JP7166836B2 - 測定装置 - Google Patents
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このクランプメータは、電流センサ10と測定装置本体20とを備え、測定用途に応じて、電流センサ10が選択されて測定装置本体20に接続される。電流センサ10としては、測定対象電線の周りに環状に配置される閉鎖磁路を形成する磁気コアと磁気コアの磁気を検出するホール素子や検出コイルからなる磁気センサとを備えたものがある。また、ケーブルタイプのフレキシブル電流センサもある。
測定装置本体20は、電流センサ10の出力が入力される増幅器21と、この増幅器の出力が入力されるローパスフィルタ(LPF)22と、増幅器21の出力、または、ローパスフィルタ22の出力とを選択するスイッチ23と、このスイッチ23の出力が入力されるアナログディジタル変換器(A/D)24とを備える。また、測定装置本体20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit )26と、プログラムあるいはデータ、演算結果等を記憶するメモリ27と、CPU26にインタフェース(I/0)28を介して接続されている操作部31と、通信部32と、表示部(LCD)33と、音響出力部34とを備えている。
電流センサ10から出力される信号は、増幅器21で増幅され、分岐した一方の信号は、スイッチ23の一方の入力端子に、分岐した他方の信号は、ローパスフィルタ22を通過して商用周波数に対して高い周波数成分が除去されてスイッチ23の他方の入力端子に入力される。スイッチ23は、増幅器21の出力、または、ローパスフィルタ22の出力の一方を選択して、その出力は、アナログディジタル変換器24に入力される。ローパスフィルタ22は、カットオフ周波数をたとえば150Hzまたは180Hzとするフィルタで、商用周波数成分を通過させ、商用周波数に混入した高調波などの高い周波数成分を除去するフィルタである。なお、以下で符号22で示されるローパスフィルタは、単にフィルタと略することがある。
アナログディジタル変換器24は、入力された信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号をCPU26に出力する。CPU26は、メモリ27に記憶されているプログラムに基づいて、アナログディジタル変換器から入力されたディジタル信号を演算して、測定対象電線の電流値を演算する。この出力は、インタフェース28を介して、表示部33に表示され、また演算された測定値は、メモリ27にも記憶される。また、入力された信号は、たとえば移動平均値などを演算して測定値を演算するために、メモリ27に記憶される。操作部31は、各種設定、操作の入力を行う。通信部32は、たとえばブルートゥース(Blue tooth 登録商標)により外部に測定値等の情報を出力することを可能とする。また、音響出力部34は、各種操作等の音響を出力することができる。
このようなクランプメータについては特許文献1に記載されている。
近年の各種電気機械器具の電源部には、インバータを備えており、電源線には、インバータによって生ずる高調波による商用周波数より高い周波数成分が混入することがある。また、電源でのUPSなどの利用も、電源線に高い周波数の高調波成分が混入する原因となっている。
このような、高い周波数成分を含めて測定対象電線に流れる電流として検出すると、測定目的によっては、不正確な測定となることがある。
たとえば、漏れ電流測定で、商用周波数成分に加えて、高い周波数成分を含めた電流値として検出すると、本来の漏れ電流の値より、測定電流値は大きくなる。一方、漏れ電流は、商用周波数成分について地絡が生じている現象であるので、高い周波数成分も含めて検出すると、漏れ電流値として検出した値が大きくなりすぎて、正確な漏れ電流値とならない。このため、上述のように、50Hzまたは60Hzの商用電源周波数帯域を通過させ、高い周波数成分をカットするように、カットオフ周波数を150Hzあるいは180Hzとするローパスフィルタが設けられている。
図6の従来例のクランプメータと比較すると、スイッチ23を設けることなく、増幅器21の出力をそのままアナログディジタル変換を行うアナログディジタル変換器24と、ローパスフィルタ22の出力をそのままアナログディジタル変換するアナログディジタル変換器25とを備えており、ふたつのアナログディジタル変換器24、25の出力が並列して同時にCPU26に入力され、フィルタ22を介した信号とフィルタ22を介さない信号の両者から測定値を演算して、比較する構成である点が相違している。
次にこの本発明の実施の形態のクランプメータの第一の使用形態の動作を説明する。
まず、フィルタ機能の設定の必要性の報知をする例を図2に基づいて説明する。なお、このフィルタ機能の設定は、作業者が操作部31を介してフィルタの設定を行う例であり、スイッチを操作することなく、フィルタ機能の設定を行う例で説明する。
まず、フィルタを介した信号による電力の実効値×αが、フィルタを介さない信号による電力の実効値より小さい場合に差があると判定する。
フィルタオン実効値×α<フィルタオフ実効値(αは任意に設定)
あるいは、フィルタを介した信号による電力の実効値からフィルタを介さない信号による電力の実効値を引いた値が、任意に設定されたβの値より大きい場合に差があると判定する。
|フィルタオン実効値-フィルタオフ実効値|>β(βは任意に設定)
このような条件を満たすときは、フィルタの設定を促す警告を行う(ステップS14)。この警告としては、たとえば表示部33に、「FILTER」の文字を表示して作業者にフィルタの設定を促すようにする。また、音響出力部34でブザー音を出力したり、フィルタを設定してくださいとの音声出力を行ってもよい。両者に差がないと判断した場合には、フィルタ設定の警告をしない(ステップS15)。
