以下、本実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、機能が同じ構成要素及び処理には全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置の一例である画像形成装置10の機能構成例を示す図である。
「情報処理装置」とは、入力されたデータ及び指示に対して特定の処理を行うと共に、稼働中に発生した事象を記録する履歴機能を備えた装置である。こうした特徴を有する装置であれば情報処理装置に分類されるため、情報処理装置は特定の種類の電子機器に限定されない。
したがって、情報処理装置は、例えばコンピュータ及びスマートフォン等の情報機器、ルータ及びファイアウォール等の通信機器、テレビ及びエアコン等の家電、若しくはコピー機、プリンタ、及びスキャナ装置等の事務機器のように、何れの種類の電子機器であってもよい。以降では一例として、プリント機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能といった画像の形成に関する複数の機能を有する画像形成装置10を情報処理装置の例として説明を行うことにする。
また、画像形成装置10の設置場所に制約はなく、画像形成装置10は、例えば職場のように予め入室が許可されたユーザのみが出入りするような場所に設置されてもよいし、例えばコンビニエンスストアのように不特定多数のユーザが出入りするような場所に設置されてもよい。ここでは一例として、画像形成装置10が職場に設置されているものとして説明を行う。すなわち、画像形成装置10は、例えば経理部または総務部といった特定の組織に含まれるユーザによって利用される。
ここで「組織」とは、所属の有無によってユーザを分類することができるようなユーザの集合体であり、例えば「A社の社員」や「サッカーサークルに所属する社員」も、「A社」や「サッカーサークル」といった組織に含まれるユーザの例である。また、「特定の組織に含まれるユーザ」とは、組織に属するユーザの他、例えばアルバイト人員のように、一時的に組織の業務を行うユーザ、及び、例えばインターンシップに訪れた学生や共に業務を行う他の会社の人員のように、画像形成装置10が設置されている組織には属していないが、一時的に許可を受けて組織の業務を行うことがあるユーザ(ゲストとも呼ばれる)も含まれる。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像の形成に直接関与するプリント機能部11A、ファクシミリ機能部11B、スキャン機能部11C、及びコピー機能部11Dを含む。プリント機能部11A、ファクシミリ機能部11B、スキャン機能部11C、及びコピー機能部11Dはそれぞれ画像の形成に関する機能部であることから、以降では各々の機能部を総称して、「画像形成機能部」ということがある。
また、画像形成装置10は、収集部12、記憶装置13、推定部14、及び通知部15の各機能部と、通信ユニット51、入力ユニット52A、及び表示ユニット52Bの各ユニットを含む。
プリント機能部11Aは、画像の形成対象となるデータの内容を用紙等の記録媒体に形成するプリント機能を実行する機能部である。
ファクシミリ機能部11Bは、図示しないファクシミリ回線を経由して文書データを送受信するファクシミリ機能を実行する機能部である。
スキャン機能部11Cは、原稿に記載された内容を光学的に読み取り、原稿の内容を文書データ化するスキャン機能を実行する機能部である。
コピー機能部11Dは、プリント機能部11Aと連動して、スキャン機能部11Cで読み取った原稿の文書データを記録媒体に画像として形成し、読み取った原稿の複製を生成するコピー機能を実行する機能部である。
プリント機能部11A、ファクシミリ機能部11B、スキャン機能部11C、及びコピー機能部11Dの画像形成機能部は、利用した機能名や利用時間といったそれぞれ実行内容を記録した履歴情報を生成する。なお、ユーザは画像形成機能部を利用する場合、例えばユーザのID番号等、ユーザを特定する識別情報が記憶されたICカードを図示しない読み取り装置に読み取らせる。したがって、履歴情報には、画像形成機能部を利用したユーザの情報も記録される。なお、画像形成機能部を利用したユーザの情報の取得方法はこれに限られず、例えば画像形成装置10を利用する毎に、ユーザが画像形成装置10の操作ボタンを押下してユーザのID番号を入力してもよい。
収集部12は、画像形成機能部の実行に伴い生成された履歴情報、すなわち、各機能の利用度合いを示す情報を収集する。履歴情報には、各機能の利用度合いを示す情報として、例えばプリント機能であれば画像が形成された記録媒体の枚数、ファクシミリ機能であれば送受信先のFAX番号や送受信した文書の枚数、並びに、スキャン機能及びコピー機能であれば、読み取った原稿の枚数等が含まれる。
