JP7172003B2 - 捨て湯の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造に関する技術であり、特に溶鋼を取鍋からタンディッシュに注入する前に、予め取鍋から溶鋼の一部を所定の容器に排出する捨て湯の操業方法に関する。
一般に、製鋼工程においては、溶鋼が転炉から取鍋へ出鋼されると、その取鍋は次の工程である溶鋼処理~連続鋳造設備に搬送される。取鍋内の溶鋼は、連続鋳造工程にて、タンディッシュと呼ばれる中間容器に注入される。溶鋼は、このタンディッシュを経由して、連続鋳造設備の鋳型内に鋳込まれる。
図1に示すように、取鍋1内の溶鋼2を、連続鋳造設備のタンディッシュ3に排出する前に、予め取鍋1から溶鋼の一部2aを排出する「捨て湯」という操業が行われている。この「捨て湯」の操業とは、そのタンディッシュ3に溶鋼2を装入する際の詰め物(例えば、鍋砂や鉄粉などの充填物)や、酸素で上ノズル5を開孔したときに生じるFeOなど、溶鋼2の汚染源が排出後の溶鋼2に混入してしまうことを防ぐための事前準備作業である。
捨て湯の操業として、まず「(1)捨て湯」を行う。
すなわち、図1に示す「(1)捨て湯」では、溶鋼2が装入された後、スイングタワーに載せられた取鍋1を捨て湯の位置に移動させる。その捨て湯の位置にて、取鍋1の下端に設けられているスライドバルブ6を開いて、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5を開孔して下ノズル7と連通させて、タンディッシュ3とは別の容器(捨て湯ポット4)に、溶鋼2の汚染源となる詰め物が含まれている初期溶鋼2aを所定量排出する。
初期溶鋼2aを排出した後、スライドバルブ6を閉めて、溶鋼2の流出を止める。
次に、「(2)取鍋移動」を行う。
すなわち、図1に示す「(2)取鍋移動」では、取鍋1を捨て湯ポット4上からタンディッシュ3上へ移動させる。その取鍋1をスイングタワーで旋回させる際には、溶鋼2を流出させないため、スライドバルブ6は閉めたままとする。
スライドバルブ6を閉めている間においては、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5内の溶鋼2に対して、不活性ガス12(例えば、Arなど)を吹き込んでいる。この不活性ガス12の吹き込みは、上ノズル5内で溶鋼2が固まらないようにするためであり、スライドバルブ6(スライドプレート9)に設けられているパイプ11から行っている。
続いて、「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」を行う。
すなわち、図1に示す「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」では、取鍋1の上ノズル5がタンディッシュ3に設けられている注入孔13の真上の位置に来るように移動させる。取鍋1をタンディッシュ3の上方に移動させた後、スライドバルブ6を再び開いて上ノズル5が自然に再開孔することにより、溶鋼2をタンディッシュ3内に注ぎ込む。
このような、捨て湯の操業などの連続鋳造に関する技術としては、例えば、特許文献1~7に開示されているものがある。
特許文献1は、連鋳操業に於てノズル部分の充填物を排出する作業を行なった後、鋳造位置で注入を開始する際にノズル詰まりを起こさず容易にノズルを開孔することを目的としている。
具体的には、ノズル、或はスライディングノズルプレート部分に温度検出端を埋込み、該位置の温度が予め設定した温度に到達した時点で、ノズルを閉止し、ガス吹込を開始することとされている。
特許文献2は、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を移注するときに取鍋から珪砂あるいは珪砂とクロム酸化物や金属酸化物などの汚染源がタンディッシュに混入することを阻止して、鋼片に非金属介在物を混入させないことを目的としている。
具体的には、取鍋からタンディッシュへ溶鋼を注湯する際、取鍋のスライディングノズルを開孔してタンディッシュ外に備えた拾湯ポットにノズル詰め物や酸化鉄を含む取鍋からの初期溶鋼を予備カッティングして受け入れ、次いでスライディングノズルを半開孔にして筋漏れ状態の溶鋼を拾湯ポットからタンディッシュに移し、次いでスライディングノズルを全開にして取鍋から溶鋼をタンディッシュに注湯することとされている。
特許文献3は、出鋼口の初期閉塞を防止するために出鋼口に充填されている詰め砂による溶鋼汚染を防止することを目的としている。
具体的には、溶鋼の注入開始に際し、取鍋1の出鋼口をスライディングノズルの開放で詰め砂を排出して数秒後に出鋼口を閉塞する。同時に、出鋼口内の溶鋼を撹拌して凝固による閉塞を防止する。注入中の取鍋2の注入が完了したら、スイングタワーを旋回し、取鍋1を注入位置へ移動して注入を開始することとされている。
