JP7176748B2 - T細胞受容体γδ陽性細胞の誘導方法 - Google Patents

T細胞受容体γδ陽性細胞の誘導方法 Download PDF

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本明細書には、T細胞受容体γδ陽性細胞の誘導方法が開示される。
T細胞受容体γδ陽性細胞(以下、「γδT細胞」と称する場合がある)は、免疫担当細胞の一種であり、癌や感染症に有効であることが報告されている。近年、このようなT細胞受容体γδ陽性細胞の特性を生かした治療法に関する臨床研究が進められている(非特許文献1~3)。
また、特許文献1及び2には、in vitroでT細胞受容体γδ陽性細胞を増殖させる方法が記載されている。
特許文献3には、in vitroで胸腺上皮細胞を多能性幹細胞から分化誘導させる方法が記載されている。
特許5524056号公報 特開2011-250711号公報 国際公開第2010/143529号
ガンマ・デルタT細胞療法、医療法人社団聖有会内藤メディカル・クリニック、Webページhttps://www.doctor-naito.com/immunity/gdt.html、2018年6月5日 ガンマ・デルタT細胞療法、医療法人社団聖有会滉志会瀬田クリニックグループ、Webページhttps://www.j-immunother.com/gdt/、2018年6月5日 ゾレドロン酸誘導γδT細胞を用いた免疫療法、慶應義塾大学病院、Webページ、http://www.hosp.keio.ac.jp/about/yakuwari/senshin/senshin13.html、2018年6月5日
上記特許文献1及び2に記載の方法は、患者末梢血から採取したin vitroでT細胞受容体γδ陽性細胞を増殖させる方法である。T細胞受容体γδ陽性細胞の供給源を患者本人に依存した場合、in vitroにおける増殖回数が制限されるという問題がある。また、化学療法及び/又は放射線療法を受けた患者、免疫抑制剤の投与を受けた患者、骨髄移植施行直後の患者では、T細胞受容体γδ陽性細胞自体の数が減少しているため、治療に必要な細胞数を確保することが困難であるといった問題がある。
さらに、従来行われているT細胞受容体γδ陽性細胞の増殖方法は、培養を行う際に培地に動物血清を使用しており、感染症のリスクが高い等の問題もある。
本発明は、T細胞受容体γδ陽性細胞を単に増殖させるだけでなく、骨髄細胞からT細胞受容体γδ陽性細胞を分化誘導することを一課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、T細胞の分化に必要な支持細胞である胸腺上皮細胞(以下、「TEC」と称する場合がある)を、人工多能性幹細胞(以下、「iPS細胞」と称する場合がある)から分化させ、骨髄細胞と共培養することにより、in vitroでT細胞受容体γδ陽性細胞させることができることを見出した。
本発明は、当該知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様を含む。
項1.人工多能性幹細胞から誘導した胸腺上皮細胞と、造血幹細胞を含む細胞集団を共培養する工程を含む、T細胞受容体γδ陽性細胞の誘導方法であって、前記造血幹細胞を含む細胞集団が、白血球マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1陽性細胞を実質的に含まない、
誘導方法。
項2.前記造血幹細胞を含む細胞集団が、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1陽性細胞をネガティブセレクションにより除去した細胞集団である、項1に記載の誘導方法。
項3.前記共培養がインターロイキン2及びインターロイキン7の存在下で行われる、項1又は2に記載の誘導方法。
項4.前記胸腺上皮細胞が、人工多能性幹細胞をアクチビンAと、塩化リチウムとの存在下で培養する第1の工程と、アクチビンAと、塩化リチウムと、FGF8との存在下で培養する第2の工程と、塩化リチウムと、FGF7と、FGF10と、BMP4との存在下で培養する第3の工程と、を含む方法により誘導されたものである、項1~3のいずれか一項に記載の誘導方法。
項5.前記共培養が、無血清培地を使用して行われる、項1~4のいずれか一項に記載の誘導方法。
項6.前記T細胞受容体γδ陽性細胞が、T細胞受容体γδ陽性細胞治療の適用対象者と免疫学的な適合性を有する、項1~5のいずれか一項に記載の誘導方法。
T細胞受容体γδ陽性細胞をin vitroで分化誘導することができる。
in vitroでのTECの分化誘導方法の概略を示す。 in vitroでの分化誘導されているTECの細胞像を示す。 Aは、in vitroでの分化誘導されているTECの細胞数を示す。Bは、in vitroでの分化誘導されているTECの遺伝子発現を示す。 iPS細胞のCD45のcongenic typeを示す。 HSC-eBMC(造血幹細胞濃縮骨髄細胞)の精製の概要を示す。 BMCとHSC-eBMCにおけるCD34、CD117(c-kit)の発現を示す。 BMCとHSC-eBMCにおけるCD45.1及びTCRγδ、 TCRβの発現を示す。 IL-2/IL-7の存在下でのTECとHSC-eBMCの共培養の細胞像を示す。 TECとHSC-eBMCの共培養による誘導リンパ球数の変化を示す。 誘導リンパ球におけるCD45.1 とCD45.2の発現を示す。 1群の誘導リンパ球におけるCD45.1陽性γδT細胞の割合を示す。 誘導リンパ球内CD45.1陽性細胞におけるアネキシンV陽性apoptotic及び陰性non-apoptotic(live)細胞のFACS profileによる同定法を示す。 CD45.1陽性non-apoptotic細胞におけるT、B、及びNK細胞マーカーの発現を示す図である。 CD45.1陽性non-apoptotic細胞におけるCD3とTCRγδ及びTCRβの発現を示す図である。 1群、2群の誘導リンパ球におけるCD3の遺伝子発現を示す図である。 1群、2群の誘導リンパ球におけるTCRγδのレパトア遺伝子発現を示す図である。 ソーティングによるCD45.1陽性-γδT細胞の精製方法のスキームを示す。 ソーティングによって精製されたCD45.1陽性-γδT細胞の形態を示す。 ソーティングによって精製されたCD45.1陽性-γδT細胞のCD45のcongenic typeの解析結果を示す。 CD45.2陽性マウスに移植されたCD45.1陽性-γδT細胞を示す。 誘導されたγδT細胞の白血病への効果を示す。(A)無処置群(n=16)、誘導リンパ球移植群(n=10)、及び抗TCRγδ抗体で前処理した誘導リンパ球移植群(n=10)の生存率、(B)無処置及び誘導リンパ移植マウスの典型的な肉眼解剖像を示す。 無処置(上段)及び誘導リンパ球移植(下段)マウスの典型的な肝臓、肺、腎臓、及び脾臓の組織像を示す。
