JP7165041B2 - 研削加工装置および研削加工方法 - Google Patents
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Description
図1および図2は、実施形態による研削加工装置10の構成を例示している。この研削加工装置10は、ワークWを研削する装置であり、ベッド11と、コラム12とを備えている。ベッド11は、X軸方向に延びる直方体状に形成されている。コラム12は、Z軸方向に延びる直方体状に形成され、ベッド11のY軸方向における一端側に設けられている。なお、この例では、X軸方向およびY軸方向は、水平方向に沿う方向であり、互いに直交している。Z軸方向は、鉛直方向に沿う方向であり、X軸方向およびY軸方向と直交している。また、研削加工装置10は、ワーク保持部20と、研削加工部30と、位置調節機構40と、制御部100とを備えている。
ワーク保持部20は、ワークを保持して回転軸O(図3参照)周りに回転させる。この例では、ワーク保持部20は、基台部21と、ワーク駆動モータ22とを有している。
研削加工部30は、研削工具31を有している。この例では、研削加工部30は、研削工具31の他に、工具軸32と、工具駆動モータ33とを有している。
位置調節機構40は、ワーク保持部20および研削加工部30のうち少なくとも一方を回転軸Oと交差する研削送り方向において進退させることにより、研削送り方向におけるワークWの位置に対する研削工具31の位置である研削位置P2を調節する。
ワーク位置調節機構50は、ワーク保持部20を研削送り方向において進退させる。この例では、ワーク位置調節機構50は、ワーク保持部20をX軸方向に移動させる。具体的には、ワーク位置調節機構50は、ワークテーブル51と、ワークリニアモータ52とを有している。
工具位置調節機構60は、研削加工部30を研削送り方向において進退させる。この例では、工具位置調節機構60は、研削加工部30をX軸方向とZ軸方向とに移動させる。具体的には、工具位置調節機構60は、工具テーブル61と、工具リニアモータ62と、Z軸テーブル65と、Z軸ボールネジ66と、Z軸サーボモータ67とを有している。
また、この研削加工装置10には、ワークエンコーダ23やワークリニアスケール53や工具リニアスケール63やZ軸エンコーダ68などの各種センサが設けられている。
図2に示すように、制御部100は、研削加工装置10の各部(この例ではワーク保持部20と研削加工部30と位置調節機構40)と電気的に接続されて研削加工装置10の各部との間において信号や情報を伝送する。そして、制御部100は、研削加工装置10に設けられた各種センサからの信号や外部からの情報などに基づいて、研削加工装置10の各部を制御して研削加工装置10の動作を制御する。例えば、制御部100は、プロセッサ,プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリ,各種モータに電流を供給するための電源装置などにより構成されている。
次に、図3を参照して、研削加工装置10において取り扱われる目標研削位置P0と研削位置指令値P1と研削位置P2について説明する。
図2に示すように、この例では、制御部100は、回転制御部101と、位置制御部102と、補正演算部103とを有している。すなわち、回転制御部101と位置制御部102と補正演算部103は、制御部100の機能の一部を構成している。
回転制御部101は、研削加工処理において、ワーク保持部20に保持されているワークWが回転軸O周りに回転するように、ワーク保持部20のワーク駆動モータ22を制御する。また、回転制御部101は、研削加工処理において、研削加工部30の研削工具31が回転軸(Z軸方向に延びる回転軸)周りに回転するように、研削加工部30の工具駆動モータ33を制御する。
位置制御部102は、研削加工処理において研削位置制御を行う。研削位置制御では、位置制御部102は、研削位置P2が研削位置指令値P1に到達するように、研削位置P2と研削位置指令値P1との差である位置偏差P3に応じて研削位置P2を調節する。研削位置指令値P1は、外部より入力される目標研削位置P0と後述する補正量制御により導出される補正量Pcとに基づいて定められる。研削位置制御については、後で詳しく説明する。
補正演算部103は、研削加工処理において補正量制御を行う。補正量制御では、補正演算部103は、ワークの回転周期に含まれるn個(nは2以上の整数)の回転位相の各々における研削位置P2に基づいて基準研削位置Prを導出し、n個の回転位相の各々における研削位置P2と基準研削位置Prとに基づいてn個の回転位相の各々における補正量Pcを導出する。そして、補正演算部103は、その導出されたn個の回転位相の各々における補正量Pcを記憶する。補正量制御については、後で詳しく説明する。
なお、図4に示すように、この例では、制御部100は、研削位置導出部110を有している。研削位置導出部110は、ワークリニアスケール53により検出されるX軸方向におけるワークWの位置(ワークWの回転軸Oの位置)と工具リニアスケール63により検出されるX軸方向における研削工具31の位置(研削工具31の回転軸の位置)とに基づいて研削位置P2を導出する。この例では、研削位置導出部110は、研削工具31の位置からワークWの位置を減算することにより研削位置P2を導出する。
