JP7165721B2 - インフルエンザウイルス複製の阻害剤として有用なピロロピリミジン誘導体 - Google Patents

インフルエンザウイルス複製の阻害剤として有用なピロロピリミジン誘導体 Download PDF

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Description

本開示は、一般に、インフルエンザウイルス複製の阻害剤、およびインフルエンザ感染の治療または予防を必要とする患者に阻害剤を投与することによりインフルエンザ感染を治療または予防する方法に関する。
インフルエンザは季節的な流行で世界中に広がり、毎年数十万人、汎流行の年には数百万人が死亡する。例えば、20世紀には3つのインフルエンザ汎流行が発生し、数千万人が死亡し、これらの汎流行はそれぞれ、ヒトでの新しいウイルス株の出現によって引き起こされている。しばしば、これらの新しい株は、既存のインフルエンザウイルスが他の動物種からヒトに広がったことに起因する。
インフルエンザは主に、感染者が咳またはくしゃみをしたときに生じる大きなウイルスを含んだ液滴を介して人から人へと伝染される。次いで、これらの大きな液滴は、感染者の近くの(例えば、約6フィート以内の)感染を受けやすい個人の上気道粘膜表面に定着し得る。伝染は、インフルエンザウイルスで汚染された表面に触れ、次いで目、鼻、または口に触れるなど、気道分泌物との直接的な接触または間接的な接触によっても発生し得る。成人は、症状が出る1日前から症状が始まってから約5日後までにインフルエンザを他人に広めることが可能となり得る。小児および免疫系が弱っている人は、症状の発症後10日以上感染し得る。
インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス(Orthomyxoviridae)科のRNAウイルスであり、A型インフルエンザウイルス属、B型インフルエンザウイルス属、C型インフルエンザウイルス属、イサウイルス属、およびトゴトウイルス属の5つの属を含む。
A型インフルエンザウイルス属は、季節性インフルエンザおよび汎流行なインフルエンザ流行の原因である。A型インフルエンザウイルス属は、A型インフルエンザウイルスという1つの種を有しており、野生の水鳥は非常に様々なA型インフルエンザの自然宿主である。時には、ウイルスは他の種に伝染し、次いで家禽において壊滅的発生を引き起こし得、またはヒトインフルエンザ汎流行を引き起こし得る。A型ウイルスは、3つのインフルエンザ型の中で最も伝染性の高いヒト病原体であり、最も重篤な疾患を引き起こす。A型インフルエンザウイルスは、これらのウイルスに対する抗体応答に基づいて様々な血清型に細分化され得る。ヒトで確認されている血清型は、既知のヒト汎流行死者数によって順番が付けられ、H1N1(1918年にスペインのインフルエンザを引き起こした)、H2N2(1957年にアジアのインフルエンザを引き起こした)、H3N2(1968年に香港のインフルエンザを引き起こした))、H5N1(2007~2008年のインフルエンザ流行期における汎流行の脅威)、H7N7(異常な人畜共通感染能を有する)、H1N2(ヒトおよびブタにおける風土病)、H9N2、H7N2、H7N3、およびH10N7である。
B型インフルエンザウイルス属は季節性インフルエンザの原因であり、B型インフルエンザウイルスという1つの種を有する。B型インフルエンザはほぼ例外なくヒトに感染し、A型インフルエンザよりも一般的ではない。B型インフルエンザ感染を受けやすいことが既知である他の動物はアザラシのみである。この型のインフルエンザは、A型より2~3倍遅い速度で変異し、その結果、遺伝的な多様性が低く、B型インフルエンザ血清型は1つだけである。抗原多様性の欠如の結果として、B型インフルエンザに対するある程度の免疫は、通常、幼時期に獲得される。しかしながら、B型インフルエンザは、持続的な免疫が不可能になるほど十分に変異する。その宿主範囲が限定されていること(これは種間抗原シフトを妨げる)と組み合わせて、この低い抗原変化率により、B型インフルエンザの汎流行が発生しないことが確保される。
C型インフルエンザウイルス属は、C型インフルエンザウイルスという1つの種を有し、これはヒトおよびブタに感染し、重度の病気および局所的な流行を引き起こし得る。しかしながら、C型インフルエンザは他の型よりも一般的ではなく、通常、小児において軽度の疾患を引き起こすものと思われる。
インフルエンザウイルスは、構造が非常に似ている。インフルエンザウイルスゲノムは、リボ核タンパク質複合体(RNP)として既知である、様々なサイズの棒状構造にパッケージングされた8つの一本鎖RNAからなる。各RNPは、固有のウイルスRNA、足場核タンパク質の複数コピー、ならびにウイルスゲノムの転写および複製を触媒するPA、PB1、およびPB2サブユニットからなるヘテロ三量体ウイルスポリメラーゼを含む。インフルエンザポリメラーゼ複合体の最近の生化学的および構造的研究は、インフルエンザポリメラーゼによるキャップスナッチング(cap-snatching)およびRNA合成の機構の理解についての洞察を提供している。簡単に述べると、PB2 キャップ結合ドメインは、最初に、その5’キャップに結合することによって宿主のプレ-mRNAを隔離する。次いで、エンドヌクレアーゼサブユニットであるPAが、キャップ下流にある捕捉されたプレ-mRNAの10~13個のヌクレオチドを切断する。その後、PB2サブユニットは約700回廻旋し(rotate)、キャップされたプライマーをPB1ポリメラーゼ活性部位へと方向付ける。PB1サブユニットは、PB2およびPAサブユニットの両方と直接相互作用する。これらのサブユニットは、異なるインフルエンザ株間で高度に保存されたドメインを含み、魅力的な抗インフルエンザ薬標的として注目されている。ポリメラーゼ複合体に加えて、インフルエンザゲノムは、その独自のノイラミニダーゼ(NA)、ヘマグルチニン(HA)、核タンパク質(NP)、マトリックスタンパク質M1およびM2、ならびに非構造タンパク質NS1およびNS2をコードする。NAは、抗ウイルス薬であるオセルタミビル(タミフル)およびザナミビル(リレンザ)の標的である。これらの薬物は、NAの酵素活性を阻害し、したがって感染細胞からの子孫ウイルスの放出を遅延させる、シアル酸類似体である。
インフルエンザにより、生産性の低下およびそれに伴う医療治療に起因する直接的な費用、ならびに予防手段の間接的な費用が生じる。米国では、インフルエンザは年間100億ドル超の総費用の原因となっているが、将来の汎流行により直接および間接的な費用が数千億ドルになり得ると推定されている。予防の費用も高い。世界中の政府は、潜在的なH5N1鳥インフルエンザ汎流行についての準備および計画に数十億ドルを費やしており、薬およびワクチンの購入、ならびに災害訓練および国境管理の改善のための戦略の進展に関連する費用を伴う。
インフルエンザについての現在の治療の選択肢には、ワクチン接種、および抗ウイルス薬による化学療法または化学予防が含まれる。インフルエンザワクチンを使用したインフルエンザに対するワクチン接種はしばしば、小児および高齢者などのリスクの高い群、または喘息、糖尿病、もしくは心臓疾患を有する人に対して推奨される。しかしながら、ワクチン接種を受けてもまだインフルエンザに感染する可能性がある。ワクチンは、いくつかの特定のインフルエンザ株について各流行期に再び処方されるが、その流行期において世界中の人々に活発に感染しているすべての株を含めることはできない。季節的流行に対処するために必要となる数百万の用量を製剤化および製造するのに、製造業者が約6ヶ月かかる。時には、新しいまたは見過ごされていた株がその期間中に顕著になり、ワクチン接種を受けたにもかかわらず人々に感染する(2003~2004年のインフルエンザ流行期におけるH3N2福建省インフルエンザによるものなど)。ワクチンは効果が発揮されるまでに約2週間かかるので、ワクチン接種の直前に感染し、ワクチンによって予防されるはずのまさにその株によって病気になる可能性もある。
さらに、これらのインフルエンザワクチンの有効性は変動的である。ウイルスの変異率が高いために、特定のインフルエンザワクチンによっては、通常、数年しか防御されない。インフルエンザウイルスは時間とともに急速に変化し、異なる株が優勢になるので、ある年について処方されたワクチンは翌年には有効ではなくなり得る。
また、RNA校正酵素が存在しないために、インフルエンザvRNAのRNA依存RNAポリメラーゼは、インフルエンザvRNAのおおよその長さである約1万ヌクレオチドごとに1つのヌクレオチド挿入エラーを生じる。したがって、新しく作り出されるすべてのインフルエンザウイルスは、変異抗原ドリフト(mutant-antigenic drift)である。ゲノムをvRNAの8つの別々のセグメントに分離することにより、2つ以上のウイルス系統が単一の細胞に感染した場合にはvRNAを混合または再分類することが可能となる。結果として生じるウイルス遺伝の急速な変化により、抗原シフトが生じ、ウイルスが新しい宿主種に感染し、防御免疫を迅速に克服することが可能となる。
抗ウイルス薬はインフルエンザの治療にも使用でき、NA阻害剤が特に有効であるが、ウイルスは承認されたNA抗ウイルス薬に対する耐性を発現し得る。多剤耐性汎流行インフルエンザAウイルスが出現することも十分に実証されている。薬剤耐性汎流行インフルエンザAは、公衆衛生上の大きな脅威になる。薬剤耐性A型インフルエンザウイルスに加えて、NA阻害剤は、早期の(インフルエンザ症状発症から48時間以内の)インフルエンザ感染の治療用に承認されている。
したがって、治療枠の拡大および/またはウイルス力価に対する感受性の低下を伴う薬物など、インフルエンザ感染を治療するための薬物が依然として必要とされている。
本開示は、一般に、インフルエンザを治療する方法、インフルエンザウイルスの複製を阻害する方法、インフルエンザウイルスの量を低下させる方法、ならびにそのような方法に使用し得る化合物および組成物に関する。
一態様では、本開示は、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスの複製を阻害する方法に関する。一実施形態では、方法は、安全かつ有効な量の本明細書に開示される化合物を上記生体試料または患者に投与することを含む。
式I~IIIのいずれか1つの構造を有する化合物であって、
Figure 0007165721000001
式中、
破線は、単結合または二重結合を表し、
Lは、
i)H、
ii)-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-OCONR、-C1~6アルキル-CONR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-NRC(O)NR、C1~6アルキル-NRC(O)OR、C1~6アルキル-NRC(O)R、およびC1~6アルキル-NR(C2~6アルキルは、二重結合を任意選択により含み得る)、
iii)C5~6シクロアルキル-OCONR、C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)RおよびC5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、またはNR基を任意選択により含み得る)、
iv)-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-OCONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-CONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)Rおよび-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、または窒素を任意選択により含み得る)、
v)2.2.2ビシクロオクチル-OCONR、2.2.2ビシクロオクチル-CONR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)NR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)OR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)Rおよび2.2.2ビシクロオクチル-NR(2.2.2ビシクロオクチル環は、二重結合を任意選択により含み得る)であり、
Rは、H、C1~6アルキル、C1~6アルキル-CO、-CO、CON(R、またはC1~6アルキル-CON(Rであり、Rは、HまたはC1~6アルキルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、COR、CONR、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルであり、上記フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル(例えば、CF)、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基で任意選択により置換され、各R’は、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
は、Hまたは-SO2-フェニルであり、上記フェニルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル(例えば、CF)、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基で任意選択により置換され、各R’は、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC2~6アルキニル部分は、それがどこで存在しようと、さらに置換されていない、かつ、独立して、-CN、チオ、アリール-C1~6アルキル、ピリジニル、エトキシメチル-ピリジニル、インドリニル、C1~6アルキル、C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6チオアルキル、C1~6ハロアルキル、-C1~6ヒドロキシアルキル、-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、COH、CO1~6アルキル、CONH、CONHC1~6アルキル、および-CON(C1~6アルキル)からなる群から選択される、1~3個の置換基で任意選択により置換され得、
2つのアルキル基がアミド部分に存在する場合、それらは、任意選択により一緒になって、アミド部分の窒素と5~7員環を形成し得る、化合物、
またはその薬学的に許容される塩が、本明細書に提供される。
別の実施形態では、方法は、安全かつ有効な量の式I~IIIで表される化合物を生体試料または患者に投与することを含む。
別の実施形態では、本開示は、生体試料中または患者におけるインフルエンザウイルスの量を低下させる方法に関する。方法は、上記のようにそれぞれ独立して、安全かつ有効な量の式I~IIIのいずれかで表される化合物を上記生体試料または患者に投与することを含む。
さらに別の実施形態では、本開示は、患者におけるインフルエンザを治療または予防する方法であって、上記のようにそれぞれかつ独立して、安全かつ有効な量の式I~IIIで表される化合物を上記患者に投与することを含む、方法に関する。
さらに別の実施形態では、本開示は、式I~IIIのいずれかで表される化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、補助剤、またはビヒクルを含む医薬組成物であって、式中の可変部の値は、それぞれかつ独立して、本開示の化合物について上記の通りである、医薬組成物に関する。
本開示はまた、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスの複製を阻害するため、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスの量を低下させるため、または患者のインフルエンザを治療するための本明細書に記載の化合物の使用も提供する。
患者におけるインフルエンザを治療するため、生体試料中もしくは患者におけるインフルエンザウイルスの量を低下させるため、または生体試料中もしくは患者におけるインフルエンザウイルスの複製を阻害するための医薬の製造のための本明細書に記載の化合物の使用も本明細書で提供される。
インフルエンザ感染の治療または予防における化合物およびその使用が本明細書で提供される。生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスの複製を阻害するため、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスの量を低下させる(ウイルス力価を低下させる)ため、および患者におけるインフルエンザを治療するための、本明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそのような化合物もしくはその薬学的に許容される塩を含む薬学的に許容される組成物の使用も提供される。
本開示は、以下の定義を参照してより理解されるであろう。
定義および一般的用語
本開示の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、化学および物理学ハンドブック、第75版に従って識別される。さらに、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausolito:1999、および「March’s AdvancedOrganic Chemistry」,第5版,Ed.:Smith,M.B.and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されており、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載されるように、本開示の化合物は、以下に一般的に示されるものなどの、または本開示の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示される、1個以上の置換基で任意選択により置換されてもよい。「任意選択により置換された」との語句は、「置換されたまたは非置換の」と語句と交換可能に使用されることが理解されるであろう。一般に、「置換された」との用語は、「任意選択により」との用語が前にあるかまたはないかに関わらず、所与の構造における1つ以上の水素基を特定された置換基で置き換えることを指す。別段で明記しない限り、任意選択により置換された基は、基のそれぞれの置換可能な位置に置換基を有してもよい。所与の構造における2つ以上の位置を特定の群から選択される2つ以上の置換基で置換され得るとき、置換基は各位置において同じでもまたは異なっていてもよい。「任意選択により置換される」という用語が列挙の前にある場合、その用語はその列挙中にある後続のすべての置換可能な群を指す。置換基または構造が「任意選択により置換される」と特定または定義されていないとき、置換基または構造は非置換である。例えば、Xが任意選択により置換されたC~Cアルキルまたはフェニルである場合、Xは、任意選択により置換されたC~Cアルキルまたは任意選択により置換されたフェニルのいずれであってもよい。同様に、「任意選択により置換される」という用語が列挙の後に続く場合、その用語はまた、別段で明記しない限り、前にある列挙中のすべての置換可能な基も指す。例えば、Xが、C~Cアルキルまたはフェニルであって、ここで、Xが、任意選択によりかつ独立してJで置換される場合、C~Cアルキルおよびフェニルの両方がJで任意選択により置換されてもよい。当業者には明らかなように、H、ハロゲン、NO、CN、NH、OH、またはOCFなどの基は置換可能な基ではないであろう。
本明細書で使用される「まで(up to)」という語句は、ゼロまたはその語句に続く数値以下の任意の整数を指す。例えば、「3まで」は、0、1、2、および3のいずれかを意味する。本明細書に記載されるように、原子の特定された数値範囲は、その中の任意の整数を含む。例えば、1~4個の原子を有する群は、1、2、3、または4個の原子を有し得る。
本開示により企図される置換基および置換基の組み合わせの選択は、安定した化合物または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。本明細書で使用される「安定した」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の目的のために、それらの生成、検出、ならびに具体的にはそれらの回収、精製、および使用を可能にする条件に供されても実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態では、安定した化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分または他の化学反応条件の非存在下で、少なくとも1週間、40℃以下の温度に保持したときに実質的に変化しないものである。安定した構造をもたらす置換基の選択および組み合わせのみが企図される。そのような選択および組み合わせは、当業者には明らかであり、過度の実験なしに決定され得る。
本明細書で使用される「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和単位を含むが非芳香族である、直鎖状(すなわち、非分枝状)または分枝状炭化水素鎖を意味する。別段で指定のない限り、脂肪族基は、1~20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、1~10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態では、脂肪族基は、1~8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含み、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含む。脂肪族基は、直鎖状または分枝状の置換または非置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル基であり得る。特定の例には、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、sec-ブチル、ビニル、n-ブテニル、エチニル、およびtert-ブチル、ならびにアセチレンが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、飽和直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を含む直鎖または分枝鎖炭化水素を意味する。本明細書で使用される「アルキル」、「アルケニル」、または「アルキニル」の各々は、以下に記載されるように任意選択により置換され得る。いくつかの実施形態では、「アルキル」は、C~CアルキルまたはC~Cアルキルである。いくつかの実施形態では、「アルケニル」は、C~CアルケニルまたはC~Cアルケニルである。いくつかの実施形態では、「アルキニル」は、C~CアルキニルまたはC~Cアルキニルである。
「脂環式」(または「炭素環」または「カルボシクリル」または「炭素環式」)という用語は、飽和であり得るか、または3~14個の環炭素原子を有する1つ以上の不飽和単位を含む、環系のみを含む非芳香族炭素を指す。いくつかの実施形態では、炭素原子の数は3~10個である。他の実施形態では、炭素原子の数は4~7個である。さらに他の実施形態では、炭素原子の数は5または6個である。この用語には、単環式、二環式、または多環式の縮合、スピロ、または架橋炭素環系が含まれる。この用語は、炭素環が、1つ以上の非芳香族炭素環もしくは複素環もしくは1つ以上の芳香環またはそれらの組み合わせに「縮合され」得る多環系も含み、ここで、基または結合点は炭素環上にある。「縮合」二環(bicyclic ring)系は、2つの隣接する環原子を共有する2つの環を含む。架橋二環式基は、3つまたは4つの隣接する環原子を共有する2つの環を含む。スピロ二環式環系は、1つの環原子を共有する。脂環式基の例には、シクロアルキルおよびシクロアルケニル基が含まれるが、これらに限定されない。具体例には、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロプロピル、およびシクロブチルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「複素環」(または「ヘテロシクリル」または「複素環式」または「非芳香族複素環」)という用語は、飽和であり得る、または1つ以上の環炭素がN、S、またはOなどのヘテロ原子で置き換えられ、系中の各環が3~7員を含む、3~14個の環原子を有する1つ以上の不飽和単位を含む、非芳香族環系を指す。いくつかの実施形態では、非芳香族複素環は、環内にN、S、およびOから選択される3個までのヘテロ原子を含む。他の実施形態では、非芳香族複素環は、環系内にN、S、およびOから選択される2個までのヘテロ原子を含む。さらに他の実施形態では、非芳香族複素環は、環系内にNおよびOから選択される2個までのヘテロ原子を含む。この用語には、単環式、二環式、または多環式の縮合、スピロ、または架橋複素環系が含まれる。この用語は、複素環が、1つ以上の非芳香族炭素環もしくは複素環または1つ以上の芳香族環またはそれらの組み合わせに縮合され得る多環式環系も含み、ここで、基または結合点は複素環上にある。複素環の例には、ピペリジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、トリアゼパニル、アゾカニル(azocanyl)、ジアゾカニル(diazocanyl)、トリアゾカニル(triazocanyl)、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾカニル(oxazocanyl)、オキサゼパニル、チアゼパニル、チアゾニカル(thiazocanyl)、ベンズイミダゾロニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、例えば、3-モルホリノ、4-モルホリノ、2-チオモルホリノ、3-チオモルホリノ、4-チオモルホリノを含む、モルホリノ、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、1-テトラヒドロピペラジニル、2-テトラヒドロピペラジニル、3-テトラヒドロピペラジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、1-ピラゾリニル、3-ピラゾリニル、4-ピラゾリニル、5-ピラゾリニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、2-チアゾリジニル、3-チアゾリジニル、4-チアゾリジニル、1-イミダゾリジニル、2-イミダゾリジニル、4-イミダゾリジニル、5-イミダゾリジニル、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、べンゾチオラニル、ベンゾジチアニル、3-(1-アルキル)-ベンズイミダゾール-2-オニル、および1,3-ジヒドロ-イミダゾール-2-オニルが含まれるが、これらに限定されない。
「アリール」(または「アリール環」または「アリール基」)という用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」、「アリールオキシアルキル」、もしくは「ヘテロアリール」のようなより大きな部分の一部として使用され、炭素環式または複素環式の両方の芳香環系を指す。
「炭素環式芳香環」または「炭素環式アリール環」基は、炭素環原子(典型的には、6~14個または6~10個)のみを有し、フェニルなどの単環式芳香環、および2つ以上の炭素環式芳香環が互いに縮合している縮合多環式芳香環系を含む。例には、1-ナフチル、2-ナフチル、1-アントラシル、および2-アントラシルが含まれる。本明細書で使用される「炭素環式芳香環」または「炭素環式芳香族」という用語の範囲内には、例えば、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなどの、芳香環が1つ以上の非芳香族環(炭素環式または複素環式)に「縮合」されている基も含まれ、ここで、基または結合点は芳香環上にある。
「ヘテロアリール」、「ヘテロ芳香族」、「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、「芳香族複素環」、または「ヘテロ芳香族基」という用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」のようなより大きな部分の一部として使用され、単環式芳香族環および単環式芳香族環が1つ以上の他の芳香族環に縮合している多環式芳香族環を含む、5~14員を有する複素環式芳香族基を指す。ヘテロアリール基は、1つ以上の環ヘテロ原子を有する。本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語の範囲内には、芳香環が1つ以上の非芳香環(炭素環式または複素環式)に「縮合」している基も含まれ、ここで、基または結合点は芳香環上にある。本明細書で使用される二環式6.5ヘテロ芳香環は、例えば、第2の5員環に縮合された6員のヘテロ芳香環であり、ここで、基または結合点は6員環上にある。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルまたはチアジアゾリル、例えば以下を含み、2-フラニル、3-フラニル、N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-オキサジアゾリル、5-オキサジアゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、3-ピリダジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-トリアゾリル、5-トリアゾリル、テトラゾリル、2-チエニル、3-チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、アクリジニル、ベンズイソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、プリニル、ピラジニル、1,3,5-トリアジニル、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、4-キノリニル)、およびイソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニル、または4-イソキノリニル)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「シクロ」、「環状」、「環式基」、または「環状部分」には、各々が先に定義されている脂環式、ヘテロ脂環式(heterocycloaliphatic)、炭素脂環式、またはヘテロアリールを含む、一環系、二環系、および三環系が含まれる。
本明細書で使用する場合、「二環系」は、2つの環を形成する8~12(例えば9、10、または11)員の構造を含み、該構造において、2つの環は少なくとも1個の原子を共有する(例えば、2個の原子を共有する)。二環系には、ビシクロ脂肪族(例えば、ビシクロアルキルまたはビシクロアルケニル)、ビシクロヘテロ脂肪族、二環式炭素環式アリール、および二環式ヘテロアリールが含まれる。
本明細書で使用される場合、「架橋二環系」は、環が架橋されている二環式ヘテロ脂環式環系または二環式脂環式環系を指す。架橋二環式環系の例には、アダマンタニル、ノルボルナニル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[3.2.3]ノニル、2-オキサ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクチル、3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、および2,6-ジオキサ-トリシクロ[3.3.1.03,7]ノニルが含まれるが、これらに限定されない。架橋二環式環系は、架橋二環系中に二重結合を任意選択により含み得る。架橋二環式環系は、アルキル(カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチルなどのハロアルキルを含む)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクロアルキル、(ヘテロシクロアルキル)アルキル、炭素環式アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、(炭素環式アリール)オキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、アロイル、ヘテロアロイル、ニトロ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、(シクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、(炭素環式アリール)カルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキル)カルボニルアミノ、(ヘテロシクロアルキルアルキル)カルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、アシル、メルカプト、アルキルスルファニル、スルホキシ、尿素、チオ尿素、スルファモイル、スルファミド、オキソ、またはカルバモイルなどの1個以上の置換基で任意選択により置換され得る。
本明細書で使用される場合、「架橋」は、分子の2つの異なる部分を接続する結合もしくは原子または原子の非分枝鎖を指す。架橋を介して接続されている2個の原子(通常、常にではないが、2個の第三級炭素原子)は、「架橋ヘッド(bridgehead)」と表される。
本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、2つの環の間の唯一の共通原子として1個の原子(通常は第四級炭素)を有する環系を指す。
「環原子」という用語は、芳香族基、シクロアルキル基、または非芳香族複素環の環中にあるC、N、O、またはSなどの原子である。
芳香族基中の「置換可能な環原子」は、水素原子に結合している環炭素または窒素原子である。水素は、好適な置換基で任意選択により置換され得る。したがって、「置換可能な環原子」という用語は、2つの環が縮合したときに共有される環窒素または炭素原子を含まない。さらに、「置換可能な環原子」は、構造が、水素以外の部分にすでに結合していることを示す場合、環炭素または窒素原子を含まない。
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、または複素環の置換可能な形態、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルなどにおける)、NH(ピロリジニルなどにおける)、またはNR(N置換ピロリジニルなどにおける))の1つ以上を意味する。
本明細書で使用される場合、任意選択により置換されたアラルキルは、アルキル部分およびアリール部分の両方で置換され得る。別段で示さない限り、本明細書で使用される場合、任意選択により置換されたアラルキルは、アリール部分上で任意選択により置換される。
いくつかの実施形態では、脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基、または非芳香族複素環は、1個以上の置換基を含んでもよい。脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環の飽和炭素上の好適な置換基は、例えば全体にわたって論じている化合物構造の定義での上記に列挙されたものから選択される。いくつかの好適な置換基には、炭素環式アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素に好適なものものとして列挙されたものが含まれ、さらに以下が含まれる:=O、=S、=NNHR*、=NN(R*)、=NNHC(O)R*、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、または=NR*、ここで、各R*は、独立して、水素または任意選択により置換されたC1~6脂肪族から選択される。R*の脂肪族基上の任意選択による置換基は、NH、NH(C脂肪族)、N(C脂肪族)、ハロゲン、C脂肪族、OH、O(C脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C脂肪族)、O(ハロC脂肪族)、またはハロ(C脂肪族)から選択され、R*の上記C脂肪族基の各々は非置換である。
いくつかの実施形態では、非芳香族複素環の窒素上の任意選択による置換基には、R、-N(R、-C(O)R、-CO、-C(O)C(O)R、-C(O)CHC(O)R、-SO、-SON(R、-C(=S)N(R、-C(=NH)-N(R、または-NR+SOが含まれ、Rは、水素、任意選択により置換されたC1~6脂肪族、任意選択により置換されたフェニル、任意選択により置換された-O(PH)、任意選択により置換された-CH(Ph)、任意選択により置換された-(CH(Ph)、任意選択により置換された-CH=CH(Ph);または、酸素、窒素、もしくは硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員ヘテロアリールもしくは複素環であり、あるいは、同じ置換基または異なる置換基上の2つの独立したRの出現は、各R基が結合している原子と一緒になって、5~8員のヘテロシクリル、炭素環式アリール、またはヘテロアリール環、または3~8員のシクロアルキル環を形成し、上記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意選択による置換基は、NH、NH(C脂肪族)、N(C脂肪族)、ハロゲン、C脂肪族、OH、O(C脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C脂肪族)、O(ハロC脂肪族)、またはハロ(C脂肪族)から選択され、Rの上記C脂肪族基の各々は非置換である。
いくつかの実施形態では、炭素環式アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1つ以上の置換基を含んでもよい。炭素環式アリールまたはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、上記に列挙されたものから選択される。他の好適な置換基には、ハロゲン、-R;-OR;-SR;1,2-メチレンジオキシ;1,2-エチレンジオキシ;Rで任意選択により置換されたフェニル(Ph);Rで任意選択により置換された-O(Ph);Rで任意選択により置換された-(CH-2(Ph);Rで任意選択により置換された-CH=CH(Ph);-NO;-CN;-N(R;-NRC(O)R;-NRC(S)R;-NRC(O)N(R;-NRC(S)N(R;-NRCO;-NRNRC(O)R;-NRNRC(O)N(R;-NRNRCO;-C(O)C(O)R;-C(O)CHC(O)R;-CO;-C(O)R;-C(S)R;-C(O)N(R;-C(S)N(R;-OC(O)N(R;-OC(O)R;-C(O)N(OR)R;-C(NOR)R;-S(O);-S(O);-SON(R;-S(O)R;-NRSON(R;-NRSO;-N(OR)R;-C(=NH)-N(R;または-(CH0-2NHC(O)Rが含まれ、Rの各独立した出現は、水素、任意選択により置換されたC脂肪族、非置換5~6員ヘテロアリールもしくは複素環、フェニル、-O(PH)、または-CH(Ph)から選択され、あるいは、同じ置換基または異なる置換基上のRの2つの独立した出現は、各R基が結合している原子と一緒になって、5~8員のヘテロシクリル、炭素環式アリールもしくはヘテロアリール環、または3~8員シクロアルキル環を形成し、上記ヘテロアリールまたはヘテロシクリル環は、窒素、酸素、または硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基上の任意選択による置換基は、NH、NH(C脂肪族)、N(C脂肪族)、ハロゲン、C脂肪族、OH、O(C脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C脂肪族)、O(ハロC脂肪族)、またはハロC脂肪族、CHO、N(CO)(C脂肪族)、C(O)N(C脂肪族)から選択され、Rの上記C脂肪族基の各々は非置換である。
環窒素上で置換され、かつ環炭素原子において分子の残部に結合している非芳香族窒素含有複素環は、N置換されていると言われる。例えば、Nアルキルピペリジニル基は、ピペリジニル環の2位、3位、または4位で分子の残部に結合し、かつ環窒素においてアルキル基で置換されている。環窒素上で置換され、かつ第2の環窒素原子において分子の残部に結合しているピラジニルなどの非芳香族窒素含有複素環は、N’置換されたN-複素環と言われる。例えば、N’アシルN-ピラジニル基は、1個の環窒素原子において分子の残部に結合し、かつ第2の環窒素原子においてアシル基で置換されている。
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、部分が1つ以上の不飽和単位(例えば、二重結合および/または三重結合)を有することを意味する。
上記で詳述したように、いくつかの実施形態では、R(もしくはR、または本明細書で同様に定義された任意の他の可変部)の2つの独立した出現は、各可変部が結合している原子と一緒になって、5~8員のヘテロシクリル、炭素環式アリール、もしくはヘテロアリール環、または3~8員のシクロアルキル環を形成してもよい。R(もしくはR、または本明細書で同様に定義される他の可変部)の2つの独立した出現が、各可変部が結合している原子と一緒になったときに形成される例示的な環には、以下が含まれるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合し、その原子と一緒になって環を形成する、R(もしくはR、または本明細書で同様に定義される他の可変部)の2つの独立した出現、例えば、N(R、ここでは、Rの両方の出現が、窒素原子と一緒になって、ピペリジン-1-イル、ピペラジン-1-イル、またはモルホリン-4-イル基を形成する、およびb)異なる原子に結合し、それらの原子の両方と一緒になって環を形成する、R(またはR、または本明細書で同様に定義される任意の他の可変部)の2つの独立した出現、例えば、ここでは、フェニル基がORの2つの出現
Figure 0007165721000002
で置換され、これらの2つのORの出現は、それらが結合している酸素原子と一緒になって、6員の酸素含有縮合環
Figure 0007165721000003
を形成する。R(もしくはR、または本明細書で同様に定義される他の可変部)の2つの独立した出現が各可変部が結合している原子と一緒になったときに様々な他の環が形成され得、上記で詳述した例は限定されることを意図するものではないことが理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、「アミノ」基とは、-NRであり、式中、RおよびRの各々は、独立して、-H、C~C脂肪族、C非芳香族炭素環、5~6員の炭素環式アリールもしくはヘテロアリール、または4~7員の非芳香族複素環であり、それらの各々は、独立して、本明細書で定義され、任意選択により置換される。炭素環、炭素環式アリール、ヘテロアリール、およびヘテロシクリルについての好適な置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、C~Cアルキル、-O(C~Cアルキル)、-C(O)OH、-C(O)O(C~Cアルキル)、-OC(O)(C~Cアルキル)、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-NHC(O)O(C~Cアルキル)、-C(O)NH(C~Cアルキル)、および-C(O)N(C~Cアルキル)を含み、上記アルキル基の各々は、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、および-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている。C~C脂肪族(C~Cアルキルを含む)についての適当な置換基には、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-O(C~Cアルキル)、-C(O)OH、-C(O)O(C~Cアルキル)、-OC(O)(C~Cアルキル)、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-NHC(O)O(C~Cアルキル)、-C(O)NH(C~Cアルキル)、-C(O)N(C~Cアルキル)、フェニル、5~6員のヘテロアリール、5~6員の非芳香族複素環、およびC~C炭素環が含まれ、上記アルキル基の各々は、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換され、上記フェニル、ヘテロアリール、複素環、および炭素環の各々は、任意選択によりかつ独立して、RおよびRによって表される、炭素環、炭素環式アリール、ヘテロアリール、および複素環についての上記の1個以上の置換基で置換されている。いくつかの実施形態では、RおよびRの各々は、独立して、-H、任意選択により置換されたC脂肪族基、または任意選択により置換されたC非芳香族炭素環である。いくつかの実施形態では、RおよびRの各々は、独立して、-Hまたは任意選択により置換されたC脂肪族基である。いくつかの実施形態では、RおよびRの各々は、独立して、-H、またはハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換されたCアルキルである。アミノ基の例には、-NH、脂肪族アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、またはアリールアミノが含まれる。
本明細書で使用される場合、「脂肪族アミノ」基は、-NRを指し、式中、Rは、上記のように任意選択により置換されたC脂肪族基であり、Rは、-Hまたは上記のように任意選択により置換されたC脂肪族基である。本明細書で使用する場合、「アルキルアミノ」基は、-NHRを指し、式中、Rは、上記のように任意選択により置換されたCアルキル基である。本明細書で使用する場合、「ジアルキルアミノ」基は、-NRを指し、式中、RおよびRの各々は、上記のように任意選択により置換されたCアルキル基である。本明細書で使用する場合、「アリールアミノ」基は、-NRを指し、式中、Rは、5~6員の炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり、Rは、-Hまたは5~6員の炭素環式アリールまたはヘテロアリールであり、上記炭素環式アリールおよびヘテロアリール基の各々は、上記のように独立してかつ任意選択により置換される。「アミノ」という用語は、これが末端基ではない場合(例えば、アルキルカルボニルアミノ)、-NRX-で表される。Rは、上記で定義したのと同じ意味を有する。一実施形態では、アミノ基は、-NHまたは脂肪族アミノである。別の実施形態では、アミノ基は、-NH、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノである。さらに別の実施形態では、アミノ基は、-NHまたはアリールアミノである。さらに別の実施形態では、アミノ基は、-NH、-NH(C~Cアルキル)または-N(C~Cアルキル)であり、アルキル基の各々は、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている。