特許文献4は、鋼の連続鋳造において、予めスライディングノズル内の詰め物および初期溶鋼をタンディッシュ外で捨湯し、開いた注湯孔の溶鋼凝固による閉塞を防いで、取鍋をタンディッシュに移して溶鋼をタンディッシュへ注湯することを目的としている。
具体的には、タンディッシュ外で取鍋のスライディングプレートの注湯孔を開いて取鍋底部の注湯孔の詰め物と初期溶鋼をタンディッシュ外の捨湯ポットに捨湯し、スライディングプレートを閉め、スライディングプレートの上プレートを通じて上部のスライディングノズルの注湯孔から取鍋底部の注湯孔に不活性ガスを吹き込み、溶鋼凝固による注湯孔の閉塞の防止し、この取鍋をタンディッシュの注湯位置へ移してロングノズルをタンディッシュ内に装着し、上プレートの注湯孔と下プレートの注湯孔を連通してタンディッシュへ注湯を開始することとされている。
特許文献5は、スライディングノズルを閉じた状態で溶鋼をタンディッシュ内に注ぎ上げる時間を長くすることができることを目的としている(タンディッシュのクローズドスタート)。
具体的には、タンディッシュ内の溶鋼をその底部に設けられた溶鋼流出口から上ノズル、スライディングノズルおよび浸漬ノズルを介して鋳型に供給して連続的に鋳造を行うにあたり、上ノズルの内部にヒーターを設け、そのヒーターにより前記上ノズルを800℃以上に加熱するか、スライディングノズルの内部にヒーターを設け、そのヒーターによりスライディングノズルを500℃以上に加熱し、または、スライディングノズルを介して600℃以上に加熱したガスを溶鋼に供給して溶鋼を撹拌しながら、スライディングノズルを閉じた状態で前記タンディッシュ内に溶鋼を注ぎ上げ、その後スライディングノズルを開いて鋳造を開始することとされている。
特許文献6は、連続鋳造における鋳造初期の鋳片の低品質を改善するとともに、危険性の高いタンディッシュの強制開孔作業を皆無とすることを目的としている。
具体的には、外底部にスライディングノズルを備えるタンディッシュを使用し、鋳造開始初期に受湯した溶鋼を長時間保持した後に、スライディングノズルの開孔に伴い自然開孔させて鋳型へ溶鋼を注湯するタンディッシュにおける湯溜め自然開孔方法であって、受湯前の上ノズルなどのノズル耐火物を予め950℃以上の高温状態に保持し、次いで溶鋼を所定量受湯するとともに、スライディングノズルのスライドプレートの上面より不活性ガスを噴出することとされている。
特許文献7は、湯道の溶鋼凝固が防止でき、溶鋼注入速度の低下が避けられ、溶鋼温度低下などによる品質への悪影響を防止することを目的としている。
具体的には、スライディングノズル開孔時、ノズルへのガスバブリング停止から開口、閉塞時、閉塞からノズルへのガスバブリングまでの時間を60秒以内でそれぞれ切り替えることとされている。
特開平7-060419号公報 特開2003-285143号公報 特開平4-228247号公報 特開2012-020333号公報 特開2000-210761号公報 特開平5-111742号公報 特開昭56-139274号公報
しかしながら、図1に示す「(2)取鍋移動」を実施している間に、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5内の溶鋼2が固まってしまった場合、次の(3)の工程において、注入孔13の真上の位置で上ノズル5が自然に再開孔することができない。
このようになってしまった場合、酸素を取鍋1の上ノズル5内に吹き付けて、凝固殻を溶解させて開孔させるが、このときFe+O→FeOの反応が起こる。このFeOがタンディッシュ3内の溶鋼2に混入してしまうと、品質に悪影響を及ぼす虞がある。
従って、注入孔13の真上の位置で、上ノズル5を確実で且つ自然に再開孔させることが課題となってくる。
さて、特許文献1においては、ノズル、或はスライディングノズルプレート部分に温度検出端を埋込むための取鍋整備作業が増大したり、温度検出端をモニタ等に出力/接続するための準備が必要となり、鋳造準備の作業負荷が増大する虞がある。
また、特許文献2においては、筋漏れ状態の溶鋼を移すために、安全上、溶鋼飛散を確実に防止できる溶鋼樋を設置する必要があり、既存設備において実施が困難である。また、筋漏れた溶鋼の分だけ、歩留が悪化する虞がある。
特許文献3、4においては、捨て湯する時間や閉塞時間(バブリング時間)が明確とはなっていないので、ノズルを確実に再開孔することができる条件が全く不明である。
すなわち、特許文献1~4は、上記した課題の「タンディッシュ3の注入孔13上での上ノズル5の自然再開孔」が実現できる技術ではないと考える。