また、画像形成装置10では記録媒体の両面に画像を形成したり、原稿の両面を読み取ったりすることもあるため、プリント機能であれば記録媒体に画像を形成した面数、ファクシミリ機能であれば送受信した文書の面数、並びに、スキャン機能及びコピー機能であれば、読み取った原稿の面数等を履歴情報に含めてもよい。
収集部12は、履歴情報に含まれる機能の利用時間を参照して、収集した履歴情報を機能毎に時系列に沿って記憶装置13に記憶する。したがって、収集部12は画像形成機能部からリアルタイムに履歴情報を収集する必要はなく、例えば5分毎といった予め定めた間隔で画像形成機能部から履歴情報を収集しても、収集した履歴情報を機能毎に時系列に沿って記憶装置13に記憶することができる。
なお、履歴情報に機能の利用時間が含まれていない場合には、収集部12は画像形成機能部での履歴情報の生成を監視し、画像形成機能部で履歴情報が生成された場合には遅滞なく履歴情報を収集する。そして、収集部12は、履歴情報を収集した時間を機能の利用時間として記録し、記録した利用時間を履歴情報に含めることで、収集した履歴情報を機能毎に時系列に沿って記憶装置13に記憶すればよい。
また、図1に示した画像形成装置10の機能構成例では、収集部12は画像形成装置10に含まれる記憶装置13に履歴情報を記憶しているが、通信ユニット51を通じて、例えばLAN(Local Area Network)やインターネット等の通信回線2で接続される図示しない記憶装置に履歴情報を記憶してもよい。通信ユニット51は通信回線2と接続され、通信回線2に接続される図示しない記憶装置のような外部装置とそれぞれデータを送受信する転送プロトコルを備える。
記憶装置13は、収集部12が収集した履歴情報を記憶する装置であり、例えば電力の供給が遮断されても、記憶した履歴情報が消去されずに維持される半導体メモリ、またはハードディスクが用いられる。
図2は、記憶装置13に記憶される履歴情報の一例を示す図である。履歴情報は時系列に沿って記憶されてもよいが、図2に示すように、ユーザ毎の機能の利用度合いが分かる形式に変換した上で記憶装置13に記憶するようにしてもよい。図2の例では、コピー機能の利用に伴って読み取った原稿の面数、すなわち、コピー面数がユーザ毎に集計されて記憶装置13に記憶されている。具体的には、ユーザA~ユーザOの15名の各ユーザが、対応するコピー面数欄に表されている面数だけコピー機能を利用したことが記憶されている。
なお、コピー機能以外の他の機能に関する履歴情報についても記憶装置13に記憶されるが、他の機能の履歴情報に対してもコピー機能の履歴情報と同じ処理が行われるため、ここではコピー機能の利用を例に、画像形成装置10における処理の説明を行う。
推定部14は、収集部12によって収集された履歴情報によって表される各機能の利用度合いを用いて、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合い(以降、単に「利用状況の偏り度合い」ということがある)を推定する。
推定部14は、画像形成装置10を管理する管理者から、例えば入力ユニット52Aを通じて推定の開始指示を受け付けた場合に、利用状況の偏り度合いの推定を開始する。
入力ユニット52Aは、ユーザや管理者からの指示を受け付ける入力装置であり、例えばボタン及びタッチパネル等が用いられる。後述するように、入力ユニット52Aは通知部15にも接続される。
通知部15は、履歴情報を用いて推定部14で推定された利用状況の偏り度合いから考えられる課題を改善する商品の情報を取得し、当該商品の紹介を行う情報、すなわち「提案情報」を通知する。
提案情報の通知先に制約はないため、通知部15は、例えば画像形成装置10の筺体に取り付けられている表示ユニット52Bに提案情報を表示するようにしてもよい。表示ユニット52Bは、画像形成装置10で処理された情報を画像として表示する表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等が用いられる。また、通知部15は、通信ユニット51を通じて接続される図示しない外部装置に提案情報を送信し、図示しない外部装置に提案情報を表示させるようにしてもよい。
通知部15は、提案情報を通知する度に、入力ユニット52Aから提案情報の通知先を指定するようユーザに促す画面を表示ユニット52Bに表示し、入力ユニット52Aを通じて指定された通知先に提案情報を通知するようにしてもよい。また、通知部15は、予め設定済みの通知先に提案情報を通知するようにしてもよく、この場合、ユーザは提案情報の通知先を入力する手間が省かれることになる。提案情報が通知される度に提案情報の通知先を指定するか、または予め設定済みの通知先に提案情報を通知するかは、例えば画像形成装置10の管理者やユーザの設定により選択可能である。
図3は、画像形成装置10における電気系統の要部構成例を示す図である。画像形成装置10は、例えばコンピュータ40を用いて構成される。
