JP7163750B2 - 定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置、及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、表面に薄膜を形成するための基板と、基板を加熱する発熱体との間に均熱板を介在させた薄膜製造装置用加熱装置において、均熱板にスリットを形成したことを特徴とする薄膜製造装置用加熱装置の均熱板が記載されている。
特開平06-132233号公報
回転する無端ベルトと、無端ベルトの内周面の一部を加熱するために無端ベルトの内周面と表面で接触して発熱する発熱板と、発熱板の裏面と接触して発熱板の熱を無端ベルトの軸方向に伝える伝熱部とを備える定着装置がある。このような定着装置は、無端ベルトとの間でニップを形成すると共に、無端ベルトとの間で記録媒体を挟んで無端ベルトの外周面に記録媒体を加圧する加圧部を備えている。また、伝熱部は、金属製で一体的に形成されており、回転する無端ベルトの軸方向に延びている。
ここで、無端ベルトと加圧部とで、記録媒体を挟む場合に、記録媒体を挟んでいる部位に対向している部分の発熱板と、記録媒体を挟んでいない部位に対向している部分の発熱板とで、負荷される荷重が異なる。これにより、発熱板が変形してしまう。しかし、金属製で一体的に形成されている伝熱部は、発熱板の変形に追従できず、発熱板との接触圧が弱まったり、発熱板から離間してしまうことがある。
本発明の課題は、伝熱部が金属製で一体的に形成されている場合と比して、記録媒体を挟むときに、伝熱部と発熱板との接触圧が弱まるのを抑制することである。
本発明の第1態様に係る定着装置は、周方向に回転し、搬送される記録媒体と外周面で接触する無端状の無端ベルトと、前記無端ベルトの内周面と表面で接触し、前記無端ベルトの軸方向に延びており、発熱部が形成されている発熱板と、前記無端ベルトを挟んで前記発熱板の反対側に配置され、搬送される記録媒体を前記無端ベルトとの間に挟んで加圧する加圧部と、前記発熱板の裏面に接触し、前記発熱板の板厚方向に重ねられている複数の板材を有し、前記発熱部で生じる熱を前記軸方向に伝える伝熱部と、を備えることを特徴とする。
本発明の第2態様に係る定着装置は、第1態様に記載の定着装置において、前記伝熱部は、重ねられた一方の前記板材と他方の前記板材との間に、一方の前記板材と他方の前記板材との間で熱を伝達させる伝達材を備えていることを特徴とする。
本発明の第3態様に係る定着装置は、第2態様に記載の定着装置において、前記伝達材は、油であることを特徴とする。
本発明の第4態様に係る定着装置は、第1~3態様の何れか1態様に記載の定着装置において、前記板材は、前記板厚方向から見て、前記軸方向に延びている矩形状とされ、前記板材には、前記軸方向に対して交差する交差方向に延びている複数の切れ目が形成されていることを特徴とする。
本発明の第5態様に係る定着装置は、第4態様に記載の定着装置において、前記板材において前記軸方向の外側の部分に形成されている前記切れ目の数は、前記軸方向の中央側の部分に形成されている前記切れ目の数と比して多いことを特徴とする。
本発明の第6態様に係る定着装置は、第4又は5態様に記載の定着装置において、前記板材は、前記軸方向に延びている一対の縁部を有し、前記切れ目は、一方の前記縁部から延びている第一切れ目と、他方の前記縁部から延びている第二切れ目とに分けられ、前記第一切れ目と前記第二切れ目とは、前記軸方向に対して千鳥状に形成されており、前記板材は、表裏を逆にして交互に重ねられていることを特徴とする。
本発明の第7態様に係る定着装置は、第4又は5態様に記載の定着装置において、前記板材は、前記軸方向に延びている一対の縁部を有し、前記板厚方向から見て、前記切れ目は、一方の前記縁部からのみ延びており、前記板材は、表裏を逆にすることなく重ねられていることを特徴とする。
本発明の第8態様に係る定着装置は、第1~7態様の何れか1態様に記載の定着装置において、前記伝熱部は、前記板厚方向に重ねられている複数の板材と、前記発熱板との間に配置されているシート状で、熱伝導率が前記板材の熱伝導率と比して低く、前記発熱部から前記板材への熱の伝達を遅らせる伝達遅延部とを有していることを特徴とする。
本発明の第9態様に係る定着装置は、第1~8態様の何れか1態様に記載の定着装置において、複数の前記板材を拘束する拘束部を備えていることを特徴とする。
本発明の第10態様に係る定着装置は、第9態様に記載の定着装置において、前記軸方向において、前記拘束部は、前記発熱板の前記発熱部とは異なる位置に配置されていることを特徴とする。
本発明の第11態様に係る画像形成装置は、記録媒体に画像を形成する形成部と、記録媒体に形成された画像を記録媒体に定着する請求項1~10の何れか1項に記載された定着装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の第1態様の定着装置によれば、伝熱部が金属製で一体的に形成されている場合と比して、記録媒体を挟むときに、伝熱部と発熱板との接触圧が弱まるのを抑制することができる。
本発明の第2態様の定着装置によれば、一方の板材と他方の板材との間に部材が介在していない場合と比して、一方の板材と他方の板材との間で熱を効果的に伝達することができる。
本発明の第3態様の定着装置によれば、一方の板材と他方の板材との間に何も塗布されていない場合と比して、一方の板材と他方の板材とが相対移動したときに生じる摩擦力を低減することができる。
本発明の第4態様の定着装置によれば、切れ目のない板材を用いる場合と比して、記録媒体を挟むときに、伝熱部と発熱板との接触圧が弱まるのを抑制することができる。
本発明の第5態様の定着装置によれば、軸方向の中央側の部分に形成されている切れ目の数が、軸方向の外側の部分に形成されている切れ目の数と同じ場合と比して、軸方向の中央側の部分の伝熱性能の低下を抑制した上で、記録媒体を挟むときに、伝熱部と発熱板との接触圧が弱まるのを抑制することができる。
