JP7176280B2 - 水洗大便器装置 - Google Patents
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Description
従って、従来より、便器本体内や便器本体の下流側の配管における詰まりの不具合に対し、早期に対処できるようなさまざまな発明がされてきた。
また、特許文献2に示すように、大便器において、水位センサがトラップ内の水位変化を検出し、トイレ詰まりを検出するものが知られている。
このように構成された本発明においては、第1振動センサーが、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分に加えて他の要因による振動成分を検出したとしても、排水状態判断部において、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から、第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより、上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を得て、便器本体の排水状態の不良を判断させることができる。よって、本発明によれば、便器本体に取付けられた第1振動センサー及び第2振動センサーにより、排水トラップの内部の水流に基づく振動以外の振動の影響を抑制し、便器本体の排水状態の不良を判断する精度を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、第1振動センサーが通水部の外面に取付けられているので、第1振動センサーが排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を比較的強い信号強度により検出することができ、排水トラップの内部の水流の流動状態を比較的正確に判断することができる。また、第2振動センサーが構造部に取付けられているので、第2振動センサーは、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を検出しにくくすることができる。一方で、第1振動センサー及び第2振動センサーは、便器本体に加わる水流に基づく振動以外の振動を同様に検出する。これにより、第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を比較的良好に得ることができ、便器本体の排水状態の不良を判断する精度を向上させることができる。
このように構成された本発明においては、第1振動センサー及び第2振動センサーは、床面からほぼ同じ高さに取付けられているので、第1振動センサー及び第2振動センサーは便器本体に加わる水流に基づく振動以外の振動のうち上下方向から伝わる振動を同様の値として検出しやすくできる。
このように構成された本発明においては、第1振動センサー及び上記第2振動センサーは、上記便器本体における前後方向の位置がほぼ同様の位置となるように取付けられているので、第1振動センサー及び第2振動センサーは水流に基づく振動以外の便器本体に加わる振動のうち前後方向から伝わる振動を同様の値として検出しやすくできる。
このように構成された本発明においては、第1振動センサーは、上記排水トラップの入口部の外面に取付けられるので、第1振動センサーが排水トラップの入口部の水流に基づく振動成分を比較的強い信号強度により検出することができ、排水トラップの内部の水流の流動状態をより正確に判断することができる。
このように構成された本発明においては、第2振動センサーが便器本体の袴部の内面に取付けられているので、第2振動センサーから便器本体の内側方向に空間が形成され、第2振動センサーが、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分をより検出しにくくできる。また、第2振動センサーが便器本体の袴部の内面に取付けられている場合であっても、第2振動センサーは、便器本体に加わる水流に基づく振動以外の振動を第1振動センサーと同様に検出できる。
仮に第1振動センサーを内部に洗浄水が存在する通水部に直接に取付けた場合、第1振動センサーと接地電位となっている通水部の内側の流水路の水分との間で浮遊容量等によるインピーダンスが形成される。また、第2振動センサーを内側に空気が存在する構造部に直接に取付けた場合、第2振動センサーと構造部との間では上記浮遊容量等とは異なるインピーダンスが形成される。よって、第1振動センサーがアースに対して形成するインピーダンスと第2振動センサーがアースに対して形成するインピーダンスとが異なることとなる。このインピーダンスの差に対し、信号差分部の電源の周波数が作用し、信号差分部により得られる信号に50Hz又は60Hzの電源周波数成分が概ね常時ノイズとして含まれる。よって、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分に対しノイズが含まれた状態となり、便器本体の排水状態の不良の判断の精度を低下させる悪影響が生じる可能性がある。
