JP7176993B2 - 巻線形回転子、巻線形誘導電動機および巻線形誘導電動機の起動方法 - Google Patents

巻線形回転子、巻線形誘導電動機および巻線形誘導電動機の起動方法 Download PDF

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Description

本発明は、巻線形回転子、巻線形誘導電動機およびその起動方法に関する。
一般に、電動機の起動時には、定格回転数に至るまでの間、電動機の固定子には起動電流が流れる。起動電流は、通常、定格電流の数倍たとえば5倍程度となる。起動電流が定格電流のたとえば約5倍の場合、電動機内で発生する銅損はその二乗の約25倍となり、この発熱量による温度上昇が問題となる。このため、大容量機の場合には、所定の時間内に起動しない場合には、自動的に、起動しようとする電動機の起動を阻止するなどの対応が必要となってくる。あるいは、この起動失敗事象の直後の起動頻度の制限、起動間隔時間を所定の時間間隔以内には起動しないなどの起動の制限が必要となる場合がある。
また、特に電動機の容量が大きい場合には、大きな起動電流が流れることにより、その電動機に電力を供給する電源母線の上流の電力ケーブルでの電圧降下も大きくなり、同じ電源母線から電力の供給を受ける負荷に対する影響にも注意を要する。
このように、起動完了までの間に大きな起動電流が流れることにより、種々の影響がある。
実開昭62-19090号公報 特開平9-140174号公報
従来、電力インフラが貧弱な地域で、誘導電動機を起動させる際には、他の電気機器に悪影響を与えないよう、インバータ駆動やリアクトル起動などの低起動電流での起動を行っていた。
図10は、従来の誘導電動機の固定子巻線および起動用リアクトルの1相分の回路図である。誘導電動機1の固定子巻線22に直列に、起動リアクトル25が設けられている。起動リアクトル25に並列に、起動リアクトル25を短絡するためのスイッチ26が設けられている。誘導電動機1の起動時には、スイッチ26を開状態として電機子電流が固定子巻線22および起動リアクトル25を流れるようにして、起動電流を制限する(特許文献1、2参照)。
誘導電動機1が起動し、定格回転数近傍となった状態で、スイッチ26を閉鎖し、電流の制限を解除するということにより、過剰な電流の発生を防止できる。
一方、インバータは高価であり、また、電動機が一定速用途の場合にまで、インバータ駆動方式を採用することは経済的ではない。
したがって、起動電流の影響をできるだけ低減するために、上述のような起動リアクトルやインバータ装置の設置などの大幅な設備の増大を招くことなく、起動電流の流れる起動時間の短縮を図ることが望まれている。
そこで、本発明は、巻線形誘導電動機においてその起動電流が流れる起動時間を短縮することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明に係る巻線形回転子は、軸方向に延びたロータシャフトと、前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心と、前記回転子鉄心を貫通し、互いに直列に結合する複数のコイル要素を有するコイル本体と、前記ロータシャフトに取り付けられて、前記ロータシャフトの回転数の上昇時に前記複数のコイル要素について有効直列要素の構成数を順次減少させる方向に切り替える切り替え部と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る巻線形誘導電動機は、前述の巻線形回転子と、前記ロータシャフトの前記回転子鉄心を挟んで両側のそれぞれを支持する2つの軸受と、前記回転子鉄心の径方向外側に間隙を開けて配された円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心を貫通する固定子巻線とを有する固定子と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る巻線形誘導電動機の起動方法は、起動前に、巻線形誘導電動機の巻線形回転子のコイル本体の有効直列要素の数を最大にする初期ステップと、前記巻線形誘導電動機に電源を投入する電源投入ステップと、回転数上昇に伴って順次前記有効直列要素の数を減じる有効直列要素低減ステップと、を有することを特徴とする。
本発明によれば、巻線形誘導電動機においてその起動電流が流れる起動時間を短縮することができる。