本明細書で使用される場合、「アミド」は、「アミノカルボニル」および「カルボニルアミノ」の両方を包含する。これらの用語は、単独で使用する場合、または別の基と関連して使用する場合、末端で使用されるときにはN(R)-C(O)-またはRC(O)-N(R)-などのアミド基を指し、内部で使用されるときにはC(O)-N(R)-または-N(R)-C(O)-を指し、RおよびRは上記で定義されている。アミド基の例には、アルキルアミド(アルキルカルボニルアミノまたはアルキルカルボニルアミノまたはアルキルアミノカルボニルなど)、(ヘテロ脂環式)アミド、(ヘテロアラルキル)アミド、(ヘテロアリール)アミド、(ヘテロシクロアルキル)アルキルアミド、アリールアミド、アラルキルアミド、(シクロアルキル)アルキルアミド、またはシクロアルキルアミドが含まれる。いくつかの実施形態では、アミド基は、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)C(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C~Cアルキル)、または-C(O)NH(C~Cアルキル)であり、上記アルキルの各々は、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている。いくつかの実施形態では、アミド基は、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)C(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH、-C(O)NH(C~Cアルキル)、または-C(O)NH(C~Cアルキル)であり、アルキル基の各々は、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換されている。
本明細書で使用される場合、「尿素」基は、構造-NR-CO-NRを指し、「チオ尿素」基は、末端で使用されるときには構造-NR-CS-NRを指し、内部で使用されるときには-NR-CO-NR-または-NR-CS-NR-を指し、R、R、およびRはそれぞれ独立して上記で定義した通りである。
本明細書で使用される場合、「アシル」基は、ホルミル基またはR-C(O)-(「アルキルカルボニル」とも呼ばれる-アルキル-C(O)-など)を指し、Rおよび「アルキル」は先に定義されている。アセチルおよびピバロイルはアシル基の例である。
本明細書で使用される場合、「カルボキシ」基は、末端基として使用される場合、-COOH、-COOR、-OC(O)H、-OC(O)Rを指し、または内部基として使用する場合、-OC(O)-または-C(O)O-を指し、Rは上記で定義した通りである。
「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」または「アルコール部分」という用語は、-OHを指す。
本明細書で使用される場合、単独でまたは別の基と関連して使用されるカルボキシとの用語に包含される「アルコキシカルボニル」は、(アルキル-O)-C(O)-などの基を指す。
本明細書で使用される場合、「カルボニル」は、-C(O)-を指す。
本明細書で使用される場合、「オキソ」は=Oを指す。
本明細書で使用される場合、本明細書で使用される「アルコキシ」または「アルキルチオ」という用語は、酸素(「アルコキシ」、例えば-O-アルキル)または硫黄(「アルキルチオ」、例えば、-S-アルキル)原子を介して分子に結合された、先に定義したアルキル基を指す。
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」、「ハロ」、および「hal」という用語は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
本明細書で使用される場合、「シアノ」または「ニトリル」という用語は、-CNまたは-C≡Nを指す。
「アルコキシアルキル」、「アルコキシアルケニル」、「アルコキシ脂肪族」、および「アルコキシアルコキシ」という用語は、場合に応じて、1つ以上のアルコキシ基で置換されたアルキル、アルケニル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロ脂肪族」、および「ハロアルコキシ」という用語は、場合に応じて、1個以上のハロゲン原子で置換されたアルキル、アルケニル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。この用語には、-CFおよび-CFCFなどの過フッ素化(perfluorinated)アルキル基が含まれる。
「シアノアルキル」、「シアノアルケニル」、「シアノ脂肪族」、および「シアノアルコキシ」という用語は、場合に応じて、1つ以上のシアノ基で置換されたアルキル、アルケニル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。いくつかの実施形態では、シアノアルキルは(NC)-アルキル-である。
「アミノアルキル」、「アミノアルケニル」、「アミノ脂肪族」、および「アミノアルコキシ」という用語は、場合に応じて、1つ以上のアミノ基で置換されたアルキル、アルケニル、脂肪族、またはアルコキシを意味し、アミノ基は上記で定義した通りである。いくつかの実施形態では、アミノ脂肪族は、1つ以上の-NH基で置換されたC~C脂肪族基である。いくつかの実施形態では、アミノアルキルは、構造(R)N-アルキル-を指し、式中、RおよびRの各々は、独立して、上記で定義された通りである。いくつかの特定の実施形態では、アミノアルキルは、1つ以上の-NH基で置換されたC~Cアルキルである。いくつかの特定の実施形態では、アミノアルケニルは、1つ以上の-NH基で置換されたC~Cアルケニルである。いくつかの実施形態では、アミノアルコキシは-、O(C~Cアルキル)であり、アルキル基は1つ以上の-NH基で置換されている。
「ヒドロキシアルキル」、「ヒドロキシ脂肪族」、および「ヒドロキシアルコキシ」とい用語は、場合に応じて、1つ以上の-OH基で置換されたアルキル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。
「アルコキシアルキル」、「アルコキシ脂肪族」、および「アルコキシアルコキシ」という用語は、場合に応じて、1つ以上のアルコキシ基で置換されたアルキル、脂肪族、またはアルコキシを意味する。例えば、「アルコキシアルキル」は、(アルキル-O)-アルキル-などのアルキル基を指し、アルキルは上記で定義された通りである。
「カルボキシアルキル」という用語は、1つ以上のカルボキシ基で置換されたアルキルを意味し、アルキルおよびカルボキシは上記で定義された通りである。
いくつかの実施形態では、上記の式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミノ基の各々は、独立して、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-NH(C~C炭素環)、-N(C~Cアルキル)、または-N(C~Cアルキル)(C~C炭素環)であり、上記アルキルおよび炭素環基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換され;式I~IIIの可変部の説明で言及されるカルボキシ基の各々は、独立して、-C(O)O(C~Cアルキル)、-OC(O)(C~Cアルキル)、-C(O)O(C~C炭素環)、-OC(O)(C~C炭素環)、または-COHであり得、上記アルキルおよび炭素環基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている。
上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミド基の各々は、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)C(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH(C~Cアルキル)、-C(O)N(C~Cアルキル)、-NHC(O)(C~C炭素環)、-N(C~Cアルキル)C(O)(C~C炭素環)、-C(O)NH(C~C炭素環)、-C(O)N(C~Cアルキル)(C~C炭素環)、または-C(O)NHであり、上記アルキル基および炭素環基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている。
上記式I、II、またはIIIの可変部の説明で言及されるアミノアルキル基の各々は、独立して、-NH、-NH(C~Cアルキル)、および-N(C~Cアルキル)からなる群から独立して選択される1つ以上のアミノ基で置換されたC~Cアルキル基である。
上記式I、II、またはIIIの可変部の説明で言及されるアミノアルコキシ基の各々は、独立して、-O(C~Cアルキル)基であり、アルキル基は、-NH、-NH(C~Cアルキル)、および-N(C~Cアルキル)からなる群から独立して選択される1つ以上の1つ以上のアミノ基で置換されている。
いくつかの実施形態では、上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミノ基の各々は、独立して、-NH、-NH(C~Cアルキル)、または-N(C~Cアルキル)であり、上記アルキル基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている。
上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるカルボキシ基の各々は、独立して、C(O)O(C~Cアルキル)、-OC(O)(C~Cアルキル)、または-COHであり、上記アルキル基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ、-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている。
上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミド基の各々は、独立して、-NHC(O)(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)C(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH(C~Cアルキル)、-C(O)N(C~Cアルキル)、または-C(O)NHであり、上記アルキル基は、それぞれ、任意選択によりかつ独立して、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシ、オキソ-NH、-NH(C~Cアルキル)、-N(C~Cアルキル)、-OCO(C~Cアルキル)、-CO(C~Cアルキル)、-COH、-CO(C~Cアルキル)、およびC~Cアルコキシからなる群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている。
上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミノアルキル基の各々は、独立して、-NH、-NH(C~Cアルキル)、および-N(C~Cアルキル)からなる群から独立して選択される1つ以上のアミノ基で置換されたC~Cアルキル基であり、上記式I~IIIの可変部の説明で言及されるアミノアルコキシ基の各々は、独立して、-O(C~Cアルキル)基であり、アルキル基は、NH、-NH(C~Cアルキル)、および-N(C~Cアルキル)からなる群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている。
本明細書で使用される「保護基(protecting group)」および「保護基(protective group)」という用語は交換可能であり、複数の反応部位を有する化合物中の1つ以上の所望の官能基を一時的に遮断するために使用される作用因子を指す。特定の実施形態では、保護基は、以下の特徴のうちの1つ以上または特にすべてを有する:保護基は、a)保護される基質を得るために、良好な収率で官能基に選択的に加えられ、b)該保護される基質は、他の反応部位のうちの1つ以上で起こる反応に対して安定的であり、c)再生および脱保護された官能基を攻撃しない試薬により、良好な収率で選択的に除去可能である。当業者に理解されるように、いくつかの場合では、試薬は化合物中の他の反応基を攻撃しない。他の場合では、試薬は化合物中の他の反応性基と反応してもよい。保護基の例は、Greene,T.W.,Wuts,P.G in 「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版,John Wiley & Sons,New York:1999(および本の他の版)に詳細に説明されており、この内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される「窒素保護基」という用語は、多官能性化合物中の1つ以上の所望の窒素反応性部位を一時的に遮断するために使用される作用因子を指す。好ましい窒素保護基は、上記の保護基について例示される特性も有しており、特定の例示的な窒素保護基は、Greene,T.W.,Wuts,P.G in 「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版,John Wiley & Sons,New York:1999の第7章にも詳細に記載されている。
本明細書で使用される「置換可能部分」または「脱離基」という用語は、本明細書で定義される脂肪族基または芳香族基と結合し、かつ求核剤による求核攻撃による置換に供される基を指す。
別段で明記しない限り、本明細書に示される構造は、構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、シス-トランス、立体配座、および回転)の形態も含むことを意味する。例えば、各非対称中心でのRおよびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体は、異性体のうちの1つのみが具体的に示されていない限り、本開示に含まれる。したがって、本化合物の単一の立体化学異性体ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、シス/トランス、立体配座、および回転混合物は、本開示の範囲内である。
別段で明記しない限り、本開示の化合物のすべての互変異性形態は本開示の範囲内である。
さらに、別段で明記しない限り、本明細書に示される構造には、1つ以上の同位体濃縮(isotopically enriched)原子の存在のみが異なる化合物が含まれることも意味する。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換または13Cもしくは14C濃縮炭素による炭素の置換を除いて、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。例えば、Rに対応する位置に-Dを有する式I~IIIの化合物も本開示の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。そのような化合物、特に重水素類似体も治療的に有用であり得る。
「結合」および「非存在」という用語は、基が「非存在であることを示すために交換可能に使用される。
本開示の化合物は、その化学構造および/または化学名によって本明細書で定義される。化合物が化学構造および化学名の両方で言及され、化学構造および化学名が矛盾する場合、化学構造が化合物の同一性(identity)を決定する。
I.化合物
式I~IIIの化合物またはその薬学的に許容される塩が本明細書で提供され、
Figure 0007165721000004
式中、破線は、単結合または二重結合のいずれかを表し、Lは、
i)H、
ii)-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-CONR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-NRC(O)NR、C1~6アルキル-NRC(O)OR、C1~6アルキル-NRC(O)R、およびC1~6アルキル-NR(C1~6アルキルは、二重結合を任意選択により含み得る)、
iii)C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)R、およびC5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合を任意選択により含み得る)、
iv)-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-CONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)R、および-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、またはNR基を任意選択により含み得る)、
v)2.2.2ビシクロオクチル-CONR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)NR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)OR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)R、および2.2.2ビシクロオクチル-NR(2.2.2ビシクロオクチル環は、二重結合を任意選択で含み得る)であり、
空の原子価(open valence)を有する環窒素は、H、-C(O)R、-C(O)NR、アルキル-COR、およびアルケニル-CORからなる群から選択される部分に結合され、
R=H、アルキル、アルキル-COH、アルキル-COアルキル、アルキル-CONR であり、
は、HまたはC1~6アルキルであり、
は、H、ハロ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルキニル、COR、CONR、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、イミダゾリルであり(フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ハロアルキル、CF、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択により置換され得る)、各R’は、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであるか、または2つのR’が同じ窒素原子上に存在する場合、それらは一緒になって、N、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子を含まないかもしくは1個含むアルキル環(C3~6)を形成することができ、R’基は、上記で定義された1個以上の置換基、例えば、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、およびアルコキシアルキルで置換され得、
は、H、または-SO2-フェニルであり(フェニルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ハロアルキル、CF、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上の置換基で任意選択により置換され得、各R’は、独立して、H、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6アルコキシ、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~6シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アリールアルキルであるか、または2つのR’が同じ窒素原子上に存在する場合、それらは一緒になって、N、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子を含まないかもしくは1個含むアルキル環(C3~6)を形成でき、R’基は、上記で定義した1個以上の置換基、例えば、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、およびアルコキシアルキルで置換され得、
1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC2~6アルキニル部分(エステルまたはアミド部分に存在するものを含む)は、1~3つの-CN、チオ、アリール-C1~6アルキル、C1~6アルキル、-C1~6チオアルキル、C1~6ハロアルキル、-C1~6ヒドロキシアルキル、-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、-C1~6チオアルキル、CO、および-CONR 部分で任意選択により置換され得、
アミド部分上の2つのR基は、任意選択により結合して、5~7員のアザ環式環(azacyclic ring)を形成し得る。
様々な場合において、本明細書に開示される化合物は、以下のいずれかの構造を有し、
Figure 0007165721000005
式中、
破線は、単結合または二重結合のいずれかを表し、
Lは、
i)H、
ii)-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-OCONR、-C1~6アルキル-CONR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-NRC(O)NR、C1~6アルキル-NRC(O)OR、C1~6アルキル-NRC(O)RおよびC1~6アルキル-NR(C2~6アルキルは、二重結合を任意選択により含み得る)、
iii)C5~6シクロアルキル-OCONR、C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)RおよびC5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、またはNR基を任意選択により含み得る)、
iv)-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-OCONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-CONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)R、および-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、または窒素を任意選択により含み得る)、
v)2.2.2ビシクロオクチル-OCONR、2.2.2ビシクロオクチル-CONR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)NR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)OR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)Rおよび2.2.2ビシクロオクチル-NR(2.2.2ビシクロオクチル環は、二重結合を任意選択により含み得る)であり、
Rは、H、C1~6アルキル、C1~6アルキル-CO、-CO、CON(R、またはC1~6アルキル-CON(Rであり、Rは、HまたはC1~6アルキルであり、
各Rは、独立して、H、ハロ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、COR、CONR、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルであり、該フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル(例えば、CF)、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基で任意選択により置換され、各R’は、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
は、Hまたは-SO2-フェニルであり、該フェニルは、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル(例えば、CF)、N、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上(例えば、1個または2個)の置換基で任意選択により置換され、各R’は、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC2~6アルキニル部分は、それがどこで存在しようと、さらに置換されていない、かつ、独立して、-CN、チオ、アリール-C1~6アルキル、ピリジニル、エトキシメチル-ピリジニル、インドリニル、C1~6アルキル、C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6チオアルキル、C1~6ハロアルキル、-C1~6ヒドロキシアルキル、-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、COH、CO1~6アルキル、CONH、CONHC1~6アルキル、および-CON(C1~6アルキル)からなる群から選択される、1~3個の置換基で任意選択により置換され得、
2つのアルキル基がアミド部分に存在する場合、それらは、任意選択により一緒になって、アミド部分の窒素と5~7員環を形成し得る、化合物、
またはその薬学的に許容される塩が、本明細書に提供される。
いくつかの場合では、式Iは、IAの構造:
Figure 0007165721000006
である。いくつかの場合では、式IIは、IIAの構造:
Figure 0007165721000007
である。いくつかの場合では、式IIIは、IIIAの構造:
Figure 0007165721000008
である。
様々な実施形態では、Lは、C1~6アルキルCONRである。いくつかの場合では、Lは、CHCONHMe、CHCONMe、CHCHCONHMe、CHCHCONMe、CHCH(Me)CONHMe、CHCH(Me)CONMe、C(Me)(Et)CONHCHCF、CHCONHCHCOH、CHCHCONHCHCOH、CHCONHCH(Me)COH、CHCHCONHCH(Me)COH、CHCONHCH(CHOH)COH、CHCHCONHCH(CHOH)COH、CHCONHCH(CHPh)COH、CHCHCONHCH(CHPh)COH、CHCONHCH(COH)CHCOH、CHCHCONHCH(COH)CHCOH、CHCONHCH(COH)CHCONH、CHCHCONHCH(COH)CHCONH、CHCONHCH(COMe)CHCOH、CHCHCONHCH(COMe)CHCOH、CHCONHCH(COMe)CHCONH、CHCHCONHCH(COMe)CHCONH、CHCONHCHCOMe、CHCHCONHCHCOMe、CHCONHCH(Me)COMe、CHCHCONHCH(Me)COMe、CHCONHCH(CHOH)COMe、CHCHCONHCH(CHOH)COMe、CHCONHCH(CHPh)COMe、CHCONHCH(COMe)CHCOMe、CHCONHCH(COH)CHCOMe、
Figure 0007165721000009
、または
Figure 0007165721000010
である。
いくつかの場合では、Lは、C1~6アルキル-CORである。例えば、Lは、CHCOH、CHCHCOH、CH=CHCOH、CHCH=CHCOH、CH(CMe)COH、CHCH(CMe)COH、CHCH(Me)COH、CH(Me)COH、CH(Me)CHCOH、CHCOMe、CHCHCOMe、CH=CHCOMe、CHCH=CHCOMe、CH(CMe)COMe、CHCH(CMe)COMe、CHCH(Me)COMe、CH(Me)COMe、CH(Me)CHCOMe、CHCOEt、CHCHCOEt、CH=CHCOEt、CHCH=CHCOEt、CH(CMe)COEt、CHCH(CMe)COEt、CHCH(Me)COEt、CH(Me)COEt、CH(Me)CHCOEt、CHCOCMe、CHCHCOCMe、CH=CHCOCMe、CHCH=CHCOCMe、CH(CMe)COCMe、CHCH(CMe)COCMe、CHCH(Me)COCMe、CH(Me)COCMe、またはCH(Me)CHCOCMeであり得る。
いくつかの場合では、Lは、C1~6アルキル-NRC(O)R、C1~6アルキル-NRC(O)OR、またはC1~6アルキル-NRC(O)NRである。例えば、Lは、CHCHNHCOMe、CHCHNHCOCMe、CHCHNHCONHMe、CHCHNHCOMe、またはCHCHNHCONMeであり得る。
いくつかの場合では、LはX-Aであり、Xは、結合、CH、またはCHCHであり、Aは、
Figure 0007165721000011
である。いくつかの実施形態では、RはH、Me、Et、またはCMeである。
いくつかの場合では、Lは、C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-NRCONR、C5~6シクロアルキル-NRCOR、C5~6シクロアルキル-COR、またはC5~6シクロアルキル-NRである。例えば、LはX-Aであり得、Xは、結合、CH、またはCHCHであり、Aは、
Figure 0007165721000012
Figure 0007165721000013
である。各Rは、独立して、HまたはMeである。各Rは、独立して、H、Me、CMe、(CHCHO)Et、CHO(CHCHO)Et、CHCHOCHCHO(CHMe、(CHO(CHMe、(CHO(CHMe、CHCHO(CHOEt、CHCHOCHCHO(CHMe、(CHOCHCHOEt、(CHOCHCHOEt、CHOCHCHO(CHMe、ピリンジニル、もしくは
Figure 0007165721000014
である。
いくつかの場合では、Lは、
Figure 0007165721000015
である。Eは、CO、CONR、NR、NRCONR、NRCOR、またはNRCOである。各Rは、独立して、H、Me、Et、またはCMeであり、各Rは、独立してH、Me、Et、CHCONHMe、CHCONMe、またはCHCONHである。いくつかの場合では、Lは
Figure 0007165721000016
である。
いくつかの態様では、式I~IIIのいずれかについて、各RおよびRは、独立して、H、F、またはClである。様々な場合において、少なくとも1つのRはFである。いくつかの場合では、少なくとも1つのRはClである。いくつかの場合では、一方のRがFで、他方のRがFまたはClである。いくつかの場合では、少なくとも1つのRはHである。いくつかの場合では、各RはHである。いくつかの場合では、少なくとも1つのRは、フェニル、ピリジニル、ヒドロキシフェニル、CF、-C≡C-CHシクロプロピル、-C≡C-シクロプロピル、フラニル、チエニル、メチル、イミダゾリル、CH(CH、-(CHpyridinyl、-C≡C-(CHSCH、CN、-(CHSCH、-(CHCN、COH、CONHCH、-C≡C-(CHCN、CON(CH、COCHCH、-CH=CH、フルオロピリジニル、クロロピリジニル、またはシアノピリジニルである。いくつかの場合には、RはHである。
各可変部の値の選択は、安定した化合物または化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものであることが理解される。
企図される特定の化合物には、以下の表中の化合物が含まれる。特定の立体中心を示す化合物は、少なくとも相対的な立体異性を示す。特定の立体異性を示さないキラル中心を有する化合物は、そのキラル中心に立体中心の混合物があることを示す。
化合物は、表Aに列挙される化合物またはその薬学的に許容される塩であり得る。
Figure 0007165721000017
Figure 0007165721000018
Figure 0007165721000019
Figure 0007165721000020
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Figure 0007165721000056
Figure 0007165721000057
Figure 0007165721000058
式Iの特定の化合物には、表Bに列挙されている化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる:
Figure 0007165721000059
Figure 0007165721000060
Figure 0007165721000061
Figure 0007165721000062
式IIの特定の化合物には、表Cに列挙されている化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる。
Figure 0007165721000063
Figure 0007165721000064
Figure 0007165721000065
Figure 0007165721000066
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Figure 0007165721000070
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Figure 0007165721000096
Figure 0007165721000097
Figure 0007165721000098
Figure 0007165721000099
式IIIの特定の化合物には、表Dに列挙される化合物またはその薬学的に許容される塩が含まれる:
Figure 0007165721000100
Figure 0007165721000101
Figure 0007165721000102
いくつかの場合では、化合物は、B25、B26、B27、B28、B29、B30、B50、B31、B32、B33、B34、B35、B36、B100、B52、B37、B38、B39、B40、B41、B42、B43、B44、B45、B46、B47、およびB49、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
いくつかの場合では、化合物は、B1、B2、B3、B4、B5、B6、B7、B8、B9、B10、B11、B12、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B20、B21、B22、B23、B24、B48、B51、B54、B55、B56、B57、B58、B59、B60、B61、B62、B63、B64、B65、B66、B67、B68、B69、B70、B71、B72、B73、B74、B75、B76、B77、B78、B79、B80、B81、B82、B83、B84、B85、B86、B87、B88、B89、B90、B91、B92、B93、B94、B95、B96、B97、B98、B99、B101、B102、およびB103、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
いくつかの場合では、化合物は、B120、B121、B122、B123、B124、B125、B126、B127、B128、B129、B130、B131、B132、B133、B134、B135、B136、B137、B138、B139、B140、B141、B142、B143、B144、B145、B146、B147、B148、B149、B150、B151、B152、B153、B154、B160、B161、B162、B163、B164、B165、B166、B167、B168、B169、B170、B171、B172、B173、B174、B175、B176、B177、B178、B179、B180、B181、B182、B183、B184、B185、B186、B187、B188、B190、B191、B192、B193、B194、B195、B196、B197、B198、B199、B200、B201、B202、B203、B204、B205、B206、B207、B208、B209、B210、B211、B212、B213、B214、B215、B216、B217、B218、B219、B220、B221、およびB222、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
いくつかの場合では、化合物は、B120、B121、B122、B123、B124、B126、B127、B128、B129、B213、B130、B131、B132、B133、B134、B135、B136、B137、B138、B139、B221、B140、B141、B143、B144、B146、B148、B149、B222、B166、B167、B168、B171、B172、B188、B194、B195、B198、B199、B200、B205、B206、B207、およびB208、または薬学的に許容されるその塩から選択される。
いくつかの場合では、化合物は、B120、B122、B123、B124、B127、B130、B131、B132、B133、B135、B136、B137、B138、B139、B140、B143、B144、B213、B221、およびB222、またはその薬学的に許容される塩から選択される。
いくつかの場合では、本明細書に開示される化合物は立体異性体である。「立体異性体」とは、1つ以上の立体中心のキラリティが異なる化合物を指す。立体異性体には、エナンチオマーおよびジアステレオマーが含まれる。本明細書に開示される化合物は、単一の立体異性体としてまたは立体異性体の混合物として存在し得る。上記の表に示されている化合物の立体化学は、別段で論じていない限り、絶対立体ではなく、相対立体化学である。本明細書に示されるように、単一の立体異性体、ジアステレオマー、またはエナンチオマーは、示された立体異性体、ジアステレオマー、またはエナンチオマーの少なくとも50%超、より好ましくは示された立体異性体、ジアステレオマー、またはエナンチオマーの少なくとも90%である化合物を指す。
例えば、B15は、示された構造の立体異性体の混合物であり、B17は、示された構造の一方のエナンチオマーであり、B24は、示された構造の他方のエナンチオマーである。B21およびB22は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B95は、示された構造の立体異性体の混合物であり、B93は、示された構造の一方の立体異性体であり、B94は、示された構造の他方の立体異性体である。B52およびB100は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B120は、示された構造の立体異性体の混合物であり、B122は、示された構造の一方の立体異性体であり、B123は、示された構造の他方の立体異性体である。B132およびB133は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B136およびB137は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B138およびB139は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B143およびB144は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。B187は、示された構造の立体異性体の混合物であり、B189は、示された構造の一方の立体異性体であり、B190は、示された構造の他方の立体異性体である。B194およびB195は、それぞれ、示された構造の異なる立体異性体である。
本明細書に開示される化合物は、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルス複製の阻害剤として有用であり得る。これらの化合物はまた、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルス(ウイルス力価)の量を低下させるのにも有用であり得る。それらはまた、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症の治療的および予防的治療にも有用である。
薬学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、プロドラッグ、および他の誘導体
本明細書に記載される化合物は、遊離形態で、または好適な場合には塩として存在し得る。薬学的に許容されるそれらの塩は、医療目的用の以下に記載される化合物の投与に有用であるので、特に興味深い。薬学的に許容されない塩は、単離および精製目的のための製造プロセスにおいて有用であり、いくつかの場合では、本開示の化合物またはその中間体の立体異性体の分離での使用に有用である。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」との用語は、毒性、刺激、アレルギー反応などの過度の副作用なしに、健全な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび下等動物の組織との接触での使用に好適であり、合理的な利益/リスク比に見合った、化合物の塩を指す。
薬学的に許容される塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において、薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩には、好適な無機および有機の酸および塩基に由来するものが含まれる。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中にインサイチュで調製され得る。
本明細書に記載の化合物が塩基性基または十分に塩基性の生物学的等価体(bioisostere)を含む場合、1)遊離塩基形態の精製化合物を好適な有機酸または無機酸と反応させ、2)そのようにして形成された塩を単離することにより、酸付加塩を調製し得る。実際には、酸付加塩が、使用のためにより好都合な形態である場合があり、塩の使用は遊離塩基形態の使用に等しい。
薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸などの有機酸で形成される、あるいはイオン交換などの当該技術分野で使用される他の方法を使用することによって形成される、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、樟脳スルホン酸塩(camphorsulfonate)、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。
本明細書に記載の化合物がカルボキシ基または十分に酸性の生物学的等価体を含む場合、1)酸性形態の精製化合物を好適な有機塩基または無機塩基と反応させ、2)そのようにして形成された塩を単離することにより、塩基付加塩を調製し得る。実際には、塩基付加塩の使用がより好都合である場合があり、塩形態の使用は遊離酸形態の使用と本質的に等しい。好適な塩基に由来する塩には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、リチウム、およびカリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、アンモニウム、およびN(Cアルキル)塩が含まれる。本開示はまた、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も企図している。水溶性もしくは油溶性または分散性の製品は、そのような四級化によって得ることができる。
塩基性付加塩には、薬学的に許容される金属塩およびアミン塩が含まれる。好適な金属塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、マグネシウム、およびアルミニウムが含まれる。ナトリウムおよびカリウムの塩が通常は好ましい。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、および対イオンを使用して形成されるアミンカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩などが含まれる。好適な無機塩基付加塩は、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛などを含む金属塩基から調製される。好適なアミン塩基付加塩は、低毒性および医療用途に対する許容性のために、医薬品化学で頻繁に使用されるアミンから調製される。アンモニア、エチレンジアミン、N-メチル-グルカミン、リジン、アルギニン、オルニチン、コリン、N、N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N-ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、エフェンアミン(ephenamine)、デヒドロアビエチルアミン、N-エチルピペリジン、ベンジルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、塩基性アミノ酸、ジシクロヘキシルアミンなど。
他の酸および塩基は、それ自体は薬学的に許容されないが、本明細書に記載の化合物およびその薬学的に許容される酸または塩基付加塩を得るときの中間体として有用な塩の調製に使用され得る。
本明細書に開示される化合物は、異なる薬学的に許容される塩の混合物/組み合わせとして存在し得ることを理解されたい。遊離形の化合物と薬学的に許容される塩との混合物/組み合わせも企図される。
本明細書に記載の化合物に加えて、これらの化合物の薬学的に許容される溶媒和物(例えば、水和物)および包接化合物も、本明細書で特定される障害を治療または予防する組成物中で使用され得る。
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される溶媒分子と本明細書に記載の化合物の1つとの会合(association)から形成される溶媒和物である。溶媒和物という用語には、水和物(例えば、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物など)が含まれる。
本明細書で使用される場合、「水和物」という用語は、非共有分子間力により結合された化学量論量または非化学量論量の水をさらに含む本明細書に記載の化合物またはその塩を意味する。
本明細書で使用する場合、「包接化合物」という用語は、ゲスト分子(例えば、溶媒または水)を内部に閉じ込めている(trapped)空間(例えば、チャネル)を含む結晶格子の形態の本明細書に記載の化合物またはその塩を意味する。
本明細書に記載の化合物に加えて、これらの化合物の薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグを組成物はまた、本明細書で特定した障害を治療または予防するために使用され得る。
「薬学的に許容される誘導体またはプロドラッグ」に、レシピエントに投与したときに、本明細書に記載の化合物またはその阻害的に活性な代謝産物もしくは残渣を直接的または間接的に提供し得る、本明細書に記載の化合物の任意の薬学的に許容されるエステル、エステルの塩、または他の誘導体もしくはその塩が含まれる。特に好ましい誘導体またはプロドラッグは、そのような化合物が患者に投与されたとき、化合物のバイオアベイラビリティーを増加させるもの(例えば、経口投与された化合物がより容易に血液に吸収されることを可能とすることにより)、または生物学的区画(例えば、脳またはリンパ系)への親種の送達を増強するものである。
本明細書で使用する場合、別段で明記しない限り、「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解、酸化、またはその他では反応して本明細書に記載の化合物を提供し得る化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物学的条件下でのそのような反応で活性になり得、またはその未反応の形態で活性を有し得る。本開示で企図されるプロドラッグの例には、生体加水分解性アミド、生体加水分解性エステル、生体加水分解性カルバメート、生体加水分解性炭酸エステル、生体加水分解性ウレイド、および生体加水分解性リン酸エステル類似体などの生体加水分解性部分を含む本開示の化合物の類似体または誘導体が含まれるが、これらに限定されない。プロドラッグの他の例には、-NO、-NO、-ONO、または-ONO部分を含む本明細書に記載の化合物の誘導体が含まれる。プロドラッグは、典型的には、Burger’s Medicinal Chemistry And Drug Discovery(1995)172-178,949-982(Manfred E.Wolff ed.,第5版)によって記載されるものなどの周知方法を使用して調製され得る。