このように構成された本発明においては、第1振動センサーと上記通水部との間、及び上記第2振動センサーと上記構造部との間に導体部をそれぞれ設け、導体部は、信号差分部から延び且つ電源に接続されたグラウンド回路と電気的に接続される。これにより、第1振動センサーがグラウンドに対して形成するインピーダンスと、第2振動センサーがグラウンドに対して形成するインピーダンスとの間に差が生じることを抑制し、信号差分部から得られる信号に電源周波数成分がノイズとして含まれることを抑制することができる。よって、本発明によれば、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を得て、便器本体の排水状態の不良の判断の精度をより向上させることができる。
このように構成された本発明においては、排水状態判断部は、過去の上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分の特徴量から代表特徴量を決定すると共に、この代表特徴量と、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより得られた上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分の特徴量を比較することにより、比較的容易に上記便器本体の排水状態の不良を判断することができる。
このように構成された本発明においては、上記排水状態判断部は、上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分の特徴量を、その振動成分の周波数スペクトルに基づいて決定する。これにより、排水状態判断部は、過去の周波数スペクトルに基づく特徴量から代表特徴量を決定すると共に、この代表特徴量と、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより得られた周波数スペクトルに基づく特徴量を比較することにより、比較的容易に上記便器本体の排水状態の不良を判断することができる。
このように構成された本発明においては、第1振動センサーが、排水トラップの内部の水流に基づく振動成分に加えて他の要因による振動成分を検出したとしても、排水状態判断部において、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から、第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより、上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を得て、便器本体の排水状態の不良を判断させることができる。よって、本発明によれば、便器本体に取付けられた第1振動センサー及び第2振動センサーにより、排水トラップの内部の水流に基づく振動以外の振動の影響を抑制し、便器本体の排水状態の不良を判断する精度を向上させることができる。
図1は本発明の一実施形態による水洗大便器装置を示す概略斜視図である。なお、図1において、一例として、排水時の水面をW1により示し、排水時に空気Kが例えば気泡となって入口部10aの頂部から巻き込まれ、空気を巻き込む音を生じさせる様子を示している。
以下、本発明の一実施形態における説明において、水洗大便器装置1を使用する使用者側(水洗大便器装置1を使用するために水洗大便器装置1の前に立っている使用者側)から見て手前側を前方側とし、使用者から見て奥側を後方側とし、水洗大便器装置1を前方から見て右側を右側とし、前方から見て左側を左側とし、便器本体2の中心方向を内側とし、便器本体2の外方に向かう方向を外側として説明している。
本体支持構造13は、ボウル部6、導水路8及び排水トラップ管路10等の間に延び、これらの一部同士を互いに接続、支持している。また、本体支持構造13は、ボウル部6、導水路8及び排水トラップ管路10等を床面Fに対して指示している。よって、本体支持構造13は、ボウル部6と床面Fとを結ぶ支持構造、導水路8と床面Fとを結ぶ支持構造及び排水トラップ管路10と床面Fとを結ぶ支持構造等も含んでいる。本体支持構造13は、床面Fから便器本体2の上面まで形成される。本体支持構造13は、便器本体2の上部にかかる使用者の体重、貯水タンク4の荷重も支持する。
水洗大便器装置1は、さらに、第1振動センサー28と、第2振動センサー30と、制御部32とを備えている
第1振動センサー28は、便器本体2に取付けられると共に少なくとも排水トラップ管路10の内部の水流に基づく振動成分を検出する。
図2は図1のII-II線に沿って見た排水トラップ管路の入口部の断面図であり、図3は図1のIII-III線に沿って見た排水トラップ管路の下降路近傍の断面図であり、図4は本発明の一実施形態による水洗大便器装置の変形例において、平面視により排水トラップ管路の入口部、第1振動センサー、本体支持構造及び第2振動センサーの位置関係を概略的に説明する概略平面図であり、図5は本発明の一実施形態による水洗大便器装置において、第1振動センサー、第2振動センサー、制御部32等の電気的な接続関係を示す構成図である。
図4においては、紙面の上下方向が便器本体2の左右方向に対応し、紙面の左右方向が便器本体2の前後方向に対応している。排水トラップ管路10、第1振動センサー28及び第2振動センサー30は上方から見た状態で示され、本体支持構造13は断面により示されている。
