JP7172003B2 - 捨て湯の操業方法 - Google Patents
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Description
図1に示すように、取鍋1内の溶鋼2を、連続鋳造設備のタンディッシュ3に排出する前に、予め取鍋1から溶鋼の一部2aを排出する「捨て湯」という操業が行われている。この「捨て湯」の操業とは、そのタンディッシュ3に溶鋼2を装入する際の詰め物(例えば、鍋砂や鉄粉などの充填物)や、酸素で上ノズル5を開孔したときに生じるFeOなど、溶鋼2の汚染源が排出後の溶鋼2に混入してしまうことを防ぐための事前準備作業である。
すなわち、図1に示す「(1)捨て湯」では、溶鋼2が装入された後、スイングタワーに載せられた取鍋1を捨て湯の位置に移動させる。その捨て湯の位置にて、取鍋1の下端に設けられているスライドバルブ6を開いて、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5を開孔して下ノズル7と連通させて、タンディッシュ3とは別の容器(捨て湯ポット4)に、溶鋼2の汚染源となる詰め物が含まれている初期溶鋼2aを所定量排出する。
次に、「(2)取鍋移動」を行う。
すなわち、図1に示す「(2)取鍋移動」では、取鍋1を捨て湯ポット4上からタンディッシュ3上へ移動させる。その取鍋1をスイングタワーで旋回させる際には、溶鋼2を流出させないため、スライドバルブ6は閉めたままとする。
続いて、「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」を行う。
特許文献1は、連鋳操業に於てノズル部分の充填物を排出する作業を行なった後、鋳造位置で注入を開始する際にノズル詰まりを起こさず容易にノズルを開孔することを目的としている。
特許文献2は、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を移注するときに取鍋から珪砂あるいは珪砂とクロム酸化物や金属酸化物などの汚染源がタンディッシュに混入することを阻止して、鋼片に非金属介在物を混入させないことを目的としている。
具体的には、溶鋼の注入開始に際し、取鍋1の出鋼口をスライディングノズルの開放で詰め砂を排出して数秒後に出鋼口を閉塞する。同時に、出鋼口内の溶鋼を撹拌して凝固による閉塞を防止する。注入中の取鍋2の注入が完了したら、スイングタワーを旋回し、取鍋1を注入位置へ移動して注入を開始することとされている。
具体的には、タンディッシュ外で取鍋のスライディングプレートの注湯孔を開いて取鍋底部の注湯孔の詰め物と初期溶鋼をタンディッシュ外の捨湯ポットに捨湯し、スライディングプレートを閉め、スライディングプレートの上プレートを通じて上部のスライディングノズルの注湯孔から取鍋底部の注湯孔に不活性ガスを吹き込み、溶鋼凝固による注湯孔の閉塞の防止し、この取鍋をタンディッシュの注湯位置へ移してロングノズルをタンディッシュ内に装着し、上プレートの注湯孔と下プレートの注湯孔を連通してタンディッシュへ注湯を開始することとされている。
具体的には、タンディッシュ内の溶鋼をその底部に設けられた溶鋼流出口から上ノズル、スライディングノズルおよび浸漬ノズルを介して鋳型に供給して連続的に鋳造を行うにあたり、上ノズルの内部にヒーターを設け、そのヒーターにより前記上ノズルを800℃以上に加熱するか、スライディングノズルの内部にヒーターを設け、そのヒーターによりスライディングノズルを500℃以上に加熱し、または、スライディングノズルを介して600℃以上に加熱したガスを溶鋼に供給して溶鋼を撹拌しながら、スライディングノズルを閉じた状態で前記タンディッシュ内に溶鋼を注ぎ上げ、その後スライディングノズルを開いて鋳造を開始することとされている。
具体的には、外底部にスライディングノズルを備えるタンディッシュを使用し、鋳造開始初期に受湯した溶鋼を長時間保持した後に、スライディングノズルの開孔に伴い自然開孔させて鋳型へ溶鋼を注湯するタンディッシュにおける湯溜め自然開孔方法であって、受湯前の上ノズルなどのノズル耐火物を予め950℃以上の高温状態に保持し、次いで溶鋼を所定量受湯するとともに、スライディングノズルのスライドプレートの上面より不活性ガスを噴出することとされている。
具体的には、スライディングノズル開孔時、ノズルへのガスバブリング停止から開口、閉塞時、閉塞からノズルへのガスバブリングまでの時間を60秒以内でそれぞれ切り替えることとされている。
