JP7172801B2 - 材料試験機、及び、材料試験機の制御方法 - Google Patents
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Description
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る材料試験機1の構成を模式的に示す図である。
材料試験機1は、引張試験や、圧縮試験、曲げ試験等の材料試験を実行し、試験対象である試験片TPの機械的性質を試験する試験機である。なお、試験対象は、各種材料や工業製品、この工業製品の部品又は部材等であり、試験片TPは、材料試験のために所定の規格に基づいて作成されている。
試験機本体2は、テーブル6と、このテーブル6上に鉛直方向を向く状態で回転可能に立設された一対のねじ棹8、9と、これらのねじ棹8、9に沿って移動可能なクロスヘッド10と、このクロスヘッド10を移動させて試験片TPに試験力Fを与える負荷機構12と、ロードセル14と、を備える。クロスヘッド10は、本発明の「移動部材」の一例に対応する。ロードセル14は、試験片TPに与えられる荷重である試験力Fを測定し、試験力測定信号A1を出力するセンサである。なお、試験機本体2は、ねじ棹を1本とする構成としてもよい。
そして、負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹8、9にサーボモータ18の回転を伝達し、ねじ棹8、9が同期して回転することにより、クロスヘッド10がねじ棹8、9に沿って昇降する。
制御ユニット4は、制御装置30と、表示装置32と、試験プログラム実行装置34と、を備える。
図1に示すように、制御装置30は、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
制御回路ユニット50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備え、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータログラムを実行することで、制御部54の各機能部を実現する。また信号入出力ユニット40のインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号A1がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
目標データ561は、材料試験における試験力F等の目標値の時間的変動を示す時系列データである。目標データ561は、試験プログラム実行装置34に対するユーザ設定操作に応じて制御回路ユニット50によって変更可能に記憶される。
図2を参照して、サーボモータ18をフィードバック制御する制御系の構成について説明する。
図2は、本実施形態におけるサーボモータ18のフィードバック制御の制御系を示すブロック線図である。図2においてtは、フィードバック制御の制御周期の実行タイミングを示している。
図1を参照して、制御部54の機能ブロックについて説明する。
制御部54は、時間幅調整部541、制御コンプライアンス算出部542、及び、フィードバック制御部543を備える。制御コンプライアンス算出部542は、本発明の「変化量比算出部」の一例に対応する。
時間幅調整部541の詳細については後述する。
Comp(t)=Slop1(t)/Slop2(t)・・・(1)
式(1)において、tは制御周期の実行タイミングである。また、Comp(t)は各制御周期における制御コンプライアンスを示す。また、Slop1(t)は各制御周期において制御コンプライアンス算出部542が算出した第1傾きを示す。また、Slop2(t)は各制御周期において制御コンプライアンス算出部542が算出した第2傾きを示す。
制御コンプライアンス算出部542は、フィードバック制御の制御周期が到来すると、時間幅調整部541に調整された算出時間幅におけるサーボモータ18の回転量Trと時間との関係を表す近似直線の傾きである第1傾きSlop1を算出する。算出時間幅とは、制御コンプライアンス算出部542が制御コンプライアンスCompの算出に用いる応答物理量RP及びサーボモータ18の回転量Trの測定値の時間幅である。本実施形態では、算出時間幅は、制御周期が到来した時間から過去に向かったある時間までの時間幅である。なお、時間幅調整部541は、当該ある時間を変更することで、算出時間幅を調整する。算出時間幅は、本発明の「時間幅」に相当する。制御コンプライアンス算出部542は、算出時間幅におけるサーボモータ18の回転量Trの測定値に基づいて、算出時間幅における単位時間当たりのクロスヘッド10の移動量Xを算出する。
制御コンプライアンス算出部542は、フィードバック制御の制御周期が到来すると、時間幅調整部541に調整された算出時間幅における応答物理量RPの測定値と時間との関係を表す近似直線の傾きである第2傾きSlop2を算出する。すなわち、制御コンプライアンス算出部542は、時間幅調整部541に調整された算出時間幅における応答物理量RPの測定値に基づいて、当該算出時間幅における単位時間当たりの応答物理量RPの変化量を算出する。なお、第1傾きSlop1を算出する際の算出時間幅と、第2傾きSlop2を算出する際の算出時間幅とは、同じである。