通水部31は、その内側に洗浄水Jが流れる流水空間Cを形成すると共に、その外側に空気が存在する大気空間Dを形成する。通水部31は、例えば、ボウル部6及び排水トラップ管路10である。構造部34は、例えば、袴部11及び本体支持構造13であり、その内側及び外側に空気が存在する大気空間Dを形成する。構造部34は、洗浄水Jの流路を構成する壁面以外の構造部分であれば、その内側又は外側に大気空間Dが形成されていない構造であってもよい。
図2に示すように、第1振動センサー28は、通水部31である排水トラップ管路10の入口部10aの外面の頂部に取付けられる。排水トラップ管路10の入口部10aは、内側に流水空間Cを形成し、外側に大気空間Dを形成している。
図3に示すように、第2振動センサー30は、構造部34である袴部11の内面に取付けられる。袴部11は、その内側及び外側に大気空間Dを形成している。
水洗大便器装置1は、さらに、第1振動センサー28と通水部31との間に設けられる導体部37、及び第2振動センサー30と構造部34との間に設けられる導体部36、第1振動センサー28から受信した信号の電圧を増幅する第1アンプ38と、第2振動センサー30から受信した信号の電圧を増幅する第2アンプ42とを備えている。
第1振動センサー28は、排水トラップ管路10の入口部10aに取付けられている。第1振動センサー28が検出した振動成分は非常に微小であり、この振動成分は第1振動センサー28により第1アンプ38に送信され、第1アンプ38により大きく増幅された後、信号差分部40に振動成分A1として送信される。
第2振動センサー30は、袴部11に取付けられている。第2振動センサー30が検出した振動成分は非常に微小であり、この振動成分は第2振動センサー30により第2アンプ42に送信され、第2アンプ42により大きく増幅された後、信号差分部40に振動成分A2として送信される。
続いて、制御部32は、信号差分部40の機能に基づいて算出された振動成分A3を、排水状態判断部44の機能に基づいて判定させる。
導体部36と導体部37は、互いに接続されるとともに、第2グラウンド回路52を介して第1グラウンド回路50に電気的に接続されている。導体部36と導体部37は薄板状に形成されている。第2グラウンド回路52は、第1アンプ38と第2アンプ42とも接続されている。
仮に第1振動センサー28を内部に洗浄水が存在する通水部31に導体部37を介さず直接に取付けた場合、第1振動センサー28とアースとの間で、通水部31の内側の流水路の水分を介し、浮遊容量等によるインピーダンスが形成される。また、第2振動センサー30を内側に空気が存在する構造部34に導体部36を介さずに直接取付けた場合、第2振動センサー30とアースとの間では、構造部34ならびにその内部の空気を介し、上記浮遊容量等とは異なるインピーダンスが形成される。よって、第1振動センサー28がアースに対して形成するインピーダンスと第2振動センサー30がアースに対して形成するインピーダンスとが異なることとなる。このアースと各センサーとの間のインピーダンスの差に対し、第1アンプ38と第2アンプ42のグラウンドである第2グラウンド回路52と、第2グラウンド回路52に接続する信号差分部40のグランドである第1グラウンド回路50が、電源部46によりアースに対し50Hz又は60Hzの微小な交流電位を持っている。従って、第1振動センサー28ならびに第2振動センサー30の信号を大きく増幅して得られる振動成分A1と振動成分A2との間にも大きな差が生じ、信号差分部40により得られる信号A3には50Hz又は60Hzの電源周波数成分が概ね常時電源ハムノイズとして含まれる。よって、排水トラップ管路10の内部の水流に基づく振動成分に対し電源ハムノイズが含まれた状態となり、便器本体2の排水状態の不良の判断の精度を低下させる悪影響が生じる可能性がある。
排水状態判断部44は、振動成分A3の信号波形をFFT(Fast Fourier Transform)手法を用いて周波数の関数の周波数スペクトルB3を生成する周波数分析部45を備えている。記憶装置60は、記憶媒体又はメモリ等により構成され、振動成分A1乃至A3のデータ、振動成分A3の特徴量、過去の特徴量、過去の特徴量から決定された代表特徴量等を記憶する。
報知部54は、LEDランプ及び/又は小型スピーカー等を備え、制御部32から受信した情報を使用者等に視覚及び/又は音声で報知することができる。例えば、報知部54は、使用者又は管理者等にLED表示を点灯させる又は文字を表示させる等の手段により排水状態の不良を報知することができる。報知部54は、モニタ上に情報を表示させることにより報知する手段であってもよい。報知部54は、例えば便器本体2又は制御部32とは離れた場所に配置され、インターネット等の通信ネットワークを介して制御部32と電気的に接続されていてもよい。
図6は本発明の一実施形態による水洗大便器装置において、制御部の信号差分部、排水状態判断部及び記憶装置の制御動作を示すフローチャートである。図6において、Sは各ステップを示している。