このようになってしまった場合、酸素を取鍋1の上ノズル5内に吹き付けて、凝固殻を溶解させて開孔させるが、このときFe+O→FeOの反応が起こる。このFeOがタンディッシュ3内の溶鋼2に混入してしまうと、品質に悪影響を及ぼす虞がある。
さて、特許文献1においては、ノズル、或はスライディングノズルプレート部分に温度検出端を埋込むための取鍋整備作業が増大したり、温度検出端をモニタ等に出力/接続するための準備が必要となり、鋳造準備の作業負荷が増大する虞がある。
特許文献3、4においては、捨て湯する時間や閉塞時間(バブリング時間)が明確とはなっていないので、ノズルを確実に再開孔することができる条件が全く不明である。
なお、特許文献5~7は、捨て湯の操業に関する技術ではないので、本発明が対象とする技術とは異なる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、タンディッシュ内の溶鋼に、詰め物や酸素開孔FeOなどの汚染源を混入させないために、事前に汚染源を含む溶鋼を排出する「捨て湯の操業」において、捨て湯の時間とスライドバルブを閉めている時間との関係を定量化することで、捨て湯後において、取鍋に設けられたノズル内の溶鋼の凝固を防ぎ且つ、そのノズルがタンディッシュ上で自然で且つ確実に再開孔することができる捨て湯の操業方法を提供する。
本発明にかかる捨て湯の操業方法は、取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ排出する前工程であって、前記取鍋に設けられているスライドバルブを開にして、詰め物を含む溶鋼を所定の容器に排出し、その後前記スライドバルブを閉めて、前記取鍋に設けられているノズル内の前記溶鋼に対して不活性ガスを吹き込み、前記取鍋を前記タンディッシュの上方に移動させて、前記スライドバルブを開にして、前記溶鋼を前記タンディッシュに注ぎ込む捨て湯の操業に関し、前記捨て湯の時間Teを、30秒以上に設定しておいて、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、以下の式(1)を満たすことを特徴とする。
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後のスライドバルブの閉時間(s)
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明にかかる捨て湯の操業方法は、取鍋1内の溶鋼2をタンディッシュ3へ排出する前に予め、所定の容器4(捨て湯ポット)に、品質に影響を与える詰め物など汚染源を含む溶鋼2aを所定量排出する捨て湯を行うに際して、捨て湯の操業条件を規定したことを特徴としている。
さて、取鍋1は、転炉から出鋼された溶鋼2を受けて、次の工程である溶鋼処理~連続鋳造設備に搬送するための容器である。取鍋1は、上方が開口された有底筒状の容器であって、最外側に鉄皮14が備えられている。その鉄皮14の内側には、耐火物15が施工されている。また、取鍋1の底部には、溶鋼排出部が設けられている。その溶鋼排出部は、上ノズル5と、スライドバルブ6と、下ノズル7とを有している。
スライドバルブ6は、ボトムプレート8(上プレート)とスライドプレート9(下プレート)が積層された状態で構成されたプレート状耐火物である。
一方、スライドプレート9は、ボトムプレート8の下面側に接するように配備されている。スライドプレート9には、上下方向に貫通した貫通孔9aが形成されている。この貫通孔9aは、貫通孔8aの内径と略同じ内径とされている。
なお、スライドプレート9には、上ノズル5内の溶鋼2に対して不活性ガス12を吹き込むパイプ11が設けられている。
このスライドプレート9の下側には、下ノズル7が配備されている。
例えば、スライドバルブ6を開く場合、貫通孔9aが貫通孔8aに近づく方向に、油圧シリンダ10の駆動によりスライドプレート9を水平方向に摺動させて、スライドプレート9の貫通孔9aとボトムプレート8の貫通孔8aとを略一致させて連通状態にする。これにより、スライドバルブ6が完全に開かれる。
このように、スライドバルブ6を開閉することにより、取鍋1と外部とを連通状態にしたり、非連通状態にすることが可能となる。
図1に、捨て湯の操業の概要を模式的に示す。
図2に、捨て湯の操業のフローを示す。
図1、図2に示すように、取鍋1内の溶鋼2を、連続鋳造設備のタンディッシュ3へ排出する前に、予め取鍋1から溶鋼の一部2aを排出する「捨て湯」という操業が行われている。