なお、フィルタ機能の設定は、操作部31を作業者が操作することで行うことができ、任意に設定することができる、α、βの値を入力するとともに、フィルタを介した信号による測定値を出力(あるいは記憶する)、フィルタを介さない信号による測定値を出力あるいは記憶する等の指示を行う。
つぎに、本発明の実施の形態のクランプメータを用いて、フィルタを介さない信号とフィルタを介した信号の両方の信号から演算した測定値の両方の測定値を表示する第二の使用の例を図3を参照して説明する。図1に示すクランプメータの構成では、フィルタを介した信号とフィルタを介さない信号の両方の信号がCPU26に入力されて、CPU26は、両方の信号から、測定値を演算することができる。この両方の測定値をクランプメータの表示部で表示することで、測定している作業者は、測定対象電線に流れている電流のフィルタありとフィルタなしの測定値を読み取ることが可能である。
作業者は、測定対象電線に電流センサ10をクランプして、測定開始指示を行う(ステップS21)。これにより、CPU26は、フィルタ22を介した信号とフィルタ22を介さない信号との両方の信号から電流値をそれぞれ演算する(ステップS22)。そして、CPU26は、演算した結果の両方の測定値を、表示部33に、フィルタオン、フィルタオフの表示をして、表示する(ステップS23)。
第二の使用の形態では、フィルタオンの状態の測定値とフィルタオフの状態の測定値とを表示するようにしたが、両者の差分を表示することもできる。
作業者は、測定対象電線に電流センサ10をクランプして、測定開始指示を行う(ステップS31)。これにより、CPU26は、フィルタ22を介した信号とフィルタ22を介さない信号との両方の信号から電流値をそれぞれ演算して、両者の差分を演算する(ステップS32)。そして、CPU26は、演算したフィルタオンとフィルタオフとの測定電流値の差分を表示部33に表示させる。
本発明のクランプメータは、電流センサからの測定信号がフィルタを介さない測定信号とフィルタを介した測定信号の両方の信号が並列してCPU26に入力されて演算処理が行われる。CPU26に波形解析などの解析機能があれば、波形解析や周波数成分の解析を行って、その結果を表示することができる。
それにより、どの程度の商用周波数を超える高い周波数成分が混入しているかを計測することが可能である。たとえば、そのような解析として、漏れ電流の歪み波形の解析、混入した高調波の解析などをすることができる。
作業者は、測定対象電線に電流センサ10をクランプして、測定開始指示を行う(ステップS31)。これにより、CPU26は、フィルタ22を介した信号とフィルタ22を介さない信号との両方の信号から電流測定値をそれぞれ演算して比較する(ステップS42)。そして、作業者の指示により、商用周波数を超える高い周波数成分の混入があるので、周波数成分の解析を行い(ステップS43)、その結果を表示部33に表示する(ステップS44)。この高い周波数成分の表示は、フィルタを介さない信号の周波数解析を行って、周波数分布をグラフなどで表示する。
上述の実施の形態の説明は、測定対象電線の電流を計測するクランプメータを例として説明したが、電圧計、電力計などで実施できるのはいうまでもなく、また、センサを測定対象電線にクランプする測定装置に限られないことはいうまでもない。
20 測定装置本体
21 増幅器(AMP)
22 ローパスフィルタ(LPF)
23 スイッチ
24、25 アナログディジタル変換器(A/D)
26 CPU
27 メモリ
28 インタフェース(I/O)
31 操作部
32 通信部
33 表示部
34 音響出力部
Claims (4)
- 測定対象電線の漏れ電流を測定する測定装置であり、
クランプセンサが取得した測定対象電線の信号が入力され、この信号から前記測定対象電線を流れる電流値を演算する演算手段を含む信号処理部を有し、
前記信号が前記信号処理部に入力される経路には、商用周波数より高い周波数成分を除去するローパスフィルタを介して前記信号処理部に入力される経路と、前記ローパスフィルタを介さずに前記信号処理部に入力される経路とを有する、
測定装置であって、
前記ローパスフィルタを介さない信号と、前記ローパスフィルタを介した信号とが並列して前記信号処理部に入力され、
前記演算手段は、並列入力された前記ローパスフィルタを介さない信号から前記電流値を演算するとともに、前記ローパスフィルタを介した信号から前記電流値を演算し、
前記信号処理部は、前記ローパスフィルタを介さない信号からの前記電流値と前記ローパスフィルタを介した信号からの前記電流値とを比較する比較手段を有する、
ことを特徴とする測定装置。 - 請求項1記載の測定装置において、
前記信号処理部は、前記ローパスフィルタを介さない信号からの前記電流値と前記ローパスフィルタを介した信号からの前記電流値との差が所定値以上である場合には、ローパスフィルタ設定を促す報知を行う手段を有することを特徴とする測定装置。 - 請求項1または2に記載の測定装置において、
前記信号処理部は、前記ローパスフィルタを介さない信号からの前記電流値と前記ローパスフィルタを介した信号からの前記電流値との差が所定値以上である場合には、その旨を報知する、または、両方の電流値を出力することを特徴とする測定装置。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の測定装置において、
前記信号処理部は、前記ローパスフィルタを介さない信号からの前記電流値と前記ローパスフィルタを介した信号からの前記電流値との差の値を出力する手段を備える
ことを特徴とする測定装置。
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