JP7175494B2 - 運航安定装置を具備する船舶 - Google Patents

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本発明は、異常な傾斜を伴う事態において船舶に付加的な浮力を付与することにより安定した運航を確保する運航安定装置を具備する船舶に関するものである。
船舶の運航において、荒天による横揺れや浸水などの事故による異常な傾斜に対処するための技術として、船底や船側の没水部に設けられた凹部に浮力体を配置する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。特許文献1には、浮力体としてのエアバックを船体の船側に開閉自在に設けられたエアバック収納室に配置した構成が示されている。この特許文献例では、船体が傾斜すると浮力体を没水部において気体によって膨張させ、これにより発生した浮力によって船体の傾斜を防止するようにしている。
特開平7-117791号公報
しかしながら上述の特許文献例を含め、没水部において浮力体を膨張させて付加的な浮力を得る構成の従来技術には、その効果を安定して確保する上で以下に述べるような課題があった。すなわち、異常な傾斜に対処することが求められる事態は、船舶が停止している状態においてのみ発生するとは限らず、船舶の航行中においても発生する。この場合には、没水部において船体から突出した浮力体には航行速度に応じた水流が作用する。そしてこの水流は浮力体の正常な膨張を妨げるように作用することから、浮力体が完全に膨張するまでに時間を要し、十分な膨張状態が得られない事態が生じるおそれがある。このような場合には、所期の浮力を発生することができず、運航安定装置としての機能を十分に確保することが難しい。このように浮力体を膨張させて付加的な浮力を得る構成の従来技術には、船舶の航行中にはその機能を安定して確保することが難しいという課題があった。
そこで本発明は、浮力体を膨張させて付加的な浮力を得る構成において、船舶の航行中においても機能を確保することができる運航安定装置を具備する船舶を提供することを目的とする。
本発明の運航安定装置を具備する船舶は、外板の満載喫水線よりも下方の没水領域に船体中心線について対称かつ船体の長手方向に延びた配置で設けられた少なくとも1対の凹部と、前記凹部内に設けられ内部に気体が供給されることにより前記外板よりも外側まで膨張して浮力を発生する浮力体と、前記浮力体に前記気体を供給する気体供給部と、前記凹部の船首側の縁部に、前記外板よりも外側に突出した突出位置と前記外板よりも内側の収納位置との間で姿勢変更が可能に設けられ、前記突出位置に位置して前記船体の航行時に前記浮力体に作用する水流を遮蔽する遮水部と、前記気体供給部による気体の供給および前記遮水部の姿勢変更を制御する制御部と、を備え、前記一対の凹部は前記船体の長手方向に沿って複数設けられ、前記遮水部は前記船体の長手方向に沿って複数設けられた前記一対の凹部の夫々の船首側の縁部に設けられる
本発明によれば、浮力体を膨張させて付加的な浮力を得る構成において、船舶の航行中においても機能を確保することができる。
本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶の船体構造を示す説明図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶の船底外板の下面図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を構成する凹部の構成および機能の説明図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶における他の実施例を示す説明図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶における遮水部の斜視図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶における遮水部の遮水駆動機構の説明図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶における遮水部の遮水駆動機構の説明図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶における気体供給系および油圧供給系の構成を示すブロック図 本発明の一実施の形態の運航安定装置を具備する船舶の制御系の構成を示すブロック図