捨て湯の操業として、まず「(1)捨て湯」を行う。
すなわち、図1、図2に示す「(1)捨て湯」では、溶鋼2が装入された後、スイングタワー(図示せず)に載せられた取鍋1を捨て湯の位置に移動させる。その捨て湯の位置にて、取鍋1の下部に設けられたスライドバルブ(SV)6を開いて、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5を開孔して、タンディッシュ3とは別の容器(捨て湯ポット4)に、溶鋼2の汚染源となる詰め物が含まれている初期溶鋼2aを所定量排出する。
次に、「(2)取鍋移動」を行う。
すなわち、図1、図2に示す「(2)取鍋移動」では、取鍋1を捨て湯ポット4の上方からタンディッシュ3の上方へ移動させる。その取鍋1をスイングタワーで旋回させる際には、溶鋼2を流出させないため、スライドバルブ6は閉めたままとする。
この不活性ガス12の吹き込みは、上ノズル5内で溶鋼2が固まらないようにするためであり、スライドプレート9(下プレート)に設けられているパイプ11から行っている。なお、不活性ガス12の吹き込み量は、30Nl/min~300Nl/minである。
すなわち、図1、図2に示す「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」では、取鍋1の上ノズル5がタンディッシュ3に設けられている注入孔13の真上の位置に来るように移動させる。取鍋1をタンディッシュ3の上方に移動させた後、スライドバルブ6を再び開いて上ノズル5が自然に再開孔することにより、溶鋼2をタンディッシュ3内に注ぎ込む。
図3に、上ノズル5内に存在する溶鋼2の汚染源の状況を模式的に示す。
図3の左図の場合、取鍋1の底部の上ノズル5において、鉄粉詰めがされており、溶鋼2に接触する部位の下側では凝固層が形成されるので、スライドバルブ6を開いても上ノズル5が閉塞されているので、溶鋼2は自然に落下しない。
図3の右図の場合、取鍋1の底部の上ノズル5において、溶鋼2の自重で詰め砂の焼結層が破壊されて、タンディッシュ3内に溶鋼2が落下する。すなわち、スライドバルブ6を開くと、上ノズル5が自然に開孔されることとなる。
このことより、本発明においては、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定している。
次に、溶鋼温度T(℃)と液相線温度TLL(℃)について、述べる。
溶鋼温度T(℃)は、取鍋1内の溶鋼温度である。溶鋼2の測温タイミングについては、連続鋳造工程の前工程である溶鋼処理工程における処理終了の数分前としている。また、溶鋼処理については、一般的な溶鋼処理方法(例えば、取鍋精錬、真空脱ガスなど)としている。また、溶鋼処理終了から捨て湯を開始するまでの時間は、20分~40分程度である。
TLL=1536-{78[mass%C]+7.6[mass%Si]+4.9[mass%Mn]+34.4[mass%P]+38[mass%S]+3.1[mass%Ni]+1.3[mass%Cr]+3.6[mass%Al]}
これにより、本発明においては、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」を、30≦ΔT≦70の範囲内としている。
Tsv≦0.8Te ・・・(1)
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後にスライドバルブ6を閉めている時間(s)
捨て湯の時間Te(s)は、捨て湯の開始から終了までの時間であって、詰め物などの汚染源を含む初期溶鋼2aの流出開始のタイミングから、その初期溶鋼2aの流出停止のタイミングまでの時間である(図2参照)。
また、式(1)に関して、捨て湯の時間Teが長く、捨て湯後のSV閉時間Tsvが短いほど、取鍋1から溶鋼2をタンディッシュ3へ排出する際に、上ノズル5が自然に再開孔しやすくなる。なお、この式(1)の詳細については、以下の実施例で説明する。
すなわち、スライドプレート9(下プレート)に設けられた貫通孔9aと、ボトムプレート8(上プレート)に設けられた貫通孔8aとの位置関係について説明する。
図4に、貫通孔9aと貫通孔8aとの位置関係を模式的に示す。
図4に示すように、スライドバルブ6を閉めたとき、スライドプレート9の貫通孔9aは、ボトムプレート8の貫通孔8aから離れた全閉位置にある。