本明細書に開示されるT細胞受容体(TCR)γδ陽性細胞の誘導方法は、人工多能性幹細胞から誘導した胸腺上皮細胞と、造血幹細胞を含む細胞集団を共培養する工程を含む。
1.人工多能性幹細胞からの胸腺上皮細胞の誘導
(1)人工多能性幹細胞
本明細書において、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell:iPS細胞)とは、体細胞をリプログラミングすることにより、多能性を獲得された細胞である限り制限されない。
体細胞は、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ等の哺乳動物である限り制限されない。好ましくは、体細胞は、後述する造血幹細胞を含む細胞集団と、同じ動物種であることが好ましい。より好ましくは、体細胞は、後述する造血幹細胞を含む細胞集団とジェノタイプ、表面マーカーのフェノタイプ等で識別可能であり得る。
人工多能性幹細胞は、公知の方法により製造することができる。例えば、体細胞がマウス由来である場合、Nature Protocols(VOL.4 NO.12 2009)、マウスiPS細胞の改良型樹立方法(CiRA M&M, 2008年7月17日公開)等に記載の方法により人工多能性幹細胞を製造することができる。また、体細胞がヒト由来である場合、Current Protocols in Stem Cell Biology June, 2009 (01 June 2009, https://doi.org/10.1002/9780470151808.sc04a02s9)、Generation of Human induced Pluripotent Stem Cells(CiRA M&M, 2009年3月5日公開)、Human iPS cell culture under feeder-free conditions (CiRA_Ff-iPSC_protocol_Eng_v140310、2014年3月11日公開)、エピソーマルベクターを用いたヒトiPS細胞樹立方法(CiRA M&M, 2011年4月4日公開)、エピソーマルベクターを用いた末梢血からのiPS細胞樹立方法(CiRA M&M, 2013年1月10日公開)等に記載の方法により、人工多能性幹細胞を製造することができる。
人工多能性幹細胞は、セルバンク等から入手してもよい。例えば、理化学研究所バイオリソース研究センター細胞材料開発室からは、ヒト由来の人工多能性幹細胞(HPS0003、HPS0009、HPS0029、HPS0223等)、マウス由来人工多能性幹細胞(APS0001、APS0002、APS0003、APS0004、APS0005、APS0006、APS0007等)及びウサギ由来の人工多能性幹細胞(APS0008、APS0009、APS00010、APS00011等)等を入手することができる。
(2)人工多能性幹細胞の維持方法
人工多能性幹細胞を維持するための培養方法は、公知の方法にしたがって行ってもよい。
分化誘導前の人工多能性幹細胞は、例えば、advanced DMEM培地、DMEM培地等を基本培地として、2-メルカプトエタノール、グルタマックス、抗生物質、LIF、マウス胎生線維芽細胞(MEF)の培養上清を添加した維持培地により維持することができる。人工多能性幹細胞の維持は、ディッシュ又はシャーレは、細胞接触面を、あらかじめゼラチン等でコーティングしておくことが好ましい。
分化誘導前の人工多能性幹細胞の維持培地として、具体的には、0.1mM程度の2-メルカプトエタノール(SIGMA)、2mM程度のグルタマックス(Thermo Fisher Scientific)、50unit/ml程度のペニシリン-50mg/ml程度のストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific)、1%程度のES gradeウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific)と10 ユニット/ml程度のLIF(Thermo Fisher Scientific)を含む、advanced DMEM(Thermo Fisher Scientific)と、10%ウシ胎児血清(Thermo Fisher Scientific)加DMEM(SIGMA)にてMEFを培養した上清とを1:1に混合した培地を使用することができる。
購入した分化誘導前の人工多能性幹細胞は、未分化性を維持するため液体窒素に保存されている。解凍後の細胞は、洗浄後、10cmディッシュあたり2~4×10個程度となるように播種することができる。細胞の継代の際には0.25% トリプシン(Thermo Fisher Scientific)でディッシュから解離させて、人工多能性幹細胞を回収することができる。
人工多能性幹細胞は、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーター内で、上記維持培地で維持し得る。はじめの継代から、2日から4日程度、好ましくは3日程度維持し得る。
(3)胸腺上皮細胞の誘導
人工多能性幹細胞からの胸腺上皮細胞の誘導方法は、少なくとも、
アクチビンAと、塩化リチウムとの存在下で培養する第1の工程と、
アクチビンAと、塩化リチウムと、FGF8との存在下で培養する第2の工程と、
塩化リチウムと、FGF7と、FGF10と、BMP4との存在下で培養する第3の工程とを含む。
第1の工程において、人工多能性幹細胞を分化誘導するための分化誘導基本培地として、例えばS-Clone SF-03 (エーディア株式会社、三光純薬、東京、日本;以下、「SF-03」と称する)培地、StemFit(商標)Basic02、StemFit(商標)AK02N(共にAHS 味の素ヘルシーサプライ株式会社)等の培地を使用することができる。マウス由来の人工多能性幹細胞を分化誘導する場合にはSF-03培地を使用することが好ましい。また、ヒト由来の人工多能性幹細胞を分化誘導する場合にはStemFit(商標)Basic02、StemFit(商標)AK02N等の培地を使用することが好ましい。