実施形態に係る巻線形誘導電動機の構成を示す縦断面図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子鉄心スロット内のコイル本体の配列を示す横断面図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子巻線の配列を示す斜視図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子巻線の1相分の回路図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子巻線の切り替え部の第1コイル開閉スイッチの構成を示す概念的な配置図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機の起動時の回転子巻線の切り替え部の状態とコイル本体の有効直列要素の状態の推移を示すグラフである。 実施形態に係る巻線形誘導電動機の起動方法の手順を示すフロー図である。 実施形態に係る巻線形誘導電動機の効果を説明する概念的な回転数・トルク特性を示すグラフである。 実施形態に係る巻線形誘導電動機の効果を説明する巻線形誘導電動機の等価回路図である。 従来の誘導電動機の固定子巻線および起動用リアクトルの1相分の回路図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る巻線形誘導電動機および巻線形誘導電動機の起動方法について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
図1は、実施形態に係る巻線形誘導電動機の構成を示す縦断面図である。
巻線形誘導電動機200は巻線形回転子10、固定子20、軸受30、フレーム40、および軸受ブラケット45を有する。
巻線形回転子10は、水平方向に延びるロータシャフト11と、ロータシャフト11の周囲に設けられた回転子鉄心12と、回転子巻線100を有する。ロータシャフト11の回転子鉄心12を挟んだ両側は、それぞれ軸受30により回転可能に支持されている。
回転子巻線100は、一部が回転子鉄心12を貫通するコイル本体110と、巻線形誘導電動機200の起動時に、回転数の上昇に伴ってコイル本体110の構成を段階的に切り替える切り替え部120とを有する。切り替え部120は、ロータシャフト11に取り付けられている。
固定子20は、回転子鉄心12の径方向外側に、間隙を介して設けられた固定子鉄心21と、固定子鉄心21内を貫通する固定子巻線22を有する。
回転子鉄心12および固定子20の径方向外側は、フレーム40により囲まれている。フレーム40の軸方向の両端には、それぞれ軸受ブラケット45が設けられ、軸受ブラケット45により閉止されている。軸受ブラケット45は、それぞれ軸受30を静止支持している。
図2は、実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子鉄心スロット内のコイル本体の配列を示す横断面図である。
各回転子鉄心スロット13は、前述のように、回転子鉄心12の外周面に沿って周方向に互いに間隔をおいて配され、軸方向に延びている。各回転子鉄心スロット13内には、コイル本体110の回転子鉄心スロット内部分が布設されている。コイル本体110の回転子鉄心スロット内部分は、回転子鉄心スロット13内の径方向外側に配置される上口コイル130の回転子鉄心スロット内部分と、回転子鉄心スロット13内の径方向内側に配置される下口コイル140の回転子鉄心スロット内部分を有する。下口コイル140の回転子鉄心スロット内部分は、上口コイル130の回転子鉄心スロット内部分の径方向の内側に配されている。
上口コイル130と下口コイル140のそれぞれは、周方向に互いに隣接するように並んだ2組のコイルを有する。それぞれのコイルの回転子鉄心スロット内部分は、径方向の外側から径方向の内側に向かって、第1コイル要素導体111a、第2コイル要素導体112a、および第3コイル要素導体113aの順に並んでいる。
図3は、実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子巻線の配列を示す斜視図である。