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。先ず本実施の形態の運航安定装置を具備する船舶1の構成について、図1を参照して説明する。ここでいう運行安定装置とは、海難事故や荒天などによる浸水に起因する異常な傾斜を伴う事態において、船舶に付加的な浮力を付与することにより安定した運航を確保するために船舶に組み込まれた設備を意味している。
図1(a)は長手方向(船首尾方向)における船舶1の構成を示しており、図1(b)は、船体中央部2の左右舷方向における断面を示している。図1(a)に示すように、船体中央部2の船首側、船尾側には、それぞれ船首部3、機関部4および船尾部5が設けられている。さらに機関部4の上部には上部構造6が配置されている。船体中央部2の内部は船艙部2aとなっており、船艙部2aの船底部には、複数の2重底タンク10が設けられている。本実施の形態に示す例では、2重底タンク10は船首尾方向に3区画、左右舷方向に2区画に区分されている。
図1(b)に示すように、船側外板23において満載喫水線LWLよりも下方の領域、ビルジキール24が設けられたビルジ外板22および船底外板21は運航時に水線下に位置する没水領域であり、本実施の形態における運航安定装置が設置される対象領域となっている。それぞれの2重底タンク10の船底外板21には、船底面が外部に開放された凹部11が形成されている。凹部11は蛇腹部材など、気体により膨張して浮力を発生する浮力体13(図3参照)を収納する機能を有している。
図2は船底外板21の下面視を示している。図2に示すように、船底外板21には、船艙部2aにおける2重底タンク10の配置に対応して、複数の凹部11が船体中心線CLについて、左右対称かつ船体の長手方向である船首尾方向に延びた配置で設けられている。なお、船底外板21に凹部11を配置することにより、船底外板21における船体構造部材の連続性が損なわれて船体強度の低下を招く場合がある。この強度低下を補償するため、該当する船級規則に則して凹部11の周囲の構造部材のサイズアップや補強部材の追加などの措置が講じられるものとする。
これらの凹部11は2重底タンク10の配置に対応してそれぞれ左右対象に配置されており、船体中心線CLを挟む2つの凹部11が1対をなしている。なお図1、図2に示す例では、複数対(ここでは3対)の凹部11が設けられた例を示しているが、必ずしも複数対の凹部11を備える必要はなく、必要とされる付加浮力の大きさに応じて、少なくとも1対の凹部11を備えていればよい。
それぞれの凹部11の船首側の縁部には、遮水部12(遮水装置)が設けられている。遮水部12は、船舶1の運航時において浮力体13を膨張させる場合に、浮力体13の進行方向側に遮水部材12a(図3(b)参照)を突出させて、水流による影響を緩和する機能を有している。
次に図3を参照して、2重底タンク10に配置された凹部11および遮水部12の内部構造を説明する。図3に示すように、凹部11は船底外板21の船底面を開放して形成されており、凹部11の内部には浮力体13が設けられている。浮力体13は、内部に気体が供給されることにより船底外板21の外側まで膨張して浮力を発生する。図3(a)は、凹部11の内部において浮力体13が収縮して収納された状態を示している。浮力体13に設けられた給排気プラグ13aは、給排気管14を介して機関部4に配置された気体供給部30に接続されている。
凹部11の船首側の前縁部には内部形状が略角錐形状の収納凹部11a(図5参照)が、凹部11と連続して設けられている。収納凹部11aには、遮水部材12aを軸支部12bによって軸支した構成の遮水部12(図5参照)が装着されており、遮水部材12aは軸支部12b廻りに回動自在となっている。遮水部12は、遮水部材12aを軸支部12b廻りに回動させる遮水駆動機構12cを備えている。遮水駆動機構12cは、油圧配管15を介して機関部4に配置された油圧供給部40に接続されている。