なお、特許文献5~7は、捨て湯の操業に関する技術ではないので、本発明が対象とする技術とは異なる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、タンディッシュ内の溶鋼に、詰め物や酸素開孔FeOなどの汚染源を混入させないために、事前に汚染源を含む溶鋼を排出する「捨て湯の操業」において、捨て湯の時間とスライドバルブを閉めている時間との関係を定量化することで、捨て湯後において、取鍋に設けられたノズル内の溶鋼の凝固を防ぎ且つ、そのノズルがタンディッシュ上で自然で且つ確実に再開孔することができる捨て湯の操業方法を提供する。
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明にかかる捨て湯の操業方法は、取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ排出する前工程であって、前記取鍋に設けられているスライドバルブを開にして、詰め物を含む溶鋼を所定の容器に排出し、その後前記スライドバルブを閉めて、前記取鍋に設けられているノズル内の前記溶鋼に対して不活性ガスを吹き込み、前記取鍋を前記タンディッシュの上方に移動させて、前記スライドバルブを開にして、前記溶鋼を前記タンディッシュに注ぎ込む捨て湯の操業に関し、前記捨て湯の時間Teを、30秒以上に設定しておいて、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、以下の式(1)を満たすことを特徴とする。
Tsv≦0.8Te ・・・(1)
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後のスライドバルブの閉時間(s)
本発明によれば、タンディッシュ内の溶鋼に、詰め物や酸素開孔FeOなどの汚染源を混入させないために、事前に汚染源を含む溶鋼を排出する「捨て湯の操業」において、捨て湯の時間とスライドバルブを閉めている時間との関係を定量化することで、捨て湯後において、取鍋に設けられたノズル内の溶鋼の凝固を防ぎ且つ、そのノズルがタンディッシュ上で自然で且つ確実に再開孔することができる。
捨て湯の操業方法の概要を模式的に示した図である。 捨て湯の操業方法のフローを示した図である。 溶鋼を取鍋からタンディッシュへ注入する初期時における溶鋼の汚染源による上ノズルの状況を模式的に示した図である。 スライドプレート(下プレート)に設けられた貫通孔と、ボトムプレート(上プレート)に設けられた貫通孔との位置関係を模式的に示した図である。 上ノズルの再開孔の可否について、模式的に示した図である。 スライドバルブの動作方法の一例を模式的に示した図である。 スライドバルブの各動作ステージ(1)~(6)における差分の取り方を示した図である。 差分に用いる要素記号を示した図である。 スライドバルブの全閉時における差分の要素の求め方を示した図である。 通し湯時における差分の要素の求め方を示した図である。 スライドバルブの全開時における差分の要素の求め方を示した図である。 捨て湯の時間Teと、捨て湯後のスライドバルブ(SV)の閉時間Tsvとの関係を示した図である(再開孔時のスライドプレート(メッシュNo.15)の温度)。
以下、本発明にかかる捨て湯の操業方法の実施形態について、図を参照して説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。
本発明にかかる捨て湯の操業方法は、取鍋1内の溶鋼2をタンディッシュ3へ排出する前に予め、所定の容器4(捨て湯ポット)に、品質に影響を与える詰め物など汚染源を含む溶鋼2aを所定量排出する捨て湯を行うに際して、捨て湯の操業条件を規定したことを特徴としている。
すなわち、本発明は、捨て湯の操業に際して、捨て湯を行うときの時間Teと、捨て湯後のスライドバルブ6を閉めている閉時間Tsvとの関係を定量化することにより、捨て湯後に溶鋼2をタンディッシュ3へ排出するときに、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5が自然で且つ確実に再開孔することができるようにした。
さて、取鍋1は、転炉から出鋼された溶鋼2を受けて、次の工程である溶鋼処理~連続鋳造設備に搬送するための容器である。取鍋1は、上方が開口された有底筒状の容器であって、最外側に鉄皮14が備えられている。その鉄皮14の内側には、耐火物15が施工されている。また、取鍋1の底部には、溶鋼排出部が設けられている。その溶鋼排出部は、上ノズル5と、スライドバルブ6と、下ノズル7とを有している。
図1、図3などに示すように、上ノズル5(インサートノズル)は、取鍋1の内部に装入された溶鋼2を排鋼する筒状の部材であり、その取鍋1の底部2に取り付けられている。上ノズル5は、上下方向に貫通した貫通孔5aを有し、耐火物で形成されている。この上ノズル5の下面には、凹部が形成されている。この凹部には、スライドバルブ6のボトムプレート8に形成されている凸部が嵌入される。すなわち、上ノズル5の下側には、スライドバルブ6が取り付けられている。