第1の工程において、人工多能性幹細胞は、分化誘導基本培地に、例えば2-メルカプトエタノール、塩化リチウム、アクチビンAを加えた第1の誘導培地を使用することができる。この場合2-メルカプトエタノールは、終濃度で0.01mM~1mM程度、好ましくは0.05mM~0.5mM程度、より好ましくは0.08~0.5mM程度、さらに好ましくは0.1mM程度添加することができる。塩化リチウムは、終濃度で0.05mM~10mM程度、好ましくは1mM~8mM程度、より好ましくは4mM~6mM程度、さらに好ましくは5mM程度添加することができる。アクチビンAは、終濃度で1ng/ml~50ng/ml程度、好ましくは5ng/ml~20ng/ml程度、より好ましくは8ng/ml~12ng/ml程度、さらに好ましくは10ng/ml程度添加することができる。アクチビンAは、例えば、R&D systems(Minneapolis,MN,USA)から入手することができる。
人工多能性幹細胞は、分化誘導時に分化誘導基本培地に、例えばROCK(Rho-associated coiled-coil forming kinase、以下、「Rho結合キナーゼ」ともいう)阻害剤を添加してもよい。Rho結合キナーゼ阻害剤としては、例えばY-27632(和光純薬工業、253-00511)を例示することができる。Rho結合キナーゼ阻害剤の添加量は、例えば終濃度で0.5mM~50mM程度、好ましくは1mM~20mM程度、より好ましくは5mM~15mM程度、さらに好ましくは10mM程度である。ROCK阻害剤は、好ましくは分化誘導基本培地としてStemFit(商標)Basic02、StemFit(商標)AK02N等の培地を使用する際に添加することができる。
人工多能性幹細胞を培養するためのディッシュ又はシャーレは、細胞接触面を、あらかじめIV型コラーゲン溶液か、iMatrix-511(Laminin-511 E8:ニッピ、892001/892002)、ビトロネクチン溶液等を使用してコーティングしておくことが好ましい。
SF-03培地を使用する場合、0.1mg/ml~0.3mg/ml程度のIV型コラーゲン溶液を使用して、ディッシュ又はシャーレの細胞接触面をコーティングすることができる。コーティング方法は公知である。例えば、IV型コラーゲン溶液をディッシュ又はシャーレ内に添加し、上澄み液を回収後常温で30分~1時間静置し、細胞培養用の培地で洗浄することにより使用できる。IV型コラーゲンは、例えば新田ゼラチン(大阪、日本)から入手することができる。
StemFit(商標)Basic02、又はStemFit(商標)AK02N培地を使用する場合、ディッシュ又はシャーレの細胞接触面は、iMatrix-511はコーティングしておくことが好ましい。Laminin-511 E8は、コート量が:0.5μg/cm程度となるように、ディッシュ又はシャーレに添加し後、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーターで、例えば1時間以上静置した後、Laminin-511 E8を捨て、細胞培養用の培地で洗浄することにより行うことができる。
以下、本明細書において細胞培養のために使用されるディッシュ又はシャーレは、上記コーティングを行ったものを意図する。
第1の工程の培養条件は、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーター内で2日~5日程度、好ましくは4日程度である。
第2の工程は、第1の工程で使用した第1の誘導培地を、以下に説明する第2-1の誘導培地、あるいは第2-2の誘導培地に置き換え、引き続き人工多能性幹細胞を培養することにより行うことができる。
第2-1の誘導培地は、SF-03培地等の分化誘導基本培地に、第1の誘導培地と同濃度の2-メルカプトエタノール、塩化リチウムを加えとともに、アクチビンAを加え、さらに線維芽細胞増殖因子8(FGF8)を添加することにより調製することができる。アクチビンAは、終濃度で0.05ng/ml~20ng/ml程度、好ましくは1ng/ml~10ng/ml程度、より好ましくは3ng/ml~5ng/ml程度、さらに好ましくは5ng/ml程度添加することができる。FGF8は、終濃度で0.5ng/ml~20ng/ml程度、好ましくは1ng/ml~10ng/ml程度、より好ましくは2ng/ml~8ng/ml程度、さらに好ましくは5ng/ml程度添加することができる。
第2-2の誘導培地は、例えば、StemFit(商標)Basic02、又はStemFit(商標)AK02N培地の分化誘導基本培地に第1の誘導培地と同様にRho結合キナーゼ阻害剤を加え、さらに、第2-1の誘導培地を使用する場合と同様の濃度でアクチビンAとFGF8を添加することにより調製することができる。
第2の工程の培養条件は、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーター内で2日~5日程度、好ましくは4日程度である。
第3の工程は、第2-1の誘導培地を第3-1の誘導培地に置き換える、あるいは第2-2の誘導培地を第3-2の誘導培地に置き換え、引き続き人工多能性幹細胞を培養することにより行うことができる。
第3-1の誘導培地は、SF-03培地等の分化誘導基本培地に、第1の誘導培地と同濃度の2-メルカプトエタノール、塩化リチウムを加え、さらに線維芽細胞増殖因子7(FGF7)、線維芽細胞増殖因子10(FGF10)及び骨形成因子4(BMP4)を添加することにより調製することができる。FGF7は、終濃度で0.5ng/ml~50ng/ml程度、好ましくは5ng/ml~40ng/ml程度、より好ましくは10ng/ml~30ng/ml程度、さらに好ましくは20ng/ml程度添加することができる。FGF10は、終濃度で0.5ng/ml~40ng/ml程度、好ましくは1ng/ml~30ng/ml程度、より好ましくは5ng/ml~20ng/ml程度、さらに好ましくは10ng/ml程度添加することができる。BMP4は、終濃度で0.5ng/ml~40ng/ml程度、好ましくは1ng/ml~30ng/ml程度、より好ましくは5ng/ml~20ng/ml程度、さらに好ましくは10ng/ml程度添加することができる。