本発明の第6態様の定着装置によれば、重なり合う一方の板材と他方の板材とで切れ目が重なっている場合と比して、板材を一種類とした上で、熱を軸方向に伝える性能の低下を抑制することができる。
本発明の第7態様の定着装置によれば、切れ目が両方の縁部から延び、かつ、表裏を逆にすることなく板材が重ねられている場合と比して、熱を軸方向に伝える性能の低下を抑制することができる。
本発明の第8態様の定着装置によれば、板材と発熱板とが接触している場合と比して、発熱板が規定の温度に達するのに要する時間を短くすることができる。
本発明の第9態様の定着装置によれば、板材が一枚一枚分離する場合と比して、定着装置を組み立てる工数を低減することができる。
本発明の第10態様の定着装置によれば、軸方向において、拘束部が、発熱板の発熱部と重なっている場合と比して、発熱部で生じた熱を伝熱部に効果的に伝達することができる。
本発明の第11態様の画像形成装置によれば、伝熱部が金属製で一体的に形成されている定着装置を備えている場合と比して、消費電力を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る定着装置を示し、定着モードのときの断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置を示し、定着モードのときの断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置を示し、加熱モードのときの断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置を示し、定着モードのときの拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置に備えられた発熱板を示した平面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置に備えられた伝熱部材を示した斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置に備えられた伝熱部材を示した斜視図である。 (A)(B)本発明の第1実施形態に係る定着装置に備えられた板材を示した平面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置に備えられた伝熱部材を示した断面図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置の制御部における制御系を示したブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る定着装置を示した正面図である。 本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。 本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る定着装置を示し、定着モードのときの拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る定着装置を示し、加熱モードのときの拡大断面図である。 本発明の第1実施形態に対する比較形態に係る定着装置に備えられた伝熱部材を示した断面図である。 本発明の第2実施形態に係る定着装置に備えられた発熱板を示した平面図である。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る定着装置、及び画像形成装置の一例を図1~図15に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置奥行方向(水平方向)を示す。
(全体構成)
図12に示されるように、本実施形態に係る画像形成装置10には、上下方向(矢印H方向)の下方側から上方側へ向けて、記録媒体としてのシート部材Pが収容される収容部14と、収容部14に収容されたシート部材Pを搬送する搬送部16と、収容部14から搬送部16によって搬送されるシート部材Pに画像形成を行う画像形成部20とが、この順で備えられている。
〔収容部14〕
収容部14には、画像形成装置10の装置本体10aから装置奥行方向の手前側に引き出し可能な収容部材26が備えられており、この収容部材26にシート部材Pが積載されている。さらに、収容部14には、収容部材26に積載されたシート部材Pを、搬送部16を構成する搬送経路28に送り出す送出ロール30が備えられている。
〔搬送部16〕
搬送部16には、予め定められた搬送経路28に沿ってシート部材Pを搬送する複数の搬送ロール32が備えられている。
〔画像形成部20〕
画像形成部20には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが備えられている。なお、以後の説明では、Y,M,C,Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
各色の画像形成ユニット18には、像保持体36と、像保持体36の表面を帯電させる帯電ロール38と、帯電した像保持体36に露光光を照射する露光装置42とが備えられている。さらに、画像形成ユニット18には、前述した露光装置42が帯電した像保持体36を露光して形成された静電潜像を現像してトナー画像として可視化する現像装置40が備えられている。画像形成ユニット18は、形成部の一例である。
また、画像形成部20には、図中矢印A方向に周回する無端状の転写ベルト22と、各色の画像形成ユニット18によって形成されたトナー画像を転写ベルト22に転写する一次転写ロール44とが備えられている。さらに、画像形成部20には、転写ベルト22のトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール46と、シート部材Pを加熱、加圧してトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置50とが備えられている。なお、定着装置50については、詳細を後述する。
