾曲により破損しやすいICチップ134Lにおいて特に顕著にあらわれる。
ガラス基板131及びICチップ134の厚さは、ICチップ134の厚さtIC、ガラス基板131が湾曲している方向D2と垂直をなすICチップ134の断面の面積SIC、ICチップ134の弾性率EIC、ガラス基板131の厚さtglass、方向D2と垂直をなしICチップ134の断面と同一平面を形成するガラス基板131の断面の面積Sglass、ガラス基板131の弾性率Eglass及び補正係数aが式1を満たように決定されている。補正係数aは、実験又は理論計算により求められる。
なお、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
ガラス基板131及びICチップ134の少なくとも一方の厚さは、望ましくは曲げ応力の中立面がICチップ134の回路面134A上に形成されるように調整される。これにより、ICチップ134に備えられる電子回路、ガラス基板131に備えられる電子回路、及び前者の電子回路と後者の電子回路とを互いに電気的に接続するための電気的な接続構造が集中する回路面134Aに作用する引張応力TS及び圧縮応力CSがなくなり、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
以下では、湾曲型表示装置100の要素に対応する要素に、それが他の要素に隠れていない場合であっても、それが他の要素に隠れている場合であっても、湾曲型表示装置100の要素に付与された参照符号と同じ参照符号が付与される。
1.6 凸面へのICチップの実装
図3は、実施の形態1の変形例の湾曲型表示装置を模式的に図示する斜視図である。
図3に図示される実施の形態1の変形例の湾曲型表示装置180に備えられる表示素子パネル120は、S字状に湾曲している。このため、表示素子パネル120に備えられるガラス基板131の一方の主面131Aは、凸面である実装領域160を有する。
凸面である実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面とガラス基板131の他方の主面131Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用している。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用している。作用している圧縮応力CSは、他方の主面131Bに近づくほど大きくなる。また、作用している引張応力TSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
ガラス基板131及びICチップ134の厚さは、曲げ応力の中立面がICチップ134の回路面134A上又はICチップ134内に形成されるように決められている。このため、ガラス基板131及びICチップ134の少なくとも一方の厚さは、研磨等により調整されている。これにより、湾曲型表示装置180においては、ガラス基板131及びICチップ134の断面係数が調整され、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、場合によってはICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
ガラス基板131及びICチップ134の厚さの調整は、ガラス基板131が湾曲している方向D2と垂直をなすICチップ134の断面の面積Sic、ICチップ134の弾性率Eic、方向D2と垂直をなしICチップ134の断面と同一平面を形成するガラス基板131の断面の面積Sglass、ガラス基板131の弾性率Eglass及び補正係数aが、式2を満たすように行われる。
2 実施の形態2
図4は、実施の形態2の湾曲型表示装置を模式的に図示する断面図である。図5は、実施の形態2の湾曲型表示装置を模式的に図示する斜視図である。
図4及び図5に図示される実施の形態2の湾曲型表示装置200は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図4及び図5に図示される湾曲型表示装置200においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられており、偏光板133の他方の主面133Bにガラス基板131を補強する補強板135が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置200において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置200においても採用される。
偏光板133の一方の主面133Aは、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。偏光板133の他方の主面133Bは、偏光板133の一方の主面133Aがある側とは反対の側にある。補強板135の第1の主面135Aは、接着層を介して、偏光板133の他方の主面133Bに貼り合わされている。補強板135の第2の主面135Bは、補強板135の第1の主面135Aがある側とは反対の側にある。偏光板133及び補強板135は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170、並びに実装領域160及びその周辺領域に重なっており、ガラス基板131の他方の主面131Bの略全体に重なっている。
補強板135を構成する材料は、ガラス、金属、樹脂等の材料から弾性率を考慮して選択される。補強板135を介して偏光板133の他方の主面133Bに光を照射する必要がある場合は、補強板135を構成する材料は、ガラス、透明樹脂等の透明材料から選択される。
湾曲型表示装置200が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、補強板135が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられる偏光板133の他方の主面133Bに補強板135が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置200が完成する。
湾曲型表示装置200においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と補強板135の第2の主面135Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用している。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用している。作用している引張応力TSは、第2の主面135Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
補強板135は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。補強板135は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置200においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置200においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置200においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置200においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
3 実施の形態3
図6は、実施の形態3の湾曲型表示装置を模式的に図示する斜視図である。