コンピュータ40は、図1に示した画像形成装置10の各部を担うCPU(Central Processing Unit)41、情報処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)42、CPU41の一時的な作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)43、不揮発性メモリ44、及び入出力インターフェース(I/O)45を備える。そして、CPU41、ROM42、RAM43、不揮発性メモリ44、及びI/O45がバス46を介して各々接続されている。
不揮発性メモリ44は、不揮発性メモリ44に供給される電力が遮断されても、記憶した情報が維持される記憶装置13の一例である。
I/O45には、例えば通信ユニット51、操作ユニット52、プリントユニット53、スキャンユニット54、及びファクシミリユニット55が接続される。
操作ユニット52はユーザに画像形成装置10とのインターフェースを提供するユニットであり、入力ユニット52A及び表示ユニット52Bが含まれる。
プリントユニット53は、CPU41の指示に従って、画像の形成対象となるデータを記録媒体に形成するユニットである。プリントユニット53における画像形成方式はどのような方式であってもよく、例えば電子写真方式であっても、インクジェット方式であってもよい。プリントユニット53は、プリント機能、コピー機能、及びファクシミリ機能の実行に伴い用いられる。
スキャンユニット54は、CPU41の指示に従って、例えば図示しないプラテンガラスに置かれた原稿の内容を光学的に読み取り、原稿の内容を画像データに変換するユニットである。スキャンユニット54はスキャン機能の実行に伴い用いられる。
ファクシミリユニット55は図示しないファクシミリ回線を介して、ファクシミリ機能を有する他の装置との間で、文書データを送受信するユニットである。また、CPU41は、予め設定された指示に従い、ファクシミリ回線から受信した文書データをプリントユニット53で記録媒体に画像として形成することもあれば、記録媒体に画像を形成せずに、受信した文書データを記憶装置13に記憶することがある。
なお、コピー機能は、CPU41がスキャンユニット54で得られた画像データを、プリントユニット53で記録媒体に形成させることによって実現される。
I/O45に接続されるユニットは図3に例示した各ユニットに限定されない。例えば、ユーザの声を認識する音声認識ユニット等をI/O45に接続してもよい。この場合、CPU41はユーザの声によって指示された機能を実行してもよい。
次に、図4を参照して、画像形成装置10の動作について説明する。
図4は、例えばユーザから機能の実行指示を受け付けた場合に、CPU41によって実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
情報処理を規定する情報処理プログラムは、例えば画像形成装置10のROM42に予め記憶されている。画像形成装置10のCPU41は、ROM42に記憶される情報処理プログラムを読み込み、情報処理を実行する。画像形成装置10の不揮発性メモリ44には、画像形成装置10が有する機能毎の履歴情報が予め記憶されているものとする。
ステップS10において、CPU41は、記憶装置13に記憶されている履歴情報を参照して、機能毎の総利用回数を算出する。コピー機能の場合、コピー機能の総利用回数は例えばコピー面数の合計値で表されるが、コピー機能の実行を指示した実行指示の総数、またはコピー機能によって画像が形成された記録媒体の合計枚数をコピー機能の総利用回数としてもよい。
ステップS20において、CPU41は、記憶装置13に記憶されている履歴情報を参照して、今度はユーザ毎の利用回数を機能毎に算出する。当然のことながらCPU41は、ステップS10で算出した総利用回数の単位と、ステップS20で算出するユーザ毎の利用回数の単位を合わせるようにする。具体的には、ステップS10でコピー機能の総利用回数としてコピー面数を算出した場合、ユーザ毎のコピー面数をユーザの利用回数として算出する。
ユーザ毎の機能の利用回数は、ユーザによる機能の利用度合いを示す情報の一例であり、CPU41は、例えば機能の総利用回数のうち、特定のユーザが利用した利用回数の割合によってユーザによる機能の利用度合いを表してもよい。
ステップS30において、CPU41は、ステップS10で算出した機能毎の総利用回数、及びステップS20で算出したユーザ毎の機能の利用回数を用いて、利用状況の偏り度合いを表す標準偏差σを機能毎に算出する。
例えば図2に示したコピー機能に関する履歴情報の例の場合、コピー機能の総利用回数は“694”であるため、標準偏差σは“62.54”となる。本実施の形態では、利用状況の偏り度合いを標準偏差σで表しているが、例えば分散σ2や、各ユーザの利用回数と平均利用回数との差(偏差)を用いて、利用状況の偏り度合いを表すようにしてもよい。