上口コイル130および下口コイル140のそれぞれについて、複数のコイル要素、すなわち、第1コイル要素導体111aを有する第1コイル要素111、第2コイル要素導体112aを有する第2コイル要素112、および第3コイル要素導体113aを有する第3コイル要素113が、互いに重なるように配列されている。第1コイル要素111の端部は共通端子151に接続している。第1コイル要素111と第2コイル要素112との接続部は第1端子152に接続している。第2コイル要素112と第3コイル要素113との接続部は第2端子153に接続している。第3コイル要素113の端部は第3端子154に接続している。
なお、上口コイル130と下口コイル140のそれぞれのコイルは、電気的には並列であり、端子部との接続部で互いに接続されている。たとえば、上口コイル130の第2コイル要素112と、下口コイル140の第2コイル要素112とは、電気的に並列であり、それぞれの一方の端部が、第1端子152との接続部で互いに接続されており、それぞれの他方の端部も、第2端子153との接続部で互いに接続されている。
図4は、実施形態に係る巻線形誘導電動機における巻線形回転子の回転子巻線の1相分の回路図である。すなわち、巻線形誘導電動機200(図1)における2次側回路であり、巻線形回転子10を構成する回転子巻線100の構成を示す回路図である。なお、前述の上口コイル130と下口コイル140のそれぞれの互いに電気的に並列な2つのコイルは、それぞれ1つのコイルとして表示している。
以下に、コイル本体110が有する複数のコイル要素、すなわち、第1コイル要素111、第2コイル要素112、および第3コイル要素113と、切り替え部120の各スイッチとの接続の詳細を説明する。
前述のように、第1コイル要素111の端部は共通端子151に接続している。第1コイル要素111と第2コイル要素112との接続部は第1端子152に接続している。第2コイル要素112と第3コイル要素113との接続部は第2端子153に接続している。第3コイル要素113の端部は第3端子154に接続している。
切り替え部120は、第1コイル開閉スイッチ121、第2コイル切り替えスイッチ122a、第2コイル開閉スイッチ122b、および第3コイル開閉スイッチ123を有する。第2コイル切り替えスイッチ122aと第2コイル開閉スイッチ122bとは、直列に接続されている。第1コイル開閉スイッチ121、第2コイル切り替えスイッチ122a、第2コイル開閉スイッチ122b、および第3コイル開閉スイッチ123は、後述するように、巻線形回転子10が、それぞれの所定の回転数に達すると、遠心力により自動的に状態が切り替わる。
第1コイル開閉スイッチ121、第2コイル切り替えスイッチ122a、および第3コイル開閉スイッチ123の一方の端部は、互いに接続され、共通端子151に接続している。
第1コイル開閉スイッチ121の他方の端部は、第1端子152に接続している。第2コイル開閉スイッチ122bの他方の端部は、第2端子153に接続している。また、第3コイル開閉スイッチ123の他方の端部は、第3端子154に接続している。
なお、説明の簡便さのために、図4に示すように、第1コイル要素111をL1、第2コイル要素112をL2、第3コイル要素113をL3とそれぞれ表示する場合がある。
以上のような切り替え部120の各スイッチの動作により、2次側回路すなわち回転子巻線100における複数のコイル要素、すなわち、第1コイル要素111(L1)、第2コイル要素112(L2)、および第3コイル要素113(L3)について、実際に電気的に閉ループを形成するコイル要素が選択される。この実際に電気的に閉ループを形成するコイル要素の組み合わせとしては、後に図6を引用しながら説明するように、L1、(L1+L2)、および(L1+L2+L3)の2つの組み合わせがある。これらの実際に電気的に閉ループを形成する直列に配列されたコイル要素の組み合わせ、あるいはL1単独のコイル要素を、以降、有効直列要素と呼ぶこととする。したがって、切り替え部120は、有効直列要素の状態を順次切り替える部分であるといえる。
図5は、巻線形回転子の回転子巻線の切り替え部の第1コイル開閉スイッチの構成を示す概念的な配置図である。
図5では、ロータシャフト11の径方向外側に取り付けられた円筒状の円筒ベース120aに、第1コイル開閉スイッチ121のみが取り付けられている状態を示している。第2コイル切り替えスイッチ122a、第2コイル開閉スイッチ122b、および第3コイル開閉スイッチ123は、表示していないが、第1コイル開閉スイッチ121と同様に、円筒ベース120aの表面に、たとえば周方向に、互いに間隔をおいて取り付けられている。