(画像形成装置の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
先ず、電圧が印加された各色の帯電ロール38は、各色の像保持体36の表面と接触して像保持体36の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電させる。続いて、外部から入力されたデータに基づいて露光装置42は、帯電した各色の像保持体36の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。
これにより、データに対応した静電潜像が各色の像保持体36の表面に形成される。さらに、各色の現像装置40は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体36の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール44によって転写ベルト22に転写される。
そこで、収容部材26から送出ロール30によって搬送経路28へ送り出されたシート部材Pは、転写ベルト22と二次転写ロール46とが接触する転写位置Tへ送り出される。転写位置Tでは、シート部材Pが転写ベルト22と二次転写ロール46とで挟まれて搬送されることで、転写ベルト22の表面のトナー画像は、シート部材Pに転写される。
シート部材Pに転写されたトナー画像は、定着装置50によってシート部材Pに定着される。そして、トナー画像が定着されたシート部材Pは、搬送ロール32によって装置本体10aの外部へ排出される。
(要部構成)
次に、定着装置50について説明する。
定着装置50は、装置本体10aに着脱可能とされており、図1に示されるように、加圧ロール52と、加圧ロール52と装置幅方向で対向している加熱部60とを備えている。さらに、定着装置50は、加圧ロール52を回転させるモータ58(図10参照)と、加圧ロール52を移動させる移動部86(図10参照)と、各部を制御する制御部102(図10参照)とを備えている。
〔加圧ロール52〕
加圧ロール52は、図1に示されるように、装置奥行方向に延びている金属製の軸部54と、軸部54が挿入されている円筒状の弾性層56と、弾性層56を被覆する図示せぬ離型層とを有している。加圧ロール52は、加圧部の一例である。
軸部54は、例えば、鉄鋼、ステンレス又はアルミニウム等の金属材料から形成されており、弾性層56は、例えば、ゴム材料等から形成されており、離型層は、例えば、フッ化エチレン- パーフルオロアルコキシエチレンン共重合体(PFA)等から形成されている。
この構成において、加圧ロール52は、接地され、加熱部60側に付勢されている。さらに、加圧ロール52は、モータ58(図10参照)から回転力が伝達され、図中矢印R1方向に回転する。これにより、回転する加圧ロール52は、トナー画像が転写されたシート部材Pを、後述する無端ベルト62との間で挟んで無端ベルト62の外周面に加圧する。なお、本実施形態では、弾性層56の外周面の周速度が230〔mm/sec〕となるように、加圧ロール52が回転する。
〔加熱部60〕
加熱部60は、図1に示されるように、装置奥行方向に延びている円筒状の無端ベルト62と、無端ベルト62を加熱するために発熱する発熱板64と、発熱板64の熱を装置奥行方向(無端ベルト62の軸方向)に伝える伝熱部材92とを備えている。さらに、加熱部60は、伝熱部材92を発熱板64に向けて付勢する圧縮コイルスプリング84(以下「スプリング84」)と、発熱板64を保持している保持部材90と、保持部材90を支持しているフレーム80とを備えている。また、加熱部60は、発熱板64の温度を検知する検知部材82(図2参照)を備えている。
-無端ベルト62-
無端ベルト62は、図1に示されるように、外周面で加圧ロール52と接触している。このように、無端ベルト62と加圧ロール52とが接触することで、搬送されるシート部材Pを挟むニップNFが形成されている。無端ベルト62は、例えば、外周面にフッ素コートが施されたポリイミド樹脂で形成されており、無端ベルト62の厚さは、100〔μm〕とされている。
また、無端ベルト62の長手方向の両端には、無端ベルト62の内周面を支持する円筒形の支持部材(図示省略)が夫々配置されている。さらに、無端ベルト62の内周面には、発熱板64との摩擦抵抗を低減させるため、図示せぬ潤滑油(例えば、高粘度グリス)が塗布されている。
この構成において、無端ベルト62は、円形状を保った状態で、回転する加圧ロール52に従動して図中矢印R2方向(反時計方向)に回転(周回)する。
-保持部材90-
保持部材90は、図1、図4に示されるように、無端ベルト62の内部に配置されている。この保持部材90は、例えば、LCP(液晶ポリマー)等の樹脂材料で形成されており、装置奥行方向に延びている。そして、保持部材90の長手方向に直交する断面は、加圧ロール52側とは反対側が開口したU字状とされている。この保持部材90の熱伝導率は、0.56〔W/mK〕とされている。
さらに、保持部材90において、加圧ロール52側を向いた部分には、発熱板64が図示せぬ接着剤等の取付部材で取り付けられている凹状の取付部90aが形成されている。また、取付部90aにおいて、シート部材Pの搬送方向で下流側の部分には、装置幅方向(加圧ロール52と加熱部60とが対向する方向)に保持部材90を貫通し、伝熱部材92の一部が配置されている貫通孔90bが形成されている。そして、この取付部90a、及び貫通孔90bは、装置奥行方向に延びている。
さらに、保持部材90には、図2に示されるように、検知部材82が配置されている貫通孔90cが、装置奥行方向に間隔を空けて複数形成されている。