ステップS40において、CPU41は、機能の利用状況における偏り度合いを予め定めた範囲に分類するため、標準偏差σに応じたスコアを割り当てる。
具体的には、CPU41は、図5に示すようなスコア決定テーブル6を用いて、標準偏差σに応じたスコアを割り当てる。
図5に示すスコア決定テーブル6の例では、標準偏差σに応じて“1”~“5”の5つのスコアが機能毎に割り当てられている。図5に示すスコア決定テーブル6の例では、スコアが大きくなるに従って、利用状況の偏り度合いが小さいことを表すように、標準偏差σとスコアが対応付けられている。しかしながら、これは一例であり、スコアが大きくなるに従って、利用状況の偏り度合いが大きくなるように標準偏差σとスコアを対応付けてもよい。
また、利用状況の偏り度合いに対する分類数は5つに限られず、少なくとも2つ以上に分類されればよい。
図5に示すスコア決定テーブル6の例では、各スコアに対応する標準偏差σの範囲が各機能で同じに設定されているが、機能毎に異なるように設定してもよい。更に言えば、機能毎にスコアの分類数が異なるように設定してもよい。
各スコアの境界を表す標準偏差σの閾値や標準偏差σの分類数は、例えば画像形成装置10を用いた過去の知見等から予め設定され、不揮発性メモリ44に記憶されているが、例えば画像形成装置10の管理者等の指示に従って、後から変更することも可能である。
また、CPU41は、標準偏差σを入力としてスコアを出力とする、機能毎に予め用意された関数を用いて、標準偏差σに応じたスコアを取得するようにしてもよい。
図2に示したコピー機能に関する履歴情報の例の場合、標準偏差σが“62.54”であることから、スコアとして“4”が割り当てられる。
ステップS50において、CPU41は、予め設定されている商品推薦テーブル8を参照して、ステップS40で割り当てたスコアから推定される課題を改善する商品の情報を取得し、取得した商品の情報を含む提案情報を生成する。
図6は、商品推薦テーブル8の一例を示す図である。ユーザ間における機能の利用状況に違いが見られるということは、そこには違いを発生させる何らかの原因が存在し、原因に起因した課題が存在すると考えられる。したがって、商品推薦テーブル8には、利用状況の偏り度合いに応じた課題を改善する商品が「推薦商品」としてスコア毎に予め設定されている。
例えばスコアが“1”の場合、各スコアの中で利用状況の偏り度合いが最も大きいことを表しているため、一例として偏りの是正が課題として挙げられる。したがって、商品推薦テーブル8では、偏りを改善する商品Aが推薦商品として設定される。
具体的には、コピー機能に“1”のスコアに対応した偏りが見られる場合には、ユーザが記録媒体にプリントすることなく資料を参照できるように、例えばタブレットコンピュータのようなモバイル端末が商品Aとして商品推薦テーブル8に設定される。
なお、商品Aを各々のユーザに導入してもよいが、“1”のスコアに対応するほどの利用状況の偏りが見られる場合、経験上、例えば機能の利用回数の多い方から順に抽出した上位10%程度のユーザにその原因があると考えられる。したがって、商品Aの導入対象となるユーザを各々のユーザとしてもよいが、コピー機能の利用回数、すなわち、コピー面数に関して上位10%のユーザを商品Aの導入対象とした方が、費用対効果が高くなる。そこで、図6に示した商品推薦テーブル8では、“1”のスコアに対応した推薦商品の導入対象ユーザとして、「利用コピー面数の上位10%」との情報が対応付けられると共に、「特定のユーザだけが利用しています。」といったメッセージが対応付けられている。
商品推薦テーブル8のメッセージに設定される文章の内容に制約はないが、例えば機能の利用状況に関してどの程度の偏りが発生しているかといった利用状況の説明、及び推薦商品に関する補足情報のように、現在の利用状況を解説した内容や商品に興味を持たせる内容が設定される。
コピー機能に関してスコアが“5”の場合、コピー機能が各ユーザによって平均的に利用されていることから、各ユーザが用紙を用いて業務を行っていると考えられる。したがって、コピー機能における利用状況の偏り度合いの是正よりも業務の電子化の方が、当該組織が抱える課題として適切であると考えられるため、商品推薦テーブル8では、電子化した情報を一元的に管理するクラウドストレージのような商品Eが推薦商品として設定される。また、電子化された情報は組織に含まれる各々のユーザが利用するため、商品Eの対象ユーザが「全員」に設定されると共に、例えばメッセージには「各ユーザが平均的に利用しています。」といったコピー機能の利用状況を説明する文章が設定される。
また、コピー機能に関してスコアが“3”の場合、スコアが“1”における課題とスコアが“5”における課題を折衷した課題が存在すると推定される。すなわち、特定のユーザにおけるコピー機能の利用回数を現状の利用回数より低減させた上で、組織における業務の電子化にも取り組んだ方がよいとの課題が存在する。