「薬学的に許容される誘導体」は、必要とする患者に投与したときに、本明細書の他の箇所で記載の化合物またはその代謝産物もしくは残渣を直接的または間接的に提供し得る付加物または誘導体である。薬学的に許容される誘導体の例には、エステルおよびそのようなエステルの塩が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグには、限定されないが、エステル、アミノ酸エステル、リン酸エステル、金属塩、およびスルホン酸エステルが含まれる。
II.治療方法
本明細書に記載の化合物(例えば、上記の式I~IIIの化合物またはその薬学的に許容される塩)の使用が本明細書に提供される。本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩は、生体試料(例えば、感染された細胞培養物)またはヒトにおけるウイルス力価(例えば、患者における肺ウイルス力価)を低下させるために使用され得る。
本明細書で使用される「インフルエンザウイルス媒介状態」、「インフルエンザ感染」、または「インフルエンザ」という用語は、インフルエンザウイルスによる感染によって引き起こされる疾患を意味するために交換可能に使用される。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる鳥類および哺乳類に罹患する感染症である。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科のRNAウイルスであり、A型インフルエンザウイルス属、B型インフルエンザウイルス属、C型インフルエンザウイルス属、イサウイルス属、およびトゴトウイルス属の5つの属を含む。A型インフルエンザウイルス属は、インフルエンザAウイルスという1つの種を有し、これは、これらのウイルスに対する抗体応答に基づいて、異なる血清型:H1N1、H2N2、H3N2、H5N1、H7N7、H1N2、H9N2、H7N2、H7N3、およびH10N7に分類され得る。B型インフルエンザウイルス属は、B型インフルエンザウイルスという1つの種を有する。B型インフルエンザは、ほぼ例外なくヒトに感染し、A型インフルエンザよりも一般的ではない。C型インフルエンザウイルス属は、C型インフルエンザウイルスウイルスという1つの種を有し、これはヒトおよびブタに感染し、重篤な病気および局所的流行を引き起こし得る。しかしながら、C型インフルエンザウイルスは他の型よりも一般的ではなく、通常、小児において軽度の疾患を引き起こすものと思われる。
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される化合物は、A型またはB型インフルエンザウイルスに関連するインフルエンザまたはインフルエンザウイルスの治療用である。いくつかの実施形態では、インフルエンザまたはインフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルスAに関連する。いくつかの特定の実施形態では、A型インフルエンザウイルスは、H1N1、H2N2、H3N2、またはH5N1である。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、インフルエンザの治療に使用され得、化合物は遊離ウイルスに結合し、プレ-mRNA結合PB2に結合し、または三量体ポリメラーゼ複合体に結合する。いくつかの場合では、化合物は、3つすべて(遊離ウイルス、プレ-mRNA結合PB2、および三量体ポリメラーゼ複合体)を標的化し得る。
ヒトでは、インフルエンザの一般的な症状は、悪寒、発熱、咽頭炎、筋肉痛、激しい頭痛、咳、衰弱、一般的な不快感である。より深刻な場合では、インフルエンザは肺炎を引き起こし、これは特に小児および高齢者では致命的となり得る。インフルエンザはしばしば風邪と混同されるが、インフルエンザははるかに深刻な疾患であり、異なる型のウイルスによって引き起こされる。インフルエンザは、特に子供において悪心および嘔吐を生じさせ得るが、これらの症状は、「胃のインフルエンザ(stomach flu)」または「24時間インフルエンザ」と呼ばれることもある関連のない胃腸炎により特徴的である。
インフルエンザの症状は、感染後1~2日で非常に突然に発生し得る。通常、最初の症状は悪寒または肌寒い感覚であるが、発熱も感染初期には一般的であり、体温は38~39℃(約100~103°F)の範囲である。多くの人々は非常に具合が悪くなるので、体全体に痛みおよび疼痛を伴って数日間寝たきりになり、これにより背中および脚が悪化する。インフルエンザの症状には、体の痛み、特に関節および喉、極度の寒さおよび発熱、疲労感、頭痛、炎症を起こした目、赤くなった目、皮膚(特に顔)、口、喉および鼻、腹痛(B型インフルエンザを有する子供で)が含まれる。インフルエンザの症状は非特異的であり、多くの病原体と重複する(「インフルエンザ様疾患)。通常、診断を確認するにはラボデータ(laboratory data)が必要である。
「疾患」、「障害」、および「状態」という用語は、ここでは交換可能に使用され得、インフルエンザウイルス媒介性の医学的または病的状態を指す。
「対象」および「患者」という用語は交換可能に使用される。「対象」および「患者」という用語は、動物(例えば、ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウなどのトリ、または哺乳動物)、具体的には、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、およびマウス)および霊長類(例えば、サル、チンパンジー、およびヒト)、より具体的にはヒトを指す。一実施形態では、対象は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタ、またはヒツジ)またはペット(例えば、イヌ、ネコ、モルモット、またはウサギ)などの非ヒト動物である。好ましい実施形態では、対象は「ヒト」である。
本明細書で使用される「生体試料」という用語には、限定されないが、細胞培養物またはその抽出物;哺乳類またはその抽出物から得られた生検材料;血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、または他の体液もしくはその抽出物が含まれる。
本明細書で使用される場合、「感染の多重度」または「MOI」は、感染標的(例えば、細胞)に対する感染因子(例えば、ファージまたはウイルス)の比である。例えば、感染性ウイルス粒子を接種した細胞群について言及する場合、感染多重度またはMOIは、ウェル中に堆積した感染性ウイルス粒子の数をそのウェル中に存在する標的細胞の数で割ることによって定義される比である。
本明細書で使用される場合、「インフルエンザウイルスの複製の阻害」という用語には、ウイルス複製量の低下(例えば、少なくとも10%の低下)およびウイルス複製の完全な停止(すなわち、ウイルスの複製量の100%の低下)の両方が含まれる。いくつかの実施形態では、インフルエンザウイルスの複製は、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%阻害される。
インフルエンザウイルスの複製は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法によって測定され得る。例えば、生体試料(例えば、感染された細胞培養物)またはヒト(例えば、患者における肺のウイルス力価)におけるインフルエンザウイルス力価が測定され得る。より具体的には、細胞ベースのアッセイについて、それぞれの場合で、細胞をインビトロで培養し、試験薬剤の存在下または非存在下でウイルスを培養物に添加し、好適な時間後にウイルス依存性評価項目を評価した。典型的なアッセイでは、Madin-Darbyイヌ腎細胞(MDCK)および標準的な組織培養物に適合したインフルエンザ株A/Puerto Rico/8/34が使用され得る。本開示で使用され得る第1のタイプの細胞アッセイは、感染された標的細胞の死、細胞変性効果(CPE)と呼ばれるプロセスに依存し、ウイルス感染は、細胞供給源の枯渇および最終的な細胞溶解を引き起こす。第1のタイプの細胞アッセイでは、マイクロタイタープレートのウェル中の低い割合(通常1/10~1/1000)の細胞が感染し、ウイルスは48~72時間にわたって数回の複製を行うことが可能となり、次いで、細胞死の量は、感染していない対象と比較した細胞ATP含有量の低下を用いて測定される。本開示で使用され得る第2のタイプの細胞アッセイは、感染された細胞におけるウイルス特異的RNA分子の増殖に依存し、RNAレベルは分枝鎖DNAハイブリダイゼーション法(bDNA)を使用して直接測定される。第2のタイプの細胞アッセイでは、最初に少数の細胞をマイクロタイタープレートのウェル中で感染させ、ウイルスを感染細胞中で複製し、さらに細胞の追加のラウンドに広げ、次いで細胞を溶解し、ウイルスRNA含有量を測定する。このアッセイは、早期に、通常は18~36時間後に停止するが、すべての標的細胞は未だ生存している。ウイルスRNAは、アッセイプレートのウェルに固定された特定のオリゴヌクレオチドプローブへのハイブリダイゼーション、次いで、レポーター酵素に結合された追加のプローブとのハイブリダイゼーションによるシグナルの増幅によって定量化される。
本明細書で使用される「ウイルス力価(または力価)」は、ウイルス濃度の尺度である。力価試験は、連続希釈を使用して、本質的に正または負としてのみ評価される分析手順からおおよその定量情報を取得し得る。力価は、なおも正の読み取り値をもたらす最高希釈係数に対応する。例えば、最初の8つの連続2倍希釈での正の読み取り値は1:256の力価に変換される。具体例は、ウイルス力価である。力価を決定するために、いくつかの希釈物は10-1、10-2、10-3、・・・、10-8のように調製されるであろう。なおも細胞に感染するウイルスの最低濃度がウイルス力価である。
本明細書で使用される場合、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」、および「治療する(treating)」という用語は、治療的治療および予防的治療の両方を指す。例えば、治療的治療には、1つ以上の療法(例えば、本開示の化合物または組成物などの1つ以上の治療剤)の投与によって生じる、インフルエンザウイルスが媒介する状態の進行、重症度、および/もしくは持続期間の減少もしくは改善、またはインフルエンザウイルスが媒介する状態の1つ以上の症状(具体的には、1つ以上の認識可能な症状)の改善が含まれる。特定の実施形態では、治療的治療には、インフルエンザウイルスが媒介する状態の少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善が含まれる。他の実施形態では、治療的治療には、例えば、認識可能な症状の安定化によって物理的に、例えば物理的パラメーターの安定化によって生理学的に、またはその両方で、インフルエンザウイルスが媒介する状態の進行を阻害することが含まれる。他の実施形態では、治療的治療には、インフルエンザウイルスが媒介する感染の低減または安定化が含まれる。抗ウイルス薬は、症状の重症度を軽減し、人々が病気にかかっている日数を減らすために、すでにインフルエンザを有する人々を治療するために、共同体環境で使用され得る。
「化学療法」という用語は、障害または疾患を治療するための薬剤、例えば(「ワクチン」ではなく)低分子薬の使用を指す。
本明細書で使用される「予防(prophylaxis)」または「予防的使用」および「予防的治療」という用語は、疾患を治療または治癒するのではなく予防することを目的とする医学的または公衆衛生手順を指す。本明細書で使用する場合、「予防する(prevent)」、「予防(prevention)」、および「予防する(preventing)」という用語は、病気ではないが疾患を有している人であるかまたはその人の近くにいたことがある対象における、所与の状態を獲得もしくは発症するリスクの低下または上記状態の軽減もしくは再発の阻害を指す。「化学的予防」という用語は、障害または疾患の予防のための薬品、例えば「ワクチン」ではなく低分子薬の使用を指す。
本明細書で使用される場合、予防的使用には、重篤なインフルエンザ合併症のリスクが高い多くの人々が互いに密接に住んでいる場所(例えば、病棟、保育所、刑務所、養護施設など)での感染の伝染または拡散を防ぐために、発生が検出された状況での使用が含まれる。予防的使用はまた、インフルエンザからの保護を必要とするがワクチン接種後に保護が得られない集団(例えば、免疫系が弱いなど)、もしくはワクチンがその集団に利用可能でない場合、または副作用のためにワクチンを受けることできない場合の使用も含まれる。予防的使用にはまた、ワクチン接種後2週間の使用も含まれるが、その理由は、その期間中にワクチンは未だ効果がないためである。予防的使用には、インフルエンザに感染し、密接に接触している高リスクの人(例えば、医療従事者、養護施設の労働者など)にインフルエンザを渡す可能性を減らすために、インフルエンザを有するが病気ではない人または合併症のリスクが高いと考えられていない人を治療することも含まれる。
米国疾病管理センター(US CDC)によると、インフルエンザの「発生(outbreak)」は、通常のバックグラウンド率(background rate)を超えて、または分析される集団の任意の対象がインフルエンザ陽性である場合に、互いに近接している人々の群(例えば、介護施設の同じエリア、同じ世帯など)において、48~72時間以内に発生する急性熱性呼吸器疾患(AFRI)の突然の増加と定義されている。任意の検査方法により、確認されたインフルエンザの1つの例は発生とみなされる。
「集団」は、互いに近接している人々の群(例えば、介護施設の同じ領域、同じ世帯など)において、48~72時間以内に発生したAFR1の3つ以上の症例の群と定義される。
本明細書で使用される場合、「初発症例(index case)」、「一次症例(primary case)」、または「第一号患者(patient zero)」は、疫学的調査の集団サンプルにおける最初の患者である。疫学的調査においてそのような患者を指すために一般的に使用される場合、この用語は大文字で表記されない。この用語が、特定の調査についての報告内で特定の人をその人の名前の代わりに指すために使用される場合、その用語は第一号患者(Patient Zero)として大文字で表記される。しばしば、科学者は、疾患がどのように広がり、発生の間にどの保有体(reservoir)が疾患を保持しているのかを決定するために初発症例を検索する。初発症例は、発生の存在を示す最初の患者であることに留意すべきである。より早期の症例が見つかり、第一次、第二次、第三次などと標識される場合がある。
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、インフルエンザウイルスによる感染に起因する合併症にかかりやすい素因を有する患者、具体的にはヒトに対する予防的(preventative)または「予防的(prophylactic)」手段である。例えば予防的使用、「予防的に(prophylacticly)」などにおける、本明細書で使用される「予防的」という用語は、残りの共同体または人口群における感染の拡散を予防するための、「初発症例」または「発生」が確認されている状況での予防的使用である。
実施形態では、本開示の方法は、感染の拡散を予防するために、共同体または集団群のメンバー、特にヒトに、「予防的」手段として適用される。
本明細書で使用される場合、「有効量」とは、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。本開示において、所望の生物学的応答は、インフルエンザウイルスの複製を阻害すること、インフルエンザウイルスの量を低下させること、またはインフルエンザウイルス感染の重症度、持続期間、進行、もしくは発症を低減もしくは改善すること、インフルエンザウイルス感染の進行を予防すること、インフルエンザウイルス感染に関連する症状の再発、発生、発症、もしくは進行を予防すること、またはインフルエンザ感染に対して使用される別の療法の予防もしくは治療効果を増強もしくは改善することである。対象に投与される化合物の正確な量は、投与様式、感染の種類および重症度、ならびに全身の健康状態、年齢、性別、体重、および薬物に対する耐性などの対象の特性に依存する。当業者は、これらおよび他の要因に依存して適切な投与量を決定し得るであろう。他の抗ウイルス剤と同時投与される場合、例えば、抗インフルエンザ薬と同時投与される場合、第2の薬剤の「有効量」は、使用される薬物の種類に依存する。好適な用量は、承認された薬剤については既知であり、対象の状態、治療される状態の種類、および使用される本明細書に記載の化合物の量に応じて当業者によって調整され得る。量が明記されていない場合は、安全かつ有効な量が想定されるべきである。例えば、本明細書に記載の化合物は、治療的または予防的治療のために約0.01~100mg/kg体重/日の投与量範囲で対象に投与され得る。
一般的に、投与レジメンは、治療される障害および障害の重症度;使用される特定の化合物の活性;使用される特定の組成;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食事;使用される特定の化合物の投与時間、投与経路、および排泄速度;対象の腎および肝機能;および使用される特定の化合物またはその塩、治療の期間;使用される特定の化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに医療分野で周知の同様の要因を含む、様々な要因に従って選択され得る。当業者は、疾患の進行を治療、予防、阻害(完全もしくは部分的に)、または停止するのに必要な本明細書に記載の化合物の有効量を容易に決定および処方し得る。
本明細書に記載の使用のための化合物の投与量は、約0.01~約100mg/kg体重/日、約0.01~約50mg/kg体重/日、約0.1~約50mg/kg体重/日、または約1~約25mg/kg体重/日の範囲であり得る。1日あたりの総量は、単回投与で投与され得るか、または1日2回(例えば12時間ごと)、1日3回(例えば8時間ごと)、または1日4回(6時間ごとなど)などの複数回投与で投与され得ると理解される。
治療的治療のために、本明細書に記載の化合物は、例えば、症状(例えば、鼻づまり、喉の痛み、咳、痛み、疲労、頭痛、および寒気/汗)の発症の48時間以内(もしくは40時間以内、もしくは2日未満以内、もしくは1.5日未満以内、または24時間以内)に患者に投与され得る。治療的治療は、例えば5日間、7日間、10日間、14日間などの任意の好適な期間、継続され得る。共同体での発生の際の予防的治療のためには、本明細書に記載の化合物は、例えば、初発症例では症状の発症の2日以内に患者に投与され得、任意の好適な期間、例えば、7日間、10日間、14日間、20日間、28日間、35日間、42日間など継続され得る。
インフルエンザは、季節性および汎流行インフルエンザの原因である重篤なウイルス感染症である。インフルエンザは非常に伝染性があるので、感染した個人と接触した人はインフルエンザにかかるリスクが高い。この理由のため、多くの患者はインフルエンザ感染を予防および/または制御するために毎年ワクチン接種を受けている。ワクチンに加えて、またはワクチンの代わりに、患者は、活動性感染を治療するだけでなく、感染の発生を予防するために本明細書に記載の化合物を使用し得る。
本開示では様々な種類の投与方法を使用することができ、「投与方法」という表題の項目において以下で詳細に説明する。
併用療法
本明細書に記載の化合物は、他の抗インフルエンザ化合物と組み合わせて、およびワクチン接種と組み合わせて使用され得る。併用療法は、患者が2つ以上の形態のインフルエンザウイルスにさらされる可能性がある場合に特に有利であり得る。
安全かつ有効な量は、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)を単独でまたは追加の好適な治療剤、例えば、抗ウイルス剤もしくはワクチンと組み合わせて使用する本開示の方法または医薬組成物で達成され得る。「併用療法」が用いられる場合、安全かつ有効な量は、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)の第1量、および追加の好適な治療剤(例えば、抗ウイルス剤またはワクチン)の第2量を使用して達成され得る。
実施形態では、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物(例えば、水和物)、および追加の治療剤は、それぞれ、安全かつ有効な量で(すなわち、それぞれ、単独で投与した場合に治療上有効であり得る量で)投与される。他の実施形態では、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)、および追加の治療剤は、それぞれ、単独では治療効果をもたらさない量(治療量以下の用量(sub-therapeutic dose))で投与される。さらに他の実施形態では、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)が安全かつ有効な量で投与され得る一方で、追加の治療剤が治療量以下の用量で投与される。さらに他の実施形態では、式I~IIIのいずれか1つの化合物、その薬学的に許容される塩または溶媒和物(例えば、水和物)が治療量以下の用量で投与され得る一方で、追加の治療剤、例えば、好適な抗ウイルス剤治療剤が安全かつ有効な量で投与される。
本明細書で使用する場合、「組み合わせて」または「同時投与」という用語は、2つ以上の療法(例えば、1つ以上の予防剤および/または治療剤)の使用を指すために交換可能に使用され得る。この用語の使用は、療法(例えば、予防剤および/または治療剤)が対象に対して投与される順序を制限しない。
同時投与は、例えば、単一の医薬組成物、例えば、固定比の第1量および第2量を有するカプセル剤もしくは錠剤において、またはそれぞれについて複数の別々のカプセル剤もしくは錠剤において、本質的に同時形式での第1量および第2量の同時投与化合物の投与を包含する。さらに、そのような同時投与はまた、各化合物をいずれかの順序で逐次形式で使用することも含む。
実施形態では、本開示は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物、例えば式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)を使用して、生体試料または患者におけるインフルエンザウイルス複製を阻害するため、または患者におけるインフルエンザウイルス感染を治療もしくは予防するための併用療法の方法に関する。したがって、医薬組成物には、抗インフルエンザウイルス活性を示す抗ウイルス化合物と組み合わせた、本明細書に開示される化合物(例えば、インフルエンザウイルス複製の阻害剤)を含むものも含まれる。
本明細書に開示される化合物および組成物の使用方法には、化学療法と、式I~IIIのいずれか1つの化合物もしくは組成物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)との組み合わせ、または本開示の化合物もしくは粗製物と、別の抗ウイルス剤およびインフルエンザワクチンによるワクチン接種との組み合わせも含まれる。
同時投与が、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)の第1の量および追加の治療剤の第2の量の別々の投与を含む場合、化合物は所望の治療効果を得るのに十分に近接した時間で投与される。例えば、所望の治療効果をもたらし得る各投与間の期間は、数分~数時間の範囲であり得、効力、溶解性、生物学的利用能、血漿半減期、および動態プロファイルなどの各化合物の特性を考慮して決定され得る。例えば、式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩または溶媒和物(例えば、水和物)および第2の治療剤は、互いの約24時間以内、互いの約16時間以内、互いの約8時間以内、互いの約4時間以内、互いの約1時間以内、または互いの約30分以内に任意の順序で投与され得る。
より具体的には、第1の療法(例えば、本開示の化合物などの予防剤または治療剤)は、第2の治療剤(例えば、抗癌剤などの予防剤または治療剤)の投与の前に(例えば、5分前、15分前、30分前、45分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、24時間前、48時間前、72時間前、96時間前、1週間前、2週間前、3週間前、4週間前、5週間前、6週間前、8週間前、または12週間前に)、それと同時に、またはその後に(例えば、5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、96時間後、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、8週間後、または12週間後に)、対象に投与され得る。
式I~IIIのいずれか1つの化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)の第1の量および追加の治療剤の第2の量の同時投与の方法により、増強されたまたは相乗的な治療効果がもたらされ得、その併用効果は、式I~IIIのいずれか1つの化合物または薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)の第1の量および追加の治療剤の第2の量の別々の投与から生じ得る相加効果よりも大きいことが理解される。
本明細書で使用される場合、「相乗的」という用語は、療法の相加効果よりも効果的である、本明細書で開示される化合物と別の療法(例えば、予防剤または治療剤)との組み合わせを指す。療法の組み合わせ(例えば、予防剤または治療剤の組み合わせ)の相乗効果によって、1つ以上の療法をより低い投与量で使用することおよび/または上記療法をより少ない頻度で対象に投与することが可能となる。より低い投与量の療法(例えば、予防剤または治療剤)を利用できること、および/またはより少ない頻度で上記療法を投与できることによって、障害の予防、管理、または治療における上記療法の有効性を低下させることなく、患者への上記療法の投与に関連する毒性を低下させることができる。さらに、相乗効果により、障害の予防、管理、または治療における薬剤の有効性が向上され得る。最後に、療法の組み合わせ(例えば、予防剤または治療剤の組み合わせ)の相乗効果は、いずれかの療法単独の使用に伴う有害なまたは望ましくない副作用を回避または軽減し得る。
本明細書に開示される化合物、例えば式I~IIIのいずれか1つ、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物(例えば、水和物)を使用する併用療法をインフルエンザワクチンと組み合わせる場合、両方の治療剤は、各投与間の期間がより長くなり得るように(例えば、日、週、または月)投与され得る。
相乗効果の存在は、薬物相互作用を評価するための好適な方法を使用して決定され得る。好適な方法には、例えば、Sigmoid-Emax式(Holford,N.H.G.and Scheiner,L.B.,Clin.Pharmacokinet.6:429-453(1981))、Loewe相加性式(quation of Loewe additivity)(Loewe,S,and Muischnek,H.,Arch.Exp.Pathol Pharmacol.114:313-326(1926))、およびメジアン効果式(median-effect equation)(Chou,T.C.and Talalay,P.,Adv.Enzyme Regul.22:27-55(1984))が含まれる。上記で言及した各式を実験データに適用して、対応するグラフを生成し、薬物の併用効果の評価に役立てることができる。上記で言及した式に関連する対応するグラフは、それぞれ、濃度効果曲線、アイソボログラム曲線、および併用指数曲線(combination index curve)である。
抗インフルエンザワクチン
本明細書に記載の化合物は、抗インフルエンザワクチンと組み合わせて予防的に投与され得る。これらのワクチンは、例えば、皮下または鼻腔内投与により投与され得る。皮下注射によるワクチン接種は、典型的には、血清中で中和活性を有するIgG抗体を誘導し、肺炎などのより重篤な状態への状態の進行を予防するのに非常に効果的である。しかしながら、感染部位である上気道粘膜では、IgAが主要な予防成分である。IgAは皮下投与では誘導されないので、鼻腔内経路でワクチンを投与することも有利であり得る。
抗ウイルス阻害剤
様々な他の化合物を本明細書に記載の化合物と組み合わせて、インフルエンザ感染を治療または予防するために使用し得る。承認されている化合物には、ノイラミニダーゼ(NA)阻害剤、イオンチャネル(M2)阻害剤、ポリメラーゼ(PB1)阻害剤、および他のインフルエンザ抗ウイルス剤が含まれる。
リレンザ(Relenza)(ザナミビル)、タミフル(Tamiflu)(リン酸オセルタミビル)、およびラピバブ(Rapivab)(ペラミビル)を含む、インフルエンザウイルスに対する使用のための3つのFDA承認済みのインフルエンザ抗ウイルス薬がある。古い薬であるシンメトレル(Symmetrel)(アマンタジン)およびフルマジン(Flumadine)(リマンタジン)は、A型インフルエンザの治療および予防について承認されている。
ノイラミニダーゼ(NA)阻害剤は、ノイラミニダーゼ酵素を遮断する(block)薬剤のクラスである。この阻害剤は、宿主細胞から出芽する(budding)ことによってその複製(reproduction)を防ぐことによりインフルエンザウイルスのウイルスノイラミニダーゼの機能を阻害するので、抗ウイルス薬として一般的に使用されている。代表的なノイラミニダーゼ阻害薬には、オセルタミビル(Oseltamivir)(タミフル)、ザナミビル(Zanamivir)(リレンザ)、ラニナミビル(Laninamivir)(イナビル)、およびペラミビル(Peramivir)が含まれる。
M2阻害剤も使用し得る。マトリックス-2(Matrix-2)(M2)タンパク質は、A型インフルエンザウイルスのウイルスエンベロープに不可欠なプロトン選択性イオンチャネルタンパク質である。薬物相互作用のための2つの異なる部位が提案されている。1つは、2つの隣接する膜貫通ヘリックス(Asp-44付近)の間の脂質に面したポケットであり、ここで、薬物が結合して、アロステリックにプロトン伝導性を遮断する。もう1つは細孔内部(Ser-31付近)にあり、ここで、薬物がプロトンの通過を直接遮断する。
抗インフルエンザウイルス薬のアマンタジンは、M2 H+チャネルの特定の遮断薬である。アマンタジンの存在下では、ウイルスの脱殻(uncoating)は不完全であり、RNPコアは感染を促進しない。アマンタジンおよびリマンタジンを含むアミノアダマンタンは、ウイルス抵抗性があることに起因して広く見放されているが、併用療法では、ある活性剤に対して耐性になるウイルスは他の薬剤によってなおも治療し得るので、併用療法は薬剤耐性の発生を低減し得る。
インフルエンザRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の阻害剤には、ファビピラビルおよびPCT WO2013/138236に記載の化合物が含まれる。Muratore et al.,「Small molecule inhibitors of influenza A and B viruses that act by disrupting subunit interactions of the viral polymerase」,PNAS,vol.109 no.16,6247-6252(April 2012)に開示されている追加の化合物には、以下が含まれる。
Figure 0007165721000103
本明細書に記載の化合物と同時投与し得る具体例には、オセルタミビル(タミフル(登録商標))およびザナミビル(レンザ(登録商標))などのノイラミニダーゼ阻害剤、アマンタジン(シンメトレル(登録商標))およびリマンタジン(フルマジン(登録商標))などのウイルスイオンチャンネル(M2タンパク質)遮断薬、および日本富山化学が開発中のT-705を含むWO2003/015798に記載の抗ウイルス薬が含まれる。(Ruruta et al.,Antiviral Research,82:95-102(2009),「T-705(flavipiravir)and related compounds:Novel broad-spectrum inhibitors of RNA viral infections」も参照のこと)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、従来のインフルエンザワクチンと同時投与され得る。
III.化合物の調製
本明細書で開示される化合物を調製する方法も本明細書で提供される。実施形態では、方法は、式I~IIIによって表される化合物またはその薬学的に許容される塩を調製することに関する。
本明細書に開示される化合物を調製する方法も提供される。本明細書に記載の化合物、およびその薬学的塩はすべて、ジアザインドール環と結合されたアザインドール環を含む共通のコアを含む。
Lが2.2.2ビシクロオクチルまたはビシクロオクテニル環である式IIの化合物は、以下のように調製され得る:
Figure 0007165721000104
Figure 0007165721000105
Figure 0007165721000106
Figure 0007165721000107
上記の反応スキームに示されるフッ素環または環塩素の代わりに、既知のハロゲン化条件を使用して、他のハロゲンを提供し得る。
この反応スキームにおいて、Xは、-CONRCOR、-NRC(O)NR、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、または-NRであり得る。環が2.2.2ビシクロオクチル環であるかまたは2.2.2ビシクロオクテニル環であるかに関わらず、化学は実質的に同じに機能する。
式Iまたは式IIIの化合物が所望される場合、最初の工程で化合物:
Figure 0007165721000108
を使用するより、化合物
Figure 0007165721000109
を使用して、それぞれ式IおよびIIIの化合物を作成するであろう。
LがHであるそれらの化合物の場合、2つの環を連結する前にカップリング化学に関与しないアミン基を保護し、カップリング化学後に環を脱保護することが望ましいものであり得る。代表的な反応スキームを以下に示し、「Pr」は保護基を示す。
Figure 0007165721000110
前述の化学と同様に、上記の反応スキームは、LがHである式IIの化合物の合成を示す。式IまたはIII(LがHである)が所望される場合、化合物:
Figure 0007165721000111
を使用して、式IおよびIIIの化合物をそれぞれ製造するであろう。
上記のようにLが(ii)、(iii)、または(iv)である式IIの化合物を合成するために、式:
Figure 0007165721000112
の化合物とのカップリング反応を開始するのではなく、保護基Prの代わりに、群ii)、iii)、またはiv)から適切な部分を使用して開始するであろう。
前述のカップリング化学と同様に、この手法は、Lが群ii)、iii)、またはiv)のうちの1つである式IIの化合物の合成に関する。式IまたはIIIの化合物が所望される場合、アミン基が群ii)、iii)、またはiv)のうちの1つで官能化されている
Figure 0007165721000113
に類似した化合物を使用して、式IおよびIIIの化合物をそれぞれ製造するであろう。
L部分は、例えば、求核試薬としてのジアザインドール環上のアミンおよび好適な脱離基を有する化合物を使用して求核置換反応を実施することにより、ジアザインドール環に結合され得る。脱離基を有する化合物上のエステル部分が脱離基を有する炭素よりもジアザインドール環上のアミンとより速く反応する場合、エステル部分は好適に保護され、カップリング化学が完了した後にエステルに変換され得る。
カップリング化学の完了後、そうすることが望ましい場合、空の原子価を有する環窒素(最初のスキームに示される中間体19のトシレートまたはTs部分として保護されている)は、脱離基を有する好適な化合物との同様の求核置換反応に関与して、(O)R、-C(O)NR、アルキルCOR、およびアルケニル-CORからなる群から選択される部分を形成する。
足場
上記の合成方法に加えて、本明細書に記載の化合物の合成は、1つ以上の足場を使用して簡素化され得る。例えば、以下の式のうちの1つの足場を好適に官能化されたジアザインドール環と反応させて、互いに結合したアザインドールおよびジアザインドール環を含むコア構造を形成し得る。
Figure 0007165721000114
、式中、Tsはトルエンスルホネートであり、「トシル」または「トシレート」としても既知である。
これらの式の変数は、本明細書に記載の化合物を定義するセクションで提供される定義と同じであるか、または変数によって定義される官能基が本明細書に記載の反応条件下で不安定である場合、官能基の保護形態またはそのような基のシントンのいずれかであり得る。保護基の例は、Greene,T.W.,Wuts,P.G in 「Protective Groups in Organic Synthesis」,第3版,John Wiley & Sons,New York:1999(およびこの本の他の版)に詳細に記載され、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
ジオキサボラオランとクロロジアザインドールとのカップリングのための、例えば、PCT WO2005/095400およびPCT WO 2007/084557における、当該技術分野で既知である任意の好適な反応条件が使用され得る。例えば、これらの前駆体間の反応は、Pd(PPhの存在下で実施され得る。特定の例示的な条件は、本出願の実施例のセクションにおける実施例に記載されている。
本明細書に記載の化学のいくつかの実施形態では、脱離基はトシレート基であり、トシレート基が「脱トシル化」されて、カップリング化学が完了した後、式I、II、またはIIIの化合物が生成される。当該技術分野で既知のTs基を脱保護するための任意の好適な条件が本開示で使用され得る。特定の例示的な条件は、実施例に記載されている。脱トシル化により、Lが-Hである式I、II、またはIIIの化合物が生成され得る。所望する場合、この位置を当該技術分野で既知の任意の好適な方法によってアルキル化して、Lが例えばii)、iii)、iv)、またはv)中の部分である、式I、II、またはIIIの化合物を形成し得る。特定の例示的な合成方法は、以下の実施例においてより詳細に記載されている。
キラル分離
本明細書に記載の化合物は、不斉中心を有し、ラセミ体、ラセミ混合物、個々のジアステレオマーまたはエナンチオマーとして生じ得、すべての異性体が本開示に含まれる。キラル中心を有する本開示の化合物は、光学活性およびラセミ形態で存在し、単離され得る。いくつかの化合物は多型を示し得る。本開示は、本明細書に記載の有用な特性を有する本開示の化合物のラセミ体、光学活性体、多形体、もしくは立体異性体、またはそれらの混合物を包含する。光学活性体は、例えば、再結晶技術によるラセミ体の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、もしくはキラル固定相を用いたクロマトグラフィー分離、または酵素分割によって調製され得る。それぞれの化合物を精製し、次いで化合物を誘導体化して本明細書に記載の化合物を形成するか、または化合物自体を精製し得る。
化合物の光学活性体は、再結晶化技術によるラセミ形態の分割、光学活性出発物質からの合成、キラル合成、またはキラル固定相を用いたクロマトグラフィー分離を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して調製され得る。
光学活性材料を得る方法の例には、少なくとも以下が含まれる。
i)結晶の物理的分離:個々のエナンチオマーの巨視的結晶を手動で分離する手法。この手法は、別個のエナンチオマーの結晶が存在する場合、つまり、材料が集塊(conglomerate)であり、結晶が視覚的に区別できる場合に使用され得る。
ii)同時結晶化:個々のエナンチオマーがラセミ体の溶液から別個に結晶化される手法であり、後者が固体状態の集塊である場合にのみ可能である。
iii)酵素的分割:エナンチオマーと酵素との反応速度が異なることによって、ラセミ体を部分的または完全に分離する手法。
iv)酵素的不斉合成:合成の少なくとも1つの工程で酵素反応を使用して、所望のエナンチオマーのエナンチオマー的に(enantiomerically)純粋なまたは濃縮された合成前駆体を得る合成手法。
v)化学的不斉合成:キラル触媒またはキラル助剤を使用して達成され得る、生成物に非対称性(キラリティ)をもたらす条件下でアキラル前駆体から所望のエナンチオマーを合成する合成技術。
vi)ジアステレオマー分離:ラセミ化合物を、個々のエナンチオマーをジアステレオマーに変換するエナンチオマー的に純粋な試薬(キラル助剤)と反応させる技術。次いで、得られたジアステレオマーを、今やより区別される構造の差異によってクロマトグラフィーまたは結晶化により分離し、キラル助剤を後で除去し、所望のエナンチオマーを取得する。
vii)一次および二次非対称変換:ラセミ化合物由来のジアステレオマーが平衡して、所望のエナンチオマー由来のジアステレオマーの溶液において優勢を生じるか、または所望のエナンチオマー由来のジアステレオマーの優先的結晶化が平衡を乱し、そのため、最終的には原則として、すべての材料が所望のエナンチオマーから結晶性ジアステレオマーに変換される、技術。次いで、所望のエナンチオマーがジアステレオマーから放出される。
viii)速度論的分割:この手法は、速度論条件下で、エナンチオマーとキラル、非ラセミ試薬、または触媒との反応速度が等しくないことにより、ラセミ化合物の部分的または完全な分割(または部分的に分割された化合物のさらなる分割)を達成することを指す。
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成:所望のエナンチオマーが非キラル出発物質から得られ、立体化学的完全性が合成の過程で損なわれないかまたは最小限にしか損なわれない合成技術。
x)キラル液体クロマトグラフィー:ラセミ化合物のエナンチオマーが、固定相との相互作用の違いにより、液体移動相で分離される技術(キラルHPLCを含むがこれに限定されない)。固定相はキラル材料で作られ得、または移動相は異なる相互作用を引き起こすために追加のキラル材料を含み得る。
xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ化合物を揮発させ、固定された非ラセミキラル吸着剤相を含むカラムとの気体移動相での相互作用の違いにより、エナンチオマーを分離する手法。
xii)キラル溶媒での抽出:1つのエナンチオマーが特定のキラル溶媒に優先的に溶解することにより、エナンチオマーが分離される技術。
xiii)キラル膜を通過する輸送:ラセミ化合物を薄膜バリアと接触させて配置する技術。バリアは、典型的には2つの混和性流体を分離し、1つはラセミ化合物を含み、濃度または圧力差などの駆動力により、膜バリアを通過する優先的な輸送が引き起こされる。ラセミ化合物のうちの1つのエナンチオマーのみを通過させることを可能とする膜の非ラセミキラル特性の結果として、分離が起こる。
一実施形態では、擬似移動床クロマトグラフィーを含むがこれに限定されないキラルクロマトグラフィーが使用される。非常に様々なキラル固定相が市販されている。
IV.医薬組成物
本明細書に記載の化合物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、またはビヒクルをさらに含む医薬組成物に製剤化され得る。実施形態では、本開示は、上記の化合物もしくはその塩、および薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、またはビヒクルを含む医薬組成物に関する。実施形態では、医薬組成物は、安全かつ有効な量の本明細書に開示される化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体、希釈剤、補助剤、またはビヒクルを含む。薬学的に許容される担体には、例えば、意図される投与形態に関して好適に選択され、従来の製薬慣行に合致する、薬学的な希釈剤、賦形剤、または担体が含まれる。
「有効量」には、「治療有効量」および「予防有効量」が含まれる。「治療有効量」という用語は、患者におけるインフルエンザウイルス感染の治療および/または改善するのに有効な量を指す。「予防有効量」という用語は、インフルエンザウイルス感染の発生の機会またはサイズを予防および/または実質的に低減させるのに有効な量を指す。
薬学的に許容される担体は、化合物の生物活性を過度に阻害しない不活性成分を含んでもよい。薬学的に許容される担体は、生体適合性、例えば、非毒性であり、非炎症性であり、非免疫原性であり、または対象に投与したときに他の望ましくない反応もしくは副作用がないものでなければならない。標準的な医薬製剤技術を使用し得る。
本明細書で使用される薬学的に許容される担体、補助剤、またはビヒクルには、所望の特定の剤形に好適である、任意の溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に許容される組成物の製剤化に使用される様々な担体およびその調製のための既知の技術を開示している。例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じるか、またはその他では、薬学的に許容される組成物の任意の他の成分と有害的な様式で相互作用することにより、任意の従来の担体媒体が本明細書に記載の化合物と適合しない場合を除き、その使用は本開示の範囲内であることが企図される。本明細書で使用される場合、「副作用」という語句は、治療(例えば、予防薬または治療剤)の望ましくない有害な効果を包含する。副作用は常に望ましくないが、望ましくない効果は必ずしも有害ではない。療法(予防剤または治療剤など)由来の有害な効果は、害となる、もしくは不快である、または危険であり得る。副作用には、発熱、寒気、嗜眠(lethargy)、胃腸毒性(胃および腸の潰瘍および糜爛を含む)、悪心、嘔吐、神経毒性、腎毒性(nephrotoxicities)、腎毒性(renal toxicities)(乳頭壊死および慢性間質性腎炎などの症状を含む)、肝毒性(血清肝酵素レベルの上昇を含む)、骨髄毒性(白血球減少、骨髄抑制、血小板減少、および貧血を含む)、口内乾燥症、金属味、妊娠期間の延長、衰弱、傾眠、疼痛(筋肉痛、骨痛、および頭痛を含む)、脱毛、無力症)(asthenia)、めまい、錐体外路症状、静座不能、心血管障害、および性機能障害が含まれるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される担体として機能し得る材料の例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(ヒト血清アルブミンなど)、緩衝物質(twin80、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウムなど)、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、または亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、羊毛脂肪、ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;セルロースおよびその誘導体、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックス(suppository waxes)などの賦形剤;落花生油、綿実油などの油;ベニバナ油;胡麻油;オリーブオイル;コーン油および大豆油;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張生理食塩水;リンガーの溶液;エチルアルコール、リン酸緩衝溶液が含まれるが、これらに限定されず、ならびにラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性適合潤滑剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤、防腐剤および酸化防止剤もまた、製剤製造者の判断に従って組成物中に存在し得る。
肺送達のための製剤