また、図4に示すように、この例では、位置制御部102は、指令値導出部111と、位置偏差導出部112と、モータ制御部113とを有している。指令値導出部111は、目標研削位置P0から補正演算部103により導出された補正量Pcを減算することで研削位置指令値P1を導出する。位置偏差導出部112は、指令値導出部111により導出された研削位置指令値P1から研削位置導出部110により導出された研削位置P2を減算することにより位置偏差P3を導出する。モータ制御部113は、位置偏差導出部112により導出された位置偏差P3に応じてワークリニアモータ52に供給する電流を制御する。
次に、研削加工処理について説明する。
次に、図4を参照して、位置制御部102の研削位置制御について説明する。なお、上述のとおり、補正演算部103には、n個の回転位相の各々における補正量Pcが記憶されている。
次に、図5を参照して、補正演算部103による補正量制御について説明する。この例では、補正演算部103は、ワークWの回転周期に同期して補正量制御を行う。具体的には、補正演算部103は、ワークWが1回転する毎に補正量制御を行う。
まず、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2を取得し、その取得されたn個の回転位相の各々における研削位置P2を記憶する。この例では、補正演算部103は、ワークエンコーダ23により検出されるワーク駆動モータ22の回転位相(すなわちワークWの回転位相)がn個の回転位相のうち第j番目(jは1以上nで以下の整数)の回転位相に到達する毎に、ワークリニアスケール53により検出されるワークリニアモータ52の可動子52bの位置(すなわちワークWの回転軸Oの位置)と工具リニアスケール63により検出される工具リニアモータ62の可動子62bの位置(すなわち研削工具31の回転軸の位置)とに基づいて研削位置P2を導出し、その導出された研削位置P2に第j番目の回転位相を対応付けて記憶する。
次に、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2に基づいて基準研削位置Prを導出する。この例では、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2のうち研削送り方向において最も後退している研削位置P2(ワークWの内周面を研削する場合はワークWの回転軸Oに最も近い研削位置P2)を基準研削位置Prに設定する。なお、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2の平均値を基準研削位置Prに設定してもよい。
次に、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2の中から第k番目の回転位相における研削位置P2を選択する。なお、kは、1以上でn以下の整数である。また、kの初期値は、1に設定されている。すなわち、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における研削位置P2の中から第1番目の回転位相における研削位置P2を最初に選択する。
次に、補正演算部103は、第k番目の回転位相における研削位置P2が研削送り方向において基準研削位置Prよりも前進しているか否かを判定する。第k番目の回転位相における研削位置P2が研削送り方向において基準研削位置Prよりも前進している場合には、ステップS15へ進み、そうでない場合には、ステップS16へ進む。
第k番目の回転位相における研削位置P2が研削送り方向において基準研削位置Prよりも前進している場合、補正演算部103は、第k番目の回転位相における補正量Pcを増加させる。この例では、第k番目の回転位相における補正量Pcの増加量は、第k番目の回転位相における研削位置P2と基準研削位置Prとの差に応じた量となっている。具体的には、第k番目の回転位相における研削位置P2と基準研削位置Prとの差が大きくなるに連れて、第k番目の回転位相における補正量Pcの増加量が大きくなる。なお、この例では、第k番目の回転位相における補正量Pcの増加量は、第k番目の回転位相における研削位置P2と基準研削位置Prとの差の絶対値よりも小さくなっている。例えば、第k番目の回転位相における補正量Pcの増加量は、第k番目の回転位相における研削位置P2と基準研削位置Prとの差に対して予め定められた係数(1よりも小さい正の数)を乗算して得られる量に設定されている。次に、ステップS16へ進む。
次に、補正演算部103は、第k番目の回転位相における研削位置P2が第n番目の回転位相における研削位置P2であるか否かを判定する。すなわち、補正演算部103は、n個の回転位相の各々における補正量Pcの設定が完了したか否かを判定する。第k番目の回転位相における研削位置P2が第n番目の回転位相における研削位置P2である場合には、処理を終了し、そうでない場合には、ステップS17へ進む。