ところで、スライドバルブ6の開動作を開始すると、スライドプレート9が摺動距離Lを移動することとなるので、貫通孔9aが貫通孔8aと重なって連通状態となるまで時間がかかる。すなわち、スライドバルブ6の開動作を始めてから、溶鋼2が外部へ流出するまでの間に時間差が生じることとなる。
一方で、全開位置の状態からスライドバルブ6の閉動作を始める場合でも、貫通孔9aが貫通孔8aから離れて、貫通孔8aがスライドプレート9の面により閉塞されるまで時間がかかる。すなわち、スライドバルブ6の閉動作を始めても、溶鋼2の流出が止まるまでの間に時間差が生じることとなる。
なお、スライドプレート9の貫通孔9aと、ボトムプレート8の貫通孔8aの形状や位置関係に関しては、以下のようにすることが好ましい。
[実施例]
以下に、本発明にかかる捨て湯の操業方法に従って実施した実施例について説明する。
図5に、上ノズル5の再開孔の可否について模式的に示す。
図5に示すように、上ノズル5の再開孔の可否については、捨て湯後にスライドバルブ6を開いたときの溶鋼2の流出状況を目視で判断することとした。
具体的には、下ノズル7から排出される溶鋼2の状況を、その下ノズル7の下端を目視することで、上ノズル5の再開孔の可否を判断することとした。
図6に示すように、動作ステージ(1)は、スライドバルブ6を全閉させている状況である。
動作ステージ(2)は、スライドバルブ6を全開にして、汚染源が含まれる初期溶鋼2aを、捨て湯ポット4に排出している状況である。
この「通し湯」とは、スライドプレート9を閉める方向にスライドさせて、貫通孔5aと貫通孔7aとが連通している内径を小さく絞って、スライドプレート9の上面に溶鋼2を接触させて熱する工程である。このスライドプレート9の上面を熱しておくことで、スライドバルブ6を閉じたとき、溶鋼2の温度低下が抑えられる。つまり、上ノズル5内の溶鋼2の凝固を防ぐものとなっている。
なお、上記の動作ステージ(2)~(4)は、「捨て湯」の期間である。
動作ステージ(5)は、取鍋1をタンディッシュ3上へ移動させるため、スライドバルブ6を全閉させている状況である。
なお、本実施例では、スライドバルブ6(スライドプレート9)の温度推移を、二次元非定常伝熱計算により算出した。
図7に示すように、本実施例では、スライドプレート9を上下二層に分け、それぞれ15メッシュに分割して計算を行った。スライドプレート9の上側をメッシュ(No.1~No.15) とし、スライドプレート9の下側をメッシュ(No.16~No.30)とした。
境界条件として、スライドプレート9への入熱は溶鋼2のみからとし、抜熱はないものと設定する。また、要素記号については、図8に示す通りとする。
図9に、スライドバルブ6の全閉時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
要素(3)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
要素(5)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=2λ/Δy・(T0-Tp)・Δy・Δt+λ/Δx・(Tw+TE-2・Tp)・Δy・Δt
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+2λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(T0-Tp)
図10に、通し湯時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δx・(T0-Tp)+h・Δt・Δy・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ)・(1/Δx+1/Δy)・(T0-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δx)・(T0-Tp)
要素(3)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δy)・(T0-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
要素(5)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)
なお、スライドバルブ(SV)6を全開させたときの排出溶鋼流速V(m/s)を任意に定め、この排出溶鋼流速Vに対応した熱伝達係数hを、以下に示す式より求める。