制御部32は、便器本体2の洗浄が開始されていない場合には、制御部32が便器本体2の排水状態の不良を判断するための洗浄水の供給が便器本体2に行われておらず、便器本体2の排水状態の不良を有効に判断できない状態であると判断できるので、S1に戻って再び判定を実行する。
図7は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置において、便器本体の排水状態の不良が生じている状態において、第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより得られた排水トラップ管路の内部の水流に基づく振動成分の信号波形を示す図であり、図12は、比較例として、第1振動センサー28が水洗大便器装置1のウォシュレット機構(図示せず)の脱臭ファン(図示せず)の振動を検出している状態の時系列信号の信号波形に対し、周波数分析を行って得た時系列の周波数分析図である。図7においては、縦軸は電圧により示す信号強度[V]、横軸は、時刻[t]である。図12においては、縦軸は周波数[Hz]、横軸は時刻[t]である。図12においては、脱臭ファンの比較的高い利得の周波数が領域Iに示されている。
制御部32は、便器本体2の洗浄が完了されていない場合には、制御部32が便器本体2の洗浄が完了するまでの時刻において振動成分A1乃至A3のデータを取得及び記憶装置60への記憶ができるように、S2に戻る。
制御部32は、便器本体2の洗浄が完了した場合には、制御部32における任意の時刻における振動成分A1乃至A3のデータの取得及び記憶装置60への記憶がなされ、周波数分析の準備が整ったと判断できるので、S6に進む。
図8は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置において、便器本体の排水状態の不良が生じている状態において、排水トラップ管路の内部の水流に基づく振動成分の信号波形を周波数分析部により周波数分析することにより得られる周波数スペクトルを示す図である。図8においては、縦軸は利得[dB]、横軸は周波数[Hz]である。
図8に示すように、排水状態判断部44は、図7において得られた振動成分A3の信号波形から周波数分析部45によるFFT(Fast Fourier Transform)手法を用いて周波数の関数の周波数スペクトルB3を生成し、周波数スペクトルの特徴量を分析する。このような周波数スペクトルB3の特徴量は、周波数スペクトルにおけるピーク周波数と、そのピーク周波数の強さ(振幅)に関する。
例えば、図8に示すように、最大のピークは60Hz付近にあるものの、100Hz以下の周波数帯にあるその他のピークの利得と比べて、概ね15dB以下の差の範囲内に収まっており、所定以上の利得を生じる共振周波数のピーク周波数が明確に出現していないという特徴が見られる。
図9及び図10を参照して、比較例として便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態における信号波形を説明する。
図9は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の便器本体において、便器本体の排水状態の不良が生じていない状態において、第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより得られた排水トラップ管路の内部の水流に基づく振動成分の信号波形を示す図であり、図10は、本発明の一実施形態による水洗大便器装置において、便器本体の排水状態の不良が生じていない状態において、排水トラップ管路の内部の水流に基づく振動成分の信号波形を周波数分析部により周波数分析することにより得られる周波数スペクトルを示す図である。図11は、比較例として、第1振動センサーを排水トラップ管路に配置し、第2振動センサーをボウル部に配置した状態で、第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより得られた振動成分の時系列信号の信号波形に対し、周波数分析を行って得たスペクトル周波数の時系列の周波数分析図である。図9においては、縦軸は電圧により示す信号強度[V]、横軸は、時刻[t]である。図10においては、縦軸は利得[dB]、横軸は周波数[Hz]である。図11においては、縦軸は周波数[Hz]、横軸は時刻[t]である。図11においては、空気巻き込み音のピーク周波数が比較的高い利得として領域Gに現れており、排水弁の振動の周波数が比較的高い利得として領域Hに現れている。
排水状態判断部44は、過去の便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態において、振動成分A1から振動成分A2を差し引くことにより得られた振動成分A3の時系列信号の信号波形を取得し、記憶させている。