-フレーム80-
フレーム80は、図1、図4に示されるように、無端ベルト62の内部で、保持部材90を挟んで加圧ロール52の反対側に配置されている。このフレーム80は、板金を折り曲げて形成されており、装置奥行方向に延びている。そして、フレーム80の長手方向に直交する断面は、保持部材90側が開口したU字状とされている。
さらに、U字状とされたフレーム80の先端側の部分に、保持部材90の先端側の部分が図示せぬ接着剤等の取付部材によって取り付けられることで、フレーム80は、保持部材90を支持している。これにより、無端ベルト62の内部には、保持部材90とフレーム80とに囲まれた領域94が形成されている。また、フレーム80の長手方向の両端は、無端ベルト62から外部に突出しており、この突出した部分が、図示せぬ骨格部材に固定されている。
-発熱板64-
発熱板64は、図1、図4に示されるように、無端ベルト62を挟んで加圧ロール52の反対側に配置されており、無端ベルト62の内周面と表面で接触している。この発熱板64は、板面が装置幅方向を向く板状の部材で、無端ベルト62の装置奥行方向の一端側から他端側まで延びている。発熱板64の厚さは、一例として、0.7〔mm〕とされている。
発熱板64の厚さ方向(以下「板厚方向」と記載することがある)から見て、発熱板64は、図5に示されるように、装置奥行方向に延びる矩形状とされている。そして、発熱板64は、電気絶縁性の基材66と、耐熱樹脂材料で形成された絶縁膜68と、電圧印加用の3個の電極72a、72b、72cと、この電極72a、72b、72cに電圧が印加されることで電流が流れる導通部74とを有している。この導通部74には、電流が流れることで熱が生じる抵抗発熱部76a、76b(図中斜線部)が形成されている。ここで、絶縁性とは、電気伝導率が1×10 -10 〔S/m〕以下であることである。抵抗発熱部76a、76bは、発熱部の一例である。
基材66は、電気絶縁性のセラミックスである窒化アルミニウムの成形体である。そして、基材66の熱伝導率は、180〔W/mK〕とされている。また、電極72a、72b、72c、及び導通部74は、基材66の表面(無端ベルト62の内周面側の面)に形成されている。具体的には、電極72a、72b、72cは、基材66の装置奥行方向の手前側の部分に形成されており、シート部材Pの搬送方向(図中上下方向、以下「シート搬送方向」)の上流側から下流側へこの順番で並んでいる。
導通部74は、絶縁膜68に被覆されており、電極72aから装置奥行方向の奥側へ延びている第一導通部74aと、電極72bから装置奥行方向の奥側へ延びている第二導通部74bと、電極72cから装置奥行方向の奥側へ延びている第三導通部74cとを有している。さらに、導通部74は、第一導通部74aの終端部と、第二導通部74bの終端部と、第三導通部74cの終端部とをシート搬送方向に延びて連結する連結部74dを有している。
第一導通部74aには抵抗発熱部76aが形成されており、抵抗発熱部76aは、搬送される最も大きいサイズのシート部材Pが通る範囲を装置奥行方向で含むように形成されている。第二導通部74bには抵抗発熱部76bが形成されており、抵抗発熱部76bは、搬送される最も小さいサイズのシート部材Pが通る範囲を装置奥行方向で含むように形成されている。
この構成において、トナー画像をシート部材Pに定着させるために、無端ベルト62を加熱する加熱モード(立上げモード)のときに、制御部102(図10参照)は、図示せぬ電源スイッチをオンして、シート部材Pのサイズに係わらず、電極72aと電極72cとに電圧を印加する。これにより、加熱モードのときには、第一導通部74aに形成された抵抗発熱部76aで熱が生じる。
-伝熱部材92-
伝熱部材92は、図1、図4に示されるように、発熱板64において無端ベルト62の回転方向の下流側の部分の裏面に接触しており、装置奥行方向に延びている。そして、伝熱部材92の装置奥行方向の両端部分は、発熱板64の両端部分から装置奥行方向に突出している。さらに、伝熱部材92の長手方向に対して交差した方向の伝熱部材92の断面は、板厚方向に延びる矩形状とされている。なお、伝熱部材92は伝熱部の一例である。
この伝熱部材92は、発熱板64の抵抗発熱部76a、76bで生じる熱を装置奥行方向に伝える伝熱促進部110と、抵抗発熱部76a、76bから伝熱促進部110への熱の伝達を遅らせる伝達遅延部140とを有している。
伝熱促進部110は、板厚方向に重ねられ、板厚方向から見て装置奥行方向に延びる矩形状とされた複数の板材112を有している。これにより、重なり合う板材112が互いに装置奥行方向に相対移動することで、伝熱促進部110は、容易に変形するようになっている。
本実施形態では、板材112は、厚さ1〔mm〕の銅板であって、熱伝導率は403〔W/mK〕とされている。そして、伝熱促進部110を構成する板材112の熱伝導率は、発熱板64を構成する基材66の熱伝導率と比して高く、かつ、保持部材90の熱伝導率と比して高くなっている。
板材112は、装置奥行方向の中央部を対して対称形状とされており、図8(A)に示されるように、板厚方向から見て、装置奥行方向に延びている一対の縁部114a、114bを有している。そして、板材112には、上下方向(無端ベルト62の軸方向に対して交差する交差方向)に縁部114a、114bから延びている複数の切れ目116(スリット)が形成されている。夫々の切れ目116の長さは、板材112の上下方向の長さ(幅)の半分未満で、同様の長さである。なお、切れ目116とは、隙間が無く分離されている状態のことである
このように、切れ目116を板材112に形成させることで、板材112は、板材112の厚さ方向に容易に変形するようになっている。このように、切れ目116は、板材112の変形を容易にする変形補助手段として機能している。
