JP7173832B2 - 油性インクジェットインク及び油性インクジェットインクの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の一目的は、吐出性に優れた油性インクジェットインクを提供することである。
本発明の他の実施形態によれば、非水系溶剤、及び、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂を含む連続相と、水、色材、及び水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを作製する工程と、前記油中水型エマルションから前記水を除去する工程とを含む、油性インクジェットインクの製造方法が提供される。
シロキサン結合(Si-O-Si)は、炭素-炭素結合に比べ、結合エネルギー、原子間距離、及び結合核が大きく、らせん型の分子構造をとる。このため、ポリジメチルシロキサン構造では、メチル基が外側に配向する構造となり、分子間力が小さくなると考えられる。ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂を用いることで、この効果により、樹脂の分子量を下げることなく、インクを低粘度化することができると考えられる。これにより油溶性樹脂による色材等の分散性を維持しつつ、インクを低粘度化でき、吐出性能を確保することができると考えられる。
本実施形態の油性インクジェットインクによれば、クリアファイル変形も抑制することもできる。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料;及び、カーボンブラック、金属酸化物等の無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料等が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料等が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料は、インク全量に対し、通常0.01~20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から、1~15質量%であることが好ましく、5~10質量%であることが一層好ましい。
例えば、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で着色樹脂粒子を含む油性インクジェットインクを製造する場合、顔料は、水に分散させた水分散体の形態で好ましく用いることができる。顔料としては、顔料表面に、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、スルホ基等の水に対する可溶化基等を結合させ、顔料自体が水中に分散するようにした自己分散顔料を使用してもよい。例えば、自己分散顔料の水分散体を好ましく用いることができる。または、顔料を、例えば、後述する水溶性非イオン性分散剤等の顔料分散剤を用いて水中に分散させることも好ましい。水分散体を用いた場合、水分散体に含まれる水は、インクの製造工程で除去されることが好ましい。
着色樹脂粒子に含まれる染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等のうち水溶性の染料および還元等により水溶性になった水溶性染料を好ましく用いることができる。また、アゾ系、アントラキノン系、アゾメチン系、ニトロ系等の分散染料も好ましく用いることができる。これらは単独で、または複数種を組み合わせて使用してもよい。
ウレタン樹脂は、ウレタン基を有する。一般にウレタン樹脂のウレタン基は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得ることができるが、ウレタン樹脂は、貯蔵安定性の観点から、ポリイソシアネートとして脂肪族ポリイソシアネートを用いたものが好ましい。ローラ転写汚れの低減の観点から、ウレタン樹脂としては、ウレタン基のほかにウレア基をさらに有するウレタンウレア樹脂が好ましい。
ウレタン樹脂の例には、ウレタン(メタ)アクリル樹脂も含まれるが、これは、(メタ)アクリル樹脂の例にも含まれる。
(メタ)アクリルは、メタクリル、アクリル、またはこれらの組み合わせを含むことを意味し、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル単位を含む樹脂、アクリル単位を含む樹脂、またはこれらの単位をともに含む樹脂を意味する。
着色樹脂粒子に含まれる樹脂としては、酸性ウレタン樹脂、酸性(メタ)アクリル樹脂が好ましく、酸性ウレタン樹脂がより好ましく、酸性ウレタンウレア樹脂がさらに好ましい。
樹脂の重量平均分子量は、GPC法で標準ポリスチレン換算で求めた値である。
水分散性樹脂は、自己乳化型樹脂のように、樹脂が親水性の官能基を有するものでもよいし、樹脂粒子表面が親水性の分散剤を付着させる等の表面処理されたものでもよい。
着色樹脂粒子に含まれる樹脂の量は、インク全量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。一方、着色樹脂粒子に含まれる樹脂の量は、インク全量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。着色樹脂粒子に含まれる樹脂の量は、例えば、インク全量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。
着色樹脂粒子に含まれてよいこのような顔料分散剤としては、例えば、水溶性塩基性(カチオン性)分散剤、水溶性酸性(アニオン性)分散剤、水溶性非イオン性分散剤等が挙げられる。例えば、油中水(W/O)型エマルションの油中乾燥法を用いた方法で油性インクジェットインクを製造する場合、水溶性非イオン性分散剤が好ましい。
エステル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、グリセリン、ソルビトール、しょ糖などの多価アルコールと脂肪酸がエステル結合した構造をもち、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびしょ糖脂肪酸エステルなどがある。
エーテル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、高級アルコール、アルキルフェノール、アリールフェノール、アリールアルキルフェノールなど水酸基をもつ原料に、主として酸化エチレンを付加させてつくることができ、例えば、ポリグリコールエーテル(例えば、アリールポリグリコールエーテル、アルキルポリグリコールエーテル)が挙げられる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリールアルキルフェニルエーテルなどがある。