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、吸入により気道を通して下気道(例えば、肺)に直接投与されるように適合される。吸入による投与のための組成物は、吸入可能な粉末組成物または液体もしくは粉末スプレーの形態をとってもよく、粉末吸入器またはエアロゾル分配デバイスを使用して標準形態で投与され得る。そのようなデバイスは周知である。吸入による投与の場合、粉末製剤は、典型的には、ラクトースまたはデンプンなどの不活性固体粉末希釈剤とともに活性化合物を含む。吸入可能な乾燥粉末組成物は、ゼラチンまたは同様の材料のカプセルおよびカートリッジ、または吸入器または吹送器で使用するための積層アルミニウム箔のブリスター(blister)で提供されてもよい。各カプセルまたはカートリッジは、一般に、例えば、約10mg~約100gの各活性化合物を含んでもよい。あるいは、組成物は、賦形剤なしで提供されてもよい。
吸入可能な組成物は、単位用量または複数用量送達用に包装されてもよい。例えば、組成物は、GB2242134、米国特許第6,632,666号、同5,860,419号、同5,873,360号、および同5,590,645号(すべて「Diskus」デバイスを示す)、もしくはGB2i78965、GB2129691、GB2169265、米国特許第4,778,054号、同4,811,731号、および同5,035,237号(「Diskhaler」デバイスを示す)、もしくはEP69715(「Turbuhaler」デバイス)、またはGB2064336および米国特許第4,353,656号(「Rotahaler」デバイス)に記載されている方法と同様の様式で、複数回用量用に包装され得る。
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン、およびそれらの混合物などのヒドロフルオロアルカンを含む、好適な液化噴射剤を使用して、水溶液もしくは懸濁液として、または定量吸入器(MDI)などの加圧パック(pressurized pack)から送達されるエアロゾルとして製剤化されてもよい。吸入に好適なエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液のいずれかとして提供され得る。
吸入による投与のための薬剤は、典型的には、制御された粒子サイズを有する。気管支系への吸入に最適な粒子サイズは、通常は約1~約10μmであり、いくつかの実施形態では約2~約5μmである。約20μm超のサイズを有する粒子は、吸入時に小さな気道に到達するには一般的に大きすぎる。これらの粒子サイズを達成するために、活性成分の粒子を微粉化などのサイズ低下プロセスに供してもよい。空気分級(air classification)または篩分け(sieving)によって所望のサイズ画分を分離してもよい。好ましくは、粒子は結晶性である。
鼻腔内スプレーは、増粘剤、pHを調整するための緩衝塩または酸もしくはアルカリ、等張調整剤または抗酸化剤などの剤を添加した水性または非水性ビヒクルを使用して製剤化してもよい。
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、緩衝塩、等張調整剤、または抗菌剤などの剤を添加した水性ビヒクルを使用して製剤化してもよい。それらは、濾過またはオートクレーブでの加熱によって滅菌されるか、または非滅菌製品として提供されてもよい。噴霧器は、水性製剤から生成されたミストとしてエアロゾルを供給する。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、補助的な活性成分とともに製剤化され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、乾燥粉末吸入器から投与される。他の実施形態では、本明細書に開示される医薬組成物は、任意選択により「Volumatic」(登録商標)吸入チャンバーなどの吸入チャンバーと組み合わせて、エアロゾル分配デバイスによって投与される。
担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、および/または植物油を含有する溶媒または分散媒質であり得る。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合には必要な粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。本明細書に開示される組成物における微生物の作用の防止は、抗菌剤および/または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどを添加することにより達成される。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含むことが望ましい。注射用組成物の長時間の吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物の放出を制御するマトリックス内にあり得る。いくつかの実施形態では、マトリックスは、脂質、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳酸)酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ無水物、ポリラクチド-co-グリコリド、ポリアミノ酸、ポリエチレンオキシド、アクリル末端(acrylic terminated)ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリホスファゼン、ポリ(オルトエステル)、スクロースアセテートイソブチレート(SAIB)、およびそれらの組み合わせ、ならびに例えば米国特許第6,667,371号、同6,613,355号、同6,596,296号、同6,413,536号、同5,968,543号、同4,079,038号、同4,093,709号、同4,131,648号、同4,138,344号、同4,180,646号、同4,304,767号、同4,946,931号に開示されているものなどの他のポリマーを含み得、それらの各々はそれらの全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。これらの実施形態では、マトリックスは薬物を持続的に放出する。
薬学的に許容される担体および/または希釈剤は、任意の溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および/または抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれてもよい。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体および剤の使用は、当該技術分野で周知である。任意の従来の媒体または剤が活性成分と不適合である場合を除いて、医薬組成物でのその使用が企図される。
医薬組成物は、従来の技術に従って投与用に製剤化され得る。例えば、Remington、The Science and Practice of Pharmacy(第20版.2000)を参照のこと。例えば、本開示の鼻腔内医薬組成物は、エアロゾルとして製剤化され得る(この用語には、液体エアロゾルおよび乾燥粉末エアロゾルの両方が含まれる)。液体粒子のエアロゾルは、当業者に既知であるような、圧力駆動エアロゾル噴霧器または超音波噴霧器などの任意の好適な手段によって生成され得る。例えば、米国特許第4,501,729号を参照のこと。同様に、固体粒子のエアロゾル(例えば、凍結乾燥(lyophilized)、フリーズドライ(freeze dried)など)は、製薬業界で既知の技術により、任意の固体粒子医薬品エアロゾル生成装置で生成し得る。別の例として、医薬組成物は、医薬組成物の凍結乾燥部分および医薬組成物の溶解溶液部分を提供するオンデマンドの(on-demand)溶解可能な形態として製剤化され得る。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、水性懸濁液の形態であり、これは溶液または懸濁液から調製され得る。溶液または懸濁液に関して、剤形は、親油性物質、リポソーム(リン脂質小胞/膜)、および/または脂肪酸(例えばパルミチン酸)のミセルから構成され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、該医薬組成物が投与、適用、および/または送達される組織の上皮粘膜によって分泌される液体に溶解することができる溶液または懸濁液であり、これは吸収を有利に高めることができる。
医薬組成物は、水溶液、非水溶液、または水溶液と非水溶液との組み合わせであり得る。好適な水溶液には、水性ゲル、水性懸濁液、水性ミクロスフェア懸濁液、水性ミクロスフェア分散液、水性リポソーム分散液、リポソームの水性ミセル、水性マイクロエマルジョン、および上記の任意の組み合わせ、または鼻腔の粘膜から分泌される液体に溶解し得る任意の他の水溶液が含まれるが、これらに限定されない。例示的な非水性溶液には、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性ミクロスフェア懸濁液、非水性ミクロスフェア分散液、非水性リポソーム分散液、非水性エマルジョン、非水性マイクロエマルジョン、および前述の任意の組み合わせ、または粘膜から分泌された液体に混合もしくは溶解し得る任意の他の非水性溶液が含まれるが、これらに限定されない。
粉末製剤の例には、単純な粉末混合物、微粉化粉末、フリーズドライ粉末、凍結乾燥粉末、粉末ミクロスフェア、コーティングした粉末ミクロスフェア、リポソーム分散液、および前述の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。粉末ミクロスフェアは、デンプン、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、アルギン酸ポリビニルアルコール、アカシア、キトサン、およびそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な多糖類およびセルロースから形成され得る。
特定の実施形態では、組成物は、吸収を促進するために、粘膜によって分泌される流体に少なくとも部分的に、またはさらに実質的に(例えば、少なくとも80%、90%、95%またはそれ以上)可溶性であるものである。あるいはまたはさらに、組成物は、担体ならびに/または、脂肪酸(例えば、パルミチン酸)、ガングリオシド(例えば、GM-1)、リン脂質(例えば、ホスファチジルセリン)、および乳化剤(例えば、ポリソルベート80)を含むがこれらに限定されない、分泌物内での剤の溶解を促進する他の物質とともに製剤化され得る。
当業者は、鼻腔内投与または送達では、投与される医薬組成物の体積は一般に小さく、鼻腔内のpHの範囲は5~8と広範であり得るので、鼻分泌物が投与用量のpHを変化させ得ることを理解するであろう。そのような変化は、吸収に利用可能な非イオン化薬物の濃度に影響を与え得る。したがって、代表的な実施形態では、医薬組成物は、pHをインサイチュで維持または調節するための緩衝液をさらに含む。典型的な緩衝液には、アスコルビン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、プロラミン、炭酸塩、およびリン酸塩緩衝液が含まれるが、これらに限定されない。
実施形態では、医薬組成物のpHは、投与後の粘膜組織の内部環境が酸性側から中性側になるように選択され、これは(1)吸収のために非イオン化形態の活性化合物を提供でき、(2)アルカリ性環境で発生する可能性がより高い病原菌の増殖を防ぎ、(3)粘膜の刺激の可能性を低下させる。
液体および粉末スプレーまたはエアロゾルのために、医薬組成物は、任意の好適かつ望ましい粒子または液滴サイズを有するように製剤化され得る。例示的な実施形態では、粒子または液滴の大部分および/または平均サイズは、約1、2.5、5、10、15、もしくは20ミクロン以上、および/または約25、30、40、45、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、もしくは425ミクロン以下(前述のすべての組み合わせを含む)の範囲である。大部分および/または平均の粒子または液滴サイズの好適な範囲の代表例には、約5~100ミクロン、約10~60ミクロン、約175~325ミクロン、および約220~300ミクロンが含まれるが、これらに限定されず、これらは例えば鼻腔内(例えば、嗅覚神経経路を標的とするため、鼻腔の上部3分の1、上鼻道、嗅覚領域、および/または副鼻腔領域)における安全かつ有効な量の活性化合物の沈着を促進する。一般に、約5ミクロンより小さい粒子または液滴は、気管またはさらに肺に沈着するが、約50ミクロン以上の粒子または液滴は一般に、鼻腔に到達せず、前鼻に沈着する。
国際特許公開WO2005/023335(Kurve Technology,Inc.)は、本明細書に開示される医薬組成物の代表的な実施形態の実施に好適な直径サイズを有する粒子および液滴を記載している。特定の実施形態では、粒子または液滴は、約5~30ミクロン、約10~20ミクロン、約10~17ミクロン、約10~15ミクロン、約12~17ミクロン、約10~15ミクロン、または約10~12ミクロンの平均直径を有する。粒子は、本明細書に記載の平均直径またはサイズを「実質的に」有し得、すなわち、粒子の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、もしくは95%、またはそれ以上が、示された直径またはサイズ範囲のものである。
医薬組成物は、上記のような液滴サイズを有する霧状または霧状の液体として送達され得る。
鼻腔内送達方法を含む本開示の特定の実施形態によれば、例えば吸収を高めるために、鼻腔における(例えば、鼻腔の上部3分の1、上鼻道、嗅覚領域における、および/または副鼻腔領域における)医薬組成物の滞留時間を延長することが望ましいものであり得る。したがって、医薬組成物は、任意選択により、鼻腔での滞留時間を延ばす剤である、生体接着性ポリマー、ガム(例えば、キサンタンガム)、キトサン(例えば、高度に精製されたカチオン性多糖)、ペクチン(または鼻粘膜に適用されたときにゲルまたは乳化剤のように増粘化する任意の炭水化物)、ミクロスフェア(例えば、デンプン、アルブミン、デキストラン、シクロデキストリン)、ゼラチン、リポソーム、カルバマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、および/またはセルロース(例えば、メチルまたはプロピル、ヒドロキシルまたはカルボキシ、カルボキシメチルまたはヒドロキシルプロピル)とともに製剤化され得る。さらなる手法として、製剤の粘度を増加させることによってもまた、薬剤と鼻上皮との接触を延長する手段が提供され得る。医薬組成物は、鼻用エマルジョン、軟膏、またはゲルとして製剤化され得、これらは、その粘度により、局所適用に対する利点を提供する。
湿っていて血管の多い膜は迅速な吸収を促進し得、その結果として、医薬組成物は、十分な鼻腔内水分含量を確保するために、特にゲルベースの組成物の場合において、保湿剤を任意選択により含み得る。好適な保湿剤の例には、グリセリンまたはグリセロール、鉱油、植物油、膜調整剤(membrane conditioners)、緩和剤(soothing agents)、および/または糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、および/またはマンニトール)が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物中の保湿剤の濃度は、選択された薬剤および製剤に応じて変わる。
医薬組成物はまた、酵素活性を阻害し、粘液の粘度もしくは弾性を低下させ、粘液線毛クリアランス効果を低下させ、タイトジャンクションを開かせ、および/または活性化合物を可溶化する剤などの吸収促進剤を任意選択により含み得る。化学的増強剤は当該技術分野で既知であり、キレート剤(例えば、EDTA)、脂肪酸、胆汁酸塩、界面活性剤、および/または防腐剤が含まれる。浸透促進剤は、低い膜透過性、親油性の欠如を示し、および/またはアミノペプチダーゼにより分解される化合物を製剤化する場合に特に有用であり得る。医薬組成物中の吸収促進剤の濃度は、選択された薬剤および製剤に応じて変わる。
貯蔵寿命を延長するために、防腐剤を医薬組成物に任意選択により添加し得る。好適な防腐剤には、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、および塩化ベンザルコニウム、および前述の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。防腐剤の濃度は、使用される防腐剤、製剤化される化合物、製剤などに応じて変わる。代表的な実施形態では、防腐剤は約2重量%以下の量で存在する。
本明細書に記載の医薬組成物は、嗅覚領域への送達を促進し、および/または嗅覚神経細胞による輸送を引き起こすために、臭気を提供して組成物の吸入を助けるための例えばEP0504263B1に記載されるような付臭剤を任意選択により含み得る。
別の選択肢として、組成物は、例えば組成物の対象への味および/または受容性を高めるために香味剤を含み得る。
肺投与のための多孔質粒子
いくつかの実施形態では、粒子は、吸入器を介して投与されたときに咽喉の奥での沈着を避けるために適切な密度を有するような多孔性である。比較的大きな粒子サイズと比較的低い密度との組み合わせにより、肺での食作用が回避され、適切に標的化された送達が提供され、成分の全身送達が回避され、肺において高濃度の成分が提供される。
そのような粒子を調製し、そのような粒子を送達するための代表的な方法は、例えば、「Particulate compositions for pulmonary delivery」という表題の米国特許第7,384,649号、「Particulate compositions for pulmonary delivery」という表題の米国特許第7,182,961号、「Inhalation device and method」という表題の米国特許第7,146,978号、「Particles for inhalation having sustained release properties」という表題の米国特許第7,048,908号、「Stable spray-dried protein formulations」という表題の米国特許第6,956,021号、「Inhalation device」という表題の米国特許第6,766,799号、および「Inhalation device and method」という表題の米国特許第6,732,732号に記載されている。
そのような粒子を開示する追加の特許には、「Formulation for spray-drying large porous particles」という表題の米国特許第7,279,182号、「Use of simple amino acids to form porous particles」という表題の米国特許第7,252,840号、および「Inhalation device and method」という表題の米国特許第7,032,593号、「Method and apparatus for producing dry particles」という表題の米国特許番号7,008,644号、「Control of process humidity to produce large,porous particles」という表題の米国特許番号6,848,197号、「Formulation for spray-drying large porous particles」という表題の米国特許番号6,749,835 号が含まれる
「Particles for inhalation having sustained release properties」という表題の米国特許第7,678,364号は、治療、予防、または診断を必要とする患者の気道に、a)治療剤、予防剤、または診断剤と複合体を形成している多価金属カチオン、b)薬学的に許容される担体、およびc)乾燥粉末が、噴霧乾燥され、かつ剤の全重量の約10%w/w以上である多価金属カチオンの総量、0.4g/cm以下の約タップ密度、約5マイクロメートル~約30マイクロメートルの幾何学的直径中央値、および約1~約5ミクロンの空気動力学的直径を有する、多価金属カチオン含有成分を含む、安全かつ有効な量の乾燥粉末を投与することを含む、肺系に粒子を送達するための方法を開示している。
粒子中に存在する本明細書に記載の化合物またはその塩の量は、約0.1重量%~約95重量%の範囲であり得るが、いくつかの場合では、100%の高さでもあり得る。例えば、約1~約50%、例えば約5~約30%。化合物が粒子全体に分布している粒子が好ましいものであり得る。
いくつかの実施形態では、粒子は、上記のリン脂質以外の界面活性剤を含む。本明細書で使用する場合、「界面活性剤」という用語は、水と有機ポリマー溶液との間の界面、水/空気界面、または有機溶媒/空気界面などの2つの非混和性相の間の界面に優先的に吸収する任意の剤を指す。界面活性剤は一般に、親水性部分および親油性部分を有し、そのため、粒子に吸収すると、それらは同様にコーティングされた粒子を引き付けない部分を外部環境に提示する傾向があり、したがって粒子の凝集を低減させる。界面活性剤はまた、治療剤または診断剤の吸収を促進し、薬剤の生物学的利用能を増加させ得る。
本明細書に開示される粒子の製造に使用され得る好適な界面活性剤には、ヘキサデカノール;ポリエチレングリコール(PEG)などの脂肪アルコール;ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル;パルミチン酸またはオレイン酸などの界面活性脂肪酸;グリココール酸塩;サーファクチン;ポロキサマー;ソルビタントリオレエート(Span85)などのソルビタン脂肪酸エステル;Tween(登録商標)80およびチロキサポールが含まれるが、これらに限定されない。
界面活性剤は、約0~約5重量%の範囲の量で粒子中に存在し得る。好ましくは、界面活性剤は、約0.1~約1.0重量%の範囲の量で粒子中に存在し得る。
約0.4g/cm未満のタップ密度、少なくとも約5μmの直径中央値、および約1μm~約5μmまたは約1μm~約3μmの空気力学的直径を有する粒子は、中咽頭領域での慣性および重力沈着をより回避することができ、気道または肺深部に標的化される。より大きく、より多孔性の粒子の使用が有利であるが、その理由は、それらは、吸入療法のために現在使用されているものなどのより小さく、より密度の高いエアロゾル粒子よりも効率的にエアロゾル化できるからである。
リポソーム送達
本明細書に記載される組成物は、実際のまたは潜在的なインフルエンザ感染の部位で化合物を提供するように、肺に有利に送達される。これは、定量吸入器または他の肺送達デバイスによる肺送達により達成され得、肺の肺胞を取り囲む毛細血管床に粒子を収容することによっても達成され得る。
小さな単層小胞を含むリポソームなどのナノ担体は、薬物の長期放出および細胞特異的標的化薬物送達などの、薬物を肺に送達する他の従来の手法よりもいくつかの利点を示す。ナノサイズの薬物担体は難水溶性薬物の送達にも有利であり得、本明細書に記載の特定の化合物は難水溶性である。追加の利点には、制御された放出を提供する能力、代謝および分解からの保護、薬物毒性の低減、および標的化能力が含まれる。
リポソーム(好ましくは単層小胞)は、肺胞を取り囲む毛細血管床にその化合物量を優先的に送達(すなわち、標的化)するのに十分な、動的光散乱により測定される200nm未満のサイズを有し、化学的に純粋な合成リン脂質から構成され、最も好ましくは少なくとも16個の炭素の長さの脂肪族側鎖を含むことを特徴とし、かつ、本明細書に記載の1つ以上の化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する。小胞の直径は、例えば、ヘリウムネオン100mW NECガスレーザーおよびMalvern K7027相関器を使用して動的光散乱によって測定され得、理想的には、各サイズ決定のためにそれぞれにつき少なくとも2つまたは3つの測定を行う。
「化学的に純粋なリン脂質」という表現は、有害な界面活性剤部分および不純物(これらは、それらから形成される小さな単層小胞(SUV)の凝集を引き起こす)を本質的に含まず、97%超の純粋である、リン脂質を定義することを意味する。好ましくは、リポソームは、主に約50~約160nmの直径を有し、本質的に電荷が中性であり、16~18個の炭素原子の側鎖長を有するリン脂質を組み込んでいる。より好ましくは、リポソームはジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)から調製され、小胞安定剤としてコレステロール(最も好ましくは総脂質の10~50%の量)を含む。
リポソームが体温を超える(すなわち、37℃を超える)融点を有することも有利であり得る。この理由のために、純粋なリン脂質、好ましくは飽和であり、少なくとも16個の炭素、好ましくは16~18個の炭素の炭素鎖長を有するものを使用することが有利であり得る。ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)が好ましいリン脂質である。
コレステロールはリポソームの安定化に役立ち、リポソームの安定性を提供するのに十分な量で添加することが好ましい。最も好ましくは、リポソームは、DSPEPEGなどのペグ化リン脂質をさらに含む。方法は、肺胞を取り囲む肺の毛細血管床にある量の化合物を優先的に送達(すなわち、標的化)するのに十分な、200nm未満のサイズであり、好ましくは化学的に純粋な合成リン脂質から構成され、最も好ましくは少なくとも16個の炭素の長さの脂肪族側鎖を含むことを特徴とし、かつ、本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグを含む、ある量のリポソーム(好ましくは単層小胞)を患者の血流に導入することを含む。
本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載されるように他の抗インフルエンザ剤と組み合わせ得る。そのような追加の薬剤は、リポソーム中に存在し得、異なるリポソーム中にも存在し得、または異なる経路を介して共投与され得る。
リポソームは、本明細書に記載の化合物のうちの1つ以上またはその薬学的に許容される塩を含み、他の抗インフルエンザ剤を任意選択により含み得る。リポソームは、リン脂質およびコレステロールをクロロホルムなどの適切な有機溶媒に溶解し、溶媒を蒸発させて脂質膜を形成することにより調製され得る。本明細書に記載の化合物をリポソームに充填するためにイオノフォアが使用される場合、イオノフォアは蒸発前に脂質溶液に添加されてもよい。次いで、乾燥された脂質フィルムは、リン酸緩衝生理食塩水または他の生理学的に好適な溶液などの適切な水相で再水和される。水溶性薬物または治療剤は水和溶液に含まれてもよいが、遠隔充填が望ましい場合、上記のキレート剤などの充填剤を水和溶液に添加して、リポソームの内部水性空間内に封入してもよい。
水和溶液を添加したときに、様々なサイズのリポソームが自発的に形成され、水相の一部を封入する。その後、リポソームおよび懸濁水溶液を、米国特許第4,753,788号に記載されている方法に従って、押出、超音波処理、またはホモジナイザーによる処理などの剪断力に供し、特定のサイズの小胞を生成する。
次いで、リポソームは、懸濁溶液から望ましくない化合物、例えば、封入されていない薬物を除去するように処理され得、これは、ゲルクロマトグラフィーまたは限外濾過などのプロセスによって達成してもよい。
標的化肺送達のための乾燥粉末エアロゾルにおけるリポソームの使用は、例えば、Willis et al.,Lung,June2012,190(3):251-262に記載されている。1つの利点は、リポソームの調製に使用されるリン脂質が内因性肺界面活性剤に類似していることである。
投与方法
上記の化合物および薬学的に許容される組成物は、ヒトおよび他の動物に、治療される感染の重症度に応じて経口、直腸、非経口、槽内、膣内、腹腔内、局所(粉剤、軟膏剤、または点滴剤など)、口腔、定量吸入器(MDI)などの吸入器を使用するなどによる肺系への経口または鼻スプレーとしてなどにより、投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物または組成物は、経口、吸入により、または静脈内投与される。
経口投与用の液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン剤、マイクロエマルジョン剤、溶剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれるが、これらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤などの補助剤も含み得る。
注射可能な製剤、例えば、注射可能な滅菌水性または油性懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化され得る。滅菌された注射可能な製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液または懸濁液であり得る。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液、U.S.P.、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁化媒質として滅菌不揮発性油が慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激の(bland)不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の調製に使用される。
注射可能な製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通した濾過により、または使用前に滅菌水または他の注射可能な滅菌媒体に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を導入することにより、滅菌され得る。
本明細書に提供される化合物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅延させることがしばしば望ましい。これは、難水溶性である結晶性またはアモルファス材料の液体懸濁液を使用することによって達成され得る。次いで、化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、次に該溶解速度は結晶サイズおよび結晶形に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される化合物形態の吸収の遅延は、化合物を油性ビヒクルに溶解または懸濁することによって達成される。注射可能なデポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することによって作られる。薬物とポリマーとの比および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポー製剤は、体組織に適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョンに化合物を閉じ込めることによっても調製される。
直腸または膣投与用の組成物は、具体的には坐薬であり、これは、本明細書に記載の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔で溶けて活性化合物を放出する、カカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬ワックスなどの好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製され得る。
経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、および顆粒剤が含まれる。そのような固体剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、ならびに/あるいはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤または増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、およびそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤を含んでもよい。
同様のタイプの固体組成物は、賦形剤、例えば、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティングなどのコーティングおよびシェル(shell)、ならびに医薬製剤の分野で周知の他のコーティングを使用して調製され得る。それらは乳白剤を任意選択により含んでもよく、腸管の特定の部分において、任意選択により遅延様式で、活性成分のみまたは活性成分を優先的に放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み(embedding)組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。同様のタイプの固体組成物は、賦形剤、例えば、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟および硬充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用してもよい。
活性化合物はまた、上記のように1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬製剤の技術分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを使用して調製され得る。そのような固体剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合されてもよい。そのような剤形はまた、通常の慣行であるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化滑沢剤ならびにステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの他の錠剤化助剤も含んでもよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含んでもよい。それらは乳白剤を任意選択により含んでもよく、腸管の特定の部分において、任意選択により遅延様式で、活性成分のみまたは活性成分を優先的に放出する組成物でもあり得る。使用され得る埋め込み(embedding)組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。
本明細書に記載の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉剤、溶剤、スプレー剤、吸入剤、またはパッチ剤が含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体および必要に応じて任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼科製剤、点耳剤、および点眼剤もまた、本開示の範囲内であることが企図される。さらに、本開示は、身体への化合物の制御送達を提供する追加の利点を有する経皮パッチの使用を企図している。そのような剤形は、化合物を好適な媒体に溶解または分配することにより作成され得る。吸収促進剤は、皮膚を通過する化合物の流れを増加させるために使用され得る。速度は、速度制御膜を提供するか、または化合物をポリマーマトリックスまたはゲルに分散させることにより制御され得る。
本明細書に記載の組成物は、経口、非経口、吸入スプレー、局所、直腸、経鼻、口腔、膣投与してもよいし、または埋め込み式リザーバーにより投与してもよい。本明細書で使用される「非経口」という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内、および頭蓋内注射または注入技術が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの場合では、組成物は経口、腹腔内、または静脈内に投与される。
本明細書に記載の組成物の注射可能な滅菌形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当該技術分野で既知の技術に従って製剤化され得る。注射可能な滅菌製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁化媒質として滅菌不揮発性油が慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激の不揮発性油を使用してもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にポリオキシエチル化型の、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油性溶液または懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤、またはエマルジョンおよび懸濁剤を含む薬学的に許容される剤形の製剤化に一般的に使用される同様の分散剤を含んでもよい。薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造に一般的に使用される、Tween、Span、および他の乳化剤または生物学的利用能増強剤などの他の一般的に使用される界面活性剤もまた、製剤化の目的のために使用してもよい。
本明細書に記載される医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または溶剤を含むがこれらに限定されない、任意の経口的に許容される剤形で経口投与されてもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般的に使用される担体には、乳糖およびトウモロコシデンプンが含まれるが、これらに限定されない。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も典型的には添加される。カプセル形態での経口投与の場合、有用な希釈剤にはラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に必要な場合、活性成分を乳化剤および懸濁化剤と組み合わせる。所望する場合、特定の甘味剤、香味剤、または着色剤をまた添加してもよい。
あるいは、本明細書に記載の医薬組成物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、室温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸で溶けて薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより調製され得る。そのような材料には、カカオバター、蜜蝋、およびポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書に記載の医薬組成物はまた、特に、治療の標的が、眼、皮膚、または下部腸管の疾患を含む局所適用により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合に局所投与され得る。好適な局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれについて容易に調製される。
下部腸管用の局所適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)または好適な浣腸製剤で行い得る。局所経皮パッチをまた使用してもよい。
局所適用用に、医薬組成物は、1つ以上の担体に懸濁または溶解された活性成分を含有する好適な軟膏剤に製剤化され得る。本開示の化合物の局所投与用の担体には、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が含まれるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解された活性成分を含む好適なローション剤またはクリーム剤に製剤化されてもよい。好適な担体には、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が含まれるが、これらに限定されない。
眼科用途の場合、医薬組成物は、等張性pH調整滅菌生理食塩水中の微細化懸濁液として、または具体的には、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含むまたは含まない等張性pH調整滅菌生理食塩水中の溶液として製剤化されてもよい。あるいは、眼科用途用に、医薬組成物はワセリンなどの軟膏剤に製剤化されてもよい。
医薬組成物は、鼻内エアロゾルまたは吸入により投与されてもよい。そのような組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な防腐剤、生体利用効率を高める吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を使用する、生理食塩水中の溶液として調製されてよい。
本開示の方法で使用される化合物は、単位剤形で製剤化され得る。「単位剤形」という用語は、治療を受ける対象の単位と投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、任意選択により好適な医薬担体を伴って、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性材料を含有する。単位剤形は、1回の日用量または複数回の日用量(例えば、1日あたり約1~4回またはそれ以上)用であり得る。複数回の日用量が使用される場合、単位剤形は各用量で同じまたは異なり得る。
本開示は、以下の非限定的な実施例を参照することによってより理解されるであろう。
実施例1:側鎖の調製
本明細書に記載の化合物のいくつかは、比較的長い側鎖部分を含む。これらの側鎖のいくつかの前駆体の合成を以下に示す。
側鎖1
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)酢酸(側鎖1)
Figure 0007165721000115
1,4-ジオキサン(60mL)中の2-(2-エトキシエトキシ)エタン-1-オール1(2.68g、20mmol)の攪拌溶液に、0℃でNaOH(1.2g、30mmol)を添加した。混合物を室温で15分撹拌した。次いで、0℃に冷却し、2-ブロモ酢酸tert-ブチル2(7.8g、40mmol)および18-クラウンエーテル(250mg)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を氷冷水(200mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。分離した水層を濃HCl(30mL)で酸性化し(pH約2)、ジクロロメタン(2×250mL)で抽出した。有機層を水(2×100mL)および食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、純粋な2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)酢酸側鎖1(1.5g、7.8mmol、収率39%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール:R:0.10
側鎖2
Figure 0007165721000116
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(2)
Figure 0007165721000117
THF(20mL)中の2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-オール1(5.0g、28.05mmol)の撹拌溶液に、水(10mL)中のNaOH(2.28g、57.22mmol)の溶液を0℃で添加し、続いてTHF(10mL)中の塩化p-トルエンスルホニル(6.84g、35.90mmol)の溶液を0℃で添加した。次いで、混合物を室温にし、4時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を水(100mL)でクエンチし、エーテル(2×100mL)で抽出し、氷冷水(2×25mL)、食塩水溶液(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(9.02g、27.16mmol、収率96%)を無色の油として得た。TLCシステム:ヘキサン中の40%酢酸エチル;R:0.3 LCMS:m/z=332.83(M+H)
2-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン(3)
Figure 0007165721000118
DMF(15mL)中の2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(6g、18.07mmol)の攪拌溶液に、フタルイミドカリウム(4.418g、23.85mmol)を室温で添加した。110℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、エーテル(50mL)を添加し、室温で15分間撹拌し、濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を1M NaOH溶液(50mL)、水(50mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して2-(2-(2-(2-黄色の油状液としてのエトキシエトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン3(3.5g、11.40mmol、63%)。TLCシステム:ヘキサン中の40%酢酸エチル;R:0.50;LCMS:m/z=308.11(M+H)
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖2)
Figure 0007165721000119
エタノール(5mL)中の2-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン3(500mg、1.62mmol)の撹拌溶液に、ヒドラジン水和物(5mL)を添加し、110℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、トルエンで抽出し(2×50mL)、食塩水溶液(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖2)(150mg、0.84mmol、52%)を黄色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール、R:0.10
側鎖3
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)-N-メチルエタン-1-アミン(側鎖3)
Figure 0007165721000120
密閉菅中で、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖2で報告した)(500mg、1.50mmol)およびエタノール溶液(3mL)中の33%メチルアミンを50℃で16時間加熱した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物を水(25mL)に溶解し、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(25mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)-N-メチルエタン-1-アミン側鎖3(210mg、1.09mmol、73%)を黄色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール;R:0.20
側鎖4
Figure 0007165721000121