さらに、板材112において装置奥行方向の外側(板材112の装置奥行方向の中央部側の部分から離れる側)の部分に形成されている切れ目116の数は、板材112において装置奥行方向の中央側の部分に形成されている切れ目116の数と比して多い。なお、切れ目116の数とは、板材112の単位長さ当たりに形成される切れ目116の数である。
この板材112に形成された切れ目116は、一方の縁部114aから延びている切れ目116aと、他方の縁部114bから延びている切れ目116bとに分けられる。切れ目116aは、第一切れ目の一例であって、切れ目116bは、第二切れ目の一例である。
そして、切れ目116aと切れ目116bとは、装置奥行方向に対して千鳥状に形成されている。さらに、板材112は、図8(A)、(B)に示されるように、表裏を逆にして交互に重ねられている。換言すれば、重なり合う板材112において、切れ目116aと、切れ目116bとが重なり合わないようになっている。つまり、重なり合う板材112において、装置奥行方向における熱の伝達を阻害する切れ目116aと、装置奥行方向における熱の伝達を阻害する切れ目116bとが重なり合わないようになっている。なお、千鳥状とは、板材112の長手方向の中央部から一方側及び他方側へ、切れ目116が一方の縁部114aと他方の縁部114bとに交互に形成されていることである。
また、前述したように、切れ目116の長さが、板材112の上下方向の長さ(幅)の半分未満とされている。このため、表裏を逆にして板材112を交互に重ねても、板材112において上下方向の中央部分では、全ての板材112において、装置奥行方向に亘って熱の伝達を阻害する切れ目116が存在しないようになっている。
また、前述したように、板材112において装置奥行方向の外側の部分に形成されている切れ目116の数は、板材112において装置奥行方向の中央側の部分に形成されている切れ目116の数と比して多い。このように切れ目116を配置することで、板材112において装置奥行方向の外側の部分は、装置奥行方向の中央側の部分と比して、板材112の厚さ方向に容易に変形するようになっている。
また、重なり合う板材112の間には、図4に示されるように、高粘度グリス120が塗布されている。高粘度グリス120は、伝達部材、及び油(潤滑オイル、グリス等)の一例である。なお、高粘度グリスとは、温度20〔℃〕で、粘度100〔Pa・s〕以上のグリスである。また、油とは、板材と板材との間に生じる摩擦力を弱くするために用いる液体である。
この構成において、伝熱促進部110は、発熱板64の抵抗発熱部76a、76bで生じ、伝熱促進部110に伝達された熱を、装置奥行方向に伝える。そして、伝熱促進部110によって熱が装置奥行方向に伝わることで、装置奥行方向における発熱板64の熱分布に生じるむらが抑制されるようになっている。
伝達遅延部140は、図4に示されるように、シート状で、伝熱促進部110と発熱板64との間に配置されており、板厚方向から見て装置奥行方向に延びる矩形状とされている。本実施形態では、伝達遅延部140は、厚さ0.3〔mm〕のシリコンのシート材であって、熱伝導率は0.2〔W/mK〕とされている。このように、伝達遅延部140の熱伝導率は、発熱板64を構成する基材66の熱伝導率と比して低く、かつ、伝熱促進部110を構成する板材112の熱伝導率と比して低くなっている。
さらに、板材112と伝達遅延部140との間、及び発熱板64と伝達遅延部140との間には、高粘度グリス120が塗布されている。
この構成において、伝達遅延部140は、発熱板64の抵抗発熱部76a、76bから伝熱促進部110への熱の伝達を遅らせる。そして、伝達遅延部140によって抵抗発熱部76a、76bから伝熱促進部110への熱の伝達が遅れることで、無端ベルト62を加熱する加熱モード(立上げモード)のときに、発熱板64が規定の温度に達するのに要する時間が、短くなるようになっている。
また、伝熱部材92は、図6、図7に示されるように、複数の板材112、及びシート状の伝達遅延部140を拘束する一対の拘束バンド150を備えている。拘束バンド150は、拘束部の一例である。
一対の拘束バンド150は、複数の板材112及び伝達遅延部140が重ねられた状態で、複数の板材112及び伝達遅延部140の両端部分に弾性変形することで巻かれている。これにより、重ねられた複数の板材112及び伝達遅延部140の姿勢が、維持されるようになっている。なお、高粘度グリス120を重なり合う板材112の間に塗布することで、拘束バンド150による拘束力によって、重なり合う板材112の装置奥行方向の相対移動は、阻害されない。
-検知部材82-
検知部材82は、装置奥行方向に間隔を空けて複数設けられており、図2に示されるように、保持部材90に形成された貫通孔90cに一部が配置されている。そして、検知部材82は、発熱板64の裏面においてシート搬送方向(図中上下方向)の上流側の部分に接触している。具体的には、検知部材82は、シート搬送方向において 抵抗発熱部76a、76b(図5参照)が形成されている部分の発熱板64の裏面に接触している。
この構成において、検知部材82は、発熱板64の温度を検知する。そして、検知部材82によって検知される発熱板64の温度が予め決められた範囲に入るように、制御部102(図10参照)は、図示せぬ電源スイッチのオンオフを制御して、電極72a、72b、72c(図5参照)への電圧の印加、又は印加を停止させるようになっている。
-スプリング84-
スプリング84は、図1、図4に示されるように、伝熱部材92を挟んで発熱板64の反対側で、板厚方向に延びている。そして、スプリング84は、フレーム80と伝熱部材92との間に挟まれて配置されている。さらに、スプリング84は、図7に示されるように、装置奥行方向に間隔を空けて複数設けられている。
この構成において、複数のスプリング84は、伝熱部材92を発熱板64へ向けて付勢している。換言すれば、伝熱部材92は、付勢状態で発熱板64に接触している。スプリング84は、付勢部材の一例である。