したがって、コピー機能に関してスコアが“3”の場合、商品推薦テーブル8では、クラウドストレージのように電子化した情報を組織全体で一元的に管理するのではなく、各ユーザで持ち運べ、電子化した帳票を用紙のように扱うことのできる電子帳票ツールのような商品Cが推薦商品として設定される。
コピー機能に関してスコアが“3”の場合、スコアが“1”の場合ほど利用状況の偏りが見られない一方、スコアが“5”の場合よりも利用状況の偏りが見られる。したがって、推薦商品を導入した方がよい対象ユーザは、コピー面数に関して上位10%のユーザよりも多く、かつ、組織に含まれるユーザ全員ではない範囲、例えば利用コピー面数の上位20%のユーザに設定され、メッセージとして「利用に偏りが見られます。」といった文章が設定される。
図6に示した商品推薦テーブル8では説明の便宜上、コピー機能に関する推薦商品、対象ユーザ、及びメッセージを例示しているが、商品推薦テーブル8には、画像形成装置10が有する各機能について、スコア毎に推薦商品、対象ユーザ、及びメッセージが対応付けられている。
このように商品推薦テーブル8では、利用状況の偏り度合いが小さくなるに従って、推薦商品を導入した方がよいユーザの範囲を広げるように対象ユーザが設定されている。したがって、図6に示した商品推薦テーブル8では、一例としてコピー機能に関してスコアが“2”の場合の対象ユーザが「利用コピー面数の上位15%」に設定され、スコアが“4”の場合の対象ユーザが「利用コピー面数の上位50%」に設定されている。
CPU41は商品推薦テーブル8を参照して、画像形成装置10が有する各機能について、ステップS40で取得したスコアに対応した商品の情報を含む提案情報を生成するが、この際、商品推薦テーブル8から取得される対象ユーザ、及びメッセージといった各種情報も提案情報に含めてもよい。
また、商品推薦テーブル8に設定される情報も推薦商品、対象ユーザ、及びメッセージに限定されず、例えば商品を導入することによって得られる業務の削減量等を設定しておき、提案情報に含めるようにしてもよい。
ステップS60において、CPU41は、ステップS50で生成された提案情報を予め設定済みの通知先、またはユーザによって指定された通知先に通知する。提案情報の通知先として、例えば組織における設備の導入を検討する担当者、経営者等の組織の責任者、または画像形成装置10の営業担当者が有するスマートフォンといった情報機器に割り当てられたメールアドレス等が設定される。
図7は、画像形成装置10によって通知される、コピー機能に関する提案情報が表示された場合の画面例を示す図である。
画面24は、例えば領域26Aと領域26Bに分割され、領域26Aにはユーザ毎のコピー機能の利用状況を知らせるグラフが表示される。コピー機能の利用状況を知らせるグラフの内容は一例であり、例えば円グラフを用いる等、グラフの形式に制約はない。また、コピー機能の利用状況を必ずしもコピー面数に基づいて表示する必要もなく、例えば標準偏差に基づいて表示してもよい。
領域26Bには商品推薦テーブル8から取得した推薦商品、対象ユーザ、及びメッセージから生成された、コピー機能の利用状況に関する説明、導入の検討を勧める商品の説明、及び商品の導入対象者の説明が表示される。
図7の例では、商品の導入対象者がユーザA及びユーザBとなっているため、領域26AにはユーザA及びユーザBのコピー面数が表示されているが、商品の導入対象者に関わらず、領域26Aに利用状況が表示されるユーザの選択に制約はない。例えば商品の導入対象者がユーザA及びユーザBであったとしても、組織に含まれる各ユーザの利用状況を領域26Aに表示してもよい。
また、提案情報が表示される画面24を必ずしも領域26A及び領域26Bに分割する必要もなく、また、画面24を3つ以上の領域に分割してもよい。以上により、図4に示した情報処理を終了する。
このように本実施の形態に係る画像形成装置10によれば、機能の履歴情報を収集して、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、推定した偏り度合いに応じた課題を改善する商品を提案する。
なお、図4に示した情報処理の例では、画像形成装置10が有する各々の機能について課題を改善する商品を提案したが、予め指定した少なくとも1つの機能について、課題を改善する商品を提案するようにしてもよい。
また、図4に示した情報処理の例では組織に含まれる各ユーザの履歴情報を用いて、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを算出したが、ユーザの中には、利用状況の偏り度合いの算出対象に含めない方がよいユーザが存在する。
例えば、各ユーザの中にゲストが含まれている場合、ゲストによる画像形成装置10の利用は一時的なものであるため、組織における本来の利用状況の偏り度合いと異なる結果が得られることがある。