第k番目の回転位相における研削位置P2が第n番目の回転位相における研削位置P2ではない場合、第k+1番目の回転位相における研削位置P2が次の補正演算の対象(すなわち第k番目の回転位相における研削位置P2)となる。そして、ステップS13へ進む。
次に、図6を参照して、研削加工処理における研削位置P2および補正量Pcの変化について説明する。図6の例では、ワークWが1回転する毎に補正量制御が行われる場合を例に挙げている。また、図6の例では、ワークWの内周面(すなわち研削面)の形状変化により、ワークWから研削工具31に作用する反力(以下「研削反力」と記載)がワークWの回転周期中に変化する場合を例に挙げている。具体的には、この例では、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて、研削反力が次第に小さくなる。
まず、ワークWの第1回目の回転周期において研削位置制御が行われる。第1回目の回転周期では、n個の回転位相の各々における補正量Pcは、初期値(具体的にはゼロ)に設定されている。そのため、第1回目の回転周期における研削位置指令値P1は、第1回目の回転周期の全期間に亘って一定値(具体的には目標研削位置P0)となっている。これにより、ワークWに対して研削工具31を研削送り方向に押し当てる力は、第1回目の回転周期の全期間に亘って一定となっている。一方、この例では、ワークWの内周面の形状変化により研削反力がワークWの回転周期中に変化しており、このワークWの回転周期中における研削反力の変化に応じてワークWの第1回目の回転周期中における研削位置P2が変動している。具体的には、この例では、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて研削反力が次第に小さくなるので、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて、研削位置P2が研削送り方向に進みやすくなり、その結果、研削位置P2の座標値(すなわち研削送り方向における研削位置P2の前進量)が次第に大きくなる。
次に、ワークWの第2回目の回転周期において研削位置制御が行われる。第2回目の回転周期における研削位置制御では、第1回目の補正量制御により更新された補正量Pcが利用される。すなわち、第2回目の回転周期では、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて補正量Pcが次第に大きくなるようにn個の回転位相の各々における補正量Pcが更新されている。そのため、第2回目の回転周期における研削位置指令値P1は、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて次第に小さくなっている。なお、研削位置指令値P1が小さくなると、研削送り方向において研削位置P2が後退することになる。そして、研削位置指令値P1が小さくなるに連れて、研削送り方向における研削位置P2の後退量が次第に大きくなる。したがって、ワークWの回転位相が180°に近づくに連れて研削位置指令値P1を次第に小さくする(すなわち補正量Pcを次第に大きくする)ことにより、研削反力の低下に連動して研削送り方向における研削位置P2の後退量を大きくすることができる。これにより、研削反力の低下により研削位置P2が研削送り方向に進み過ぎることを抑制することができる。そのため、第2回目の回転周期中における研削位置P2の変動を、第1回目の回転周期中における研削位置P2の変動よりも小さくすることができる。
次に、ワークWの第3回目の回転周期において研削位置制御が行われる。第3回目の回転周期における研削位置制御では、第2回目の補正量制御により更新された補正量Pcが利用される。なお、第3回目の回転周期における研削位置制御において利用される補正量Pc(すなわち第2回目の補正量制御により更新された補正量Pc)は、第2回目の回転周期における研削位置制御において利用される補正量Pc(すなわち第1回目の補正量制御により更新された補正量Pc)よりも大きくなっている。したがって、研削反力の低下に応じた研削位置P2の研削送り方向における後退量は、第2回目の回転周期よりも第3回目の回転周期のほうが大きくなっている。これにより、研削反力の低下により研削位置P2が研削送り方向に進み過ぎることをさらに抑制することができる。そのため、第3回目の回転周期中における研削位置P2の変動を、第2回目の回転周期中における研削位置P2の変動よりも小さくすることができる。
以上のように、この研削加工装置10では、ワークWの回転周期中における研削位置P2(すなわち研削送り方向におけるワークWの位置に対する研削工具31の位置)の変動が小さくなるように、ワークWの回転周期中における研削位置P2を調節することができる。具体的には、複数の回転位相の各々における研削位置P2のうち研削送り方向において基準研削位置Prよりも前進している研削位置P2が研削送り方向において予め定められた補正量Pcだけ後退するように、ワークWの回転周期中における研削位置を調節することにより、ワークWの回転周期中における研削位置P2の変動が小さくなるように、ワークWの回転周期中における研削位置P2を調節することができる。これにより、ワークWの回転周期の一部において研削位置P2が研削送り方向に進み過ぎてワークWの周面の一部が研削され過ぎてしまうという事態を発生させにくくすることができるので、ワークWの研削面の加工精度を向上させることができる。この例では、ワークWの内周面の真円度を向上させることができる。