第1コイル開閉スイッチ121は、ロータシャフト11の回転により生ずる遠心力により接点位置が径方向に移動する動作部121xと、静止状態を維持する静止部121yとを有する。
動作部121xは、錘接点121a、支持棒121b、回動支持部121c、およびバネ121dを有する。支持棒121bは、一方の端部を回動支持部121cにより回動可能に支持されている。支持棒121bの他方の端部には、錘接点121aが取り付けられている。支持棒121bと円筒ベース120aは、支持棒121bの回動を抑制するバネ121dにより接続されている。回動支持部121cからは、接続ケーブル121vが延びており、接続ケーブル121vの他端は、共通端子151に接続されている。
静止部121yは、絶縁体製の支持部121fと、これに支持された受け側端子121eとを有する。受け側端子121eからは、接続ケーブル121wが延びており、接続ケーブル121wの他端は、第1端子152に接続されている。
ロータシャフト11の回転数が低い領域、すなわち、錘接点121aへの径方向外側に向けての遠心力が小さい領域では、バネ121dは、縮んだ状態であり、錘接点121aは、受け側端子121eとは接触せずに離れた状態にある。すなわち、第1コイル開閉スイッチ121は、開状態となっている。
ロータシャフト11の回転数が所定の回転数に達すると、錘接点121aへの遠心力がバネ121dのバネ力に打ち勝って、バネ121dが延び、錘接点121aが径方向外側に移動するように支持棒121bが回動し、錘接点121aが受け側端子121eに接触する。この結果、第1コイル開閉スイッチ121は、閉状態に移行する。
第2コイル開閉スイッチ122bについても、第1コイル開閉スイッチ121と同様の構成である。
第3コイル開閉スイッチ123については、第1コイル開閉スイッチ121とは逆に、回転数の低い領域では錘接点が受け側端子に接触しており、所定の回転数に到達してバネが延びると、錘接点が受け側端子から離れ、受け側端子が錘接点の接触から開放されるように、錘接点が、第3端子154に導通する受け側端子よりも径方向の外側に配されている。
第2コイル切り替えスイッチ122aについては、動作部の構成は第1コイル開閉スイッチ121と同様であるが、静止部の構成が一部異なる。すなわち、静止部は、第2端子153に導通する受け側端子と第3端子154に導通する受け側端子との2つの受け側端子を有する。第2端子153に導通する受け側端子は、第3端子154に導通する受け側端子よりも径方向の外側に配されている。回転数が低い状態では、バネにより、錘接点が、第3端子154に導通する受け側端子と接する状態となっている。所定の回転数に達すると、遠心力がバネ力に打ち勝ち、錘接点が、第2端子153に導通する受け側端子と接する状態に移行する構成である。
図6は、実施形態に係る巻線形誘導電動機の起動時の回転子巻線の切り替え部の状態とコイル本体の有効直列要素の状態の推移を示すグラフである。横軸は、ロータシャフト11の回転数である。縦軸は、切り替え部120およびコイル本体110の有効直列要素の状態を表示している。
ロータシャフト11の回転数が0の時点では、それぞれ次のような状態である。第1コイル開閉スイッチ121は開状態であり、共通端子151と第1端子152は切り離された状態にある。第2コイル切り替えスイッチ122aはL3側、第2コイル開閉スイッチ122bは、閉状態であり、共通端子151が第3端子154と接続された状態にある。また、第3コイル開閉スイッチ123は、閉状態であり、共通端子151と第3端子154が接続された状態である。
この結果、共通端子151は第3端子154とのみ接続された状態であり、コイル本体110のうち、有効直列要素は、L1、L2およびL3、すなわち、第1コイル要素111、第2コイル要素112、および第3コイル要素113が直列に接続された状態となる。
次に、ロータシャフト11の回転数がNaに到達した段階で、切り替え部120の一部の状態が変化する。すなわち、第2コイル切り替えスイッチ122aがL3側からL2側に、すなわち、閉状態にある第2コイル開閉スイッチ122bを介して、第2端子153と接続する側に切り替わる。また、第3コイル開閉スイッチ123が開、すなわち、第3端子154と切り離される状態に移行する。この結果、共通端子151は、第2端子153とのみ接続する状態となり、コイル本体110の有効直列要素は、L1およびL2、すなわち、第1コイル要素111と第2コイル要素112が直列に接続された状態となる。