図6に図示される実施の形態3の湾曲型表示装置300は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図6に図示される湾曲型表示装置300においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられており、ガラス基板131の他方の主面131Bにガラス基板131を補強する補強板135が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置300において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置300においても採用される。
偏光板133は、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。補強板135は、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り合わされている。偏光板133は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170に重なっているが、実装領域160及びその周辺領域に重なっていない。補強板135は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、実装領域160及びその周辺領域に重なっているが、映像表示領域170に重なっていない。
補強板135を構成する材料は、ガラス、金属、樹脂等の材料から弾性率を考慮して選択される。
湾曲型表示装置300が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、補強板135が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられるガラス基板131の他方の主面131Bに補強板135が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置300が完成する。
湾曲型表示装置300においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と補強板135の第2の主面135Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用する。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用する。作用している引張応力TSは、第2の主面135Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
補強板135は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。補強板135は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置300においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置300においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置300においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置300においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
4 実施の形態4
図7は、実施の形態4の湾曲型表示装置を模式的に図示する断面図である。
図7に図示される実施の形態4の湾曲型表示装置400は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図7に図示される湾曲型表示装置400においては、ガラス基板131の他方の主面131Bにガラス基板131を補強する補強板135が貼り合わされており、補強板135の第2の主面135Bに偏光板133が貼り付けられている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置400において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置400においても採用される。
補強板135の第1の主面135Aは、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り合わされている。補強板135の第2の主面135Bは、補強板135の第1の主面135Aがある側とは反対の側にある。偏光板133は、補強板135の第2の主面135Bに貼り付けられている。偏光板133及び補強板135は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170、並びに実装領域160及びその周辺領域に重なっており、ガラス基板131の他方の主面131Bの略全体に重なっている。
補強板135を構成する材料は、ガラス、透明樹脂等の透明材料から選択される。
湾曲型表示装置400が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、偏光板133及び補強板135が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられるガラス基板131の他方の主面131Bに補強板135及び偏光板133が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111の中間品に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置400が完成する。
湾曲型表示装置400においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と補強板135の第2の主面135Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用する。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用する。作用している引張応力TSは、第2の主面135Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
補強板135は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。補強板135は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置400においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置400においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置400においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置400においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
加えて、湾曲型表示装置400においては、偏光板133に作用する曲げ応力を小さくすることができる。偏光板133は、一般的に樹脂材料層及び粘着層を備え、湾曲させられた場合に樹脂材料層と粘着層との間にずれを生じる。このため、偏光板133に作用する曲げ応力を小さくすることは、偏光板133に生じる樹脂材料層と粘着層との間のずれを抑制することに寄与する。
5 実施の形態5
図8は、実施の形態5の湾曲型表示装置を模式的に図示する斜視図である。
図8に図示される実施の形態5の湾曲型表示装置500は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においてはガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図8に図示される湾曲型表示装置500においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられており、偏光板133の他方の主面133Bにガラス基板131を補強する補強板135が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置500において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置500においても採用される。