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-チオール(2)
Figure 0007165721000122
エタノール(10mL)、THF中の2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成が側鎖2で報告した)(2.2g、6.626mmol)の攪拌溶液(1mL)に硫化水素ナトリウム水和物(3.7g、66.26mmol)を添加し、室温で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物を水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-チオール2(1.1g、5.67mmol、85%)を淡褐色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル溶液;R:0.20
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-スルホニルクロリド(側鎖4)
Figure 0007165721000123
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-チオール2(1.4g、7.21mmol)および硝酸カリウム(2.41g、18.04mmol)の攪拌溶液に、塩化スルフリル(1.5ml)を0℃で添加し、室温で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、水(200mL)を添加し、DCM(2×200mL)で抽出し、有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-スルホニルクロリド側鎖4(1.4g、5.38mmol、74%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル溶液;R:0.40
側鎖5
Figure 0007165721000124
2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール(2)
Figure 0007165721000125
ジクロロメタン(1.5L)中の2,2’-(エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ジエタノール1(50g、333.3mmol)の撹拌溶液に、ジヒドロピラン(20g、233.3mmol)およびp-トルエンスルホン酸(6.3g、33.33mmol)を0℃で添加し、室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(1000mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×800mL)で抽出し、合わせた有機層を食塩水(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を、ジクロロメタン中の3%メタノールを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製して、2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール2(3g、12.82mmol、収率10%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の15%アセトン;R:0.35
エチル2-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)アセテート(4)
Figure 0007165721000126
N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール2(2.7g、11.54mmol)の攪拌溶液に、NaH(554mg、23.08mmol)を0℃で添加し、室温で30分間撹拌した。次いで、N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の2-ブロモ酢酸エチル3(2.3g、13.84mmol)の溶液を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の40%酢酸エチルを使用したコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、2-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)酢酸エチル4(550mg、1.7187mmol、収率15%)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル;R:0.50
2-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)酢酸
(側鎖5)
Figure 0007165721000127
THF:HO(3:1)の混合物(12mL)中のエチル2-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)アセテート3(550mg、1.7187mmol)の攪拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(288mg、6.875mmol)を0℃で添加し、室温で16時間攪拌した。反応混合物を濃縮して有機揮発物を除去し、粗製物に添加水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。水層を飽和クエン酸溶液で酸性化し、ジクロロメタン(2×50mL)中の10%メタノールで抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)酢酸(340mg、1.1643mmol、68%)を淡黄色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール;R:0.10
側鎖6
Figure 0007165721000128
2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(2)
Figure 0007165721000129
THF(100mL)中の2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール1(9.5g、40.598mmol、(化合物1の合成は側鎖5で報告した))の攪拌溶液に、NaOH(3.25g、81.196mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(9.3g、48.718mmol)を0℃で添加し、次いで室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(14g、36.08mmol、粗製物)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中70%酢酸エチル:R:0.50;LCMS:m/z=305.04(M-THP)
2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン(3)
Figure 0007165721000130
DMF(35mL)中の2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(14g、36.08mmol)の攪拌溶液に、フタルイミドカリウム(8.8g、47.62mmol)を室温で添加し、次いで110℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を濃縮し、残渣をジエチルエーテルに懸濁し、15分間撹拌し、濾過し、濾液を1MNaOH溶液(2×100mL)、水(100mL)、および食塩水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン3(9g、24.79mmol、収率69%)を黄色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル:R:0.50;LCMS:m/z=364(M+H)
2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(4)
Figure 0007165721000131
エタノール中の2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン3(9g、24.79mmol)の攪拌溶液に、ヒドラジン水和物(18mL)を添加し、110℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物に水(100mL)を添加し、トルエン(3×200mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン4(3.4g、14.59mmol、59%)を無色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の15%アセトン-R:0.10;LCMS:m/z=234(M+H)
tert-ブチル(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(5)
Figure 0007165721000132
THF(30mL)中の2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン4(3.2g、13.7mmol)の攪拌溶液に、(Boc)O(3.15mL、13.73mmol)および0.1当量のDMAP(167mg、1.37mmol)を添加し、次いで、室温で2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物に水(100ml)を添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の25%酢酸エチルで溶出することにより、100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、tert-ブチル(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート5(2.8g、8.408mmol、61%)を無色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル;R:0.50
tert-ブチル(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(6)
Figure 0007165721000133
メタノール(30mL)中のtert-ブチル(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート5(2.8g、8.408mmol)の攪拌溶液に、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム(1.4g、5.885mmol)を0℃で添加し、室温で16時間撹拌した。有機溶媒を留去し、粗製物に水(100mL)を添加し、酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の50%酢酸エチルを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製し、tert-ブチル(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート6(1.8g、7.229mmol、収率86%)を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル-R:0.10
エチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-オエート(8)
Figure 0007165721000134
N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)中のtert-ブチル(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート6(125mg、0.502mmol)の攪拌溶液に、NaH(30mg、1.255mmol)を0℃で処理し、室温で30分間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(1mL)中の2-ブロモ酢酸エチル7(125mg、0.7530mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、混合物をアルゴン雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷水(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の70%酢酸エチルを使用することによってコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、エチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-オエート8(35mg、0.144mmol、収率20%)を無色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.20;直接質量(Direct mass):m/z=236.1(M-Boc)
2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-オイック酸(側鎖6)
Figure 0007165721000135
THF:HO(4:1)の混合物(20mL)中のエチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-オエート8(300mg、0.895mmol)の攪拌溶液に、水酸化リチウム(112mg、2.685mmol)を室温で16時間添加した。反応混合物を濃縮して有機揮発物を除去し、残渣に水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-オイック酸側鎖6(280mg、0.9120mmol、粗製物)の粗化合物を無色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.10;直接質量:m/z=208.07(M-Boc)
側鎖7
Figure 0007165721000136
2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エタノール(2)
Figure 0007165721000137
ジクロロメタン(750mL)中の2,2’-オキシジエタノール1(25g、235.58mmol)の攪拌溶液に、ジヒドロピラン(13.8g、164.85mmol)およびp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(4.48g、23.55mmol)を0℃で添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(600mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×250mL)に抽出し、合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを使用したカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製し、2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エタノール2(7.8g、41.0mmol、収率17%)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.3
エチル3-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(4)
Figure 0007165721000138
THF(70mL)中のNaH(1.74g、43.42mmol)の撹拌懸濁液に、THF(20mL)中の2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エタノール2(5.5g、28.947mmol)の溶液を0℃で添加し、室温で30分間撹拌した。THF(10mL)中の3-ブロモプロパン酸エチル3(7.85g、43.42mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷水(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、20%酢酸エチル/石油エーテルを使用したカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製し、エチル3-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート4(3.4g、11.72mmol、収率40%)を黄色がかった油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル-R:0.50
エチル3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロパノエート(5)
Figure 0007165721000139
メタノール(40mL)中のエチル3-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート4(4.3g、14.827mmol)の攪拌溶液に、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム(1.86g、7.413mmol)を0℃で添加し、室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で留去して残渣を得て、残渣を水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗残渣を、石油エーテル中の70%酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製し、エチル3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロパノエート5(2.6g、12.62mmol、収率86%)を黄色がかった粘着性液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.20
エチル3-(2-(2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(6)
Figure 0007165721000140
N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中のエチル3-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)プロパノエート5(2.0g、9.708mmol)の攪拌溶液をNaH(0.35g、14.65mmol)で0℃で処理し、室温で30分間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中の2-ブロモ酢酸tert-ブチル(2.27g、11.65mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で3時間撹拌した。反応混合物を氷水(50ml)でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の20%酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製して、エチル3-(2-(2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロパノエート6(600mg、1.875mmol、収率19%)を黄色がかった油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.6
12-オキソ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデカン-1-酸(側鎖7)
Figure 0007165721000141
ジオキサン(5mL)中のエチル3-(2-(2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート6(600mg、1.875mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン(1mL)中の4N HClを添加し、次いで室温で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物を水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物をジエチルエーテル(30mL)で粉砕することにより精製し、12-オキソ-3,6,9,13-テトラオキサペンタデカン-1-オイック酸(側鎖7)(400mg、1.51mmol、81%)を黄色がかった油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20
2,2-ジメチル-4-オキソ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸(側鎖8)
Figure 0007165721000142
THF:HO(4:1)の混合物(10mL)中のエチル3-(2-(2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(200mg、0.625mmol、化合物1の合成は側鎖7で報告した)の攪拌溶液に、水酸化リチウム(26mg、0.625mmol)を0℃で添加し、次いで室温で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮して有機揮発物を除去し、水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗残渣を、石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出することにより、カラムクロマトグラフィーにより精製し、2,2-ジメチル-4-オキソ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オイック酸側鎖8(70mg、0.239mmol、38%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル-R:0.40
側鎖9
Figure 0007165721000143
2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール(2)
Figure 0007165721000144
ジクロロメタン(100mL)中の2,2’-((オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)1(10g、51.546mmol)の攪拌溶液に、ジヒドロピラン(2.8mL、30.6mmol)およびp-トルエンスルホン酸(979mg、5.154mmol)を0℃で添加し、室温で4時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)で希釈し、ジクロロメタン(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を食塩水(2×75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。残渣を2%メタノール/ジクロロメタンを使用したフラッシュカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製して、2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール2(2.2g、7.913mmol、収率15.4%)を黄色の粘性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20
2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(3)
Figure 0007165721000145
DCM(20mL)中の2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-オール2(1g、4.27mmol)の攪拌溶液に、EtN(0.8ml、5.55mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(1.05g、5.55mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、NaHCO溶液(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出して、2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート3(1g、2.31mmol、収率54%)を淡褐色の液体として得た。TLCシステム:100%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=455.39(M+Na)
2-(2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン(4)
Figure 0007165721000146
DMF中の2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート3(500Mg、1.15mmol)の攪拌溶液(10mL)に、フタルイミドカリウム(282mg、1.52mmol)を室温で添加し、次いで110℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物に氷水(2×200mL)を添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン4(400mg、9.828mmol、84%)を淡褐色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.20;LCMS:m/z=429.97(M+Na)
2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖9)
Figure 0007165721000147
エタノール(3mL)中の2-(2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)イソインドリン-1,3-ジオン4(400g、0.98mmol)に、ヒドラジン水和物(3ml)を添加し、110℃で12時間攪拌した。TLCにより示される反応の完了後、反応混合物にトルエン(10ml)を添加し、二層が形成され、二層を分離した。トルエン層を食塩水溶液(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖9(150mg、0.541mmol、55%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20
側鎖10
N-メチル-2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖10)
Figure 0007165721000148
密閉菅中の2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(500mg、1.15mmol、化合物1の合成は側鎖9で報告した)の撹拌溶液に、エタノール(5mL)中の33%のMeNHを室温で添加し、次いで60℃で12時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、重炭酸ナトリウム溶液(20mL)を残渣に添加し、ジクロロメタン中の10%メタノール(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濃縮して、N-メチル-2-(2-(2-(2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖10(150mg、0.515mmol、44%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20
側鎖11
Figure 0007165721000149
エチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘプタデカン-17-オエート(3)
Figure 0007165721000150
N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中のtert-ブチル(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート1(1g、4.01mmol)の攪拌溶液に、NaH(240mg、10.04mmol)で0℃~室温で30分間処理した。N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中のエチル3-ブロモプロパノエート2(1.1g、6.02mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、アルゴン雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の70%酢酸エチルで溶出することによりカラムクロマトグラフィーにより精製し、エチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘプタデカン-17-オエート3(310mg、0.925mmol、収率24%)を無色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.50;直接質量:m/z=372.15(M+Na)
エチル3-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(側鎖11)
Figure 0007165721000151
ジオキサン(1mL)中のエチル2,2-ジメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘプタデカン-17-オエート3(310mg、0.888mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン(4M、3mL)中のHClを室温で添加し、アルゴン雰囲気下にて16時間撹拌した。有機溶媒を留去し、ジクロロメタンと共蒸留して、3-(2-(2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオン酸エチル側鎖11(260mg、1.044mmol、粗製物)を無色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の20%メタノール-R:0.10;直接質量:m/z=250.12(M+H)
側鎖12
Figure 0007165721000152
エチル3-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(3)
Figure 0007165721000153
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エタノール1(化合物1の合成は側鎖5で報告した)(5g、21.367mmol)の攪拌溶液に、NaH(1.3g、53.417mmol)で0℃で処理し、室温で30分間撹拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中のエチル3-ブロモプロパノエート2(5.8g、32.05mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間攪拌した。混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の30%酢酸エチルを使用したコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、エチル3-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート3(1g、2.994mmol、収率14%)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル-R:0.60
エチル3-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(4)
Figure 0007165721000154
メタノール(10mL)中のエチル3-(2-(2-(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート3(1g、2.994mmol)の攪拌溶液に、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム(376mg、1.497mmol)を0℃で添加し、室温で16時間攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、エチル3-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート4(580mg、2.32mmol、収率77%)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の5%メタノール-R:0.20
エチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート(5)
Figure 0007165721000155
THF(5mL)中のエチル3-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート4(580mg、2.32mmol)の攪拌溶液に、NaOH(186mg、4.64mmol)を0℃で添加し、室温で15分間攪拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(530mg、2.784mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。TLCによる出発物質の消費後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、氷冷水(2×40mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、エチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エチル)エチル)エトキシ)プロピオネート5(750mg、1.856mmol、収率80%)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル-R:0.70
エチル5,8,11-トリオキサ-2-アザトテトラデカン-14-オエート(側鎖12)
Figure 0007165721000156
エチル3-(2-(2-(2-(トシルオキシ)エトキシ)エトキシ)エトキシ)プロピオネート5(750mg、1.856mmol)を密閉菅に入れ、エタノール(5mL)に溶解し、エタノール(0.9mL、9.282mmol)中の33%のMeNHを室温で添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、揮発物を減圧下で除去し、水(50mL)を添加し、1N HClでpH=2まで酸性化した。水層を酢酸エチル(50mL)、食塩水溶液(30mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、濃縮して、側鎖12(200mg、0.7604mmol、41%)を赤褐色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.10
側鎖13
Figure 0007165721000157
2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(2)
Figure 0007165721000158
ジクロロメタン(30mL)中の2,2’-((オキシビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(オキシ))ビス(エタン-1-オール)1(2g、10.30mmol)の攪拌溶液に、酸化銀(3.5g、15.46mmol)、p-トルエンスルホニルクロリド(2.3g、12.37mmol)、ヨウ化カリウム(342mg、2.06mmol)を0℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。出発物質の消費後、混合物をセライトパッドを通して濾過し、パッドをDCMで数回洗浄した。濾液を水、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、カラムクロマトグラフィーにより精製し、ジクロロメタン中の3%メタノールで溶出して、2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(2.6g、7.471mmol、収率72%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.50;LCMS:m/z=371.19(M+Na)
5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-オール(3)
Figure 0007165721000159
密閉菅中で、エタノール(5mL)中の2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(600mg、1.724mmol)の攪拌溶液に、エタノール中の33%のMeNH(0.8mL)(267mg、8.62mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ(10mL)、5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-オール3(650mg、3.14mmol、粗製物)を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20;直接質量:m/z=208.15(M+H)
tert-ブチル(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート(4)
Figure 0007165721000160
DCM(30mL)中の5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-オール3(2.9g、14.09mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(3.8mL、28.01mmol)および二炭酸ジ-tert-ブチル(3.2mL、14.09mmol)を0℃で添加し、次いで室温で2時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、ジクロロメタン中の5%メタノールで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、tert-ブチル(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート4(1.8g、5.863mmol、収率42%)を淡褐色の液体として得た。TLCシステム:100%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=330.04(M+Na)
2,2,5-トリメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-イル4-メチルベンゼンスルホネート(5)
Figure 0007165721000161
THF(20mL)中のtert-ブチル(2-(2-(2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート4(1.85g、6.026mmol)の攪拌溶液に、水酸化ナトリウム(485mg、12.052mmol)およびp-トルエンスルホニルクロリド(1.63g、7.231mmol)を0℃で添加し、次いで室温で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の40%酢酸エチルで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2,2,5-トリメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-イル4-メチルベンゼンスルホネート5(2.5g、5.423mmol、収率90%)を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=484.4(M+Na)
tert-ブチル(2-(2-(2-(2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート(6)
Figure 0007165721000162
DMF(10mL)中の2,2,5-トリメチル-4-オキソ-3,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-イル4-メチルベンゼンスルホネート5(2.5g、5.423mmol)の攪拌溶液に、フタルイミドカリウム(1.3g、7.049mmol)を室温で添加し、次いで110℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いでジエチルエーテル(100ml)を添加し、15分間撹拌し、濾過した。濾液を1MNaOH溶液(50mL)、水(100mL)、食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、tert-ブチル(2-(2-(2-(2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート6(1.65g、3.784mmol、粗製物)を淡褐色の粘着性液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=459.45(M+Na)
2-(5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-イル)イソインドリン-1,3-ジオン(側鎖13)
Figure 0007165721000163
ジオキサン(5mL)中のtert-ブチル(2-(2-(2-(2-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)エトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル)(メチル)カルバメート6(1.55g、3.555mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン(5mL)中の4NのHClを添加し、次いで室温で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、水(50ml)を粗製物に添加し、重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で塩基性化し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(5,8,11-トリオキサ-2-アザトリデカン-13-イル)イソインドリン-1,3-ジオン側鎖13(700mg、2.083mmol、粗製物)を黄色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.10;LCMS:m/z=337.41(M+H)
側鎖14
Figure 0007165721000164
エチル5-(2-エトキシエトキシ)ペンタノエート(3)
Figure 0007165721000165
テトラヒドロフラン(10mL)中の2-エトキシエタノール1(500mg、5.555mmol)の攪拌溶液に、NaH(267mg、11.11mmol)を0℃で添加し、室温で30分間攪拌した。テトラヒドロフラン(5mL)中のエチル5-ブロモペンタノエート2(1.74g、8.333mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の6%酢酸エチルを使用した100~200シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、エチル5-(2-エトキシエトキシ)ペンタノエート3(220mg、1.009mmol、収率18%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.45
5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン酸(側鎖14)
Figure 0007165721000166
THF:HO(3:1)の混合物(4mL)中のエチル5-(2-エトキシエトキシ)ペンタノエート3(220mg、1.009mmol)の撹拌溶液に、水酸化リチウム一水和物(127mg、3.027mmol)を室温で添加し、16時間撹拌した。反応混合物を濃縮して有機揮発物を除去し、水(50mL)を粗製物に添加し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。水溶液を飽和クエン酸溶液で酸性化し、ジクロロメタン中の10%メタノール(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン酸-14(110mg、0.5789mmol、57%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル-R:0.10
側鎖15
Figure 0007165721000167
5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1オール(3)
Figure 0007165721000168
N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中のペンタン1,5-ジオール1(11g、105.76mmol)の攪拌溶液に、60%のNaH(4.5g、116.34mmol)で0℃で処理し、室温で30分間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(20mL)中の1-ブロモ-2-エトキシエタン2(12mL、105.76mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、室温で攪拌し、アルゴン雰囲気下にて16時間攪拌した。反応混合物を氷水(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の30%酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィー(100~200シリカゲル)により精製して、5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1オール3(5.1g、28.97mmol、収率27%)を油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=199.12(M+Na)
5-(2-エトキシエトキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート(4)
Figure 0007165721000169