h(W/m2/K)=1.22×105×V0.8
図11に、スライドバルブ6の全開時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δy・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δx)・(T0-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
要素(3)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(TE+Tw-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TS-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
なお、本実施例においては、スライドプレート9の耐火物の物性値に関し、耐火物便覧より、既存の値を使用した。
表2に、スライドプレート9の耐火物の物性値を示す。
表3に、上ノズル5の再開孔の可否、液相線温度TLL(℃)、「ΔT(℃)=溶鋼温度T-液相線温度TLL」、捨て湯の時間Te(秒)、捨て湯後のスライドバルブ(SV)6の閉時間Tsv(秒)、上ノズル5の再開孔時におけるメッシュ(No.15)の温度(℃)、スライドプレート9の内径(孔径)φ(mm)、スライドプレート9のストローク量(摺動距離L)(mm)を示す。
の示す。なお、図12中の温度は、上ノズル5の再開孔時におけるメッシュNo.15の温度である。
図12に示すように、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定し、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が30≦ΔT≦70の範囲内において、式(1)のTsv≦0.8Teを満足するように、捨て湯の時間Te(s)と、捨て湯後のスライドバルブ6の閉時間Tsv(s)を決定すると、スライドバルブ6を開いて、取鍋1から溶鋼2をタンディッシュ3へ排出するときに、上ノズル5を自然で且つ確実に再開孔させることができる。
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後のスライドバルブ6の閉時間(s)
以上、本発明によれば、タンディッシュ3内の溶鋼2に、詰め物や酸素開孔FeOなどの汚染源が混入することを防ぐため、その汚染源を含む初期溶鋼2aを捨て湯ポット4に、事前に排出する「捨て湯の操業」において、上記の式(1)などの規定を満足することで、捨て湯後において、取鍋1に設けられた上ノズル5内の溶鋼2の凝固を防ぎ且つ、その上ノズル5がタンディッシュ3上で自然で且つ確実に再開孔することができるようになる。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 溶鋼
2a 初期溶鋼
3 タンディッシュ
4 捨て湯ポット
5 上ノズル(インサートノズル)
5a 貫通孔
6 スライドバルブ
7 下ノズル(チェンジノズル)
7a 貫通孔
8 ボトムプレート(上プレート)
8a 貫通孔
9 スライドプレート(下プレート)
9a 貫通孔
10 油圧シリンダ
11 パイプ
12 不活性ガス
13 注入孔
14 鉄皮
15 耐火物
Claims (1)
- 取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ排出する前工程であって、
前記取鍋に設けられているスライドバルブを開にして、詰め物を含む溶鋼を所定の容器に排出し、その後前記スライドバルブを閉めて、前記取鍋に設けられているノズル内の前記溶鋼に対して不活性ガスを吹き込み、前記取鍋を前記タンディッシュの上方に移動させて、前記スライドバルブを開にして、前記溶鋼を前記タンディッシュに注ぎ込む捨て湯の操業に関し、
前記捨て湯の時間Teを、30秒以上に設定しておいて、
「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、
以下の式(1)を満たすことを特徴とする捨て湯の操業方法。
Tsv≦0.8Te ・・・(1)
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後のスライドバルブの閉時間(s)
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