JP2009198188A - 接地抵抗計 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定環境下におけるノイズの影響を抑制できると共に、計測時の温度にも影響を受けない、高精度で安定した接地抵抗の測定が可能な接地抵抗計を提供する。
【解決手段】マイコン11からのクロックに応じた周波数の計測信号を接地電極E−電流補助電極Cに流し、出力電流検出回路15および差動演算器14を介して得た計測電流Iを電流測定用A/Dコンバータ15でディジタル値に変換してマイコン11へ供給し、電位補助電極Pと接地極Eとの間の電位差を電圧測定用A/Dコンバータ17によってディジタル値に変換し、この計測電圧信号をDSP18の高速フーリエ変換処理機能により周波数毎の信号強度に分解し、注入した計測信号の周波数から選択した計測電圧Vをマイコン11へ供給し、マイコン11において接地抵抗Rxを求め、LCD表示器11aに表示する。
【選択図】図1
【解決手段】マイコン11からのクロックに応じた周波数の計測信号を接地電極E−電流補助電極Cに流し、出力電流検出回路15および差動演算器14を介して得た計測電流Iを電流測定用A/Dコンバータ15でディジタル値に変換してマイコン11へ供給し、電位補助電極Pと接地極Eとの間の電位差を電圧測定用A/Dコンバータ17によってディジタル値に変換し、この計測電圧信号をDSP18の高速フーリエ変換処理機能により周波数毎の信号強度に分解し、注入した計測信号の周波数から選択した計測電圧Vをマイコン11へ供給し、マイコン11において接地抵抗Rxを求め、LCD表示器11aに表示する。
【選択図】図1
Description
本発明は、所要周波数の計測信号を注入して得られた入力信号を用いて接地抵抗を測定する接地抵抗計に関する。
従来より、交流電位降下法の原理に基づく接地抵抗計が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。これは、接地極Eと電流補助極Cとの間に交流電流を流し、電位補助電極Pと接地極Eとの間の電位降下(電位差)を測定し、大地に流した電流をI、E−P間の電位差をVとした場合、V/Iで接地抵抗Rxを求めることができるという原理を使ったものである。
川瀬太郎著,「地絡保護と接地技術」,第1版,オーム社,昭和60年12月,P.115−116
しかしながら、非特許文献1に記載された従来の接地抵抗計で精度の高い測定を行うには、商用電源周波数又はそのn次高調波が計測に及ぼす影響を除去する必要があり、さらには、近年に増加しているインバータ機器で生ずるノイズ(インバータ機器におけるインバータの周波数は種々ある。)も無視できなくなっている。
また、測定を開始する前に、どのような周波数成分のノイズがあるかを予め把握しておくことができれば、大きなノイズの周波数から遠い周波数を測定周波数に使用することで精度の高い測定を実現できるものの、非特許文献1に記載された従来の接地抵抗計では、測定周波数に関連する発振回路、バンドパスフィルタ、同期整流回路などの回路を、アナログ回路やタイミング回路等のハードウェアで実現しており、その中心周波数は、C・Rなどの部品の定数で決定されるため、単一の測定周波数とならざるを得ない。複数の測定周波数を備えた回路構成とすることも不可能ではないが、回路が複雑化し、軽量小型の可搬性を損なう。
さらに、非特許文献1に記載された従来の設定抵抗計を構成する発振回路、バンドパスフィルタなどは、一般的にコンデンサC、インダクタンスLや抵抗Rなどの個別部品で構成されたアナログ回路であり、特にコンデンサC、インダクタンスLは、温度により大きく特性が変化し、中心周波数が変化したり、フィルタの減衰特性が変化したりして、温度によって性能が劣化することが知られており、安定した高精度の接地抵抗計測を実現し難い。
そこで、本発明は、測定環境下におけるノイズの影響を抑制できると共に、計測時の温度にも影響を受けない、高精度で安定した接地抵抗の測定が可能な接地抵抗計の提供を目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、所要周波数の計測信号を注入して得られた入力信号を用いて接地抵抗を測定する接地抵抗計において、入力信号をディジタル値に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段によりディジタル値に変換された入力信号を各周波数毎の強度に分解する高速フーリエ変換処理が可能なディジタル信号処理手段と、を備え、注入した計測信号に対応する周波数成分に基づいて接地抵抗を測定するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載の接地抵抗計において、前記ディジタル信号処理手段は、接地に重畳した商用電源等のノイズである直列干渉電圧Ustを計測する機能と、直列干渉電圧Ustの各周波数毎の信号強度から、測定誤差に最も影響の大きい直列干渉周波数Fstを算出する機能を備え、直列干渉周波数Fstからの影響が少ない周波数を計測信号として用いるようにしたことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の接地抵抗計において、計測信号の注入および/または入力信号の取得に、クランプを用いることを特徴とする。