DCM(45mL)中の5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1オール3(4.6g、26.136mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(11mL、78.40mmol)を0℃で添加した。混合物を0℃で10分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(5.95g、31.36mmol)およびDMAP(31mg、0.261mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、氷冷水(2×50mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の35%酢酸エチルで溶出して、5-(2-エトキシエトキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート4(3.9g、11.81mmol、収率45%)を黄色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.60;LCMS:m/z=353.20(M+Na)
1-アジド-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン(5)
Figure 0007165721000170
DMF(15mL)中の5-(2-エトキシエトキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート4(1.4g、4.242mmol)の撹拌溶液に、NaN(441mg、6.787mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、水(200ml)を粗製物に添加し、ジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の30%酢酸エチルで溶出することによりカラムクロマトグラフィー(シリカゲル100~200)により精製し、1-アジド-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン5(750mg、3.731mmol、88%)を液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の30%酢酸エチル-R:0.40
5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1-アミン(側鎖15)
Figure 0007165721000171
THF:HO(4:1)(10mL)中の1-アジド-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン5(840mg、4.179mmol)の撹拌溶液に、THF(8.3mL、8.358mmol)中の1MのP(Me)を0℃で添加し、次いで室温で16時間撹拌した。TLCにより示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発乾固させて、5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1-アミン側鎖15(1.1g、粗製物)を液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.10;LCMS:m/z=176.18(M+H)
5-(2-エトキシエトキシ)-N-メチルペンタン-1-アミン(側鎖16)
Figure 0007165721000172
エタノール(70mL)中の1Mメチルアミン溶液中の5-(2-エトキシエトキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖15で報告した)(3g、9.090mmol)の溶液を70℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を蒸発させ、酢酸エチル(150mL)で希釈した。トリエチルアミンで有機層を塩基性化し、水を添加し、酢酸エチル(2×100ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、5-(2-エトキシエトキシ)-N-メチルペンタン-1-アミン側鎖16(1.6g、8.465mmol、粗製物)を褐色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール/トリエチルアミン-R:0.20;直接質量:m/z=190(M+H)
側鎖17
Figure 0007165721000173
N-ベンジル-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタンアミド(2)
Figure 0007165721000174
DMF(5mL)中の5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン酸1(500mg、2.64mmol)(化合物1の合成は側鎖14で報告した)の攪拌溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(1.4mL、7.9mmol)、HATU(2g、5.28mmol)を室温で添加し、10分間撹拌し、ベンジルアミン(420mg,3.96mmol)を添加し、室温で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物に氷冷水(50ml)を添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。粗化合物をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の25%酢酸エチルで溶出して、N-ベンジル-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタンアミド2(400mg、1.43mmol、収率54%)を淡黄色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.40;LCMS:m/z=280.39(M+H)
N-ベンジル-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1-アミン(側鎖17)
Figure 0007165721000175
THF(5mL)中のN-ベンジル-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタンアミド2(400mg、1.43mmol)の攪拌溶液に、THF(5.7ml、5.73mmol)中の1Mボラン溶液を0℃で添加し、混合物を室温で4時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、過剰のボランを1mlのメタノール、氷水(50ml)で慎重にクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させて、N-ベンジル-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1-アミン側鎖17(300mg、1.13mmol、収率79%)を淡黄色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=288.14(M+Na)
側鎖18
Figure 0007165721000176
5-エトキシペンタン-1-オール(2)
Figure 0007165721000177
テトラヒドロフラン(10mL)中のペンタン-1,5-ジオール1(500mg、4.807mmol)の攪拌溶液に、NaH(115mg、4.807mmol)を0℃で添加し、室温で1時間攪拌した。テトラヒドロフラン(5mL)中のヨウ化エチル(740mg、4.807mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて60℃で16時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の35%酢酸エチルを使用した100~200シリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、5-エトキシペンタン-1-オール2(310mg、2.348mmol、収率49%)を赤褐色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の70%酢酸エチル-R:0.50
tert-ブチル2-(5-エトキシペンチルオキシ)アセテート(4)
Figure 0007165721000178
N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の5-エトキシペンタン-1-オール2(500mg、3.7878mmol)の撹拌溶液に、炭酸カリウム(1.6g、11.363mmol)およびtert-ブチル2-ブロモアセテート3(1.85g、9.4697mmol)を添加し、次いで窒素雰囲気下にて80℃で16時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の8%酢酸エチルを使用した100~200シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、tert-ブチル2-(5-エトキシペンチルオキシ)アセテート4(600mg、2.439mmol、収率64%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の30%酢酸エチル-R:0.50
2-(5-エトキシペンチルオキシ)酢酸(側鎖18)
Figure 0007165721000179
ジオキサン(10mL)中のtert-ブチル2-(5-エトキシペンチルオキシ)アセテート4(2g、8.13mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン(15mL)中の4N HClを添加し、次いで室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、水(100ml)を粗物質に添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。水層を1N HCl溶液でpH=2まで酸性化し、次いで酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(5-エトキシペンチルオキシ)酢酸側鎖18(1.3g、6.842mmol、83%)を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:100%酢酸エチル-R:0.10
側鎖19
Figure 0007165721000180
5-エトキシペンタン-1-オール(2)
Figure 0007165721000181
NaH(3.8g、96.15mmol)の攪拌懸濁液に、THF(100mL)中のペンタン-1,5-ジオール1(10g、96.15mmol)の溶液を0℃で添加し、室温で1時間攪拌した。THF(50mL)中のヨウ化エチル(3.7ml、96.15mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、アルゴン雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の40%酢酸エチルで溶出することによりカラムクロマトグラフィーにより精製して、5-エトキシペンタン-1-オール2(6.5g、49.24mmol、収率49%)を油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中70%酢酸エチル-R:0.50;直接質量:m/z=133.36(M+H)
((2-ブロモエトキシ)メタントリチル)トリベンゼン(4)
Figure 0007165721000182
DCM(175mL)中の2-ブロモエタン-1-オール3(7g、56mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(15.5mL、112mmol)および塩化トリチルを0℃で添加し、室温で3時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を水(300ml)で希釈し、ジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、((2-ブロモエトキシ)メタントリチル)トリベンゼン4(4.5g、12.295mmol、収率22%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の10%酢酸エチル-R:0.60;LCMS:m/z=367.24(M+H)
((2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エトキシ)メタントリチル)トリベンゼン(5)
Figure 0007165721000183
NaH(568mg、23.67mmol)の撹拌懸濁液に、DMF(20mL)中の5-エトキシペンタン-1-オール2(1.25g、9.469mmol)の溶液を0℃で添加し、室温で30分間撹拌した。次いで、DMF(5mL)中の((2-ブロモエトキシ)メタントリチル)トリベンゼン4(4.5g、12.31mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、アルゴン雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、((2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エトキシ)メタントリチル)トリベンゼン5(2.5g、5.980mmol、収率63%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の5%酢酸エチル-R:0.40;LCMS:m/z=441.46(M+Na)
2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-オール(6)
Figure 0007165721000184
ジオキサン(60mL)中の((2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エトキシ)メタントリチル)トリベンゼン5(12g、28.70mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン中のHCl(4N、24mL)を0℃で添加し、次いで室温で1時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を濃縮し、水(50ml)を残渣に添加し、重炭酸ナトリウム溶液(100mL)で塩基性化し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の70%酢酸エチルで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-オール6(4.4g、25.0mmol、収率88%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の50%酢酸エチル-R:0.30;直接質量:m/z=177.22(M+H)
2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(7)
Figure 0007165721000185
THF(5mL)中の2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-オール6(3g、17.04mmol)の攪拌溶液に、NaOH(1.3g、34.09mmol)を添加し、p-トルエンスルホニルクロリド(3.8g、20.45mmol)を反応混合物に0℃で添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、反応混合物を水(200mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート7(5.2g、15.75mmol、収率92%)を液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の20%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=331.04(M+H)
1-(2-アジドエトキシ)-5-エトキシペンタン(8)
Figure 0007165721000186
DMF(30mL)中の2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート7(3.5g、10.60mmol)の攪拌溶液に、NaN(1.1g、16.96mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を水(200ml)でクエンチし、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の15%酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーにより精製して、1-(2-アジドエトキシ)-5-エトキシペンタン8(1.95g、9.702mmol、92%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の20%酢酸エチル-R:0.50
2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-アミン(側鎖19)
Figure 0007165721000187
THF:HO(4:1)(12.5mL)中の1-アジド-5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン8(900mg、4.477mmol)の撹拌溶液に、THF(8.9mL、8.955mmol)中の1MのP(Me)を0℃で添加し、次いで室温で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、水(100mL)を残渣に添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、5-(2-エトキシエトキシ)ペンタン-1-アミン側鎖19(240mg、1.371mmol、粗製物)を淡黄色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の5%メタノール-R:0.10;直接質量:m/z=176.31(M+H)
側鎖20
2-((5-エトキシペンチル)オキシ)-N-メチルエタン-1-アミン(側鎖20)
Figure 0007165721000188
密閉菅中のエタノール(3mL)中の2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖19で報告した)(1g、3.030mmol)の攪拌溶液に、エタノール(1M、5mL)中のMeNHを室温で添加し、次いで密閉菅中で60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させた。粗製物に水(10mL)を添加し、HCl溶液(6N、50mL)で酸性化し、ジクロロメタン(2×100mL)で洗浄した。水層をNaOH溶液(100mL)で塩基性化し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-((5-エトキシペンチル)オキシ)-N-メチルエタン-1-アミン側鎖20(240mg、1.269mmol、41%)無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.10;直接質量:m/z=190.18(M+H)
側鎖21
N-ベンジル-2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-アミン(側鎖21)
Figure 0007165721000189
密閉菅中のエタノール(4mL)中の2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖19で報告した)(65mg、0.196mmol)の攪拌溶液に、ベンジルアミン(63mg、0.5908mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、水(50ml)を粗製物に添加し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、N-ベンジル-2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-アミン側鎖21(95mg、0.358mmol、粗製物)の粗化合物を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.40;LCMS:m/z=266.29(M+H)
側鎖22
Figure 0007165721000190
2-(ペンチルオキシ)エタン-1-オール(3)
Figure 0007165721000191
ナトリウム金属(0.6g、0.025mmol)をエチレングリコール1(5g、0.083mmol)に室温で添加し、80℃に加熱した。次いで、1-ブロモペンタン2(3.7g、0.025mmol)を反応混合物に100℃で添加し、反応混合物を4時間撹拌し続けた。混合物を濾過して無機物質を除去し、氷水(200mL)で希釈し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮して、純粋な2-(ペンチルオキシ)エタン-1-オール3(2.2g、0.0186mmol、55%)を黄色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.5
2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)酢酸(側鎖22)
Figure 0007165721000192
1,4-ジオキサン(10mL)中の2-(ペンチルオキシ)エタン-1-オール3(500mg、4.23mmol)の攪拌溶液に、NaOH(0.84g、21.12mmol)を室温で添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、2-ブロモ酢酸tert-ブチル4(1.3mL、8.47mmol)および18-クラウンエーテル(25mg)を反応混合物に添加し、室温で18時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、ジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。分離した水層を濃HClで酸性化し(pH約2)、ジクロロメタン混合物中の10%メタノール(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、純粋な2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)酢酸側鎖22(200mg、1.05mmol、収率24%)を粘性の褐色液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.10
側鎖23
Figure 0007165721000193
2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-オール(3)
Figure 0007165721000194
50% NaOH水溶液(250ml)中のメチル2,2’-オキシビス(エタン-1-オール)1(10g、66.25mmol)の攪拌溶液に、1-ブロモペンタン2を添加し、100℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、水を反応混合物(200ml)に添加し、酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-オール3(8.4g、47.72mmol、72%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:100%酢酸エチル-R:0.50
2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(4)
Figure 0007165721000195
THF(30mL)中の2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-オール3(4g、22.72mmol)の撹拌溶液に、水(10mL)中のNaOH(1.8g、45.45mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で15分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(5.1g、27.27mmol)を反応混合物に添加し、室温で4時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、氷冷水(2×30mL)、食塩水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の30%酢酸エチルで溶出することにより100~200メッシュのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート4(5.4g、16.36mmol、収率72%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の70%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=331.09(M+H)
1-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)ペンタン(5)
Figure 0007165721000196
DMF(20mL)中の2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート4(2g、6.06mmol)の攪拌溶液に、NaN(630mg、9.696mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物に氷水(2×50ml)を添加し、ジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、1-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)ペンタン5(1.1g、5.97mmol、91%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.30;LCMS:m/z=202(M+H)
2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖23)
Figure 0007165721000197
THF:HO(4:1)(10mL)中の1-(2-(2-アジドエトキシ)エトキシ)ペンタン5(1.1g、5.47mmol)の攪拌溶液に、THF中P(Me)(1M、11mL、10.94mmol)を0℃で添加し、室温で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させて、2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖23(1.1g、6.285mmol、粗製物)を褐色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.1
N-メチル-2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖24)
Figure 0007165721000198
2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖23で報告した)(500mg,1.51mmol)に、エタノール中のメチルアミン(1M、5mL)を室温で添加し、80℃で12時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を蒸発させ、水(50mL)で希釈し、1N HClで酸性化し(pH約2)、ジエチルエーテル(2×50mL)で洗浄した。次いで、分離した水層を飽和NaHCO溶液で塩基性化し、ジクロロメタン中の10%メタノール(2×100mL)で抽出し、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、N-メチル-2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖24(240mg、1.27mmol、84%)を褐色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール(1滴のEtN)-R:0.20
N-ベンジル-2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖25)
Figure 0007165721000199
DMF(5ml)中の2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖23で報告した)(500g、1.515mmol)の攪拌溶液に、炭酸カリウム(2g、15.15mmol)およびベンジルアミン(256mg、2.424mmol)を室温で添加し、次いで70℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物に氷水(30ml)を添加し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、ジクロロメタン中の10%メタノールで溶出することによりコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、N-ベンジル-2-(2-(ペンチルオキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖25(300mg、1.132mmol、収率74.8%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20;LCMS:m/z=266.43(M+H)
側鎖26
Figure 0007165721000200
ウンデシル4-メチルベンゼンスルホネート(2)
Figure 0007165721000201
THF(20mL)中のウンデカン-1-オール1(2.0g、11.6mmol)の攪拌溶液に、NaOH(0.93g、23.2mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(2.65g、13.92mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、ヘキサン中の20%酢酸エチルで溶出することにより100~200メッシュのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ウンデシル4-メチルベンゼンスルホネート2(2.6g、7.97mmol、収率68%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.70;LCMS:m/z=325.56(MH)
N-メチルウンデカン-1-アミン(側鎖26)
Figure 0007165721000202
密閉菅中のメタノール(2mL)中のウンデシル4-メチルベンゼンスルホネート2(600mg、1.84mmol)の攪拌溶液に、メタノール(2.5mL)中の1M MeNHを室温で添加し、次いで80℃で16分間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させた。粗製物に水(20ml)を添加し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を、1N HCl溶液(20mL)および飽和NaHCO水溶液(20mL)、食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、N-メチルウンデカン-1-アミン(側鎖26)(190mg、1.02mmol、粗製物)を褐色の油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20;LCMS:m/z=186.40(M+H)
N-ベンジルウンデカン-1-アミン(側鎖27)
Figure 0007165721000203
密閉菅中のエタノール(10mL)中のウンデシル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖26で報告した)(600mg、1.84mmol)の攪拌溶液に、ベンジルアミン(0.6mL)を室温で添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗製物に水(20ml)を添加し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を、1N HCL溶液(20mL)および飽和NaHCO溶液(20mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、粗製物を得た。粗化合物を、ヘキサン中の40%酢酸エチルで溶出することにより100~200メッシュのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N-メチルウンデカン-1-アミン側鎖27(350mg、1.34mmol、収率72%)をオフホワイトの半固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の50%酢酸エチル-R:0.20;LCMS:m/z=262.47(M+H)
側鎖28
Figure 0007165721000204
(3-(エトキシメチル)フェニル)メタノール(2)
Figure 0007165721000205
THF(100mL)中の1,3-フェニレンジメタノール(1)(5g、36.496mmol)の攪拌溶液に、NaH(1.17g、29.197mmol)で0℃~室温で30分間処理した。THF(10mL)中のヨウ化エチル(2.3ml、29.197mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて50℃で16時間撹拌した。混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、石油エーテル中の20%酢酸エチルを使用したコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、(3-(エトキシメチル)フェニル)メタノール3(2.1g、12.65mmol、収率34%)を黄色がかった油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=120.99(M-46)
tert-ブチル2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)アセテート(4)
Figure 0007165721000206
1,4-ジオキサン(10mL)中の(3-(エトキシメチル)フェニル)メタノール2(750mg、4.158mmol)の撹拌溶液に、NaOH(542mg、13.55mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で15分間撹拌し、次いで0℃に冷却し、tert-ブチル2-ブロモアセテート3(1.76g、9.036mmol)および18-クラウンエーテル(40mg)を添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、氷冷水(50mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の10%酢酸エチルで溶出して、tert-ブチル2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)アセテート4(900mg、3.21mmol、収率71.1%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の30%酢酸エチル-R:0.50
2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)酢酸(側鎖28)
Figure 0007165721000207
密閉菅中の1,4-ジオキサン(2mL)中のtert-ブチル2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)アセテート4(300mg、1.0714mmol)の攪拌溶液に、1,4-ジオキサン(2.5mL)中の4MHClを室温で添加し、次いで室温で2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、水(50ml)を粗製物に添加し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物をジエチルエーテル(30mL)で粉砕することにより精製し、2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)酢酸側鎖28(190mg、0.848mmol、収率79.1%)を黄色がかった油状液として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の5%メタノール-R:0.20;LCMS:m/z=225.41(M+H)
側鎖29
Figure 0007165721000208
2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エタノール(2)
Figure 0007165721000209
THF(10mL)中のtert-ブチル2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)アセテート1(化合物1の合成は側鎖28で報告した)(500mg、1.7857mmol)の攪拌溶液に、THF(5.3mL、5.357mmol)中の1MのLiAlHを0℃で3時間添加した。TLCにより示される反応の完了後、反応混合物を飽和NHCl溶液(20mL)および食塩水溶液(20ml)でクエンチし、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エタノール2(350mg、1.666mmol、93%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の40%酢酸エチル-R:0.20;LCMS:m/z=233.33(M+Na)
2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(3)
Figure 0007165721000210
THF(30mL)中の2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エタノール2(1.1g、5.23mmol)の撹拌溶液に、NaOH(0.42g、10.47mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(1.2g、6.28mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、氷冷水(2×50mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を100~200メッシュのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出して、2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート3(1.6g、4.39mmol、収率84%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の30%酢酸エチル-R:0.70;LCMS:m/z=386.98(M+Na)
1-((2-アジドエトキシ)メチル)-3-(エトキシメチル)ベンゼン(4)
Figure 0007165721000211
DMF(30mL)中の2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート3(1.7g、4.39mmol)の攪拌溶液に、NaN(0.48g、7.47mmol)を室温で添加し、60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、粗製物に水(2×100ml)を添加し、ジエチルエーテル(2×50mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、n-ペンタン(100mL)で洗浄することにより精製し、1-((2-アジドエトキシ)メチル)-3-(エトキシメチル)ベンゼン4(1.1g、4.68mmol、定量的)を褐色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の30%酢酸エチル-R:0.70
2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エタンアミン(側鎖29)
Figure 0007165721000212
THF:HO(20mL)中の1-((2-アジドエトキシ)メチル)-3-(エトキシメチル)ベンゼン4(600mg、2.564mmol)の撹拌溶液に、THF(7.7ml、7.69mmol)中の1MのP(Me)を添加し、次いで室温で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗化合物をトルエン(50mL)とともに共蒸留して、2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エタンアミン側鎖29(500mg、2.39mmol、93%)を褐色の半固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20;LCMS:m/z=210.32(M+H)
側鎖30
2-((3-(エトキシメチル)ベンジル)オキシ)-N-メチルエタン-1-アミン(側鎖30)
Figure 0007165721000213
密閉菅中のメタノール(3mL)中の2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート3(化合物3の合成は側鎖29で報告した)(500mg、1.373mmol)の攪拌溶液に、メタノール(5mL)中の1MのMeNHを室温で添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗残渣を水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層を1N HCL溶液(20mL)および飽和NaHCO溶液(20mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(3-(エトキシメチル)ベンジルオキシ)-N-メチルエタンアミン側鎖30(300mg、1.345mmol、粗製物)を黄色の固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20;LCMS:m/z=224.38(M+H)
側鎖31
2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)酢酸(側鎖31)
Figure 0007165721000214
室温の10%NaOH溶液(10ml)およびDMSO(20ml)中の2-(3-ヒドロキシフェニル)酢酸1(2.0g、13.157mmol)の攪拌溶液に。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、1-ブロモ-2-エトキシエタン2(2.01g、13.15mmol)を反応混合物に添加し、80℃で3時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を1N HCl溶液(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を(100~200メッシュシリカゲル)カラムクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン中の40%酢酸エチルで溶出して、2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)酢酸側鎖31(520mg、2.32mmol、18%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:100%酢酸エチル-R:0.60;LCMS:m/z=225.08(M+H)
側鎖32
Figure 0007165721000215
3-(2-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒド(3)
Figure 0007165721000216
DMSO(100mL)および10%NaOH水溶液中の3-ヒドロキシベンズアルデヒド1(15g、122.9mmol)の攪拌溶液に、DMSO(50mL)中の1-ブロモ-2-エトキシエタン2(34mL、307.3mmol)を80℃で滴下して添加し、次いで同じ温度で10時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を1MHCl溶液(200ml)に注ぎ、ジエチルエーテル(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、3-(2-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒド3(5.4g、27.83mmol、22%)を無色の油状液として得た。TLCシステム:石油エーテル中の30%酢酸エチル-R:0.50;LCMS:m/z=195.31(M+H)
(E)-1-(2-エトキシエトキシ)-3-(2-ニトロビニル)ベンゼン(4)
Figure 0007165721000217
ニトロメタン(0.55mL、10.3mmol)中の3-(2-エトキシエトキシ)ベンズアルデヒド(200mg、1.03mmol)の撹拌溶液に、酢酸アンモニウム(88mg、1.133mmol)を室温で添加し、次いで100℃で12時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を水(50ml)で希釈し、酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、水中0.1%ギ酸中の60%アセトニトリルで溶出することによるグレース(grace)カラムクロマトグラフィーにより精製し、(E)-1-(2-エトキシエトキシ)-3-(2-ニトロビニル)ベンゼン4(120mg、0.506mmol、49%)を無色の粘着性液体として得た。TLCシステム:100%ジクロロメタン-R:0.50;LCMS:m/z=238.31(M+H)
2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)エタン-1-アミン(側鎖32)
Figure 0007165721000218
THF(15mL)中の(E)-1-(2-エトキシエトキシ)-3-(2-ニトロビニル)ベンゼン4(1.25g、5.27mmol)の攪拌溶液に、THF中のLAH(1M、26.3mL、26.37mmol)を0℃で添加し、次いで16時間還流撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を氷水(100mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)エタン-1-アミン側鎖32(310mg、1.483mmol、粗製物)を赤褐色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.10;LCMS:m/z=210.32(M+H)
側鎖33
Figure 0007165721000219
2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)-N-メチルアセトアミド(2)
Figure 0007165721000220