第3-2の誘導培地は、例えばStemFit(商標)Basic02、又はStemFit(商標)AK02N培地等の分化誘導基本培地に第1の誘導培地と同様にRho結合キナーゼ阻害剤を加え、さらに、第3-1の誘導培地を使用する場合と同様の濃度でFGF7と、FGF10と、BMP4を添加することにより調製することができる。
第3の工程の培養条件は、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーター内で少なくとも7日程度、好ましくは7日~20日程度、より好ましくは7日~14日程度である。
このような誘導方法により、人工多能性幹細胞から、胸腺上皮細胞を誘導することができる。誘導された胸腺上皮細胞は、多能性幹細胞転写因子マーカーであるNanogを実質的に発現しておらず、胸腺器官形成に関わるFoxn1、Hoxa3、Pax1、Pax9と、機能に関わるFGFR2、AIRE及び上皮性マーカーであるE-cadherin(ECD)、K5、K8、及びPlet-1よりなる群から選択される少なくとも一種のマーカーを発現していることが好ましい。ここで、「実質的に発現していない」とは、フローサイトメトリ法やRT-PCR法によりマーカーの発現量が検出限界以下と判断できる場合をいう。
ここで、人工多能性幹細胞から胸腺上皮細胞を誘導する際には、培地に動物血清あるいは動物血漿を添加しないことが好ましい。動物血清等の添加を避けることにより、プリオン病等の感染症のリスクを低減することが可能となる。
上記の方法で調製された胸腺上皮細胞は、以下のT細胞受容体γδ陽性細胞を分化誘導のために使用することができる。
2.T細胞受容体γδ陽性細胞の分化誘導方法
本実施形態は、造血幹細胞を含む細胞集団から、T細胞受容体γδ陽性細胞を分化誘導する方法を含む。
(1)造血幹細胞を含む細胞集団
造血幹細胞を含む細胞集団には、例えば、骨髄から採取された細胞集団、臍帯血から採取された細胞集団等を含み得る。造血幹細胞を含む細胞集団は、セルバンク、骨髄バンク、臍帯血バンク等から入手してもよい。
造血幹細胞を含む細胞集団は、造血幹細胞から誘導されるT細胞受容体γδ陽性細胞の使用目的に応じた動物種から採取することができる。特に、T細胞受容体γδ陽性細胞を移植に使用する場合には、移植の適用者(レシピエント)と免疫学的に適合することが好ましい。免疫学的に適合するとは、移植治療を中止しなければならない重篤な拒絶反応をレシピエントの体内で起こさないことをいう。拒絶反応には、レシピエントの免疫系が移植されたT細胞受容体γδ陽性細胞を拒絶する反応、及び移植されたT細胞受容体γδ陽性細胞による対レシピエント反応を含み得る。
免疫学的に適合するとは、例えば、6種類のHLA抗原の内、5抗原以上一致することをいう。
造血幹細胞を含む細胞集団は、採取された骨髄又は臍帯血をそのまま使用してもよいが、造血幹細胞の含有割合が高くなるように富化して使用する方が得られるγδ陽性T細胞の純度は高くなる。
造血幹細胞の富化は、公知の方法にしたがって行うことができる。例えば、セルソーター、又は磁気ビーズ等を使用して、少なくともCD34或いはCD117(c-kit)を発現する細胞を採取する方法を挙げることができる。また、磁気ビーズ等を使用して、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1を発現する細胞をネガティブセレクション等により除去することで、造血幹細胞の富化を行ってもよい。言い換えると、造血幹細胞を含む細胞集団は、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1陽性細胞を実質的に含まないことが好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、前記表面マーカーの陽性細胞を意図的に残さないことを意味する。好ましくは、「実質的に含まない」とは、フローサイトメトリ法やRT-PCR法によりマーカーの発現量が検出限界以下と判断できる場合をいう。
(2)T細胞受容体γδ陽性細胞の分化誘導
上記2.(1)で取得した造血幹細胞を含む細胞集団を、上記1.(3)に記載の方法で誘導された胸腺上皮細胞と共培養することで、γδ受容体陽性T細胞を誘導する。
上記1で誘導された胸腺上皮細胞が付着したディッシュ又はシャーレに、上記2.(1)で採取した造血幹細胞を含む細胞集団を添加し、共培養を開始する。胸腺上皮細胞と造血幹細胞を含む細胞集団の細胞数の割合は、30:1~3:1程度、好ましくは15:1~5:1程度とすることが好ましい。
共培養を行うための培地には、第1の誘導培地と同濃度の2-メルカプトエタノールを添加したSF-03培地か、第1の誘導培地と同濃度の2-メルカプトエタノールとRho結合キナーゼ阻害剤を添加したStemFit(商標)Basic02、又はStemFit(商標)AK02N培地に、さらにインターロイキン2(IL-2)及びインターロイキン7(IL-7)を添加することが好ましい。IL-2は、終濃度で0.5ng/ml~50ng/ml程度、好ましくは5ng/ml~40ng/ml程度、より好ましくは10ng/ml~30ng/ml程度、さらに好ましくは20ng/ml程度添加することができる。IL-7は、終濃度で0.5ng/ml~40ng/ml程度、好ましくは1ng/ml~30ng/ml程度、より好ましくは5ng/ml~20ng/ml程度、さらに好ましくは10ng/ml程度添加することができる。IL-2及びIL-7を添加することにより、γδ受容体陽性T細胞を分化誘導できるだけでなく、γδ受容体陽性T細胞の細胞数を増やすことができる。
共培養は、胸腺上皮細胞に造血幹細胞を含む細胞集団を添加してから、37℃程度、CO濃度5%程度に維持した湿式インキュベーター内で、少なくとも7日程度、好ましくは7日~21日程度、より好ましくは7日~14日程度行うことができる。
胸腺上皮細胞と造血幹細胞を含む細胞集団とを共培養することにより、少なくとも共培養開始から7日目からγδ受容体陽性T細胞を確認することができる。
共培養により、分化誘導された細胞が、T細胞受容体γδ陽性細胞であるか否かは、T細胞受容体γδの発現をフローサイトメトリ法、又はRT-PCR法により確認することができる。