請求項1に係る接地抵抗計によれば、入力信号をディジタル値に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段によりディジタル値に変換された入力信号を各周波数毎の強度に分解する高速フーリエ変換処理が可能なディジタル信号処理手段と、を備え、注入した計測信号に対応する周波数成分に基づいて接地抵抗を測定するようにしたので、測定に必要な周波数の信号だけを取り出して、高精度の接地抵抗測定が行える。さらに、接地抵抗の計測にアナログフィルタ回路を用いないので、温度変化による特性の劣化が無く、精度の良い測定が可能となる。
また、請求項2に係る接地抵抗計によれば、前記ディジタル信号処理手段は、接地に重畳した商用電源等のノイズである直列干渉電圧Ustを計測する機能と、直列干渉電圧Ustの各周波数毎の信号強度から、測定誤差に最も影響の大きい直列干渉周波数Fstを算出する機能を備え、直列干渉周波数Fstからの影響が少ない周波数を計測信号として用いるようにしたので、レベルの大きな干渉電圧の周波数を避けて接地抵抗の測定を行うことができ、干渉電圧の影響を減らすことができる。
また、請求項3に係る接地抵抗計によれば、計測信号の注入および/または入力信号の取得に、クランプを用いるので、計測作業の効率を高めることが出来る。
次に、本発明に係る接地抵抗計の最良の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。本発明は、2線、3線、4線式ならびに大地比抵抗率を測定する接地抵抗計に適用できるが、最も標準的に使用される3線式接地抵抗計に適用した実施形態を説明する。また、信号の注入・検出に際しては、接続線を介して接地棒と接地抵抗計を接続しても良いし、クランプを用いて信号を注入したり、検出したりしても良い。クランプを用いれば、接地抵抗測定時に煩雑な作業が必要なくなるし、補助接地棒を用いず簡便に接地抵抗を測定できるという利点もある。
図1は、接地抵抗計1の概略構成図である。接地抵抗計測を統括的に行う統括制御手段としてのマイコン11によって発信器12の発振周波数を制御し、発信器12から接地極Eと電流補助極Cとの間に交流電流を流し、電位補助電極Pと接地極Eとの間の電圧降下(電位差)を測定する。なお、接地抵抗計1の使用に際して、使用者に各種の視覚情報を表示するために、マイコン11よりLCD表示器11aの表示制御を行い、使用者が操作する操作スイッチ11bからの入力をマイコン11が受ける。
接地極Eと接地極cとの間の電流出力回路には、抵抗を挿入してなる出力電流検出回路13を設け、この両端の電圧を測定することで、出力の電流Iを知ることができる。この電流Iを得るために、出力電流検出回路13の両端電圧を差動演算器14に入力し、差動演算器14より電流Iに比例した電圧を出力させ、この信号を電流測定用A/Dコンバータ15によりディジタル値に変換し、マイコン11へ入力する。これにより、マイコン11で電流Iを知ることが出来る。
なお、測定電流を流したとき、測定対象の抵抗が高い場合には電流補助極C−接地極E間の電圧が高くなり、ユーザーにとって危険となる電圧が発生する可能性があるため、出力モニター制限回路16を設けて出力電圧をモニターし、且つ所定電圧を超えないよう制限している。通常の場合、この制限電圧は50Vであるが、病院などの場合は25V以下にする。
一方、電位補助電極Pと接地極Eとの間の電位差は、電圧測定用A/Dコンバータ17によってディジタル値に変換され、ディジタル信号処理手段としてのDSP18へ入力される。このDSP18は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:以下、FFTという)処理機能を備え、ディジタル値に変換された電圧信号を各周波数毎の強度に分解する。例えば、発信器12から注入される交流信号(測定に使用する信号)が図2(a1)に示すような波形で、この計測時に影響するノイズが図に(a2)に示すような波形であった場合、両波形が合成された図2(b)に示すような信号が計測器に入ってくる。
この入力信号をDSP18によりFFT処理を行うと、図3に示すように、50Hz近辺のノイズ成分と98Hz近辺の計測信号とを分離して取り出すことが出来る。なお、注入信号の周波数はマイコン11よりDSP18に知らせることで、注入信号に対応した周波数の信号だけを選択することが可能となる。そして、電流測定用A/Dコンバータ15からの電流IとDSP18から電圧Vを受けたマイコン11は、接地抵抗Rxを計算し、LCD表示器11aに表示する。
上述したように、本実施形態に係る接地抵抗計1においては、測定に必要な周波数の信号だけを取り出し、測定に必要でない周波数の信号は無視できるレベルにまで減衰させるフィルタリング技術としてFFTを用いるので、アナログフィルタを用いずにノイズ周波数を除去して電圧測定を行うことが出来、温度の影響を受けない高精度の測定が可能である。
なお、注入信号の周波数がノイズと同一周波数または極めて近似していた場合、測定値に大きな誤差・変動が生ずる可能性があるものの、測定信号の周波数とノイズが数Hz程度相違していれば、FFTによって、ノイズの影響を受け難い測定が可能である。そこで、測定を開始する前に、測定場所・測定環境でのノイズ成分を把握しておき、影響の少ない測定周波数を選択することができれば、高精度の測定を確実に行うことが可能となる。
