JP7177813B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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Description
このため、溶接ガンなどの設備を用いるスポット溶接が困難な箇所は、例えば、人の手によりミグ溶接などで接合する必要がある。しかし、人の手によりミグ溶接などの作業工程は、アッパメンバにガセットを接合する工程を阻害する(妨げる)。このため、アッパメンバにガセットを接合する工程において、人の手によるミグ溶接などの作業工程を減らすことが求められている。
(1)本発明に係る車体前部構造は、車幅方向外側に開口する断面略コ字状のアッパメンバ本体(例えば、実施形態のアッパメンバ本体21)と、前記アッパメンバ本体の開口部(例えば、実施形態の開口部33)を閉塞するように前記アッパメンバ本体に結合されたアッパメンバ蓋部材(例えば、実施形態のアッパメンバ蓋部材22)と、から構成されるアッパメンバ(例えば、実施形態のアッパメンバ16)と、前記アッパメンバの車幅方向内側に設けられたフロントサイドフレーム(例えば、実施形態のフロントサイドフレーム15)から車幅方向外側に延ばされ、前記アッパメンバ本体と連結するガセット(例えば、実施形態のガセット17)と、を備える車体前部構造(例えば、実施形態の車体前部構造10)において、前記ガセットは、前記アッパメンバ本体のうち車幅方向内側の内側面(例えば、実施形態の内側面部24)から前記アッパメンバ本体の稜線部(例えば、実施形態の上稜線部26)を乗り越え、前記アッパメンバ本体の上面(例えば、実施形態の上面部25)に上下方向で重なる上側接合フランジ(例えば、実施形態の第3蓋部フランジ74)を有している。
さらに、アッパメンバ本体を断面略コ字状に形成することにより、アッパメンバの下フランジを下方に張り出さないようにできる。よって、例えばガセットの下側接合フランジをアッパメンバ本体の下面に接合する際に、溶接ガン(電極棒)などの設備(治具)を適用することが可能になる。
これにより、ガセットをアッパメンバ本体に接合する際に、例えば、アッパメンバにガセットを接合する工程を阻害する(妨げる)ミグ溶接などの人の手による接合作業を減らすことができる。
これにより、前面衝突により入力した衝撃荷重により、後側接合フランジのアッパメンバ本体への接合部が破断することを、接合強度の強い棚部によって抑制できる。
また、アッパメンバ蓋部材を前端部から後端部までを一体的に形成することにより、アッパメンバ自体に余計な脆弱部を形成しないようにできる。
ここで、アッパメンバ本体は、断面略コ字状に形成されている。すなわち、アッパメンバ本体の内部に、例えばスポット溶接などの設備(具体的には、電極棒)を配置する空間を確保できる。
図1に示すように、車両Veは、例えば、車幅方向の左外側に配置されて車体前後方向に延びているサイドシル12と、サイドシル12の前部に設けられた車体前部構造10と、を備えている。
サイドシル12は、例えば、矩形状の閉断面に形成されることにより剛性の高い部材であり、車体下部骨格の一部を構成している。サイドシル12の前端部12aからフロントピラー14が上方に向けて立ち上げられている。
車体前部構造10は、例えば、フロントピラー14と、フロントサイドフレーム15と、アッパメンバ16と、ガセット17と、を備えている。
フロントピラー14は、例えば閉断面に形成されることにより剛性の高い部材であり、車体前部骨格の一部を構成している。フロントサイドフレーム15は、例えば、サイドシル12のうち前端部12aの車体後方の部位から車体前方に向けて延びている。フロントサイドフレーム15は、例えば矩形状の閉断面に形成されることにより剛性の高い部材であり、車体前部骨格の一部を構成している。フロントサイドフレーム15は、後述するアッパメンバ16の車幅方向内側に設けられている。
図1、図2に示すように、アッパメンバ16は、例えばフロントピラー14のうち、アッパダッシュボード18に対応する部位14aから車体前方で、かつ下方に向けて延びている。アッパメンバ16は、例えば矩形状の閉断面に形成されることにより剛性の高い部材であり、車体前部骨格の一部を構成している。アッパメンバ16は、フロントサイドフレーム15の車幅方向外側に設けられている。具体的には、アッパメンバ16は、アッパメンバ本体21と、アッパメンバ蓋部材22と、を備えている。
内側面部24は、アッパメンバ本体21のうち車幅方向内側に設けられて、上下方向に向けて縦向きに立ち上げられている。上面部25は、内側面部24の上辺から車幅方向外側に向けて内側面部24に対して交差するように横向きに張り出されている。上稜線部26は、内側面部24と上面部25とが交差することにより、アッパメンバ本体21の外側に突出する角部により稜線状に形成されている。
下面部27は、内側面部24の下辺から車幅方向外側に向けて内側面部24に対して交差するように横向きに張り出されている。下稜線部28は、内側面部24と下面部27とが交差することにより、アッパメンバ本体21の外側に突出する角部により稜線状に形成されている。