エステル・エーテル型水溶性非イオン性分散剤は、例えば、グリセリン、ソルビトールなどの多価アルコールと脂肪酸とからなるエステルに酸化エチレンを付加したものである。分子中にエステル結合とエーテル結合の両方を有している。例えば、脂肪酸ポリエチレングリコールエーテルエステルが挙げられる。
また、水溶性非イオン性分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸重合体、ポリシロキサン共重合体等を用いることもできる。
これらの水溶性非イオン性分散剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、水溶性非イオン性分散剤を用いるとき、着色樹脂粒子に含まれる樹脂が酸性樹脂である場合、顔料凝集を防ぎやすく、貯蔵安定性がさらに良好なインクを作製することができる傾向がある。
着色樹脂粒子中のこれらの顔料分散剤の量は、適宜設定できる。例えば、質量比で、顔料1に対し0.1~5の割合で配合することができ、好ましくは0.1~1である。これらの顔料分散剤の量は、インク全量に対し、例えば、0.01~10質量%であってよく、好ましくは0.01~5質量%である。
着色樹脂粒子が水溶性非イオン性分散剤を含むとき、水溶性非イオン性分散剤は、着色樹脂粒子中の顔料分散剤全量に対して、50~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましい。水溶性非イオン性分散剤の量は、例えば、質量比で、顔料1に対し0.1~5の割合で配合することができ、好ましくは0.1~1である。水溶性非イオン性分散剤の量は、例えば、インク全量に対し、例えば、0.01~10質量%であってよく、好ましくは0.01~5質量%である。
着色樹脂粒子の平均粒子径は、動的散乱方式による体積基準の平均粒子径であり、例えば、株式会社堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置「LB-500」等を用いて測定することができる。
油溶性樹脂は、油性インクに含まれる溶剤に溶解する樹脂であり、具体的には、1気圧20℃において樹脂と油性インクに含まれる非水系溶剤とを同容量で混合した場合に、二相に分かれることなく均一に溶解するものを意味する。
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂を「油溶性樹脂A」と称する場合がある。
インクは、油溶性樹脂Aを1種単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでもよい。
油溶性樹脂Aが共重合体であるとき、共重合形式はとくに限定されない。例えば、油溶性樹脂は、ランダムポリマー、ブロックポリマー等のいずれであってもよい。
油溶性樹脂Aは、モノマー混合物の共重合体を用いて成るアクリル系ポリマーであることが好ましい。モノマー混合物の共重合体を用いて成るアクリル系ポリマーは、例えば、モノマー混合物の共重合体であってよく、または、例えば、モノマー混合物の共重合体に、側鎖が更に結合した共重合体であってもよい。モノマー混合物は、後述するモノマーa~gからなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましく、モノマーa~eからなる群から選択される少なくとも一種を含むことがより好ましい。一例において、モノマー混合物は、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を含む基を有するモノマー(後述するモノマーa)を含んでもよい。他の一例において、モノマー混合物の共重合体に、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を更に結合させてもよい。
塩基性基としては、例えば、アミノ基、アミド基、イミノ基、ピロリドン基、モルホリノ基、ニトリル基等が挙げられる。例えば、アミノ基の例としては、非置換アミノ基、及び、モノ又はジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)等の置換アミノ基が挙げられ、例えば、アルキル基等の置換基が、さらに水酸基、アリール基等の置換基等で置換されていてもよい。アミド基の例としても同様に非置換アミド基、及びモノ又はジアルキルアミド基(例えば、ジメチルアミド基等)等の置換アミド基が挙げられ、例えば、アルキル基等の置換基が、さらに水酸基、アリール基等の置換基等で置換されていてもよい。油溶性樹脂Aは、塩基性基を1種のみ、または2種以上含んでよい。
油溶性樹脂Aは、例えば、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位と、塩基性基を有する構成単位とを含む樹脂であってよく、この場合、炭素数8~18のアルキル基を有する構成単位、β-ジカルボニル基を有する構成単位、及びアミノ基と反応する官能基を有する構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とをさらに含むことが好ましい。油溶性樹脂Aは、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位と、塩基性基を有する構成単位と、炭素数8~18のアルキル基を有する構成単位及びβ-ジカルボニル基を有する構成単位からなる群から選択される少なくとも1種とを含むことがより好ましく、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位と、塩基性基を有する構成単位と、炭素数8~18のアルキル基を有する構成単位と、β-ジカルボニル基を有する構成単位とを含むことがさらに好ましい。
モノマーaとして、例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。下記式において、xは2~6が好ましく、2~4が好ましい。nは0以上であり、0~100が好ましく、1~30がより好ましい。R1は水素原子又はメチル基を表す。R1´はアルキル基を表す。
モノマーfとしては、例えば、モノマーc又はモノマーdに塩基性化合物を付加したモノマーを用いてもよい。付加する塩基性化合物としては、ヒドロキシ基を有するアミン化合物(例えばアルカノールアミン等)が好ましい。ヒドロキシ基を有するアミン化合物としては、例えば、ベンジルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。塩基性化合物としては、2級アミン化合物が好ましく、ジエタノールアミンが特に好ましい。モノマーdに塩基性化合物を付加したモノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートのジエタノールアミン付加物、グリシジル(メタ)アクリレートのベンジルエタノールアミン付加物等が挙げられる。