スライドバルブ6は、取鍋1の下端に取り付けられていて、溶鋼2の排出を制御する部材である。詳しくは、スライドバルブ6は、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5と、その上ノズル5の下方に間隔を空けて配備された筒状の下ノズル7との間に配備されていて、筒状の上ノズル5と下ノズル7とを連通可能とするものである。
スライドバルブ6は、ボトムプレート8(上プレート)とスライドプレート9(下プレート)が積層された状態で構成されたプレート状耐火物である。
ボトムプレート8は、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5に取り付けられている。ボトムプレート8には、上下方向に貫通した貫通孔8aが形成されている。この貫通孔8aの周囲は、上方に凸形状とされている。その凸部が上ノズル5の下面に形成されている凹部に嵌合されることで、ボトムプレート8が取鍋1の下端に固定される。
一方、スライドプレート9は、ボトムプレート8の下面側に接するように配備されている。スライドプレート9には、上下方向に貫通した貫通孔9aが形成されている。この貫通孔9aは、貫通孔8aの内径と略同じ内径とされている。
このスライドプレート9は、一端側に油圧シリンダ10が設けられていて、その油圧シリンダ10の駆動により、ボトムプレート8の下面を水平方向に摺動(スライド)する。
なお、スライドプレート9には、上ノズル5内の溶鋼2に対して不活性ガス12を吹き込むパイプ11が設けられている。
このスライドプレート9の下側には、下ノズル7が配備されている。
下ノズル7(チェンジノズル)は、取鍋1の内部から排出されてきた溶鋼2を下方に案内する筒状の部材であり、スライドバルブ6の下方に配備されている。下ノズル7は、上下方向に貫通した貫通孔7aを有し、耐火物で形成されている。この下ノズル7は、スライドバルブ6が開くことにより、上ノズル5と連通可能とされている。
例えば、スライドバルブ6を開く場合、貫通孔9aが貫通孔8aに近づく方向に、油圧シリンダ10の駆動によりスライドプレート9を水平方向に摺動させて、スライドプレート9の貫通孔9aとボトムプレート8の貫通孔8aとを略一致させて連通状態にする。これにより、スライドバルブ6が完全に開かれる。
例えば、スライドバルブ6を閉める場合、貫通孔9aが貫通孔8aから離れる方向に、スライドプレート9を水平方向に摺動させて、貫通孔9aを貫通孔8aから所定の距離だけ離れさせる。すると、ボトムプレート8の貫通孔8aが、スライドプレート9の面により塞がれることとなる。これにより、スライドバルブ6が完全に閉まることとなる。
このように、スライドバルブ6を開閉することにより、取鍋1と外部とを連通状態にしたり、非連通状態にすることが可能となる。
以下、本発明にかかる捨て湯の操業方法について、詳しく述べる。
図1に、捨て湯の操業の概要を模式的に示す。
図2に、捨て湯の操業のフローを示す。
図1、図2に示すように、取鍋1内の溶鋼2を、連続鋳造設備のタンディッシュ3へ排出する前に、予め取鍋1から溶鋼の一部2aを排出する「捨て湯」という操業が行われている。
この「捨て湯」の操業とは、そのタンディッシュ3に溶鋼2を排出する際、詰め物(例えば、鍋砂や鉄粉などの充填物)や、酸素開孔時に生成したFeOなどの汚染源が、タンディッシュ3に混入してしまうことを防ぐための事前準備作業である。
捨て湯の操業として、まず「(1)捨て湯」を行う。
すなわち、図1、図2に示す「(1)捨て湯」では、溶鋼2が装入された後、スイングタワー(図示せず)に載せられた取鍋1を捨て湯の位置に移動させる。その捨て湯の位置にて、取鍋1の下部に設けられたスライドバルブ(SV)6を開いて、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5を開孔して、タンディッシュ3とは別の容器(捨て湯ポット4)に、溶鋼2の汚染源となる詰め物が含まれている初期溶鋼2aを所定量排出する。
初期溶鋼2aを排出した後、スライドバルブ6を閉めて、溶鋼2の流出を止める。
次に、「(2)取鍋移動」を行う。
すなわち、図1、図2に示す「(2)取鍋移動」では、取鍋1を捨て湯ポット4の上方からタンディッシュ3の上方へ移動させる。その取鍋1をスイングタワーで旋回させる際には、溶鋼2を流出させないため、スライドバルブ6は閉めたままとする。
スライドバルブ6を閉めている間においては、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5内の溶鋼2に対して、不活性ガス12(例えば、Arなど)を吹き込んでいる。