さらに得られたγδ受容体陽性T細胞は、セルソーター、磁気ビーズ、パンニング等の手法により精製することができる。特に、胸腺上皮細胞を誘導した人工多能性幹細胞がc-myc cDNAを導入して製造された細胞である場合には、発がん性を避ける点から、得られたγδ受容体陽性T細胞を精製することが好ましい。
上記方法により得られたT細胞受容体γδ陽性細胞は、腫瘍や感染症を治療又は予防するための免疫療法に使用することができる。
ここで、造血幹細胞を含む細胞集団からγδ受容体陽性T細胞を誘導する際には、培地に動物血清あるいは動物血漿を添加しないことが好ましい。言い換えると、T細胞受容体γδ陽性細胞を分化するための培地は、無血清培地であることが好ましい。動物血清等の添加を避けることにより、プリオン病等の感染症のリスクを低減することが可能となる。
以下に実施例を示して本開示の具体的な内容を説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
なお、本実施例における動物実験は、関西医科大学動物実験委員会の審査および学長の承認を得て行った。C57BL/6マウスは、清水実験材料株式会社(静岡、日本)から購入した。また、CD45.1 congenic B6マウスは、RIKENバイオリソースセンター(RIKEN BRC、茨城、日本)から購入した。
1.人工多能性幹細胞からの胸腺上皮細胞の誘導
(1)胸腺上皮細胞の分化誘導
図1に概要を示す。マウス人工多能性幹細胞(iPS細胞:APS0001)はRIKEN BRCから購入した。iPS細胞を培養するための基本培地としてSF-03 (三光純薬、東京、日本)培地を使用した。2×105個のiPS細胞は、0.1 mM 2-メルカプトエタノール(2ME)と、5 mM塩化リチウム (SIGMA、St Louis, MO, USA)と、10 ng/ml アクチビンA (R&D systems, Minneapolis, MN, USA)を加えたSF-03培地 10 mlで4日間 、0.1~0.3 mg/ml IV型コラーゲン(新田ゼラチン、大阪、日本)をコーティングした10 cmディッシュで培養した。その後、0.1 mM 2ME、5 mM塩化リチウム、4 ng/ml Fibroblast growth factor (FGF) 8 (R&D systems)及び5 ng/mlアクチビンAを加えたSF-03培地に置き換え3日間培養した。続いて、0.1mM 2ME、 5 mM塩化リチウム, 20 ng/ml FGF7 (R&D systems)、10 ng/ml FGF10 (R&D systems) 及び10 ng/ml bone morphogenetic protein (BMP)4 (R&D systems)を加えたSF-03培地に置き換え、計3週間培養を続けた。このプロトコールでは、14日目以降にTECとして使用できるようになった。細胞の特性を観察するため、37℃で0.25% トリプシン-EDTA (GIBCO, Grand Island, NY, USA)で2分間接着細胞を処理して細胞を回収した。
(2)分化の確認
図2にDay4、Day 7、Day 14及びDay 21の分化誘導細胞の位相差顕微鏡像を示す。Day 4では球状をしていたiPS細胞(黒矢印)が、Day7では紡錘形に変化し分化し始めた(白矢印)。以降さらに細胞数が増え、細胞形態も紡錘形の成熟上皮細胞の形態を呈した。Day 14で紡錘形の細胞さらに増殖し、球状の細胞は殆ど見られなかった(黒矢頭)。Day 21では、細胞数はDay 14と比較してやや増殖したが、細胞形態に差は認められなかった(白矢頭)。図3(A)に細胞数の変化を示す。Day 4から細胞が増殖し始め、Day 14から21でほぼフラットとなった。図3(B)に上記分化誘導においてiPS細胞がTECに分化していることの遺伝子発現(RT-PCR)を示す。方法は、細胞からTrisol (Thermo Fisher Scientific Inc. Waltham, USA)を使ってtotal RNAを抽出した。1μgのtotal RNA をランダムプライマー (東洋紡、大阪、日本)を使って逆転写し、cDNAを調製した。PCRに使用したプライマーを表1に示す。PCRは、94 ℃1分、55 ℃15秒、68℃30秒を30サイクル行った。耐熱性DNAポリメラーゼは、Tks Gflex DNA polymerase (タカラ、東京、日本)を使用した。新生仔期胸腺(NT)は陽性対照で、GAPDHは内部標準である。Nanogは未分化胚細胞のマーカーであり、培養14日以降はごく僅かか殆ど検出されなかった。胸腺器官形成に関わるFoxN1、Hoxa3、Pax1、Pax9、機能に関するFGFR2、AIRE、及び上皮性マーカーであるECD, K5, K8及びplet-1は培養前或いは後から発現し、特に14-21日目にはNT同様ほぼ全ての発現が認められた。CD3はT細胞のマーカーであるが、培養中に発現は見られなかった。これらの結果は以前のiPS細胞からTECへの誘導報告とも殆ど一致する(Inami et al, Immunology and Cell Biology, 2011)。以上の結果から、上記分化誘導によってTECが誘導された事が示された。
Figure 0007176748000001
TECを誘導したiPS細胞が内在性に持つ白血球共通抗原であるCD45遺伝子のcongenic typeをPCRで調べた。PCRは、表1に示すプライマーを用いて行った。CD45.1 (Ly5.1)又はCD45.2 (Ly5.2)に対するプライマーをセンスプライマーとし、Common CD45 (Ly5)プライマーをアンチセンスプライマーとした。細胞からDNeasy Blood & Tissue Kit (Qiagen, Hilden, Germany)にてDNAを抽出し、98 ℃ 10秒、55 ℃ 30秒、72 ℃ 1分を30サイクル行った。耐熱性DNAポリメラーゼとして、Ex Taq DNA polymerase (タカラ、東京、日本)を使用した。陽性対照はC57BL/6 CD45.1とCD45.2マウスのそれぞれの脾臓細胞を使用した。
図4に結果を示す。iPS細胞はCD45.2 typeである為、CD45 congenic typeをマーカーとすることで、以下の共培養実験において誘導される細胞が、骨髄細胞由来(CD45.1)であるか、マウスiPS細胞由来(CD45.2)であるかを識別することが可能となる。
2.iPS細胞から分化した胸腺上皮細胞と骨髄造血幹細胞の共培養