なお、モノマーfを用いることで、油溶性樹脂Aに塩基性基を導入することができるが、塩基性基は、例えば、モノマーc又はモノマーdに由来する単位に、上述の塩基性化合物を付加することで油溶性樹脂Aに導入することもできる。
(1)合成用の容器内で、非水系溶剤を50~150℃に加温する。
(2)モノマーa、必要に応じて他のモノマー(例えば、モノマーb~gからなる群から選択される少なくとも1種を含む他のモノマー)、必要に応じて重合開始剤、および必要に応じて非水系溶剤を含む混合液を1~5時間かけて非水系溶剤に添加し、さらに1~5時間撹拌する。
(3)必要に応じて、非水系溶剤で希釈する。
このようなフローを含む合成方法により、油溶性樹脂Aが得られるが、油溶性樹脂Aの合成方法はこのような合成方法例に限定されるわけではない。
工程2の混合液において必要に応じて加える他のモノマーは、例えば、モノマーb~eからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。油溶性樹脂Aが塩基性基を含む場合、例えば、工程2の混合液は、モノマーfを含んでよい。
側鎖のウレタン結合は、例えば、アミノ基と反応する官能基を有するアクリル系ポリマー(以下、「アクリル系ポリマーP」と称する場合もある。)のアミノ基と反応する官能基と、アミノアルコールと多価イソシアネート化合物との反応により導入することができる。また、アミノ基と反応する官能基は、アミノアルコール等との反応に用いられない場合は、上述のように、顔料の吸着基として作用すると考えられる。
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖がウレタン結合を含む場合、例えば、アミノ基と反応する官能基を用いて導入されたウレタン結合を含む連結基に、ポリジメチルシロキサン構造を結合させてもよい。
これらの各成分は、公知のラジカル重合により、容易に重合させることができる。反応系、重合開始剤、重合溶媒、反応系に添加する重合禁止剤、重合促進剤、分散剤、連鎖移動剤等については、既述の説明が適用される。
(1´)合成用の容器内で、非水系溶剤を50~150℃に加熱する。
(2´)モノマーd、必要に応じて他のモノマー(例えば、モノマーa、モノマーb、モノマーc、モノマーe、モノマーf及びモノマーgからなる群から選択される少なくとも1種を含む他のモノマー)、必要に応じて重合開始剤、及び必要に応じて非水系溶剤を含む混合液を1~5時間かけて、非水系溶剤に添加し、その後、さらに1~3時間撹拌を続け、アクリル系ポリマーPが得られる。
(3´)合成用の容器内で、アクリル系ポリマーPを50~150℃に加熱後、アミノアルコールを添加し、1~2時間撹拌する。
(4´)多価イソシアネート、必要に応じて多価アルコール及び/又はポリジメチルシロキサン構造を含む多価アルコール化合物、及び、必要に応じてウレタン化触媒を1時間かけて添加し、1~5時間撹拌する。
(5´)必要に応じて、非水系溶剤で希釈する。
ウレタン化触媒としては、例えば、カルボン酸ビスマス塩を用いることができる。
工程2´の混合液において必要に応じて加える他のモノマーは、例えば、モノマーa、モノマーb、モノマーc及びモノマーeからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。油溶性樹脂Aが塩基性基を含む場合、例えば、工程2´の混合液は、モノマーfを含んでよい。
油溶性樹脂Aが塩基性基を含む場合、塩基性基は、アミノ基と反応する官能基と上述の塩基性化合物との反応で導入してもよい。この場合、油溶性樹脂Aは、例えば、上述のポリマーPのアミノ基と反応する官能基と上述の塩基性化合物を反応させて得られたものであってもよい。また、例えば、モノマーaと、モノマーbと、モノマーc及びモノマーdから選択される少なくとも1種とを含むモノマー混合物の共重合体のアミノ基と反応する官能基と上述の塩基性化合物とを反応させて得られたものであってよい。
油溶性樹脂Aの全構成単位に対して、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位は、例えば、2~80質量%であってよく、5~70質量%であることが好ましく、10~40質量%であることがより好ましい。
油溶性樹脂Aの全構成単位に対する、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位の量は、油溶性樹脂Aを構成する原料化合物の合計量に対する、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位を構成する原料化合物の合計量の割合(質量%)として求めることができる。
油溶性樹脂Aの全構成単位に対する、各構成単位の量は、油溶性樹脂Aを構成する原料化合物の合計量に対する、それぞれの構成単位を構成する原料化合物の合計量の割合(質量%)として求めることができる。
油溶性樹脂Aのガラス転移温度(Tg)は、常温以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることがより好ましい。これにより、インクが記録媒体上で定着する際に、常温で成膜を促進させることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系等の非水系溶剤を挙げることができる。市販品としては、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN-10、カクタスノルマルパラフィンN-11、カクタスノルマルパラフィンN-12、カクタスノルマルパラフィンN-13、カクタスノルマルパラフィンN-14、カクタスノルマルパラフィンN-15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN-16、テクリーンN-20、テクリーンN-22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220(いずれもJXTGエネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(いずれもエクソンモービル社製);モレスコホワイトP-40、モレスコホワイトP-60、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-80、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-120、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-200、モレスコホワイトP-260、モレスコホワイトP-350P(いずれも株式会社MORESCO製)等を好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJXTGエネルギー株式会社製)、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND(いずれもエクソンモービル社製)等を好ましく挙げることができる。