この不活性ガス12の吹き込みは、上ノズル5内で溶鋼2が固まらないようにするためであり、スライドプレート9(下プレート)に設けられているパイプ11から行っている。なお、不活性ガス12の吹き込み量は、30Nl/min~300Nl/minである。
続いて、「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」を行う。
すなわち、図1、図2に示す「(3)タンディッシュ上の注入位置で再開孔」では、取鍋1の上ノズル5がタンディッシュ3に設けられている注入孔13の真上の位置に来るように移動させる。取鍋1をタンディッシュ3の上方に移動させた後、スライドバルブ6を再び開いて上ノズル5が自然に再開孔することにより、溶鋼2をタンディッシュ3内に注ぎ込む。
ここで、溶鋼2を取鍋1からタンディッシュ3へ注入する初期時において、上ノズル5内に存在する溶鋼2の汚染源の状況と、それによる影響について説明する。
図3に、上ノズル5内に存在する溶鋼2の汚染源の状況を模式的に示す。
図3の左図の場合、取鍋1の底部の上ノズル5において、鉄粉詰めがされており、溶鋼2に接触する部位の下側では凝固層が形成されるので、スライドバルブ6を開いても上ノズル5が閉塞されているので、溶鋼2は自然に落下しない。
この場合、酸素を上ノズル5内に吹き付けて、凝固殻を溶解させて開孔させる。しかしこのとき、酸化鉄(FeOx)が生じる。その酸化鉄(FeOx)がタンディッシュ3に流入してしまうと、品質に悪影響を及ぼす虞がある。
図3の右図の場合、取鍋1の底部の上ノズル5において、溶鋼2の自重で詰め砂の焼結層が破壊されて、タンディッシュ3内に溶鋼2が落下する。すなわち、スライドバルブ6を開くと、上ノズル5が自然に開孔されることとなる。
しかしながら、Cr2O3-SiO2の一部がタンディッシュ3に装入された溶鋼2内に流入してしまい、品質に悪影響を及ぼす虞がある。
このことより、本発明においては、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定している。
次に、溶鋼温度T(℃)と液相線温度TLL(℃)について、述べる。
溶鋼温度T(℃)は、取鍋1内の溶鋼温度である。溶鋼2の測温タイミングについては、連続鋳造工程の前工程である溶鋼処理工程における処理終了の数分前としている。また、溶鋼処理については、一般的な溶鋼処理方法(例えば、取鍋精錬、真空脱ガスなど)としている。また、溶鋼処理終了から捨て湯を開始するまでの時間は、20分~40分程度である。
液相線温度TLL(℃)について、本実施形態においては、「第3版,鉄鋼便覧I基礎,日本鉄鋼協会編,(1981),205.」に記載されている川和の式 (下式)を使用した。
TLL=1536-{78[mass%C]+7.6[mass%Si]+4.9[mass%Mn]+34.4[mass%P]+38[mass%S]+3.1[mass%Ni]+1.3[mass%Cr]+3.6[mass%Al]}
これにより、本発明においては、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」を、30≦ΔT≦70の範囲内としている。
さらに、本発明は、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定し、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、以下の式(1)を満たすこととしている。
Tsv≦0.8Te ・・・(1)
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後にスライドバルブ6を閉めている時間(s)
捨て湯の時間Te(s)は、捨て湯の開始から終了までの時間であって、詰め物などの汚染源を含む初期溶鋼2aの流出開始のタイミングから、その初期溶鋼2aの流出停止のタイミングまでの時間である(図2参照)。
捨て湯後にスライドバルブ6を閉めている時間(捨て湯後のSV閉時間)Tsv(s)は、捨て湯の終了からタンディッシュ3上にて溶鋼2の排出を開始するまでの時間であって、初期溶鋼2aの流出停止のタイミングから、上ノズル5が自然に再開孔して溶鋼2の流出開始のタイミングまでの時間である(図2参照)。
また、式(1)に関して、捨て湯の時間Teが長く、捨て湯後のSV閉時間Tsvが短いほど、取鍋1から溶鋼2をタンディッシュ3へ排出する際に、上ノズル5が自然に再開孔しやすくなる。なお、この式(1)の詳細については、以下の実施例で説明する。
ここで、スライドバルブ6の全閉位置及び全開位置について説明する。
すなわち、スライドプレート9(下プレート)に設けられた貫通孔9aと、ボトムプレート8(上プレート)に設けられた貫通孔8aとの位置関係について説明する。