(1)造血幹細胞濃縮骨髄細胞(HSC-eBMC, Hematopoetic Stem Cells-enriched BMC)の精製
図5に示すプロトコールにしたがって、6~8週のC57BL/6 CD45.1マウスの大腿骨及び脛骨から骨髄細胞を採取し、リン酸緩衝生理食塩水に浮遊させた後、70μmのナイロンセルストレーナー(Coring, NY, USA)で濾過した。次にFicoll-Paque PLUS (GE Healthcare, Uppsala, Sweden)を使った密度勾配遠心法により、低比重単核細胞分画(<1.077g/mL)を回収した。回収した細胞をlineage maker抗体カクテル (Rat IgG:CD3, CD4, CD8,CD11b, CD71, B220, TER119, Gr-1, NK1.1)(BioLgend and BD Pharmingen, San Diego, USA)と反応させ、2回洗浄後、anti-Rat IgG binding Magnetic Beads (Dynal Inc., Oslo, Norway)と反応させた。上記カクテル抗体とMagnetic Beadsに結合した細胞を磁気的に除去し、結合しなかった細胞、すなわちネガティブセレクションされた細胞をHSC-eBMCとして回収した。
回収されたHSC-eBMCが造血幹細胞を含みかつ濃縮されている事を確認するため、HSC-eBMCを回収する前の骨髄細胞(BMC)とHSC-eBMCに対して、CD34抗体とCD117(c-kit)抗体を反応させFACSにより解析した。結果を図6に示す。BMCではCD34とCD117を両方とも発現する陽性は1.1%程度であるが、HSC-eBMCでは30.4%であった。よって造血幹細胞が約30%程濃縮されていることが示された。
次に、BMCに含まれる成熟T細胞がHSC-eBMCへ精製するに伴い除去されている事を同様にFACSにて調べた。白血球マーカーとしてCD45.1を使用し、γδ受容体陽性T細胞のマーカーとしてTCRγδを使用し、αβ受容体陽性T細胞のマーカーとしてTCRβを使用した。結果を図7に示す。BMCには、CD45.1及びTCRγδ陽性細胞が2.5%程度、TCRβ陽性細胞が5.7%程度含まれていた。しかしHSC-eBMCではCD45.1を高発現する細胞は殆ど認めず、わずかにCD45.1を低発現するTCRγδ或いはTCRβ陽性細胞がそれぞれ0.4%程見られるのみであった。以上の結果から、HSC-eBMCにはγδ或いはαβ受容体陽性T細胞を含め成熟したリンパ球は殆ど含まれていない事が示唆された。
(2)HSC-eBMCとTECの共培養
HSC-eBMCとTECの共培養を以下の4群のパターンで行い、その効果を評価した。培地は0.1mM 2MEを加えたSF-03を使用した。(1)-2でiPS細胞から分化させたTECが付着した10 cmディッシュに、HSC-eBMCを1.5×105個となるように播種した。培養は播種した日をDay 0とし、Day 21まで観察した。IL-2とIL-7はPEPROTEC (Rocky Hill, USA)を使用した。誘導リンパ球は回収した後、70μm Pre-separation filter (Mil Biotec, Bergisch Gladbach, Germany)にて濾過した。
TECとIL2及びIL7の組み合わせの群を、以下に示す。
1群:HSC-eBMC+TEC+IL-2 20 ng/ml+IL-7 10 ng/ml
2群:HSC-eBMC+TEC
3群:HSC-eBMC+IL-2 20 ng/ml+IL-7 10 ng/ml
4群:HSC-eBMC
図8に3群(HSC-eBMC +IL-2+IL-7)と1群(HSC-eBMC+TEC+IL-2+IL-7)の細胞の様子を示す。(i)に示す3群ではDay 7では細胞の増殖は殆ど認められなかった(黒矢印)。一方(ii)に示す1群では、Day 7でTECに付着して増殖・浮遊するリンパ球様の細胞が多数誘導された。白矢頭は増殖したTECを示し、黒矢頭は誘導リンパ球を示す。(iii) (iv)にて示すDay 14, 21では誘導リンパ球は次第に減少し、死細胞が増えていった(白矢印)。
図9に各群のディッシュ中の誘導リンパ球数の変化を示す。1群はDay 7に著明なの細胞数の増加を認め、その後は徐々に減少した。2群は、1群ほどの細胞数の増加は認めなかったが、3群及び4群と比較して有意な増加が認められた。3群及び4群では細胞数の増加はほとんど認められなかった。
以上の結果から、本実験系でリンパ球誘導を誘導させるためには、TECが必要であることが示唆された。さらにIL-2とIL-7を添加することにより、著明に細胞数が増加する事が判明した。
次に誘導リンパ球を回収し、CD45のcongenic typeを解析した。図10の上段は、CD45.1及びCD45.2のそれぞれのマウスの脾臓のリンパ球のポピュレーションのFACS解析の結果を示す(陽性対照)。下段は、1群(IL-2及びIL-7プラス)及び2群(IL-2及びIL-7マイナス)の誘導リンパ球の同様の解析結果を示す。縦軸は、D45.1の蛍光強度を示し、横軸はCD45.2の蛍光強度を示す。1群と2群との間で割合に違いはあるものの、CD45.1陽性細胞のみが誘導され、両群ともCD45.2陽性細胞は検出されなかった。このことから誘導リンパ球はiPS細胞由来ではなく、HSC-eBMCに由来すると考えられた。
次に1群の誘導リンパ球のリンパ球表面マーカーのFACS解析を行った。表面マーカーとしてCD45.1、TCRγδを使用した。結果を図11に示す。図11左は培養前のHSC-eBMC、図11真ん中は培養7日目の1群の誘導リンパ球、図11右は陽性対照として胸腺から回収した胸腺細胞を示す。横軸はTCRγδの蛍光強度を示し、縦軸はCD45.1を示す。分画内の数字はリンパ球のパーセントを示す。この解析により、1群の誘導リンパ球には、CD45.1陽性のγδT細胞が多く含まれることが明らかとなった。その割合は全誘導リンパ球中約20%程度であった。