〔移動部86〕
移動部86は、図11に示されるように、加圧ロール52の装置奥行方向の両側に配置されており、既知の機械要素を組み合わせて構成されている。
そして、移動部86は、加圧ロール52を装置幅方向及び装置上下方向へ移動させて、ニップNF(図1、図3参照)のニップ幅を変化させるようになっている。具体的には、移動部86は、加圧ロール52と無端ベルト62との間でシート部材Pを挟んでトナー画像をシート部材Pに定着させる場合のニップ幅とする第一の位置(図1参照)と、第一の位置と比してニップ幅が狭くされた第二の位置(図3参照)とに加圧ロール52を移動させる。このように、移動部86は、ニップNFのニップ幅を変化させるニップ幅変化手段として機能している。
この構成において、トナー画像をシート部材Pに定着させるために、無端ベルト62を加熱する加熱モード(立上げモード)のときに、制御部102は、移動部86を制御して、加圧ロール52を第二の位置へ移動させる。これに対して、トナー画像が形成されたシート部材Pを加熱、加圧してトナー画像を定着させる定着モードのときに、制御部102は、移動部86を制御して、加圧ロール52を第一の位置へ移動させる。
(作用)
次に、定着装置50の作用について、比較形態に係る定着装置550と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係る定着装置550の構成について、定着装置50と異なる部分を主に説明する。
-定着装置550の構成-
定着装置550は、定着装置50に対して伝熱部材の構成が異なる。定着装置550の伝熱部材592は、図13に示されるように、伝熱促進部610と、伝達遅延部140とを有している。伝熱促進部610は、銅によって直方体状に一体的に形成されている。
-定着装置50、550の作用-
定着装置50、550が稼動する前の状態では、電極72a、72b、72c(図5参照)への電圧の印加は停止されており、さらに、加圧ロール52は、図3、図14に示されるように、第二の位置に配置され、加圧ロール52の回転は、停止している。
シート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する場合には、制御部102(図10参照)は、定着装置50、550を加熱モードに移行させる。具体的には、制御部102は、モータ58を制御して加圧ロール52へ回転力を伝達させる。そして、図3、図14に示す加圧ロール52が、図中矢印R1方向に回転する。これにより、加圧ロール52と接触する無端ベルト62は、回転する加圧ロール52に従動して図中矢印R2方向に回転する。
無端ベルト62が回転すると、制御部102は、図示せぬ電源スイッチをオンして、電極72a、72c(図5参照)への電圧の印加を開始する。これにより、抵抗発熱部76aで熱が生じて、発熱板64が発熱する。そして、発熱板64は、回転している無端ベルト62を内周面から加熱する。
そして、全ての検知部材82(図2参照)によって検知された温度が、200〔℃〕(規定の温度の一例)に達すると、無端ベルト62を加熱する加熱モード(立上げモード)から、トナー画像をシート部材Pに定着する定着モードへ移行する。
具体的には、定着装置50では、制御部102が、移動部86を制御して、加圧ロール52を第一の位置(図1、図13参照)へ移動させる。
そして、加熱部60と加圧ロール52とが、トナー画像が転写されたシート部材Pを挟んで搬送することで、トナー画像がシート部材Pに定着される。ここで、シート部材Pを挟んでいる部位に対向している部分の発熱板64と、シート部材Pを挟んでいない部位に対向している部分の64とで、負荷される荷重が異なる。これにより、シート部材Pを挟んでいるときには発熱板64が変形してしまう。具体的には、シート部材Pを挟んでいる部分の発熱板64は、シート部材Pの厚さ分だけ加圧ロール52から離れ、シート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64は、加圧ロール52から離れない。そして、シート部材Pが間隔をおいて、加熱部60と加圧ロール52との間に挟まれることで、発熱板64が変形を繰り返す。
定着装置550では、図15に示されるように、伝熱促進部610は、銅によって一体的に形成されている。このため、シート部材Pを挟んでいる部分の発熱板64が、シート部材Pの厚さ分だけ加圧ロール52から離れると、伝熱促進部610は、形状を維持した状態で、シート部材Pの厚さ分だけ加圧ロール52から離れる。このため、伝熱促進部610と、シート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64との接触圧が弱まってしまったり、伝熱促進部610が、シート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64と離間してしまう。
そして、シート部材Pが間隔をおいて、加熱部60と加圧ロール52との間に挟まれることで、発熱板64が変形を繰り返す。これにより、シート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64と伝熱促進部610との接触圧の低下、増加(又はシート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64と伝熱促進部610との離間、接触)が繰り返される。
これに対して、定着装置50では、図9に示されるように、伝熱促進部110は、銅板である板材112が板厚方向に重ねられている。このため、シート部材Pを挟んでいる部分の発熱板64がシート部材Pの厚さ分だけ加圧ロール52から離れて変形すると、重なり合う板材112が相対移動して、伝熱促進部110が発熱板64に倣うように変形する。換言すれば、伝熱促進部110は発熱板64の変形に追従する。これにより、伝熱促進部110と、シート部材Pを挟んでいない部分の発熱板64との接触圧が弱まるのが抑制される。