図4に、貫通孔9aと貫通孔8aとの位置関係を模式的に示す。
図4に示すように、スライドバルブ6を閉めたとき、スライドプレート9の貫通孔9aは、ボトムプレート8の貫通孔8aから離れた全閉位置にある。
その全閉位置の状態からスライドバルブ6の開動作を始めると、スライドプレート9は油圧シリンダ10の駆動により、貫通孔8aに向かってボトムプレート8の下面を水平方向に摺動(スライド)する。スライドプレート9は、二つの貫通孔8aと貫通孔9aとが一致する、すなわち全開位置になるまで摺動する。
ところで、スライドバルブ6の開動作を開始すると、スライドプレート9が摺動距離Lを移動することとなるので、貫通孔9aが貫通孔8aと重なって連通状態となるまで時間がかかる。すなわち、スライドバルブ6の開動作を始めてから、溶鋼2が外部へ流出するまでの間に時間差が生じることとなる。
つまり、図2に示す「SV開動作開始」から「SV開、溶鋼流出」までの時間が、スライドバルブ6を開くために行うスライドプレート9の移動時間(スライドプレート9の摺動距離L)となる。
一方で、全開位置の状態からスライドバルブ6の閉動作を始める場合でも、貫通孔9aが貫通孔8aから離れて、貫通孔8aがスライドプレート9の面により閉塞されるまで時間がかかる。すなわち、スライドバルブ6の閉動作を始めても、溶鋼2の流出が止まるまでの間に時間差が生じることとなる。
従って、図2に示す「SV閉動作開始」から「SV閉、溶鋼流停止」までの時間が、スライドバルブ6が閉めるために行うスライドプレート9の移動時間(スライドプレート9の摺動距離L)となる。
なお、スライドプレート9の貫通孔9aと、ボトムプレート8の貫通孔8aの形状や位置関係に関しては、以下のようにすることが好ましい。
スライドプレート9の孔径(内径)φ=65mm~90mmが好ましい。また、スライドバルブ6を閉めたときの二つの貫通孔8aと貫通孔9aとの間における水平方向の距離、すなわちスライドプレート9の摺動距離L=200mm~300mmが好ましい(図4、表1など参照)。
[実施例]
以下に、本発明にかかる捨て湯の操業方法に従って実施した実施例について説明する。
表1に、本実施例の実施条件を示す。
Figure 0007172003000001
なお、本実施例を評価する定義については、上ノズル5の再開孔の可否とした。
図5に、上ノズル5の再開孔の可否について模式的に示す。
図5に示すように、上ノズル5の再開孔の可否については、捨て湯後にスライドバルブ6を開いたときの溶鋼2の流出状況を目視で判断することとした。
具体的には、下ノズル7から排出される溶鋼2の状況を、その下ノズル7の下端を目視することで、上ノズル5の再開孔の可否を判断することとした。
図6に、スライドバルブ6の動作方法の一例を模式的に示す。
図6に示すように、動作ステージ(1)は、スライドバルブ6を全閉させている状況である。
動作ステージ(2)は、スライドバルブ6を全開にして、汚染源が含まれる初期溶鋼2aを、捨て湯ポット4に排出している状況である。
動作ステージ(3)は、一度スライドバルブ6を絞って、初期溶鋼2aを通過させる「通し湯」を行っている状況である。
この「通し湯」とは、スライドプレート9を閉める方向にスライドさせて、貫通孔5aと貫通孔7aとが連通している内径を小さく絞って、スライドプレート9の上面に溶鋼2を接触させて熱する工程である。このスライドプレート9の上面を熱しておくことで、スライドバルブ6を閉じたとき、溶鋼2の温度低下が抑えられる。つまり、上ノズル5内の溶鋼2の凝固を防ぐものとなっている。
動作ステージ(4)は、再びスライドバルブ6を全開にして、初期溶鋼2aを捨て湯ポット4に排出している状況である。
なお、上記の動作ステージ(2)~(4)は、「捨て湯」の期間である。
動作ステージ(5)は、取鍋1をタンディッシュ3上へ移動させるため、スライドバルブ6を全閉させている状況である。
動作ステージ(6)は、タンディッシュ3上にてスライドバルブ6を開いて、取鍋1の底部に設けられた上ノズル5が自然に再開孔することにより、溶鋼2をタンディッシュ3へ排出している状況である。
なお、本実施例では、スライドバルブ6(スライドプレート9)の温度推移を、二次元非定常伝熱計算により算出した。
図7に、スライドプレート9の各動作ステージ(1)~(6)における差分の要素イメージを示す。
図7に示すように、本実施例では、スライドプレート9を上下二層に分け、それぞれ15メッシュに分割して計算を行った。スライドプレート9の上側をメッシュ(No.1~No.15) とし、スライドプレート9の下側をメッシュ(No.16~No.30)とした。
また、差分については、以下の通りである。