また、例えば原稿のまま保存すると原稿の置き場がなくなるため、スキャン機能を利用して原稿の内容を読み取って電子化する担当者のように、画像形成装置10の機能を利用する業務を専属的に行う専属ユーザが組織に含まれる場合、専属ユーザによる機能の利用回数が、他のユーザの利用回数よりも突出して多くなることがある。したがって、画像形成装置10における機能の利用度合いから推定される組織が抱える実際の課題が、機能の利用度合いが専属ユーザに偏っているという表面的な課題に隠れてしまい、実際の課題の改善に適した商品が提案されない場合がある。
したがって、ゲストや専属ユーザのように、利用状況の偏り度合いの推定に悪影響を与えるユーザとして予め定めたユーザの利用度合いは用いずに、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、偏り度合いに応じた課題を改善する商品の提案を行うことが好ましい。
また、上記では画像形成装置10でユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、推定した偏り度合いに応じた課題を改善する商品の提案を行う例について説明したが、これらの処理を画像形成装置10以外の装置で行ってもよい。
図8は、画像形成装置10Aと管理装置20を含む情報処理システム100の一例を示す図である。管理装置20には例えばコンピュータが用いられ、画像形成装置10Aと管理装置20は通信回線2で接続されている。
図8に示す画像形成装置10Aには、図1に示す画像形成装置10のように推定部14及び通知部15が含まれず、画像形成装置10Aは、画像形成機能部の利用に伴って生成される履歴情報のうち、管理装置20から指示された履歴情報を記憶装置13から取得し、通信ユニット51を通じて管理装置20に送信する。
一方、管理装置20には、図1に示す推定部14及び通知部15が含まれ、画像形成装置10Aから取得した各ユーザの履歴情報を用いて、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、偏り度合いに応じた課題を改善する商品を通知する。
なお、図8に示した情報処理システム100には、1台の画像形成装置10Aしか例示していないが、情報処理システム100に含まれる画像形成装置10Aの台数に制約はなく、複数の画像形成装置10Aが含まれてもよい。この場合、管理装置20は、画像形成装置10A毎にユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、推定した偏り度合いに応じた課題を改善する商品を通知する。
また、管理装置20は、予め定めた複数の画像形成装置10Aにおける各ユーザの機能の利用度合いを合算して、複数の画像形成装置10Aに亘ったユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、推定した偏り度合いに応じた課題を改善する商品を通知してもよい。
<第2実施形態>
第1実施形態では、画像形成装置10が有する機能毎に、ユーザ間における機能の利用状況の偏り度合いを推定し、ユーザ間における利用状況の偏り度合いから推定される課題を改善する商品を機能毎に通知した。
しかしながら、複数の機能におけるユーザ間の利用状況の偏り度合いを組み合わせることで、個別の機能に着目してユーザ間の利用状況の偏り度合いから推定された課題とは異なる課題が得られることがある。
したがって本実施の形態では、複数の機能におけるユーザ間の利用状況の偏り度合いを組み合わせることによって推定される課題を改善する商品を通知する画像形成装置10Bについて説明する。
画像形成装置10Bの機能構成、及び電気系統の要部構成は、それぞれ図1に示した画像形成装置10の機能構成例、及び図3に示した画像形成装置10における電気系統の要部構成例と同じである。
図9は、例えばユーザから機能の実行指示を受け付けた場合に、CPU41によって実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
情報処理を規定する情報処理プログラムは、例えば画像形成装置10BのROM42に予め記憶されている。画像形成装置10BのCPU41は、ROM42に記憶される情報処理プログラムを読み込み、情報処理を実行する。なお、画像形成装置10Bの不揮発性メモリ44には、画像形成装置10Bが有する機能毎の履歴情報が予め記憶されているものとする。
ステップS100において、CPU41は、図4のステップS10で説明したように、記憶装置13に記憶されている履歴情報を参照して、機能毎の総利用回数を算出する。
ステップS110において、CPU41は、図4のステップS20で説明したように、記憶装置13に記憶されている履歴情報を参照して、今度はユーザ毎の利用回数を機能毎に算出する。
ステップS120において、CPU41は、画像形成装置10Bが有する機能から何れか1つの機能を選択する。以降では、ステップS120で選択した機能を「選択機能」ということにする。