石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることがさらに好ましく、250℃以上がさらに好ましく、300℃以上がさらに好ましく、350℃以上が一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2-オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル等の1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16~30の脂肪酸エステル系溶剤;
イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール(1-オクタデカノール)、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノール等の1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12~20の高級アルコール系溶剤;
ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14~20の高級脂肪酸系溶剤等が挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤等の極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上がさらに好ましく、350℃以上が一層好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤、沸点が300℃以上の非水系溶剤、及び、沸点が350℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
シリコーンオイルとしては、シリル基を有する化合物、シリルオキシ基を有する化合物、シロキサン結合を有する化合物等を用いることができ、特にポリシロキサン化合物を好ましく用いることができる。
鎖状シリコーンオイルは、ケイ素数が2~30の鎖状ポリシロキサンであることが好ましく、2~20がより好ましく、3~10が一層好ましい。鎖状シリコーンオイルとしては、例えば、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン等の直鎖ジメチルシリコーンオイル、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン等の分岐ジメチルシリコーンオイルが挙げられる。
環状シリコーンオイルとしては、ケイ素数が5~9の環状ポリシロキサンであることが好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、オクタデカメチルシクロノナシロキサン等の環状ジメチルシリコーンオイルを好ましく用いることができる。
また、変性シリコーンオイルとしては、例えば、鎖状又は環状のジメチルシリコーンオイルに含まれる、少なくとも1つのケイ素原子にアルキレン基を介してさらに別の鎖状又は環状のジメチルシリコーンオイルのケイ素原子が結合する化合物を用いることができる。この場合、アルキレン基を介して結合する鎖状又は環状のジメチルシリコーンオイルに含まれる、少なくとも1つのメチル基は、アルキル基、カルボン酸エステル結合含有基、芳香環含有基、及びエーテル結合含有基からなる群から選択される1種以上によって置換されていてもよい。
変性シリコーンオイルとしては、ケイ素数が2~20であることが好ましく、2~10がより好ましく、2~6がさらに好ましく、3~6が一層好ましい。
アルキル変性シリコーンオイルの有するアルキル基の炭素数は、4以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、8以上がより好ましい。アルキル変性シリコーンオイルの有するアルキル基の炭素数は、20以下が好ましく、16以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。
(A)炭素数4以上のアルキル基。
(B)炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基。
(C)炭素数6以上の芳香環含有基。
(D)炭素数4以上のアルキレン基。
変性シリコーンオイルSは、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基に含まれる炭素数及び酸素数の合計が20以下であることが好ましく、より好ましくは16以下であり、さらに好ましくは12以下である。これによって、インクを低粘度として吐出性能を改善することができる。
変性シリコーンオイルSの1分子中に炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基が2個以上含まれる場合は、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基の炭素数及び酸素数の合計は、2個以上の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基の炭素数及び酸素数の合計である。
また、変性シリコーンオイルSは、インクを低粘度化して吐出性能を改善する観点から、1分子中の炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基に含まれる炭素数及び酸素数の合計が8~20であることが好ましい。
一般式(X-1)において、R2のうち少なくとも1個は、炭素数4以上のアルキル基、炭素数及び酸素数の合計が4以上であるカルボン酸エステル結合含有基、及び炭素数6以上の芳香環含有基からなる群から選択されることが好ましい。
このアルキル基の炭素数は4以上が好ましく、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。
このアルキル基の炭素数は20以下が好ましく、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下である。
好ましくは、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基であり、より好ましくはデシル基、ドデシル基である。
また、Rで表されるアルキル基の炭素数が20以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下であることで、クリアファイル変形を防止するとともに、インクの高粘度化を抑えて、吐出性能を改善することができる。