次に、ロータシャフト11の回転数がNbに到達した段階で、共通端子151と第2端子153とを接続していた第2コイル開閉スイッチ122bが開状態となり、共通端子151と第2端子153とが切り離される状態となる。また、同時に、第1コイル開閉スイッチ121が閉状態となり、共通端子151と第1端子152とが接続された状態となる。この結果、共通端子151は第1端子152とのみ接続された状態となり、コイル本体110の有効直列要素は、L1のみ、すなわち、第1コイル要素111のみの状態となる。
以上説明したように、回転数の上昇に伴って、接続されるコイル本体110の有効直列要素は、(L1、L2、L3)から(L1、L2)へ、さらに最終的に(L1)へと順次減少していく。
図7は、実施形態に係る巻線形誘導電動機の起動方法の手順を示すフロー図である。
まず、起動前に、コイル本体110の有効直列要素を、L1、L2およびL3とした状態とする(ステップS01)。すなわち、直列に接続されたL1、L2およびL3が2次側回路を形成する状態とする。この状態においては、コイル本体110の一方の端部は共通端子151に、他方の端部は第3端子154に接続され、これ以外の端子とは接続されていない状態である。
次に、巻線形誘導電動機200の電源を投入する(ステップS02)。この結果、一次側である固定子20の固定子巻線22に電源側から交流電力が供給される。この結果、固定子巻線22に起動電流が流れる。固定子巻線22側の起動電流により、2次側である回転子巻線100に誘導起電力が生じ、回転子巻線100のコイル本体110に2次側の電流が流れ、ロータシャフト11の回転数が上昇する。
ロータシャフト11の回転数が上昇し回転数がNaに到達すると、第2コイル切り替えスイッチ122aと第3コイル開閉スイッチ123が、コイル本体110の有効直列要素をL1およびL2とするように、それぞれ切り替わる(ステップS03)。この状態においては、コイル本体110の一方の端部は共通端子151に、他方の端部は第2端子153に接続され、これ以外の端子とは接続されていない状態となる。
ロータシャフト11の回転数がさらに上昇し回転数がNbに到達すると、第1コイル開閉スイッチ121および第2コイル開閉スイッチ122bが、コイル本体110の有効直列要素をL1のみの状態とするようにそれぞれ切り替わる(ステップS04)。この状態においては、コイル本体110の一方の端部は共通端子151に、他方の端部は第1端子152に接続され、これ以外の端子とは接続されていない状態となる。
ステップS04で切り替わった状態で、定格回転数に到達し、定常電流の状態となる(ステップS05)。ここで、定格回転数とは、同期回転数から定常状態におけるスリップ分だけ低い回転数である。定格回転数に到達すると、定常電流の数倍であった起動電流から、定常電流の状態に移行する。
図8は、実施形態に係る巻線形誘導電動機の効果を説明する概念的な回転数・トルク特性を示すグラフである。横軸は、ロータシャフト11の回転数である。また、縦軸は、トルクである。
グラフ中には、4本の曲線を示している。1本は、巻線形誘導電動機200からみた負荷トルクTである。負荷トルクTは、たとえば、巻線形誘導電動機200の駆動対象がポンプの場合は、ポンプが流体を駆動する際に必要とするトルクである。
一方、巻線形誘導電動機200の電動機トルクとして、電動機トルクTM1(N)、電動機トルクTM2(N)、および電動機トルクTM3(N)の3本の特性曲線を示している。ここで、電動機トルクTM3(N)は、コイル本体110の有効直列要素の状態が(L1+L2+L3)の場合に対応する。電動機トルクTM2(N)は、コイル本体110の有効直列要素の状態が(L1+L2)の場合に対応する。また、電動機トルクTM1(N)は、コイル本体110の有効直列要素の状態がL1のみの場合に対応する。
図9は、巻線形誘導電動機の等価回路図である。ここで、Vは、一次側である固定子巻線22に印加される電圧、rは一次抵抗、すなわち固定子巻線22の抵抗分、xは一次漏れリアクタンスすなわち固定子巻線22の漏れリアクタンス分、r’は、一次換算の二次抵抗分すなわち回転子巻線100のコイル本体110の一次換算の抵抗分、x’は一次換算の二次漏れリアクタンスすなわち回転子巻線100のコイル本体110の漏れリアクタンス分、sは当該回転数におけるスリップである。ここで、回転数Nにおけるスリップsは、同期回転数をNsとすると、(Ns-N)/Nsで定義される。電源投入時のNがゼロのときスリップsは1となり、同期速度に近づくにつれてスリップsの値は小さくなる。