(まとめ)
以上説明したように、定着装置50では、板材112が板厚方向に重ねられた伝熱促進部110を用いることで、定着装置550を用いる場合と比して、伝熱促進部110は発熱板64の変形に追従する。具体的には、定着装置50では、定着装置550を用いる場合と比して、シート部材Pを挟むときに、伝熱部材92と発熱板64との接触圧が弱まるのが抑制される。なお、伝熱部材92と発熱板64との接触圧が弱まることや、伝熱部材92が発熱板64から離間することについては、圧電素子等を用いて検出することができる。
また、定着装置50では、重なり合う一方の板材112と他方の板材112との間には、高粘度グリス120が塗布されている。このため、一方の板材112と他方の板材112とが相対移動して一方の板材112と他方の板材112との間の距離が変化した場合でも、一方の板材112と他方の板材112との間に部材が介在していない場合と比して、一方の板材112と他方の板材112との間で熱が効果的に伝達される。
また、定着装置50では、重なり合う一方の板材112と他方の板材112との間には、高粘度グリス120が塗布されている。このため、一方の板材112と他方の板材112との間に何も塗布されていない場合と比して、一方の板材112と他方の板材112とが相対移動したときに生じる摩擦力が低減される。
また、定着装置50では、板厚方向から見て装置奥行方向に延びる矩形状の板材112には、装置奥行方向に対して交差する上下方向に延びる複数の切れ目116が形成されている。このため、切れ目のない板材を用いる場合と比して、容易に板材112が変形することで、シート部材Pを挟むときに、伝熱部材92と発熱板64との接触圧が弱まる離間するのが抑制される。
また、定着装置50では、板材112において装置奥行方向の外側の部分に形成されている切れ目116の数は、装置奥行方向の中央側の部分に形成されている切れ目116の数と比して多い。このため、装置奥行方向の中央側の部分に形成されている切れ目の数が、装置奥行方向の外側の部分に形成されている切れ目の数と同じ場合と比して、装置奥行方向の中央側の部分の伝熱性能(熱を装置奥行方向に伝える性能)を抑制した上で、シート部材Pを挟むときに、伝熱部材92と発熱板64との接触圧が弱まるのが抑制される。
また、定着装置50では、一方の縁部114aから延びている切れ目116aと、他方の縁部114bから延びている切れ目116bとは、装置奥行方向に対して千鳥状に形成されている。さらに、板材112は、表裏を逆にして交互に重ねられている。このため、重なり合う一方の板材と他方の板材とで切れ目が重なっている場合と比して、板材112を一種類とした上で、熱を装置奥行方向に伝える性能の低下が抑制される。なお、板材112が表裏を逆にして交互に重ねられるとは、一種類の板材を、表裏を逆にして交互に重ねることだけではなく、同じ形状の板材を切れ目が重ならないように表裏を異なられて重ねることを意味する。
また、定着装置50では、シート状の伝達遅延部140が、伝熱促進部110と発熱板64との間に配置されている。このため、抵抗発熱部76a、76bから伝熱促進部110への熱の伝達が遅れることで、無端ベルト62を加熱する加熱モード(立上げモード)のときに、発熱板64が規定の温度に達するのに要する時間が短くなる。このように、伝熱促進部と発熱板とが接触している場合と比して、発熱板64が規定の温度に達するのに要する時間が短くなる。
また、定着装置50では、一対の拘束バンド150が、重ねられた複数の板材112及び伝達遅延部140を拘束している。このため、板材が一枚一枚分離する場合と比して、定着装置50を組み立てる工数が低減する。
また、定着装置50では、装置奥行方向において、拘束バンド150は、発熱板64の抵抗発熱部76とは異なる位置に配置されている。このため、装置奥行方向において、拘束バンドが、発熱板64の抵抗発熱部76と重なっている場合と比して、抵抗発熱部76で発熱した熱が伝熱部材92に効果的に伝達される。
また、画像形成装置10では、比較形態に係る定着装置550を備えている場合と比して、伝熱部材92と発熱板64との接触圧が弱まるのが抑制されることで、発熱板64の熱を装置奥行方向に伝える時間が短くなる。これにより、画像形成装置10では、比較形態に係る定着装置550を備えている場合と比して、消費電力が抑制される。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る定着装置、及び画像形成装置の一例を図16に従って説明する。なお、第2実施形態については、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。第2実施形態に係る定着装置250においては、伝熱促進部310を構成する板材312の切れ目316のみ異なる。
板材312は、厚さ1〔mm〕の銅板であって、熱伝導率は403〔W/mK〕とされている。板材312は、図16に示されるように、板厚方向から見て、装置奥行方向に延びている一対の縁部314a、314bを有している。そして、板材312には、一方の縁部314aから延びている複数の切れ目316(スリット)のみが形成されている。夫々の切れ目316の長さは、板材312の上下方向の長さ(幅)の半分未満で、同様の長さとされている。そして、板材312は、表裏を逆にすることなく重ねられている。
このように、板材312に形成されている切れ目316が一方の縁部314aからのみ延びているため、板材312において他方の縁部314bの部分には切れ目が形成されていない。換言すれば、板材312において他方の縁部314bの部分は、装置奥行方向に切れ目なく連続している。さらに換言すれば、伝熱促進部310において他方の縁部314bの部分は、装置奥行方向に切れ目なく連続している。
このため、切れ目が両方の縁部から延び、かつ、表裏を逆にすることなく板材が重ねられている場合と比して、熱を装置奥行方向に伝える性能の低下が抑制される。