偏光板133の一方の主面133Aは、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。偏光板133の他方の主面133Bは、偏光板133の一方の主面133Aがある側とは反対の側にある。補強板135は、接着層を介して、偏光板133の他方の主面133Bに貼り合わされている。補強板135は、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170に重なっているが、実装領域160及びその周辺領域に重なっていない。
補強板135を構成する材料は、ガラス、透明樹脂等の透明材料から選択される。
湾曲型表示装置500が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、補強板135が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられる偏光板133の他方の主面133Bに補強板135が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置500が完成する。
湾曲型表示装置500においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と補強板135の第2の主面135Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用している。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用している。作用している引張応力TSは、第2の主面135Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
補強板135は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。補強板135は、ガラス基板131の一方の主面131Aの実装領域160と重ならず、補強板135の位置と実装領域160の位置との間の位置関係は、ねじれの位置関係をなす。しかし、補強板135が応力に与える影響は実装領域160の付近にまで及ぶ。このため、補強板135は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置500においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置500においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置500においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置500においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
6 実施の形態6
図9は、実施の形態6の湾曲型表示装置を模式的に図示する断面図である。
図9に図示される実施の形態6の湾曲型表示装置600は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図9に図示される湾曲型表示装置600においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板150及び応力調整層151を備える光学フィルム136が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置600において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置600においても採用される。
光学フィルム136は、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り合わされている。
光学フィルム136は、多層構造を有し、偏光板150及び応力調整層151を備える。偏光板150及び応力調整層151は、積層されている。応力調整層151の一方の主面151Aは、偏光板150に接触する。応力調整層151の他方の主面151Bは、応力調整層151の一方の主面151Aがある側とは反対の側にある。
応力調整層151を構成する材料は、透明樹脂から選択される。
湾曲型表示装置600が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、光学フィルム136が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられるガラス基板131の他方の主面131Bに光学フィルム136が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置600が完成する。
湾曲型表示装置600においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と応力調整層151の他方の主面151Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用する。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用する。作用している引張応力TSは、他方の主面151Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
応力調整層151は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。応力調整層151は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置600においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置600においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置600においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置600においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
加えて、湾曲型表示装置600においては、応力調整層151が、実施の形態2の湾曲型表示装置200に備えられる補強板135の機能と同様の機能を有するため、補強板135をなくして湾曲型表示装置600を構成する部品の数を減らすことができる。
7 実施の形態7
図10は、実施の形態7の湾曲型表示装置を模式的に図示する斜視図である。
図10に図示される実施の形態7の湾曲型表示装置700は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図10に図示される湾曲型表示装置700においては、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられており、偏光板133の他方の主面133Bにバックライトからの光を他方の主面133Bに導く導光板137が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置700において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置700においても採用される。
偏光板133の一方の主面133Aは、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。偏光板133の他方の主面133Bは、偏光板133の一方の主面133Aがある側とは反対の側にある。導光板137は、接着層を介して、偏光板133の他方の主面133Bに貼り合わされている。導光板137は、望ましくは、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170、並びに実装領域160及びその周辺領域に重なっており、ガラス基板131の他方の主面131Bの略全体に重なっている。ただし、導光板137が、実施の形態5の湾曲型表示装置500に備えられる補強板135と同様に、ガラス基板131の厚さ方向D1から見て、映像表示領域170に重なるが実装領域160及びその周辺領域に重ならなくてもよい。