図9で示す等価回路図の場合の、巻線形誘導電動機200のトルクTは、次の式(1)により与えられる。ただし、kは換算定数である。
T=k・V・(r’/s)/√[(x+x’)+(r+r’/s)
…(1)
式(1)より、電源投入直後は、スリップsが1に近いため、r’/sの項の値が小さく、漏れリアクタンス分である(x+x’)が支配的であるが、回転数が大きくなるにつれて、スリップsの値が小さくなり、r’/sの項の値が大きくなってr’/sの項が支配的となってくる。
回転子巻線100のコイル本体110のコイルの有効直列要素を(L1、L2、L3)からL1まで順次減らしていくと、一次換算の二次抵抗分r’のみでなく、一次換算の二次漏れリアクタンスx’も順次、減少することになるが、回転数が大きくなりスリップsの値が小さくなるにつれて、一次換算の二次漏れリアクタンスx’の効果は少なくなり、一次換算の二次抵抗分r’による(r’/s)の効果が支配的になる。したがって、近似的には、二次抵抗による比例推移と類似の効果が得られる。
したがって、図8で示す電動機トルクTM1(N)、電動機トルクTM2(N)、および電動機トルクTM3(N)の3本の特性曲線について、近似的に比例推移が成立すると考えられる。比例推移が成立する場合は、一次換算の二次抵抗分r’をm倍とし、スリップsもm倍とすると、電動機トルク特性は、m=1のときと変わらないことになる。言い換えれば、同期回転数Nsすなわちスリップsがゼロの位置からみた特性曲線は、スリップsの値に比例して拡大されることになる。この場合、以下のようになる。
回転子巻線100のコイル本体110を構成する第1コイル要素111(L1)の一次換算の二次抵抗分をr21’、第2コイル要素112(L2)の一次換算の二次抵抗分をr22’、第3コイル要素113(L3)の一次換算の二次抵抗分をr23’とする。
コイル本体110が第1コイル要素111(L1)のみの場合の電動機トルクTM1(N)の特性曲線のピーク値を与える回転数をN、すなわち同期回転数Nsとの差をΔNとする。また、コイル本体110が第1コイル要素111(L1)と第2コイル要素112(L2)が直列の場合の電動機トルクTM2(N)の特性曲線のピーク値を与える回転数をN、すなわち同期回転数Nsとの差をΔNとする。また、また、コイル本体110が第1コイル要素111(L1)、第2コイル要素112(L2)および第3コイル要素(L3)が直列の場合の電動機トルクTM3(N)の特性曲線のピーク値を与える回転数をN、すなわち同期回転数Nsとの差をΔNとする。
この場合、比例推移より、以下の式(2)、(3)が成立する。
ΔN/ΔN=(r21’+r22’)/r21’ …(2)
ΔN/ΔN=(r21’+r22’ +r23’)/r21’ …(3)
この結果、電動機トルクTM2(N)および電動機トルクTM3(N)の2本の特性曲線は、電動機トルクTM1(N)の特性曲線と同様に、図8のグラフにおいて、(Ns、0)の点を通るが、この点から、電動機トルクTM1(N)の特性曲線を、ΔN、ΔNのそれぞれとΔNとの比だけ、それぞれ、図の左側に拡大された特性となる。
したがって、回転数Naおよび回転数Nbにおいて、順次、切り替えが行われるコイル本体110の電動機トルクTは、電動機トルクTM2(N)、電動機トルクTM3(N)および電動機トルクTM1(N)の特性曲線を包絡した特性となる。
ここで、電動機の起動時間τは、次の式(4)により与えられる。
τ=k・∫[GD/(T-T)]dt …(4)
ただし、kは換算定数、GDは、電動機と駆動対象とが結合された状態におけるはずみ車効果であり、慣性2次モーメントIでは、GD=4gIで表される。ただし、gは重力加速度である。また、Tは、電動機トルク、Tは、負荷トルクである。
(T-T)すなわちΔTは、巻線形誘導電動機が駆動対象を駆動する際の正味の駆動トルクということができる。式(4)が示すように、起動時間τは、正味の駆動トルクΔTの逆数の積分値に比例する。
この正味の駆動トルクΔTに着目すると、回転数がNbより低い領域にあっては、電動機トルクTM1(N)単独の場合に比べて、本実施形態によるコイル本体110の包絡した特性の場合の方が、ΔTが大きい。すなわち、本実施形態による巻線形回転子10の方が駆動対象に対する起動時の正味の駆動トルクが大きく、この結果、起動時間が短縮される。