アッパメンバ本体21は、主に、内側面部24、上面部25、および下面部27により、車幅方向外側に開口する断面略コ字状に形成されている。
アッパメンバ蓋部材22は、外側面部41と、蓋部上フランジ42と、蓋部下フランジ43と、前面部44と、第1前フランジ(アッパメンバ蓋部材22の前端部)45と、第2前フランジ46と、第3前フランジ47と、を有している。
蓋部上フランジ42は、外側面部41の上辺から車幅方向外側に向けて外側面部41に対して交差するように横向きに張り出されている。蓋部上フランジ42は、例えば、アッパメンバ本体21の上面部25のうち上外縁部25aに沿ってスポット溶接により接合されている。蓋部上フランジ42および上外縁部25aでアッパメンバ16の上フランジ16aが車幅方向外側に向けて形成されている。すなわち、アッパメンバ16の上フランジ16aは、上方に張り出さないように形成されている。
このように、アッパメンバ16は、上フランジ16aが上方に張り出さないように形成され、かつ、下フランジ16bが下方に張り出さないように形成されている。
第1前フランジ45は、前面部44の内辺44aから車体前方に向けて前面部44に対して交差するように張り出されている。第1前フランジ45は、例えば、アッパメンバ本体21の内側面部24のうち前端部24aに沿ってスポット溶接により接合されている。
第3前フランジ47は、前面部44の下辺44cから車体前方に向けて前面部44に対して交差するように張り出されている。第3前フランジ47は、例えば、アッパメンバ本体21の下面部27のうち前端部27bに沿ってスポット溶接により接合されている。
これにより、アッパメンバ本体21の開口部33にアッパメンバ蓋部材22が収納された状態で接合(結合)されている。この状態において、アッパメンバ本体21の開口部33は、外側面部41により車幅方向外側から閉塞され、前面部44により車体前方から閉塞されている。
また、アッパメンバ蓋部材22は、例えば後端部22aがフロントピラー14に複数の締結ボルト49により結合(連結)されている。
図3、図4に示すように、アッパメンバ16は、前端部16cがガセット17を介してフロントサイドフレーム15の前端部15aに結合(連結)されている。すなわち、アッパメンバ16の前端部16cには、ガセット17が接合されている。
ガセット17は、フロントサイドフレーム15の前端部15aから車幅方向外側に延ばされ、アッパメンバ本体21の前部21aと連結されている。具体的には、ガセット17は、ガセット本体52と、ガセット蓋部53と、を備えている。
ガセット本体52は、ガセット下面部61、ガセット前面部62、およびガセット後面部63により断面略U字状に形成されている。
第2ガセットフランジ65は、ガセット後面部63の上辺から車体後方に向けてガセット後面部63に対して交差するように横向きに張り出されている。第2ガセットフランジ65は、例えば、後述するガセット蓋部53の第2蓋部フランジ73に下方からスポット溶接により接合されている。
ガセット本体52は、ガセット下面部61、ガセット前面部62、ガセット後面部63、第1ガセットフランジ64、および第2ガセットフランジ65により断面略ハット字状に形成されている。
また、第3ガセットフランジ66は、後述する前棚部77の下方に配置され、かつ、上面視において、前棚部77と重なる位置に配置されている。
よって、アッパメンバ蓋部材22は、第1前フランジ45(すなわち、アッパメンバ蓋部材22の前端部)が内側面部24の前端部24aを介して第3ガセットフランジ66に接合されている。また、前述したように、アッパメンバ蓋部材22は、後端部22aがフロントピラー14に複数の締結ボルト49により結合(連結)されている。
アッパメンバ蓋部材22の第1前フランジ45(アッパメンバ蓋部材22の前端部)を第3ガセットフランジ66に接合し、アッパメンバ蓋部材22の後端部22aをフロントピラー14に結合する理由については後で詳しく説明する。
第4ガセットフランジ67は、後述する後棚部78の下方に配置され、かつ、上面視において、後棚部78と重なる位置に配置されている。
ここで、アッパメンバ16は、下フランジ16bが下方に張り出さないように形成されている。よって、ガセット17の第5ガセットフランジ68をアッパメンバ本体21の下面部27に接合する際に、溶接ガン(電極棒)などの設備(治具)を適用することが可能になる。これにより、第5ガセットフランジ68は、例えば、下面部27にスポット溶接により接合されている。
第2蓋部フランジ73は、蓋部本体71の後辺から車体後方に向けて張り出されている。前述したように、第2蓋部フランジ73は、例えば、第2ガセットフランジ65に上方からスポット溶接により接合されている。
ここで、アッパメンバ16は、上フランジ16a(図2も参照)が上方に張り出さないように形成されている。よって、ガセット17の第3蓋部フランジ74をアッパメンバ本体21の上面部25(具体的には、凹み部31および上面部25の前端部25b)に接合する際に、溶接ガン(電極棒)などの設備(治具)を適用することが可能になる。これにより、第3蓋部フランジ74は、例えば、凹み部31および上面部25の前端部25bにスポット溶接により接合されている。
前棚部77、および後棚部78については後で詳しく説明する。