導光板137を構成する材料は、ガラス、透明樹脂等の透明材料から選択される。導光板137は、透明材料を加工することにより作製することができる。
湾曲型表示装置700が製造される際には、ICチップ134が実装されておらず、導光板137が貼り合わされていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられる偏光板133の他方の主面133Bに導光板137が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111の中間品に備えられる表示素子パネル120の全体が湾曲させられる。
続いて、湾曲させられた表示素子パネル120が、あらかじめ湾曲している保護板110に貼り合わされる。これにより、湾曲型表示装置700が完成する。
湾曲型表示装置700においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と導光板137の外周側の主面との間にある外周側には、引張応力TSが作用する。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用する。作用している引張応力TSは、導光板137の外周側の主面に近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
導光板137は、ガラス基板131の一方の主面131A上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。導光板137は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置700においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置700においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置700においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置700においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
加えて、湾曲型表示装置700においては、導光板137が、実施の形態2の湾曲型表示装置200に備えられる補強板135の機能と同様の機能を有するため、補強板135をなくして湾曲型表示装置700を構成する部品の数を減らすことができる。
8 実施の形態8
図11は、実施の形態8の湾曲型表示装置、及び当該湾曲型表示装置の製造に用いられる冶具を模式的に図示する斜視図である。図12は、実施の形態8の湾曲型表示装置、及び当該湾曲型表示装置の製造に用いられる冶具を模式的に図示する断面図である。
図11及び図12に図示される実施の形態8の湾曲型表示装置800は、主に下記の相違点で図1及び図2に図示される実施の形態1の湾曲型表示装置100と相違する。
図1及び図2に図示される湾曲型表示装置100においては、ガラス基板130が湾曲型表示装置100の正面側に配置され、ガラス基板131が湾曲型表示装置100の背面134B側に配置される。また、ガラス基板130の他方の主面130Bに偏光板132が貼り付けられており、偏光板132の内周側の主面132Bにガラス基板130を保護する保護板110が貼り合わされている。また、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられている。
これに対して、図11及び図12に図示される湾曲型表示装置800においては、ガラス基板130が湾曲型表示装置800の背面側に配置され、ガラス基板131が湾曲型表示装置800の正面側に配置される。また、ガラス基板130の他方の主面130Bに偏光板132が貼り付けられている。また、ガラス基板131の他方の主面131Bに偏光板133が貼り付けられており、偏光板133の他方の主面133Bにガラス基板131を保護する保護板110が貼り合わされている。
以下では、上記の相違点に関連して湾曲型表示装置800において採用される構成が説明される。説明されない構成については、湾曲型表示装置100において採用された構成がそのまま又は変形されてから湾曲型表示装置800においても採用される。
偏光板133の一方の主面133Aは、ガラス基板131の他方の主面131Bに貼り付けられている。偏光板133の他方の主面133Bは、偏光板133の一方の主面133Aがある側とは反対の側にある。保護板110は、偏光板133の他方の主面133Bに貼り合わされている。
保護板110がタッチパネルであってもよい。
湾曲型表示装置800が製造される際には、ICチップ134が実装されていない表示素子パネル120の中間品が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子パネル120の中間品に備えられる額縁部141にICチップ134が実装され、当該額縁部141にFPC121が実装され、当該表示素子パネル120の中間品に備えられる偏光板133の他方の主面133Bに保護板110が貼り合わされる。これにより、表示素子パネル120を備える表示素子111が組み立てられる。
続いて、組み立てられた表示素子111に備えられる表示素子パネル120の全体が、冶具138の湾曲面138Aに添わされ、湾曲させられる。冶具138が、透明材料からなり光を照射する導光部品として用いられてもよい。
湾曲型表示装置800においても、ガラス基板131の一方の主面131Aは、凹面である。このため、一方の主面131Aの実装領域160も、凹面である。したがって、実装領域160がある範囲内においては、曲げ応力の中立面と保護板110の外周側の主面110Bとの間にある外周側には、引張応力TSが作用する。また、曲げ応力の中立面とICチップ134の背面134Bとの間にある内周側には、圧縮応力CSが作用する。作用している引張応力TSは、外周側の主面110Bに近づくほど大きくなる。また、作用している圧縮応力CSは、背面134Bに近づくほど大きくなる。
保護板110は、ガラス基板131の他方の主面131B上にあり、ガラス基板131とともに外力により湾曲している。保護板110は、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上又はガラス基板131内に移動する部材となっている。したがって、湾曲型表示装置800においては、回路面134Aが中立面になっているか、又は回路面134Aと平行をなす方向の圧縮応力CSが回路面134Aに作用している。これにより、回路面134Aと平行をなす方向の引張応力TSが回路面134Aに作用している場合と比較して、ICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなり、ICチップ134に作用する圧縮応力CSが大きくなる。
湾曲型表示装置800においても、湾曲型表示装置100と同様に、引張応力TSに対して弱いICチップ134に作用する引張応力TSが小さくなるので、ガラス基板131上に実装されたICチップ134の破損が起こりにくくなっている。
また、湾曲型表示装置800においても、湾曲型表示装置100と同様に、ICチップ134を正常に動作させることができる、ICチップ134の回路面134Aに作用する曲げ応力の大きさの範囲を事前に調べておくことにより、設計時に表示素子パネル120の曲げ半径の限界を見積もることができる。
また、湾曲型表示装置800においても、湾曲型表示装置100と同様に、曲げ応力の中立面をICチップ134の回路面134A上に形成することにより、ICチップ134及びガラス基板131の電気的な機能の不良を抑制することができる。また、ICチップ134の剥離を起こりにくくすることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。