図3(a)に示す状態では、遮水部12の遮水部材12aは収納凹部11a内に収納された収納位置にある。図3(b)は、遮水駆動機構12cを駆動して軸支部12bを回動させることにより(矢印d)、遮水部材12aを船底外板21よりも外側の突出位置に位置させた状態を示している。すなわち、遮水部12は、船底外板21よりも外側に突出した突出位置と船底外板21よりも内側の収納位置との間で姿勢変更が可能に設けられている。そして遮水部12は、端部が軸支部12bによって船体中央部2の船体に軸支された遮水部材12aと、遮水部材12aを軸支部12b廻りに回動させる遮水駆動機構12cとを備えた構成となっている。
ここで浮力体13および遮水部12の機能および目的を説明する。船舶の運航時には、荒天や海難事故などによって船艙部2aなどの船体内部に浸水する事象が発生する場合がある。このような船体内部への浸水は、浸水した水の重量が船体重量に付加されることによる船体重量と浮力とのバランスを悪化させるのみならず、浸水した水が船艙部2aなどの内部空間で自由水として流動することによる復元力への悪影響を及ぼす要因となる。
したがって船体内部への浸水などによって浮力のバランスの悪化や復元力の低下が生じた場合には、船体の没水領域に配置された複数の凹部11において浮力体13を選択的に膨張させることにより、船体の運航を安定させるための浮力の付加や適正配分を行う。これにより、船体全体に作用する全浮力を増大させて沈没に至る事態を回避するとともに、浮力が失われた部分に重点的に浮力を付加して復元力を回復することが可能となる。
図3(b)は、上述のような要請により、浮力を付加することが必要となった凹部11における遮水部12および浮力体13の作動状態を示している。まず、船舶1が航行状態にあって周囲の水に対して相対速度を以て進行している場合には、浮力体13の作動に先立って、遮水部12を有効にする。すなわち遮水駆動機構12cを駆動して遮水部材12aを船底外板21よりも突出した突出位置に姿勢変更する。
そしてこの状態で浮力体13を膨張させる。すなわち給排気プラグ13aから浮力体13の内部に圧縮空気などの気体を注入する(矢印a)。これにより、浮力体13は気体圧により所定体積まで膨張する(矢印b)。そしてこの膨張は水中で発生することから、浮力体13は体積増加分に見合った浮力を発生し、凹部11に浮力を及ぼす。
このとき、船舶1が航行状態にある場合には、船底外板21と周囲の水とは相対速度を以て進行しており、遮水部12の遮水部材12aにはこの相対速度に応じた水流が作用する(矢印c)。ここで遮水部12が存在しない場合には浮力体13にこの水流が作用して、浮力体13の正常な膨張が妨げられる場合がある。これに対し、遮水部12の遮水部材12aが突出位置にある場合には、浮力体13に対する水流が遮蔽される。したがって浮力体13の気体による膨張が水流によって妨げられることがなく、必要時には浮力体13を速やかに膨張させることができる。
なお、図1~図3に示す例では、上述機能を有する凹部11を船底外板21に配置した構成例を示したが、本発明において凹部11を配置する領域は船底外板21のみには限定されない。例えば、図4に示す船舶1Aのように、満載喫水線LWLより下方の左右両舷の船側外板23、さらには船底外板21と連続したビルジ外板22に、凹部11と同様構成の凹部11Aを長手方向(船首尾方向)に延びた配置で設けるようにしてもよい。要は、外板において浮力発生効果を得ることができる没水領域であれば、凹部11を配置可能な対象となる。
この実施例においても、図1~図3に示す例と同様に、凹部11の船首側の縁部には、図3に示す遮水部12と同様構成の遮水部12が配置される。このように「CL」から最も離れた船側外板23に浮力体13を備えた凹部11Aを配置することにより、より大きな復元力の回復効果を得ることができるという利点がある。