DMF(5mL)の2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)酢酸1(化合物1の合成は側鎖31で報告した)(400mg、1.785mmol)の攪拌溶液に、メチルアミン塩酸塩(299mg、4.464mmol)、HATU(458mg、2.678mmol)、およびDIPEA(1.24mL、7.143mmol)を0℃で添加し、室温で16時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させ、粗残渣に水(50ml)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、ジクロロメタン中の2%メタノールで溶出することにより100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)-N-メチルアセトアミド2(270mg、1.139mmol、粗製物)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の5%メタノール-R:0.50;LCMS:m/z=238.28(M+H)
2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)-N-メチルエタン-1-アミン(側鎖33)
Figure 0007165721000221
THF(2mL)中の2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)-N-メチルアセトアミド2(165mg、0.696mmol)の撹拌溶液に、1MのBH-THF(2.08mL、2.088mmol)を0℃で添加し、次いで室温で16時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物をメタノール(20mL)でクエンチし、有機溶媒を蒸発させた。粗残渣に水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮して、2-(3-(2-エトキシエトキシ)フェニル)-N-メチルエタン-1-アミン側鎖33(125mg、0.560mmol、粗製物)を赤褐色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の5%メタノール-R:0.70
側鎖34
Figure 0007165721000222
2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート(2)
Figure 0007165721000223
THF(30mL)中の2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-オール1(8.5g、47.69mmol)の攪拌溶液に、水(10ml)中のNaOH(3.89g、97.415mmol)を0℃で添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(11.63g、61.04mmol)を反応混合物に添加し、室温で16時間撹拌した。TLCによる出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(150mL)で希釈し、氷冷水(2×20mL)、食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出することにより100~200メッシュのシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(4g、12.048mmol、収率25%)を褐色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル-R:0.50
N-ベンジル-2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン(側鎖34)
Figure 0007165721000224
DMF(5ml)中の2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル4-メチルベンゼンスルホネート2(500g、1.506mmol)の攪拌溶液に、炭酸カリウム(2g、15.06mmol)およびベンジルアミン(273mg、2.409mmol)を室温で添加し、80℃で18時間撹拌した。反応の完了後(TLCにょって示される)、氷水を反応混合物(100ml)に添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、DCM中の10%メタノールで溶出することによるコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、N-ベンジル-2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エタン-1-アミン側鎖34(500mg、0.93mmol、収率62%)を黄色の液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.20
側鎖35
Figure 0007165721000225
5-(ペンチルオキシ)ペンタノエート(3)
Figure 0007165721000226
N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中のペンタン-1-オール1(1.0g、11.36mmol)の攪拌溶液に、NaH(450mg、11.63mmol)を0℃で添加し、室温で30分間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(5mL)中の5-ブロモペンタン酸エチル2(1.99ml、12.49mmol)を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の2%酢酸エチルを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル5-(ペンチルオキシ)ペンタノエート3(200mg、0.925mmol、収率8%)を淡黄色の油状液として得た。LCシステム:ヘキサン中の5%酢酸エチル-R:0.30
5-(ペンチルオキシ)ペンタン酸(側鎖35)
Figure 0007165721000227
THF:H2O(4:1、5mL)の混合物中のエチル5-(ペンチルオキシ)ペンタノエート(200mg、0.92mmol)の攪拌溶液に、水酸化リチウム(88mg、3.073mmol)を0℃で添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、粗残渣をエーテルで洗浄し、1N HCl水溶液で酸性化し、酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×15mL)で洗浄し、NaSO4で乾燥し、濃縮した。残渣をペンタン(2×30mL)で洗浄して、側鎖35(150mg、0.797mmol、収率86%)を油状液として得た。LCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.10;LCMS:m/z=189.21(M+H)
側鎖36
Figure 0007165721000228
5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-オール(3)
Figure 0007165721000229
N,N-ジメチルホルムアミド(70mL)中のペンタン-1,5-ジオール1(10g、96.153mmol)の攪拌溶液に、60%のNaH(4.2g、105.768mmol)を0%で添加し、室温で1時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミド(30mL)中の1-ブロモペンタン(14.5g、96.153mmol)の溶液を上記反応混合物に0℃で添加し、窒素雰囲気下にて室温で16時間撹拌した。反応混合物を氷水でクエンチし、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(2×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧下で蒸発させた。粗残渣を、ヘキサン中の20%酢酸エチルを使用した100~200シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-オール3(7g、40.23mmol、収率43%)を淡黄色の油状液として得た。LCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.50
5-(ペンチルオキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート(4)
Figure 0007165721000230
DCM(40mL)中の5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-オール3(4g、22.98mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(7g、68.94mmol)を0℃で添加し、DMAP(0.28g、2.298mmol)を添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、0℃に冷却し、p-トルエンスルホニルクロリド(6.58g、34.48mmol)を反応混合物に添加し、室温で1時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、氷冷水(2×200mL)、食塩水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、ヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出することによるコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5-(ペンチルオキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート4(6g、18.29mmol、収率80%)を無色の油状液として得た。LCシステム:ヘキサン中の20%酢酸エチル-R:0.50
1-アジド-5-(ペンチルオキシ)ペンタン(5)
Figure 0007165721000231
DMF(30mL)中の5-(ペンチルオキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート4(4.0g、12.195mmol)の攪拌溶液に、NaN(1.2g、18.292mmol)を室温で添加し、次いで60℃で16時間攪拌した。TLCにより示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させた。粗残渣に水(2×200ml)を添加し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物をペンタン(3×25mL)で洗浄することによって精製して、1-アジド-5-(ペンチルオキシ)ペンタン5(2.3g、11.55mmol、95%)を油状液として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%酢酸エチルR:0.80
5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-アミン(側鎖36)
Figure 0007165721000232
THF:HO(30mL)中の1-アジド-5-(ペンチルオキシ)ペンタン(5)(2.3g、11.55mmol)の撹拌溶液に、THF(23ml、23.11mmol)中の1MのP(Me)を添加し、次いで室温で12時間攪拌した。TLCによって示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させて、5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-アミン側鎖36(2.8g、16.185mmol、粗製物)を油状液として得た。LCシステム:ヘキサン中の50%酢酸エチル-R:0.10
N-メチル-5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-アミン(側鎖37)
Figure 0007165721000233
密閉菅中のエタノール(20mL)中の5-(ペンチルオキシ)ペンチル4-メチルベンゼンスルホネート1(化合物1の合成は側鎖36で報告した)(6g、18.29mmol)の攪拌溶液に、エタノール中の1Mメチルアミン(91mL、91.45mmol)を室温で添加し、次いで80℃で16時間撹拌した。TLCにより示される反応の完了後、有機溶媒を蒸発させた。粗残渣に水を添加し(2×200ml)、酢酸エチル(2×100mL)で抽出した。有機層を水(200mL)中の1%トリエチルアミン、食塩水溶液(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮して、N-メチル-5-(ペンチルオキシ)ペンタン-1-アミン(側鎖37)(2.6g、13.90mmol、76%)を淡黄色の油状液として得た。LCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール-R:0.10
実施例2:化合物の調製
本明細書に記載の特定の化合物の合成の代表例、およびこれらの化合物を調製するために使用される中間体を以下に示す。以下に示す反応スキームで使用される特定の用語は、次のように定義される:SFC=分取超臨界流体キラル分離;Borsm=回収された出発物質に基づく。
中間体013
Figure 0007165721000234
5-フルオロ-3-ヨードピリジン-2-アミン(2)
Figure 0007165721000235
2M HSO水溶液(150mL)中の5-フルオロピリジン-2-アミン(1)(10g、89.28mmol)の撹拌溶液に、メタ過ヨウ素酸ナトリウム(7.5g、35mmol)を0℃で添加し、100℃で加熱した。次いで、水(30mL)中のヨウ化ナトリウム(13.5g、89.28mmol)を同じ温度で滴下して添加し、3時間維持した。出発物質の消費後、混合物を氷冷水(300mL)に注ぎ、固体NaHCOで塩基性化し(pH約8)、酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層をチオ硫酸ナトリウム溶液(2×200mL)、水(200mL)、続いて食塩水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の15~20%酢酸エチルで溶出して、5-フルオロ-3-ヨードピリジン-2-アミン(2)(12g、50mmol、56%)を褐色の固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の30%EtOAc R:0.5LCMS(ESI):m/z239[M+H]
5-フルオロ-3-((トリメチルシリル)エチニル)ピリジン-2-アミン(3)
Figure 0007165721000236
DMF(20mL)中の5-フルオロ-3-ヨードピリジン-2-アミン(化合物2)(12g、50mmol)、トリメチルシリルエチン(10mL、75mmol)、およびトリエチルアミン(40mL)の混合物を、アルゴンで15分間脱気した。次いで、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(350mg、0.5mmol)およびCuI(280mg、1.5mmol)を添加し、反応混合物を50℃に加熱し、2時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物をセライトパッドを通して濾過し、パッドを酢酸エチルで十分に洗浄した。合わせた濾液を水、食塩水溶液で洗浄し、乾燥し(無水NaSO)、濃縮した。粗化合物を100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の5~10%酢酸エチルで化合物を溶出し、5-フルオロ-3-((トリメチルシリル)エチニル)ピリジン-2-アミン(3)(8g、38mmol、76%)を黄色の粘性液体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.4LCMS(ESI):m/z209[M+H]
5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4)
Figure 0007165721000237
NMP(5mL)中の5-フルオロ-3-((トリメチルシリル)エチニル)ピリジン-2-アミン(3)(500mg、2.4mmol)の攪拌溶液に、カリウムtert-ブトキシド(430mg、3.8mmol)を室温で添加した。反応混合物を130℃で2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、混合物を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を氷冷水(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4)(200mg、1.47mmol、61%)を淡褐色の固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.3LCMS(ESI):m/z137[M+H]
3-ブロモ-5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(5)
Figure 0007165721000238
DMF(50mL)中の5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4.5g、33mmol)の攪拌溶液に、NBS(6.4g、36mmol)を0℃で何回かに分けて添加し、それを2時間放置した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を氷冷水(100mL)に注ぎ、沈殿した固体を濾過し、真空下で乾燥して、3-ブロモ-5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(5)(4.6g、21mmol、64%)を淡褐色の固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.5LCMS(ESI):m/z215[M+H]
3-ブロモ-5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(6)
Figure 0007165721000239
DMF(30mL)中のNaH(1.3g、34mmol)の撹拌懸濁液に、DMF中の3-ブロモ-5-フルオロ1Hピロロ[2,3-b]ピリジン5(4.6g、21mmol)を0℃で添加した。1時間後、DMF(20mL)中のp-TsCl(5.7g、30mmol)の溶液を同じ温度でゆっくりと添加し、2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、混合物を氷冷水(200mL)に注ぎ、沈殿した固体を濾過し、乾燥して、3-ブロモ-5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(6)(6.2g、16mmol、76%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の10%EtOAc R:0.8LCMS(ESI):m/z369[M+H]
5-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(中間体13-1)
Figure 0007165721000240
ジオキサン(10mL)中の3-ブロモ-5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン6(1g、2.7mmol)のアルゴンパージ溶液に、ビスピナカラトジボロン(2g、8.1mmol)、酢酸カリウム(0.8g、8.1mmol)、およびPdCl(dppf)(0.2g、0.27mmol)を室温で添加した。密閉菅中で、反応混合物を60℃で16時間加熱した。出発物質の消費後、混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(中間体13-1)(620mg、1.49mmol、収率55%)を白色固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.3LCMS(ESI):m/z417[M+H]+。
カリウムトリフルオロ(5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)ボレート(中間体13-2)
Figure 0007165721000241
MeOH(100mL)中の5-フルオロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(中間体13-1)(36g、0.086mol)の攪拌溶液に、4.5MKHF(29g、0.389mol)を室温で添加し、混合物を6時間撹拌した。出発物質の消費後、反応混合物を減圧下で濃縮し、MeOHとともに3~4回共蒸留した。粗化合物をアセトン(200mL)に溶解し、濾過して、未溶解の無機固体を除去した。濾液を減圧下で濃縮し、TLC上でより極性の低いスポットが消失するまで得られた粗化合物をジエチルエーテルで粉砕して、カリウムトリフルオロ(5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)ボレート(中間体13-2)(11g、27.7mmol、32%)を褐色の固体として得た。TLCシステム:DCM中の10%MeOH R:0.1LCMS(ESI):m/z397[M+H]
メチル3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)プロパノエート
Figure 0007165721000242
ACN(8mL)中の2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン1(1.0g、6.51mmol)の攪拌溶液に、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(0.49mL、3.255mmol)およびアクリル酸メチル(2)(0.7mL、7.812mmol)を室温で添加し、混合物を80℃で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を水(25mL)でクエンチし、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(2×20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、メチル3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)プロパノエート3(1.2g、5.02mmol、収率77%)を白い固体として得た。TLCシステム:5%MeOH/DCMR:0.3LCMS(ESI):m/z240.2(M+H)
中間体013-18
Figure 0007165721000243
3-ブロモ-5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(2)
Figure 0007165721000244
アセトン(50mL)中の5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン1(5.0g、32.89mmol)の攪拌溶液に、NBS(7.02g、39.46mmol)を0℃で何回に分けて添加し、2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を真空下で濃縮した。粗製物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、3-ブロモ-5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン2(7.0g、30.43mmol、92%)を淡褐色の固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.5LCMS(ESI):m/z230.8[M+H]
3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(3)
Figure 0007165721000245
DMF(30mL)中のNaH(1.4g、58.33mmol)の攪拌懸濁液に、DMF中の3-ブロモ-5-クロロ1Hピロロ[2,3-b]ピリジン2(7.0g、30.43mmol)を0℃で添加した。1時間後、DMF(20mL)中のp-TsCl(6.3g、33.47mmol)の溶液を同じ温度でゆっくりと添加し、2時間撹拌した。反応の完了後(TLCにより示される)、混合物を氷冷水(200mL)に注ぎ、沈殿した固体を濾過し、乾燥して、3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン3(8.5g、22.14mmol、73%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の10%EtOAc R:0.8LCMS(ESI):m/z386.4[M+H]
5-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4)
Figure 0007165721000246
DMF(10mL)中の3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン3(2.8g、7.29mmol)のアルゴンパージ溶液に、ビスピナカラトジボロン(3.71g、14.58mmol)、酢酸カリウム(2.14g、21.87mmol)、およびPdCl(dppf)(678mg、0.729mmol)を室温で添加した。反応混合物を密閉菅中で60℃で16時間加熱した。出発物質の消費後、混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗残渣をコンビフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、5-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン4(602mg、1.39mmol、収率19%)を白色固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.3LCMS(ESI):m/z432.7[M+H]+。
カリウム(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)トリフルオロボレート(13-中間体18)
Figure 0007165721000247
MeOH(50mL)中の5-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン4(9.0g、20.83mmol)の攪拌溶液に、4.5M KHF(7.32g、93.74mmol)を室温で6時間添加した。出発物質の消費後、反応混合物を減圧下で濃縮し、MeOHとともに3~4回共蒸留した。粗化合物をアセトン(100mL)に溶解し、未溶解の無機固体を濾過した。濾液を減圧下で濃縮して粗化合物を得て、TLC上でより極性の低いスポットが消えるまで該粗化合物をジエチルエーテルで粉砕した。次いで、固体を濾過し、乾燥して、カリウムトリフルオロ(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)ボレート中間体13-18(3.2g、7.766mmol、37%)を褐色の固体として得た。TLCシステム:DCM中の10%MeOH R:0.1LCMS(ESI):m/z351[M-60]
中間体013-19
Figure 0007165721000248
エチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(2)
Figure 0007165721000249
密閉菅中に、シクロヘキサ-1,3-ジエン1(15.0g、187.19mmol)、アクリル酸エチル(18.74g、187.19mmol)、およびメチレンブルー(119mg、0.37mmol)を入れ、混合物を140℃で16時間加熱した。出発物質の消費後、エチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2-カルボキシレート2(20.0g、111.11mmol、収率59%)を分留(70℃および0.1mmHgで)によって無色の油として得た。1HNMRに準拠する。TLCシステム:石油エーテル中の5%EA Rf:0.5
エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(3)
Figure 0007165721000250
Parrシェーカー装置中で、EtOH(100mL)中のエチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2-カルボキシレート2(20.0g、111.11mmol)の溶液に、10%Pd/C(2.0g、10%w/w)を添加した。反応混合物をHガス下で50psiで18時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物をセライトパッドを通して濾過し、エタノールでパッドを完全に洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート3(18.5g、101.64mmol、収率91%)を無色の油として得た。1HNMRはTLCシステムに準拠する:石油エーテル中の5%EtOAc Rf:0.5
(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(4)
Figure 0007165721000251
THF(50mL)中の新しく蒸留したDIPA(7.68mL、54.94mmol)の撹拌溶液に、n-BuLiの2.5M溶液(ヘキサン中、19.78mL、49.45mmol)を0℃で添加し、30分間撹拌した。THF(10mL)中のエチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート3(5.0g、27.47mmol)の溶液を-78℃で添加し、同じ温度で1時間撹拌した。次いで、THF中のPhSeBr(9.724g、41.20mmol)の溶液を-78℃で添加し、0℃まで温め、30分間撹拌した。次いで、HO(35mL)、H(20mL)、続いてAcOH(7.5mL)を0℃で添加し、室温で1時間攪拌し、酢酸エチルで希釈し、2つの層を分離し、水層を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を水、食塩水溶液で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗化合物を100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の5~10%酢酸エチルで化合物を溶出して、(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート4(4.02g、22.33mmol、収率81%)を黄色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の5%EtOAc Rf:0.5LCMS(ESI):m/z181.1(M+H)
抗インフルエンザ化合物の合成
Figure 0007165721000252
Figure 0007165721000253
Figure 0007165721000254
中間体18の調製
3-ブロモ-5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(2)
Figure 0007165721000255
DMF(200mL)中の5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(1)(50g、0.3289mol)の攪拌溶液に、N-ブロモスクシンイミド(70.26g、0.3947mol)を何回かに分けて0℃で添加し、2時間撹拌した。TLCによって示される反応の完了後、反応混合物を氷冷水(600mL)に注いで褐色の沈殿物を形成し、これを濾過し、空気下で乾燥して、3-ブロモ-5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(2)(70g、0.3043mol、収率92%)を淡褐色の固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.5LCMS(ESI):m/z230.8[M+H]
3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(3)
Figure 0007165721000256
60%水素化ナトリウム(5.7g、143mmol)の攪拌懸濁液に、DMF(200mL)中の3-ブロモ-5-クロロ1Hピロロ[2,3-b]ピリジン(2)(30g、130mmol)を0℃で添加した。1時間後、DMF(100mL)中の4-トルエンスルホニルクロリド(37.17g、195mmol)の溶液を同じ温度でゆっくりと加え、2時間撹拌した。反応の完了後(TLCにより示される)、混合物を冷水(500mL)に注ぎ、沈殿した固体を濾過し、減圧下で乾燥して、3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(3)(40g、103mmol、収率80%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:ヘキサン中の10%EtOAc R:0.8LCMS(ESI):m/z386.4[M+H]
5-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4)
Figure 0007165721000257
1,2-DME(2×500mL)中の3-ブロモ-5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(3)(2×50g、129mmol)のアルゴンパージ溶液に、ビスピナカラトジボロン(2×49.6g、194mmol)、酢酸カリウム(2×38.1g、389mol)、および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(2×9.4g、12.9mmol)を室温で添加した。反応混合物を90°Cで16時間撹拌した。出発物質の消費後、反応混合物をセライトベッドを通して濾過し、次いで濾液を氷水(500mL)で希釈し、酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗残渣(130g)を得た。粗化合物を精製せずに次の工程に直接使用した。TLCシステム:ヘキサン中の20%EtOAc R:0.3
カリウム(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)トリフルオロボレート(中間体18)
Figure 0007165721000258
メタノール(650mL)中の5-クロロ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン(4)(130g(粗製物))の攪拌溶液に、水(260mL)中のフッ化水素カリウム水溶液(164g、2.10mol)を室温で48時間添加した。反応混合物を減圧下で濃縮し、メタノールとともに2回共蒸留した。粗化合物をアセトン(350mL)に溶解し、未溶解の無機固体を濾過した。濾液を減圧下で濃縮して粗化合物を得て、該粗化合物をジエチルエーテルおよびDCMで粉砕し(TLC上でより極性の低いスポットが消失するまで)、純粋なカリウム(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)トリフルオロボレート(中間体18)(80g、0.194mol、収率74%)を褐色の固体として得た。TLCシステム:DCM中の10%MeOH R:0.2LCMS(ESI):m/z351(対応するボロン酸について)。
中間体19の調製
エチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2-カルボキシレート(7)
Figure 0007165721000259
密閉菅中に、シクロヘキサ-1,3-ジエン(5)(48.0g、600.0mmol)、アクリル酸エチル6(50.0g、500.0mmol)、およびメチレンブルー(320mg、1.0mmol)を入れ、混合物を140℃で16時間攪拌した。出発物質の消費後(HNMRでモニタリング)、反応混合物を蒸留して(70~80℃および0.1mmHgでの分留)、エチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2-カルボキシレート(7)(60.0g、333.0mmol、収率67%)を無色の液体として得た。
エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(8)
Figure 0007165721000260
Parrシェーカー装置中で、エタノール(250mL)中のエチル(1R,4R)-ビシクロ[2.2.2]オクト-5-エン-2-カルボキシレート(7)(100.0g、555.0mmol)の溶液に10%Pd/C(8.0g、8%w/w)を添加した。反応混合物をHガス下、50Psiで、室温で16時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物をセライトパッドを通して濾過し、セライトパッドをエタノール(3×)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮して、エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(8)(100g、mmol、収率98%)を無色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の5%EtOAc Rf:0.5
エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(中間体19)
Figure 0007165721000261
THF(230mL)中の新たに蒸留したジイソプロピルアミン(69mL、494.5mmol)の攪拌溶液に、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(ヘキサン中、178mL、445.05mmol)を-78℃で添加し、30分間攪拌し、次いで0℃で30分間撹拌した。反応混合物を-78℃に冷却し、THF(45mL)中のエチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(8)(45.0g、247.25mmol)の溶液を添加し、同じ温度で1時間撹拌した。次いで、THF(150mL)中のフェニルセレニルブロミド(75.85g、321.42mmol)の溶液を-78℃で添加し、0℃まで温め、30分間撹拌した。TLCによって示される出発物質の消費後、反応混合物を飽和NHCl溶液(250mL)でクエンチし、酢酸エチル(250mL)で希釈した。次いで、有機層を分離し、別のRBフラスコに入れ、これにコンデンサーを取り付けて、0℃に冷却した。次いで、水(150mL)、過酸化水素(100mL)、続いて酢酸(30mL)を同じ温度で非常にゆっくりと添加し(発熱および泡立ちが観察された)、室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチル(2×300mL)で希釈した。合わせた有機層を水(100mL)、食塩水溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗化合物をカラムクロマトグラフィー(100~200シリカ)により精製し、石油エーテル中の5~10%酢酸エチルで溶出して、(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(中間体19)(40g、222mmol、収率90%)を黄色の液体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の5%EtOAc Rf:0.5LCMS(ESI):m/z181.1(M+H) 注:フェニルセレニルクロリド(1.5eq)をまた、フェニルセレニルブロミド(1.3eq)に代えて使用した。
中間体19の代替スキーム
エチル(1R,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタ-2,5-ジエン-2-カルボキシレート(7a)
Figure 0007165721000262
ヘプタン(10mL)中のAlCl(1.98g、14.270mmol)の攪拌溶液に、トリオクチルアルミニウム(15mL、7.135mmol)を0℃で滴下して添加し、同じ温度で1時間攪拌を続けた。プロピオル酸エチル(5a)(2g、20.387mmol)、続いて1,3シクロヘキサジエン(2.1g、26.50mmol)を0℃で添加した。反応物を室温で16時間攪拌した。反応の完了後、反応混合物を0℃に冷却し、水(40mL)中の10%シュウ酸でクエンチし[発熱が観察された]、次いでジエチルエーテル(2×30mL)で抽出し、有機層を合わせて、水(2×30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗製物を得た。この粗製物を、ヘキサン中の3~5%酢酸エチルを溶離液とするSiO(100~200)を使用したカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(1R,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタ-2,5-ジエン-2-カルボキシレート(6a)(2.5g、14.04mmol)を淡緑色の液体として得た。
エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(中間体19)
Figure 0007165721000263
アセトン(10mL)中のエチル(1R,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクタ-2,5-ジエン-2-カルボキシレート(6a)(2.5g、14.04mmol)の攪拌溶液に、ウィルキンソン触媒(60mg、0.064mmol)、続いてプロピオル酸エチル(50μL、触媒)を添加し、これを水素化装置(hydrogenator)に移した。反応物を60psiの水素圧下にて室温で2日間保持した。反応完了後、反応混合物をセライトベッドを通して濾過し、アセトンで洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得た。この粗製物を、ヘキサン中の2~3%酢酸エチルを溶離液とするSiO(100~200)を使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、エチル(1S,4S)-ビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート(中間体19)(1.8g、10.04mmol)を無色の液体として得た。
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(10)
Figure 0007165721000264
密閉菅中で、ACN(150mL)中の2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン9(15.0g、97.7mmol)の溶液に、DBU(14.85g、97.7mmol)を添加した(透明な溶液が淡黄色として観察された)。次いで、(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート中間体19(19.34g、107.49mmol)を同じ温度で添加し、110℃で24時間加熱した。次いで、ACNを減圧下で除去し、残渣を水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗化合物をジエチルエーテル(約100mL)で粉砕し、濾過して、未反応の出発物質9を分離し、固体をジエチルエーテル(50mL)で洗浄した。合わせた濾液層を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶出して、未反応の出発物質中間体19(7g)を単離し、さらに石油エーテル中の15%酢酸エチルで溶出して、所望のエチル-(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート10(7g、21.02mmol、21%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%EtOAc Rf:0.6 LCMS(ESI):m/z334.1(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)(ラセミ体)
Figure 0007165721000265
スルフォラン(40mL)中のエチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(10)(4g、12.00mmol)を、100mL RBF中、室温でセレクトフルオル(5.1g、14.4mmol)に添加した。RBFを95℃で予熱した油浴に浸し、3時間撹拌した。TLCによって示される出発物質の消費後、反応物を室温に冷却し、水(60mL)で希釈し、酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、有機層を水(50mL)、食塩水溶液で洗浄し(50mL)、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物をジエチルエーテルに溶解し、冷水で洗浄して、残留スルフォランを除去した。エーテル層を濃縮し、残渣を230~400シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物を石油エーテル中の7%酢酸エチルで溶出して、エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)(1.2g、3.41mmol、28%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の20%EtOAc Rf:0.5LCMS(ESI):m/z352.0(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)(エナンチオマー2)
Figure 0007165721000266
(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)
Figure 0007165721000267
水(10mL)および1,2-DME(50mL)中の(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)(エナンチオマー2)(1.5g、4.27mmol)、中間体18(3.85g、9.39mmol)、および炭酸ナトリウム(2.26g、21.35mmol)の攪拌溶液に、アルゴンで15分間脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.48g、1.28mmol)を添加し、アルゴンで30分間再度脱気した。反応物を90℃で16時間加熱した。出発物質の消費後、反応混合物を水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×70mL)で抽出し、合わせた有機物を食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物を石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出して、(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)(1.5g、2.41mmol、収率56%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%EtOAc Rf:0.4LCMS(ESI):m/z621.9(M+H)