便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態においては、ボウル部6内の洗浄水が良好に排水されるため、ボウル部6内の水位が比較的大きく変動しやすく、排水トラップ管路10内を流れる洗浄水の流量及び流勢が比較的大きくなっている。よって、排水トラップ管路10に比較的大きな流量及び流勢の洗浄水が流れることにより振動が生じる。従って、便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態においては、所定以上の利得を生じるようなボウル部6の水の共振周波数のピーク周波数が出現しやすくなる。このような共振周波数は、便器本体2及びそのボウル部6の内部に貯留している洗浄水により生じ、便器本体2の形状、ボウル部6内の水位、排水中の排水トラップ管路10内の水位などによっても変化する。共振周波数は、便器本体2の固有の値として求められるため、過去の便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態において、振動成分の時系列信号の信号波形を取得し、評価する。
図10に示すような周波数スペクトルは、特徴量に関し、所定以上の利得を生じる共振周波数のピーク周波数T1及びT2が出現しているという特徴を持っている。排水状態判断部44は、過去の周波数スペクトルを分析することにより、共振周波数のピーク周波数T1及びT2の主変動範囲及び利得の主変動範囲等の傾向を取得する。排水状態判断部44は、過去の特徴量から決定された代表特徴量として、例えば所定以上の利得を生じる共振周波数のピーク周波数があることを決定する。排水状態判断部44は、この代表特徴量を、今回取得された特徴量と比較することにより、今回取得された特徴量が代表特徴量を有しないことにより、便器本体2の排水状態を不良と判断する。例えば、図10において、共振周波数のピーク周波数T1は約28Hzとなっており、ピーク周波数T2は約56Hzとなっている。なお、特徴量と代表特徴量との比較は、ピーク周波数及び利得の数値の比較によって行われてもよく、また、画像同士の比較により画像認識等の手法により類似しているかの比較が行われてもよい。
制御部32は、振動成分A3の特徴量と過去の代表特徴量との間に差異がない又はこの差異が所定値以下又は想定範囲内である場合は、便器本体2の排水状態の不良が生じていない状態であると判断できるので、S10に進む。
制御部32は、振動成分A3の特徴量と過去の代表特徴量との間に所定値より大きな差異がある場合は、便器本体2の排水状態の不良が生じている状態であると判断できるので、S9に進む。
S11においては、制御部32は、排水状態判断処理モードを終了させ、S0に戻る。
よって、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、便器本体2に取付けられた第1振動センサー28及び第2振動センサー30により、排水トラップ管路10の内部の水流に基づく振動以外の振動の影響を抑制し、便器本体2の排水状態の不良を判断する精度を向上させることができる。
仮に第1振動センサー28を内部に洗浄水が存在する通水部31に直接に取付けた場合、第1振動センサー28と接地電位となっている通水部31の内側の流水路の水分との間で浮遊容量等によるインピーダンスが形成される。また、第2振動センサー30を内側に空気が存在する構造部34に直接に取付けた場合、第2振動センサー30と構造部34との間では上記浮遊容量等とは異なるインピーダンスが形成される。よって、第1振動センサー28がアースに対して形成するインピーダンスと第2振動センサー30がアースに対して形成するインピーダンスとが異なることとなる。このインピーダンスの差に対し、信号差分部40の電源の周波数が作用し、信号差分部40により得られる信号に50Hz又は60Hzの電源周波数成分が概ね常時ノイズとして含まれる。よって、排水トラップ管路10の内部の水流に基づく振動成分に対しノイズが含まれた状態となり、便器本体2の排水状態の不良の判断の精度を低下させる悪影響が生じる可能性がある。
第1振動センサー28と信号差分部40との間、及び第2振動センサー30と信号差分部40との間に周波数分析部45を配置している。よって、第1振動センサー28によって検出された振動成分A1が信号差分部40に至る前に、周波数分析部45により周波数スペクトルB1を生成する。同様に、よって、第2振動センサー30によって検出された振動成分A2が信号差分部40に至る前に、周波数分析部45により周波数スペクトルB2を生成する。信号差分部40においては、周波数スペクトルB1から周波数スペクトルB2を差し引くことにより周波数スペクトルB3を得る機能を有する。周波数スペクトルB3は、前述の振動成分A3の信号波形を周波数分析部45によりフーリエ変換して生成された周波数スペクトルB3と基本的に同じである。このように周波数スペクトルB3を生成することにより、仮に第1振動センサー28と第2振動センサー30との間にセンサーの種類等に起因した周波数特性の違いがある場合に、周波数スペクトルB1又は周波数スペクトルB2について比較的容易に補正して、センサー間の誤差を修正することができる。従って、第1振動センサー28の周波数特性と第2振動センサー30の周波数特性との差があったとしても、周波数特性の差を比較的容易に補正することができる。よって、便器本体2の排水状態の不良の判断の精度をより向上させることができる。