なお、起動時に2次側のコイル要素を追加することにより、図9に示した等価回路のインピーダンスが大きい状態となることから、起動電流の抑制の効果も有する。
以上説明したように、本実施形態によれば、巻線形誘導電動機においてその起動電流が流れる起動時間を短縮することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、実施形態では、コイル本体が、第1ないし第3コイル要素と3つのコイルを有する場合を例にとって示したが、これに限定されない。たとえば、2つの場合であっても、あるいは4つ以上の場合であってもよい。
また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…誘導電動機、10…巻線形回転子、11…ロータシャフト、12…回転子鉄心、13…回転子鉄心スロット、20…固定子、21…固定子鉄心、22…固定子巻線、25…起動リアクトル、26…スイッチ、30…軸受、40…フレーム、45…軸受ブラケット、100…回転子巻線、110…コイル本体、111…第1コイル要素、111a…第1コイル要素導体、112…第2コイル要素、112a…第2コイル要素導体、113…第3コイル要素、113a…第3コイル要素導体、120…切り替え部、120a…円筒ベース、121…第1コイル開閉スイッチ、121a…錘接点、121b…支持棒、121c…回動支持部、121d…バネ、121e…受け側端子、121f…支持部、121v、121w…接続ケーブル、121x…動作部、121y…静止部、122a…第2コイル切り替えスイッチ、122b…第2コイル開閉スイッチ、123…第3コイル開閉スイッチ、130…上口コイル、140…下口コイル、151…共通端子、152…第1端子、153…第2端子、154…第3端子、200…巻線形誘導電動機

Claims (5)

  1. 軸方向に延びたロータシャフトと、
    前記ロータシャフトの径方向外側に設けられた回転子鉄心と、
    前記回転子鉄心を貫通し、互いに直列に結合する複数のコイル要素を有するコイル本体と、
    前記ロータシャフトに取り付けられて、前記ロータシャフトの回転数の上昇時に前記複数のコイル要素について有効直列要素の構成数を順次減少させる方向に切り替える切り替え部と、
    を有することを特徴とする巻線形回転子。
  2. 前記切り替え部は、起動時に前記複数のコイル要素について前記有効直列要素の構成数を順次減少させるように配列された複数のスイッチを有し、
    前記複数のスイッチのそれぞれは、前記ロータシャフトの回転による遠心力により、それぞれ動作すべき前記ロータシャフトの回転数において動作する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の巻線形回転子。
  3. 前記複数のスイッチのそれぞれは、
    錘接点と、
    回動可能に支持されて端部に前記錘接点が取り付けられる支持棒と、
    前記支持棒の回動を抑制するバネと、
    遠心力が前記バネに打ち勝って前記バネが延びた場合に、前記錘接点に接触され、または前記接点の接触から開放される受け側端子と、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の巻線形回転子。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の巻線形回転子と、
    前記ロータシャフトの前記回転子鉄心を挟んで両側のそれぞれを支持する2つの軸受と、
    前記回転子鉄心の径方向外側に間隙を開けて配された円筒状の固定子鉄心と、前記固定子鉄心を貫通する固定子巻線とを有する固定子と、
    を備えることを特徴とする巻線形誘導電動機。
  5. 起動前に、巻線形誘導電動機の巻線形回転子のコイル本体の有効直列要素の数を最大にする初期ステップと、
    前記巻線形誘導電動機に電源を投入する電源投入ステップと、
    回転数上昇に伴って順次前記有効直列要素の数を減じる有効直列要素低減ステップと、
    を有することを特徴とする巻線形誘導電動機の起動方法。
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