次に、時間幅調整部541について説明する。
時間幅調整部541は、以下の式(2)によって算出時間幅を調整する。
すなわち、「b」は、式(2)の「V」にクロスヘッド10が移動可能な最高速度を代入され、式(2)の算出時間幅にクロスヘッド10の最高速度において第2傾きSlop2が算出可能な最短の算出時間幅が代入され、「TW」に上述のように算出された調整可能最大時間幅が代入されることで算出される。
図3では、縦軸が算出時間幅に設定され、横軸が式(2)の「V」に設定される。図3では、応答物理量RPを試験片TPの伸び量としている。そのため、図3では、縦軸の単位が「msec」に設定され、横軸の単位が「μm/sec」に設定される。
図3では、式(2)において、調整可能最大時間幅が「4000(msec)」であり、「b」が-0.5である場合のグラフを示している。
次に、材料試験機1の動作について説明する。
図6は、材料試験機1の動作を示すフローチャートであり、特にサーボモータ18のフィードバック制御に係る動作を示すフローチャートである。
図7は、圧縮試験の測定データを示す図である。なお、圧縮試験は、図1に示す冶具で行われてもよいし、圧盤等の圧縮試験専用の冶具で行われてもよい。
図7では、縦軸が試験力(N:ニュートン)に設定され、横軸が時間(sec)に設定される。
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、および応用が可能である。
上述した実施形態及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
一態様に関わる材料試験機は、移動部材によって試験対象に負荷を付与する負荷機構と、前記負荷の付与に応じて前記試験対象又は前記負荷機構に生じる第1物理量を測定する第1測定部と、前記負荷機構のフィードバック制御において応答となる第2物理量を測定する第2測定部と、前記第1測定部が測定した前記第1物理量の変化を示す第1変化量と、前記第2測定部が測定した前記第2物理量の変化を示す第2変化量と、の比である変化量比の算出に用いる前記第1物理量及び前記第2物理量の測定値の時間幅を調整する時間幅調整部と、前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記変化量比を算出する変化量比算出部と、前記変化量比算出部が算出した前記変化量比に基づいて、前記第2物理量の測定値と、前記第2物理量の目標値との偏差を減少させるように前記負荷機構をフィードバック制御するフィードバック制御部と、を備え、前記時間幅調整部は、前記時間幅について、前記第2物理量の測定値に含まれるノイズが大きいほど長くする調整と、前記第2物理量の時間変化率または前記移動部材の目標速度が大きいほど短くする調整とのいずれか一方を少なくとも実行する。
第1項に記載の材料試験機において、前記時間幅調整部は、前記移動部材の移動速度が最低速度である場合の前記第2物理量の測定値に含まれるノイズに基づき算出された前記時間幅以下となるように、前記時間幅を調整する。
第1項又は第2項に記載の材料試験機において、前記時間幅調整部は、前記移動部材の移動速度が最高速度である場合に前記変化量比を算出可能な最短の前記時間幅以上となるように、前記時間幅を調整する。
第1項から第3項のいずれか一項に記載の材料試験機において、前記変化量比算出部は、前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記第1測定部が測定した前記第1物理量と時間との関係を表す近似直線の傾きである第1傾きを算出し、前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記第2測定部が測定した前記第2物理量と時間との関係を表す近似直線の傾きである第2傾きを算出し、前記第1傾きと前記第2傾きとの比を前記変化量比として算出する。
別の一態様に関わる材料試験機の制御方法は、移動部材によって試験対象に負荷を付与する負荷機構と、前記負荷の付与に応じて前記試験対象又は前記負荷機構に生じる第1物理量を測定する第1測定部と、前記負荷機構のフィードバック制御において応答となる第2物理量を測定する第2測定部と、前記第1測定部が測定した前記第1物理量の変化を示す第1変化量と、前記第2測定部が測定した前記第2物理量の変化を示す第2変化量と、の比である変化量比の算出に用いる前記第1物理量及び前記第2物理量の測定値の時間幅を調整する時間幅調整部、前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記変化量比を算出する変化量比算出部、及び、前記変化量比算出部が算出した前記変化量比に基づいて、前記第2物理量の測定値と、前記第2物理量の目標値との偏差を減少させるように前記負荷機構をフィードバック制御するフィードバック制御部、を有する制御装置と、を備える材料試験機の制御方法であって、前記時間幅調整部は、前記時間幅について、前記第2物理量の測定値に含まれるノイズが大きいほど長くする調整と、前記第2物理量の時間変化率または前記移動部材の目標速度が大きいほど短くする調整とのいずれか一方を少なくとも実行する。