すなわち、本実施形態に係る接地抵抗計1においては、干渉ノイズの検出にFFTを使用することが出来るようにし、検出した干渉ノイズに応じて注入信号の周波数を適宜に変更することで、高精度の接地抵抗測定を確実に行える構成を採用した。
斯くするために、DSP18には、直列干渉電圧Ust測定機能と、直列干渉電圧Ustの各周波数毎の信号強度から、測定誤差に最も影響の大きい直列干渉周波数Fstを算出する機能とを付加した。なお、発信器12による注入信号の周波数は、マイコン11から発信器12への供給クロックを変更することで簡単に素早く様々な周波数に変更できるものとし、旧来の接地抵抗計の如く、複数の周波数で測定するために、それぞれの中心周波数に合わせたフィルタを複数用意する必要が無く、可搬性に優れた軽量小型の接地抵抗計を実現できる。
図4に示すのは、接地抵抗計1による接地抵抗測定処理の一例を示すフローチャートである。この接地抵抗測定処理によれば、レベルの大きな干渉電圧の周波数を事前に把握し、且つ、自動的にノイズの影響の少ない測定周波数を選択し、測定を完了させることが可能となる。
まず、操作スイッチ11bを利用者が操作することで測定ボタンが押下されたか否かを判定し(ステップS01)、測定ボタンが押下されると直列干渉電圧Ustの測定を行う(ステップS02)。続いて、測定した直列干渉電圧Ustが20Vよりも低いか否かを判定し(ステップS03)、直列干渉電圧Ustが20Vに達していた場合には、直列干渉電圧Ustが測定可能な限度値を超えた旨の警告表示をLCD表示器11aに表示し、接地抵抗測定処理を終了する。なお、本測定例では、制限電圧を20Vとしたが、測定環境等に応じて制限電圧を適宜に設定すれば良い。
一方、上記ステップS03において、測定した直列干渉電圧Ustが20Vよりも低いと判定された場合には、直列干渉周波数Fstを算出する(ステップS05)。この算出した直列干渉周波数Fstが62Hzよりも小さいか否かを判定し(ステップS06)、直列干渉周波数Fstが62Hzよりも小さいと判定された場合には、測定周波数Fmを111Hzにセットする(ステップS07)。上記ステップS06において、直列干渉周波数Fstが62Hz以上であると判定された場合には、続いて、直列干渉周波数Fstが115Hzよりも小さいか否かを判定し(ステップS08)、直列干渉周波数Fstが115Hzよりも小さいと判定された場合には、測定周波数Fmを128Hzにセットする(ステップS07)。上記ステップS08において、直列干渉周波数Fstが115Hz以上であると判定された場合には、測定周波数Fmを94Hzにセットする(ステップS10)。
上記のステップS07,S09,S10において、直列干渉周波数Fstの計測値に応じてセットされた測定周波数Fmを用いて接地抵抗測定を行い(ステップS11)、接地抵抗の測定結果をLCD表示器11aに表示し(ステップS12)、接地抵抗測定処理を終了する。
以上、本発明に係る接地抵抗計の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。
1 接地抵抗計
11 マイコン
11a LCD表示器
11b 操作スイッチ
12 発信器
13 出力電流検出回路
14 差動演算器
15 電流測定用A/Dコンバータ
16 出力電圧モニター回路
17 電圧測定用A/Dコンバータ
18 DSP
11 マイコン
11a LCD表示器
11b 操作スイッチ
12 発信器
13 出力電流検出回路
14 差動演算器
15 電流測定用A/Dコンバータ
16 出力電圧モニター回路
17 電圧測定用A/Dコンバータ
18 DSP
Claims (3)
- 所要周波数の計測信号を注入して得られた入力信号を用いて接地抵抗を測定する接地抵抗計において、
入力信号をディジタル値に変換するA/D変換手段と、該A/D変換手段によりディジタル値に変換された入力信号を各周波数毎の強度に分解する高速フーリエ変換処理が可能なディジタル信号処理手段と、を備え、注入した計測信号に対応する周波数成分に基づいて接地抵抗を測定するようにしたことを特徴とする接地抵抗計。 - 前記ディジタル信号処理手段は、接地に重畳した商用電源等のノイズである直列干渉電圧Ustを計測する機能と、直列干渉電圧Ustの各周波数毎の信号強度から、測定誤差に最も影響の大きい直列干渉周波数Fstを算出する機能を備え、直列干渉周波数Fstからの影響が少ない周波数を計測信号として用いるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の接地抵抗計。
- 計測信号の注入および/または入力信号の取得に、クランプを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接地抵抗計。
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- 2008-02-19 JP JP2008036958A patent/JP2009198188A/ja active Pending
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