ステップS130において、CPU41はステップS110で算出したユーザ毎の利用回数を参照して、選択機能について利用回数の多い方から順に1人のユーザを選択する。
ステップS140において、CPU41は、ステップS130で選択したユーザの選択機能に関する利用回数を加算して、累積利用回数αを算出する。累積利用回数αは、ステップS120で機能が選択される毎に“0”に初期化される。
ステップS150において、CPU41は、選択機能の総利用回数に対する累積利用回数αの割合Rが、予め定めた閾値R1を超えたか否かを判定する。閾値R1は、各ユーザの中でも選択機能の利用回数が多い代表的なユーザを抽出するために設定された割合である。
割合Rが閾値R1以下の場合には、選択機能の利用回数が多い代表的なユーザが他にも存在するとして、ステップS130に移行する。そして、ステップS130で選択機能に関して、前回選択したユーザの次に利用回数の多いユーザを1人選択し、ステップS140で累積利用回数αを算出する。すなわち、ステップS150の判定処理で割合Rが閾値R1を越えるまでステップS130~S150を繰り返すことで、各ユーザの中から選択機能の利用に関して代表的なユーザが抽出されることになる。
一方、ステップS150の判定処理で割合Rが閾値R1を越えたと判定された場合には、ステップS160に移行する。
なお、閾値R1は各々の機能で共通の値に設定しても、機能毎に異なる値に設定してもよい。
ステップS160において、CPU41は、ステップS130で選択した各々のユーザを、選択機能に関して他のユーザと比べて利用回数の多い代表的なユーザ、すなわち、「上位ユーザ」に設定する。
ステップS170において、CPU41は、画像形成装置10Bが有する全ての機能を選択したか否かを判定する。未選択の機能が存在する場合にはステップS120に移行し、未選択の機能から機能を1つ選択する。ステップS130で選択されたユーザは、ステップS120で機能が選択される毎にリセットされる。
すなわち、画像形成装置10Bが有する全ての機能が選択されるまでステップS120~S170を繰り返すことで、機能毎に、上位ユーザが設定される。
図10は、図9に示す情報処理によって設定されたコピー機能、プリント機能、スキャン機能、及びファクシミリ機能に関する上位ユーザの一例を示す図である。各機能の上位ユーザは上位ユーザリスト16として記憶される。
図10に示す上位ユーザリスト16では、コピー機能の上位ユーザがユーザA及びユーザBに設定され、プリント機能の上位ユーザがユーザA、ユーザD、及びユーザEに設定されている。また、スキャン機能の上位ユーザにはユーザD及びユーザEが設定され、ファクシミリ機能の上位ユーザにはユーザA及びユーザDが設定されている。
ステップS180において、CPU41は予め設定された本実施の形態に係る商品推薦テーブル18、及び上位ユーザリスト16を参照して、上位ユーザリスト16に含まれるユーザの中に、商品推薦テーブル18で規定されたユーザ選出条件を満たすユーザが存在するか否かを判定する。
図11は、商品推薦テーブル18の一例を示す図である。商品推薦テーブル18が図6に示した商品推薦テーブル8と異なる点は、スコアの代わりに、複数の機能を組み合わせて利用状況の偏り度合いを規定したユーザ選出条件が含まれ、対象ユーザが削除された点である。
ユーザ選出条件とは、商品の導入対象となるユーザを抽出する条件であり、ユーザ選出条件で表されるような、ユーザにおける複数の機能の偏り度合いに起因した課題を改善する商品が、推薦商品としてユーザ選出条件に対応付けられる。
例えば「コピー」または「プリント」の上位ユーザだが、「スキャン」の上位ユーザではないといった複数の機能にまたがる偏り度合いを有するユーザの場合、用紙を用いて業務を行う割には、スキャン機能を利用しないユーザであると考えられる。すなわち、当該ユーザがもっとスキャン機能を利用することで、文書の電子化が促進される効果が期待される。したがって、例えば画像形成装置10Bでのスキャン設定がより簡単に行えるようになる商品Fが推薦商品として対応付けられる。
また、「コピー」、及び「プリント」両方の上位ユーザの場合、他のユーザに比べて用紙の使用量が多いユーザと考えられる。したがって、例えば文書を電子化し、コンピュータ等の画面に表示する商品G及び商品Hが推薦商品として対応付けられる。
更に、「スキャン」、及び「ファクシミリ」両方の上位ユーザの場合、原稿の内容をスキャンユニット54に読み取らせてファクシミリ送信を行う傾向のあるユーザと考えられる。したがって、例えばデータ通信によりユーザが利用するコンピュータからファクシミリの送受信が直接行えるようになる商品Iが推薦商品として対応付けられる。
図11に示した商品推薦テーブル18の例では、条件項目1~3に対応した3つのユーザ選出条件が規定されているが、商品推薦テーブル18には少なくとも1つのユーザ選出条件が規定されていればよい。