一般式(1)において、m及びnがそれぞれ0であることが好ましい。
ここで、RBaは、炭素数1以上の、直鎖または分岐鎖であってよい、鎖状または脂環式のアルキル基であることが好ましい。また、RBbは、炭素数1以上の、直鎖又は分岐鎖であってよい、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。主鎖のシロキサン結合のケイ素原子とカルボン酸エステル結合を結ぶアルキレン基は、炭素数2以上であることがより好ましい。
好ましくは、ペンチル基、ヘプチル基、ノニル基、トリデシル基であり、より好ましくはヘプチル基、ノニル基である。
ここで、RCaは、炭素数6以上の芳香環であることが好ましい。また、RCbは、炭素数1以上の、直鎖又は分岐鎖であってよい、鎖状または脂環式のアルキレン基であることが好ましい。
芳香環含有基が、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子に芳香環が直接結合する-RCaで表される基である場合、主鎖のシロキサン結合からトリメチルシリルオキシ基等が側鎖として分岐していることが好ましい。芳香環含有基は、主鎖のシロキサン結合のケイ素原子にアルキレン基を介して芳香環が結合する-RCb-RCaで表される基であることがより好ましい。
芳香環含有基には、1個、又は2個以上の芳香環が含まれてもよいが、1分子中の炭素数6以上の芳香環含有基の炭素数が6~20であることが好ましい。
好ましくは、プロピレン基、メチルエチレン基、エチレン基である。
好ましくは、オクチレン基、デシレン基、ドデシレン基であり、より好ましくは、オクチレン基、デシレン基である。
例えば、シロキサン原料と、炭素数及び酸素数の合計が4以上である有機基とともに反応性基を有する反応性化合物とを、有機溶媒中で反応させることで、アルキル変性シリコーンオイルを得ることができる。シロキサン原料と反応性化合物とは、シロキサン原料の反応性基と反応性化合物の反応性基とがモル比で1:1~1:1.5で反応させることが好ましい。また、反応に際し、0価白金のオレフィン錯体、0価白金のビニルシロキサン錯体、2価白金のオレフィン錯体ハロゲン化物、塩化白金酸等の白金触媒等の触媒を好ましく用いることができる。
変性シリコーンオイルSにアルキル基を導入するためには、反応性化合物として、例えば、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン等の、炭素数が4以上であるアルケンを用いることができる。
また、アルケンの他にも、ビニルシクロヘキサン等のエチレン性不飽和2重結合を有する脂環式炭化水素を用いることができる。
シリコーンオイルは、吐出性能向上の観点から、アルキル変性シリコーンオイルを含むことが好ましい。アルキル変性シリコーンオイルは、インクの表面張力を向上させる傾向があり、吐出性を向上させやすい。
非油溶性樹脂としては、アミノ基を有する非油溶性樹脂がこのましい。アミノ基を有する非油溶性樹脂は、アミノ基として1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、またはこれらの組み合わせを有することができるが、1級アミノ基及び/または2級アミノ基を有することが好ましい。
アミノ基を有する非油溶性樹脂の数平均分子量は、500以上であることが好ましく、600以上がより好ましい。また、アミノ基を有する非油溶性樹脂の数平均分子量は、15000以下が好ましい。
インク総量に対して、非油溶性樹脂は、0.1~5質量%程度含まれていることが好ましく、0.5~2.0質量%であることが一層好ましい。
添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、等が挙げられる。界面活性剤としては、例えばアニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン性の界面活性剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
インク中の水の量は、インク全量に対して1質量%以下が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0.1質量%以下がさらに好ましい。
例えば、顔料を含むインクの場合、インクは、顔料と油溶性樹脂Aと非水系溶剤と、必要に応じてその他の成分とを混合し、ボールミル、ビーズミル等の任意の分散手段を用いて顔料を分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。なお、その他の成分として、非油溶性樹脂のポリエチレンイミンを用いる場合、ポリエチレンイミンは汎用の非水系溶剤には、微溶もしくは難溶であることが多い。そのため、ビーズミルのようなシェアをかけることのできる装置を用い、シェアのかかった状態で混合させることが望ましい。使用する非水系溶剤に水溶性樹脂が可溶である場合は、このようなシェアは不要であるが、撹拌下で混合させることが好ましい。
この製造方法において、非水系溶剤、油溶性樹脂A、色材及び水分散性樹脂については、上述のインクにおいて説明した通りである。水としては、水道水、イオン交換水、脱イオン水等を使用することができる。
水分散性樹脂の量(固形分量)は、分散相全量に対して、0.1~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。水分散性樹脂の量は、油中水型エマルション全量に対して、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
水の量は、分散相全量に対して、40~90質量%が好ましく、50~80質量%がより好ましい。水の量は、油中水型エマルション全量に対して、1~50質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましい。
非水系溶剤の量は、連続相全量に対して、70~99質量%が好ましく、80~99質量%がより好ましい。非水系溶剤の量は、油中水型エマルション全量に対して、30~80質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましい。
連続相と分散相は、あらかじめ別々に調製することが好ましい。次いで、連続相に分散相を添加し、乳化処理することが好ましい。乳化処理は、例えば、連続相に分散相を添加しながら、超音波ホモジナイザー等を用いて行ってもよく、また、例えば、連続相に分散相を添加後に行ってもよい。
工程1において、油中水型エマルションは、水を除去する前の状態の質量比として、油中水型エマルション全量に対して、分散相20~50質量%及び連続相80~50質量%であることが好ましい。