なお、図1、図4に示す実施例では、本発明の運航安定装置を具備する船種として、船体中央部2に船艙部2aを有するバラ積み船を対象とした例を示したが、本発明の対象となる船種は特に限定されず、任意の船種について本発明の運航安定装置を適用することができる。また、船体中央部2を構成する構造部材の材質としては船体構造用鋼などの鋼材が一般的であるが、FRPなどの繊維補強樹脂材を用いた船体も本発明の適用対象となる。さらに上述例では、凹部11が設けられる部位が2重底タンク10の船底外板21である例を示したが、単底構造の船舶の場合には船底外板に直接凹部11を設ければよい。
次に、図5を参照して、遮水部12の構造および収納凹部11aへの装着について説明する。図5に示すように、遮水部12を構成する遮水部材12aは、中空の四角錐体の下面側の斜辺を除去してコ字断面形状とした錘形部材である。遮水部材12aの船尾側の端部の大きさは、図3(b)に示す突出位置に位置した状態において、浮力体13への水流を遮蔽するのに十分な大きさとなっている。
遮水部材12aの船首側に設けられた軸支部12bは、遮水部材12aの錘形における頂点に軸方向を水平にした姿勢で設けられている。遮水部材12aを収納凹部11aに装着する(矢印i)際には、遮水部材12aの船首側の端部に設けられた軸受け部28に、軸支部12bを嵌合させる(矢印j)。これにより、遮水部材12aは軸支部12b廻りに回動自在に装着される。
次に、図6、図7を参照して、遮水部12において遮水部材12aを軸支部12b廻りに回動させる遮水駆動機構12cの機構例について説明する。まず図6は、遮水駆動機構12cとして油圧で駆動されるシリンダ25を駆動源として用いた機構例を示している。図6(a)は、遮水部材12aが収納凹部11a内の収納位置にある状態を、また図6(b)は遮水部材12aが突出位置にある状態を示している。
図6(a)に示すように、遮水部材12aのコ字断面における開口端部には、ロッド固定用の結合部12dが設けられている。結合部12dには、船体に固定されたスタフィングボックス27を挿通してロッド26の一方側の端部が結合されている。ロッド26は、軸支部12bを回転中心とする所定曲率で形成された円弧形状のロッドである。スタフィングボックス27は、ロッド26をこの曲率に沿ってガイドするとともに、ロッド26との摺動面をシールして収納凹部11aから船体内部への水の浸入を防止する機能を有している。
ロッド26の他方側の端部には、結合ピン25cを介してシリンダ25の駆動ロッド25bが結合されている。シリンダ25は船体の固定部にクレビスピン25aを介してクレビス結合されている。この構成により、シリンダ25が発生する直線変位を、遮水部材12aの軸支部12b廻りの回転変位に変換することができる。
すなわち図6(b)に示すように、シリンダ25を作動させて駆動ロッド25bを突出させると(矢印e)、結合ピン25cを介してロッド26をスタフィングボックス27に押し込む力が作用する。この押し込み力により、ロッド26はスタフィングボックス27によって前述の曲率に沿ってガイドされて収納凹部11a内に伸びる(矢印f)。これにより、遮水部材12aは収納凹部11a内で軸支部12b廻りに回動する(矢印g)。この回動により、遮水部材12aは下流側に隣接して位置する浮力体13への水流を遮蔽する突出位置に移動する。
したがって内部に供給された気体による浮力体13の膨張(矢印h)が水流の作用によって阻害されることがなく、良好な膨張状態の浮力体13*を形成することができる。すなわち図6に示す例では、遮水駆動機構12cは、遮水部材12aに結合されたロッド26を流体圧としての油圧によってによって進退させるシリンダ25である。
ここで、遮水部材12aに力を作用させて回動させる代わりに、軸支部12bの駆動軸に直接回転駆動力を作用させて遮水部材12aを回動させるようにしてもよい。すなわち図7に示すように、軸支部12bの駆動軸に、継手機構を兼ねた軸受け部28を介して油圧駆動による回転アクチュエータなどの軸回転機構29を接続する。この例では、軸回転機構29は船体内部に配置され、軸受け部28を介して軸支部12bと接続される。なお、ここでは船底外板21、収納凹部11aの図示は省略している。