境界条件として、スライドプレート9への入熱は溶鋼2のみからとし、抜熱はないものと設定する。また、要素記号については、図8に示す通りとする。
図9に、スライドバルブ6の全閉時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
図9に示す要素(1)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)
要素(3)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)
要素(5)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=2λ/Δy・(T0-Tp)・Δy・Δt+λ/Δx・(Tw+TE-2・Tp)・Δy・Δt
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+2λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(T0-Tp)
図10に、通し湯時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
図10に示す要素(1)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δx・(T0-Tp)+h・Δt・Δy・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ)・(1/Δx+1/Δy)・(T0-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(TN-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δy・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δx)・(T0-Tp)
要素(3)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw+TE-2・Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δx・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δy)・(T0-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)
要素(5)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw+TE-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)
なお、スライドバルブ(SV)6を全開させたときの排出溶鋼流速V(m/s)を任意に定め、この排出溶鋼流速Vに対応した熱伝達係数hを、以下に示す式より求める。
ただし、スライドバルブ6を絞った場合の排出溶鋼流速Vについては、スライドバルブ6を全閉したときの流速を0とし、その流速0と全開時の流速との間で線形近似を行う。
h(W/m2/K)=1.22×105×V0.8
図11に、スライドバルブ6の全開時におけるスライドプレート9の温度推移の求め方の一例を示す。
図11に示す要素(1)に関しては、以下の通りである。
C・ρ・Δx・Δy・[Tp(t+Δt)-Tp(t)]=λ/Δx・(Tw-Tp)・Δy・Δt+λ/Δy・(Ts-Tp)・Δx・Δt+h・Δt・Δy・(T0-Tp)
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(Ts-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δx)・(T0-Tp)
要素(2)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(Tw-Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)+h・Δt/(C・ρ・Δx)・(T0-Tp)
要素(3)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(TE+Tw-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TS-Tp)
要素(4)に関しては、以下の通りである。
Tp(t+Δt)=Tp(t)+λ・Δt/(C・ρ・Δx2)・(TE+Tw-2・Tp)+λ・Δt/(C・ρ・Δy2)・(TN-Tp)
なお、本実施例においては、スライドプレート9の耐火物の物性値に関し、耐火物便覧より、既存の値を使用した。
表2に、スライドプレート9の耐火物の物性値を示す。