水を除去する方法としては、例えば、減圧及び/又は加熱、又は、液体に気体を吹き込みバブリングすることで、蒸発を促進する方法、及びそれらを組み合わせて用いることができる。減圧及び/または加熱の条件としては、水が除去されるが、連続相の非水系溶剤は残るような条件を採用することができる。減圧には、例えばエバポレーターを用いることができる。加熱温度としては、30℃以上が好ましく、40~100℃がより好ましく、60℃~90℃がさらに好ましい。
工程2では、分散相の水は除去前の量に対して80質量%以上除去されることが好ましく、90質量%以上除去されることが好ましく、95質量%以上除去されることがさらに好ましく、99質量%以上除去されることがさらに好ましい。
<1>色材と、
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂と、
非水系溶剤と、を含有する、油性インクジェットインク。
<2>顔料と、
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂と、
非水系溶剤と、を含有する、油性インクジェットインク。
<3>前記非水系溶剤が、シリコーンオイルを含む、<1>又は<2>に記載の油性インクジェットインク。
<4>前記シリコーンオイルが、アルキル変性シリコーンオイルを含む、<3>に記載の油性インクジェットインク。
<5>前記非水系溶剤が、シリコーンオイルを非水系溶剤全量に対して10~100質量%含む、<3>又は<4>に記載の油性インクジェットインク。
<6>前記油溶性樹脂において、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位の量が、前記油溶性樹脂の全構成単位に対して、10~40質量%である、<1>~<5>のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
<7>前記色材及び樹脂を含む着色樹脂粒子を含む、<1>~<6>のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
<8>前記着色樹脂粒子の前記樹脂が、酸性樹脂を含む、<7>に記載の油性インクジェットインク。
<9>前記油溶性樹脂が、塩基性基を有する、<1>~<8>のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
<10>前記油溶性樹脂が、炭素数8~18のアルキル基及び/又はβ-ジカルボニル基をさらに有する、<1>~<9>のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
<11>非水系溶剤、及び、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂を含む連続相と、水、色材、及び水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを作製する工程と、
前記油中水型エマルションから前記水を除去する工程とを含む、油性インクジェットインクの製造方法。
<インクの作製>
(樹脂溶液a~gの作製)
300ml四つ口フラスコに、イソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業株式会社製)87.5gを仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。次に、温度を110℃に保ちながら、表1に示す組成のモノマー混合物100.0gに、イソノナン酸イソトリデシル16.7g、及びパーブチルO(t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製))4gを混合した混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間撹拌した後、パーブチルOを0.2g添加し、さらに110℃に保ちながら1時間撹拌し、固形分50質量%の樹脂溶液a~gを得た。表1中の各材料の配合量は「質量%」で示す。
SMA:ステアリルメタクリレート(新中村工業株式会社製)
EHMA:2-エチルヘキシルメタクリレート(三菱ケミカル株式会社製)
メタクリル変性シリコーンオイル1:X-22-2404(信越化学工業株式会社製)
メタクリル変性シリコーンオイル2:X-22-174ASX(信越化学工業株式会社製)
メタクリル変性シリコーンオイル3:X-22-174BX(信越化学工業株式会社製)
BZA:ベンジルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製)
GMA:グリシジルメタクリレート(日油株式会社製)
AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
500ml四つ口フラスコに樹脂溶液g200.0gを仕込み、窒素ガスを通気し、撹拌しながら110℃まで昇温した。次に、ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製)2.8gを添加し、撹拌しながら110℃で1時間保持した後、ウレタン化触媒(和光純薬工業株式会社製ネオデカン酸ビスマス)を添加し、タケネート600(三井化学株式会社製1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)7.8gとKF-6000(信越シリコーン化学工業株式会社製カルビノール変性シリコーンオイル)14.0gとイソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業株式会社製)87.0gとの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、110℃で4時間反応させ、冷却して、固形分40質量%の樹脂溶液hを得た。樹脂溶液hの製造に用いた上記材料(ウレタン化触媒を除く)の組成を表2に示す。表2において、「ジイソシアネート」は、「タケネート600」を示す。表2中の各材料の配合量の単位は「g」である。
500ml四つ口フラスコに樹脂溶液a200.0gを仕込み、窒素ガスを通気し、撹拌しながら110℃まで昇温した。次に、ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製)2.8gを添加し、撹拌しながら110℃で1時間保持した後、ウレタン化触媒(和光純薬工業株式会社製ネオデカン酸ビスマス)を添加し、タケネート600(三井化学株式会社製1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン)7.8gと1,3-プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)4.0gとイソノナン酸イソトリデシル(高級アルコール工業株式会社製)72.0gとの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、110℃で4時間反応させ、冷却して、固形分40質量%の樹脂溶液iを得た。樹脂溶液iの製造に用いた上記材料(ウレタン化触媒を除く)の組成を表2示す。