一般的に細胞は培養により細胞死(apoptosis)を起こす。これらは最終的にdebrisとなるが、FACSでも認識され非特異反応を呈し解析を難しくする。よってCD45.1陽性かつ生きた(non-apoptotic)細胞中でサブセットを解析する為、以下の方法を行った。図12に示す通りに(Day 7 誘導リンパ球)、まずCD45.1と側方散乱光のプロット上でCD45.1陽性細胞にゲーティング(Gate 1)を行う。次にGate1の細胞の中で、前方及び側方散乱光のプロットを行う。するとおおよそGate 2-1,Gate 2-2の2つのリンパ球のpopulationが現れる。この2つのpopulationにてapoptosisに陥った細胞が発現するアネキシンVは、Gate2-1が陽性、Gate2-2が陰性となる。よってGate2-2がCD45.1由来のnon-apoptoticなリンパ球となり、以降のリンパ球サブセットの解析はこの細胞集団にて行う(本方法は過去の論文でも報告されている)。
図13にて、CD45.1陽性細胞由来non-apoptotic細胞のT細胞マーカー、B細胞マーカー及びNK細胞マーカーのそれぞれのFACSの解析結果を示す。上段は1群、2群、下段は陽性対象としての胸腺細胞の解析結果を示す。この結果、1群及び2群で誘導されるリンパ球の多くがγδ陽性T細胞であることが示された。特に1群ではγδ陽性T細胞が約54%を占めていた。また他のT細胞のマーカーであるTCRβ,CD4, CD8及びNK細胞のマーカーであるNK1.1, B細胞のマーカーであるB220は殆ど見られなかった。また図には示さないが、Day 14でもほぼ同じ結果であった。以上の結果は、誘導される生きた細胞はほぼγδ陽性T細胞に限定されている事を示している。
1群及び2群のCD45.1陽性由来non-apoptoticリンパ球にて、T細胞の活性化機能分子であるCD3の発現をFACSで解析した結果を図14に示す。上段はTCRγδの解析結果であり、下段はTCRβの解析結果である。また左欄は1群(IL-2及びIL-7プラス)、中欄は2群(IL-2及びIL-7マイナス)、右欄は陽性対照として胸腺細胞を示す。1群では、TCRγδ陽性細胞にてCD3の発現が認められたが、2群では殆ど認められなかった。1、2群ともCD3陽性TCRβ細胞は誘導されない。以上の結果は、機能的なTCRγδ細胞を誘導するのは、IL-2及びIL-7が必要である事を示唆している。
図15に、1群及び2群の誘導リンパ球におけるCD3の遺伝子レベルでの発現をRT-PCRで解析した結果を示す。レーン1はDay 7の1群(IL-2及びIL-7プラス)、レーン2は同様にDay 7の2群(IL-2及びIL-7マイナス)の細胞、レーン3は陽性対照として新生仔期胸腺を示す。結果は1群のみにCD3の発現が見られ、CD3の発現にはIL-2とIL-7が必要である事が遺伝レベルでも確認された。
図17に、RT-PCRで1群(IL-2及びIL-7プラス)及び2群(IL-2及びIL-7マイナス)の誘導リンパ球におけるTCRγδのレパトア解析を行った結果を示す。PCRプライマーは、各TCR Vγ又はVδ遺伝子に対するプライマーをそれぞれセンス側プライマーとし、Commonγ又はCommonδをアンチセンス側プライマーとした。陽性対照として新生仔期胸腺(NT)を使用した。Day 0(培養前のHSC-eBMC)ではVγ或いはδの発現は認められなかったが、1群のDay 7ではVγ1-3, 2, 4, 6と Vδ4, 6, 7、 Day 14ではVγ1-3, 2, 4とVδ4, 5, 7の複数のVγ及びδのレパートリーが検出された。2群でも弱いながら、幾つかのレパートリーが検出された。このことから、HSC-eBMCから分化したγδT細胞は、モノクローナルな細胞集団ではなく、様々なTCRγδのレパートリーを有するポリクローナルな集団であることが示された。
3.共培養で得られたγδT細胞の精製
次に、今回誘導されたγδT細胞を精製し形態観察を行った。そのスキームを図17に示す。はじめに、TECとHSC-eBMCが共培養されているディッシュから誘導リンパ球とTECを回収した。TECはトリプシン-EDTA処理を行い回収した。さらに誘導リンパ球はFITC-抗CD45.1抗体とPerCP Cy5.5抗TCRγδ抗体との2重染色でFACSAriaを使ってソーティングを行い、両陽性細胞を回収し、形態学的な観察を行った。また誘導リンパ球、TEC、及び精製細胞についてRT-PCRによるCD45のcongenic typeの解析も行った。
図18に形態学的な観察結果を示す。上段に示すようにFACSAriaで誘導リンパ球からCD45.1陽性-TCRγδ陽性の細胞(四角枠内)を精製した(左段)。陽性コントロールとして胸腺細胞を使用した(右段)。下段にソーティングされた細胞のギムザ染色像を示す。誘導リンパ球から精製されたCD45.1陽性-TCRγδ陽性細胞は胸腺CD45.1陽性-TCRγδ陽性細胞と同様に、単核リンパ球の形態を呈した。よって誘導されたγδT細胞は、ほぼin vivoで胸腺内で産生されるγδT細胞と同等の細胞と考えられた。
図19にTECとHSC-eBMCが共培養ディッシュから採取された誘導リンパ球、TEC、及びCD45.1陽性-TCRγδ陽性細胞のCD45のcongenic typeのPCRを示す。誘導リンパ球中のDNAは多くはHSC-eBMC由来を示すCD45.1 typeであったが、少量のTEC由来を示すCD45.2 typeも含まれていた。TECはその逆の結果であった。よってこれらの細胞には多少の共培養細胞の残存が含まれるものと考えられた。しかし、精製したCD45.1陽性-TCRγδ陽性T細胞からは、CD45.1 typeのみが検出された。このことからソーティングによりiPS細胞に由来する細胞が完全に除去され、骨髄細胞由来のみの細胞になっている事が示された。
4.誘導CD45.1陽性γδT細胞のin vivoでの生着
近年γδ陽性T細胞は、主に癌や感染症のための治療剤として生体内で使用されている。よって上記1及び2の方法に従って誘導されたγδT細胞も生体内で生着するか否かを、誘導リンパ球をCD45.2タイプのマウスに移植する事により調べた。またiPS細胞は、発がんのリスクがあることが報告されている。上の実験でも示されたが誘導リンパ球には少量のiPS由来細胞が含まれている可能性もあるため、腫瘍の発生も併せて副作用も調べた。
(1)方法
レシピエントであるCD45.2タイプのC57BL/6マウスに137Cs 放射線照射蔵置(Gammacell 40 Exactor; MDS Nordion International, Ottawa, ON, Canada)を使用して8 Gyの致死量の放射線を照射し骨髄を死滅させた。ドナーのCD45.2タイプのC57BL6マウスからの大腿骨と脛骨から骨髄細胞を採取し、シングル-セル浮遊液を調製した。放射線照射から5時間後に骨髄細胞1×107個と、iPS細胞から分化したTECとHSC-eBMCを7日間共培養し産生した誘導リンパ球3×106個をレシピエントマウスに移植した。