水洗大便器装置1は、さらに、第1振動センサー28に電気的に接続される信号データ送信部56と、信号データ送信部56から送信された信号を受信する信号データ受信部58とを備えると共に、便器本体2とは離れた場所に制御部32の排水状態判断部44及び報知部54等を備えている。制御部32が信号データ受信部58を備えていてもよいし、信号データ受信部58は制御部32から独立した受信機として設けられていてもよい。この場合には、信号データ受信部58は制御部32と電気的に接続される。制御部32は、例えば便器本体2とは離れた場所に配置され、信号データ送信部56と、信号データ受信部58とにより、インターネット等の通信ネットワーク57を介して第1振動センサー28及び第2振動センサー30と電気的に接続されていてもよい。本実施形態の水洗大便器装置1は、制御部32がインターネット等の通信ネットワークを介して第1振動センサー28及び第2振動センサー30と電気的に接続されることにより、構成されることができる。
2 :便器本体
6 :ボウル部
10a :入口部
11 :袴部
28 :第1振動センサー
30 :第2振動センサー
31 :通水部
32 :制御部
34 :構造部
36 :導体部
37 :導体部
40 :信号差分部
44 :排水状態判断部
46 :電源
A1 :振動成分
A2 :振動成分
A3 :振動成分
B :方向
B1 :周波数スペクトル
B2 :周波数スペクトル
B3 :周波数スペクトル
E :グラウンド
H1 :高さ
H2 :高さ
J :洗浄水
T1 :ピーク周波数
T2 :ピーク周波数
Claims (7)
- 洗浄水により汚物を排出する水洗大便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、上記ボウル部の下方に入口が接続され汚物を排出する排水ト
ラップと、を有する便器本体と、
上記便器本体に取付けられると共に少なくとも上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を検出する第1振動センサーと、
上記便器本体において上記第1振動センサーの検出する上記水流に基づく振動成分よりも上記水流に基づく振動成分を検出しにくい位置に取付けられる第2振動センサーであって、上記第1振動センサー及び上記第2振動センサーから送信される検出信号を受信して上記第1振動センサーによって検出された振動成分から上記第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより上記排水トラップの内部の上記水流に基づく振動成分を得て上記便器本体の排水状態の不良を判断する排水状態判断部において上記便器本体の排水状態の不良を判断させるために、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から差し引く振動成分を検出する上記第2振動センサーと、を備えることを特徴とする水洗大便器装置。 - 上記便器本体が、上記ボウル部及び上記排水トラップの流路を構成する通水部と、上記通水部以外の構造を形成する構造部とに分けて規定される場合、
上記第1振動センサーは、上記通水部の外面に取付けられ、
上記第2振動センサーは、上記構造部に取付けられる、請求項1記載の水洗大便器装置。 - 上記第1振動センサー及び上記第2振動センサーは、床面からほぼ同じ高さに取付けられている、請求項1又は2に記載の水洗大便器装置。
- 上記第1振動センサー及び上記第2振動センサーは、上記便器本体における前後方向の位置がほぼ同様の位置となるように取付けられている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
- 上記第1振動センサーは、上記排水トラップの入口部の外面に取付けられる、請求項1乃至4の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
- 上記第2振動センサーは、上記便器本体の袴部の内面に取付けられる、請求項1乃至5の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
- 洗浄水により汚物を排出する水洗大便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、上記ボウル部の下方に入口が接続され汚物を排出する排水トラップと、を有する便器本体と、
上記便器本体に取付けられると共に少なくとも上記排水トラップの内部の水流に基づく振動成分を検出する第1振動センサーと、
上記便器本体において上記第1振動センサーの検出する上記水流に基づく振動成分よりも上記水流に基づく振動成分を検出しにくい位置に取付けられる第2振動センサーであって、上記第1振動センサーによって検出された振動成分から差し引く振動成分を検出する上記第2振動センサーと、
上記第1振動センサー及び上記第2振動センサーから送信される検出信号を受信して上記第1振動センサーによって検出された振動成分から第2振動センサーによって検出された振動成分を差し引くことにより上記排水トラップの内部の上記水流に基づく振動成分を得て上記便器本体の排水状態の不良を判断する排水状態判断部と、
を備えることを特徴とする水洗大便器装置。
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