なお上述構成例では、遮水駆動機構12cの例として、遮水部材12aに結合されたロッド26を流体圧によって進退させるシリンダ25とを組み合わせた例および軸支部12bに設けられた駆動軸を回転駆動する軸回転機構29の例を示したが、これらの構成例以外にも各種の駆動機構を適用することができる。要は、端部が軸支部12bによって船体に軸支された遮水部材12aを軸支部12b廻りに回動させることが可能であって、望ましくは駆動源を船体内の非没水区画に配置可能であれば、どのような構成であっても適用可能である。
次に図8を参照して、本実施の形態に示す運航安定装置を具備する船舶1における気体供給系および油圧供給系の構成を説明する。図8(a)に示すように、船艙部2aの下部の複数(ここでは3つ)の2重底タンク10のそれぞれの船底外板21には、凹部11が形成されている。それぞれの凹部11には、図3に示す遮水部12および浮力体13が配置されている。
船艙部2aとは別の区画に設けられた機関部4には、気体供給部30および油圧供給部40が配置されている。気体供給部30は、給排気管14を介してそれぞれの浮力体13と接続されており、また油圧供給部40は油圧配管15を介してそれぞれの遮水部12と接続されている。なお、ここでは図示の都合により片舷側の要素のみ図示しているが、実際には浮力体13、遮水部12とも両舷に個別に配置されており、給排気管14、油圧配管15についても両舷に個別の配管を有している。
気体供給部30は浮力体13に圧縮空気などの気体を供給する機能を有している。すなわち図8(b)に示すように、気体供給部30はコンプレッサ31、エアリザーバ32およびエアバルブユニット33を備えている。コンプレッサ31を作動させることにより発生した圧縮エアはエアリザーバ32に蓄圧される。エアバルブユニット33は、コンプレッサ31、エアリザーバ32を各区画の浮力体13に選択的に接続するためのバルブを備えている。
これにより、コンプレッサ31が発生した圧縮エアまたはエアリザーバ32に蓄圧された圧縮エアを、制御部50(図9)による指示に従って給排気管14を介して各浮力体13に選択的に供給するとともに、浮力の付与が不要となった浮力体13から圧縮エアを排気することができる。なお、ここでは給排気管14によって圧縮エアの供給および排気を行う例を示しているが、圧縮エアの供給および排気をそれぞれ個別に専用の配管系によって行うようにしてもよい。
油圧供給部40は、遮水部12の遮水駆動機構12cを駆動するための油圧を供給する機能を有していおる。すなわち、図8(c)に示すように、油圧供給部40は、油圧ポンプ41、油圧バルブユニット42を備えている。油圧バルブユニット42は油圧ポンプ41を作動させることにより発生した油圧を、制御部50(図9)による指示に従って各遮水部12の遮水駆動機構12cに供給する。
ここでエアバルブユニット33、油圧バルブユニット42は、船首尾方向および左右舷方向を組み合わせた複数区画(ここに示す例では6区画)のそれぞれについて、独立して制御可能なエアバルブ、油圧バルブを備えている。これにより、これらの複数区画のうち必要とされる区画を対象として選択的に作動させることができるようになっている。
次に図9を参照して、本実施の形態に示す運航安定装置を具備する船舶1における制御系の構成を説明する。図9に示す要素は、船舶1が備えた制御要素のうち、上述の運航安定装置の機能に関連する要素のみを記載している。図9において、制御部50は内部処理機能として計測処理部50aおよび傾斜補正処理部50bを備えている。さらに制御部50は、図8にて説明した気体供給部30、油圧供給部40と接続され、これらを制御する。制御部50、傾斜センサ51、気体供給部30、油圧供給部40および前述の浮力体13、遮水部12は、船舶1に付加的な浮力を付与することにより安定した運航を確保するために船舶1に組み込まれた運航安定装置を構成している。
計測処理部50aは船体に設けられた傾斜センサ51による傾斜計測結果に基づき、船舶1の状態、すなわち船体の横傾斜(ヒール)、縦傾斜(トリム)の状態を計測する。傾斜補正処理部50bは、計測処理部50aによる計測結果に基づき、船舶1の傾斜を補正するために必要な補正処理、すなわち船艙部2aにおいて複数の2重底タンク10に設けられた凹部11のうち、浮力体13を膨張させることが必要な凹部11を選択的に対象として、気体供給部30による圧縮エアの供給を行うとともに、浮力の付与が不要となった浮力体13から気体を排気する処理を行う。