CPU41は、商品推薦テーブル18に規定されたユーザ選出条件毎に、ユーザ選出条件を満たす上位ユーザを抽出する。ユーザ選出条件を満たす上位ユーザは、各々のユーザ選出条件と対応付けられた商品の対象ユーザとなる。
図10の上位ユーザリスト16が得られている場合、条件項目1の対象ユーザはユーザA及びユーザB、条件項目2の対象ユーザはユーザA、条件項目3の対象ユーザはユーザDとなる。
なお、図11に示すように、商品推薦テーブル18ではユーザ選出条件に、対象ユーザによる機能の利用状況の説明や、推薦する商品の説明を含むメッセージを対応付けてもよいし、他の項目を対応付けてもよい。
ステップS180の判定処理で、少なくとも1つのユーザ選出条件に、ユーザ選出条件を満たす対象ユーザが存在すると判定された場合、ステップS190に移行する。
ステップS190において、CPU41は商品推薦テーブル18を参照して、対象ユーザが存在するユーザ選出条件に対応付けられた商品の情報を取得し、取得した商品の情報を含む提案情報を生成する。商品推薦テーブル18にメッセージが対応付けられている場合、CPU41はメッセージも取得し、提案情報にメッセージを含めるようにしてもよい。
なお、商品推薦テーブル18のメッセージには“{対象ユーザ}”、及び“{推薦商品}”のように括弧で囲まれた表記が含まれるが、これは括弧で示されたメッセージの対象箇所を括弧内の内容に置き換えることを意味する。例えば条件項目1の場合、対象ユーザはユーザA及びユーザBであり、推薦商品は商品Fであるため、「ユーザA及びユーザBは、用紙へのプリントが多い一方で、スキャン機能の活用が少ないようです。簡単にスキャンができる機能を提供する商品Fを利用してみましょう!」といったメッセージが提案情報に含まれる。
対象ユーザが存在するユーザ選出条件が複数存在する場合には、対象ユーザが存在するユーザ選出条件毎に提案情報が生成される。
ステップS200において、CPU41は、ステップS190で生成された提案情報を予め設定済みの通知先、またはユーザによって指定された通知先に通知して、図9に示す情報処理を終了する。
一方、ステップS180の判定処理で、商品推薦テーブル18に規定された何れのユーザ選出条件についても、ユーザ選出条件を満たすユーザが存在しないと判定された場合、新たな商品を導入して改善を行うほどの課題はないと推定される。したがって、CPU41は、ステップS190及びS200における提案情報の生成処理及び提案情報の通知処理を行うことなく、図9に示す情報処理を終了する。
このように第2実施形態に係る画像形成装置10Bによれば、複数の機能におけるユーザ間の利用状況の偏り度合いを組み合わせることによって推定される課題を改善する商品を通知する。
なお、画像形成装置10Bの場合も図8に示したように、画像形成装置10Bから推定部14及び通知部15を移した管理装置20を設け、管理装置20で課題を改善する商品の通知を行うようにしてもよい。
以上、実施の形態を用いて本発明について説明したが、本発明は実施の形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で実施の形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲で処理の順序を変更してもよい。
また、本実施の形態では、一例として情報処理をソフトウエアで実現する形態について説明したが、図4及び図9に示したフローチャートと同等の処理を、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)に実装し、ハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、情報処理をソフトウエアで実現した場合と比較して、処理の高速化が図られる。
また、上述した実施の形態では、情報処理プログラムがROM42にインストールされている形態を説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る情報処理プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録された形態で提供することも可能である。例えば、本発明に係る情報処理プログラムを、CD(Compact Disc)-ROM、またはDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよい。また、本発明に係る情報処理プログラムを、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びフラッシュメモリ等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。更に、通信回線2に接続される図示しない外部装置から、通信回線2を通じて本発明に係る情報処理プログラムを取得するようにしてもよい。