(2)結果
図20に結果を示す。移植から14日目に脾臓、腸管リンパ節、末梢血、胸腺から回収したリンパ球について、抗CD45.1抗体と抗TCRγδ抗体とを使ってFACS解析を行った。移植された宿主マウス由来γδT細胞はCD45.2タイプであるため、抗CD45.1抗体では検出されない。このため、TECとの共培養により誘導されたγδT細胞が生着していれば、図21の左段にCD45.1陽性かつTCRγδ陽性細胞として検出される。今回の検討では、胸腺以外全てのリンパ系組織にCD45.1陽性細胞が見られ、主に腸管リンパ節にCD45.1陽性γδT細胞が検出された。なお、データとしては示さないが、細胞移植後1ヶ月にもCD45.1陽性γδT陽性が腸管リンパ節に残っていた。逆に、CD45.1陽性TCR陽性βはこの間殆ど見られなかった。また、移植を受けたマウスは少なくとも10ヶ月以上健康に生存し、明らかな腫瘍の発生や自己免疫疾患等の副作用は認めなかった。
5.誘導したγδT 細胞の白血病への効果
ヒトへの治験でγδT 細胞は癌同様に血液系悪性腫瘍に効果を示しており、誘導されたγδT 細胞の白血病モデルマウスへの効果を調べた。
白血病細胞として、C57BL/6マウス由来T細胞性白血病細胞株であるEL-4細胞を用いた。C57BL/6マウスにEL-4細胞株1×106個を経静脈的に移入した後に、7日間HSC-eBMC と誘導したTECの共培養により産生した誘導リンパ球3×106個同様に移入した。一部の誘導リンパ球はin vitro及びin vivoにてγδT細胞の機能を阻害かつ削除する抗TCRγδ抗体 (GL3: BioLgend、1μg/106 cells)で4℃、10分間処理し、2回リン酸緩衝生理食塩水にて洗浄後、同様にEL-4細胞を移入されたマウスに移植した。前処理を行う理由は、同数の誘導リンパ球内におけるγδT細胞の影響を調べる為である。以下、無処置群はn=16、誘導リンパ球移植群はn=10、及び抗TCRγδ抗体にて前処理した誘導リンパ球移植群はn=10として実験を行った。
結果を図21に示す(各群の生存率(A)、無処置(50日目、左)及び誘導リンパ移植(42日目、右)マウスの典型的な肉眼解剖像(B))。無処置マウスは、全て50日内に死亡した(図21(A))。誘導リンパ球を移植したマウスは無処置群に比較し有意に生存率が改善し、約30% は長期(100日以上)に生存した。一方、抗TCRγδ 抗体を前処理した誘導リンパ球を投与した群は、無処置群と差は無かった。無処置群では、典型例にて、肉眼的に肝臓に最も多数の転移を認めた(図21(B),白矢印)。しかし、誘導リンパ球移植マウスでは、肝臓はほぼ正常だった。さらに、図22に無処置(上段)マウス及び誘導リンパ球移植マウス(下段)の典型的な肝臓、肺、腎臓、及び脾臓の組織像(HE染色、200倍: 挿入図:腫瘍細胞の拡大図)を示す。無処置マウスにおける組織学的な解析では肝臓だけでなく、肺、腎臓、脾臓にも腫瘍細胞の浸潤が見られた(図22(B)上段、矢印)。しかし、誘導リンパ球を移植したマウスでは、これらの臓器において腫瘍細胞浸潤は殆ど見られなかった。誘導リンパ球を移植したに関わらず死亡したマウスでは同じく腫瘍の増大が見られた。また抗TCRγδ抗体を前処理した群では、腫瘍細胞のみを移入した群とほぼ同様の腫瘍の増大を認めた(data not shown)。以上の所見は、誘導リンパ球内におけるγδT細胞は、生体内で白血病細胞に一定の効果がある事を示唆している。
以上の結果から、今回iPS細胞由来TECとHSC-eBMCの共培養により誘導されたγδT細胞は、移植かつ生着可能な細胞であることが判明した。腫瘍の発生や自己免疫疾患等の目立った副作用も無く、長期間生存した。また、生体内においては白血病へ有効である事も示唆された。本法はヒトの疾患へも応用できる可能性がある。その場合、現在骨髄バンクやiPSバンクが整備されつつあり、これらの細胞を使えば、自らの細胞を使う事なく短期間に治療に使用できる事も考えられる。

Claims (6)

  1. 人工多能性幹細胞から誘導した胸腺上皮細胞と、造血幹細胞を含む細胞集団を共培養する工程を含む、T細胞受容体γδ陽性細胞の誘導方法であって、前記造血幹細胞を含む細胞集団が、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1陽性細胞を実質的に含まない誘導方法であって、
    前記実質的に含まないとは、前記造血幹細胞を含む細胞集団において、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1の発現量がフローサイトメトリ法、及びRT-PCR法による検出において検出限界以下であることを示す、
    前記誘導方法
  2. 前記造血幹細胞を含む細胞集団が、表面マーカーCD3、CD4、CD8、CD11b、CD71、B220、TER119、Gr-1、及びNK1.1陽性細胞をネガティブセレクションにより除去した細胞集団である、請求項1に記載の誘導方法。
  3. 前記共培養がインターロイキン2及びインターロイキン7の存在下で行われる、請求項1又は2に記載の誘導方法。
  4. 前記胸腺上皮細胞が、人工多能性幹細胞をアクチビンAと、塩化リチウムとの存在下で培養する第1の工程と、アクチビンAと、塩化リチウムと、FGF8との存在下で培養する第2の工程と、塩化リチウムと、FGF7と、FGF10と、BMP4との存在下で培養する第3の工程と、を含む方法により誘導されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導方法。
  5. 前記共培養が、無血清培地を使用して行われる、請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導方法。
  6. 前記T細胞受容体γδ陽性細胞が、T細胞受容体γδ陽性細胞治療の適用対象者と免疫学的な適合性を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導方法。
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