このとき、船舶1が運航状態にあって航行による水流の作用が浮力体13に及ぶと予想される場合には、あらかじめ油圧供給部40を制御して、遮水駆動機構12cを作動させる。これにより、浮力体13への圧縮エアの供給に先立って遮水部材12aが浮力体13の進行方向側に突出し、水流が浮力体13に直接作用するのを遮断する。すなわち制御部50は、気体供給部30による気体の供給および遮水部12の姿勢変更を制御する。これにより、浮力体13の迅速且つ適正な膨張が実現される。
上記説明したように、本実施の形態に示す運航安定装置を具備する船舶1は、外板の満載喫水線よりも下方の没水領域に船体中心線CLについて対称かつ船体の長手方向に延びた配置で設けられた少なくとも1対の凹部11と、凹部11内に設けられ内部に気体が供給されることにより外板よりも外側まで膨張して浮力を発生する浮力体13と、浮力体13に前記気体を供給する気体供給部30と、凹部11の船首側の縁部に、外板よりも外側に突出した突出位置と外板よりも内側の収納位置との間で姿勢変更が可能に設けられ、突出位置に位置して船体の航行時に浮力体13に作用する水流を遮蔽する遮水部12と、気体供給部30による気体の供給および遮水部12の姿勢変更を制御する制御部50とを備えた構成となっている。
そしてこの構成により、浮力体13を膨張させて付加的な浮力を得る構成において、船体の航行時に浮力体13に水流による作用が及ぶのを排除して迅速且つ適正な膨張を確保することができ、船舶の航行中においても運航安定装置の機能を確保することができる。
本発明の運航安定装置を具備する船舶及び船舶に備えられる遮水装置は、浮力体を膨張させて付加的な浮力を得る構成において船舶の航行中においても機能を確保することができるという効果を有し、船舶の安定した運航を確保する技術分野において有用である。
1 船舶
2 船体中央部
10 2重底タンク
11 凹部
12 遮水部
12a 遮水部材
12b 軸支部
12c 遮水駆動機構
13 浮力体
21 船底外板
23 船側外板
25 シリンダ
29 軸回転機構

Claims (5)

  1. 外板の満載喫水線よりも下方の没水領域に船体中心線について対称かつ船体の長手方向に延びた配置で設けられた少なくとも1対の凹部と、
    前記凹部内に設けられ内部に気体が供給されることにより前記外板よりも外側まで膨張して浮力を発生する浮力体と、
    前記浮力体に前記気体を供給する気体供給部と、
    前記凹部の船首側の縁部に、前記外板よりも外側に突出した突出位置と前記外板よりも内側の収納位置との間で姿勢変更が可能に設けられ、前記突出位置に位置して前記船体の航行時に前記浮力体に作用する水流を遮蔽する遮水部と、
    前記気体供給部による気体の供給および前記遮水部の姿勢変更を制御する制御部と、を備え
    前記一対の凹部は前記船体の長手方向に沿って複数設けられ、
    前記遮水部は前記船体の長手方向に沿って複数設けられた前記一対の凹部の夫々の船首側の縁部に設けられる ことを特徴とする運航安定装置を具備する船舶。
  2. 前記遮水部は、端部が軸支部によって前記船体に軸支された遮水部材と、前記遮水部材を前記軸支部廻りに回動させる遮水駆動機構とを備えたことを特徴する請求項1に記載の運航安定装置を具備する船舶。
  3. 前記遮水駆動機構は、前記遮水部材に結合されたロッドを流体圧によって進退させるシリンダであることを特徴する請求項2に記載の運航安定装置を具備する船舶。
  4. 前記遮水駆動機構は、前記軸支部に設けられた駆動軸を回転駆動する軸回転機構であることを特徴する請求項2に記載の運航安定装置を具備する船舶。
  5. 前記凹部の船首側の前縁部には内部形状が略角錐形状の収納凹部が前記凹部と連続して設けられ、
    前記収納凹部には、遮水部材を軸支部によって軸支した構成の前記遮水部が装着されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の運航安定装置を具備する船舶。
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