他の作用については、一方の縁部114aから延びている切れ目116aと、他方の縁部114bから延びている切れ目116bとが、装置奥行方向に対して千鳥状に形成され、板材112が、表裏を逆にして交互に重ねられていることで奏する第1実施形態の作用以外の作用と同様である。
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、重なり合う板材112、312の間には、高粘度グリス120が塗布されたが、特に高粘度グリスを塗布しなくてもよい。しかし、この場合には、高粘度グリス120を塗布することで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、スプリング84を備えたが、スプリング84を備えず、例えば、フレーム80に突起を付け、その突起と発熱板64との間で伝熱部材92を挟んでもよい。
また、上記実施形態では、板材112、312として銅板を用いたが、熱伝導率が、発熱板64の熱伝導率及び保持部材90の熱伝導率より高い、板材を用いてもよい。例えば、銀の板材を用いてもよい。
また、上記実施形態では、切れ目116、316が板材112、312の縁部から延びていたが、切れ目が板材の縁部から延びておらず板材の内部だけにあってもよい。
また、上記実施形態では、伝熱部材92の装置奥行方向の両端部分が、発熱板64の両端部分から装置奥行方向に突出していたが、伝熱部材の装置奥行方向の両端が発熱板の両端と、装置奥行方向で重なっていてもよい。この場合には、拘束バンドによって、熱の伝達が阻害されるが、伝熱部材の熱容量を小さくすることができる。
また、上記実施形態では、拘束バンド150を設けたが、拘束バンド150を設けなくてもよい。この場合には、拘束バンド150を設けることで奏する作用は奏しない。
また、上記実施形態では、板材112、312において装置奥行方向の外側の部分に形成されている切れ目116、316の数は、板材112において装置奥行方向の中央側の部分に形成されている切れ目116、316の数と比して多くされたが、少なくとも発熱板64と重ねっている部分が、この関係にあればよい。
10 画像形成装置
18 画像形成ユニット(形成部の一例)
50 定着装置
52 加圧ロール(加圧部の一例)
62 無端ベルト
64 発熱板
76a 抵抗発熱部(発熱部の一例)
76b 抵抗発熱部(発熱部の一例)
92 伝熱部材(伝熱部の一例)
112 板材
114a 縁部
114b 縁部
116a 切れ目(第一切れ目の一例)
116b 切れ目(第二切れ目の一例)
120 高粘度グリス(伝熱材の一例)
140 伝達遅延部
150 拘束バンド(拘束部の一例)
250 定着装置
310 伝熱促進部
312 板材
314a 縁部
314b 縁部
316 切れ目

Claims (11)

  1. 周方向に回転し、搬送される記録媒体と外周面で接触する無端状の無端ベルトと、
    前記無端ベルトの内周面と表面で接触し、前記無端ベルトの軸方向に延びており、発熱部が形成されている発熱板と、
    前記無端ベルトを挟んで前記発熱板の反対側に配置され、搬送される記録媒体を前記無端ベルトとの間に挟んで加圧する加圧部と、
    前記発熱板の裏面に接触し、前記発熱板の板厚方向に重ねられている複数の板材を有し、前記発熱部で生じる熱を前記軸方向に伝える伝熱部と、
    を備える定着装置。
  2. 前記伝熱部は、重ねられた一方の前記板材と他方の前記板材との間に、一方の前記板材と他方の前記板材との間で熱を伝達させる伝達材を備えている請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記伝達材は、油である請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記板材は、前記板厚方向から見て、前記軸方向に延びている矩形状とされ、前記板材には、前記軸方向に対して交差する交差方向に延びている複数の切れ目が形成されている請求項1~3の何れか1項に記載の定着装置。
  5. 前記板材において前記軸方向の外側の部分に形成されている前記切れ目の数は、前記軸方向の中央側の部分に形成されている前記切れ目の数と比して多い請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記板材は、前記軸方向に延びている一対の縁部を有し、
    前記切れ目は、一方の前記縁部から延びている第一切れ目と、他方の前記縁部から延びている第二切れ目とに分けられ、前記第一切れ目と前記第二切れ目とは、前記軸方向に対して千鳥状に形成されており、
    前記板材は、表裏を逆にして交互に重ねられている請求項4又は5に記載の定着装置。
  7. 前記板材は、前記軸方向に延びている一対の縁部を有し、
    前記板厚方向から見て、前記切れ目は、一方の前記縁部からのみ延びており、
    前記板材は、表裏を逆にすることなく重ねられている請求項4又は5に記載の定着装置。
  8. 前記伝熱部は、前記板厚方向に重ねられている複数の板材と、前記発熱板との間に配置されているシート状で、熱伝導率が前記板材の熱伝導率と比して低く、前記発熱部から前記板材への熱の伝達を遅らせる伝達遅延部とを有している請求項1~7の何れか1項に記載の定着装置。
  9. 複数の前記板材を拘束する拘束部を備えている請求項1~8の何れか1項に記載の定着装置。
  10. 前記軸方向において、前記拘束部は、前記発熱板の前記発熱部とは異なる位置に配置されている請求項9に記載の定着装置。
  11. 記録媒体に画像を形成する形成部と、
    記録媒体に形成された画像を記録媒体に定着する請求項1~10の何れか1項に記載された定着装置と、
    を備える画像形成装置。
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