表3及び4に示す処方の混合物を、ジルコニアビーズ(直径0.5mm)を充填率85%にて充填したダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)により滞留時間15分間の条件で分散することで、インクを作製した。
表3及び4において、「油溶性樹脂A固形分に対するポリジメチルシロキサン構造の割合」は、油溶性樹脂Aの全構成単位に対するポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位の量であり、油溶性樹脂Aを構成する原料化合物の合計量に対する、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位を構成する原料化合物の合計量の割合(質量%)として算出した数値である。
カーボンブラック1:エボニックジャパン株式会社製NEROX600
カーボンブラック2:三菱ケミカル株式会社製MA8
S18000:日本ルーブリゾール株式会社製ソルスパース18000(脂肪酸アミン系分散剤)
ポリエチレンイミン:株式会社日本触媒製エポミンSP-018
脂肪酸エステル系溶剤:日清オイリオグループ株式会社製サラコス913(イソノナン酸イソトリデシル、沸点356℃)
高級アルコール系溶剤:高級アルコール工業株式会社製リソノール16SP(ヘキシルデカノール、沸点約>285℃)
シリコーンオイル1:信越化学工業株式会社製KF-96A-6CS(ジメチルシリコーンオイル、沸点約>350℃)
シリコーンオイル2:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製SILSOFT034(3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン(カプリリルメチコン)、沸点260℃)
石油系炭化水素溶剤:株式会社MORESCO製モレスコホワイトP-60(初留点168℃(10mmHg))
得られた各実施例及び比較例のインクを用いて下記の評価を行った。結果を表3及び4に示す。
ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
インクの不吐出による非印字部分は白いスジとなって観察されるが、この白スジが10枚の印刷物中にどの程度発生するかによって、吐出性能を以下の基準で評価した。
S:10枚の印刷物の白スジの合計が0~5本
A:10枚の印刷物の白スジの合計が6~9本
B:10枚の印刷物の白スジの合計が10本以上
各インクを密閉容器に入れ、70℃の環境下で4週間放置した。放置前のインク粘度「粘度の初期値」と、放置後のインク粘度「4週間後の粘度」とを測定し、粘度変化率を下記式から求めた。粘度変化率から、下記基準で貯蔵安定性を評価した。
インク粘度は、23℃における粘度であり、アントンパール社製MCR302(コーン角1℃、直径50mm)を用いて測定した。
粘度変化率=[(4週間後の粘度×100)/(粘度の初期値)]-100(%)
S:粘度変化率が±5%未満
A:粘度変化率が±5%以上10%未満
B:粘度変化率が±10%以上
ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
得られた1枚の印刷物をPP(ポリプロピレン)製クリアファイルに挟み、室温で1週間放置後に、クリアファイルの変形量を確認して評価した。
クリアファイルの1枚のシートの厚さは0.2mmであった。
クリアファイルの変形量は、平らな面にクリアファイルを置き、この平面から、クリアファイルが変形し持ち上がった最大の高さを測定して求めた。
S:クリアファイルの変形量が1cm未満
A:クリアファイルの変形量が1cm以上5cm未満
B:クリアファイルの変形量が5cm以上
ライン式インクジェットプリンタ「オルフィスEX9050」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙薄口」(理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
得られた印刷物の表面のOD値(画像濃度)及び裏面のOD値(裏抜け)を光学濃度計(マクベス社製「RD920」)で測定し、以下の基準で評価した。
表面OD値(画像濃度)
S:1.12以上
A:1.00以上1.12未満
B:1.00未満
裏面OD値(裏抜け)
S:0.08未満
A:0.08以上0.15未満
B:0.15以上
<インクの作製>
(樹脂溶液1~5の作製)
300ml四つ口フラスコに、エキセパールM-OL(オレイン酸メチル、花王株式会社製)50gを仕込み、窒素ガスを通気し撹拌しながら、110℃まで昇温した。 次に、温度を110℃に保ちながら、表5に示す組成のモノマー混合物100.0gにエキセパールM-OL25g、及びパーブチルO(t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、日本油脂株式会社製))6gを混合した混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間撹拌した後、パーブチルOを0.6g添加し、さらに110℃に保ちながら1時間撹拌した。固形分50質量%になるようエキセパールM-OLを追加し、樹脂溶液1~5を得た。表5中の各材料の配合量は質量%で表す。
VMA:ベヘニルメタクリレート(日油株式会社製)
LMA:ラウリルメタクリレート(花王株式会社製)
GMA:グリシジルメタクリレート(日油株式会社製)
AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート(日本合成化学工業株式会社製)
ACMO:アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)
メタクリル変性シリコーンオイル3:X-22-174BX(信越化学工業株式会社製)
メタクリル変性シリコーンオイル2:X-22-174ASX(信越化学工業株式会社製)
樹脂溶液1~4を用いて樹脂溶液6~9を作製した。
表6に示す通り、作製した樹脂溶液200gを500ml四つ口フラスコに仕込み、窒素ガスを通気し、撹拌しながら110℃まで昇温した。次に、ジエタノールアミン(株式会社日本触媒製)7.4gを添加し、撹拌しながら110℃で1時間保持した後、固形分50質量%になるようエキセパールM-OL(オレイン酸メチル、花王株式会社製)を追加し、樹脂溶液6~9を得 た。表6において、表6中の各材料の量の配合量の単位は「g」である。
実施例13~22及び比較例4のインクを下記のように製造した。
表7~9に、各インクの材料及びその配合量を、分散相の材料及び連続相の材料に分けて示す。