Figure 0007172003000002
また、評価する部位については、スライドプレート9の上側のメッシュNo.15(図7参照)の温度を計算した。メッシュNo.15は、スライドプレート9をスライドさせて開にしたときに、最初に溶鋼2が流出する部位である。すなわち、メッシュNo.15は、溶鋼2と接触する時間が最も長い部位である。
表3に、上ノズル5の再開孔の可否、液相線温度TLL(℃)、「ΔT(℃)=溶鋼温度T-液相線温度TLL」、捨て湯の時間Te(秒)、捨て湯後のスライドバルブ(SV)6の閉時間Tsv(秒)、上ノズル5の再開孔時におけるメッシュ(No.15)の温度(℃)、スライドプレート9の内径(孔径)φ(mm)、スライドプレート9のストローク量(摺動距離L)(mm)を示す。
Figure 0007172003000003
図12に、捨て湯の時間Te(s)と、捨て湯後のSVの閉時間Tsv(s)との関係をまとめたも
の示す。なお、図12中の温度は、上ノズル5の再開孔時におけるメッシュNo.15の温度である。
図12に示すように、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定し、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が30≦ΔT≦70の範囲内において、式(1)のTsv≦0.8Teを満足するように、捨て湯の時間Te(s)と、捨て湯後のスライドバルブ6の閉時間Tsv(s)を決定すると、スライドバルブ6を開いて、取鍋1から溶鋼2をタンディッシュ3へ排出するときに、上ノズル5を自然で且つ確実に再開孔させることができる。
まとめると、本発明の捨て湯の操業方法は、取鍋1内の溶鋼2を連続鋳造設備のタンディッシュ3に排出する前の工程であって、取鍋1の下部に設けられているスライドバルブ6を開いて、詰め物(鍋砂や鉄粉などの充填物)などの汚染源を含む初期溶鋼2aを、捨て湯ポット4(所定の容器)に排出する「捨て湯」を行い、その後スライドバルブ6を閉めて、当該スライドバルブ6から取鍋1の底部に設けられた上ノズル5内の溶鋼2に対して不活性ガス12(例えば、Arなど)を吹き込み、取鍋1をタンディッシュ3の上方に移動させて、スライドバルブ6を再び開いて、溶鋼2をタンディッシュ3に注ぎ込む「捨て湯の操業」に関し、捨て湯の時間Teを30秒以上と設定し、「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、以下の式(1)を満たすこととしている。
Tsv≦0.8Te ・・・(1)
ただし、Te:捨て湯の時間(s)
Tsv:捨て湯後のスライドバルブ6の閉時間(s)
以上、本発明によれば、タンディッシュ3内の溶鋼2に、詰め物や酸素開孔FeOなどの汚染源が混入することを防ぐため、その汚染源を含む初期溶鋼2aを捨て湯ポット4に、事前に排出する「捨て湯の操業」において、上記の式(1)などの規定を満足することで、捨て湯後において、取鍋1に設けられた上ノズル5内の溶鋼2の凝固を防ぎ且つ、その上ノズル5がタンディッシュ3上で自然で且つ確実に再開孔することができるようになる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 取鍋
2 溶鋼
2a 初期溶鋼
3 タンディッシュ
4 捨て湯ポット
5 上ノズル(インサートノズル)
5a 貫通孔
6 スライドバルブ
7 下ノズル(チェンジノズル)
7a 貫通孔
8 ボトムプレート(上プレート)
8a 貫通孔
9 スライドプレート(下プレート)
9a 貫通孔
10 油圧シリンダ
11 パイプ
12 不活性ガス
13 注入孔
14 鉄皮
15 耐火物

Claims (1)

  1. 取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ排出する前工程であって、
    前記取鍋に設けられているスライドバルブを開にして、詰め物を含む溶鋼を所定の容器に排出し、その後前記スライドバルブを閉めて、前記取鍋に設けられているノズル内の前記溶鋼に対して不活性ガスを吹き込み、前記取鍋を前記タンディッシュの上方に移動させて、前記スライドバルブを開にして、前記溶鋼を前記タンディッシュに注ぎ込む捨て湯の操業に関し、
    前記捨て湯の時間Teを、30秒以上に設定しておいて、
    「溶鋼温度T-液相線温度TLL=ΔT(℃)」が、30≦ΔT≦70の範囲内において、
    以下の式(1)を満たすことを特徴とする捨て湯の操業方法。
    Tsv≦0.8Te ・・・(1)
    ただし、Te:捨て湯の時間(s)
    Tsv:捨て湯後のスライドバルブの閉時間(s)
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