以上の説明では、位置調節機構40がワーク保持部20を研削送り方向において進退させることにより研削位置P2を調節する場合を例に挙げたが、位置調節機構40は、研削加工部30を研削送り方向において進退させることにより研削位置P2を調節するものであってもよいし、ワーク保持部20および研削加工部30の両方を研削送り方向において進退させることにより研削位置P2を調節するものであってもよい。
20 ワーク保持部
21 基台部
22 ワーク駆動モータ
23 ワークエンコーダ
30 研削加工部
31 研削工具
32 工具軸
33 工具駆動モータ
40 位置調節機構
50 ワーク位置調節機構
51 ワークテーブル
52 ワークリニアモータ
53 ワークリニアスケール
60 工具位置調節機構
61 工具テーブル
62 工具リニアモータ
63 工具リニアスケール
100 制御部
101 回転制御部
102 位置制御部
103 補正演算部
Claims (4)
- ワークを保持して回転軸周りに回転させるワーク保持部と、
上記ワークを研削するための研削工具を有する研削加工部と、
電磁力により上記ワーク保持部を上記回転軸と交差する研削送り方向において進退させることにより、上記研削送り方向における上記ワークの位置に対する上記研削工具の位置である研削位置を調節する位置調節機構と、
上記ワーク保持部に保持されたワークを上記回転軸周りに回転させて上記ワークの周面に対して上記研削加工部の研削工具を上記研削送り方向に押し当てることにより上記ワークの周面が真円状となるように上記ワークの周面を研削する研削加工処理において、上記ワークの回転周期において予め定められた複数の回転位相の各々における上記研削位置が当該回転位相における研削位置指令値に近づくように、上記位置調節機構を制御して上記ワークの回転周期中における上記研削位置を調節する制御部とを備え、
上記制御部は、
上記ワークの回転周期毎に、上記複数の回転位相の各々に対応する補正量を目標研削位置から減算することで、当該回転位相における上記研削位置指令値を導出し、
上記ワークの1つの回転周期において得られた上記複数の回転位相の各々における上記研削位置のうち上記研削送り方向において最も後退している研削位置を基準研削位置とし、当該1つの回転周期の次の回転周期において使用される上記複数の回転位相の各々に対応する上記補正量を、当該回転位相における上記研削位置と上記基準研削位置との差に応じた量にする
ことを特徴とする研削加工装置。 - 請求項1において、
上記複数の回転位相の各々に対応する上記補正量の変化量は、当該回転位相における上記研削位置と上記基準研削位置との差の絶対値よりも小さくなっている
ことを特徴とする研削加工装置。 - 請求項2において、
上記複数の回転位相の各々に対応する補正量の変化量は、当該回転位相における上記研削位置と上記基準研削位置との差に、1よりも小さい係数を乗算して得られる量になっている
ことを特徴とする研削加工装置。 - ワークを保持して回転軸周りに回転させるワーク保持部と、上記ワークを研削するための研削工具を有する研削加工部と、電磁力により上記ワーク保持部を上記回転軸と交差する研削送り方向において進退させることにより上記研削送り方向における上記ワークの位置に対する上記研削工具の位置である研削位置を調節する位置調節機構とを備える研削加工装置を用いた研削加工方法であって、
上記ワーク保持部に保持されたワークを上記回転軸周りに回転させて上記ワークの周面に対して上記研削加工部の研削工具を上記研削送り方向に押し当てることにより上記ワークの周面を研削する研削加工処理が行われるように上記ワーク保持部と上記位置調節機構を制御する第1工程と、
上記研削加工処理において、上記ワークの回転周期において予め定められた複数の回転位相の各々における上記研削位置が当該回転位相における研削位置指令値に近づくように、上記位置調節機構を制御して上記ワークの回転周期中における上記研削位置を調節する第2工程とを備え、
上記第2工程では、
上記ワークの回転周期毎に、上記複数の回転位相の各々に対応する補正量を目標研削位置から減算することで、当該回転位相における上記研削位置指令値を導出し、
上記ワークの1つの回転周期において得られた上記複数の回転位相の各々における上記研削位置のうち上記研削送り方向において最も後退している研削位置を基準研削位置とし、当該1つの回転周期の次の回転周期において使用される上記複数の回転位相の各々に対応する上記補正量を、当該回転位相における上記研削位置と上記基準研削位置との差に応じた量にする
ことを特徴とする研削加工方法。
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