(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)
Figure 0007165721000268
密閉菅中で、アセトニトリル(30mL)中のエチル(2S,3S)-3-(5-フルオロ-2-(5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)(3.0g、4.83mmol)の溶液に、ジオキサン(15mL)中の4N塩化水素を添加し、密閉菅のキャップをしっかりと閉じ、70℃で3時間加熱した。TLCによって示される反応の完了後、反応物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(50mL)で希釈して黄色の沈殿物を形成し、濾過し、乾燥して、(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)(2.5g、HCl塩)を黄色の固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル Rf:0.2LCMS(ESI):m/z468.0(M+H)
(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A)
Figure 0007165721000269
THF(30mL)およびMeOH(10mL)中の(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)(2.5g、4.97mmol)の攪拌溶液に、水(10mL)中の水酸化リチウム・HO(2.08g、49.7mmol)の溶液を0℃で添加し、次いで室温にし、24時間攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、粗製物を水(10mL)で希釈し、6N HClで酸性化してH約3に調整して、オフホワイトの固体を形成し、固体を濾過し、水で洗浄し、空気下で乾燥して、(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)二環[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(2.0g、4.55mmol、2工程で94%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:DCM中の10%MeOH Rf:0.5LCMS(ESI):m/z424.14(M+H)
Figure 0007165721000270
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(10)
Figure 0007165721000271
密閉菅中で、ACN(150mL)中の2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン9(15.0g、97.7mmol)の溶液に、DBU(14.85g、97.7mmol)を添加した(透明な溶液が淡黄色として観察された)。次いで、(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-2-カルボキシレート中間体19(19.34g、107.49mmol)を同じ温度で添加し、110℃で24時間加熱した。次いで、ACNを減圧下で除去し、残渣を水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗化合物をジエチルエーテル(約100mL)で粉砕し、濾過して、未反応の出発物質9を分離し、固体をジエチルエーテル(50mL)で洗浄した。合わせた濾液層を減圧下で濃縮し、得られた粗化合物を100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、石油エーテル中の5%酢酸エチルで溶出して、未反応の出発物質中間体19(7g)を単離し、さらに石油エーテル中の15%酢酸エチルで溶出して、所望のエチル-(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート10(7g、21.02mmol、21%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%EtOAc Rf:0.6LCMS(ESI):m/z334.1(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)
Figure 0007165721000272
スルフォラン(30mL)中のエチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(10)(3g、9.00mmol)の攪拌溶液に、セレクトフルオル(3.82g、10.8mmol)を室温で添加した。反応物を予熱した油浴に浸し、90℃で3時間維持した。反応物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×75mL)で抽出し、有機層を水(30mL)、食塩水溶液(35mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の7~15%のEtOAcを使用したシリカの小プラグを通して濾過し、濃縮後の粗製物を230~400シリカを使用したカラムクロマトグラフィーで再精製し、化合物を石油エーテル中の7%酢酸エチルで溶出して、エチル-(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(11)(1.0g、2.84mmol、31%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の20%EtOAc Rf:0.5LCMS(ESI):m/z352.0(M+H)
(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)
Figure 0007165721000273
水(25mL)および1,2-DME(100mL)中の(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(3)(3g、8.54mmol)、中間体18(7.747g、18.8mmol)、および炭酸ナトリウム(4.52g、42.73mmol)の攪拌溶液に、アルゴンで15分間脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.48g、1.28mmol)を添加し、アルゴンで10分間再度脱気した。反応物を90℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機物を食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物を石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出して、(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)(3g、4.83mmol、収率56%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%EtOAc Rf:0.4LCMS(ESI):m/z621.9(M+H)
(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)
Figure 0007165721000274
密閉菅中で、アセトニトリル(50mL)中のエチル(2S,3S)-3-(5-フルオロ-2-(5-フルオロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(12)(8.0g、12.88mmol)の溶液に、1,4-ジオキサン(25mL)中の4N塩化水素を添加し、キャップをしっかりと閉じ、70℃で3時間加熱した。TLCによって示される反応の完了後、反応物を室温に冷却し、ジエチルエーテル(50mL)で希釈して、黄色の沈殿物を形成し、これを濾過し、真空下で乾燥して、(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)(7.5g)を黄色の固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の40%酢酸エチル Rf:0.2LCMS(ESI):m/z468.0(M+H)
(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(ラセミ体14A)
Figure 0007165721000275
THF(75mL)およびMeOH(25mL)中の(2S,3S)-エチル3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート塩酸塩(13)(7.5g、14.89mmol)の攪拌溶液に、水(25mL)中の水酸化ナトリウム(2.97g、74.47mmol)の溶液を0℃で添加し、次いで室温にし、16時間撹拌した。揮発物を真空下で除去し、粗製物を1N HClで酸性化してPH約3に調整して、白色沈殿物を形成し、濾過し、水で洗浄し、空気下で乾燥して、ラセミ体(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(5.2g、11.84mmol、2工程での全収率92%)をオフホワイトの固体として得た。注:4%のエステル交換がLCMSで観察され、その後、水酸化リチウムを水酸化ナトリウムの代わりに使用したが、エステル交換は観察されなかった。TLCシステム:DCM中の10%MeOH Rf:0.5LCMS(ESI):m/z440.14(M+H)
(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14Aエナンチオマー)
Figure 0007165721000276
3.6gのラセミ体(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A)を、カラムをChiralcel-OD-H(250×30)mm、5μとして使用したキラルSFCにより分離して、(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A)(1g、95.8%ee)をオフホワイトの固体としと得た。注:1.0g/95.8%eeの14AをSFCChiralcel-AD-Hで再精製して、(600mg/99.04%ee)をオフホワイトの固体として得た。
マイケル付加前のフッ素化を含む反応スキーム
Figure 0007165721000277
2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)
Figure 0007165721000278
アセトニトリル(250mL)および酢酸(50mL)中の2-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(1)(5.0g、32.57mmol)の攪拌溶液に、1-クロロメチル-4-フルオロ-1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンビス(テトラフルオロボレート)(セレクトフルオル)(17.29g、48.85)を室温で添加した。次いで、反応混合物を70℃に加熱し、6時間撹拌した。出発物質の消費後、混合物を減圧下で濃縮し、粗化合物を水(150mL)で希釈し、酢酸エチル(2×250mL)で抽出した。合わせた有機物を飽和NaHCO溶液、食塩水溶液(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)(2.45g、14.32mmol、収率44%)を褐色固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の50%EtOAc Rf:0.6LCMS(ESI):m/z172.0(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(3)
Figure 0007165721000279
マイクロ波バイアル中で、ACN(7mL)中の(1S,4S)-エチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-テン-2-カルボキシレート(中間体19)(1.157g、6.43mmol)の溶液に、2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン(2)(1.0g、5.84mmol)およびDBU(0.887g、5.84mmol)を室温で添加した。反応物をマイクロ波中で120℃で3時間保持した。反応混合物を減圧下で濃縮した。粗化合物を水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機物を食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、100~200シリカを使用したカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物を石油エーテル中の15%酢酸エチルで溶出して、エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(3)(50mg、0.14mmol、収率3%)をオフホワイトの固体として得た。注:約700mgの中間体19を回収した。TLCシステム:石油エーテル中の20%EtOAc Rf:0.6LCMS(ESI):m/z352.1(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート(4)
Figure 0007165721000280
エチル(2S,3S)-3-(2-クロロ-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート3(95mg、0.2706mmol)、中間体18(334.5mg、0.812mmol)、および1,2-DME(16mL)中の2M炭酸ナトリウム水溶液(4mL)の溶液をアルゴンで15分間脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(31mg、1.3535mmol)を添加し、90℃で16時間加熱した。出発物質の消費後、反応混合物を水(25mL)で希釈し、酢酸エチル(50mL)で抽出し、水(3×15mL)、食塩水溶液(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、100~200シリカを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物を石油エーテル中の20%酢酸エチルで溶出して、エチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)二環[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート4(65mg、0.1046mmol、収率38.6%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:石油エーテル中の30%EtOAc Rf:0.3LCMS(ESI):m/z622.42(M+H)
エチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート)(5)
Figure 0007165721000281
アセトニトリル(2mL)中のエチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1-トシル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)二環[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート4(65mg、0.1046mmol)の攪拌溶液に、ジオキサン(1mL)中の4N塩化水素をシール(seal)中で室温~70℃で16時間添加した。TLCによって示される反応の完了後、揮発性溶媒を真空により除去した。粗製物を飽和NaHCO3溶液で塩基性化し、ジクロロメタン中の10%メタノール(2×50mL)で抽出し、有機物を食塩水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、エチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート)(5)(31mg、0.066mmol、収率64%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:DCM中の5%MeOH Rf:0.4LCMS(ESI):m/z468.21(M+H)
(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A、ラセミ混合物)
Figure 0007165721000282
THF(3mL)およびMeOH(1mL)中のエチル(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3]-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボキシレート)(5)(25mg、0.0535mmol)の攪拌溶液に、2M水酸化ナトリウム(1ml)の溶液を0℃で添加した。次いで、室温にし、16時間撹拌した。揮発物を真空下で濃縮した。粗製物を分取HPLCにより精製して、(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A)(ラセミ混合物)(3.0mg、0.0068mmol、12%)をオフホワイトの固体として得た。TLCシステム:DCM中の10%MeOH Rf:0.3LCMS(ESI):m/z440.21(M+H)
(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14Aエナンチオマー1および2)
Figure 0007165721000283
100mgの(2S,3S)-3-(2-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-5-フルオロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ビシクロ[2.2.2]オクタン-2-カルボン酸(14A)(ラセミ混合物)は、アセトニトリル、エタノール、およびジクロロメタンに可溶であり、TharSFC-200-005により、Chiralcel-OD-H(250×30)mm、5μとしてカラムを使用し、100%メタノールで溶出して、それぞれのエナンチオマーに分離された。エナンチオマー画分を回収し、減圧下で濃縮し、乾燥して、14Aエナンチオマー1(20mg)および14Aエナンチオマー2(20mg)をオフホワイトの固体として得た。
Figure 0007165721000284
Figure 0007165721000285
中間体13-4-Xの調製およびこの中間体に由来する最終化合物
Figure 0007165721000286
標的化合物
Figure 0007165721000287
1-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-3-((1R,3S)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)シクロヘキシル)尿素(中間体4-06)
Figure 0007165721000288
ジメチルホルムアミド(2mL)中の(1R,3S)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)シクロヘキサン-1-アミン中間体16(70mg、0.20mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.3mL、2.0mmol)およびフェニル(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(1a)(89mg、0.3mmol)を0℃で添加し、次いで80℃で16時間攪拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗化合物を得て、これを分取HPLCにより精製して、1-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-3-((1R,3S)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)シクロヘキシル)尿素(20mg、0.036mmol、18%)をオフホワイトの固体として得た。
この合成スキームをまた使用し、中間体16を使用したが異なるカルバメート(RNHCOOPh)を使用して、一連の最終化合物(約8~19%の収率)を生成した。これらの中間体および最終化合物を示す表を以下に提供する。
Figure 0007165721000289
Figure 0007165721000290
中間体13-4-13の合成
Figure 0007165721000291
(S)-2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)-1-(3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2、3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2、3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン
Figure 0007165721000292
DMF(2mL)中の(S)-2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7-(ピペリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン塩酸塩中間体17(50mg、0.13mmol)の攪拌溶液に、2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)酢酸(側鎖1)(34mg、0.177mmol)、HATU(92mg、0.241mmol)、およびジイソプロピルエチルアミン(62mg、0.483mmol)を0℃で添加し、次いで室温で16時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を分取HPLC法により精製して、(S)-2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)-1-(3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-イル)エタン-1-オン(中間体13-4-13)(23mg、0.045mmol、収率34%)を褐色の粘着性液体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール Rf:0.5LCMS(ESI):m/z511.41(M+H)
(S)-N-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボキサミドの合成
Figure 0007165721000293
DMF(2mL)中の(S)-2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7-(ピペリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン塩酸中間体17(100mg、0.268mmol)の攪拌溶液に、フェニル(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)カルバメート(96mg、0.322mmol)およびトリエチルアミン(0.11mL、0.805mmol)を添加し、次いで60℃で16時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を添加し、酢酸エチル(50mL)で抽出し、氷冷水(2×75mL)、食塩水溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、水中0.1%ギ酸中の54%アセトニトリルで溶出することによってグレースカラム精製により精製し、(S)-N-(2-(2-(2-エトキシエトキシ)エトキシ)エチル)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(20mg、0.037mmol、収率14%)を暗褐色の粘着性固体として得た。TLCシステム:ジクロロメタン中の10%メタノール Rf:0.5LCMS(ESI):m/z540.13(M+H)
中間体013から調製された化合物
Figure 0007165721000294
ジクロロメタン中の2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エタン-1-アミン(側鎖19)(260mg、1.48mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(0.6mL、4.44mmol)およびクロロギ酸フェニル(460mg、2.96mmol)を0℃で添加し、次いで室温で1時間撹拌した。反応混合物に水(50mL)を添加し、過剰のジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗化合物1(330mg、1.11mmol、75%)を淡黄色の液体として得た。
この一般的な反応スキームを使用したが、異なる側鎖を有するものを使用して、一連の追加の化合物を調製した。収率は35~75%の範囲であった。
Figure 0007165721000295
(S)-N-(2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(中間体13-4-18)
Figure 0007165721000296
ジメチルホルムアミド(2mL)中の(S)-2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7-(ピペリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン塩酸塩中間体17(75mg、0.201mmol)の攪拌溶液に、トリエチルアミン(0.28mL、2.01mmol)およびフェニル(2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル)カルバメート(1)(88mg、0.30mmol)を0℃で添加し、次いで80℃で16時間撹拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗化合物を得て、これを分取HPLCにより精製して、(S)-N-(2-((5-エトキシペンチル))オキシ)エチル)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)ピペリジン-1-カルボキサミド(中間体18)(20mg、0.036mmol、18%)をオフホワイトの固体として得た。
中間体17を異なるアミンと反応させることにより、一連の追加の化合物を調製した。この工程での収率は18~37%の範囲であった。
Figure 0007165721000297
中間体13を使用して調製した追加の化合物
Figure 0007165721000298
DMF(2mL)中の(1R,3S)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)シクロヘキサン-1-アミン(中間体16)(70mg、0.2mmol)の攪拌溶液に、2-((5-エトキシペンチル)オキシ)-N-メチルエタン-1-アミン(側鎖20)(38mg、0.2mmol)およびカルボニルジイミダゾール(48mg、0.3mmol)を室温で添加し、70℃で16時間撹拌した。反応混合物に水(20mL)を添加し、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗化合物を分取HPLCにより精製して、1-(2-((5-エトキシペンチル)オキシ)エチル)-3-((1R,3S)-3-(2-(5-フルオロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)シクロヘキシル)-1-メチル尿素(中間体13-4-17)(26mg、23%)をオフホワイトの固体として得た。
上記のスキームを使用し、中間体16を様々な側鎖と反応させて、一連の化合物を調製し、全収率は4~23%の範囲であった。
Figure 0007165721000299
本明細書に開示される他の特定の化合物を、上記の反応スキームを使用し、好適な出発物質および側鎖を使用して合成した。本明細書に開示される化合物の質量スペクトルを以下の表Eに提供する。
Figure 0007165721000300
Figure 0007165721000301
Figure 0007165721000302
Figure 0007165721000303
Figure 0007165721000304
実施例3:選択した化合物のデータ
以下に見られるように、本明細書に記載の化合物の多くは、A/PR/8/34感染細胞の生存に対して正の効果を示し、A/PR/8/34インフルエンザウイルスの複製に対して阻害効果を示した。
インビトロ抗ウイルスアッセイ
インフルエンザ抗ウイルスアッセイ:
MDCK細胞(雌コッカースパニエル腎上皮、ATCC CCL-34)でのA型インフルエンザ(A/PR/8/34株、ATCC VR-95)またはB型インフルエンザ(細胞培養適応B/Lee/40株、ATCC VR-1535)複製後のウイルス誘導性細胞変性効果(CPE)および細胞生存率の阻害をXTT色素の低下により測定した(Appleyard et al.J Antimicrob Chemother.1(4 Suppl):49-53,1975およびShigeta et al.Antimicrob Agents Chemother.41(7):1423-1427,1997)。ウェルあたり100μLの体積の10%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS)、2mM L-グルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、1mMピルビン酸ナトリウム、および0.1mM NEAAを補充したダルベッコ最小必須培地(DMEM)を使用して、96ウェルの平底組織培養プレート中でMDCK細胞(1×10細胞/ウェル)を増殖させて単層とした。アッセイの設定日に、細胞単層をDPBSで3回洗浄した。ウイルスをATCCから入手し、ストックウイルスプールの生成のためにMDCK細胞中で増殖させた。試験化合物をアッセイ培地(DMEM、2mM L-グルタミン、100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、50ng/ml TPCK処理トリプシン、0.1mM NEAA、および1mMピルビン酸ナトリウム)に2×所望の開始濃度で希釈し、連続希釈した。希釈したウイルスの添加直前に、有効性のために三連で、細胞毒性のために二連で、および比色評価のために濃度あたり単一のウェルで、ウェルあたり100μLの体積の試験化合物を添加した。リバビリンおよびオセルタミビルカルボキシレートを、対照化合物として並行して評価した。ウイルスのあらかじめ滴定された(pretitered)アリコートを冷凍庫から取り出し(-80℃)、生物学的安全キャビネットで急速に解凍した。各ウェルに100μLの体積で添加されたウイルスの量が、感染後4日目で85~95%の細胞死をもたらすと決定される量になるように、ウイルスをアッセイ培地で希釈した。培地のみを含む細胞対照、培地およびウイルスを含むウイルス感染対照、培地および各々を含む細胞傷害性対照を37℃、5%COでの4日間のインキュベーション後、CPEの阻害(細胞生存率の増加)を37℃で4時間のインキュベーション後のホルマザン色素XTTの減少によって測定し、Softmax Pro4.6ソフトウェアを使用して、650nmを基準波長として450nmで分光光度計で測定した。ウイルス感染したウェルのCPE減少率および非感染薬物対照ウェルの細胞生存率を、Microsoft Excel XLfit4を使用して4つのパラメーター曲線適合分析によって計算する。
PB2結合アッセイは、PB2阻害剤のIC50を測定するために設計された均質で高スループットの結合/置換アッセイ用である。アッセイの原理は、PB2阻害剤によるPB2との複合体からの蛍光プローブ(m7GTP類似体)の競合的置換に依存する。簡単に言えば、精製したPB2を蛍光m7GTP類似体とともにインキュベートし、試験阻害剤を反応混合物に添加した。蛍光m7GTPの置換をPerkin Elmer Envisionで読み取った。
多数の化合物のデータを以下の表Fに提供する。IC50としてのインフルエンザPB2の親和性は次のように示される:++++:IC50、<1μM;+++:IC50、1~10μM;++:IC50、10~100μM;+:IC50、>100μM。
Figure 0007165721000305
Figure 0007165721000306
Figure 0007165721000307
Figure 0007165721000308
本明細書で提供されるすべての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で使用する場合、すべての略語、記号、および規定は、現代の科学文献で使用されているものと一致する。例えば、Janet S.Dodd編,The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors,第2版,Washington,D.C.:American Chemical Society,1997を参照のこと。
本開示をその詳細な説明と併せて記載したが、前述の記載は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲を例示し、これを限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内である。

Claims (18)

  1. 以下の式のうちの1つの構造を有する化合物であって、
    Figure 0007165721000309
    式中、
    破線が、単結合または二重結合のいずれかを表し、
    Lが、
    i)H、
    ii)-C1~6アルキル、-C1~6アルキル-OCONR、-C1~6アルキル-CONR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-COR、C1~6アルキル-NRC(O)NR、C1~6アルキル-NRC(O)OR、C1~6アルキル-NRC(O)R、およびC1~6アルキル-NR(C2~6アルキルは、二重結合を任意選択により含み得る)、
    iii)C5~6シクロアルキル-OCONR、C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-COR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、C5~6シクロアルキル-NRC(O)R、およびC5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、またはNR基を任意選択により含み得る)、
    iv)-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-OCONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-CONR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-COR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)NR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)OR、-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NRC(O)R、および-C1~6アルキル-C5~6シクロアルキル-NR(シクロアルキル環は、1~3個のC1~6アルキル基で置換することができ、C5~6シクロアルキル環は、二重結合、酸素、またはNR基を任意選択により含み得る)、
    v)2.2.2ビシクロオクチル-OCONR、2.2.2ビシクロオクチル-CONR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-COR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)NR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)OR、2.2.2ビシクロオクチル-NRC(O)R、および2.2.2ビシクロオクチル-NR(2.2.2ビシクロオクチル環は、二重結合を任意選択により含み得る)であり、
    Rが、H、C1~6アルキル、C1~6アルキル-CO、-CO、CON(R、またはC1~6アルキル-CON(Rであり、Rが、HまたはC1~6アルキルであり、
    各Rが、独立して、H、ハロ、-CN、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、COR、CONR、フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルであり、前記フェニル、ピリジニル、チオフェニル、フラニル、またはイミダゾリルが、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル、、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’、S(O)R’からなる群から選択される1個以上の置換基で任意選択により置換され、各R’が、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、かつ、
    が、Hまたは-SO2-フェニルであり、前記フェニルが、ヒドロキシ、C1~6アルコキシ、C2~8アルコキシアルキル、アルコキシカルボニル、C1~8アルキル、アリールアルコキシカルボニル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル、、CN、N(R’)、SR’、OCOR’、N(COR’)R’、N(COR’)COR’、SCOR’、S(O)NR’及びS(O)R’からなる群から選択される1個以上の置換基で任意選択により置換され、各R’が、独立して、HまたはC1~6アルキルであり、
    1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC2~6アルキニル部分が、それがどこで存在しようと、さらに置換されていない、かつ、独立して、-CN、チオ、アリール-C1~6アルキル、ピリジニル、エトキシメチル-ピリジニル、インドリニル、C1~6アルキル、C1~6アルキル-C3~6シクロアルキル、C3~6シクロアルキル、-C1~6チオアルキル、C1~6ハロアルキル、-C1~6ヒドロキシアルキル、-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ-C1~6アルコキシ、COH、CO1~6アルキル、CONH、CONHC1~6アルキル、および-CON(C1~6アルキル)からなる群から選択される、1~3個の置換基で任意選択により置換され得、
    2つのアルキル基がアミド部分に存在する場合、それらは、任意選択により一緒になって、アミド部分の窒素と5~7員環を形成し得る、化合物、
    またはその薬学的に許容される塩。
  2. 式I、IIまたはIIIの構造を有する、請求項1に記載の化合物または塩。
    Figure 0007165721000310
  3. 式IA、IIAまたはIIIAの構造を有する、請求項2に記載の化合物または塩。
    Figure 0007165721000311
  4. Lが、
    (i)C1~6アルキルCONR;
    (ii)C1~6アルキル-COR;
    (iii)C1~6アルキル-NRC(O)R、C1~6アルキル-NRC(O)OR、もしくはC1~6アルキル-NRC(O)NR;
    (iv)X-A(式中、Xは結合、CH、またはCHCHであり、Aは、
    Figure 0007165721000312
    である);
    (v)C5~6シクロアルキル-CONR、C5~6シクロアルキル-NRCONR、C5~6シクロアルキル-NRCOR、C5~6シクロアルキル-COR、もしくはC5~6シクロアルキル-NR;または
    (vi)X-A(式中、Xは結合、CH、またはCHCHであり、Aは、
    Figure 0007165721000313
    であり、
    各Rは、独立して、HまたはMeであり、
    各Rは、独立して、H、Me、CMe、(CHCHO)Et、CHO(CHCHO)Et、CHCHOCHCHO(CHMe、(CHO(CHMe、(CHO(CHMe、CHCHO(CHOEt、CHCHOCHCHO(CHMe、(CHOCHCHOEt、(CHOCHCHOEt、CHOCHCHO(CHMe、ピリンジニル、または
    Figure 0007165721000314
    である)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  5. Lが、
    (i)CHCONHMe、CHCONMe、CHCHCONHMe、CHCHCONMe、CHCH(Me)CONHMe、CHCH(Me)CONMe、C(Me)(Et)CONHCHCF、CHCONHCHCOH、CHCHCONHCHCOH、CHCONHCH(Me)COH、CHCHCONHCH(Me)COH、CHCONHCH(CHOH)COH、CHCHCONHCH(CHOH)COH、CHCONHCH(CHPh)COH、CHCHCONHCH(CHPh)COH、CHCONHCH(COH)CHCOH、CHCHCONHCH(COH)CHCOH、CHCONHCH(COH)CHCONH、CHCHCONHCH(COH)CHCONH、CHCONHCH(COMe)CHCOH、CHCHCONHCH(COMe)CHCOH、CHCONHCH(COMe)CHCONH、CHCHCONHCH(COMe)CHCONH、CHCONHCHCOMe、CHCHCONHCHCOMe、CHCONHCH(Me)COMe、CHCHCONHCH(Me)COMe、CHCONHCH(CHOH)COMe、CHCHCONHCH(CHOH)COMe、CHCONHCH(CHPh)COMe、CHCONHCH(COMe)CHCOMe、CHCONHCH(COH)CHCOMe、
    Figure 0007165721000315
    (ii)CHCOH、CHCHCOH、CH=CHCOH、CHCH=CHCOH、CH(CMe)COH、CHCH(CMe)COH、CHCH(Me)COH、CH(Me)COH、CH(Me)CHCOH、CHCOMe、CHCHCOMe、CH=CHCOMe、CHCH=CHCOMe、CH(CMe)COMe、CHCH(CMe)COMe、CHCH(Me)COMe、CH(Me)COMe、CH(Me)CHCOMe、CHCOEt、CHCHCOEt、CH=CHCOEt、CHCH=CHCOEt、CH(CMe)COEt、CHCH(CMe)COEt、CHCH(Me)COEt、CH(Me)COEt、CH(Me)CHCOEt、CHCOCMe、CHCHCOCMe、CH=CHCOCMe、CHCH=CHCOCMe、CH(CMe)COCMe、CHCH(CMe)COCMe、CHCH(Me)COCMe、CH(Me)COCMe、もしくはCH(Me)CHCOCMe;または
    (iii)CHCHNHCOMe、CHCHNHCOCMe、CHCHNHCONHMe、CHCHNHCOMe、もしくはCHCHNHCONMe
    である、請求項4に記載の化合物または塩。
  6. Rが、H、Me、Et、またはCMeである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  7. Lが、
    Figure 0007165721000316
    であり、
    Eが、CO、CONR、NR、NRCONR、NRCOR、またはNRCOであり、
    各Rが、独立して、H、Me、Et、またはCMeであり、
    各Rが、独立して、H、Me、Et、CHCONHMe、CHCONMe、またはCHCONHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  8. Lが、
    Figure 0007165721000317
    である、請求項7に記載の化合物または塩。
  9. (i)少なくとも1つのRがFであるか、
    (ii)少なくとも1つのRがClであるか、または
    (iii)一方のRがFであり、他方のRがClもしくはFである、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  10. (i)少なくとも1つのRがHであるか、または
    (ii)各RがHである、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  11. 少なくとも1つのRが、フェニル、ピリジニル、ヒドロキシフェニル、CF、-C≡C-CHシクロプロピル、-C≡C-シクロプロピル、フラニル、チエニル、メチル、イミダゾリル、CH(CH、-(CHピリジニル、-C≡C-(CHSCH、CN、-(CHSCH、-(CHCN、COH、CONHCH、-C≡C-(CHCN、CON(CH、COCHCH、-CH=CH、フルオロピリジニル、クロロピリジニル、またはシアノピリジニルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  12. がHである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物または塩。
  13. 以下の表Aに記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
    Figure 0007165721000318
    Figure 0007165721000319
    Figure 0007165721000320
    Figure 0007165721000321
    Figure 0007165721000322
    Figure 0007165721000323
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  14. 下記の構造:
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    を有する化合物またはその薬学的に許容される塩。
  15. インフルエンザを治療または予防するための薬剤の調製における、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物または塩の使用。
  16. ノイラミニダーゼ(NA)阻害剤、イオンチャネル(M2)阻害剤、およびポリメラーゼ(PB1)阻害剤からなる群から選択される1つ以上の追加の活性剤の使用をさらに含む、請求項15に記載の使用。
  17. 前記薬剤が、
    (i)静脈内投与用、または
    (ii)肺投与用もしくは鼻腔内投与用
    に製剤化されている、請求項15または16に記載の使用。
  18. 請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物または塩および薬学的に許容される担体を含む、対象におけるインフルエンザ感染の治療のための医薬組成物であって、ノイラミニダーゼ阻害剤、イオンチャネル阻害剤、およびポリメラーゼ阻害剤から選択される追加の薬剤を任意選択により含む、医薬組成物。
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