これにより、アッパメンバ16(具体的には、アッパメンバ本体21)にガセット17を接合する際に、例えば、アッパメンバ16にガセット17を接合する工程を阻害する(妨げる)ミグ溶接などの人の手による接合作業を減らすことができる。
さらに、ガセット17の第5ガセットフランジ68をアッパメンバ本体21の内側面部24から下稜線部28を乗り越えて下面部27に重なるように接合した。よって、例えば、第5ガセットフランジ68を下稜線部28および下面部27により、車幅方向および上下方向にそれぞれ位置決め可能になる。
これにより、アッパメンバ16に対するガセット17の位置決め精度を向上させることができる。
これにより、例えば、前面衝突により衝撃荷重(前突荷重)F(図1参照)がフロントサイドフレーム15に車体前方から入力した際に、アッパメンバ16に対するガセット17の接合部が破断されることを抑制できる。したがって、入力した衝撃荷重Fを、ガセット17を経てアッパメンバ16へ伝達できる。
さらに、後棚部78は、上稜線部26を乗り越えることにより、アッパメンバ本体21の内側面部24から上稜線部26を経て上面部25まで延びている。よって、後棚部78によるアッパメンバ本体21への接合強度を強固にできる。この後棚部78は、上面視において、第4ガセットフランジ67を重ねるように配置されている。
これにより、前面衝突により入力した衝撃荷重F(図1参照)により、第3ガセットフランジ66および第4ガセットフランジ67のアッパメンバ本体21への接合部が破断することを、接合強度の強い前棚部77および後棚部78によって抑制できる。
これにより、例えば、前面衝突による衝撃荷重Fがガセット17を経てアッパメンバ16に伝達された際に、伝達された衝撃荷重をアッパメンバ16で支えることができる。
また、アッパメンバ蓋部材22を第1前フランジ(前端部)45から後端部22aまでを一体的に形成することにより、アッパメンバ16自体に余計な脆弱部を形成しないようにできる。
また、第3ガセットフランジ66および第4ガセットフランジ67を、アッパメンバ本体21の内側面部24に接合する工程においても、例えばスポット溶接などの設備を用いる接合が可能になる。
これにより、例えば、ミグ溶接などの人の手による接合作業を不要にでき、ガセット17をアッパメンバ16に接合する工程を阻害しないようにでき、接合工程を効率よくおこなうことができる。
10 車体前部構造
14 フロントピラー
15 フロントサイドフレーム
16 アッパメンバ
17 ガセット
21 アッパメンバ本体
22 アッパメンバ蓋部材
22a アッパメンバ蓋部材の後端部
24 内側面部(内側面)
25 上面部(上面)
26 上稜線部(稜線部)
27 下面部(下面)
31 凹み部
33 開口部
45 第1前フランジ(アッパメンバ蓋部材の前端部)
52 ガセット本体
53 ガセット蓋部
66 第3ガセットフランジ(前側接合フランジ)
67 第4ガセットフランジ(後側接合フランジ)
68 第5ガセットフランジ(下側接合フランジ)
74 第3蓋部フランジ(上側接合フランジ)
78 後棚部(棚部)
Claims (5)
- 車幅方向外側に開口する断面略コ字状のアッパメンバ本体と、前記アッパメンバ本体の開口部を閉塞するように前記アッパメンバ本体に結合されたアッパメンバ蓋部材と、から構成されるアッパメンバと、
前記アッパメンバの車幅方向内側に設けられたフロントサイドフレームから車幅方向外側に延ばされ、前記アッパメンバ本体と連結するガセットと、を備える車体前部構造において、
前記ガセットは、前記アッパメンバ本体のうち車幅方向内側の内側面から前記アッパメンバ本体の稜線部を乗り越え、前記アッパメンバ本体の上面に上下方向で重なる上側接合フランジを有する、
ことを特徴とする車体前部構造。 - 前記ガセットは、上面視で、前記上側接合フランジのうち前記稜線部を乗り越える棚部と重なる後側接合フランジを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記アッパメンバ蓋部材は、前端部が前記ガセットの前側接合フランジに接合され、後端部がフロントピラーに結合されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記アッパメンバ本体の前記上面は、前記上側接合フランジと接合される凹み部を有し、前記凹み部は、前記アッパメンバ本体の稜線部と連続して設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車体前部構造。 - 前記ガセットは、
前記アッパメンバ本体の前記上面に重ねられる前記上側接合フランジと、
前記アッパメンバ本体の前記内側面に重ねられ、前記アッパメンバ蓋部材の前端部が接合される前側接合フランジと、
前記アッパメンバ本体の前記内側面に重ねられ、上面視で、前記上側接合フランジのうち前記稜線部を乗り越える棚部と重なる後側接合フランジと、
前記アッパメンバ本体の下面に重ねられる下側接合フランジと、を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
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