10 クロスヘッド(移動部材)
12 負荷機構
14 ロードセル(第2測定部)
18 サーボモータ
20 ロータリエンコーダ
30 制御装置
60 回転量測定部(第1測定部)
90 伸び計(第2測定部)
541 時間幅調整部
542 制御コンプライアンス算出部
543 フィードバック制御部
561 目標データ
F 試験力(負荷)
RP 応答物理量(第2物理量)
RPc 目標応答物理量(第2物理量の目標値)
RPs 測定応答物理量(第2物理量の測定値)
Slop1 第1傾き
Slop2 第2傾き
Comp 制御コンプライアンス(変化量比)
TP 試験片(試験対象)
Tr 回転量(第1物理量)
e 偏差
X 移動量(第1変化量)
Claims (5)
- 移動部材によって試験対象に負荷を付与する負荷機構と、
前記負荷の付与に応じて前記試験対象又は前記負荷機構に生じる第1物理量を測定する第1測定部と、
前記負荷機構のフィードバック制御において応答となる第2物理量を測定する第2測定部と、
前記第1測定部が測定した前記第1物理量の変化を示す第1変化量と、前記第2測定部が測定した前記第2物理量の変化を示す第2変化量と、の比である変化量比の算出に用いる前記第1物理量及び前記第2物理量の測定値の時間幅を調整する時間幅調整部と、
前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記変化量比を算出する変化量比算出部と、
前記変化量比算出部が算出した前記変化量比に基づいて、前記第2物理量の測定値と、前記第2物理量の目標値との偏差を減少させるように前記負荷機構をフィードバック制御するフィードバック制御部と、を備え、
前記時間幅調整部は、
前記移動部材の移動速度が最低速度である場合において、前記第2物理量の測定値の標準偏差が2分の1、前記第2物理量が変化するときの時間が代入される式であって、且つ、前記第2物理量の時間変化率または前記移動部材の目標速度が大きいほど前記時間幅が短くなる式を用いて、前記時間幅を調整する、
材料試験機。 - 前記時間幅調整部は、
前記移動部材の移動速度が最低速度である場合の前記第2物理量の測定値に含まれるノイズの振幅に基づき算出された前記時間幅以下となるように、前記時間幅を調整する、
請求項1記載の材料試験機。 - 前記時間幅調整部は、
前記移動部材の移動速度が最高速度である場合に前記変化量比を算出可能な最短の前記時間幅以上となるように、前記時間幅を調整する、
請求項1又は2に記載の材料試験機。 - 前記変化量比算出部は、
前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記第1測定部が測定した前記第1物理量と時間との関係を表す近似直線の傾きである第1傾きを算出し、
前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記第2測定部が測定した前記第2物理量と時間との関係を表す近似直線の傾きである第2傾きを算出し、
前記第1傾きと前記第2傾きとの比を前記変化量比として算出する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の材料試験機。 - 移動部材によって試験対象に負荷を付与する負荷機構と、
前記負荷の付与に応じて前記試験対象又は前記負荷機構に生じる第1物理量を測定する第1測定部と、
前記負荷機構のフィードバック制御において応答となる第2物理量を測定する第2測定部と、
前記第1測定部が測定した前記第1物理量の変化を示す第1変化量と、前記第2測定部が測定した前記第2物理量の変化を示す第2変化量と、の比である変化量比の算出に用いる前記第1物理量及び前記第2物理量の測定値の時間幅を調整する時間幅調整部、前記時間幅調整部が調整した前記時間幅における前記変化量比を算出する変化量比算出部、及び、前記変化量比算出部が算出した前記変化量比に基づいて、前記第2物理量の測定値と、前記第2物理量の目標値との偏差を減少させるように前記負荷機構をフィードバック制御するフィードバック制御部、を有する制御装置と、を備える材料試験機の制御方法であって、
前記時間幅調整部は、
前記移動部材の移動速度が最低速度である場合において、前記第2物理量の測定値の標準偏差が2分の1、前記第2物理量が変化するときの時間が代入される式であって、且つ、前記第2物理量の時間変化率または前記移動部材の目標速度が大きいほど前記時間幅が短くなる式を用いて、前記時間幅を調整する、
材料試験機の制御方法。
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