表7~9に示す配合量で、連続相の材料(油溶性樹脂Aの溶液又は比較の分散剤、及び非水系溶剤)を混合し連続相を調整した。
次に、表7~9に示す配合量で、分散相の材料のうち、色材、精製水、及び、顔料分散剤が含まれる場合は顔料分散剤を混合し、ビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、ダイノーミル Multi LAB)にて分散し、得られた分散液組成物に、表7~9に示す樹脂エマルションを表7~9に示す配合量で添加した後、マグネティックスターラーで撹拌した。これを分散相とした。
連続相をマグネティックスターラーで攪拌した状態で、この連続相に、上記のように予め混合しておいた分散相を滴下しながら、氷冷下、超音波ホモジナイザー「Ultrasonic processor VC―750」(ソニックス社製)を10分間照射し、油中水(W/O)型エマルションを得た。
得られたエマルションを、エバポレーターで減圧しながら、水を除去して、着色樹脂粒子分散体を得た。水の除去率は、ほぼ100質量%であった。この着色樹脂粒子分散体をそのままインクとして用いた。比較例4では、着色樹脂粒子分散体を作製できなかった。
実施例13~22及び比較例4~5のインクの、水除去後の組成を表10~12に示す。
ジメチルキナクリドン顔料:大日精化工業株式会社製CFR321-1(S)
銅フタロシアニンブルー顔料:クラリアントジャパン株式会社製PV Fast Blue BG
直接染料:オリヱント化学工業株式会社製Water Blue 3
水溶性非イオン性分散剤2:Borchers製BorchiGenDFN(アリルアルキルビフェニルポリグリコールエーテル、有効成分100%)
ウレタン2:三井化学株式会社製WS5984(酸性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分40%)
ウレタン3:第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス150H(酸性ウレタンウレア樹脂の水分散体、有効成分38%)
ES5600:東レ・ダウコーニング株式会社製ES-5600(セシルジグリセリルトリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン(有効成分100質量%)
脂肪酸エステル系溶剤1:オレイン酸メチル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
脂肪酸エステル系溶剤2:パルミチン酸エチルヘキシル(富士フイルム和光純薬株式会社製)
シリコーンオイル2:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製SILSOFT034(3-オクチルヘプタメチルトリシロキサン(カプリリルメチコン)、沸点260℃)
得られた各実施例及び比較例のインクを用いて、下記の評価を行った。結果を表10~12に示す。
実施例1~12及び比較例1~3と同様の方法により、吐出性能を評価した。
実施例1~12及び比較例1~3と同様の方法により、インク貯蔵安定性を評価した。
実施例1~12及び比較例1~3と同様の方法により、クリアファイル変形を評価した。
実施例1~12及び比較例1~3と同様の方法により、印刷物を得た。
表面OD値(画像濃度)
S:1.12以上
A:1.00以上1.12未満
B:1.00未満
なお、彩度は国際照明委員会によるCIE (1976)L*a*b*色空間の規定に従って、下記式により表わされる。
彩度c* ={(a*)2+(b*)2}1/2
発色・彩度
S:比較例5との彩度の差が10以上
A:比較例5との彩度の差が3以上10未満
B:比較例5との彩度の差が3未満
実施例1~12及び比較例1~3と同様の方法により、裏抜けを評価した。
インクジェットプリンタ「オルフィスGD9630」(理想科学工業株式会社製)にインクを装填し、普通紙「理想用紙マルチ」(理想科学工業株式会社製)100枚に、主走査方向約51mm(ノズル600本)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷して、100枚の印刷物を得た。得られた100枚目の印刷物を目視で観察し、以下の基準で評価した。
S:画像周辺の汚染がほとんど見られない
A:画像周辺の汚染がわずかに見られる
B:画像周辺の汚染が見られる
Claims (10)
- 色材と、
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂と、
非水系溶剤と、を含有し、
前記非水系溶剤が、シリコーンオイルを含み、前記シリコーンオイルが、変性シリコーンオイルを含む、油性インクジェットインク。 - 前記シリコーンオイルが、アルキル変性シリコーンオイルを含む、請求項1に記載の油性インクジェットインク。
- 前記非水系溶剤が、シリコーンオイルを非水系溶剤全量に対して10~100質量%含む、請求項1又は2に記載の油性インクジェットインク。
- 色材及び樹脂を含む着色樹脂粒子と、
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂と、
非水系溶剤と、を含有する、油性インクジェットインク。 - 前記着色樹脂粒子の前記樹脂が、酸性樹脂を含む、請求項4に記載の油性インクジェットインク。
- 前記油溶性樹脂において、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有する構成単位の量が、前記油溶性樹脂の全構成単位に対して、10~40質量%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
- 前記油溶性樹脂が、塩基性基を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
- 前記油溶性樹脂が、炭素数8~18のアルキル基及び/又はβ-ジカルボニル基を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の油性インクジェットインク。
- 色材と、
ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂と、
非水系溶剤と、を含有し、
前記油溶性樹脂が、β-ジカルボニル基を有する、油性インクジェットインク。 - 非水系溶剤、及び、ポリジメチルシロキサン構造を含む側鎖を有するアクリル系ポリマーである油溶性樹脂を含む連続相と、水、色材、及び水分散性樹脂を含む分散相とを含む油中水型エマルションを作製する工程と、
前記油中水型エマルションから前記水を除去する工程とを含む、油性インクジェットインクの製造方法。
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